JPH10273885A - 繊維立毛シート状物およびその製造方法 - Google Patents

繊維立毛シート状物およびその製造方法

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JPH10273885A
JPH10273885A JP8154897A JP8154897A JPH10273885A JP H10273885 A JPH10273885 A JP H10273885A JP 8154897 A JP8154897 A JP 8154897A JP 8154897 A JP8154897 A JP 8154897A JP H10273885 A JPH10273885 A JP H10273885A
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JP
Japan
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fiber
woven fabric
twist yarn
fibrous
sheet according
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JP8154897A
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Taizo Ishihama
泰三 石濱
Takushi Kobayashi
拓史 小林
Tsutomu Ono
勉 大野
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】適度なストレッチ性をもちながら、高強力、耐
摩耗性に優れた柔軟で高品位の繊維立毛シート状物とそ
の製造方法を提供すること。 【解決手段】極細繊維と織密度がタテ・ヨコそれぞれ2
0〜80本/インチである強撚糸織物とが不離一体に絡
合され、かつ弾性重合体により保持されてなり、立毛、
染色処理された繊維立毛シート状物であって、JIS−
1096に基づいて測定したシートの引張ヨコ伸度が6
0%以上で、かつ、引張強力が4kgf/幅cm以上、
20%伸長時ヨコ応力が、0.2kgf/mm2 以下で
ある高い強力と柔軟な風合をもつ繊維立毛シート状物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い強力と高い伸度を
持ち、かつ柔軟な風合をもつ繊維立毛シート状物とその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から人工皮革の特性を向上させる手
段として、不織布ウェブを織物で補強する方法がある。
これには、高速流体やニードルパンチによって極細発生
繊維からなるウェブと織物を交絡一体化させる方法が一
般に知られている。
【0003】前者は、高密度で短ナップスエードを得る
にはそれなりに効果があるが、ウェブと織物との絡合の
度合いが低いために繊維が抜けやすく、物理的特性に劣
る欠点がある。後者は、ニードルパンチ法により不織布
繊維と織物繊維を交絡させて強固に絡合させることがで
きるが、通常の織物を採用した場合、ニードル針のバー
ブに該織物の繊維が引っ掛かり損傷を受けるため強度補
強効果は低くなってしまう。そこで、強撚糸織物を使っ
てニードル針のバーブによる損傷を回避することが知ら
れている。しかし、かかる強撚糸織物は高強力で優れた
物理的特性を持つ反面、風合が固い。従って、該織物を
使ってできたスエード調人工皮革も高強力ではあるが、
低伸度でストレッチ性に乏しく風合が硬いという欠点が
あった。この強撚糸織物で補強されたスエード調人工皮
革は、天然皮革にはない優れた物理特性を持つことか
ら、家具や椅子などといった資材用途には好都合であっ
たが、衣料などの高強力でも風合の柔軟性が重要視され
る用途には不向きであった。衣料でもとりわけズボンや
服の肘、膝といった部分は繊維が抜けて形態が破壊され
るといった不具合が生じやすいため、こうした部位にも
使用できる高強力高伸度で柔軟な風合をもつ繊維立毛シ
ート状物の実現への要求は非常に高いが、これを満足す
る解決手段がなかったのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の人工皮
革の欠点である柔軟化を重視すれば、強力保持が難し
く、一方、強度を重視すれば柔軟性が劣るという物性不
均衡の問題を解決し、柔軟性と強度特性の両者を同時に
満足できる繊維立毛シート状物およびその製造方法を提
