JP6611539B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法等の記録方法に使用されるトナーに関する。
近年、電子写真装置は、省エネルギー化を達成するために、トナーの低温定着性能のさらなる向上が求められている。そして、トナーの構成材料として、低温定着性と保存性を両立可能な、結晶性ポリエステルに代表される結晶性樹脂が着目されている。結晶性樹脂は、融点を有し、その融点において急速に溶融すると共に、他の樹脂を可塑化させることで、低温定着性の大幅な改善が見込まれる。
例えば特許文献1では、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸及びそれら無水物の少なくとも1種を酸成分として用いて合成した非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを含有するトナーが提案されている。
当該文献には、結晶性ポリエステル樹脂として脂肪族結晶性ポリエステル樹脂を用い、これに長鎖アルキル基やアルケニル基を有する分子量の異なる非晶性ポリエステル樹脂を併用することで、トナー溶融時の微小溶融ムラの発生が抑制され、定着の際に熱量変動が生じても、高画像濃度領域でもオフセット等の定着不良や画像光沢度ムラを生じることがなく、高画質なカラー画像が得られると記載されている。
一方で、結晶性樹脂は、トナー中での分散が不十分になりやすく、分散径が大きくなったり、他材料も含めて組成が不均一になったりし、結果、帯電分布のブロード化を引き起こしやすい。そして、画像の余白部にトナーが現像される「かぶり」が発生し易くなる傾向があり、改善の余地がある。
結晶性ポリエステル樹脂の分散性を改善させる技術としては、例えば特許文献2では、結着樹脂として結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを含み、脂肪酸アミドを表面に担持するシリカ粒子が内添されているトナーが提案されている。
当該文献には、脂肪酸アミドを表面に担持するシリカ粒子を核として、トナー粒子中の結晶性ポリエステルの均一な結晶化が可能となり、トナーの保存安定性の低下を防止することができ、トナー粒子の凝集が発生するのを防止することができると記載されている。しかしながら、無機粒子であるシリカ粒子を添加することにより、造粘効果が生じる可能性がある。従って低温定着性の観点で、無機粒子に頼らず、結晶性ポリエステルの分散性を向上させる必要がある。
また、特許文献3では、結晶性樹脂、非晶質樹脂及び着色剤を含む原料と、該原料由来の体積中位粒径(D50)が0.5〜8μm粉体とを含むトナー組成物を用いて、溶融混練工程を行い、その後、冷却工程、粉砕工程、分級工程及び表面処理工程を経ることによって得られるトナーが提案されている。
当該文献によると、耐久性と低温定着性が良好なトナーが得られているが、実質的には複数回混錬が必要であり、生産性等を考慮すると、改良の余地が残っている。
特許第4858165号公報 特開2010−26185号公報 特開2006−258963号公報
本発明の目的は、結晶性樹脂を用いるトナーにおいて、トナー中での結晶性樹脂の分散性が良好で、低温定着性に優れ、かつかぶりを抑制できるトナーを提供することである。
本発明は、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する樹脂A、及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結晶性樹脂のSP値(cal/cm1/2が、9.00以上12.00以下であり、
該トナーを200℃で10分間加熱した際に揮発する成分のGC/MS分析において、炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量が、トルエン換算で、質量を基準として、90ppm以上260ppm以下であり、
該樹脂Aは、ポリエステル部位とビニル系重合体部位とが化学的に結合しているハイブ
リッド樹脂であることを特徴とするトナーに関する。
本発明によれば、結晶性樹脂を用いるトナーにおいて、トナー中での結晶性樹脂の分散性が良好で、低温定着性に優れ、かつかぶりを抑制できるトナーを提供することが可能となる。
本発明のトナーは、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する樹脂A、及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結晶性樹脂のSP値(cal/cm1/2が、9.00以上12.00以下であり、
該トナーを200℃で10分間加熱した際に揮発する成分のGC/MS分析(ガスクロマトグラフ質量分析)において、炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量が、トルエン換算で、質量を基準として、90ppm以上260ppm以下であることを特徴とする。
[樹脂A]
本発明者等は、低温定着性に優れるトナー材料構成について鋭意検討した。
その結果、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する非晶質樹脂を用い、さらに定着改良助剤として結晶性樹脂を用いることで、飛躍的に定着性を向上させることができることを見出した。
樹脂Aは、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する樹脂であり、結晶部位又は低軟化成分を有する樹脂である。
この結晶部位又は低軟化成分を起点に、樹脂A全体が溶融及び可塑化されることで、より低温で樹脂Aが軟化し、低温定着性が良化する。
樹脂Aにおいて、保存性と低温定着性の両立を達成するため、長鎖アルキル基の炭素数の平均値は27以上50以下であり、好ましくは30以上40以下である。
また、保存安定性の低下を抑えつつ、長鎖アルキル基による低温定着性への効果を効率的に得る為に、樹脂Aは、樹脂Aの質量を基準として、長鎖アルキル基を、2.5〜10.0質量%有していることが好ましく、より好ましくは3.5〜7.5質量%である。
本発明における、長鎖アルキル基の炭素数の平均値(平均炭素鎖長)は以下の方法で求められる。
長鎖アルキル成分の炭素数分布は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。サンプルとしては、樹脂Aを用いる。サンプル10mgを精秤しサンプルビンに入れる。このサンプルビンに精秤した10gのヘキサンを加えてフタをした後、ホットプレートで温度150℃に加温して混合する。その後、長鎖アルキル成分が析出
