JP2017122833A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電立ち上がり性が良好でかつ低温低湿環境下で使用しても摩擦帯電付与部材へのトナー汚染が少ないトナーを提供する。【解決手段】結着樹脂と、着色剤と、を有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂が、ポリエステル部位を有する樹脂であり、前記トナー粒子が、下記一般式(1)に示される化合物を含むことを特徴とするトナー。(式(1)において、R1乃至R3は、それぞれ水素原子又は−COOR4を表す。尚、R1乃至R3のいずれかが−COOR4である場合、R4は、水素原子又は炭素数1以上12以下の炭化水素基を表す。またR1乃至R3のうち2つ以上が−COOR4である場合、複数あるR4は、同じであってもよいし異なっていてもよい。)【選択図】なし

Description

本発明はトナー、特に、電子写真、静電印刷等の画像形成方法において静電荷像を現像するためのトナー、及びトナージェット方式の画像形成方法においてトナー像を形成するためのトナーに関する。
近年では複写機及びプリンターのような画像形成装置が広く普及するに従い、画像形成装置に要求される性能としては、より高画質化、高速化、長寿命化が求められている。中でもトナーに対して要求される性能は、高画質な画像を長期間安定して形成できることが挙げられる。高画質な画像を形成する為には、トナーの帯電立ち上がり性が良好で帯電量を高く制御する技術が必要不可欠であり、種々の検討が行なわれてきた。例えば、特許文献1では、ピラゾロンモノアゾ金属錯体を荷電制御剤として含有し、過酷環境においても高品位な画質を得るためのトナーが提案されている。また特許文献2では、安息香酸構造を側鎖に有した重合体を荷電制御剤として含有し、高温高湿環境下においても高い帯電立ち上がり性を有するトナーが提案されている。
特開2014−62965号公報 特開2014−98839号公報
上記に示したように、荷電制御剤の検討を行うことによって過酷環境においてもトナーの帯電量を高く制御し、高画質な画像を得ることが可能となった。しかしながら、トナーの帯電量が高くなると、スリーブやキャリアのようなトナーに帯電を付与する摩擦帯電付与部材との鏡像力が高くなる為、摩擦帯電付与部材へのトナー汚染の原因となる場合があった。特に、低温低湿環境下にて使用すると、トナーが過剰に帯電することで、摩擦帯電付与部材へのトナー汚染が悪化して、高画質な画像を得られない場合があり、更なる改良が求められている。本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、帯電立ち上がり性が良好でかつ低温低湿環境下で使用してもトナーによる摩擦帯電付与部材への汚染を低減するトナーを提供することにある。
本発明のトナーは、結着樹脂と、着色剤とを有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂が、ポリエステル部位を有する樹脂であり、
前記トナー粒子が、下記一般式(1)に示される化合物を含むことを特徴とする。
Figure 2017122833
(式(1)において、R1乃至R3は、それぞれ水素原子又は−COOR4を表す。尚、R1乃至R3のいずれかが−COOR4である場合、R4は、水素原子又は炭素数1以上12以下の炭化水素基を表す。またR1乃至R3のうち2つ以上が−COOR4である場合、複数あるR4は、同じであってもよいし異なっていてもよい。)
本発明によれば、帯電立ち上がり性が良好でかつ低温低湿環境下で使用してもトナーによる摩擦帯電付与部材への汚染を低減するトナーを提供することができる。
トナーの摩擦帯電量の測定装置の構成を示す図である。
本発明のトナーは、結着樹脂と、着色剤とを有するトナー粒子を有している。本発明において、結着樹脂は、ポリエステル部位を有する樹脂であり、トナー粒子は、下記一般式(1)に示される化合物を含んでいる。
Figure 2017122833
式(1)において、R1乃至R3は、それぞれ水素原子又は−COOR4を表す。尚、R1乃至R3のいずれかが−COOR4である場合、R4は、水素原子又は炭素数1以上12以下の炭化水素基を表す。R4で表される炭素数1以上12以下の炭化水素基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の飽和炭化水素基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、イソブテニル基等の不飽和炭化水素基;フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。
またR1乃至R3のうち2つ以上が−COOR4である場合、複数あるR4は、同じであってもよいし異なっていてもよい。
本発明者らは、トナーに含まれるポリエステル部位を有する結着樹脂を含有するトナー粒子中に、所定の化合物を含有させることにより、帯電立ち上がり性が良好でかつ低温低湿環境下で使用しても摩擦帯電付与部材へのトナー汚染を少なくできることを見出した。これにより本発明に至った。ここでいう所定の化合物とは、下記一般式(1)に示される化合物である。
Figure 2017122833
一般的に、トナーには、摩擦帯電性能を制御する目的で荷電制御剤が添加されている。荷電制御剤としては、金属錯体や極性基を有する樹脂が種々知られているが、トナーの帯電立ち上がり性を良好にする荷電制御剤を用いると、摩擦帯電付与部材へのトナー汚染が悪化する場合があった。汚染の理由は明確ではないが、以下のことが考えられる。金属錯体や極性基を有する樹脂を荷電制御剤として用いた場合、荷電制御剤は、トナー中では分散して存在しているため、荷電制御剤そのものが摩擦帯電付与部材と接触することで帯電している。そのため、トナー中の荷電制御剤部位には、トナーとして測定される平均化された帯電量とはオーダーが異なる高い帯電量が局所的に発生している為、摩擦帯電付与部材との鏡像力が大きくなる。この鏡像力の上昇は、摩擦帯電付与部材へのトナー汚染の原因となる。
これに対して、本発明のように、一般式(1)の化合物をトナー中に含有させることで、トナー自体の帯電立ち上がり性が良好になり、またトナーによる摩擦帯電付与部材への汚染を少なくすることができた。
