JP6839010B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真、静電荷像を顕像化するための画像形成方法及びトナージェットに使用されるトナーに関する。
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置の発達に伴い、従来以上の高画質化、高耐久化、省エネルギー化に対応できるトナーが求められている。さらに、トナーの使用環境は多様化しており、様々な環境下で使用された場合でも、安定した画像を提供できるトナーが求められている。
画像形成装置の耐久性を向上させる為に、アモルファスシリコン感光体や硬化型樹脂による表面保護層を有する有機感光体のような高耐久性の感光体が使用されるようになってきた。しかしながら、感光体が高耐久化するほど、感光体の表面状態の劣化の影響が画質に大きく影響することが知られている。
画質に影響を及ぼす感光体の表面変化の因子の一つとして大気中に存在する窒素酸化物が挙げられる。窒素酸化物とは、例えば自動車の排気ガスに含まれる気体であり、近年問題となっている大気汚染物質の一つとして挙げられている。
窒素酸化物は水に溶け込んで、硝酸の如き電解質水溶液となることが知られている。その為、感光体表面に水が付着し易い高温高湿環境下において、画像形成装置を一晩使用せずに放置すると、感光体表面に付着した水に窒素酸化物が溶け込んで、電解質水溶液となる。その結果、感光体表面が低抵抗化し、鮮明な静電潜像の形成が妨げられ、画質の劣化(以下、画像流れと表記する)が発生する場合があった。
このような高耐久性の感光体を用いた場合の問題に対する対策として、特許文献1では、炭酸塩を含有する複合無機粒子を外添することで、感光体表面に付着した硝酸を炭酸塩に吸着させて除去することで画像流れを抑制するトナーが開示されている。
一方、複写機やプリンターなどの画像形成装置の省エネルギー化は、トナーの低温定着性を向上させることが有効である。トナーをより低温で溶融させる手法として、トナーの主成分である結着樹脂の溶融粘度を低めに制御することが知られている。しかし、結着樹脂自体の溶融粘度を低めに制御した場合、トナーの耐久性が悪化する。その結果、高温高湿環境下で長期間使用された場合、画像濃度が低下する場合があった。そこで、結着樹脂自体の溶融粘度を低くする方法ではなく、可塑剤を添加することでトナーをより低温で溶融させる手法が種々検討されてきた。
可塑剤を添加する手法としては、例えば、特許文献2では、ベンゾイン誘導体を用いることでトナーの溶融特性を制御する方法が提案されている。
特許第5875275号公報 特開平4−104163号公報
特許文献1のトナーは、複合無機粒子による画像流れを抑制する効果はあるものの、従来以上の省エネルギー化を達成する為には、改善の余地があった。
特許文献2のトナーは、ベンゾイン誘導体を可塑剤として使用しているが、スチレンアクリル樹脂に添加して使用していることと、ジェットミルにより粉砕している為、トナー粒子の平均円形度が低く、画像流れを抑制する効果は得られなかった。
本発明は上述した課題を解決する為になされるものであり、その目的は、従来よりも低温定着性に優れ、高温高湿環境下で長期間使用された場合でも、画像流れを抑制し、画像濃度の低下を抑制することができるトナーを提供することである。
本発明は、結着樹脂、着色剤及び下記一般式〔1〕で表わされる化合物を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂はポリエステル樹脂を含有し、前記トナー粒子は平均円形度が0.930以上0.990以下であることを特徴とするトナーに関する。
Figure 0006839010
(式中、R1〜R10は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、アセチル基、アルデヒド基、メチレンジオキシ基、炭素数1以上6以下の炭化水素基、及びアミノ基から選択される基を表し、Xはカルボニル基、ケトオキシム基、−CR1112−から選択される基を表し、R11、R12は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基から選択される基を表わす。)
本発明によれば、従来よりも低温定着性に優れ、高温高湿環境下で長期間使用された場合でも、画像流れを抑制し、画像濃度の低下を抑制することができるトナーを提供することができる。
本発明者らは、感光体表面の低抵抗化による画像流れは、硝酸が原因であることに着目して、鋭意検討した結果、結着樹脂、着色剤及び前記一般式〔1〕で表わされる化合物を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂はポリエステル樹脂を含有し、前記トナー粒子は平均円形度が0.930以上0.990以下であることを特徴とするトナーを用いることによって、高温高湿環境下における画像流れと画像濃度低下を抑制する効果を有し、更に、前記一般式〔1〕で表わされる化合物はポリエステル樹脂に対して非常に良好な可塑効果を有する為、低温定着性が従来以上に向上することを見出した。
上記構成により、従来にない優れた効果を得られる理由は以下のように考えている。
前記一般式〔1〕で表される化合物は、ベンジル位にヒドロキシ基を有している為、硝酸により酸化され易い官能基であると考えられる。即ち、感光体表面に存在する硝酸を、前記一般式〔1〕で表わされる化合物は、化学的に吸着することができる。
しかしながら前記一般式〔1〕で表わされる化合物を添加したトナーを用いても、画像流れを抑制する効果を十分に得ることができない場合があった。本発明者らが検討した結果、画像流れを抑制する効果を得る為には、前記一般式〔1〕で表わされる化合物を含有し、且つ結着樹脂はポリエステル樹脂を含有し、トナー粒子の平均円形度が0.930以上0.990以下であることが必須であることを見出した。
この理由は明確ではないが、以下のように考えられる。
前記一般式〔1〕で表わされる化合物が、感光体表面に存在する硝酸を化学的に吸着する反応は、硝酸によるヒドロキシ基の酸化反応に由来すると考えられる。即ち、硝酸を効果的に吸着するということは、前記一般式〔1〕で表わされる化合物が硝酸と反応し易い状態になっていると考えられる。一般的に化学的な反応のし易さは、反応経路の途中に存在すると推定される遷移状態のエネルギーが低いほうが反応し易い。
本発明において、前記一般式〔1〕で表わされる化合物は、ポリエステル樹脂との相溶性が非常に高い為、ポリエステル樹脂に相溶している。その結果、前記一般式〔1〕で表わされる化合物の周囲にはポリエステル樹脂が存在する。ポリエステル樹脂は極性が高い樹脂である為、前記一般式〔1〕で表わされる化合物と硝酸の反応における遷移状態を安定化する効果が得られたと考えられる。