してこないようすばやくガスクロマトグラフィーの注入口へこのサンプルを注入して分析を行い、横軸を炭素数、縦軸をシグナルの強度とするチャートを得る。次いで、得られたチャートにおいて、検出された全ピークのトータルの面積に対する各炭素数成分のピークの面積の割合を算出し、これを各炭化水素化合物の存在比率(面積%)とする。そして、横軸に炭素数、縦軸に炭化水素化合物の存在比率(面積%)を取り、炭素数分布チャートを作成する。
本発明における平均炭素鎖長とは、炭素数分布チャートのピークトップの炭素鎖長のことを示す。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC:HP社 6890GC
カラム:ULTRA ALLOY−1 P/N:UA1−30m−0.5F (フロンティア・ラボ社製)
キャリアーガス:He
オーブン:(1)温度100℃で5分ホールド、(2)30℃/分で温度360℃まで昇温、(3)温度360℃で60分ホールド
注入口:温度300℃
初期圧力:10.523 psi
スプリット比:50:1
カラム流量:1mL/min
本発明ではさらに定着改良助剤として結晶性樹脂を用いることで、相乗的に低温定着性を向上させることが可能となる。即ち、結晶性樹脂は、融点を有し、その融点において急速に溶融すると共に、他の樹脂成分を可塑化させることで、低温定着性を大幅に改善することができる。
ここで、結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
このように、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する樹脂と、結晶性樹脂を共用することで、相乗効果により低温定着性を改善することができる。
しかしながら、前述の通り、結晶性樹脂を用いる場合、その分散性を改善する必要がある。
本発明者等は、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する樹脂と、結晶性樹脂を用いるトナー構成において、結晶性樹脂の分散性を向上させるべく鋭意検討を行った。
その結果、結晶性樹脂のSP値と、トナー中に存在する飽和炭化水素の量を一定量に制御することで、結晶性樹脂の分散性を改善できることを見出した。
即ち、
(i)結晶性樹脂は、溶解度パラメータ SP値(cal/cm1/2が9.00以上12.00以下である、
(ii)トナーを200℃で10分間加熱した際に揮発する成分のGC/MS分析において、炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量(以下、飽和炭化水素量ともいう)が、トルエン換算で、質量を基準として、90ppm以上260ppm以下である、ことが必要である。
上記構成にすることで、結晶性樹脂の分散性が向上するメカニズムの詳細は不明だが、炭素数30以上37以下の飽和炭化水素をトナー中に一定量有することで、SP値(cal/cm1/2が9.00以上12.00以下の結晶性樹脂と相互作用し、結晶性樹脂に対して分散剤として作用するものと考えられる。その結果、結晶性樹脂の分散性が向上し、帯電性が均一となり、かぶりの発生を抑制できるトナーを得ることが可能となる。
該飽和炭化水素の揮発成分量が、90ppm未満の場合は、分散性を改善する効果が得
られにくく、260ppmを超過すると、分散効果が適正に作用せず、適正な分散状態を維持することが困難になりやすい。該飽和炭化水素の揮発成分量は、100ppm以上240ppm以下であることが好ましい。
また、結晶性樹脂として、溶解度パラメータ SP値(cal/cm1/2が9.00未満又は12.00超過の結晶性樹脂を用いた場合、炭素数30以上37以下の飽和炭化水素との親和性が低くなり、分散効果が十分に得られにくい。
このように、結晶性樹脂の分散を良化させる為に、結晶性樹脂の適正なSP値と、トナー中に存在する飽和炭化水素の適正量を見出したことが本発明の特徴である。
本発明において、トナー中に存在する炭素数30以上37以下の飽和炭化水素量は、トナーを200℃で10分間加熱した際に揮発する成分のGC/MS分析において測定される。
200℃で10分間加熱することで、トナー中に存在する、炭素数30以上37以下の飽和炭化水素量をより精度良く検出することができる為好ましい。
具体的な測定方法を以下に示す。
<加熱脱着装置を用いた炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量(飽和炭化水素量)の測定>
本発明における炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量は以下の方法で測定する。なお、加熱脱着は、ATD(Auto Thermal Desorption)法によって行われる。測定装置としては以下の測定装置を用いる。
加熱脱着装置:TurboMatrixATD(パーキンエルマー社製)
GC/MS :TRACE DSQ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)
(内部標準物質入りガラスチューブの作製)
あらかじめ10mgのTenaxTA吸着剤をガラスウールで挟んだ加熱脱着装置用のガラスチューブを作製し、不活性雰囲気ガスを流した状態下で、温度300℃、3時間コンディショニングを行ったものを用意する。その後、トルエン100ppm(体積基準)のメタノール溶液5μLをTenaxTAに吸着させ、内部標準物質入りガラスチューブとする。なお、本発明においては、トルエンを内部標準物質として用いた。本発明における揮発成分量はすべてトルエンによる換算値を示す。なお、揮発成分量の換算方法については後述する。
(トナーの測定)
秤量したトナー約1mgをあらかじめ温度300℃で焼き出ししたガラスウールに包み、上記「内部標準物質入りガラスチューブの作製」で準備した専用チューブに入れる。このサンプルを加熱脱着装置用のテフロン(登録商標)のキャップでフタをし、加熱脱着装置へセットする。このサンプルを下記条件で測定し、内部標準物質の揮発成分によるリテンションタイムとピーク面積、及び内部標準物質の揮発成分によるピークを除いた炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の全ピーク面積を算出する。
(加熱脱着装置条件)
チューブ温度:200℃
トランスファー温度:300℃
バルブ温度:300℃
カラム圧力:150kPa
入口スプリット:25ml/min.