この理由は明らかではないが、本発明者らは以下に説明する通りに考えている。即ち、一般式(1)の化合物は、カルボン酸のα位に電子吸引基であるカルボニル基を有する構造を有する。一般的にカルボン酸は帯電部位として扱われる極性基であるが、その帯電立ち上がり性は帯電した際のカルボン酸部位の安定性に依存すると考えられる。一般式(1)の化合物はカルボン酸の隣に、電子吸引基であるカルボニル基が存在している。これにより、カルボン酸部位に発生した電荷はより安定化するため、良好な帯電立ち上がり性を得ることができたと考えられる。さらに、本発明のトナーに含まれる結着樹脂は、ポリエステル部位を有する樹脂である。一般式(1)の化合物はジカルボン酸化合物であるため、ポリエステル部位と反応するか、結着樹脂中に相溶している状態にある。即ち、一般的な荷電制御剤とは異なり、トナー表面の帯電量が局所的に高くなることがないため、本発明のトナーによって、トナーによる摩擦帯電付与部材への汚染が低減されたと考えられる。
トナー粒子に一般式(1)の化合物を含有させる方法は、特に制限されず、トナー中に添加材を含有させる際に一般に行われている方法を採用することができる。例えば、結着樹脂を製造する時に添加する方法や、トナーを製造する時に添加する方法等が挙げられる。特に、一般式(1)の化合物は、結着樹脂を製造する際にポリエステル部位を合成する際に用いられるモノマーと共に添加することでトナーに含有させる方法がより好ましい。上記モノマーと共に添加して結着樹脂を製造することで、一般式(1)の化合物は結着樹脂中により均一に相溶又は分散するため、トナーによる摩擦帯電付与部材への汚染をより少なくすることができる。尚、上記モノマーと共に一般式(1)の化合物を添加して結着樹脂を製造する場合、一般式(1)の化合物の一部は、例えば、ポリエステル部位と反応して結着樹脂を構成するポリマーの一部として含まれていてもよい。
本発明において、一般式(1)の化合物は、下記一般式(2)に示される化合物であることが好ましい。
Figure 2017122833
式(2)において、R2は水素原子又は−COOR4を表す。尚、R2が−COOR4である場合、R4は、水素原子又は炭素数1以上12以下の炭化水素基を表す。本発明において、式(2)中のR2は、好ましくは、水素原子である。尚、R4で表される炭化水素基の具体例は、一般式(1)中のR1乃至R3のいずれかで表される「−COOR4」に含まれる「R4」で表される炭化水素基の具体例と同様である。
一般式(2)のように、一般式(1)の化合物のうちR1及びR3が水素原子である化合物は、立体障害がない化合物であるため、より均一に結着樹脂と反応又は相溶する。このため、一般式(2)の化合物がトナー粒子に含まれていると、トナーによる摩擦帯電付与部材への汚染がより低減される。
本発明において、一般式(1)の化合物は、帯電立ち上がり性とトナーによる摩擦帯電付与部材への汚染の低減とを共に良好にするため、好ましくは、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上5.0質量部以下含まれる。より好ましくは、0.01質量部以上2.0質量部以下含まれる。さらに好ましくは、0.01質量部以上1.0質量部以下含まれる。
上述した結着樹脂に対する一般式(1)の化合物の含有量は、結着樹脂を製造する際に一般式(1)の化合物を添加する場合では、一般式(1)の化合物を除いたモノマーを100質量部とした時の一般式(1)の化合物の添加量から計算する。結着樹脂を製造する際に一般式(1)の化合物を添加する場合、一般式(1)の化合物の一部は、結着樹脂の、例えば、ポリエステル部位と反応することがある。係る場合、結着樹脂中に含まれる一般式(1)の化合物に由来する部分構造も含有量の一部として計算する。
本発明において、「ポリエステル部位」とはポリエステルに由来する部位を意味し、ポリエステル部位を有する樹脂とは、例えば、ポリエステル樹脂や、ポリエステル部位とその他の樹脂ユニットとが結合したハイブリッド樹脂が含まれる。ここでいうその他の樹脂として、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。本発明のトナーに結着樹脂として含まれる樹脂は、一種類であってもよいし二種類以上であってもよい。例えば、結着樹脂として、ポリエステル樹脂と、ポリエステル部位とその他の樹脂ユニットとが結合したハイブリッド樹脂とが併用されていてもよい。
本発明において、結着樹脂が有するポリエステル部位は、結着樹脂全体に対して60質量%以上100質量%以下含まれるのが好ましい。ポリエステル部位が結着樹脂全体に対して60質量%以上含まれることで、結着樹脂と一般式(1)の化合物との相溶性が良好となり、トナーによる摩擦帯電付与部材の汚染がより低減される。
上記ポリエステル部位を構成する成分について詳述する。尚、以下の成分は種類や用途に応じて種々のものの中から一種類を用いてもよいし二種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル部位を構成する2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。具体的には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル;炭素数1以上50以下のアルケニルコハク酸類若しくはアルキルコハク酸類、又はその無水物又はその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物又はその低級アルキルエステル等が挙げられる。
一方、ポリエステル部位を構成する2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。具体的には、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、下記式(I−1)に示されるビスフェノール及びその誘導体:下記式(I−2)に示されるジオール類等が挙げられる。
Figure 2017122833
(式(I−1)において、Rは、エチレン基又はプロピレン基である。x及びyは、それぞれ0以上の整数である。ただしx+yの平均値は0以上10以下である。)
Figure 2017122833
(式(I−2)において、R’は、エチレン基又はプロピレン基である。x’及びy’は、それぞれ0以上の整数である。ただし、x’+y’の平均値は0以上10以下である。)
本発明において、ポリエステル部位を構成し得る成分としては、上述の2価のカルボン酸化合物及び2価のアルコール化合物以外にも、3価以上のカルボン酸化合物や3価以上のアルコール化合物を構成成分の1つとして含有してもよい。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ピロガロール、没食子酸等が挙げられる。