供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するため鋭意研究した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
【0006】(1)ポリエステル極細繊維と織密度がタ
テ・ヨコそれぞれ20〜80本/インチである強撚糸織
物とが不離一体に絡合され、かつ弾性重合体により保持
されてなり、立毛、染色処理された繊維立毛シート状物
であって、JIS−1096に基づいて測定したシート
の引張ヨコ伸度が60%以上で、かつ、引張強力が4k
gf/幅cm以上、20%伸長時ヨコ応力が0.2kg
f/mm2 以下であることを特徴とする高い強力と柔軟
な風合をもつ繊維立毛シート状物である。
【0007】また、かかる本発明の繊維立毛シート状物
の好ましい実施態様として、以下の(2)から(13)
の態様をとるものである。
【0008】(2)繊維立毛シート状物を構成する織物
の織密度が、タテ・ヨコそれぞれ40本/インチ以上、
60本/インチ以下であることを特徴とする上記(1)
記載の繊維立毛シート状物である。
【0009】(3)繊維立毛シートを構成する繊維/弾
性重合体の重量比率が、95/5ないし35/65であ
ることを特徴とする上記(1)または(2)記載の繊維
立毛シート状物である。
【0010】(4)強撚糸織物を構成する強撚糸が、少
なくとも700T/mの撚数の強撚糸であることを特徴
とする上記(1)、(2)または(3)記載の繊維立毛
シート状物である。
【0011】(5)強撚糸織物を構成する強撚糸が、少
なくとも30デニールの総繊度を有するものであること
を特徴とする上記(1)、(2)、(3)または(4)
記載の繊維立毛シート状物である。
【0012】(6)強撚糸織物を構成する強撚糸が、5
0デニール以上90デニール以下の総繊度を有するもの
であることを特徴とする上記(5)記載の繊維立毛シー
ト状物である。
【0013】(7)強撚糸織物を構成する強撚糸が、少
なくとも0.6デニール以上の単繊維繊度からなる糸で
構成されていることを特徴とする上記(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)または(6)記載の繊維立毛シ
ート状物である。
【0014】(8)強撚糸織物が、150g/m2 以下
の目付を有するものであることを特徴とする上記
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)また
は(7)記載の繊維立毛シート状物である。
【0015】(9)強撚糸織物が、100g/m2 以下
の目付を有するものであることを特徴とする上記(8)
記載の繊維立毛シート状物である。
【0016】(10)強撚糸織物が、40g/m2
上、80g/m2 以下の目付を有するものであることを
特徴とす上記(8)記載の繊維立毛シート状物である。
【0017】(11)立毛処理が、繊維立毛シト状物の
表皮側に施されたバフィングによる立毛処理加工による
ものであることを特徴とする上記(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、
(9)または(10)記載の繊維立毛シート状物であ
る。
【0018】(12)弾性重合体が、ポリウレタンを含
むものであることを特徴とする上記(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、
(9)、(10)または(11)記載の繊維立毛シート
状物である。
【0019】また、本発明の繊維立毛シート状物の製造
方法は、0.8デニール以下の極細繊維ウェブもしくは
極細繊維化が可能なウェブを、強撚糸織物と重ねてニー
ドルパンチし、熱水または温水中で収縮処理または乾熱
処理を行って、該熱水または温水中での収縮処理または
乾熱処理後の強撚糸織物がニードルパンチ前に比べて幅
方向で5%以上の収縮率を示すように収縮せしめた後、
弾性重合体を付与することを特徴とする繊維立毛シート
状物の製造方法である。
【0020】また、かかる本発明の繊維立毛シート状物
の製造方法の好ましい実施態様として、該方法におい
て、熱水または温水中で収縮処理または乾熱処理後にお
ける強撚糸織物がニードルパンチ前と比べて幅方向で1
0%以上の収縮をさせることを特徴とする方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0022】本発明の目的を達成するための具体的な一
手段としては、先ず例えば0.8デニール以下等の極細
繊維ウェブもしくは極細繊維化可能型ウェブ(後加工に
より極細繊維化可能型の繊維から構成される繊維ウェ
ブ)を形成する。このウェブと強撚糸織物と重ねてニー
ドルパンチし、ウェブ自体の絡合とウェブおよび織物と