出口スプリット:10ml/min.
2次吸着管材質:TenaxTA
保持時間:10min.
脱着時2次吸着管温度:−30℃
2次吸着管脱着温度:300℃
(GC/MS条件)
カラム:ウルトラアロイ(金属製カラム)UT−5(内径0.25mm、液相0.25μm、長さ30m)
カラム昇温条件:60℃(保持時間3分)、60℃から350℃まで昇温(昇温速度20.0℃/min)、350℃(保持時間10分)
なお、加熱脱着装置のトランスファーラインとGCカラムは直結させ、GC注入口は使用しない。
(解析)
上記操作で得られたピークのうち、内部標準物質であるトルエンのピークを除いた炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の全ピーク面積を算出する。そして、下記式よりトナー中の炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量を算出する。この際、ピークとは異なるノイズピーク等を積分値に加えないよう注意する。
トナー中の炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量(ppm)
=〔(a1/b1)×{(100×5/10)×d1}/c1〕×10
a1・・・炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の全ピーク面積
b1・・・トルエン(内部標準物質)のピーク面積
c1・・・秤量したトナーの質量(mg)
d1・・・トルエン(内部標準物質)の密度
本発明において、トナー中に存在する炭素数30以上37以下の飽和炭化水素量を制御する方法としては、特に制限は無いが、長鎖アルキル基を有する樹脂Aを製造する際の製造方法を制御する方法が挙げられる。
この長鎖アルキル基とは、脂肪族炭化水素から水素原子が失われて生ずる1価の基を表し、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する樹脂Aとは、樹脂中に炭素数の平均値が27以上50以下の脂肪族炭化水素部位が組み込まれた樹脂であることを示す。
長鎖アルキル基を樹脂中へ組み込むには、各種方法があるが、脂肪族炭化水素の一部を反応性の置換基(例えば、OH基、カルボキシ基)で変性して、長鎖アルキルモノマーを生成し、それを樹脂Aに存在するその他の反応部位と化学的に反応させることにより樹脂A中に組み込むことができる。
この脂肪族炭化水素の変性反応においては、未変性の脂肪族炭化水素成分が残存する。この未変性成分の量が、炭素数30以上37以下の飽和炭化水素成分の量と相関する為、この変性率を制御することで、トナー中に存在する飽和炭化水素量を制御することが可能となる。本発明においては、樹脂Aが飽和炭化水素を含有するものであっても良く、飽和炭化水素を別途、添加しても良い。
つまり、長鎖アルキル成分の変性率を制御することで、トナー中の飽和炭化水素成分を本発明の範囲内に制御することができる。
従来、長鎖アルキル基を有する樹脂を得ようとする場合、長鎖アルキルの該変性率が50%〜70%程度と低く、多数の未変性の脂肪族炭化水素成分が樹脂中に存在していた。その結果、従来の変性率が低い長鎖アルキルモノマーを用いた場合、トナー中における炭素数30以上37以下の量が260ppmを超えやすかった。
本発明者等は鋭意検討した結果、脂肪族炭化水素を変性反応させる際の変性率を高めることで、トナー中における炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の量を制御することが可能となった。具体的には反応条件の最適化や、変性反応後に精製作業を行うことで、未変性の脂肪族炭化水素成分量を調整し、本発明の範囲に制御した。
本発明において、長鎖アルキル成分の変性率は、76〜99%が好ましく、80〜98%がより好ましい。尚、本発明における変性率とは、長鎖アルキル成分の分子数に対する、変性によって導入された官能基の割合のことであり、長鎖アルキル成分の分子数と導入された官能基の数が同じであれば、100%となる。長鎖アルキル成分の分子数は、平均
炭素数を用いて算出され、導入された官能基の数は、水酸基価や酸価を測定することにより求めることができる。
本発明にかかる樹脂Aは、ポリエステル系樹脂であることが好ましく、また、樹脂Aが有する長鎖アルキル基は、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸及び炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一方が該ポリエステル部位の末端に縮合することにより形成されたものであることがより好ましい。
本発明においてポリエステル系樹脂とは、樹脂Aの構成成分中の50質量%以上がポリエステル樹脂又はポリエステル部位で構成されている樹脂を表す。
樹脂Aとしてポリエステル系樹脂を用いることで、低温定着性が環境によらず良好になる。また、該長鎖アルキル基を生成するための長鎖アルキルモノマーとして、長鎖アルキルアルコール及び/又は長鎖アルキルカルボン酸を用い、これをポリエステル系樹脂成分中へエステル化反応にて組み込むことが可能となる。エステル化反応を用いて長鎖アルキル基を樹脂中に導入することで、該樹脂が均一に長鎖アルキル成分を有するようにできるため好ましい。
さらに、本発明においては、該長鎖アルキル基を生成する長鎖アルキルモノマーとして、2級のモノアルコールを主成分として含有することが好ましい。
長鎖アルキルモノマーとして、長鎖アルキルモノアルコール成分を用いることで変性率をより制御しやすくなる為好ましい。
また、長鎖アルキルモノアルコールとして、2級アルコールを主成分として用いることで、長鎖アルキル成分が樹脂A中で折りたたみ構造を取りやすくなる。その結果、立体障害等が抑制され、長鎖アルキル成分がポリエステル系樹脂組成物中でより均一に存在しやすくなり、より保存安定性が向上する為好ましい。
長鎖アルキルモノアルコールを得る方法としては、例えば、炭素数が27以上50以下の脂肪族炭化水素を、硼酸、無水硼酸、又はメタ硼酸のような触媒の存在下に分子状酸素含有ガスで液相酸化することによりアルコール変性品を得る方法が挙げられる。
使用される触媒添加量は、原料脂肪族炭化水素1molに対して0.01〜0.5molが好ましい。反応系に吹き込む分子状酸素含有ガスとしては、酸素、空気又はそれらを不活性ガスで希釈した広範囲のものが使用可能であるが、酸素濃度3〜20%が好ましい。また、反応温度は、100〜200℃である。
また、変性率を適正に制御する為に反応条件の最適化や、変性反応後に非極性溶媒を用い精製作業を行うことで、未変性の脂肪族炭化水素成分量を調整し、本発明の範囲に制御することができる。
樹脂Aがポリエステル系樹脂の場合、長鎖アルキルモノマーは、ポリエステル樹脂を構成する他のモノマーと同時に添加し、縮重合を行うことが好ましい。これによって、ポリエステル樹脂内に、十分に長鎖アルキルモノマーを導入することができる。その結果、ポリエステル系樹脂の溶融がより促進され、低温定着性がより向上する為好ましい。
また、樹脂Aは、ポリエステル部位とビニル系重合体部位とが化学的に結合したハイブリッド樹脂であることが好ましい。ビニル系重合体部位はビニル系共重合体部位であることが好ましい。
ハイブリッド樹脂にすることで、高温高湿環境においても安定的な帯電性が得られ、画像濃度がより安定する為好ましい。
また、ポリエステル部位とビニル系重合体部位の質量比(ポリエステル部位/ビニル系重合体部位)が50/50〜90/10であることが好ましく、60/40〜80/20
であることがより好ましい。上記範囲にすることで、上記ハイブリッド樹脂にするメリットを得つつ、環境によらず安定的な低温定着性が得られやすく好ましい。