本発明において、ポリエステル部位を有する結着樹脂を調製する際にこのポリエステル部位の製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述の2価のカルボン酸化合物及び2価のアルコール化合物を同時に仕込み、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル部位を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステル部位の重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒のいずれかを適宜選択して用いることができる。
本発明において、結着樹脂に含まれるポリエステル部位は、好ましくは、チタン系触媒の存在下での縮重合により得られる。理由は明確ではないが、トナー粒子に一般式(1)の化合物が含まれる場合、チタン系触媒の存在下で縮重合したポリエステル部位を有する結着樹脂を用いると帯電立ち上がり性が良好になる。
チタン系触媒として用いられるチタン化合物の具体例としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C37O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4102N)2(C37O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C511O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C25O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(OHC816O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)2(C1837O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6143N)1(C37O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6143N)3(C37O)1〕等が挙げられる。これらチタン化合物の中でも、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート及びチタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが好ましい。
上記チタン化合物以外の化合物であってチタン系触媒となり得る化合物の具体例としては、テトラ−n−ブチルチタネート〔Ti(C49O)4〕、テトラプロピルチタネート〔Ti(C37O)4〕、テトラステアリルチタネート〔Ti(C1837O)4〕、テトラミリスチルチタネート〔Ti(C1429O)4〕、テトラオクチルチタネート〔Ti(C817O)4〕、ジオクチルジヒドロキシオクチルチタネート〔Ti(C817O)2(OHC816O)2〕、ジミリスチルジオクチルチタネート〔Ti(C1429O)2(C817O)2〕等が挙げられる。これらの中でも、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラオクチルチタネート及びジオクチルジヒドロキシオクチルチタネートが好ましい。
これらは、例えば、ハロゲン化チタンを対応するアルコールと反応させることにより得ることができる。また、チタン化合物は、芳香族カルボン酸チタン化合物を含むことが、より好ましい。芳香族カルボン酸チタン化合物は、芳香族カルボン酸とチタンアルコキシドとが反応することにより得られるものであることが好ましい。また、芳香族カルボン酸としては、2価以上の芳香族カルボン酸(即ち、2つ以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸)及び/又は芳香族オキシカルボン酸であることが好ましい。上記の2価以上の芳香族カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類又はその無水物、トリメリット酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸類又はその無水物、上述した2価以上のカルボン酸のエステル化物等が挙げられる。また、上記芳香族オキシカルボン酸としては、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸、トロパ酸等が挙げられる。これらの中でも、芳香族カルボン酸としては2価以上のカルボン酸を用いることがより好ましく、特に、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸又はナフタレンジカルボン酸を用いることが好ましい。
本発明において、結着樹脂としてポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂を用いる場合、ハイブリッド樹脂中のビニル系重合部位(又はビニル系共重合部位)を生成するためのビニル系モノマーとしては、少なくともスチレンが用いられていることが好ましい。スチレンは分子構造中の芳香環の占める割合が大きいため、耐久安定性がより有利となる。スチレンの含有量は、ビニル系モノマー全体に対して、20質量%以上が好ましい。
スチレン以外のビニル系重合部位を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなスチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーが挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。
アクリル酸系モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸及びアクリル酸エステル類;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸及びそのエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、ビニル系重合部位を構成するモノマーとしては、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレン等のヒドロキシル基を有するモノマー等が挙げられる。
ビニル系重合部位には、重合に必要な炭素−炭素二重結合を有する種々のモノマーを必要に応じて併用することができる。このようなモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステル等の不飽和塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸の酸無水物;該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマー等が挙げられる。
