JPH10131058A - 皮革様シート状物およびその製造方法 - Google Patents

皮革様シート状物およびその製造方法

Info

Publication number
JPH10131058A
JPH10131058A JP28986296A JP28986296A JPH10131058A JP H10131058 A JPH10131058 A JP H10131058A JP 28986296 A JP28986296 A JP 28986296A JP 28986296 A JP28986296 A JP 28986296A JP H10131058 A JPH10131058 A JP H10131058A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
woven
sheet
leather
cross
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP28986296A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3726385B2 (ja
Inventor
Takashi Hashimoto
貴史 橋本
Koji Watanabe
幸二 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP28986296A priority Critical patent/JP3726385B2/ja
Publication of JPH10131058A publication Critical patent/JPH10131058A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3726385B2 publication Critical patent/JP3726385B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】十分な透湿性と柔軟性と寸法安定性を満足する
皮革様シート状物を得ること。 【解決手段】不織布と織編物が絡合一体化したシート状
物であって、実質的にシート内部にはバインダーが存在
せず、前記織編物を構成する繊維束の周囲に外部空隙を
有し、前記シート状物の厚み方向の断面において、外部
空隙の断面積を空隙内部の織編物を構成する繊維束の断
面積で割った値R1が0.25〜2.5の範囲にあるこ
とを特徴とする皮革様シート状物およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシート状物に関す
る。さらに詳しくは、従来にない、ドレープ性と寸法安
定性と透湿性に優れた皮革様シート状物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、皮革様シート状物は不織布、織編
物、およびそれらの複合体あるいはそれらにバインダー
を含浸したもの(以下基材と総称する。)の表面に高分
子弾性体を塗布したり、起毛加工を施したりすることに
より得られる。
【0003】しかしながら、上記の基材にはそれぞれ一
長一短があり、皮革様シート状物として全ての特性を満
たすものは未だ得られていないのが現状である。基材と
して織物を用いた場合は、ドレープ性が不十分であり、
風合い、質感もフィルムライクなものしか得られなかっ
た。編物を用いた場合、ある程度のドレープ性は得られ
るものの、編物と天然皮革では構造が全く異なるため、
風合いは天然皮革とは異なるものであり、また厚みとい
った点においても厚いものしか得ることができなかっ
た。
【0004】さらに、これら織編物を基材として用いた
場合は、皮革様外観を得るためには表面に厚い被覆層を
設けて基材表面の凹凸を隠す必要があり、そのために透
湿性が低下し、風合いがゴムライクになる他、タッチ、
外観が人工的なものしか得られないという問題点があっ
た。
【0005】不織布と天然皮革は構造的に類似している
ため、不織布を基材として用いた場合、ドレープ性が良
好で柔軟なシート状物を得ることができるが、強力、寸
法安定性が不十分であった。不織布に高分子弾性体等の
バインダーを含浸することにより、これら欠点をある程
度改善することができるが、今度は風合いがゴムライク
になり、ドレープ性、透湿性が低下したものしか得られ
なかった。特開昭60−71775号公報に例示されて
いるようなバインダーを含まない高絡合不織布を用いる
ことにより極めて透湿性、ドレープ性に優れた皮革様シ
ート状物を得ることができるが、厚さが薄い場合は強
力、形態安定性が不十分であった。
【0006】柔軟性と形態安定性を両立する目的で単に
不織布と織編物を一体化した複合シート状物では、風合
いに充実感がなく、また、上記織編物と不織布の両方の
長所を兼ね備えた基材として、特開昭60−75685
号公報に極細繊維3次元絡合体と織編物の複合シートが
提案されており、これによりある程度柔軟性、強力に優
れた皮革様シート状物を得ることができるが、不織布と
織編物とを強固に複合をすると不織布と織編物がお互い
に動きの自由度を阻害するために風合いが低化し、逆に
風合いを重視して弱く複合した場合には染色工程で不織
布と織編物が剥離するという問題があった。さらに特公
平5−24272号公報に極細化可能な不織布と極細化
可能な繊維からなる織編物を積層、交絡処理してなる混
成不織布に弾性高分子体を含浸処理した後、極細化可能
な繊維を極細化することを特徴とするシート状物の製造
方法が提案されているが、シート内部に高分子弾性体が
存在するため、風合いがゴムライクになることは避けら
れず、また、透湿性の低いものしか得られなかった。
【0007】以上述べたように、未だ、十分な透湿性と
柔軟性と寸法安定性を満足する皮革様シート状物は得ら
れていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
にない、透湿性と柔軟性と寸法安定性に優れた皮革様シ
ート状物を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の皮革様シート状
物は、前記課題を解決するために以下の構成を有する。
【0010】すなわち、不織布と織編物が絡合一体化し
たシート状物であって、実質的にシート内部にはバイン
ダーが存在せず、前記織編物を構成する繊維束の周囲に
外部空隙を有し、前記シート状物の厚み方向の断面にお
いて、外部空隙の断面積を空隙内部の織編物を構成する
繊維束の断面積で割った値R1が0.25〜2.5の範
囲にあることを特徴とする皮革様シート状物である。
【0011】また、本発明の皮革様シート状物の製造方