本発明にかかる樹脂Aに用いられるポリエステル樹脂又は上記ハイブリッド樹脂のポリエステル部位を構成するポリエステル系モノマーとしては以下の化合物が挙げられる。 アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、下記(1)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(2)式で示されるジオール類。
Figure 0006611539
(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は2〜10である。)
Figure 0006611539
上記(1)式で表されるビスフェノール誘導体を用いる場合、本発明においては、エチレンオキサイド付加体(EO)とプロピレンオキサイド(PO)付加体のモル比(EO:PO)が40:60〜60:40であることが好ましい。EO:POの比を該範囲に制御することで、長鎖アルキル成分が樹脂中へより均一に分散し、保存安定性が良好になる為好ましい。
酸成分としては、以下のものが挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6以上18以下のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物。
また本発明にかかるポリエステル樹脂又はポリエステル部位は、三価以上の多価カルボン酸若しくはその無水物及び/又は三価以上の多価アルコールによる架橋構造を含むポリエステル樹脂であることが好ましい。三価以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル。三価以上の多価アルコールとしては、以下のものが挙げられる。1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール。本発明の樹脂Aにおいては、環境変動による安
定性も高い芳香族カルボン酸が特に好ましく、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物が挙げられる。
本発明にかかる樹脂Aに用いられるビニル系樹脂又はハイブリッド樹脂のビニル系重合体部位を構成するビニル系モノマーとしては、次の化合物が挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのようなスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルのようなビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンのようなN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸又はメタクリル酸誘導体。
さらに、以下のものが挙げられる。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸のような不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物のような不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルのような不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸のような不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸のようなα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物のようなα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルのようなカルボキシル基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンのようなヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明のトナーにおいて、樹脂Aに用いられるビニル系樹脂又はビニル系重合体部位は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
芳香族ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類[ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの];ポリエステル型ジアクリレート化合物類(日本化薬社製「MANDA」)。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤は、ビニル系モノマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10.00質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上5.00質量部以下用いることができる。
これらの架橋剤のうち、定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
上記ビニル系樹脂又はビニル系重合体部位の重合に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドのようなケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、ter
t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート。
本発明において、樹脂Aに前記したハイブリッド樹脂を用いる場合には、ビニル系重合体部位及び/又はポリエステル部位中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分(以下、両反応性モノマーともいう)を含むことが好ましい。ポリエステル部位を構成するモノマーのうちビニル系重合体部位と反応し得るものとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。ビニル系重合体部位を構成するモノマーのうちポリエステル部位と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸、又はそれらのエステル類が挙げられる。
ビニル系重合体部位とポリエステル部位とを化学的に結合させる方法としては、前記両反応性モノマーを含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
なお、これらの両反応性モノマーは、ハイブリッド樹脂において、モノマーの含有量を議論する際には、ポリエステル部位を構成するモノマーとする。これは、縮重合反応、または付加重合反応のどちらを先に行った場合においても、両反応性モノマーは、より縮重合系樹脂(ポリエステル部位)の物性に大きく影響するためである。
また、上記のような樹脂Aを単独で使用してもよいが、他の樹脂と併用しても構わない。複数の樹脂を併用する場合、トナー粒子中の樹脂の50質量%以上100質量%以下が、炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する樹脂Aであることが好ましい。即ち、樹脂Aが、結着樹脂の主成分であることが好ましい。
樹脂を併用する際の組み合わせとしては、軟化点の異なる2種類の樹脂(高軟化点樹脂(H)と低軟化点樹脂(L))を用いることが好ましい。この場合、高軟化点樹脂(H)は、軟化点が100℃以上170℃以下であることが好ましく、低軟化点樹脂(L)は軟化点が70℃以上100℃未満であることが好ましい。
