JP2019144364A - トナー - Google Patents

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【課題】高速機においても良好な低温定着性を有し、排紙接着を抑制したトナーを提供することである。【解決手段】結着樹脂及び磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、(i)回転平板型レオメーターにより、温度50℃から120℃まで2℃/minで昇温させた時の120℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’(120↑)が4.00×103Pa以下であり、(ii)ホットディスク法により測定されるトナーの熱伝導率が0.190W/mK以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真、静電荷像を顕像化するための画像形成方法に使用されるトナーに関する。
電子写真法を用いた画像形成装置は、省エネルギー化に対する要求が高く、トナーの低温定着性を向上させることが求められている。一般的に低温定着性はトナーの粘度と関係があり、定着時の熱により素早く粘度が低下するトナーが求められる。しかし、このような低温定着性を満足させたトナーは現像器内の撹拌や本体の昇温といった外的なストレスに対して弱く、外添剤の埋め込みによる耐久性の低下や保存性の悪化といった問題を生じやすい。
また、近年では省エネルギー化に加えて、装置の高速化に対する要望も高く、高速化された画像形成装置において、連続してプリント物を通紙すると、1度定着したトナーが積載した別の紙に剥がれて移行してしまう(排紙接着)といった課題も見られる。このような現象は低粘度化されたトナーにおいて生じやすく、省エネルギー化対応と高速化対応を両立することは技術的なハードルが高く非常に困難である。
特許文献1では、結晶性樹脂、及び非晶性樹脂を含有し、トナー中の結晶構造由来の強度が一定以上であり、高温時における貯蔵弾性率が一定の範囲を満たすトナーが、優れた低温定着性、及び耐熱保存性を両立するとの提案がなされている。また、特許文献2、3ではアルケニル基を有する非晶性ポリエステル樹脂と一定の範囲のエステル基濃度を有する結晶性ポリエステルを用いたトナーが、優れた低温定着性を満足しつつ、高温高湿下での帯電安定性、及び高い保存性を有するとの提案がなされている。さらに、特許文献4では、磁性酸化鉄を含有し、前記磁性酸化鉄が昇温酸化法によって特定の範囲にメインピークを有し、Zn含有量が一定以下であるトナーが、低温定着性に優れ且つ良好な排紙接着を有するとの提案がなされている。
特開2014−167602号公報 特開2011−81355号公報 特開2010−107673号公報 特開2008−181041号公報
特許文献1のように高温時における貯蔵弾性率を一定の範囲に制御したトナーは、低温定着性に一定の効果はあるものの、より高速化された画像形成装置においては、排紙接着に対して改善の余地を有することが分かった。また、特許文献2、3においても、トナーの低温定着性に一定の効果はあるものの、高速化された画像形成装置においては、排紙接着を抑制することが出来ず改善の余地を有する。さらに、特許文献4のように磁性酸化鉄の構成を制御したトナーは、排紙接着に一定の効果はあるものの、より高速化された画像形成装置においては、定着不足による画像弊害を発生することが分かった。よって、低温定着性に対して改善の余地を有する。
以上のように、低温定着性と排紙接着を両立する為には技術的な課題が多く、改善の余地を有する。
本発明の目的は上記問題点を解消したトナーを提供することにある。即ち、高速機においても良好な低温定着性を有し、排紙接着を抑制したトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、検討を重ねた結果、下記の本発明の構成にすることで、上記要求を満足できることを見いだし、本発明に至った。
即ち本発明は、結着樹脂及び磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
(i)回転平板型レオメーターにより、温度50℃から120℃まで2℃/minで昇温させた時の120℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’(120↑)が4.00×103Pa以下であり、
(ii)ホットディスク法により測定されるトナーの熱伝導率が0.190W/mK以上
であることを特徴とする。
本発明によれば、高速機においても良好な低温定着性を有し、排紙接着を抑制したトナーを提供することが出来る。
低温定着性が良好なトナーを得るためには、定着のニップを通過するわずかな時間でトナーを迅速に溶融させる必要がある。一般的にトナーを迅速に溶融させる手法としては、トナー中の樹脂成分の溶融特性を制御することが知られており、近年では定着助剤(低融点ワックスや結晶性樹脂等の添加物)を用い、可塑効果により樹脂成分の溶融特性を制御する方法が種々検討されている。そこで低温定着性向上の観点から、結晶性ポリエステルを添加したトナーを評価したところ、低温定着性に一定の効果はあるものの、次世代を想定した高速印字条件下においては排紙接着を発生することが分かった。そのため、今後の省エネルギー化や高速化の要求に対しては、定着ニップ通過時にトナーを低粘度化しても、定着ニップ通過後は速やかに粘度が上昇する、排紙接着抑制が良好なトナーの検討が必要であった。
本発明者らが、低温定着性の向上と排紙接着の抑制というトレードオフ項目を解決すべく検討を進めた結果、下記に示す特徴を有するトナーを用いることで、上記の矛盾を解決できるという考えに行きついた。
即ち本発明は、結着樹脂及び磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
(i)回転平板型レオメーターにより、温度50℃から120℃まで2℃/minで昇温させた時の120℃における貯蔵弾性率G’(120↑)が4.00×103Pa以下であり、
(ii)ホットディスク法により測定される熱伝導率が0.190W/mK以上
であることを特徴とする。
以下に、本発明に用いるトナーについて具体的に示していく。
本発明に用いるトナーは、回転平板型レオメーターにより、温度50℃から120℃まで2℃/minで昇温させた時の120℃における貯蔵弾性率G’(120↑)が4.00×103Pa以下である。また、貯蔵弾性率G’(120↑)は、良好な低温定着性を得られることから、3.00×103Pa以下が好ましく、2.00×103Pa以下がより好ましい。下限については、特に制限ないが、1.00×103Pa以上が好ましい。
貯蔵弾性率G’は、高分子における弾性、即ち応力に対する可逆な性質を表す指標である。トナーの貯蔵弾性率G’は、定着ニップ部においてトナーが熱と圧力により変形した際にもとの状態に復元する力を表すものである。つまりトナーを形成する分子内にばねのような性質があるかどうかを示しており、値が小さいほどトナーが紙に濡れ広がりやすく、良好な低温定着性を有している。また、トナーの貯蔵弾性率G’を算出するに当たっての120℃という温度は、定着ニップを通過したトナーの温度と対応することを意味している。
トナーの貯蔵弾性率G’(120↑)が4.00×103Paより大きいと、定着ニップ内で熱を受けたトナーが十分に濡れ広がらず、メディアとトナーの付着力が低下する為、低温定着性が悪化してしまう。
トナーの貯蔵弾性率G’(120↑)は、例えば、トナー中の結着樹脂の組成を変更することで制御できる。更に、トナー中に含まれる無機粒子の含有量を調整することでも制御できる。
通常トナーには、磁性粒子や外添剤といった無機粒子を添加する場合多い。これらの無機粒子は、トナー中の含有量が増加するに従って、フィラー効果を発現し、トナーの粘度を上昇させる。したがって、無機粒子の添加量は、トナーの貯蔵弾性率G’(120↑)、トナーの着色力、及び流動性のバランスを見ながら添加量を調整することが好ましい。それぞれの無機粒子の好ましい添加量については後述する。
本発明に用いるトナーは、ホットディスク法により測定される熱伝導率が0.190W/mK以上である。より好ましくは、0.195W/mK以上である。トナーの熱伝導率を上記範囲とすることで、高速印字した際にも、メディア上のトナーが定着ニップ通過後に速やかに熱をトナー内から放熱することが可能となり、排紙接着の発生を抑制出来る。さらに、トナーの熱伝導率を上記範囲とすることで、定着ニップ中で定着器からメディア上のトナーに対して、効率的に熱を伝達することが可能となり、全面ベタ画像(トナー乗り量が多く、トナー全体に熱が伝わりにくい画像)の定着性が良化する効果もある。上限については、特に制限ないが、0.300W/mKが好ましく、より好ましくは0.230W/mKである。
熱伝導率とは、媒体中における熱の伝わりやすさを表す物質固有の値であり、値が大きいほど熱が伝わりやすく、値が小さいほど熱が伝わりにくいことを示している。定着プロセスにおけるトナーの温度変化について考察すると、定着ニップ通過時には高温の定着器表面からトナーに熱が伝わり、定着ニップ通過後には高温のトナーからトナー外に熱が伝わっていく。即ち、トナーの熱伝導率が高ければ、定着プロセス内でトナーが速やかに温度に応答しやすくなるという特徴がある。
排紙接着を抑制する為には、定着ニップ通過後から、プリント物が積載されるまでの短い時間で、メディア上のトナー温度をトナーのTg以下にすることが重要である。即ち、メディア上のトナーから空気へ、更にメディア上のトナーからメディアへと速やかに熱を伝えるため、トナーの熱伝導率が高いことが必要である。本発明者らが上記効果を得るために鋭意検討を行った結果、熱伝導率を上記範囲とすることが必要であることが分かった。
トナーの熱伝導率は、例えば後述するような磁性粒子をトナー粒子中に含有させ、その含有量や分散状態を調整することにより制御することができる。
本発明に用いるトナーは、結着樹脂、及び磁性粒子を含有するトナー粒子を有する。
(磁性粒子)
通常、磁性粒子はトナー用結着樹脂と比較すると、熱伝導率がはるかに高い。そのため、トナーの熱伝導率は上述したように、磁性粒子をトナー粒子中に含有させ、その含有量や分散状態を調整することにより制御することができる。一般的には、磁性粒子の含有量が多いほど、また、分散性が高いほど熱伝導率が高くなる傾向にある。
以下に、本発明に用いる磁性粒子について具体的に示していく。
本発明に用いる磁性粒子は、磁性酸化鉄粒子を含むコア粒子と、コア粒子の表面に設けられた被覆層を有することが好ましい。
磁性酸化鉄粒子を含むコア粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、およびこれらの混合物が挙げられる。
被覆層は、コア粒子の表面の全域を均一に被覆していてもよいし、コア粒子の表面が一部露出した状態で被覆していてもよい。いずれの被覆態様であっても、被覆層は、最外層であることが好ましく、コア粒子の表面を薄く被覆していることが好ましい。被覆層を形成する元素としては、Si、及びAlを含有することが好ましい。