の絡合を十分に高めて不離一体の構造を形成する。しか
る後、熱水または温水中で収縮処理を行って、該強撚糸
織物の幅がにードルパンチ前と比べて幅方向に少なくと
も5%以上収縮させた後、弾性重合体を付与する工程、
極細繊維化工程の組み合わせ処理を行うことを骨子とす
るものである。
【0023】ここでいう不離一体の構造を形成すると
は、例えば極細繊維が織物組織に十分に入り込み、ラン
ダムに絡まっていて、かつ極細繊維どうしもその形態を
維持しながら絡み合っているために、相当の応力で剥離
しようとしても織物と不織布ウェブは剥離できず、さら
に応力が強くなると剥離よりも皮革状物自体が破壊され
るような強い構造をいう。このような構造は、耐摩耗性
や強伸度特性の向上に大きな効果をもたらす反面、織物
自体の風合い、伸度が皮革自体のそれに大きく影響を与
える。
【0024】本発明を実施するに際して、不織布ウェブ
を形成する極細繊維の重合体としてはポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステ
ルエラストマ等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロ
ン66、ポリアミドエラストマ等のポリアミド系、ポリ
ウレタン系、ポリオレフィン系、アクリルニトリル系な
どの繊維形態を有する重合体ならば使用可能であるが、
実用性能の点からポリエステル系繊維を使用することが
特に望ましい。また、海島型繊維のように複合繊維を構
成する一部の重合体を除去または相互に剥離することに
よって極細繊維化が可能な繊維(極細繊維化可能型繊
維)については、被除去成分として、例えばポリスチレ
ンまたはその共重合体、PVA、共重合ポリエステル、
共重合ポリアミド等の1種または2種等を用いることが
できる。
【0025】本発明に用いられる極細繊維の太さは、皮
革状シートとしての性能、すなわち柔軟性、触感、外観
品位、強力特性などを高めるために0.8デニール以下
のものが好ましい。このような極細繊維は、2種類以上
の重合体からなる高分子配列体繊維、あるいは、互いに
相溶性の小さい2種の重合体が隣接してなる易分割型複
合繊維などがある。ただし、極細繊維を発生し得るもの
であれば、上記の形態にとらわれることなく使用するこ
とが可能である。
【0026】本発明で使用できる弾性重合体としては、
ポリウレタン、SBR、NBR、ポリアミノ酸、アクリ
ル系の接着剤などゴム弾性を有するものならば使用可能
であるが、実用性能の面でポリウレタンが望ましい。付
与工程としては弾性重合体を塗布あるいは含浸後凝固す
る方法、あるいはエマルジョン、ラテックス状で塗布あ
るいは含浸して乾燥、固着させる方法など種々の方法が
採用できる。
【0027】極細化可能型繊維ウェブ、または極細繊維
ウェブと強撚糸織物を組合せるにはカード、クロスラッ
パー、ランダムウェブ等を用いてシート化したウェブの
間に強撚糸織物を積層し、ニードルパンチにより繊維を
互いに絡ませるのが最も良いが、片面のみでも良い。
【0028】本発明の繊維立毛シート状物の断面中間か
ら表層の間に存在する織物の織密度は、タテ・ヨコそれ
ぞれ20本/インチ以上、80本/インチ以下で、好ま
しくは、40本/インチ以上、60本/インチ以下であ
る。織密度が20本/インチ未満になると糸と糸の間隔
が広くなり織物自体の構造がルーズになり、重ねる際に
皺が発生して均一に広げることが困難であり、強力特性
も不十分である。また80本/インチを超えると織組織
が密となり風合いが硬くなっていく。つまり、20本/
インチ以上、80本/インチ以下の領域は、柔軟でかつ
高強力なシートを得ることができる最適な領域である。
【0029】この織物を用い、不織布ウェブとを不離一
体となるごとくニードルパンチすることで、該織物は幅
方向に収縮する。これはニードルによって不織布ウェブ
の絡合が進むことで幅が入り、織物自体もニードルのバ
ーブに引掛けられて幅方向に収縮するからである。さら
に、熱水または温水中で収縮処理または乾熱処理を行う
ことで不織布ウェブと織物がさらに熱により収縮する。
その結果、該強撚糸織物の幅がニードルパンチ前と比べ
て幅方向に5%以上収縮せしめられるようにすること
で、例えば、図1、図2、図3の織物顕微鏡写真のトレ
ース図に示すように、特に織物のヨコ繊維が湾曲して横
方向に自由度を持った構造が生じる。この状態のまま重
合体を付与処理することで、特にヨコ方向にストレッチ
性がある繊維シート状物が得られるのである。ちなみ
に、図1〜3は、実施例1に用いられた強撚糸織物の顕
微鏡写真のトレース図(図面上の左右方向が、織物の幅
方向)であり、図1はニードルパンチ前の該織物、図2