樹脂Aの1種類を単独で使用する場合、軟化点Tmは90℃以上170℃以下が好ましい。さらに好ましくは100℃以上130℃以下である。Tmが上記の範囲内であれば、耐高温オフセット性と低温定着性のバランスが良好となる。
なお、軟化点は、以下のようにして測定される。樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度Tmである。
測定試料は、約1.0gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、
NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、保存安定性の観点から45℃以上であることが好ましい。また、低温定着性の観点から、Tgは75℃以下であることが好ましく、65℃以下であることが特に好ましい。
樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計「Q2000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて、常温常湿下で測定する。測定試料として、樹脂A約3mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
[結晶性樹脂]
本発明において用いられる結晶性樹脂は、溶解度パラメータ SP値(cal/cm1/2が9.00以上12.00以下であり、好ましくは9.5以上11.0以下である。SP値が上記範囲を満たせば特に制限は無いが、結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。なお、SP値は用いるモノマーの種類や含有量を選択することによって制御することができる。モノマーのSP値はモノマーの極性が高いほど高い傾向にある。SP値を大きくするためには、例えば、SP値の高いモノマーの使用量を多くすればよい。一方、SP値を小さくするためには、例えば、SP値の低いモノマーの使用量を多くすればよい。
本発明におけるSP値とは、「接着(40巻8号(1996)p342−350;高分子刊行会発行)」において、沖津俊直(おきつとしなお)によって示された、下記式(1)により算出される溶解性パラメータδである。
δ=ΣΔF/ΣΔv (1)
式(1)中、ΔFは、各原子団のモル引力定数を表し、Δvは、各原子団のモル容積(1モル当りの容積)を表し、それぞれ具体的な値は下表に示すとおりである。
また、混合物(混合溶剤等)のSP値を計算する場合には、各成分の溶解性パラメータとモル分率の積を計算し、その総和で求めることができる。具体的には式(2)によって算出される。
δmix=φδ+φδ+・・・+φδ (2)
式(2)中、φはn番目の成分のモル分率であり、δはn番目の成分の溶解性パラメータであり、φ+φ+・・・+φ=1である。
Figure 0006611539
例えば、ヘプタンのSP値は以下のように求める。
ヘプタンは、原子団として、−CHを2個、−CH−を5個有する。表に記載された各原子団の値に基づいて、ΣΔF、ΣΔvを計算すると以下のようになる。
ΣΔF=205×2+132×5=1070
ΣΔv=31.8×2+16.5×5=146.1
従って、上記式(1)よりヘプタンのSP値は、以下のように算出される。
ΣΔF/ΣΔv=1070/146.1=7.32
本発明にかかる結晶性樹脂は、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを有するものであれば、特に制限は無いが、低温定着性の観点から、DSCにより測定した結晶性樹脂の最大吸熱ピークのピーク温度は50.0℃以上100.0℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以上90℃以下である。該最大吸熱ピークのピーク温度は、使用するモノマーの種類により制御することができる。
結晶性樹脂として結晶性ポリエステル系樹脂を用いる場合、樹脂の原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、低温定着性及び耐熱安定性の観点から、炭素数6以上18以下の脂肪
族ジオールが好ましく、より好ましくは炭素数8以上14以下である。
上記脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80mol%以上100mol%以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していてもよい。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等を含むビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらにこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
これらの中でも結晶性を高める観点から、炭素数6以上18以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を用いることが好ましく、より好ましくは炭素数6以上10以下である。
上記脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中に80mol%以上100mol%以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためのカルボン酸成分としては、上記脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していてもよい。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステルが好ましく挙げられる。該アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の誘導体が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは7,000以上100,000以下、好ましくは8,000以上45,000以下であることが好ましい。
上記範囲にすることで、昇華性を抑えつつ低温定着性を良好にすることが可能になる為好ましい。
本発明において、結晶性樹脂の含有量は、トナー中に含有される結晶性樹脂以外の樹脂(所謂、結着樹脂)100質量部に対して1.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.5質量部以上7.5質量部以下である。
結晶性樹脂の含有量が上記の範囲内であれば、低温定着性と保存安定性との両立を良好に達成できる。
本発明のトナー粒子の製法は特に限定されず、樹脂成分並びに必要に応じて、着色剤、
離型剤及び電荷制御剤等のトナー構成材料を均一混合した後に溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粉砕、分級し、流動性改質剤等をヘンシェルミキサー等の混合機を用いて十分混合し本発明の現像剤を得る、いわゆる粉砕法を用いることができる。
また他の手法として、乳化重合法や懸濁重合法などのいわゆる重合法によりトナー粒子を製造することができる。
少なくとも、溶融混錬工程及び粉砕工程を経て得られるトナー粒子を製造する方法としては、以下の方法を用いることができる。樹脂成分並びに必要に応じてワックス、着色剤、荷電制御剤、及びその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株));スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
また、本発明のトナーは、磁性1成分トナー、非磁性1成分トナー、非磁性2成分トナーのいずれのトナーとしても使用できる。