また、上記ビニル系重合部位は、必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。架橋性モノマーとして、例えば、芳香族ジビニル化合物、アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、ポリエステル型ジアクリレート類、並びに多官能の架橋剤等が挙げられる。
上記芳香族ジビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。
上記アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。
上記エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。
上記芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類としては、例えば、商品名MANDA(日本化薬)等が挙げられる。
上記多官能の架橋剤としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
上記ビニル系重合部位は、重合開始剤を用いて製造された樹脂であってもよい。これらの重合開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05質量部以上10質量部以下で用いるのが好ましい。
このような重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロビルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート等が挙げられる。
上述のように、ハイブリッド樹脂は、ポリエステル部位とビニル系重合部位とが化学的に結合した樹脂である。このため、両樹脂のモノマーのいずれとも反応し得る化合物(以下「両反応性化合物」という)を用いて重合を行うことが好ましい。このような両反応性化合物としては、上述した縮重合系樹脂のモノマー及び付加重合系樹脂のモノマー中の、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸ジメチル等が挙げられる。これらのうち、フマル酸、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく用いられる。
ハイブリッド樹脂を得る方法としては、ポリエステル部位の原料モノマーとビニル系重合部位の原料モノマーを同時に、又は順次反応させることにより得ることができる。例えば、ビニル系重合体モノマーを付加重合反応させた後、ポリエステル部位の原料モノマーを縮重合反応させた場合は、得られるポリマーの分子量のコントロールが容易となる。
ハイブリッド樹脂において、ポリエステル部位とビニル系重合部位の混合比(質量比)である「ポリエステル部位/ビニル系重合部位」は、50/50〜90/10であることが分子レベルでの架橋構造の制御の観点で好ましい。50/50〜80/20であることがより好ましい。ポリエステル部位を50質量%以上含有することで低温定着性が良好となり、またビニル系重合部位を10質量%以上含有することで帯電安定性が良好となる。
また、複数種の結着樹脂を併用する場合、軟化点が高い樹脂(高軟化点樹脂)と軟化点が低い樹脂(低軟化点樹脂)とを用いることが好ましい。高軟化点樹脂は、好ましくは、軟化点が120℃以上170℃以下の樹脂であり、より好ましくは、軟化点が120℃以上145℃以下の樹脂である。また、低軟化点樹脂は、好ましくは、軟化点が70℃以上120℃未満である樹脂であり、より好ましくは、軟化点が80℃以上100℃未満である樹脂である。
このように軟化点が高い樹脂と低い樹脂とが含まれる系では、トナーの分子量分布の設計を比較的容易に行うことができ、幅広い定着領域を持たせることができるので好ましい。
使用する結着樹脂が1種類である場合、この結着樹脂の軟化点は95℃以上170℃以下であるのが好ましい。120℃以上160℃以下であるのがより好ましい。軟化点が上記の範囲内であれば、耐高温オフセット性と低温定着性とのバランスが良好となる。
尚、軟化点は、以下のようにして測定される。樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次に説明する方法で算出された温度をいう。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求め、これをXとする。即ち、Xは、下記式(a)で求められる。
X=(Smax−Smin)/2 (a)
そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度Tmである。
測定試料は、約1.0gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて、約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、例えば、以下の通りにすることができる。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、保存安定性の観点から45℃以上であることが好ましい。また、低温定着性の観点から、Tgは75℃以下であることが好ましく、65℃以下であることが特に好ましい。
トナー用結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC)、MDSC−2920(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて、常温常湿下で測定する。測定試料として、結着樹脂約3mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
本発明のトナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナー及び非磁性二成分トナーのいずれかのトナーとしても使用できる。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性一成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Ni等の金属材料、あるいは、これら金属材料と他の金属材料、具体的には、Al,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,V等の金属材料との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