一方で、感光体表面に存在する硝酸を化学的に吸着する為には、感光体表面とトナー表面の接触が必要になる。トナーと感光体が効果的に接触するタイミングは、転写材に転写されずに感光体上に残ったトナーをクリーニングするタイミングであると考えられる。転写されずに感光体上に残ったトナーはクリーニングブレードなどのクリーニング部材によって感光体上から除去される前に、クリーニング部材と感光体の当接部に滞留する。この際、トナー粒子の平均円形度が0.930以上0.990以下のトナーを用いることで、滞留したトナーが感光体上で転がり易くなり、効果的にトナー表面と感光体表面が接触することができるようになり、画像流れを抑制する効果を得ることができたと考えられる。
また、前記一般式〔1〕で表わされる化合物はポリエステル樹脂に対して良好な可塑効果を発現する。更に、前記一般式〔1〕で表わされる化合物はポリエステル樹脂との相溶性が非常に高く、ミクロな偏析による過剰な可塑化が発生しない為、トナーの耐久性を損なうことが無い。その結果、高温高湿環境下における画像濃度低下を抑制でき、低温定着性が良好になったと考えられる。
以上のことから、結着樹脂、着色剤及び前記一般式〔1〕で表わされる化合物を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂はポリエステル樹脂を含有し、前記トナー粒子は平均円形度が0.930以上0.990以下であることを特徴とするトナーを用いることによって、従来にない優れた効果を得るに至った。即ち、高温高湿環境下における画像流れと画像濃度低下を抑制でき、更に、低温定着性が良好なトナーを提供できる。
本発明で用いられる前記一般式〔1〕で表される化合物について説明する。
Figure 0006839010
(式中、R1〜R10は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、アセチル基、アルデヒド基、メチレンジオキシ基、炭素数1以上6以下の炭化水素基、及びアミノ基から選択される基を表し、Xはカルボニル基、ケトオキシム基、−CR1112−から選択される基を表し、R11、R12は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基から選択される基を表わす。)
前記一般式〔1〕の中で、Xが−CR1112−であるとは、下記一般式〔2〕で表される化合物であることを示している。
Figure 0006839010
(式中、R1〜R10は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、アセチル基、アルデヒド基、メチレンジオキシ基、炭素数1以上6以下の炭化水素基、及びアミノ基から選択される基を表し、R11、R12は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基から選択される基を表わす。)
前記一般式〔1〕で表される化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
ベンゾイン、4,4’−ジメチルベンゾイン、4,4’−ジメトキシベンゾイン、4−ジメチルアミノベンゾイン、ピペロイン、4−クロロベンゾイン、ヒドロベンゾイン、1,1,2−トリフェニル−1,2−エタンジオール、2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、α−ベンゾインオキシム。
この中でもXがカルボニル基であるベンゾイン誘導体が好ましい。Xがカルボニル基であることにより、ベンゾイン誘導体と硝酸の反応における遷移状態の安定性が向上して、画像流れの抑制がより良好となる。
前記一般式〔1〕で表される化合物の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、1質量部以上10質量部以下がより好ましく、1質量部以上5質量部以下がさらに好ましい。前記一般式〔1〕で表される化合物の含有量を上述の範囲に制御することで、結着樹脂に対する相溶性がより良好となり、低温定着性、画像流れが良好で且つ、画像濃度低下を抑制できる。なお、トナー中に式〔1〕で表わされる化合物が含まれているか否かは、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計や核磁気共鳴装置(1H−NMR)などを用いて調べることができる。
前記一般式〔1〕で表される化合物は融点が80℃以上180℃以下であることが好ましい。前記一般式〔1〕で表される化合物の融点が上記の範囲にあることで、トナーを製造する際に扱いやすい。
本発明おけるトナー粒子の平均円形度は、0.940以上0.975以下であることがより好ましい。平均円形度が上記範囲内であることにより、クリーニング部において、より効果的にトナー表面と感光体表面が接触することができるようになり、画像流れが良好となる。
なお、本発明に用いられるトナー粒子の平均円形度は以下のように測定される。
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「UPlanApro」(倍率10倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
本発明のトナーに使用される結着樹脂について説明する。
本発明のトナーに使用される結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含有することが必要である。本発明において、ポリエステル樹脂を含有する、とは、例えば、ポリエステル樹脂とその他の樹脂を2種以上含有した結着樹脂や、ポリエステルユニットとその他の樹脂ユニットとが化学的に結合したハイブリッド樹脂が含まれる。その他の樹脂としては、ビニル系共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
本発明において、結着樹脂中、ポリエステル樹脂を50質量%以上含有することが好ましい。ポリエステル樹脂が結着樹脂の主成分であることにより、前記一般式〔1〕で表わされる化合物との作用を効果的に得ることが可能となる。なお、ハイブリッド樹脂に関しては、ポリエステルユニットをポリエステル樹脂として含有量を計算する。
本発明の結着樹脂は、ポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットが化学的に結合したハイブリッド樹脂が好ましい。ハイブリッド樹脂は、上述したポリエステルユニットと前記一般式〔1〕で表わされる化合物との相互作用を維持しつつ、ビニル系共重合ユニットによって、結着樹脂の吸湿特性を制御することが可能である為、高温高湿環境下における画像濃度の低下を抑制できる。
上記ポリエステル樹脂を構成する成分について詳述する。なお、以下の成分は種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
ポリエステル樹脂を構成する2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;炭素数の平均値が1以上50以下のアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類、又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル。