法は、前記課題を解決するために以下の構成を有する。
【0012】すなわち、不織布と織編物を一体化せしめ
て基材を形成した後、該織編物を構成する繊維束の周囲
および内部の少なくともいずれかに空隙を形成すること
を特徴とする皮革様シート状物の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の皮革様シート状物は、不
織布と織編物が絡合一体化したシート状物である。ま
た、実質的にシート内部にはバインダーが存在せず、織
編物を構成する繊維(以下、織編物構成繊維と略す。)
の束の周囲に外部空隙を有し、該シート状物の厚み方向
の断面において、外部空隙の断面積を空隙内部の織編物
を構成する繊維束の断面積で割った値R1が0.25〜
2.5の範囲にあるものである。さらに繊維束内部に空
隙が存在し、繊維束断面において、内部空隙の断面積を
繊維束内部の繊維の断面積の和で割った値R2が0.1
5〜1.5の範囲にあることにより、不織布の特長であ
る良好な風合いと柔軟性、また、織編物の特長である強
力と形態安定性をすべて兼ね備え、さらに透湿性にも優
れた皮革様シート状物が得られて好ましい。
【0014】本発明でいう不織布と織編物が絡合一体化
しているというのは、不織布構成繊維の一部が織編物の
目を貫通し、あるいは、貫通後にお互いに絡合して不織
布と織編物が一体化している形態をいう。このような形
態であることにより、強力、形態安定性、柔軟性を兼ね
備えたシート状物を得ることができる。
【0015】またここでいうシート内部とは、シートの
厚さをTとした場合、シートの表側および裏側から0.
1T以上内側の部分のことである。
【0016】また、ここでいう実質的にバインダーが存
在しないということは、バインダーが全く存在しない
か、極微量存在したとしても基材の強力、通気性、柔軟
性にほとんど影響を与えない量であることをいう。
【0017】また、ここでいう断面とは織物構成繊維束
の軸方向に対して垂直な面のことをいう。
【0018】また、ここでいう織物構成繊維束とは織物
構成繊維がヤーン状に集合したもののことをいい、織編
物がモノフィラメントからなっている場合はそのモノフ
ィラメント1本で織物構成繊維束とみなす。
【0019】また、ここでいう外部空隙、内部空隙と
は、それぞれ、後述する織編物構成繊維束の境界で囲ま
れる領域の外部、内部に存在する空隙のことをいう。
【0020】前記外部空隙、織編物構成繊維束、織物構
成繊維の断面積は、それぞれの境界線を決定し、該境界
に囲まれた部分の面積を測定して得ることができる。空
隙及び織物構成繊維の境界線を決定する方法としては、
例えば断面の形態が変化しないようにしてカミソリなど
で切断したシート状物の断面を電子顕微鏡あるいは光学
顕微鏡により断面像を拡大して撮影した後、目視により
境界線を決定する方法や、断面像をコンピュータで画像
処理し、画像濃度の急激に変化する点を結んで境界線と
する方法を採用することができる。
【0021】図2に示すように、前記方法により決定し
た境界線で囲まれる1個の外部空隙周囲に1個の織編物
構成繊維束しか存在しない場合は、該境界線によって囲
まれた範囲の面積を外部空隙の断面積とする。
【0022】図3に示すように、前記方法により決定し
た境界線で囲まれる1個の外部空隙内に複数の織編物構
成繊維束が存在する場合、外部空隙の面積を、外部空隙
の内部に存在する全ての織編物構成繊維束の面積を合計
で割った値をR1とする。
【0023】なお、今まで述べた外部空隙の断面積には
外部空隙内に存在する織編物構成繊維の断面積は含まれ
ない。
【0024】織物構成繊維束の境界線は、織物構成繊維
束の最外周の織物構成繊維断面の中心を結んだ線とす
る。
【0025】境界線に囲まれた部分の面積を求める方法
としては、例えば、該境界線を方眼紙上にトレースして
境界線に囲まれた内部のマス目を数える方法や、積分法
などによりコンピューターで面積を求める方法を採用す
ることができる。
【0026】また、これらの断面積を測定する際には、
できるだけ多くの箇所を測定するのが好ましく、本発明
においては5ヵ所ランダムにサンプリングを行い、それ
らの値の平均値を採用する。織編物構成繊維束の交差す
る点の周囲では空隙の断面積が正確に測定できないので
このような点はサンプリングの際に除外する。内部空隙
の断面積は織編物構成繊維束の断面積から該繊維束内に
含まれる織編物構成繊維の断面積の和を差し引いたもの
のことをいう。織物構成繊維の断面積は空隙、織編物構
成繊維束の断面積と同様にして求めることができる。本
発明の外部空隙は織編物構成繊維の経糸、緯糸のいずれ
か一方または両方に存在してもかまわない。また織物構
成繊維束と隣接する様な形態、位置関係であってもよい
し織物構成繊維束を囲むような形態、位置関係であって
もよい。
【0027】本発明の内部空隙も織編物構成繊維の経
糸、緯糸のいずれか一方または両方に存在してもかまわ
ない。
【0028】このような空隙を形成する方法としては特
に制限はないが、例えば、不織布と織編物を一体化した
後に織編物構成繊維の一部分を除去する方法や、織物構
成繊維に膨潤作用による方法を採用することができる。
【0029】本発明において、膨潤作用による方法と
は、例えば、織物構成繊維を膨潤させたのち、乾燥等に
より膨潤状態を元に戻して脱膨潤させる方法のことをい
う。
【0030】織物としては本発明の目的を満足するもの
であれば特に制限はない。用いる繊維としては、綿等の
天然繊維、レーヨンなどの半合成繊維、ポリアミド、ポ
リエチレンテレフタレート等の合成繊維を目的に応じて
単独あるいは組み合わせて適宜選択することができる。
また、糸の形態としては通常の丸断面の他に中空断面、
三角型やY型の異型断面、あるいは2種類以上のポリマ
ーの複合糸、海島型繊維、ブレンド糸などを目的に応じ
て適宜選択することができる。糸加工についても特に制
限はなく、仮撚り加工糸、捲縮糸、無撚り、甘撚りから
強撚まで目的に応じて適宜選択することができる。また
組織、密度に制限はなく、平織や綾織、経編み、筒編み
等適宜採用することができる。
【0031】本発明の不織布としては特に制限はなく、
短繊維不織布、長繊維不織布いずれでもかまわない。ま
た、製造方法もスパンボンド法、メルトブロー法、フラ
ッシュ紡糸法、ニードルパンチ法、水流交絡法、抄紙法
等、適宜採用することができる。
【0032】材質としては、ナイロン6、ナイロン6、
6等のポリアミド、ポリエチレンテレフタート、共重合
成分を含むポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリアクリロニトリル、綿等を単独あ
るいは混合して用いることができる。繊維の形態として
は通常の丸断面の他に、中空断面、三角型やY型の異型