非磁性一成分トナー及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いることができる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これら着色剤のうち一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を併用して用いてもよい。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これら着色剤のうち一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を併用して用いてもよい。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40など、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これら着色剤のうち一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を併用して用いてもよい。
トナーに離型性を与えるために、トナーは離型剤(ワックス)を含有することが好ましい。ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、フィッシャートロプシュ―ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種類又は二種類以上のワックスを、少量併用してもかまわない。
脂肪族炭化水素系ワックスの母体となる炭化水素としては、以下のものが挙げられる。具体的には、金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えば、ジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレン等のアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素等が挙げられる。
より具体的には、以下のものが挙げられる。即ち、ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)等が挙げられる。
また、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又は、それらのブロック共重合物;モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものも離型剤として使用することができる。さらに、離型剤として使用できるものとして以下のものが挙げられる。即ち、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールとを反応させてなる部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
離型剤を添加するタイミングは、粉砕法でトナーを作製する場合では、溶融混練時に添加してもよいが、結着樹脂の製造時に添加してもよい。また、これら離型剤は、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。離型剤は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイトなどのキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材とからなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂等が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、一種類を単独で用いてもよいし複数種類を併用して用いてもよい。
本発明のトナーにおいては、転写効率、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のために、シリカ微粉末をトナー粒子に外添することが好ましい。シリカ微粉末は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上500m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上400m2/g以下であることがより好ましい。また、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粉体を0.01質量部以上8.00質量部以下用いることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下用いることがより好ましい。
シリカ微粉末のBET比表面積は、例えば、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、又はトライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉末の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
シリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で処理する。尚、これら処理剤は一種類を単独で使用してもよいし二種類以上の処理剤を併用して使用してもよい。
さらに本発明のトナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加してもよい。このような外部添加剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。他にも、滑材や研磨剤を使用することができる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末等が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末等が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
トナーを製造する方法としては、以下の方法を用いることができる。結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、必要に応じてワックス、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合することで、トナーを得ることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。具体的には、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)等が挙げられる。