一方、ポリエステル樹脂を構成する2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、水素化ビスフェノールA、式(I−1)で表されるビスフェノール及びその誘導体:及び式(I−2)で示されるジオール類。
Figure 0006839010
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
Figure 0006839010
(式中、R’はエチレン又はプロピレン基であり、x’、y’はそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0以上10以下である。)
本発明で使用される、ポリエステル樹脂の構成成分は、上述の2価のカルボン酸化合物及び2価のアルコール化合物以外に、3価以上のカルボン酸化合物、3価以上のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
本発明で使用される、ポリエステル樹脂の構成成分は、上述した化合物以外に、1価のカルボン酸化合物及び1価のアルコール化合物を構成成分として含有してもよい。具体的には、1価のカルボン酸化合物としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられ、また、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、テトラコンタン酸、ペンタコンタン酸などが挙げられる。
また、1価のアルコール化合物としては、ベヘニルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、テトラコンタノールなどが挙げられる。
本発明において、ポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述の2価のカルボン酸化合物および2価のアルコール化合物をエステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。
本発明においてハイブリッド樹脂中のビニル系共重合ユニットを生成するためのビニル系共重合ユニットの原料モノマーとしては、少なくともスチレンが用いられていることが好ましい。スチレンは分子構造中の芳香環の占める割合が大きい為、高温高湿環境下における濃度低下の抑制がより良好となる。スチレンの含有量は、ビニル系共重合ユニットの原料モノマー中、10質量%以上が好ましい。
スチレン以外のビニル系共重合ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなスチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーが挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン誘導体が挙げられる。
アクリル酸系モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸及びアクリル酸エステル類;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸及びそのエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、ビニル系共重合ユニットを構成するモノマーとしては、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシル基を有するモノマーが挙げられる。
ビニル系共重合ユニットには、ビニル重合が可能な種々のモノマーを必要に応じて併用することができる。このようなモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン系不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類:;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸の酸無水物;該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
また、上記ビニル系共重合ユニットは、必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。架橋性モノマーには、例えば、芳香族ジビニル化合物、アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、ポリエステル型ジアクリレート類、及び多官能の架橋剤等が挙げられる。
上記芳香族ジビニル化合物としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。
上記アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。
上記エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。
上記芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類としては、例えば商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
上記多官能の架橋剤としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
上記ビニル系共重合ユニットは、重合開始剤を用いて製造された樹脂であっても良い。これらの重合開始剤は、効率の点からモノマー100質量部に対し0.05質量部以上10質量部以下で用いるのが好ましい。
このような重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロビルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
上述のように、ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットが化学的に結合した樹脂である。
そのため、両樹脂のモノマーのいずれとも反応しうる化合物(以下「両反応性化合物」という)を用いて重合を行うことが好ましい。このような両反応性化合物としては、前記のポリエステル樹脂のモノマー及びビニル系共重合樹脂のモノマー中の、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、及びフマル酸ジメチル等の化合物が挙げられる。これらのうち、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸が好ましく用いられる。
ハイブリッド樹脂を得る方法としては、ポリエステルユニットの原料モノマーとビニル系共重合ユニットの原料モノマーを同時に、もしくは順次反応させることにより得ることができる。例えば、ビニル系共重合ユニットの原料モノマーを付加重合反応させた後、ポリエステルユニットの原料モノマーを縮重合反応させた場合は、分子量コントロールが容易となる。