断面、あるいは2種類以上のポリマーの複合糸、海島型
繊維、ブレンド糸などを目的に応じて適宜選択すること
ができる。特に溶解性の異なる2種類以上のポリマーを
あわせて紡糸した後に少なくとも1成分を溶解除去する
方法を用いると、繊維と繊維の間に空間ができるので、
柔軟性に優れたシート状物を得ることができる。このよ
うな場合の除去成分としては例えば、ポリエチレン、ポ
リスチレン、共重合ポリスチレン、ポリエステル、共重
合ポリエステル等を用いることができる。
【0033】繊維の形成方法については特に制限はな
く、通常の紡糸、延伸工程を採用することもできるし、
スーパードロー法、あるいは2種類以上の成分を紡糸し
た後に剥離して分割する方法などを採用することができ
る。該極細繊維および/または極細繊維束と該織編物を
一体化する方法についても特に制限はないが、ニードル
パンチや高圧柱状流体による絡合処理を例示することが
できる。また不織布と織編物はどのような形態で一体化
していてもよく、織物構成繊維と不織布構成繊維同士が
直接絡合していてもよいし、不織布構成繊維が織編物の
目の間を貫通することにより両者が剥離することなく一
体化していてもよい。該織編物は基材の中央部に存在し
ても、いずれか側の表面周囲に存在してもいずれでもよ
い。
【0034】また、本発明は織編物がポリエステル系高
分子、不織布が非ポリエステル系高分子からなることが
好ましく、さらに好ましくは織編物がポリエステル系高
分子、不織布がポリアミド系高分子であることが望まし
い。このような組み合わせをとることにより、織編物と
不織布を一体化した後に織編物をアルカリ減量加工する
ことにより織編物構成繊維の周囲に容易に空隙を形成す
ることができる。特にポリエステル系高分子からなる織
編物とポリアミド系高分子からなる不織布との組み合わ
せからなる本発明の皮革様シート状物は寸法安定性、柔
軟性、また、銀面を有する場合は銀面の耐久性の点で最
も優れた組み合わせとなる。
【0035】また、織編物と不織布が実質的に一浴で染
色可能な素材からなることは染色が1度ですむので、染
色による劣化を最小限に抑えることができる観点から好
ましい。ここでいう一浴で染色可能であるというのは、
必ずしも同一の染料で染色可能な場合だけでなく、同一
の条件で染色可能な場合も含まれる。すなわち、片方の
繊維の染色条件においてもう片方の繊維が劣化しないこ
と、染料、助剤等を混合した場合にコンプレックスを形
成して凝集、沈殿を起こさないこと、染色可能な温度、
pHがほぼ同じであることが好ましい。具体的な例とし
ては常圧可染性ポリエチレンテレフタレートとポリアミ
ドの組み合わせ、あるいはカチオン可染性ポリエチレン
テレフタレートとポリアクリロニトリルの組み合わせを
例示することができる。
【0036】また本発明の皮革様シート状物は、少なく
とも片方の面が銀面状外観を有する場合に特に他の基材
と比較して特徴を発揮することができる。
【0037】ここでいう銀面状外観とは、一見したとこ
ろプレーンで平滑性が高く、銀付き天皮革様外観を呈す
る外観のことをいう。このような外観を有するものであ
れば形態に特に制限はなく、(1)高分子弾性体が基材
表面を完全に被覆するような形態や、(2)繊維が極め
て緻密に集合して一体化した形態や、より好ましくは
(3)高分子弾性体と繊維がミクロに混在した形態のい
ずれであってもよい。
【0038】前記(1)の高分子弾性体としては、特に
制限はなく、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル
共重合体、ポリアミノ酸ポリウレタン共重合体、シリコ
ーン樹脂などを用いることができるが、風合いを柔軟に
する点で特にポリウレタンが好ましい。ポリウレタンの
種類としては特に制限はなく、例えばポリエーテルジオ
ール系、ポリエステルジオール系、ポリカーボネートジ
オール系ポリウレタンを用いることができる。また、必
要に応じて架橋剤を加えてもよい。また必要に応じて、
コラーゲンやフィブロインなどの蛋白質、酸化防止剤、
紫外線吸収剤などの耐候剤、顔料、染料、難燃剤、撥水
剤等を含むことができる。基材に付与する方法として
は、特に制限はなく、基材の表面に直接塗布する方法、
基材と膜を別々に形成した後に両者を張り合わせる方法
を採用することができる。基材の表面に直接塗布する方
法としては、リバースロールコーティング、ナイフコー
ティング、グラビアコーティング、スリットコーティン
グ、スプレー等の方法を用いることができる。また基材
と膜を別々に形成した後に両者を張り合わせる方法とし
ては、フィルムを単独で形成した後に基材と一体化する
方法や、離型紙上に膜を形成した後に基材上に転写する
方法を採用することができる。また、銀面層を多層構造
として基材との接着性、耐擦過性、外観等の特性を向上
することもできる。高分子弾性体を凝固せしめる方法と
しては、本発明の目的を満足するものであれば、乾式
法、湿式法いずれの方法でもかまわない。
【0039】前記(2)の形態を得る手段としては、例
えば、極細繊維の緻密な立毛を形成した後に、絡合処理
やプレス処理を施す方法を採用することができる。ま
た、必要に応じて極微量のバインダーを付与したり、繊
維同士を融着せしめることにより、銀面の耐久性や平滑
性を向上せしめることができる。
【0040】前記(3)の場合も前記(1)と同様の物
質、方法を採用することができるが、特に、銀面状外観
を有する層が0.2d以下の極細繊維および/または極
細繊維束からなり、交絡点間距離が200ミクロン以下
である繊維交絡体とその極細繊維間の空隙部分に存在す
る樹脂からなることが好ましい。このような層と組み合
わせることにより、基材の柔軟性、透湿性を損なうこと
なく、銀付調の皮革様シート状物を得ることができる。
【0041】なお、本発明においては、交絡点間距離と
は次の方法で求めた値のことをいい、繊維の交絡の緻密
さを示す1つの尺度として値が小さい程、交絡が緻密で
あることを示すもののことをいう。図8は銀面層におけ
る構成繊維を表面側から観察したときの構成繊維の一例
をモデル的に示す拡大模式図である。構成繊維をf 1、
f 2、f 3……とし、そのうち任意の2本の繊維f 1、
f 2が交絡する点を点a1とし、a1で上になっている
繊維f 2が他の繊維の下になる形で交差している点まで
たどっていき、その交差した点をa2(f 2とf 3の交
絡点)とする。同様にa3、a4、a5……とする。次
にこうして求めた交絡点の間の距離直線水平距離a1a
2、a2a3、a3a4……を測定し、これら多数の測
定値の平均値を求め、これを繊維交絡点間距離とする。
このような銀面層を得る方法としては、特に限定はない
が、極細繊維を得る方法としては、通常の単成分紡糸方