また、磁性粒子は、表面のX線光電子分光分析(ESCA)を用いた測定において、下記式(3)を満たすことが好ましく、下記式(3)’を満たすことがより好ましい。
1.0≦dSi/dAl 式(3)
1.5≦dSi/dAl 式(3)’
(式中、dSiはケイ素原子のatomic%を示す。dAlはアルミニウム原子のatomic%を示す。)
ケイ素原子及びアルミニウム原子の強度を上記範囲にすることで、高温高湿環境下において使用した際にも、トナーがシャープな帯電分布を示し、かぶりの発生を抑制したトナーを得ることが出来る。
また、本発明に用いる磁性粒子は、表面のX線光電子分光分析(ESCA)を用いた測定において、下記式(4)を満たすことが好ましく、下記式(4)’を満たすことがより好ましい。
0.10≦(dSi+dAl)/(dFe+dSi+dAl)≦0.50 式(4)
0.15≦(dSi+dAl)/(dFe+dSi+dAl)≦0.45 式(4)’
(式中、dFeは鉄原子のatomic%を示す。)
ケイ素原子、アルミニウム原子、鉄原子の原子量を上記範囲とすることで、トナー粒子中における磁性粒子の分散性が向上し、かぶりの発生を抑制できると共に、トナーの熱伝導率を本発明の範囲に制御しやすくなる。
(dSi+dAl)/(dFe+dSi+dAl)の値は、磁性粒子の表面に設けられた被覆層の被覆状態を表している。値が大きいほど被覆層の被覆率が高く、値が小さいほど被覆層の被覆率が低い。(dSi+dAl)/(dFe+dSi+dAl)の値が0.10以上になると、コア粒子の表面にある程度、被覆層が存在することにより、トナー中における磁性粒子と結着樹脂との親和性が上昇し、磁性粒子の分散性が向上する。(dSi+dAl)/(dFe+dSi+dAl)の値が0.50以下であると、被覆層が厚くなり過ぎず、トナー中において磁性粒子の凝集性が低下し、磁性粒子の分散性が向上する。
被覆層の形成方法は、特に限定されることなく、公知の方法を用いるとよい。例えば、マグネタイトを含むコア粒子を製造した後、硫酸第一鉄水溶液に、ケイ酸ナトリウムや硫酸アルミニウムなどの、ケイ素源やアルミニウム源を添加する。その後、混合液のpH及び温度を調整しつつ空気を吹き込むことで、コア粒子表面に特定の酸化物を含有する被覆層を形成するとよい。また、硫酸第一鉄水溶液、ケイ酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムなどの添加量などを調整することで被覆層の厚みを制御することができる。
また、上述した被覆層を形成しやすく、磁気特性や着色力がより良化するという観点から、磁性粒子は八面体形状であることが好ましい。
磁性粒子の形状を制御する方法は従来公知の方法を採用することができる。磁性粒子を八面体形状にする方法としては、例えばコア粒子の製造において湿式酸化反応時のpHを9以上にすることが挙げられる。
また、上述した被覆層を形成しやすく、トナーの貯蔵弾性率G’(120↑)を制御しやすいという観点から、磁性粒子の一次粒子の個数平均径(D1)は、50nm以上200nm以下であることが好ましく、50nm以上150nm以下であることがより好ましい。なお、磁性粒子のD1は、磁性粒子の合成条件により制御することができる。例えば、コア粒子の製造時の酸化反応時間や空気の吹き込み速度を変えることで磁性粒子のD1を調整することができる。
また本発明のトナーは、トナーの透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察の13μm×13μmの視野において、1μm×1μmの範囲における磁性粒子の占める面積の標準偏差が10.0以下であることが好ましい。より好ましくは、8.0以下である。
磁性粒子の占める面積の標準偏差は、トナー粒子中における磁性粒子の分散度合いを表す指標である。標準偏差の値が小さいほど、トナー粒子全体に磁性粒子が均一に存在し、分散性が高い状態を示しているため、トナーを上記構成とすることで、トナーの熱伝導率を本発明の範囲に制御しやすくなる。
上述してきたように、トナーの熱伝導率は磁性粒子の含有量を増やすことによって高められるが、トナー中に占める磁性粒子の量が増加すると、フィラー効果によりトナーの粘度が上昇する。即ち、(1)トナーの熱伝導率を上昇させることと、(2)貯蔵弾性率G’(120↑)を低下させることはトレードオフの関係である。そのため、(1)、及び(2)を両立させるためには、磁性粒子の含有量を抑え、トナー中に占める磁性粒子の分散性を向上させることが好ましい。
また、磁性粒子の占める面積の標準偏差を上記範囲とすることで、磁性粒子の偏在を抑制でき、トナーの帯電が均一となる為、かぶりを抑制できる点でも好ましい。
磁性粒子の占める面積の標準偏差は、例えば、トナー製造時の混練、又は撹拌条件や原材料の組み合わせを変更することで制御することが出来る。
磁性粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、35質量部以上がトナーの熱伝導率、及び着色性の観点で好ましく、90質量部以下が低温定着性の観点で好ましい。より好ましくは40質量部以上、75質量部以下である。
(トナーの貯蔵弾性率)
本発明のトナーは、回転平板型レオメーターにより、温度120℃から50℃まで2℃/minで降温させた時の60℃における貯蔵弾性率G’(60↓)が1.00×107Pa以上であることが好ましく、4.00×107Pa以上がより好ましい。貯蔵弾性率G’(60↓)を上記範囲とすることで、プリント物が積載した際にも、トナーが変形し難く排紙接着を抑制しやすくなる。上限については、特に制限ないが、20.0×107Pa以下である。
上述したように、貯蔵弾性率G’は高分子における弾性、即ち応力に対する可逆な性質を表す指標であり、トナーが熱や圧力により変形した際にもとの状態に復元する力を表すものである。即ち、値が大きく高弾性を有するトナーであるほど、プリント物が積載した際の圧力に対して強く、排紙接着を抑制しやすくなる。
貯蔵弾性率G’(60↓)は、例えば後述するような結着樹脂をトナー粒子中に含有させることにより制御することができる。
また本発明のトナーは、回転平板型レオメーターによって測定される貯蔵弾性率G’(120↑)、及び貯蔵弾性率G’(60↓)が下記式(1)の関係を満たすことが好ましく、より好ましくは(1)’の関係を満たすことである。上限については、特に制限はないが、好ましくは10.0以下である。
貯蔵弾性率G’(60↓)/貯蔵弾性率G’(120↑)≧2.00×104 式(1)
貯蔵弾性率G’(60↓)/貯蔵弾性率G’(120↑)≧2.20×104 式(1)
貯蔵弾性率G’(60↓)/貯蔵弾性率G’(120↑)の値は、貯蔵弾性率G’の上昇速度を示している。貯蔵弾性率G’(60↓)/貯蔵弾性率G’(120↑)の値が上記範囲を満たすことで、メディア上のトナーが定着ニップ通過後、速やかに定着前のトナー貯蔵弾性率まで上昇する為に排紙接着を抑制しやすくなる。
貯蔵弾性率G’(60↓)/貯蔵弾性率G’(120↑)の値は、例えば後述するような定着助剤と結着樹脂との親和性を調整することにより制御することができる。
(定着助剤)
また本発明のトナーは、定着助剤(低融点ワックスや結晶性樹脂)を含有することが好ましい。定着助剤は、その融点以上の温度領域でシャープに溶融する為、トナーの溶融スピードを速めることができると共に、その他の樹脂成分を可塑化することで、低温定着性を大幅に改善することが可能となる。
また、定着助剤としては、高温高湿環境下において耐久性が良好なトナーを得られるため、結晶性ポリエステルを用いることが好ましい。ここで、結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂と定義する。
一方で、結晶性ポリエステルに代表される結晶性樹脂は、一般的に低融点ワックス等と比較すると分子量が大きく、一度溶融すると再結晶化するまでに要する時間が長い場合が多い。トナー中において再結晶化しきれなかった結晶性ポリエステルはトナーのガラス転移温度(Tg)の低下を引き起こすため、耐熱保存性を視野に入れると、結晶性ポリエステルが速やかに結晶化することが好ましい。
そのため、本発明のトナーは、結着樹脂が下記に示すような樹脂組成物Aを含有することが好ましい。以下に、本発明に用いる樹脂組成物について具体的に示していく。
(樹脂組成物A)
樹脂組成物Aは、
i)炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールのアルコール残基、及び炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸のカルボン酸残基の少なくとも一方の残基を末端に有するポリエステル樹脂、及び
ii)炭素数の平均値が27以上50以下の脂肪族炭化水素、
を含有する。
樹脂組成物Aを上記構成とすることで、結晶性ポリエステルの結晶化速度が向上し、耐熱保存性が良好なトナーを得ることが出来る。その理由は定かではないが、以下のように考察している。
上述したように結晶性ポリエステルは、結晶化するまでに要する時間が長い。一般的に、結晶化しきれなかった結晶性ポリエステルは、トナーのガラス転移温度(Tg)の低下を引き起こすため、耐熱保存性を悪化させる恐れがある。本発明では、樹脂組成物A中に結晶性ポリエステルと配向しやすい部位を設けることで、結晶性ポリエステルの結晶化速度を促進していると考えている。本発明者らが上記効果を得るために鋭意検討を行った結果、樹脂組成物Aを上記構成とすることが好ましいことが分かった。
ここで、長鎖アルキルモノアルコールのアルコール残基、及び長鎖アルキルモノカルボン酸のカルボン酸残基の少なくとも一方の残基を末端に有するポリエステル樹脂とは、長鎖アルキルに由来する構造がメインバインダー成分であるポリエステル樹脂に反応し組み込まれている樹脂を表している。一方、上記平均炭素数の脂肪族炭化水素成分は、脂肪族炭化水素をアルコール又は酸に変性して長鎖アルキルモノアルコールまたは長鎖アルキルモノカルボン酸を合成する際の、未変性成分であり、この未変性成分も樹脂組成物Aが含有していることを表す。
即ち、樹脂組成物Aは、長鎖アルキルに由来する構造が組み込まれたポリエステル樹脂と、未変性品である脂肪族炭化水素成分を有することを意味する。
本発明において、樹脂組成物Aにおける長鎖アルキルに由来する構造の炭素数の平均値、及び脂肪族炭化水素の炭素数の平均値は以下の方法で求める。
長鎖アルキルに由来する構造の炭素数分布、及び脂肪族炭化水素の炭素数分布は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。サンプル10mgを精秤し、サンプルビンに入れる。このサンプルビンに精秤した10gのヘキサンを加えてフタをした後、ホットプレートで150℃に加温して混合する。
その後、サンプル成分が析出してこないようすばやくガスクロマトグラフィーの注入口へこのサンプルを注入して、下記測定装置及び測定条件で分析を行う。横軸を炭素数、縦軸をシグナルの強度とするチャートを得る。次いで、得られたチャートにおいて、検出された全ピークのトータルの面積に対する各炭素数成分のピークの面積の割合を算出し、これを各炭化水素化合物の存在比率(面積%)とする。そして、横軸に炭素数、縦軸に炭化水素化合物の存在比率(面積%)を取り、炭素数分布チャートを作成する。そして、炭素数分布チャートのピークトップの炭素数を、炭素数の平均値とする。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC:HP社 6890GC