混練機としては、以下のものが挙げられる。具体的には、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。具体的には、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等が挙げられる。
分級機としては、以下のものが挙げられる。具体的には、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)等が挙げられる。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。具体的には、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
(トナーの重量平均粒径(D4)の測定)
次に、本発明のトナーの重量平均粒径(D4)の測定方法について説明する。尚、以下に説明する測定方法は、トナーの粒度分布に基づく測定方法である。トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフトと、を用いて測定される。以下、精密粒度分布測定装置として、「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を、専用ソフトとして、「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を、それぞれ用いる方法を説明する。また測定の際は、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行った上で、トナーの重量平均粒径(D4)を算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下に説明するように専用ソフトの設定を行う。専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。また専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定方法の例を以下に説明する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカー(以下、ビーカーAという。)に電解水溶液(例えば、上述した「ISOTON II」)約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットする。そして、ビーカーA内にある電解水溶液の撹拌を、スターラーロッドを用いて反時計回りで24回転/秒にて行う。尚、上記撹拌の際に、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、ビーカーA内の電解質水溶液に接触しているアパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカー(以下、ビーカーBという。)に前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤約0.3mlを加える。尚、分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を使用する。またこの「コンタミノンN」を分散剤として上記電解質溶液中に加える際には、「コンタミノンN」をイオン交換水で3質量倍に希釈したもの(希釈液)を使用する。
(3)電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)に備える水槽内に所定量のイオン交換水を入れる。尚、この超音波分散器には、発振周波数が50kHzである発振器が2個内蔵されている。またこれら発信機は、位相を180度ずらした状態で内蔵されている。そして、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記ビーカーBを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。尚、ビーカーBをビーカー固定穴にセットする際は、ビーカーB内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーBの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のように、ビーカーB内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつビーカーB内に添加し、ビーカーB内の電解水溶液の中に分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置したビーカーAに、前記(5)においてトナーを分散させた電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。調整後、粒径の測定を行う。尚、測定の際に、測定される粒子の数が50000個に満たない場合は、前記(5)においてトナーを分散させた電解水溶液と、トナーが分散されていない電解水溶液と、を適宜追加し、測定される粒子の数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。尚、以下に説明する実施例及び比較例において、「部数」及び「%」は、特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
(製造例1)結着樹脂1の製造
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、以下に挙げるモノマー及び試薬を仕込んだ。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2mol付加物):1626g
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol付加物):1781g
・テレフタル酸:997g
・ドデセニルコハク酸無水物:241g
・下記式(3)の化合物:25g
Figure 2017122833
次に、テトラブチルチタネート(重合触媒)0.5gを反応槽内に投入した後、反応溶液を窒素気流下で220℃まで加熱した後、この温度(220℃)を維持しつつ生成する水を留去しながら10時間反応を行った。次いで、5mmHg以上20mmHg以下の減圧下でさらに反応を行い、酸価が2mgKOH/g以下になった時点で反応溶液を180℃に冷却し、無水トリメリット酸380gを加えた後、常圧密閉下で2時間反応を行った。次に、反応槽から生成物を取り出した。次に、この生成物を室温まで冷却後、粉砕することで、結着樹脂1(Tg:59℃、Tm:123℃)を得た。