法の他に海島型繊維あるいはブレンド繊維を形成した後
に1成分以上を除去する方法や、複合繊維を分割する方
法、繊維をフィブリル化する方法などを例示することが
できる。このような場合の除去成分としては、例えば、
ポリエチレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポ
リエステル、共重合ポリエステル等を用いることができ
る。また除去する際の溶媒としてはトリクロロエチレ
ン、トルエン、ベンゼン、ヘキサン等の有機溶媒、アル
カリ性水溶液、酸性水溶液、界面活性剤水溶液あるい
は、これらを混合したものを用いることができる。複合
繊維としては接着性の低いポリマーや熱や溶剤により収
縮、膨潤差を生じるポリマーを組み合わせて用いること
ができる。このようなポリマーの組み合わせとしてはポ
リアミド系高分子とポリエステル系高分子の組み合わせ
を例示することができる。複合繊維の形態としてはサイ
ドバイサイド型、星形等を例示することができる。分割
の方法としては機械的に分割する方法、繊維を収縮さ
せ、その収縮応力を利用する方法、繊維を膨潤させその
膨潤応力を利用する方法等を用いることができる。繊維
をフィブリル化する方法としては繊維内部に微細な空隙
を形成した後に機械的にフィブリル化せしめる方法を採
用することができる。
【0042】交絡点間距離を200ミクロン以下にする
方法としては、基材表面を高圧柱状流体により絡合処理
する方法を例示することができる。
【0043】また、本発明は前記(3)の銀面状外観を
有する層が高分子弾性体と繊維がミクロに混在した形態
のより好ましい例として、銀面状外観を有する層が、微
少なユニット膜が多数集合した構造からなることが好ま
しい。ここでいうユニット膜とは独立した膜状のもので
あって、基材表面を被覆、あるいは基材と一体化した構
造を有するもののことをいい、ユニット膜とユニット膜
の間には微小空隙が存在するのが好ましい。
【0044】本発明の微少なユニット膜のサイズは、品
位の点で、一見したところあたかも1つの連続膜のよう
に見えるほうが好ましいので、面積は0.1平方センチ
メートル以下が好ましく、0.01平方センチメートル
以下がより好ましい。また品位の点でも折れ皺を細かく
するという点で小さい方が好ましい。したがって衣料用
に用いる場合はできるだけ小さくした方がよいが、靴な
どに用いる場合は必ずしも0.1平方センチメートル以
下でなくともよい。
【0045】前記構造の第一の特徴は、高い耐擦過性と
柔軟性を両立せしめた点といえる。すなわち、耐擦過性
についてはユニット膜を硬くして、耐久性を向上せしめ
ると同時に、シート状物の屈曲に対しては微小空隙が存
在することにより、柔軟性を得ることができる。
【0046】第二の特徴はしっとりしたタッチおよびナ
チュラルな外観が得られる点にある。すなわち、ユニッ
ト膜と微小空隙が混在するため、従来の均一でプラスチ
ックライクなものではなく、しっとりした、自然なタッ
チ、外観が得られる。
【0047】第三の特徴は高い通気性、透湿性が得られ
る点にある。すなわち、ユニット膜とユニット膜の間に
微小空隙があるため、空気や水蒸気などの気体が極めて
容易に通過できる。
【0048】このユニット膜とユニット膜は完全に分離
した状態であっても、一部が繋がった状態であってもよ
い。また、ユニット膜同士がより柔軟な物質で連結され
ていても構わない。ユニット膜を構成する物質としては
特に制限はなく、上述のフィルム状連続膜の場合と同様
の物質を用いることができる。
【0049】本発明の微小空隙の大きさは特に制限され
るものではないが、表面の品位の点からは好ましくは
0.1mm以下が好ましく、0.01mm以下がより好
ましい。一方、柔軟性の点からは膜の厚さの1/3以上
の大きさが好ましく、より好ましくは膜の厚さ以上であ
り、さらに好ましくは膜の厚さの2倍以上である。した
がって基材や膜の材質、厚さ、目標とする柔軟性等によ
り、適宜選択することができる。
【0050】全体に対する微小空隙の面積の割合として
は1〜30%の範囲が好ましい。1%以下であれば本発
明の効果が得られない傾向にあり、30%以上であれば
品位や表面の耐久性が低下する傾向がある。
【0051】微小空隙から毛羽あるいは立毛状の繊維が
露出していることはシート状物の表面タッチを改善する
観点から好ましい。このことにより、表面に毛羽または
うぶ毛が生じ、触ったときに心地よいタッチを得ること
ができる。
【0052】該繊維の長さは特に制限はなく、目的に応
じて適宜選択することができる。
【0053】毛倒れがスムーズになり、よりなめらかで
心地よい感触を得る観点から、該毛繊維の太さは0.5
d以下が好ましい。
【0054】また、本発明の目的を達成するのに、ユニ
ット膜の厚さは、特に制限はないが、10ミクロン以下
であることが好ましい。ユニット膜が薄いほど柔軟で通
気性が高く、また自然な外観を得ることができる。
【0055】このような微少なユニット膜が多数集合し
た構造を形成するにあたっては、本発明の目的を達成す
るものならば特に制限はない。微少なユニット膜が多数
集合した構造の銀面層を1段階で形成してもよいし、い
ったん離型紙上に形成した後に、基材上に転写してもか
まわない。あるいは以下に例示するようにいったん連続
膜を形成した後に微少なユニット膜に分割する方法によ
り比較的容易に形成することができる。
【0056】該連続膜を分割するにあたって、機械的に
分割する方法としては、乾燥状態での揉み加工、液中で
の揉み加工、擦過処理等を用いることができる。分割処
理の前に、熱処理や薬品で結晶化したり、製膜の際に架
橋剤を加えたり、あるいは分割処理を冷却下で行うこと
は分割を容易に行えるため好ましい。
【0057】溶解により除去する方法としては特に制限
はないが、例えば製膜時に、後で除去可能な成分を混合
し、連続膜形成後に除去する方法を採用することができ
る。また、例えばアルカリ性水溶液中で加熱しながら揉
み加工することにより比較的容易に、微少なユニット膜
が多数集合した構造を形成することができる。
【0058】次に、本発明の皮革様シート状物の製造方
法を詳細に説明する。
【0059】本発明は不織布と織編物を一体化せしめて
基材を形成した後、該織編物を構成する繊維束の周囲お
よび内部の少なくともいずれかに空隙を形成せしめるも
のである。あらかじめ織編物構成繊維束内部に空隙を形
成しても、不織布と織編物を絡合一体化せしめる際に、
不織布構成繊維および織編物構成繊維の少なくともいず
れかが織編物構成繊維束内に入り込み、風合いを硬くす
る場合があるからである。かかる空隙を形成する方法と
しては、たとえば織編物を構成する繊維の一部分を除去
せしめる方法を取ることができる。除去する方法として