カラム:ULTRA ALLOY−1 P/N:UA1−30m−0.5F(フロンティア・ラボ社製)
キャリアーガス:He
オーブン:(1)温度100℃で5分ホールド、(2)30℃/分で温度360℃まで昇温、(3)温度360℃で60分ホールド
注入口:温度300℃
初期圧力:10.523 psi
スプリット比:50:1
カラム流量:1mL/min
また、樹脂組成物Aは、炭素数の平均値27以上50以下の脂肪族炭化水素、炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールのアルコール残基、及び炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸のカルボン酸残基の合計の含有割合が、前記ポリエステル樹脂組成物の質量を基準として、2.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3.5質量%以上7.5質量%以下である。長鎖アルキルに由来する構造の割合を上記範囲とすることで、結晶性ポリエステルの結晶化速度が制御しやすくなり、保存性が良好なトナーを得ることが出来る。
また、樹脂組成物Aは、示差走査熱量測定(DSC)にて得られる温度−吸熱量曲線において、ポリエステル樹脂組成物の吸熱ピークのピークトップ温度が、60.0℃以上90.0℃以下であることが好ましい。且つ、吸熱ピークの吸熱量(ΔH)が、0.10J/g以上1.90J/g以下であることが好ましく、0.20J/g以上1.00J/g以下であることがより好ましい。
上述したように、本発明では、低温定着性と排紙接着の抑制を両立させることが目的であり、トナー中で結晶性ポリエステルを均一に分散させることが重要となる。その為には、樹脂組成物A中で長鎖アルキルに由来する構造が均一に分散していることが重要であり、ポリエステル樹脂成分と結合せず、遊離した成分、即ち未変性の脂肪族炭化水素の量を適正化させることが好ましい。
この未変性の脂肪族炭化水素は、示差走査熱量測定(DSC)にて得られる温度−吸熱量曲線において吸熱ピークが発現する。DSCで観測される、吸熱量ΔHが上記範囲内にあることは、遊離している未変性の脂肪族炭化水素が少ない、即ち、ポリエステル樹脂(メインバインダー)に組み込まれていることを示す。その為、本発明者等はこの吸熱ピークの吸熱量(ΔH)を適正化することで、樹脂組成物A中で長鎖アルキルに由来する構造が均一に分散しやすくなると考えている。
本発明における吸熱ピークのピークトップ温度及び吸熱量(ΔH)は以下の方法で測定される。示差走査熱量測定(DSC)における吸熱ピークのピークトップ温度及び吸熱ピーク量は、示差走査型熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定される。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、測定試料約5mgを精密に秤量し、これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いて、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この昇温過程で得られるDSC曲線(温度−吸熱量曲線)において、温度30〜200℃の範囲における最大の吸熱ピークのピークトップの温度を求める。また、吸熱ピークの吸熱量ΔHは、上記吸熱ピークの積分値である。
未変性の脂肪族炭化水素の量、即ちDSCの吸熱ピークの量を制御する方法としては、脂肪族炭化水素のアルコール変性率又は酸変性率を高める方法が挙げられる。
即ち、アルコール又は酸変性された長鎖アルキル成分に関しては、重合反応でポリエステル樹脂と反応しポリエステル樹脂中へ組み込まれ、DSC測定において吸熱ピークが発現しない。一方、未変性の脂肪族炭化水素は、ポリエステル樹脂との反応点を持たない為、ポリエステル樹脂組成物中で遊離した状態で存在することになり、DSCの吸熱量を高めることになる。
上述の通り、本炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコール、及び炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸は、工業的には原料となる脂肪族炭化水素をアルコール又は酸変性することで得られる。
脂肪族炭化水素は、飽和炭化水素及び不飽和炭化水素を含み、例えば、アルカン、アルケン、アルキンや、シクロヘキサンなどの環状の炭化水素が挙げられるが、飽和炭化水素(アルカン)であることが好ましい。
例えば、アルコール変性品に関しては、炭素数が27以上50以下の脂肪族炭化水素を、硼酸、無水硼酸、又はメタ硼酸のような触媒の存在下に分子状酸素含有ガスで液相酸化することによりアルコールに転化できることが知られている。使用される触媒添加量は、原料脂肪族炭化水素1molに対して0.01〜0.5molが好ましい。反応系に吹き込む分子状酸素含有ガスとしては、酸素、空気又はそれらを不活性ガスで希釈した広範囲のものが使用可能であるが、酸素濃度3〜20%が好ましい。また、反応温度は、100℃以上200℃以下が好ましい。
DSCの吸熱量は、反応条件の最適化や、変性反応後に精製作業を行うことで、未変性の脂肪族炭化水素を除去することにより制御することができる。本発明のDSCの吸熱量の範囲に制御する為の、脂肪族炭化水素の変性率の好ましい範囲は、85%以上であり、より好ましくは90%以上である。一方、上限は99%以下であることが好ましい。
また、長鎖アルキルモノアルコールは、2級アルコールを主成分として含有することが好ましい。なお、2級アルコールを主成分とするとは、長鎖アルキルモノアルコール中の50質量%以上が2級アルコールであることを示す。長鎖アルキルモノアルコールとして、2級アルコールを主成分として用いることで、長鎖アルキル構造が折りたたみ構造を取り易くなる。その結果、立体障害等が抑制され、長鎖アルキル構造がポリエステル系樹脂組成物中でより均一に存在し易くなり、より保存安定性が向上する為好ましい。
また、本発明に用いられる樹脂組成物Aは、ポリエステル部位及びビニル重合体部位を有するハイブリッド樹脂を含有することが好ましい。この場合、長鎖アルキルに由来する構造は、ハイブリッド樹脂のポリエステル部位の末端に縮合したものであることが好ましい。
溶融特性の優れるポリエステル部位と、帯電特性に優れ、軟化点が高いビニル重合体部位とを有するハイブリッド樹脂を含有することで、樹脂組成物Aの軟化点を高くしつつ、帯電安定性と低温定着性に優れる樹脂組成物が得られる。その結果、低温定着性及び高湿環境下における画像濃度の安定性がより高まる。
ハイブリット樹脂は、ポリエステル部位とビニル重合体部位との質量比が、80:20〜98:2であることが好ましく、85:15〜97:3であることがより好ましい。
上記範囲にすることで、ハイブリッド樹脂が有するメリットを得つつ、環境に依らず安定的な低温定着性を発揮する。
ハイブリット樹脂に含有される、ビニル重合体部位は、スチレンモノマーに由来するモノマーユニットと、アクリル酸系モノマー及び/又はメタクリル酸系モノマーに由来するモノマーユニットとを含有し、アクリル酸系モノマー及び/又はメタクリル酸系モノマーに由来するモノマーユニットの含有割合が、前記ビニル重合体部位を形成する全モノマーユニットに対して、80mol%以上95mol%以下であることが好ましく、85mol%以上93mol%以下であることがより好ましい。上記範囲にすることで、低温定着性を良化させることができる。この理由は、樹脂組成物A中にガラス転移温度の低いアクリル酸系モノマー及び/又はメタクリル酸系モノマーに由来するユニットを組み込むことで、樹脂組成物A中の架橋成分の軟化点を下げることなく、低温定着性を改善することができるためだと考えている。
ポリエステル樹脂又はポリエステル部位を構成するモノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のような2価のアルコールが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、下記(I)式で表されるビスフェノール及びその誘導体、並びに下記(II)式で表されるジオール類。
Figure 2019144364
(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつx+yの平均値は0以上10以下である。)
Figure 2019144364
酸成分としては、以下のような2価のカルボン酸が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上18以下のアルキル基若しくは炭素数6以上18以下のアルケニル基で置換されたこはく酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物。
3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル。上記のうち、環境変動による安定性も高い芳香族系化合物が好ましく、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール。
ビニル重合体部位を構成するビニル系モノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのような不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンのようなN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸又はメタクリル酸誘導体。
さらに、以下のものが挙げられる。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸のような不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物のような不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルのような不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸のような不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸のようなα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物のようなα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルのようなカルボキシ基を有するモノマー。
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンのようなヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