磁性1成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性1成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、又は、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
非磁性1成分トナー、及び非磁性2成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48:2、48:3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57:1、58,60,63,64,68,81,81:1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用する。
また、本発明のトナーは、トナーに良好な離型性を与えるために、離型剤(ワックス)を含有することが好ましい。ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種又は二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。例としては次のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パル
ミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合し、又は低気圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したワックス。
脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、以下のものが挙げられる。金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンのようなアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素。具体的には、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
上記の中でも、離型効果を効率的に得る為に、離型剤の吸熱ピークのピーク温度が100℃以上の離型剤を含有することがより好ましい。
また離型剤を添加するタイミングは、粉砕法でトナーを作製する場合においては、溶融混練時に添加してもよいが、トナー用樹脂の製造時であってもよい。また、これらの離型剤は単独で使用しても併用してもよい。離型剤は、トナー中に含有される結晶性樹脂以外の結着樹脂(トナー中に含有される結晶性樹脂以外の樹脂成分)100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
本発明のトナーには、その摩擦帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることが
できる。電荷制御剤は、その種類や他のトナー粒子構成材料の物性によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂((トナー中に含有される結晶性樹脂以外の樹脂成分)100質量部当たり0.1質量部以上10.0質量部以下含まれることが好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下含まれることがより好ましい。このような電荷制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩。その他にも、トナーを負帯電性に制御するものとしては、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体が挙げられる。この中でも特に、安定な帯電性能が得られる芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体又は金属塩が好ましく用いられる。
トナーを正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体;ホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等);高級脂肪酸の金属塩。本発明ではこれらの一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。トナーを正帯電性に制御するものとしては、これらの中でもニグロシン系化合物、四級アンモニウム塩等の電荷制御剤が特に好ましく用いられる。
使用できる具体的な例としては、以下のものが挙げられる。Spilon BlackTRH、T−77、T−95、TN−105(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)S−34、S−44、E−84、E−88(オリエント化学工業株式会社)。正帯電用としては以下のものが挙げられる。TP−302、TP−415(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学工業株式会社);コピーブルーPR(クラリアント社)。
また、電荷制御樹脂も用いることができ、上述の電荷制御剤と併用することもできる。
本発明のトナーは、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、耐久現像性、流動性、耐久性向上のために、シリカ微粉末をトナー粒子に外添することが好ましい。シリカ微粉末は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m/g以上であることが好ましく、50〜400m
gであることがさらに好ましい。また、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粉体を0.01質量部以上8.00質量部以下用いることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下用いることがより好ましい。シリカ微粉末のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉末の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
シリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
さらに本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加してもよい。このような外部添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
本発明に係る物性の測定方法を以下に示す。
<結晶性樹脂の示差走査熱量計による最大吸熱ピークのピーク温度の測定>
結晶性樹脂の最大吸熱ピークのピーク温度の測定は、示差走査型熱量計「Q2000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと合亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、測定試料約2mgを精密に秤量し、これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いて、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで、速度10℃/minで降温し、その後に再度昇温を行う。この2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大の吸熱ピークのピークトップの温度を最大吸熱ピークのピーク温度とする。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<長鎖アルキルモノマー組成物(a−1)の製造例>