は特に制限はないが、アルカリ減量加工により空隙を形
成せしめることは、織編物構成繊維の強度低下を抑えな
がら柔軟性を得ることができ好ましく行われる。この方
法による場合は、織編物はポリエチレンテレフタレー
ト、共重合ポリエチレンテレフタレート等のポリエステ
ル高分子のごとき、アルカリ処理により減量可能である
繊維を含むのが好ましい。この場合の織編物構成繊維は
減量可能な繊維のみから構成されていてもよいし、減量
可能な繊維と減量しない繊維の混合物から構成されてい
てもよい。また、この場合のアルカリ処理は特に制限は
なく、常温あるいは加熱した水酸化ナトリウム水溶液処
理等の各種の方法を採用することができる。また、その
際に、界面活性剤などの減量促進剤を添加することもで
きる。
【0060】また、空隙を形成する手段としては織編物
を構成する繊維に膨潤、脱膨潤処理を施す方法が、織編
物の強度を低下させることなく、基材を柔軟化すること
ができるので好ましい。この場合、繊維が膨潤したとき
の体積と脱膨潤後の体積の差に相当する空隙が形成され
る。繊維を膨潤させる方法は特に制限はなく、例えば、
ポリエチレンテレフタレートに対しては、塩化メチレ
ン、O−クロロフェノール等、ナイロン6に対してはベ
ンジルアルコール等の溶剤、またはその溶液、またはそ
のエマルジョンによる各種の処理を採用することができ
る。また、脱膨潤処理も特に限定されることはなく、繊
維内に取り込まれた溶剤を乾燥により除去する方法等を
採用することができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明を具体的に実施例を用いて説明
する。
【0062】本発明に用いた各測定方法を下記に示す。
【0063】[断面積の測定方法]1つのサンプルに対
して無作為に5ヵ所サンプリングを行い、常法にしたが
って走査型電子顕微鏡にて500倍に拡大した試料の断
面写真を撮影した。目視により織編物構成繊維、外部空
隙の各々の境界線を決定し、該断面写真上に書き込ん
だ。織物構成繊維束の最外周に存在する繊維の断面の中
心を結んで織物構成繊維束の境界線とし、同様に該断面
写真上に書き込んだ。この段階でサンプリング箇所が織
編物構成繊維束の交差する点の周囲で空隙の断面積が正
確に測定できないと思われたものについてはサンプリン
グをやりなおした。これらの境界線を1mm間隔の方眼
紙上にトレースした。境界線で囲まれた範囲内に完全に
含まれているマス目は1平方mm、一部のみ含まれてい
るマス目は0.5平方mmとして各々の断面積を測定し
た。前記方法で織編物構成繊維、織編物構成繊維束、外
部空隙、断面積を測定し、面積の比を求めた。それぞれ
の織編物構成繊維束の断面積から該繊維束内の織編物構
成繊維の面積の和を差し引いて内部空隙の面積とした。
これらの値のそれぞれの平均値をもってR1、R2を決
定した。
【0064】[実施例1]0.4デニールのナイロン繊
維に捲縮を付与した後、切断しカードおよびクロスラッ
パーを用いてウェブとし、さらにニードルパンチを施
し、不織布を得た。
【0065】別途、1.5デニールのポリエチレンテレ
フタレート繊維からなる平織物を作製し、先ほどの不織
布と重ね合わせてニードルパンチを施して織物と不織布
が一体化したシート状物を得た。このシート状物に水流
を30kg/平方センチメートルの圧力の水流を噴射し
た後に熱プレスして基材を得た。
【0066】市販のポリウレタンをDMF−トルエン混
合溶媒にて希釈し、先ほどの基材にナイフコーターにて
塗布し、乾燥した。その後、表面層をサンドペーパーに
て研削すると同時に立毛を形成した。
【0067】それを95℃、30g/lの水酸化ナトリ
ウム水溶液中で減量加工した。得られたものを十分に水
洗後、常法にて酸性染料で染色した後、分散染料で染色
を施した。断面を観察したところ、織物構成繊維を囲む
ように空隙が生じていた。このシート状物のR1は約
0.33であった。またR2は約0.28であった。
【0068】得られた皮革様シート状物は柔軟性に優れ
しっとりした風合いを有するものであった。
【0069】また、手で引っ張ったところ、ほとんど寸
法変化の生じない形態安定性に優れたものであった。
【0070】さらに透湿性を測定したところ7920g
/m2 /24hrであり、快適性に優れた物であった。
【0071】[比較例1]水酸化ナトリウム水溶液中で
減量加工を行わない以外は実施例1と同じ工程により、
皮革様シート状物を得た。得られたシート状物の断面を
観察したところ、実施例1で観察された様な空隙はみら
れなかった。
【0072】得られた皮革様シート状物は極めて硬いペ
ーパーライクな風合いで衣料用途には適さないものであ
った。
【0073】[比較例2]30g/l水酸化ナトリウム
水溶液の替わりに、5g/l水酸化ナトリウム水溶液中
で減量加工を行う以外は同じ工程により、皮革様シート
状物を得た。得られたシート状物の断面を観察したとこ
ろ、織物構成繊維束を囲むように空隙が生じていた。こ
のシート状物のR1は約0.03であった。またR2は
約0.52であった。
【0074】得られた皮革様シート状物は、手で引っ張
ったところ、ほとんど寸法変化の生じない形態安定性に
優れたものであったが、風合いは比較例1で得られたシ
ート状物よりは若干柔軟ではあるものの、極めて粗硬な
ペーパーライクなものであった。
【0075】[比較例3]30g/l水酸化ナトリウム
水溶液の替わりに90g/l水酸化ナトリウム水溶液中
で減量加工を行う以外は同じ工程により、皮革様シート
状物を得た。得られたシート状物の断面を観察したとこ
ろ、織物構成繊維束を囲むように空隙が生じていた。こ
のシート状物のR1は約5.7であった。またR2は約
9.0であった。
【0076】得られた皮革様シート状物は、風合いは極
めて柔軟なものであったが、引っ張ると伸びて表面に大
きなしわ状の凹凸が発生し手を離しても元に戻らず、形
態安定性に乏しいものであった。
【0077】[比較例4]実施例1で用いたものと同じ
ポリウレタンを基材に含浸し、湿式にて凝固せしめた
後、十分に水洗、乾燥を行った。その後ポリウレタン塗
布以後は実施例1と同一の処理を施して皮革様シート状
物を得た。断面を観察したところ、織物構成繊維束を囲
むように空隙が生じていた。このシート状物のR1は約
0.32であった。またR2は約0.39であった。得
られた皮革様シート状物は柔軟性に乏しく、ゴム感のあ
るパカパカした風合いのものであって、衣料用途には適
さないものであった。
【0078】また透湿性は1330g/m2 /24hr
であり、実施例1のシート状物と比較すると快適性に劣
るものであった。
【0079】[実施例2]ポリスチレンを海成分として
50部、極細成分としてナイロンが50部からなる割合