ハイブリッド樹脂のビニル重合体部位は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
芳香族ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類[ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの];ポリエステル型ジアクリレート化合物類(日本化薬社製「MANDA」)。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤の添加量は、架橋剤以外のモノマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10.00質量部以下であり、より好ましくは0.03質量部以上5.00質量部以下である。
これらの架橋剤のうち、ポリエステルを含む樹脂組成物に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
ビニル重合体部位の重合に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドのようなケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエイト、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート。
ビニル重合体部位とポリエステル部位をハイブリット化する方法としては、特に限定されることなないが、例えば以下の方法が挙げられる。ビニル重合体部位及び/又はポリエステル部位中に、両成分と反応し得るモノマー成分を含有させる方法。エステル由来の構成単位を含むビニル重合体部位にポリエステル部位をエステル交換反応させる方法。後述する極性を持つ絡まりの強い成分の量を制御しやすいという観点から、エステル交換反応させる方法がより好ましい。
また本発明のトナーは、樹脂組成物A中の、脂肪族炭化水素、長鎖アルキルモノアルコールのアルコール残基、及び長鎖アルキルモノカルボン酸のカルボン酸残基の合計の含有量をX、トナー中に含まれる結晶性樹脂の含有量をYとしたとき、以下の関係式(4)を満たすことが好ましい。
X/Y≧0.55…(2)
XとYが上記関係式を満たすことで、高温高湿環境下において耐久性が良好なトナーを得ることが出来る。X/Yが0.55より小さいと、長鎖アルキルに由来する成分の量が不足し、結晶性ポリエステルが配向し難くなる。
(結晶性ポリエステル)
本発明において、結晶性ポリエステルの示差走査熱量計(DSC)により測定されるピーク温度は、上記配向構造を取ることを鑑みた場合、50℃以上100℃以下であることが好ましい。より好ましくは60℃以上95℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上90℃以下である。
上記結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−イコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、低温定着性及び耐熱安定性、並びに、結晶性ポリエステルの配向のし易さという観点から、炭素数2以上18以下の脂肪族ジオールが好ましく、より好ましくは炭素数6以上14以下の脂肪族ジオールである。
上記脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80mol%以上100mol%以下含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していても良い。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等を含むビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
一方、結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられ、さらにこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
これらの中でも結晶性ポリエステルの配向のしやすさから、炭素数6以上18以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を用いることが好ましく、より好ましくは炭素数6以上10以下の脂肪族ジカルボン酸化合物である。
上記脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中に80mol%以上100mol%以下含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸成分としては、上記脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していても良い。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。
芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステルが好ましく挙げられる。前記アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の誘導体が挙げられる。
結晶性ポリエステルの原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
また、結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は7,000以上100,000以下であることが好ましく、より好ましくは8,000以上45,000以下である。上記範囲にすることで、昇華性を抑えつつ低温定着性を良好にすることが可能になるために好ましい。
本発明において、結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は以下の方法で測定される。
(1)試料溶液の調製
試料濃度が0.5g/100mLになるように、結晶性ポリエステルをクロロホルム中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP−200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶解液としてはクロロホルムを毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。
検量線は、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
(結着樹脂中の酢酸エチル不溶分・THF不溶分)
本発明のトナーは、トナーの酢酸エチルを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの結着樹脂中の酢酸エチル不溶分の含有量をα[質量%]としたとき、αが18.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、24.0質量%以上28.0質量%以下であることがより好ましい。
酢酸エチルはエステル基を有しており、極性が高いため、同様にエステル基を持ち、極性が高い線状成分を抽出することができる。一方、極性が高い成分であっても分子同士の絡まりが強い場合や非極性成分の抽出はほとんど進まない。酢酸エチル不溶分の含有量を測定することで、トナーの樹脂に含有される線状成分の内、極性が高い成分の量を測定することができる。酢酸エチルに可溶する線状成分は、高温高湿環境で樹脂を可塑化させるため、樹脂の酢酸エチル不溶分の含有量が上記範囲を満たすことで、高温高湿環境で長期間使用した際、トナーの可塑化を抑制し、耐久性が良好なトナーを得ることが出来る。
酢酸エチル不溶分の含有量は、樹脂を構成するエステル基等の極性を持つ部位の、モノマー組成や製造条件、及びトナーの製造条件を変更することによって調整することができる。
また本発明のトナーは、トナーのテトラヒドロフラン(THF)を用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの結着樹脂中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量をβ[質量%]としたとき、βが4.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましい。
THFはフラン環を有しており、極性を持つ線状成分だけでなく、極性を持つ絡まりが強い成分、更には非極性の線状成分を溶出できるため、樹脂の大部分の成分を溶出させることができる。そのため、樹脂のTHF不溶分の含有量は樹脂中の架橋成分の含有量を示している。樹脂中の架橋成分は、定着時の温度領域において変形し難く、THF不溶分の含有量を上記範囲とすることで、トナーが溶融した際にトナーが過剰に変形することを抑制し、ハーフトーン画像の粒状性が良好なトナーを得ることが出来る。
THF不溶分の含有量は、樹脂の架橋成分に用いるモノマー組成や製造条件、及びトナーの製造条件を変更することによって調整することができる。
また本発明のトナーは、上記α及びβが、下記式(5)を満たすことが好ましく、下記式(6)を満たすことがより好ましい。
15.0≦(α−β)≦25.0 式(5)
17.0≦(α−β)≦23.0 式(6)
トナーを上記構成とすることで、磁性粒子の分散性が向上し、熱伝導率を本発明の範囲に制御しやすくなる。その理由は定かではないが、以下のように考察している。
上述したように、THFは酢酸エチルよりも溶出力が高いため、酢酸エチルに可溶な成分はTHFにも溶解する。このため、式(5)中の(α−β)は、結着樹脂中の酢酸エチル不溶分のうち、THF可溶分、即ち、極性を持つ絡まりの強い成分の含有量を示す。本発明では、この極性を持つ絡まりの強い成分がトナー中の磁性粒子の分散性を向上していると考えている。
一般的に、磁性粒子のようにナノオーダーからサブミクロンオーダーの粒子は、van der Waals力の影響を大きく受けるため、凝集しやすいことが知られている。そのため、磁性粒子をトナー中で分散させるためには、様々な工夫が必要となる。例えば、粉砕法を用いたトナーの製造方法においては、溶融混練後速やかに混練物を冷却することで、分散させた磁性粒子が再凝集することを抑制している。本発明では、上述した極性を持つ絡まりの強い成分が、トナー粒子中にネットワーク構造体を形成していると考えている。このようなネットワーク構造体が、磁性粒子をキャッチし再凝集を抑制していると考えている。
ここでいうネットワーク構造体は、相互侵入網目構造とも称されるものであり、ポリマーブレンドの一種であり、ブレンドされた異種ポリマーが部分的あるいは全体的に相互に絡み合った、多重網目構造を有していることが好ましい。
また、式(5)を満たすことにより、高温高湿環境で長期間使用した際にも現像器内の撹拌や本体の昇温といった外的なストレスに対して強く、画像スジの発生を抑制することが出来る。
(トナーの製造方法)
トナーの製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の製造方法を採用することができる。以下、溶融混練工程及び粉砕工程を経てトナーを製造する方法を具体的に例示するがこれに限定されるものではない。