はニードルパンチ後の織物の状態を示し、極細繊維を除
去して撮影したものである。図3は、98℃の熱水処理
後の織物の状態を示し、極細繊維を除去して撮影したも
のである。
【0030】極細化可能型の繊維では、極細化手段とし
て、特に海島型繊維で海成分を除去する場合、該除去方
法は溶剤で抽出する方法、熱分解させる方法など種々あ
るが、一般には、溶剤で抽出する方法が簡単である。こ
の操作は、弾性体を付与する前、または後で行う。立毛
処理は、サンドペーパーを使用して起毛させる等の手段
をとるのが一般的であるが、特別には限定されない。
【0031】特に、本発明では、弾性体付与後に表面を
サンドペーパーを使用して起毛処理することによって良
好な立毛となし得るものである。かかる場合、極細繊維
と織物との強固な絡合のために耐摩耗性も極めて強く、
立毛の脱落も容易には発生しなくなる。
【0032】上記立毛シート状物を染色し、人工皮革に
仕上げる。本発明により得られるシートはJIS−10
96に基づいて測定すると、シートの引張ヨコ伸度が、
60%以上あり、織物自体の伸度よりも高い伸度をもっ
たストレッチ性に富んだものを得ることができる。引張
強力は4kgf/幅cm以上であり、特に20%伸長時
のヨコ応力が0.2kgf/mm2 以下である柔軟なシ
ートを得ることができるものである。
【0033】また、本発明の繊維立毛シート状物の断面
中間から表層の間に存在する強撚糸織物の強撚糸の撚数
は700T/m以上の撚数のものを用いるのが好まし
く、より好ましくは1000T/m以上4000T/m
以下であり、最も好適には1500T/m以上3000
T/m以下の強撚糸を使用することである。撚数が70
0T/m未満であると糸を構成する単繊維どうしのしま
りが弱いため、ニードルパンチした際、針のバーブに糸
または単繊維が引掛り、糸または単繊維が切断あるいは
損傷しやすくなる。このため織組織が破壊されることに
つながり、パンチ数増加とともに織物の強力が著しく低
下し、全体としても強力が低下することにつながり好ま
しくない。また、切断された破断端が表面に露出し外観
を損なうことにもつながる。また、撚数が大きすぎても
繊維が硬くなりすぎる場合があるため、風合い硬化防止
の点から4000T/m以下が好ましい。
【0034】使用する強撚糸の糸種としてはフィラメン
トヤーン、紡績糸、フィラメントヤーンと紡績糸の組合
糸などのいずれでもよく、特に限定されない。
【0035】強撚糸織物の目付は、150g/m2 以下
の目付を有しているのが好ましく、さらに好ましくは1
00g/m2 以下、最も好ましくは40g/m2 以上、
80g/m2 以下の範囲である。ただし、目付が20g
/m2 以下程度になると、形態が極めてルーズになり不
織布と重ねる際に、シワが発生し均一に張り合わせるこ
とが困難になる。また、目付が150g/m2 よりも大
きくなると織物組織が密になり、不織布ウェブの貫通が
不十分で不織布ウェブの高絡合化が進まず不離一体化し
た構造物を作るのが一般には困難になっていく。強撚糸
織物の種類については、平織、綾織、朱子織あるいはそ
れらの織り方を基本とした各種の変化組織の織物などに
特に限定されるものではない。
【0036】これら織物のうち、好ましいものとして
は、少なくともタテ、ヨコいずれかに強撚糸を用いたも
のがよく、特に好ましいのは、タテ糸、ヨコ糸共に強撚
糸を用いた織物である。
【0037】織物用糸使いとしては、所望の用途等によ
り適宜に変更可能であるが、30デニールから150デ
ニールが一つの目安となる。糸使いとしては細い方が均
一性の点から良いが、あまり細いとニードルのバーブと
の引っかかりが強くなり、損傷を受けやすくなる。ま
た、太すぎると針の先端が糸に当たったときに、逃げ場
がなくなり繊維の切断が起こりやすく、織物自体の風合
いも硬くなって好ましくない。強撚糸としての繊維との
一体化効果と太さとのバランスとして最も好ましい範囲
としては、50デニール〜90デニールである。強撚糸
織物の単糸繊度は、少なくとも0.8デニール以上から
なる糸を使うことが望ましい。0.8デニール未満であ
るとニードルのバーブによる引っかかりのために繊維が
切断され表面に露出するために品位の低下が起こる。
【0038】織物を構成する繊維はポリエステル、ポリ
アミドなどの合成繊維、木綿などの天然繊維など織可能
な繊維ならば使用可能である。
【0039】極細繊維と織物からなる繊維状物と弾性重
合体との重量比は、95/5ないし35/65で構成さ
れることが望ましく、さらには極細繊維ウェブに対する
織物の重量比は80%以下であることが望ましく、最も
好適には10〜50%である。極細繊維ウェブに対する