で1フィラメント中に極細繊維成分が多数含まれる形態
の混合紡糸繊維のステープルを用いてカード、クロスラ
ッパーを通してウェブを形成し、しかる後、ニードルパ
ンチを施し、不織布を作製した。
【0080】別途、1.5デニールのナイロン繊維の周
囲にPVA繊維をカバリングしたヤーンからなる平織物
を作製し、前記不織布と重ね合わせてニードルパンチを
施して織物と不織布が一体化したシート状物を得た。
【0081】このシート状物に50kg/平方センチメ
ートルの圧力で水流を噴射した。次に該シート状物を熱
プレスして基材を得た。
【0082】実施例1で用いたポリウレタン溶液を先ほ
どの基材にグラビアコーターにて塗布し、乾燥した。そ
の後、塗布面を加熱エンボスロールにてプレスした。次
にトリクロルエチレン中にて浸漬、絞液を繰り返してポ
リスチレンを完全に除去した後に乾燥を行った。さらに
熱水中にて浸漬、絞液を繰り返してPVAを完全に除去
した後に乾燥を行った。得られたシート状物を常法にて
酸性染料で染色を施した。
【0083】断面を観察したところ、織物構成繊維束を
囲むように空隙が生じていた。
【0084】このシート状物のR1は約0.43であっ
た。またR2は約0.08であった。得られた皮革様シ
ート状物は実施例1のシート状物と比較するとやや芯の
ある風合いではあるが、優れた柔軟性、風合い、形態安
定性、快適性を全て満足するものであった。
【0085】[実施例3]ポリスチレンを海成分として
60部、島成分としてナイロンが40部からなる割合で
1フィラメント中に島繊維成分が30本含まれる形態の
海島型複合繊維からなる平織物を作製し、実施例2の不
織布と重ね合わせてニードルパンチを施して織物と不織
布が一体化したシート状物を得た。
【0086】このシート状物に30kg/平方センチメ
ートルの圧力で水流を噴射した。次に該シート状物を熱
プレスして基材を得た。
【0087】実施例1で用いたポリウレタン溶液を先ほ
どの基材に50g/平方メートルの塗布量になるように
グラビアコーターにて塗布し、乾燥した。その後、塗布
面を加熱エンボスロールにてプレスした。次にトリクロ
ルエチレン中にて浸漬、絞液を繰り返してポリスチレン
を完全に除去した後に乾燥を行った。得られたシート状
物を常法にて酸性染料で染色を施した。
【0088】断面を観察したところ、織物構成繊維を囲
むように空隙が生じていた。このシート状物のR1は約
0.75であった。またR2は約0.43であった。得
られた皮革様シート状物は実施例1、2のシート状物と
同様に優れた柔軟性、風合い、形態安定性、快適性を全
て満足するものであった。
【0089】[実施例4]1.0dの常圧可染ポリエチ
レンテレフタレート繊維からなる平織物を作製し、実施
例2の不織布と重ね合わせてニードルパンチを施して織
物と不織布が一体化したシート状物を得た。このシート
状物に実施例3と同様の交絡処理、プレス処理を施して
基材を得た。実施例1とは別の市販のポリウレタンをD
MF−トルエン混合溶媒にて希釈し、10%溶液とし
た。
【0090】基材に先ほどのポリウレタン溶液をグラビ
アコーターにて塗布し、乾燥後、加熱エンボスロールに
てプレスした。
【0091】次にトリクロルエチレン中にて浸漬、絞液
を繰り返してポリスチレンを完全に除去した後に乾燥を
行った。得られたシート状物を95℃、30g/lの水
酸化ナトリウム水溶液で処理後、十分に水洗した後、常
法にて分散染料と酸性染料で同時に染色した。断面を観
察したところ、織物構成繊維を囲むように空隙が生じて
いた。このシート状物のR1は約0.45であった。ま
たR2は約0.14であった。得られた皮革様シート状
物は実施例1〜3のシート状物と同様に優れた柔軟性、
風合い、形態安定性、快適性を全て満足するものであっ
た。
【0092】また該皮革様シート状物を適当な大きさに
切り取り、衣服の肘部に添付して耐久性の着用試験を行
ったところ、3ヶ月後も品位の大きな低下はみられなか
った。
【0093】[比較例5]常圧可染ポリエチレンテレフ
タレートの替わりにカチオン可染性を有するポリエチレ
ンテレフタレートを用いた以外は水酸化ナトリウム水溶
液による処理まで実施例4と同じ処理を施し、皮革様シ
ート状物を得た。常法にて酸性染料で染色後、さらに常
法にてカチオン染料で染色を施した。断面を観察したと
ころ、織物構成繊維を囲むように空隙が生じていた。
【0094】このシート状物のR1は約0.44であっ
た。またR2は約0.14であった。
【0095】得られた皮革様シート状物は実施例1〜3
のシート状物と同様に優れた柔軟性、風合い、形態安定
性、快適性を全て満足するものであった。
【0096】しかし、実施例4と同様の耐久性の着用試
験を行ったところ、約2ヶ月後には銀面割れおよびもも
けが発生し、実施例4のシート状物と比較して耐久性が
劣るものであった。
【0097】[実施例5]実施例2で用いたポリウレタ
ンのDMF−トルエン溶液にポリスチレンを溶解せしめ
たのち、実施例2と同様に基材に塗付した。その後、実
施例2と全く同様の処理を行った。得られたシート状物
の表面を拡大して観察したところ、微小ユニット膜とそ
のすき間に存在する微小空隙からなる構造を形成してお
り、実施例2よりも柔軟性に優れ、かつ、しっとりした
表面タッチとナチュラルな外観を有するものであった。
【0098】
【発明の効果】本発明によれば、十分な透湿性と柔軟性
と寸法安定性を満足する皮革様シート状物を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮革様シート状物の一例をモデル的に
示す模式的概略断面図である。
【図2】本発明の皮革様シート状物の断面における外部
空隙断面積、内部空隙断面積、織編物構成繊維束断面
積、織編物構成繊維断面積の一例をモデル的に示す模式
的概略図である。
【図3】本発明の皮革様シート状物の断面における外部
空隙断面積の一例をモデル的に示す概略図である。
【図4】本発明の皮革様シート状物の断面における内部
空隙断面積の一例をモデル的に示す概略図である。
【図5】本発明の皮革様シート状物の断面における織編
物構成繊維束断面積の一例をモデル的に示す概略図であ
る。
【図6】本発明の皮革様シート状物の断面における織編
物構成繊維断面積の一例をモデル的に示す概略図であ
る。
【図7】本発明の皮革様シート状物の断面における外部
空隙断面積、内部空隙断面積、織編物構成繊維束断面
積、織編物構成繊維断面積の他の一例をモデル的に示す
概略図である。
【図8】本発明の皮革様シート状物の銀面層における構
成繊維を表面側から観察したときの構成繊維の一例をモ
デル的に示す概略拡大模式図である。
【符号の説明】
1:不織布 2:織編物構成繊維 3:織編物構成繊維束