平均炭素数35の脂肪族炭化水素1200gをガラス製の円筒型反応容器に入れ、硼酸38.5gを温度140℃で添加し、直ちに空気50容量%と窒素50容量%の酸素濃度約10容量%の混合ガスを毎分20リットルの割合で吹き込み、200℃で3.0時間反応させた。その後、反応液に温水を加え、95℃で2時間加水分解を行った。静置後、液の上層に存在する反応物を得た。得られた反応物20質量部をn−ヘキサン100質量部に加え、未変性成分を溶解除去し、長鎖アルキルモノマー組成物(a−1)を得た。得られた長鎖アルキルモノマー組成物(a−1)の諸物性を表2に示す。
<長鎖アルキルモノマー組成物(a−2)の製造例>
平均炭素数が35であり、末端にカルボキシ基を有する長鎖アルキルモノカルボン酸20質量部をn−ヘキサン100質量部に加え、未変性成分を溶解除去させた長鎖アルキルモノマー組成物(a−2)を得た。得られた長鎖アルキルモノマー組成物(a−2)の諸物性を表2に示す。
<長鎖アルキルモノマー組成物(a−3)の製造例>
長鎖アルキルモノマー組成物(a−1)の製造例において、n−ヘキサンによる精製条件(抽出時間)を変更した以外は同様にして、長鎖アルキルモノマー組成物(a−3)を得た。得られた長鎖アルキルモノマー組成物(a−3)の諸物性を表2に示す。
<長鎖アルキルモノマー組成物(a−4)〜(a−7)、(a−9)〜(a−12)の製造例>
表2に記載のモノマーを用い、長鎖アルキルモノマー組成物(a−1)製造例のn−ヘキサンによる精製条件(抽出時間)を適宜変更し、未変性成分の量を調整し、長鎖アルキルモノマー組成物(a−4)〜(a−7)、(a−9)〜(a−12)を得た。得られた、長鎖アルキルモノマーの諸物性を表2に示す。
<長鎖アルキルモノマー組成物(a−8)の製造例>
平均炭素数30の脂肪族炭化水素1200gをガラス製の円筒型反応容器に入れ、硼酸38.5gを温度140℃で添加し、直ちに空気50容量%と窒素50容量%の酸素濃度約10容量%の混合ガスを毎分20リットルの割合で吹き込み、170℃で2.5時間反応させた後、反応液に温水を加え、95℃で2時間加水分解を行い、長鎖アルキルモノマー組成物(a−8)を得た。得られた長鎖アルキルモノマー組成物(a−8)の諸物性を表2に示す。
Figure 0006611539
<トナー用樹脂(A−1)の製造例>
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 50.0mol部・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.3mol付加) 50.0mol部・テレフタル酸 60.0mol部・無水トリメリット酸 20.0mol部・アクリル酸 10.0mol部
上記ポリエステルモノマーに加えて、長鎖アルキルモノマー組成物(a−1)をトナー用樹脂(A−1)全体に対して5.0質量%になるように添加した混合物70質量部を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で攪拌する。そこに、ビニル重合体部位を構成するビニル系重合モノマー(スチレン:60.0mol部、アクリル酸−2−エチルヘキシル:40.0mol部)30質量部と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.0mol部を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。そして、160℃で5時間反応した後、230℃に昇温してテトライソブチルチタネートを0.05質量%添加し、所望の粘度となるように反応時間を調節した。
反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して、ハイブリッド樹脂であるトナー用樹脂(A−1)を得た。得られた樹脂(A−1)の諸物性を表3に示す。
<トナー用樹脂(A−2)〜(A−5)、(A−7)、(A−8)、(A−11)、(A−12)の製造例>
表3に記載のモノマー処方に変更した以外は、トナー用樹脂(A−1)の製造例と同様にして、トナー用樹脂(A−2)〜(A−5)、(A−7)、(A−8)、(A−11)、(A−12)を得た。得られたトナー用樹脂の諸物性を表3に示す。
<トナー用樹脂(A−6)の製造例>
表3に記載のモノマーを、モノマー総量に対して0.05質量%のテトライソブチルチタネートとともに5リットルオートクレーブに仕込み、還流冷却器、水分分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内に窒素ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整した。その後、長鎖アルキルモノマー組成物をトナー用樹脂(A−6)に対して所定量になるように添加し、減圧下で200℃に昇温し、所望の粘度となるように反応時間を調節した。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕してトナー用樹脂(A−6)を得た。得られたトナー用樹脂の諸物性を表3に示す。
<トナー用樹脂(A−9)、(A−10)、(A−13)、(A−14)の製造例>
表3に記載のモノマー処方に変更した以外は、トナー用樹脂(A−6)の製造例と同様にして、トナー用樹脂(A−9)、(A−10)、(A−13)、(A−14)を得た。得られたトナー用樹脂の諸物性を表3に示す。
<トナー用樹脂(A−15)の製造例>
・ビスフェールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 50.0mol部・ビスフェールAプロピレンオキサイド付加物(2.3mol付加) 50.0mol部・テレフタル酸 60.0mol部・無水トリメリット酸 20.0mol部・アクリル酸 10.0mol部
上記ポリエステルモノマー70質量部を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び攪拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で攪拌する。そこに、ビニル重合体部位を構成するビニル系重合モノマー(スチレン:60.0mol部、アクリル酸−2−エチルヘキシル:40.0mol部)30質量部と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.0mol部を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。そして、160℃で5時間反応した後、230℃に昇温してテトライソブチルチタネートを0.05質量%添加し、所望の粘度となるように反応時間を調節した。
反応終了後、長鎖アルキル成分として、パラコール5070( 日本精蝋(株))を樹脂に対して、2%添加し撹拌した。撹拌終了後容器から取り出し、冷却、粉砕してハイブリッド樹脂である樹脂(A−15)を得た。得られた樹脂(A−15)の諸物性を表3に
示す。
<トナー用樹脂(A−16)の製造例>
表3に記載の処方に変更した以外では、トナー用樹脂(A−6)の製造例と同様にして、トナー用樹脂(A−16)を得た。得られたトナー用樹脂(A−16)の諸物性を表3に示す。
Figure 0006611539
<結晶性樹脂(B−1)の製造例>
・1,12−ドデカンジオール 100.0mol部
・セバシン酸 100.0mol部