(製造例2)乃至(製造例6)結着樹脂2乃至6の製造
製造例1において、反応槽に仕込ませる式(3)の化合物の量を、下記表1に示すように適宜変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により、結着樹脂2乃至6をそれぞれ得た。尚、表1中の式(3)化合物の仕込み量(質量部)は、式(3)化合物を除いたモノマーを100質量部とした時の値である。
Figure 2017122833
(製造例7)結着樹脂7の製造
製造例1において、反応槽内に式(3)の化合物を仕込まず、重合触媒として、テトラブチルチタネートに代えてジブチルスズオキシドを用いたこと以外は、製造例1と同様の方法により、結着樹脂7(Tg=60℃、Tm=122℃)を得た。
(製造例8)結着樹脂8の製造
スチレン(70部)と、アクリル酸n−ブチル(24部)と、マレイン酸モノブチル(6部)と、ジ−t−ブチルパーオキサイド(1部)と、を、それぞれキシレン200部中に4時間かけて滴下した。次に、キシレンを還流させながら重合を行った。重合が完了した後、反応溶液を昇温して有機溶剤を留去することで生成物を得た。この生成物を室温まで冷却後、粉砕することで、結着樹脂8(Tg:60℃、Tm:118℃)を得た。
[実施例1]トナー1の製造
ヘンシェルミキサーを用いて、以下に列挙する材料を前混合した。
・結着樹脂1: 100.5質量部
・フィッシャートロプッシュワックス: 4質量部
(サゾール社製、C105、融点105℃)
・カーボンブラック(商品名:Nipex30、デグサ社製) 5質量部
次に、二軸混練押し出し機によって、溶融混練を行った。この時、混練された樹脂の温度が150℃になるように滞留時間をコントロールした。次に、得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)を用いて分級することで、重量平均粒径(D4)が7μmのトナー粒子を得た。次に、このトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g、疎水化処理としてヘキサメチルジシラザン処理)1.0質量部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩いをかけることで、トナー1を得た。
[実施例2]乃至[実施例6]トナー粒子2乃至6の製造
実施例1において、下記表2に示されるように結着樹脂の種類及び量(質量部)を変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、トナー2乃至6をそれぞれ作製した。
Figure 2017122833
[実施例7]トナー7の製造
実施例1において、ヘンシャルミキサーを用いて前混合する材料を以下に列挙する材料としたこと以外は、実施例1と同様の方法により、トナー7を作製した。
・結着樹脂7: 100質量部
・フィッシャートロプッシュワックス: 4質量部
(サゾール社製、C105、融点105℃)
・カーボンブラック(商品名:Nipex30、デグサ社製) 5質量部
・式(3)の化合物 6質量部
[比較例1]トナー8の製造
実施例7において、式(3)の化合物をヘンシャルミキサーに投入しなかった(投入量を0質量部にした)こと以外は、実施例7と同様の方法により、トナー8を作製した。
[比較例2]トナー9の製造
実施例7において、結着樹脂7に代えて結着樹脂8を用いたこと以外は、実施例7と同様の方法により、トナー9を作製した。
[比較例3]トナー10の製造
比較例2において、式(3)の化合物をヘンシャルミキサーに投入しなかった(投入量を0質量部にした)こと以外は、比較例2と同様の方法により、トナー10を作製した。
[二成分現像剤の製造]
以下に説明するように二成分現像剤を作製した。尚、作製した二成分現像剤は、後述する帯電立ち上がり性等の評価を行うために使用されるサンプルになる。まず、下記に列挙される材料を蓋付きのプラスチックボトルに投入した。
磁性キャリア F813−300(パウダーテック社製):276g
トナー1:24.0g
次に、振とう器(YS−LD:(株)ヤヨイ製)を用いて、上記プラスチックボトルを1秒間に4往復のスピードで1分間振とうすることにより、二成分現像剤を得た。
[トナー及び二成分現像剤の評価]
(1)帯電立ち上がり性の評価
次に、得られたトナー270gを分取し、低温低湿環境(10℃/15%RH)で3昼夜放置した。次に、これをカラーレーザー複写機(imageRUNNER ADVANCE C7065(キヤノン社製))の現像器に仕込んだ。次に、外部モーターを具備した回転機にて、2分間の回転を行った時(Q2min)とさらに3分間回転(即ち、合計で5分間の回転)を行った時(Q5min)の現像スリーブ上の二成分現像剤をそれぞれ採取した。次に、図1に示される装置で帯電量を測定した。評価は、Q5min/Q2minを計算し、計算結果を以下の基準にて判定を行った。
A:1.20未満
B:1.20以上1.40未満
C:1.40以上1.60未満
D:1.60以上1.80未満
(2)帯電量及びトナー汚染率の測定・評価
図1に示される、底に500メッシュ(目開き25μm)のスクリーン3のある金属製の測定容器2に、摩擦帯電量を測定しようとする二成分現像剤を0.500g入れて金属製のフタ4をした。このときの測定容器2全体の質量を秤り、Wl(g)とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で2分間吸引を行い、トナーを吸引除去する。このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。図1において、符号8はコンデンサーであり、その容量をC(μF)とする。また吸引後の測定容器全体の質量を秤り、W2(g)とする。このとき、トナーの摩擦帯電量(mC/kg)は、下記式(i)のように計算される。
摩擦帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2) (i)
また、トナー汚染の指標となるトナー汚染率は、下記式のように計算して、その計算結果を以下の基準に基づいて評価を行なった。尚、二成分現像剤0.500g中に、トナーは8%(0.040g)含有しているものとして計算した。
トナー汚染率(質量%)=(0.040−(W1−W2))/0.040 (ii)
A:10質量%未満
B:10質量%以上15質量%未満
C:15質量%以上20質量%未満