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不織布と織編物が絡合一体化したシート状
    物であって、実質的にシート内部にはバインダーが存在
    せず、前記織編物を構成する繊維束の周囲に外部空隙を
    有し、前記シート状物の厚み方向の断面において、外部
    空隙の断面積を空隙内部の織編物を構成する繊維束の断
    面積で割った値R1が0.25〜2.5の範囲にあるこ
    とを特徴とする皮革様シート状物。
  2. 【請求項2】繊維束内部に内部空隙が存在し、繊維束断
    面において、内部空隙の断面積を繊維束内部の繊維の断
    面積の和で割った値R2が0.15〜1.5の範囲にあ
    ることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート状
    物。
  3. 【請求項3】織編物がポリエステル系高分子からなる繊
    維を用いてなり、かつ、不織布が非ポリエステル系高分
    子からなる繊維を用いてなることを特徴とする請求項1
    または2に記載の皮革様シート状物。
  4. 【請求項4】不織布がポリアミド系高分子からなる繊維
    を用いてなることを特徴とする請求項3に記載の皮革様
    シート状物。
  5. 【請求項5】織編物と不織布が実質的に一浴で染色可能
    であることを特徴とする請求項3または4に記載の皮革
    様シート状物。
  6. 【請求項6】少なくとも片方の面が、銀面状外観を有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート状
    物。
  7. 【請求項7】銀面状外観を有する面が、0.2d以下の
    極細繊維および/または極細繊維束からなり、前記極細
    繊維間の空隙部分に樹脂が存在し、かつ、交絡点間距離
    が200ミクロン以下である繊維交絡体によって形成さ
    れてなることを特徴とする請求項6に記載の皮革様シー
    ト状物。
  8. 【請求項8】少なくとも片方の面が、ユニット膜が多数
    集合した構造を有し、かつ、銀面状外観を有することを
    特徴とする請求項6に記載の皮革様シート状物。
  9. 【請求項9】不織布と織編物を一体化せしめて基材を形
    成した後、該織編物を構成する繊維束の周囲および内部
    の少なくともいずれかに空隙を形成することを特徴とす
    る皮革様シート状物の製造方法。
  10. 【請求項10】織編物を構成する繊維の一部分を除去せ
    しめることにより空隙を形成することを特徴とする請求
    項9に記載の皮革様シート状物の製造方法。
  11. 【請求項11】アルカリ減量加工により空隙を形成せし
    めることを特徴とする請求項9に記載の皮革様シート状
    物の製造方法。
  12. 【請求項12】織編物を構成する繊維に膨潤作用によっ
    て空隙を形成せしめることを特徴とする請求項9に記載
    の皮革様シート状物の製造方法。
JP28986296A 1996-10-31 1996-10-31 皮革様シート状物およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3726385B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28986296A JP3726385B2 (ja) 1996-10-31 1996-10-31 皮革様シート状物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28986296A JP3726385B2 (ja) 1996-10-31 1996-10-31 皮革様シート状物およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10131058A true JPH10131058A (ja) 1998-05-19
JP3726385B2 JP3726385B2 (ja) 2005-12-14