上記モノマー総量に対して、0.2質量%のテトライソブチルチタネート1.0質量%を窒素導入管、脱水管、攪拌装置及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、180℃で4時間反応させた後、10℃/1時間の昇温速度で210℃まで昇温、210℃で8時間保持した後、8.3kPaにて1時間反応させることにより、結晶性樹脂(B−1)を得た。
得られた結晶性樹脂(B−1)のSP値(cal/cm1/2及びDSC測定による吸熱ピーク温度を表4に示す。
<結晶性樹脂(B−2)〜(B−8)の製造例>
表4に記載のモノマー処方に変更した以外は、結晶性樹脂(B−1)の製造例と同様にして、結晶性ポリエステル樹脂(B−2)〜(B−8)を得た。これらの樹脂の諸物性を表4に示す。
Figure 0006611539
<実施例1>
・トナー用樹脂(A−1) 55質量部
・トナー用樹脂(A−16) 45質量部
・結晶性樹脂(B−1) 2.5質量部
・磁性酸化鉄粒子 60質量部
(平均粒径0.13μm、Hc=11.5kA/m、σs=88Am/kg、σr=14Am/kg)
・離型剤 フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製、C105、融点105℃)
2質量部
・荷電制御剤 (T−77:保土ヶ谷化学社製) 2質量部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.0μmの負帯電性のトナー粒子を得た。
トナー粒子100質量部に対し、疎水性シリカ微粉体1[BET比表面積150m/g、疎水化処理前のシリカ微粉体100部に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部及びジメチルシリコーンオイル10部で疎水化処理]を1.0質量部とチタン酸ストロンチウム微粉体(D50:1.0μm)0.6質量部をヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製FM−75型)で混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー(T−1)を得た。
トナー(T−1)に関して、加熱脱着装置を用いた炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量の測定を行った、結果を表5に示す。また、トナー(T−1)に対して以下の評価を行った。
<保存性評価試験>
トナー10gを50mlのプラスチック製カップに計りとり、55℃の恒温槽に3日間放置した。放置後のトナーを目視で観察し、以下の基準でブロッキング性の評価を行った。
A(非常に良い):カップを回すとすぐほぐれる。
B(良い):塊があるが、カップを回すうちに小さくなってほぐれてくる。
C(普通):カップを回してほぐしても塊が残る。
D(劣る):大きな塊があり、カップを回してもほぐれない。
結果を表6に示す。
<低温定着性の評価>
低温定着性の評価においては、定着器を取り外した、ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:HP LaserJet Enterprise 600 M60
3を用意した。また、取り外した定着器を、温度を任意に設定可能にし、更にプロセススピードを440mm/secとなるように改造した。
常温常湿環境下(温度23.5℃,湿度60%RH)、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において、上記のプリンタを用いて、単位面積当たりのトナー載り量が0.5mg/cmである未定着画像を作成した。次いで、該未定着画像を、160℃に温調した上記の定着器に通した。なお、記録媒体には「プローバーボンド紙」(105g/m、フォックスリバー社製)を用いた。得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価した。
A(非常に良い):画像濃度の低下率が5.0%未満である。
B(良い):画像濃度の低下率が5.0%以上10.0%未満である。
C(普通):画像濃度の低下率が10.0%以上15.0%未満である。
D(劣る):画像濃度の低下率が15.0%以上である。
結果を表6に示す。
<カブリの評価>
カブリの評価においては、ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ:HP
LaserJet Enterprise 600 M603を用いた。常温常湿環境下(温度23.5℃、湿度60%RH)、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)の各試験環境において、該プリンタを用いて10万枚のプリントアウトを行い、その後、白地部を有する画像を1枚プリントアウトした。得られた画像に対して、反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC−6DS 東京電色社製)を用いて、反射率の測定を行った。測定で用いるフィルターには、グリーンフィルターを用いた。白地部反射率の最悪値Ds(%)、画像形成前の転写材の反射率をDr(%)とした際のDr−Dsをカブリとして、以下の基準により評価を行った。
A(非常に良い):カブリが1%未満
B(良い):カブリが1%以上3%未満
C(普通):カブリが3%以上5%未満
D(劣る):カブリが5%以上
<高温高湿環境下における画像濃度>
ヒューレットパッカード社製レーザービームプリンタ(HP LaserJet Enterprise 600 M603)を用い、高温高湿環境下(温度32.5℃、湿度80%RH)において、500枚プリントアウトを行った。その後、ベタ黒画像をプリントアウトし、四隅と中心の計5点の画像濃度を測定し、それらの平均値を算出した。
A(非常に良い):画像濃度の平均値が1.45以上
B(良い):画像濃度の平均値が1.35以上1.45未満
C(普通):画像濃度の平均値が1.25以上1.35未満
D(劣る):画像濃度の平均値が1.25未満
<実施例2〜8>
表5に記載の処方で、実施例1と同様にして、トナー(T−2)〜(T−8)を作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表6に示す。
<比較例1〜7>
表5に記載の処方で、実施例1と同様にして、トナー(T−9)〜(T−15)を作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表6に示す。
Figure 0006611539
Figure 0006611539

Claims (3)

  1. 炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキル基を有する樹脂A、及び結晶性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結晶性樹脂のSP値(cal/cm1/2が、9.00以上12.00以下であり、
    該トナーを200℃で10分間加熱した際に揮発する成分のGC/MS分析において、炭素数30以上37以下の飽和炭化水素の揮発成分量が、トルエン換算で、質量を基準として、90ppm以上260ppm以下であり、
    該樹脂Aは、ポリエステル部位とビニル系重合体部位とが化学的に結合しているハイブリッド樹脂であることを特徴とするトナー。
  2. 前記樹脂Aにおけるポリエステル部位とビニル系重合体部位との質量比(ポリエステル部位/ビニル系重合体部位)が50/50〜90/10である請求項に記載のトナー。
  3. 前記結晶性樹脂の、示差走査熱量計により測定した最大吸熱ピークのピーク温度が、50.0℃以上100.0℃以下である請求項1又は2に記載のトナー。
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