織物の重量比が80%を越えると表面に織物が露出しや
すくなる。
【0040】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を
更に詳細に説明する。
【0041】なお、物性測定は次の方法によった。
【0042】 剛軟度:JIS−L1096の6.19.3のA法 引張強伸度:JIS−L1096の6.12.1 テーバ摩耗:JIS−L1096の6.17.3摩耗減
量で測定 実施例1 島成分としてポリエチレンテレフタレート、海成分とし
てポリスチレンからなる成分比60/40、島数16、
複合デニール3d、繊維長51mmの海島型複合繊維の
原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層
ウェブを作成し、ついでプレパンチで100本/cm2
のニードルパンチを行って不織布にした。
【0043】その一方側に75d−70f、撚数200
0T/mの生糸強撚糸使いの平織物(目付50g/
2 )で、織物の織密度はタテ・ヨコそれぞれ50本/
インチである織物を均一に広げて重ねた。次に、このシ
ート上下からニードルパンチし、2500本/m2 のニ
ードルパンチング加工を行って、幅方向に10%の収縮
を生じさせ目付305g/m2 の不織布にした。強撚糸
織物はバーブによる損傷がなく、不織布ウェブと強撚糸
織物が不離一体化構造となっていた。このシートを98
℃の熱水中で幅方向にさらに10%収縮させ後、PVA
溶液を繊維成分に対して10%付与して乾燥した後、極
細繊維化し、水中でポリウレタン凝固した。
【0044】図1はニードルパンチ前の該織物で、図2
はニードルパンチ後の織物の状態を示し、極細繊維を除
去して撮影したものである。図3は、98℃の熱水処理
後の織物の状態を示し、極細繊維を除去して撮影したも
のである。結局、ニードルパンチ前の幅方向100が、
ニードルパンチ後において90にまで収縮(10%)
し、さらに、熱処理により81にまで収縮(10%)
し、ニードルパンチ前と比較して幅方向に19%収縮し
たものである。
【0045】このシートをバフ機にかけて立毛を形成さ
せた後、分散染料を用いて染色し、厚さ0.6mm、目
付210g/m2 、繊維/ウレタンの比率が60/40
のスエード調人工皮革を得た。得られた立毛シート状物
は、極細繊維と、強撚糸織物が不離一体となり、かつ柔
軟で適度なストレッチ性を持つものであった。しかも、
表1に示すように強力特性に優れ、摩耗による減量も少
なく、非衣料分野だけでなく衣料分野に好適なものであ
った。
【0046】比較例1 実施例1のプレパンチ上がり不織布に重ねる強撚糸織物
の織密度が、タテ・ヨコそれぞれ95本/インチである
織物を均一に広げて重ね、以下の加工は全て実施例1と
同様に行った。得られた立毛シートは、風合いが硬く、
低伸度、20%モジュラスも高く、衣料用途としては不
向きなものであった。
【0047】比較例2 実施例1のプレパンチ上がり不織布に強撚糸織物を重ね
ず、以下の加工は全て実施例1と同様に行った。得られ
た立毛シートは風合いは柔らかく、高伸度で、20%モ
ジュラスも低いが、強力が弱くかつ摩耗特性も劣ってい
るものであった。
【0048】比較例3 実施例1のプレパンチ上がり不織布に重ねる強撚糸が6
5d−92fの単糸デニールが細いものを使った織物を
均一に広げて重ね、以下の加工は全て実施例1と同様に
行った。得られた立毛シートは、ニードルパンチの際に
バーブによる織物損傷が大きく、強力の低下とともに表
面に織物が混在して品位の悪い外観となった。
【0049】比較例4 実施例1のプレパンチ上がり不織布に重ねる強撚糸織物
の代わりに、75dー70f、撚数300T/mのポリ
エステルタフタ織物を均一に広げて重ね、以下の加工は
全て実施例1と同様に行った。得られた立毛シートは、
ニードルパンチの際バーブによる織物損傷が大きく、強
力低下とともに表面に織物が混在して品位の悪い外観と
なった。
【0050】以上の結果をまとめて表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果が得られ
る。
【0053】強撚糸織物と極細繊維ウェブが強固に不離
一体化された不織布に幅方向に収縮、固定しておくこと
で従来全く得ることのできなかった、適度なストレッチ
性をもちながら高強力、耐摩耗性に優れた柔軟で高品位
の繊維立毛シート状物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に用いられた強撚糸織物の顕微鏡写真
のトレース図(図面上の左右方向が、織物の幅方向)で
あり、ニードルパンチ前の該織物の状態を示したもので