例えば、結着樹脂及び着色剤、並びに、必要に応じて離型剤、電荷制御剤及びその他の添加剤などを、ヘンシェルミキサ、ボールミルのような混合機により充分混合する(混合工程)。得られた混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する(溶融混練工程)。得られた溶融混練物を冷却固化した後、粉砕機を用いて粉砕(粉砕工程)し、分級機を用いて分級(分級工程)を行い、トナー粒子を得る。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサのような混合機により混合し、トナーを得る。
混合機としては、以下のものが挙げられる。FMミキサ(日本コークス工業社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
熱混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
また、粗粒子をふるい分けるために、以下の篩い装置を用いてもよい。
ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
(トナーのその他の構成材料)
本発明のトナーは、着色剤として上述したように磁性粒子を使用する。また、磁性粒子に加えて、黒色顔料を含有してもよい。黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックが例示できる。
トナーは、離型性を与えるために必要に応じて離型剤(ワックス)を用いることができる。
離型剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
より具体的には、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
これらは、一種又は二種以上を併用してもかまわない。
上記の中でも、離型効果を効率的に得る為に、離型剤の最大吸熱ピークのピーク温度が80℃以上の離型剤を含有することが好ましい。また、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、脂肪族炭化水素系ワックスが好ましい。
離型剤を添加するタイミングは、粉砕法でトナーを作製する場合においては、溶融混練時に添加してもよいが、結着樹脂の製造時であってもよい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
トナーは、その摩擦帯電性を安定化させるために電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤の含有量は、その種類や他のトナーの構成材料の物性によっても異なるが、一般に、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
電荷制御剤は、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩;芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノールなどのフェノール誘導体。
トナーを正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体;ホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物など);高級脂肪酸の金属塩。
これらの中でもニグロシン系化合物、四級アンモニウム塩などが好ましい。
また、電荷制御樹脂も用いることができ、上述の電荷制御剤と併用することもできる。
電荷制御剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Spilon Black TRH、T−77、T−95、TN−105(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)S−34、S−44、E−84、E−88(オリエント化学工業株式会社);TP−302、TP−415(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)N−01、N−04、N−07、P−51(オリエント化学工業株式会社);コピーブルーPR(クラリアント社)。
トナーは、帯電安定性、耐久現像性、流動性、耐久性向上のために、シリカ微粒子をトナー粒子に外添剤として添加することが好ましい態様の一つである。
シリカ微粒子は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上400m2/g以下であることがより好ましい。また、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粒子を0.01質量部以上8.00質量部以下用いることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下用いることがより好ましい。
シリカ微粒子のBET比表面積は、例えば、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粒子の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
シリカ微粒子は、必要に応じ、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
さらにトナーには、必要に応じて他の外添剤を添加してもよい。このような外添剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤などの働きをする樹脂微粒子や無機微粒子が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
トナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイトなどのキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性体が分散されたバインダー型のキャリアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<熱伝導率の測定方法>
(1)測定試料の調製
測定試料は、トナー約5g程度(試料の比重により可変する。)を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機を用いて20MPaで、60秒間圧縮成形し、直径25mm、高さ6mmの円柱状としたものを2個作製する。
(2)熱伝導率の測定
測定装置:ホットディスク法熱物性測定装置TPS2500S
試料ホルダ:室温用試料ホルダ
センサ:標準付属(RTK)センサ
ソフトウェア:Hot disk analysis 7
測定試料を室温用試料ホルダの取りつけテーブル台におき、測定試料表面がセンサと同じ高さになるようにテーブルの高さを調整する。センサの上に2個目の測定試料、さらに付属の金属片を置き、センサの上にあるネジを使用し圧力を加える。圧力はトルクレンチにて10cN・mに調整する。測定試料およびセンサの中心がネジの真下にあることを確認する。
Hot disk analysisを起動し、実験タイプをBulk(Type I)を選択する。
入力項目に以下の通り入力する。
Available Probing Depth:6mm
Measurement time:40s
Heating Power:60mW
Sample Temperrature:23℃
TCR:0.004679K−1
Sesor Type:Disk
Senor Material Type:Kapton
Sensor Design:5465
Sensor Radius:3.189mm
上記入力後、測定を開始する。測定終了後、Calculateボタンを選択し、Start Point:10、End Point:200を入力し、Standard Analysisボタンを選択し、Thermal Conductivity[W/mK]を算出する。
<X線光電子分光分析(ESCA)の測定方法>
本発明では、磁性粒子表面に存在する元素量をESCAによる表面組成分析で算出する。ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:アルバック−ファイ社製 Quantum 2000
分析方法:ナロー分析
測定条件:
X線源:Al−Kα
X線条件:100μm、25W、15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
測定範囲:φ100μm
以上の条件により測定を行い、炭素1s軌道のC−C結合に由来するピークを285eVに補正する。その後、下記範囲に検出されるピーク面積を算出する。
・94eV以上114eV以下にピークトップが検出されるケイ素2p軌道のSiO結合のピーク
・68eV以上78eV以下にピークトップが検出されるアルミニウム2p軌道のAlO結合のピーク
・705eV以上720eV以下にピークトップが検出される鉄2p軌道のFeO結合のピーク
・278eV以上298eV以下にピークトップが検出される炭素1s軌道のCO結合のピーク
・524eV以上542eV以下にピークトップが検出される酸素1s軌道のO結合のピーク
それぞれのピーク面積からアルバック−ファイ社提供の相対感度因子を用いることで、構成元素の総量に対するFeのatomic% Alatomic% Siatomic%を算出する。
<磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定>
<磁性粒子が占める面積の標準偏差の測定>
(1)測定試料の調製
トナー約0.5g程度(試料の比重により可変する。)を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機を用いて40MPaで、60秒間圧縮成形し、直径8mm、高さ5mmの円柱状のサンプルを作製する。得られたサンプルを超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度1mm/sで膜厚250nmのトナー断面を作製した。
(2)透過型電子顕微鏡(TEM)観察
得られた断面を、TEM(JEOL社、JEM2800)を用いてSTEM暗視野像観察を行なった。STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ2048×2048pixelで取得した。
(3)二値化処理
得られた画像については、画像処理ソフト「LUZEX(ニレコ社製)」にて2値化を行なった。トナー中の磁性粒子は白色に確認でき、得られた画像を2値化することで磁性粒子を抽出した。13μm×13μmの範囲について、磁性粒子の最大長を計測し、一次粒子の個数平均径(D1)を算出した。その後、区画法を用い、1μm×1μmの範囲中に占める磁性粒子部の面積率を算出し、169区画の標準偏差を算出した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定方法>
ガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418−82に準じて測定する。具体的には、トナー約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、下記条件で測定する。
<測定条件>
・測定モード:モジュレーションモード
・昇温速度:1.0℃/分
・モジュレーション温度振幅:±1.0℃/分
・測定開始温度:20℃
・測定終了温度:130℃
ガラス転移温度(Tg)は、上記リバーシングヒートフロー曲線から、中点法により求める。すなわち、上記リバーシングヒートフロー曲線における比熱変化が発現する前におけるベースラインと、該比熱変化が発現した後におけるベースラインとの中間点の線(すなわち、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線)と、該リバーシングヒートフロー曲線との交点を、ガラス転移温度とする。
<貯蔵弾性率G’(120↑)、及び貯蔵弾性率G’(60↓)の測定方法>
(1)測定試料の調製
測定試料は、トナー約0.15g程度(試料の比重により可変する。)を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機を用いて20MPaで、60秒間圧縮成形し、直径8mm、高さ2.0±0.3mmの円柱状のサンプルを作製する。
(2)サンプルの取り付け
測定装置としては、回転平板型レオメーター「ARES」(TA INSTRUMENTS社製)を用いる。サンプルをパラレルプレートに装着し、Axial Forceを250〜300に調整しHoldを行う。次に、室温(25℃)から65℃(トナーTg+5〜10℃の範囲で適宜調整)に昇温し、10分間温度を維持した後、試料の形を整えて、30℃までサンプルを冷却する。
(3)測定
測定は、以下の条件で行う。
・直径8mmのパラレルプレートを用いる。
・周波数(Frequency)は6.28rad/sec(1.0Hz)とする。
・印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
・50℃以上120℃以下の間を、昇温速度(Ramp Rate)2.0℃/minで、120℃以下50℃の間を、降温速度(Ramp Rate)2.0℃/minで測定を行う。尚、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
・最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
・最大トルク(Max Allowed Torque)200.0g・cmとし、最低トルク(Min Allowed Torque)0.2g・cmと設定する。
・歪み調整(Strain Adjustment)を 20.0% of Current Strain と設定する。測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
・自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)と設定する。
・初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10.0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を40.0gと設定する。
・自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×102(Pa)以上である。
上記の方法により、温度50℃から120℃まで昇温させた際に得られた120℃の時の値を貯蔵弾性率G’(120↑)、温度120℃から50℃まで降温させた際に得られた60℃の値を貯蔵弾性率G’(60↓)とした。
<酢酸エチル不溶分の含有量の測定方法>
トナー約1.5gを精秤(W1[g])し、予め精秤した円筒濾紙(商品名:No.86R、サイズ28×100mm、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。溶媒として酢酸エチル200mLを用いて18時間抽出する。その際に溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒ろ紙を取り出して風乾した後、50℃で24時間真空乾燥し、抽出残分を含む円筒濾紙の質量を秤量し、円筒濾紙の質量を差し引くことにより、抽出残分の質量(W2[g])を算出する。
次に、結着樹脂以外の成分の含有量(W3[g])を以下の手順で求める。
予め秤量した30mLの磁性るつぼに約2gのトナーを精秤(Wa[g])する。
磁性るつぼを電気炉に入れ、約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量を差し引くことにより焼却残灰分(Wb[g])を算出する。
そして、下記式(A)により、試料W1[g]中の焼却残灰分の質量(W3[g])を算出する。
W3=W1×(Wb/Wa) (A)
この場合、結着樹脂中の酢酸エチル不溶分の含有量は、下記式(B)で求められる。
酢酸エチル不溶分(質量%)={(W2−W3)/(W1−W3)}×100 (B)
<テトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有量の測定方法>
上記「酢酸エチル不溶分の測定方法」において、溶媒をTHFに変更した以外は同様の方法で樹脂由来のTHF不溶分の含有量を求める。
以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。なお、実施例において部は、特に断りのない限り質量基準である。
<長鎖アルキルモノマー(W−1)の製造例>
炭素数の平均値が35の鎖状飽和炭化水素1200部をガラス製の円筒型反応容器に入れ、硼酸38.5部を温度140℃で添加した。その後、直ちに空気50容量%と窒素50容量%の酸素濃度約10容量%の混合ガスを毎分20Lの割合で吹き込み、200℃で3.0時間反応させた。反応後、反応液に温水を加え、95℃で2時間加水分解を行い、静置後上層の反応物(変性品)を得た。得られた変性品20部をn−ヘキサン100部に加え、未変性成分を溶解除去して長鎖アルキルモノマー(W−1)を得た。得られた長鎖アルキルモノマー(W−1)の諸物性を表1に示す。なお、表1において変性率93.6%とは、93.6%が炭素数の平均値が35の飽和モノアルコールであり、残り6.4%が未変性の炭素数の平均値が35の飽和炭化水素である。
<長鎖アルキルモノマー(W−3)の製造例>
炭素数の平均値が35の鎖状飽和炭化水素1200部をガラス製の円筒型反応容器に入れ、硼酸38.5部を温度140℃で添加した。その後、直ちに空気50容量%と窒素50容量%の酸素濃度約10容量%の混合ガスを毎分20Lの割合で吹き込み、200℃で3.0時間反応させた。反応後、反応液に温水を加え、95℃で2時間加水分解を行った。更に、反応液に過マンガン酸カリウム38.5部を添加し、25度で3.0時間反応させ、静置後上層の反応物(変性品)を得た。得られた変性品20部をn−ヘキサン100部に加え、未変性成分を溶解除去して長鎖アルキルモノマー(W−1)を得た。得られた長鎖アルキルモノマー(W−3)の諸物性を表1に示す。なお、表1において変性率93.6%とは、93.6%が炭素数の平均値が35の飽和モノカルボン酸であり、残り6.4%が未変性の炭素数の平均値が35の飽和炭化水素である。
Figure 2019144364
表1中、W−2(※)は、ユニリン700(東洋ペトロライト社製)である。W−2に関して、変性率80.3%とは、80.3%が炭素数の平均値が48の飽和モノアルコールであり、残り19.7%が未変性の炭素数の平均値が48の飽和炭化水素である。
<ポリエステル系樹脂組成物(A−1)の製造例>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 50.0mol部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.3mol付加)50.0mol部
・テレフタル酸 74.0mol部
上記ポリエステル構成モノマー85.1部に加えて、長鎖アルキルモノマー(W−1)をポリエステル系樹脂組成物全体に対して5.0質量%になるように添加した。得られた混合物を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌した。そこに、ビニル重合体部位を構成するビニル系重合モノマー(スチレン:10.0mol部、ブチルアクリレート:90.0mol部)10部と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.7部を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。
その後、160℃で5時間反応した後、200℃まで昇温して、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネートを0.15部、及び没食子酸を0.01部添加した後、230℃で6時間重縮合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、tert−ブチルカテコール0.01部、及び無水トリメリット酸 4.9部を投入し、所望の粘度となるように反応時間を調節した。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して樹脂組成物(A−1)を得た。得られたポリエステル系樹脂組成物(A−1)の諸物性を表2に示す。
<ポリエステル系樹脂組成物(A−2)〜(A−18)の製造例>
表3に記載のモノマー処方に変更した以外は、ポリエステル系樹脂組成物(A−1)の製造例と同様にして、樹脂組成物(A−2)〜(A−18)を得た。得られた樹脂組成物(A−2)〜(A−18)の諸物性を表2に示す。
Figure 2019144364
Figure 2019144364
表3中において、
BPA−PO:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.0mol付加)
BPA−EO:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加)
TPA:テレフタル酸
TMA:無水トリメリット酸
St:スチレン
BA:ブチルアクリレート
*1:モノマーのmol部は、アルコール成分(長鎖アルキルモノマーを除く)の総モノマー量を100mol部とした時の比率を示す。
*2:モノマーのmol部は、ビニル重合体部位の総モノマー量を100mol部とした時の比率を示す。
*3:PES/StBA比率は、ポリエステル部位(長鎖アルキルモノマーを除く)/ビニル重合体部位(質量基準)である。