ハイブリッド樹脂において、ポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットの混合比(質量比)は50/50乃至90/10であることが分子レベルでの架橋構造の制御の観点で好ましく、50/50乃至80/20がより好ましい。
本発明における結着樹脂の軟化点は、85℃以上145℃以下であることが好ましく、90℃以上140℃以下がより好ましい。結着樹脂の軟化点が上記範囲であることにより、トナーの耐久性が向上して画像濃度の低下を抑制すると共に、低温定着性も良好となる。
本発明における結着樹脂の軟化点とは、結着樹脂成分として、ポリエステル樹脂とその他の結着樹脂を含有する場合、その他の結着樹脂成分も含めた軟化点を示す。
前記一般式〔1〕で表わされる化合物の融点と結着樹脂の軟化点の差の絶対値が25℃以下であることが好ましい。25℃以下であることにより、前記一般式〔1〕で表わされる化合物と結着樹脂との相溶性が良好になり、画像流れ及び画像濃度低下を抑制し、低温定着性が良好となる。
なお、軟化点は、以下のようにして測定される。樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度Tmである。
測定試料は、約1.3gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、保存安定性の観点から45℃以上であることが好ましい。また、低温定着性の観点から、Tgは75℃以下であることが好ましく、70℃以下であることがより好ましい。
トナー用結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC)、MDSC−2920(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて、常温常湿下で測定する。測定試料として、結着樹脂約3mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
本発明のトナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナー、非磁性二成分トナーのいずれのトナーとしても使用できる。
磁性一成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性1成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
磁性酸化鉄粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、30質量部以上150質量部以下が好ましい。
非磁性一成分トナー、及び非磁性二成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナーに離型性を与えるために、離型剤(ワックス)を用いてもよい。本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化型ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系共重合モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられるワックスは、脂肪族炭化水素系ワックスである。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量の炭化水素;石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス;高分子量のオレフィンポリマーを熱分解して得られるオレフィンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
ワックスを添加するタイミングは、トナー製造時に添加してもよいし、結着樹脂の製造時に添加してもよい。また、これらワックスは、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
本発明のトナーは、荷電制御剤として、既知の荷電制御剤を用いることができる。既知の荷電制御剤としては、アゾ系鉄化合物、アゾ系クロム化合物、アゾ系マンガン化合物、アゾ系コバルト化合物、アゾ系ジルコニウム化合物、カルボン酸誘導体のクロム化合物、カルボン酸誘導体の亜鉛化合物、カルボン酸誘導体のアルミ化合物、カルボン酸誘導体のジルコニウム化合物が挙げられる。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。必要に応じて一種類又は二種類以上の荷電制御剤を併用してもかまわない。荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下添加することが好ましい。
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上のために、シリカ微粉体をトナー粒子に外添することが好ましい。シリカ微粉体は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上500m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上400m2/g以下であることがさらに好ましい。また、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粉体を0.01質量部以上8.00質量部以下用いることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下用いることがより好ましい。
シリカ微粉体のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉体の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
シリカ微粉体は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、あるいは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
さらに本発明のトナーには、必要に応じて他の外添剤を添加してもよい。このような外添剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。帯電補助剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの金属酸化物が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。
本発明においては、チタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。チタン酸ストロンチウム粉末を用いる事で、チタン酸ストロンチウム粉末がクリーニング部材と感光体との間に滞留する。その結果、トナー粒子を効果的にクリーニング部材と感光体の当節部に滞留させることができる為、画像流れが良好となる。