D:20質量%以上25質量%未満
E:25質量%以上
(3)現像性評価
画像形成装置(キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C7065)を用いて、常温常湿環境下(23℃、50%RH)における二成分現像剤の現像性評価(A4横、10%印字比率、1,000枚連続通紙)を行った。ここで評価紙は、コピー用紙CS−814(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
(4)画像濃度(反射濃度)の評価
1,000枚連続通紙時のFFH画像部(ベタ部)の画像濃度(反射濃度)を測定して評価を行った。尚、画像濃度の測定には、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用した。
(5)カブリの評価
画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。具体的には、1,000枚連続通紙時の00H画像部(白地部)の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDsより、下記式(iii)を用いてカブリ(%)を算出した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%) (iii)
作製した二成分現像剤において、評価を行ったところ、実施例1で作製したトナーを有する二成分現像剤においては、トナー汚染率及び帯電立ち上がり性においていずれもA評価であり、反射濃度及びカブリも問題ないレベルであることがわかった。
また実施例2乃至7にてそれぞれ作製したトナーについても同様に二成分現像剤を作製し、作製した二成分現像剤についてその特性の評価を行なった。結果を表3に示す。
Figure 2017122833
上記表3より、各実施例にて作製したトナー(トナー1乃至7)のいずれを用いたとしても反射濃度及びカブリは問題ないレベルであることがわかった。
実施例1乃至4のいずれかで得られたトナーを有する二成分現像剤は、いずれもトナー汚染率及び帯電立ち上がり性がA評価であった。尚、これら二成分現像剤が有するトナーには、いずれも式(3)の化合物が、トナーによってもたらされる作用効果を奏するのに問題無い範囲で含まれていた。実施例5で得られたトナーを有する二成分現像剤は、トナー汚染率がB評価であったため、実施例1乃至4と比較してトナー汚染率が若干悪化した。これは、トナー5を作製する際に使用した結着樹脂5に含まれる式(3)の化合物の含有量が5質量部とやや多めであったためと考えられる。実施例6で得られたトナーを有する二成分現像剤は、帯電立ち上がり性がB評価であったため、実施例1乃至4と比較して帯電立ち上がり性が若干悪化した。これは、トナー6を作製する際に使用した結着樹脂6に含まれる式(3)の化合物の含有量が多かったためと考えられる。実施例7で得られたトナーを有する二成分現像剤は、トナー汚染率がC評価であったため、実施例1乃至4と比較してトナー汚染率が悪化した。これは、トナー7の作製時において式(3)の化合物が添加されていることと、結着樹脂の重合触媒がスズ触媒であることにより、トナー中の式(3)の化合物の分散性がやや悪化したためと考えられる。
また、比較例1乃至3でそれぞれ作製したトナーについても同様に二成分現像剤を作製し、作製した二成分現像剤についてその特性の評価を行なった。結果を表4に示す。
Figure 2017122833
比較例1乃至3のいずれかで作製したトナーから作製した二成分現像剤において、反射濃度は若干低いレベルではあるが、問題無い範囲であった。しかし、比較例1のトナーから作製した二成分現像剤は、トナー汚染率がD評価であり、帯電立ち上がり性がC評価であった。これは、トナーが式(3)の化合物を含んでいない為、トナー汚染率及び帯電立ち上がり性が悪化したと考えられる。また比較例2のトナーは、帯電立ち上がり性がD評価であった。これは、トナーが式(3)の化合物を含有しているものの、結着樹脂がスチレンアクリル樹脂である為、式(3)の化合物の帯電制御の効果が得られなかった為と考えられる。さらに、比較例3のトナーから作製した二成分現像剤は、トナー汚染率がE評価であった。これは、比較例1のトナーから作製した二成分現像剤の時と同様に、式(3)の化合物を含有していない為、トナー汚染率が悪化したからと考えられる。

Claims (7)

  1. 結着樹脂と、着色剤と、を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結着樹脂が、ポリエステル部位を有する樹脂であり、
    前記トナー粒子が、下記一般式(1)に示される化合物を含むことを特徴とするトナー。
    Figure 2017122833
    (式(1)において、R1乃至R3は、それぞれ水素原子又は−COOR4を表す。尚、R1乃至R3のいずれかが−COOR4である場合、R4は、水素原子又は炭素数1以上12以下の炭化水素基を表す。またR1乃至R3のうち2つ以上が−COOR4である場合、複数あるR4は、同じであってもよいし異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(1)の化合物が、下記一般式(2)に示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
    Figure 2017122833
    (式(2)において、R2は、水素原子又は−COOR4を表す。尚、R2が−COOR4である場合、R4は、水素原子又は炭素数1以上12以下の炭化水素基を表す。)
  3. 前記R2が水素原子であることを特徴とする請求項2に記載のトナー。
  4. 前記トナー粒子において、前記一般式(1)の化合物が、前記結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記ポリエステル部位が、前記結着樹脂に対して60質量%以上100質量%以下含まれることと特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記結着樹脂が、チタン系触媒の存在下で縮重合されることにより得られるポリエステル部位を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトナーの製造方法であって、
    ポリエステル部位を有する結着樹脂の調製工程を有し、
    前記ポリエステル部位が、チタン系触媒の存在下での縮重合により得られることを特徴とするトナーの製造方法。
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