<ポリエステル系樹脂組成物(B−1)の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表4に記載の原料モノマーを表4に示す配合量(モル部)で投入した後、触媒としてジブチル錫を原料モノマー総量100部に対して1.0部添加した。このとき長鎖アルキルモノマーとしては、W−2(ユニリン700、東洋ペトロライト社製)を用いた。そして、窒素雰囲気下にて撹拌しながら槽内温度を150℃に昇温した後、150℃から200℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重合を行った。
200℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、200℃、5kPa以下の条件下にて3時間重縮合を行った。反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕してポリエステル系樹脂組成物(B−1)を得た。得られたポリエステル系樹脂組成物(B−1)の諸物性を表5に示す。
Figure 2019144364
表4中において、
BPA−PO:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.0mol付加)
BPA−EO:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加)
EG:エチレングリコール
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
*1:モノマーのmol部は、アルコール成分(長鎖アルキルモノマーを除く)の総モノマー量を100mol部とした時の比率を示す。
*2:mol%は、ポリエステル樹脂(長鎖アルキルモノマーを除く)のアルコールモノマーユニットを100mol部とした時の比率を示す。
Figure 2019144364
<結晶性ポリエステル(C−1)の製造例>
・1,12−ドデカンジオール 100.0mol部
・セバシン酸 100.0mol部
上記モノマー及びモノマー総量に対して、0.2質量%のジブチル錫オキシドを窒素導入管、脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した10Lの四つ口フラスコに入れ、180℃で4時間反応させた。その後、10℃/1時間で210℃まで昇温、210℃で8時間保持した後、8.3kPaにて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル(C−1)を得た。得られた結晶性ポリエステル(C−1)の諸物性を表6に示す。
Figure 2019144364
<磁性粒子1の製造例>
(1)コア粒子の製造
Fe2+濃度が1.60mol/Lの硫酸第一鉄水溶液92Lと、3.50mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを加えて混合撹拌した。この溶液のpHは6.5であった。この溶液を温度89℃、pH9〜12に維持しながら、20L/minの空気を吹き込み、酸化反応を起こさせてコア粒子を生成させた。水酸化第一鉄が完全に消費された時点で、空気の吹き込みを停止し、酸化反応を終了させた。得られたマグネタイトからなるコア粒子は八面体形状を有するものであった。
(2)被覆層の形成
0.70mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液2.50Lと0.90mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2.00Lを混合した後、水1.00Lを加え、5.00Lの水溶液とし、13500gのコア粒子を含む上記反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。
続いて、1.50mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液0.70Lと0.90mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2.00Lを混合した後、水1.00Lを加え、5.00Lの水溶液とし、コア粒子を含む上記反応後のスラリーにpH7〜9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。
スラリーの温度は89℃に維持した。30分間、混合撹拌後にスラリーを濾過して、洗浄、乾燥させて、磁性粒子1を得た。
磁性粒子1の形状は八面体であり、磁性粒子1の一次粒子の個数平均粒径(D1)は110nmであった。得られた磁性粒子1の諸物性を表7示す。
<磁性粒子2〜8の製造例>
最終的に得られる磁性粒子が表7の物性になる様に被覆層の形成条件を適宜変更した以外は磁性粒子1の製造例と同様にして磁性粒子2〜8を得た。
磁性粒子2〜8で用いられた金属塩の種類及び添加量を表8に、磁性粒子2〜8の諸物性を表7に示す。
Figure 2019144364
Figure 2019144364
〔実施例1〕
・ポリエステル系樹脂組成物(A−1) 55.0部
・ポリエステル系樹脂組成物(B−1) 45.0部
・結晶性ポリエステル(C−1) 4.0部
・磁性粒子1 40.0部
・離型剤(フィッシャートロプシュワックス) 2.0部
(サゾール社製、C105、融点105℃)
・電荷制御剤(T−77、保土谷化学工業社製) 2.0部
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業(株)製)で前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)で粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.0μmの負帯電性のトナー粒子を得た。
トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粒子[BET比表面積150m2/g、シリカ微粒子100部に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部及びジメチルシリコンオイル10部で疎水化処理したもの]1.0部をFMミキサ(日本コークス工業(株)製FM−75型)で外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。得られたトナー1の諸物性を表9に示す。
得られたトナーを用いて、以下の評価を行った。
<試験>
HP LaserJet Enterprise M609dnを、プリンタの将来的な更なる高速化を考慮して、プロセススピードを410mm/secに改造して使用した。評価を行った結果を、表11に示す。
<低温定着性1;擦り濃度低下率>
擦り濃度低下率は、上記評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを410mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。
上記装置を用い、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において、単位面積当たりのトナー載り量を0.5mg/cm2に設定した未定着画像を、200℃に温調した上記定着器に通した。なお、評価紙には「PB PAPER」(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm2、レター)を用いた。得られた定着画像を4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン紙で摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価した。
A:画像濃度の低下率が5.0%未満である。
B:画像濃度の低下率が5.0%以上10.0%未満である。
C:画像濃度の低下率が10.0%以上15.0%未満である。
D:画像濃度の低下率が15.0%以上である。
<低温定着性2;定着ポツ抜け>
定着ポツ抜けは、上記評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを450mm/secとなるように改造した外部定着器を用いた。
上記装置を用い、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において、単位面積当たりのトナー載り量を1.0mg/cm2に設定した全面ベタの未定着画像を、200℃に温調した定着器に通した。なお、評価紙には「PB PAPER」(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm2、レター)を用いた。
得られた画像を目視にて確認し、トナーの定着が不十分でトナーがポツ抜けしている箇所の個数を数え、以下の基準により定着ポツ抜けを評価した。
A:ポツ抜け個数が4個未満である。
B:ポツ抜け個数が4個以上8個未満である。
C:ポツ抜け個数が8個以上11個未満である。
D:ポツ抜け個数が11個以上である。
<排紙接着>
排紙接着性の評価については、印字比率6%のテストチャートを用いて、高温高湿環境(温度32℃、相対湿度80%;H/H)、及び常温常湿環境(温度25℃、相対湿度50%;N/N)の2環境で行った。それぞれの環境において、プロセススピードを、450mm/sec、500mm/secに設定し、定着器の設定温度を評価するトナーによって変更した。すなわち、各トナーの<擦り濃度低下率>における画像濃度の低下率が10%の時の温度より10℃高い温度に設定した。なお、評価紙には「PB PAPER」(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm2、レター)を用い、10枚の連続プリント試験を行った。その後、10枚重ねた状態で未開封のオフィスプランナー用紙の束(500枚/束)を7束(3500枚に相当)重ねて1時間荷重をかけ、剥がした際の状態を評価した。
A:排紙接着が発生しない。
B:紙同士の接着は見られるが剥がした際に画像に欠陥が見られることはない。
C:剥がした際に画像に欠陥が見られる。
D:剥がした際に画像に顕著な欠陥が見られる。
<かぶりの評価>
高温高湿環境(温度32℃、相対湿度80%)で、印字比率が1%の画像を出力する動作を繰り返し、出力枚数が500枚に到達する毎に1晩放置した。その後、上記の様にして500枚出力し1晩放置する工程を繰り返し、最終的には5000枚の画像出力を行い、以下の方法で評価を行った。なお、評価紙には「PB PAPER」(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm2、レター)を用いた。
上記の画像出力試験において、毎回白地部分を有する画像を1枚ずつ合計で10枚出力した。その後、白地部分を有する画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、かぶり濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出した。なお、白色度は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。10枚の白地部分を有する画像のうち、かぶりが最悪であったものについて、以下のランク付けを行った。
A:かぶり濃度が2.5%未満である。