Family

ID=17748729

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28986296A Expired - Lifetime JP3726385B2 (ja) 1996-10-31 1996-10-31 皮革様シート状物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3726385B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004018766A1 (ja) * 2002-08-22 2004-03-04 Teijin Cordley Limited 皮革様シート状物およびその製造方法
WO2006013804A1 (ja) * 2004-08-02 2006-02-09 Toray Industries, Inc. 皮革様シートおよびその製造方法
JP2006305270A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Kowa Co Ltd 洗車機用洗浄ブラシのブラシ片
US7998887B2 (en) 2003-07-18 2011-08-16 Toray Industries, Inc. Nonwoven fabric containing ultra-fine fibers, leather-like sheet, and production methods thereof

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004018766A1 (ja) * 2002-08-22 2004-03-04 Teijin Cordley Limited 皮革様シート状物およびその製造方法
US7998887B2 (en) 2003-07-18 2011-08-16 Toray Industries, Inc. Nonwoven fabric containing ultra-fine fibers, leather-like sheet, and production methods thereof
WO2006013804A1 (ja) * 2004-08-02 2006-02-09 Toray Industries, Inc. 皮革様シートおよびその製造方法
US7820568B2 (en) 2004-08-02 2010-10-26 Toray Industries, Inc. Leather-like sheet and production method thereof
JP2006305270A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Kowa Co Ltd 洗車機用洗浄ブラシのブラシ片
JP4652132B2 (ja) * 2005-04-28 2011-03-16 株式会社コーワ 洗車機用洗浄ブラシのブラシ片

Also Published As

Publication number Publication date
JP3726385B2 (ja) 2005-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8202600B2 (en) Artificial leather, base to be used in the leather, and processes for production of both
KR20160137579A (ko) 인공 피혁과 그의 제조 방법
US6780469B2 (en) Nubuck-like artificial leather and a production process thereof
JPWO2018230417A1 (ja) 立毛調人工皮革
KR102652060B1 (ko) 인공 피혁 기재, 그 제조 방법 및 입모 인공 피혁
JP3726385B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP4267145B2 (ja) 立毛繊維シート及びその製造方法
JPH05132878A (ja) 立毛性状、柔軟性および高強力に優れた皮革様物の製造方法
JP7096694B2 (ja) メランジ効果を発現する人工皮革
JP3997592B2 (ja) 人工皮革およびその製造方法
JP5107139B2 (ja) 皮革様シートおよび皮革様シートの製造方法
JPS6353310B2 (ja)
JPS62236731A (ja) 織編物風布帛
JP3409554B2 (ja) 皮革様シート状物およびその製造方法
JP3008414B2 (ja) 立毛繊維シートおよびその製造方法
JPH10331075A (ja) 人工皮革
JP7405310B1 (ja) 人工皮革およびその製造方法、ならびに、乗物用内装材、座席
JPH11323740A (ja) 皮革様シート状物の製造方法
WO2024029215A1 (ja) 人工皮革およびその製造方法、ならびに、乗物用内装材、座席
JP3484598B2 (ja) 立毛シートの製造方法
WO2023189269A1 (ja) 人工皮革およびその製造方法、複合人工皮革
KR20230170054A (ko) 인공 피혁, 및 그의 제법
JP2022034525A (ja) 人工皮革基材、立毛人工皮革及び人工皮革基材の製造方法
JP3430852B2 (ja) 立毛シートの製造方法
JP2022179195A (ja) 人工皮革及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050614

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20050919

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091007

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091007

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101007

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111007

Year of fee payment: 6