本発明におけるチタン酸ストロンチウム粉末は、体積平均粒径が0.5μm以上3.0μm以下であることが好ましい。上記粒径の範囲であることにより、トナー粒子をより効果的にクリーニング部材と感光体の当節部に滞留させることができる為、画像流れが良好となる。
本発明におけるトナー粒子を製造する方法としては、平均円形度を0.930以上0.990以下に調整することができる製造方法であれば、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。例えば、粉砕法、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられる。
粉砕法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。結着樹脂、着色剤、前記一般式〔1〕で表される化合物、及び必要に応じてその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。この際、微粉砕時の排気温度を調整することで、トナー粒子の平均円形度を制御することができる。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
このうち、ターボミルを使用し、微粉砕時の排気温度を調整することにより、平均円形度の制御が可能である。排気温度を低く(例えば40℃以下)すると、平均円形度が小さくなり、排気温度を高く(例えば50℃前後)すると、平均円形度が大きくなる。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、メカノミル(岡田精工社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、トナー粒子の表面処理を行い、トナー粒子の平均円形度を制御することもできる。
また、トナー粒子の平均円形度を制御する方法として、少なくとも装置ケーシング内にあって中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピンを複数個有し、高速で回転する円盤上の回転体である分散ローター、分散ローターの外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられているライナー(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、更に、表面処理された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローターを有する装置を用いてもよい。
また、トナー粒子の平均円形度を制御する方法として、熱風による表面処理方法を用いてもよい。熱風による表面処理方法とは、例えば、トナー粒子を高圧エアー供給ノズルからの噴射により噴出させて、該噴出させたトナー粒子を、熱風中にさらすことでトナーの表面を球形化する方法である。該熱風の温度は、100℃以上450℃以下の範囲であることが好ましい。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
溶解懸濁法によるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。
溶解懸濁法によるトナー粒子の製造方法は、結着樹脂、着色剤、及び前記一般式〔1〕で表される化合物を含有するトナー粒子組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させた混合樹脂溶液を水系媒体中で分散し、該混合樹脂溶液の粒子を形成する造粒工程、及び該混合樹脂溶液の該粒子中に存在する該有機溶媒を除去してトナー粒子を得る溶剤除去工程を含むトナー粒子の製造方法である。
<混合樹脂溶液の作製工程>
有機溶媒中に、結着樹脂、着色剤、及び前記一般式〔1〕で表される化合物などを含むトナー粒子組成物を溶解又は分散させた混合樹脂溶液を作製する方法としては、有機溶媒中に撹拌をしながら結着樹脂、着色剤、及び前記一般式〔1〕で表される化合物などを徐々に添加していき、溶解又は分散させればよい。
有機溶媒中に結着樹脂と前記一般式〔1〕で表される化合物を溶解することで、結着樹脂と前記一般式〔1〕で表される化合物が均一に相溶する。一方で、着色剤として顔料を用いる場合や、離型剤や荷電制御剤などのうち有機溶媒に溶解しにくいようなものを添加する場合、有機溶媒への添加に先立って粒子を小さくしておくことが好ましい。分散に際しては公知のビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いることができる。
<造粒工程>
少なくとも界面活性剤又は無機分散安定剤を含む水系媒体中に前述の工程で得られた混合樹脂溶液を分散させ、トナー粒子組成物の水系分散体を作製する。トナー粒子組成物に、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する変性樹脂を添加している場合は、活性水素基含有化合物を添加し、水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、該変性樹脂とを反応させることにより結着樹脂を生成しながら、トナー粒子組成物の水系分散体を形成してもよい。
前記活性水素基含有化合物の活性水素基とは、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基又はメルカプト基等が挙げられる。活性水素基含有化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
造粒工程で使用する装置としては、例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行なうことができる。高剪断力を有する撹拌機としてはハイシェアミキサー(IKA社製)、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業社製)、T.K.フィルミックス(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)のような市販のものを用いることができる。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩及びリン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体及びイミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩及び塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤;脂肪酸アミド誘導体及び多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤;例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン及びN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