ある。
【図2】実施例1に用いられた強撚糸織物の顕微鏡写真
のトレース図(図面上の左右方向が、織物の幅方向)で
あり、ニードルパンチ後の織物の状態を示し、極細繊維
を除去して撮影したものである。
【図3】実施例1に用いられた強撚糸織物の顕微鏡写真
のトレース図(図面上の左右方向が、織物の幅方向)で
あり、98℃の熱水処理後の織物の状態を示し、極細繊
維を除去して撮影したものである。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極細繊維と織密度がタテ・ヨコそれぞれ2
    0〜80本/インチである強撚糸織物とが不離一体に絡
    合され、かつ弾性重合体により保持されてなり、立毛、
    染色処理された繊維立毛シート状物であって、JIS−
    1096に基づいて測定したシートの引張ヨコ伸度が6
    0%以上で、かつ、引張強力が4kgf/幅cm以上、
    20%伸長時ヨコ応力が0.2kgf/mm2 以下であ
    ることを特徴とする高い強力と柔軟な風合をもつ繊維立
    毛シート状物。
  2. 【請求項2】繊維立毛シート状物を構成する織物の織密
    度が、タテ・ヨコそれぞれ40本/インチ以上、60本
    /インチ以下であることを特徴とする請求項1記載の繊
    維立毛シート状物。
  3. 【請求項3】繊維立毛シートを構成する繊維/弾性重合
    体の重量比率が、95/5ないし35/65であること
    を特徴とする請求項1または2記載の繊維立毛シート状
    物。
  4. 【請求項4】強撚糸織物を構成する強撚糸が、少なくと
    も700T/mの撚数の強撚糸であることを特徴とする
    請求項1、2または3記載の繊維立毛シート状物。
  5. 【請求項5】強撚糸織物を構成する強撚糸が、少なくと
    も30デニールの総繊度を有するものであることを特徴
    とする請求項1、2、3または4記載の繊維立毛シート
    状物。
  6. 【請求項6】強撚糸織物を構成する強撚糸が、50デニ
    ール以上90デニール以下の総繊度を有するものである
    ことを特徴とする請求項5記載の繊維立毛シート状物。
  7. 【請求項7】強撚糸織物を構成する強撚糸が、少なくと
    も0.6デニール以上の単繊維繊度からなる糸で構成さ
    れていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5ま
    たは6記載の繊維立毛シート状物。
  8. 【請求項8】強撚糸織物が、150g/m2 以下の目付
    を有するものであることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6または7記載の繊維立毛シート状物。
  9. 【請求項9】強撚糸織物が、100g/m2 以下の目付
    を有するものであることを特徴とする請求項8記載の繊
    維立毛シート状物。
  10. 【請求項10】強撚糸織物が、40g/m2 以上、80
    g/m2 以下の目付を有するものであることを特徴とす
    る請求項8記載の繊維立毛シート状物。
  11. 【請求項11】立毛処理が、繊維立毛シート状物の表皮
    側に施されたバフィングによる立毛処理加工によるもの
    であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9または10記載の繊維立毛シート状物。
  12. 【請求項12】弾性重合体が、ポリウレタンを含むもの
    である請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
    0または11記載の繊維立毛シート状物。
  13. 【請求項13】0.8デニール以下の極細繊維ウェブも
    しくは極細繊維化が可能なウェブを、強撚糸織物と重ね
    てニードルパンチし、熱水または温水中で収縮処理また
    は乾熱処理を行って、該熱水または温水中での収縮処理
    または乾熱処理後の強撚糸織物がニードルパンチ前に比
    べて幅方向で5%以上の収縮率を示すように収縮せしめ
    た後、弾性重合体を付与することを特徴とする繊維立毛
    シート状物の製造方法。
  14. 【請求項14】熱水または温水中で収縮処理または乾熱
    処理後における強撚糸織物がニードルパンチ前と比べて
    幅方向で10%以上の収縮をさせることを特徴とする請
    求項13記載の繊維立毛シート状物の製造方法。
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