溶解懸濁法によるトナー粒子の製造に用いる無機分散安定剤としては、懸濁重合法と同様のものを挙げることができ、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
<溶剤除去工程>
溶剤除去工程では、得られたトナー粒子組成物の水系分散体から有機溶剤を除去する。有機溶剤を除去するためには、系全体を撹拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。更に、トナー粒子組成物の水系分散体を撹拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去してもよい。有機溶媒を蒸発除去する際、撹拌の強さ及び温度を調整する事によってトナー粒子の平均円形度を制御することができる。
<熟成工程>
末端にイソシアネート基等の活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために、熟成工程を行ってもよい。熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常0〜65℃、好ましくは35〜60℃である。
上記工程により、溶解懸濁法によるトナー粒子を得ることができ、さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
次に本発明に関わるトナー粒子の粒度分布の測定方法に関して記載する。
〈トナー粒子の重量平均粒径(D4)測定〉
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
次に、前記一般式〔1〕で表される化合物の、結着樹脂への相溶性の検証方法に関して記載する。
<相溶性の測定>
相溶性は、前記一般式〔1〕で表される化合物及び前記一般式〔1〕で表される化合物を含有するトナーの吸熱量を測定することで検証する。吸熱量は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、各サンプル約3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲を20〜200℃として、昇温速度10℃/minで測定を行う。
この昇温過程での温度20℃〜200℃の範囲において、トナー中に含まれる前記一般式〔1〕で表される化合物由来の吸熱量を測定し、相溶性を検証する。前記一般式〔1〕で表される化合物由来の吸熱量が小さいほど、相溶性が高いことになる。
本発明においては、トナー中に含まれる前記一般式〔1〕で表される化合物由来の吸熱量は1.0J/g以下であることが好ましく、0.5J/g以下であることがより好ましい。
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下、実施例に基づいて具体的に本願発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り部及び%は、質量基準である。
<結着樹脂1の製造例>
(ポリエステルユニットの処方)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol付加物) 300部
・テレフタル酸 100部
・無水トリメリット酸 50部
・アクリル酸 6部
上記ポリエステルユニットを構成するモノマーの混合物80部を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌した。
そこに、ビニル系共重合ユニットを構成するビニル系共重合モノマーの混合物(スチレン90部とメタクリル酸n−ブチル:10部)20部と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1部を滴下ロートから4時間かけて滴下し、160℃で5時間反応させた。
その後、230℃に昇温して、ポリエステルユニットを構成するモノマー成分の総量に対して0.2部のチタンテトラブトキシドを添加し、軟化点が110℃になるまで重合反応を行った。反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂1を得た。
<結着樹脂2〜5の製造例>
軟化点を表1に示す様に変更する以外は、結着樹脂1の製造例に従い、結着樹脂2〜5を得た。
Figure 0006839010
<結着樹脂6の製造例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2mol付加物) 350部
・テレフタル酸 125部
・無水トリメリット酸 50部
上記モノマーに、ジブチル錫オキシドを全酸成分100部に対して2部添加し窒素気流下、220℃にて軟化点が85℃になるまで重合反応を行った。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂6を得た。
<結着樹脂7の製造例>
軟化点を80℃に変更する以外は、結着樹脂6の製造例に従い、結着樹脂7を得た。
<結着樹脂8の製造例>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2mol付加物) 325部
・テレフタル酸 125部
・無水トリメリット酸 50部
上記モノマーに、ジブチル錫オキシドを全酸成分100部に対して2部添加し窒素気流下、240℃にて軟化点が155℃になるまで重合反応を行った。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂8を得た。
<結着樹脂9の製造例>
・スチレン 60部
・メタクリル酸n−ブチル 40部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド 2部
上記モノマーをキシレン100部中に4時間かけて滴下した。さらに、キシレン還流下で軟化点が155℃になるまで重合を行った。この後、昇温して有機溶剤を留去し、室温まで冷却後粉砕し結着樹脂9を得た。
〔実施例1〕
(トナー1の製造例)
・結着樹脂1 100部
・一般式〔1〕で表される化合物 5部
(4,4’−ジメトキシベンゾイン、融点:108℃)
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで微粉砕した。微粉砕時に排気温度を50℃に制御して微粉砕を行った。得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。該トナー粒子の平均円形度は0.945であった。該トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g)1.0部とチタン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.6μm)1.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。
トナー1において、相溶性の検証を行った。4,4’−ジメトキシベンゾインと、トナー1の吸熱ピークを示差走査熱量分析装置「Q2000」を用いて測定した。4,4’−ジメトキシベンゾインは、108℃にシャープな吸熱ピークを観測した。一方、トナー1は、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての4,4’−ジメトキシベンゾインが相溶していると判断された。
以上のことから、4,4’−ジメトキシベンゾインは、結着樹脂1に対して高い相溶性を有している事を確認した。
<磁性キャリアの製造例>
100部のFe23に水を添加し、ボールミルで15min粉砕し、平均粒径55μmの磁性コアを作製した。
次に、ストレートシリコーン樹脂(信越化学社製:KR271)1.0部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5部、トルエン98.5部の混合液を、上記磁性コア100部に添加し、さらに溶液減圧ニーダーで撹拌混合しながら70℃、5時間減圧乾燥を行ない、溶剤を除去した。その後、140℃で2時間焼き付け処理して、篩振とう機(300MM−2型、筒井理化学機械:75μm開口)で篩い、磁性キャリアを得た。
<現像剤1の調製>
トナー1と磁性キャリアを、キャリア1部に対して、トナー1が10部になるように、V型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s-1、回転時間5minの条件で混合して現像剤1を調製した。
評価は、画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5255を用いた。また、評価紙はA4サイズのレーザービームプリンター用紙CS−814(81.4g/m2)を用いた。
また、画像濃度はカラー反射濃度計(X−Rite 504 X−Rite社製)で測定した。
[常温常湿環境下の画像濃度]
常温常湿環境下(温度23℃/湿度50%RH)において、印字比率5%のテストチャートを用いて50000枚の連続通紙試験を行った後、ベタ黒画像の画像濃度5点平均値を下記の基準で評価した。
A:1.45以上
B:1.40以上1.45未満
[画像流れの評価]
温度30℃/湿度85%RHの環境下で、感光体温度を調整するヒーターのスイッチをオフとした。新品の感光体ユニット及び現像器を設置して立ち上げた後、1ドット2スペース横罫線A4画像を1枚間欠で50000枚の実機通紙耐久を行い、72時間放置した後、1ドット2スペース横罫線A4画像を出力した。放置前の画像に対する放置後の画像の罫線幅細り(%)を下記の基準で評価した。なお、画像の罫線の太さは、1枚の画像における複数の罫線の太さの平均値とする。また、罫線幅細り(%)は下記式によって算出される。
罫線幅細り(%)={(放置前の画像の罫線の太さ−放置後の画像の罫線の太さ)/放置後の画像の罫線の太さ}×100
A:罫線幅細りが10%未満である。
B:罫線幅細りが10%以上20%未満である。
C:罫線幅細りが20%以上30%未満である。
D:罫線幅細りが30%以上40%未満である。
E:罫線幅細りが40%以上である。
[画像濃度低下の評価]
上記画像流れの評価において、50000枚の実機通紙耐久を行った直後のベタ黒画像の画像濃度5点平均値を下記の基準で評価した。
A:1.45以上
B:1.40以上1.45未満
C:1.35以上1.40未満
D:1.30以上1.35未満
[低温定着性の評価]
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5255を改造して評価を行った。改造はシアントナー単色だけでも作動するよう改造した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
低温定着性の評価は、低温低湿(5℃、5%RH)環境下で行った。20mm×20mmサイズのハーフトーンのパッチをA3用紙に均等に9点書かせて、画像濃度が0.6になるように現像バイアスを設定した。次いで、定着器の加圧ローラーの温度が5℃以下になるまで冷却した後、20枚片面で連続通紙した。低温定着性評価用のサンプルとして、1枚目、3枚目、5枚目、10枚目、20枚目をサンプリングし、得られた定着画像に、4.9kPaの荷重をかけ、シルボン紙によりその定着画像を5往復摺擦した。5サンプルの内、摺擦前後での前記9点の画像濃度低下率の平均値の最悪値を各温度の画像濃度低下率とした。定着温度を160℃から175℃まで5℃おきに変えて、画像濃度低下率が10%以下となる定着温度を定着開始温度とし、これを基準に低温定着性を評価した。
(評価基準)
A:定着開始温度が160℃である。
B:定着開始温度が165℃である。
C:定着開始温度が170℃である。
D:定着開始温度が175℃である。
以上の各評価項目において、現像剤1は全てA判定であった。
<トナー2〜4の製造例>
結着樹脂、一般式〔1〕で表される化合物の種類及び添加量を表2のように変更した以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー2〜4を得た。トナー2〜4の相溶性の検証をトナー1と同様に行ったところ、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての一般式〔1〕で表される化合物が相溶していると判断された。
<現像剤2〜4の製造例>
表2に示すように、トナーを2〜4に変更した以外は現像剤1と同様にして、現像剤2〜4を得た。
Figure 0006839010
<トナー5の製造例>
(水系媒体の調製)
イオン交換水330部に、Na3PO4:5部、10%塩酸2部を添加し、ハイシェアミキサー(IKA製)を用いて、3,000rpmにて撹拌しながら、60℃に加温した。これにイオン交換水:20部にCaCl2:3部を溶解させた水溶液を添加し、30分後、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業社製)15部、酢酸エチル30部を加え、液温を30℃まで冷却し、水系媒体を調製した。
(マスターバッチの作製)
・C.I.ピグメントブルー15:3 40部
・結着樹脂3 60部
を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕して、マスターバッチを得た。
(トナー粒子組成物の作製)
撹拌棒、及び温度計をセットした容器内に、マスターバッチ10部、結着樹脂3:94部、一般式〔1〕で表される化合物(4,4’−ジメチルベンゾイン、融点:88℃)3部、酢酸エチル85部を投入し、TKホモミキサー(特殊機化社製)で回転数9,000rpmで10分間混合した。
その後、容器を冷却しながらTKホモミキサーの回転数を1,000rpmとし、液温が30℃となるまで撹拌した。
(造粒)
水系媒体:140部を入れた容器内にトナー粒子組成物を100部投入し、ハイシェアミキサー(IKA製)を用いて、3,000rpmで10分間混合しトナー粒子組成物の分散体を得た。
(溶剤除去)
造粒工程終了後、トナー粒子組成物の分散体を30℃に維持している容器に移して50rpmで撹拌を開始し、10時間溶剤除去を行った。その後、濾過、洗浄、乾燥処理を行い、造粒粒子を得た。
得られた造粒粒子を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の平均円形度は0.970であった。
該トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g)1.0部とチタン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.6μm)1.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー5を得た。トナー5の相溶性の検証をトナー1と同様に行ったところ、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての一般式〔1〕で表される化合物が相溶していると判断された。
<トナー6〜10の製造例>
結着樹脂の種類、一般式〔1〕で表わされる化合物の種類と量、熟成温度を表3のように変更した以外はトナー5の製造例と同様にして、トナー6〜10を得た。トナー6〜10の相溶性の検証をトナー1と同様に行ったところ、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての一般式〔1〕で表される化合物が相溶していると判断された。
<現像剤5〜10の製造例>
表3に示すように、トナーを5〜10に変更した以外は現像剤1と同様にして、現像剤5〜10を得た。
Figure 0006839010
<トナー11の製造例>
・結着樹脂8 100部
・一般式〔1〕で表される化合物 20部
(1,1,2−トリフェニル−1,2−エタンジオール、融点:125℃)
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記材料を用いて、微粉砕時の排気温度を40℃に変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー11を得た。該トナー粒子の平均円形度は0.930であった。トナー11の相溶性の検証をトナー1と同様に行ったところ、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての一般式〔1〕で表される化合物が相溶していると判断された。
<トナー12の製造例>
一般式〔1〕で表わされる化合物の添加部数を23部に変更した以外はトナー11の製造例と同様にして、トナー12を得た。該トナー粒子の平均円形度は0.930であった。トナー12の相溶性の検証をトナー1と同様に行ったところ、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての一般式〔1〕で表される化合物が相溶していると判断された。
<トナー13の製造例>
微粉砕の方法をジェットミルに変更した以外は、トナー12の製造例と同様にして、トナー13を得た。該トナー粒子の平均円形度は0.923であった。トナー13の相溶性の検証をトナー1と同様に行ったところ、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての一般式〔1〕で表される化合物が相溶していると判断された。
<トナー14の製造例>
一般式〔1〕で表わされる化合物の添加部数を0部に変更した以外はトナー13と同様にして、トナー14を得た。該トナー粒子の平均円形度は0.918であった。
<トナー15の製造例>
・結着樹脂9 100部
・一般式〔1〕で表される化合物 3部
(ベンゾイン、融点:134℃)
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記材料に変更した以外は、トナー13の製造例と同様にして、トナー15を得た。該トナー粒子の平均円形度は0.920であった。トナー15の相溶性の検証をトナー1と同様に行ったところ、130℃に一般式〔1〕で表される化合物に由来する吸熱ピークが観測され、吸熱量は0.6J/gであった。
<トナー16の製造例>
一般式〔1〕で表わされる化合物の添加部数を0部に変更した以外はトナー15と同様にして、トナー16を得た。該トナー粒子の平均円形度は0.918であった。
<現像剤11〜16の製造例>
トナーを11〜16に変更した以外は現像剤1と同様にして、現像剤11〜16を得た。
〔実施例2〜12〕
現像剤2〜12を実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 0006839010
実施例6は、画像流れがBランクであった。一般式〔1〕で表わされる化合物のXがカルボニル基では無い為、遷移状態の安定性が若干低下した為と考えられる。
実施例8は、画像濃度低下がBランクであった。結着樹脂がポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットとのハイブリッド樹脂ではない為、トナーの吸水特性が若干低下して、画像濃度が低下したと考えられる。
〔比較例1〜4〕
現像剤13〜16を実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表5に示す。
Figure 0006839010
比較例1は画像流れがDランクであった。トナー粒子の平均円形度が0.923である為、一般式〔1〕で表わされる化合物を含有していても、画像流れを抑制する効果は十分ではなかった。
比較例3は画像流れがEランクであった。結着樹脂がポリエステル樹脂を含有していない為、一般式〔1〕で表わされる化合物を含有していても、遷移状態を安定化する効果が無く、更にトナー粒子の平均円形度が0.920と低い為、画像流れに対する効果が得られなかった。

Claims (4)

  1. 結着樹脂、着色剤及び下記一般式〔1〕で表わされる化合物を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂はポリエステル樹脂を含有し、前記トナー粒子は平均円形度が0.930以上0.990以下であることを特徴とするトナー。
    Figure 0006839010
    (式中、R1〜R10は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、アセチル基、アルデヒド基、メチレンジオキシ基、炭素数1以上6以下の炭化水素基、及びアミノ基から選択される基を表し、Xはカルボニル基、ケトオキシム基、−CR1112−から選択される基を表し、R11、R12は、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、置換基を有してもよいフェニル基から選択される基を表わす。)
  2. 前記一般式〔1〕で表される化合物の含有量が、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結着樹脂の軟化点が、85℃以上145℃以下である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記一般式〔1〕中、Xがカルボニル基である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
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