B:かぶり濃度が2.5%以上4.5%未満である。
C:かぶり濃度が4.5%以上6.5%未満である。
D:かぶり濃度が6.5%以上である。
<耐久後の画像濃度>
上記改造機を用いて評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1をカートリッジに700g充填した。
印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、25,000枚の画出し試験を実施した。評価は高温高湿環境(温度32.5℃、湿度85%RH)で行った。評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm2、レター)を用いた。
25,001枚目において、先端余白5mm、左右余白5mmで、左、右、中央の3箇所、さらにこれを長手方向に30mm間隔で3箇所、合計で9個に5mm×5mmのベタ黒パッチ画像を有するチェック画像を出力した。
このチェック画像の9箇所のベタ黒パッチ画像部分の画像濃度を測定し、平均値を求めた。画像濃度は反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定し、以下の基準で評価を行った。
A.画像濃度が1.30以上。
B.画像濃度が1.10以上1.30未満。
C.画像濃度が0.90以上1.10未満。
D.画像濃度が0.90未満。
<苛酷保存性>
カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填した。まず駆動側を下として、300回タッピングを行い、トナーを圧密充填させた状態とした。その後、カートリッジを、駆動側を下とした状態で、苛酷環境下(温度40℃、湿度95%RH)に90日間放置することで、厳しい状態で苛酷保存性の評価を行った。
カートリッジを取り出した後、上記改造機を用いて、高温高湿環境(温度32.5℃、湿度85%RH)にて画出し試験を実施し、苛酷保存性の評価を行った。
画出し試験は、まず印字率が2.0%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、20,000枚の画出し試験を実施した後、同環境にてチェック画像を出力した。
チェック画像としては、200mm×280mmのハーフトーン画像(ドット印字率23%)を出力し、チェック画像に縦スジが発生しているかどうかを目視にて観察し、下記の基準から評価を行った。
A:スジは発生していない。
B:1mm未満のスジが1本以上5本以下発生し、1mm以上のスジは発生していない。
C:1mm未満のスジが6本以上発生し、1mm以上のスジは発生していない。
D:1mm以上のスジが発生している。
<ハーフトーン画像の粒状性>
上記改造機を用いて評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1をカートリッジに700g充填した。なお、記録媒体にはVitality(Xerox社製、坪量75g/cm2、レター)のうち後述の表面粗さ測定においてSa(算術平均高さ)が3.00μm以上の記録媒体で評価を行った。
評価環境は、高温高湿環境(温度32.5℃、湿度85%RH)で行った。印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、20,000枚の画出し試験を行った。
20,001枚目において、記録媒体に全面ハーフトーン画像を形成した。
定着器の設定温度は評価されるトナーによって変更した。すなわち、各トナーの上記評価(擦り濃度低下率)における画像濃度の低下率が10%の時の温度より10℃高い温度に設定した。そして、ハーフトーン画像上に濃度ムラがあるかどうかを目視で判断した。
A:濃淡ムラが未発生。
B:濃淡ムラがごく軽微に発生している。
C:濃淡ムラが発生している。
D:濃淡ムラが全面に発生している。
<全面ベタ画像における白スジ(ベタ画像白スジ)>
高温高湿環境(温度32℃、相対湿度80%)で、印字比率が1%の画像を出力する動作を繰り返し、出力枚数が2500枚に到達する毎に1晩放置した。その後、上記の様にして2500枚出力し1晩放置する工程を繰り返し、最終的には25000枚の画像出力を行い、画像形成装置の電源を落として1週間放置した。その後、画像形成装置を再起動させ、印字紙全面にベタ画像部を形成したチャートを1枚出力し、以下の基準で評価を行った。
A:画像上に白いスジ状の縦線が全く見られない。
B:画像上に白いスジ状の縦線が、1〜3本うすく見られる。
C:画像上にはっきりとした白いスジ状の縦線が、1〜3本見られる。
D:画像上にはっきりとした白いスジ状の縦線が、4本以上見られる。
〔実施例2〜27、及び実施例29〕
表10に記載の処方とする以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜27、及びトナー29を得た。得られたトナー2〜27、及びトナー29の諸物性を表9に示す。
また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表11に示す。
〔実施例28〕
<トナー粒子の製造>
(水系媒体の調製)
イオン交換水720部にNa3PO4水溶液(0.1モル/L)450部を投入して60℃に加温した。その後、CaCl2水溶液(1.0モル/L)67.7部を添加して、クレアミックス(エムテクニック製)を用いて、1,200r/minにて撹拌し水系媒体を調製した。
(磁性粒子分散工程)
下記原料を混合し、キャビトロン(ユーロテック社製)を用いて、回転子の周速を35m/sにて2時間処理を行い、均一に分散混合して磁性体含有重合性単量体を得た。
・スチレン 79.0部
・n−ブチルアクリレート 21.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・電荷制御剤(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.5部
・磁性粒子1 60.0部
・非晶性飽和ポリエステル樹脂 5.0部
ここで非晶性飽和ポリエステル樹脂はビスフェノールAのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られるものを用いた。(Mw=9500、酸価=2.2mgKOH/g、ガラス転移温度=68℃)
(重合性単量体組成物調製工程)
磁性粒子分散工程で得られた磁性粒子含有重合性単量体を63℃に加温し、下記原料を添加し、キャビトロン(ユーロテック社製)を用いて、回転子の周速を35m/sにて1時間処理を行い、均一に分散混合して重合性単量体組成物を得た。
・結晶性ポリエステルC−1 4.0部
・エステルワックス 5.0部
・脂肪族炭化水素系ワックス 8.0部
ここでエステルワックスは融点=73℃のセバシン酸ジベヘニルを用いた。また、脂肪族炭化水素系ワックスは融点=75℃のパラフィンワックスを用いた。
(造粒工程及び重合工程)
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下においてクレアミックス(エムテクニック製)を用いて1,200r/minにて7分間撹拌し、重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレート5.0部を添加した。その後、13分間撹拌して造粒した。次に、パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で4時間重合反応を実施した。
その後、常温まで冷却し、分散体に塩酸を加えて十分洗浄することで分散剤を溶解し、濾過及び乾燥して重量平均粒径(D4)7.1μmの負帯電性のトナー粒子を得た。
トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粒子[BET比表面積150m2/g、シリカ微粒子100部に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部及びジメチルシリコンオイル10部で疎水化処理したもの]1.0部をFMミキサ(日本コークス工業(株)製FM−75型)で外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー28を得た。得られたトナー28の諸物性を表9に示す。
〔比較例1〜3〕
表10に記載の処方とする以外は、実施例1と同様にして、トナー30〜32を得た。得られたトナー30〜32の諸物性を表9に示す。
また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表11に示す。
Figure 2019144364
Figure 2019144364
Figure 2019144364

Claims (9)

  1. 結着樹脂及び磁性粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    (i)回転平板型レオメーターにより、温度50℃から120℃まで2℃/minで昇温させた時の120℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’(120↑)が4.00×103Pa以下であり、
    (ii)ホットディスク法により測定されるトナーの熱伝導率が0.190W/mK以上
    であることを特徴とするトナー。
  2. 回転平板型レオメーターにより、温度120℃から50℃まで2℃/minで降温させた時の60℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’(60↓)が1.00×107Pa以上である、請求項1に記載のトナー。
  3. 回転平板型レオメーターによって測定される前記トナーの貯蔵弾性率G’(120↑)、及び前記トナーの貯蔵弾性率G’(60↓)が下記式(1)の関係を満たす、請求項1または2に記載のトナー。
    貯蔵弾性率G’(60↓)/貯蔵弾性率G’(120↑)≧2.00×104 式(1)
  4. 前記トナー粒子が、更に結晶性ポリエステルを含有し、
    前記結着樹脂が樹脂組成物Aを含有し、
    前記樹脂組成物Aが、
    i)炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールのアルコール残基、及び炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸のカルボン酸残基の少なくとも一方の残基を末端に有するポリエステル樹脂、及び
    ii)炭素数の平均値が27以上50以下の脂肪族炭化水素、
    を含有し、
    前記樹脂組成物A中の、前記脂肪族炭化水素、並びに、前記残基の合計の含有量が、2.5質量%以上10.0質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記樹脂組成物A中の、前記脂肪族炭化水素、及び前記残基の合計の含有量をX、前記トナー中に含まれる前記結晶性樹脂の含有量をYとしたとき、下記式(2)を満たす、請求項4に記載のトナー。
    X/Y≧0.55 式(2)
  6. 前記磁性粒子の表面のX線光電子分光分析(ESCA)を用いた測定において、下記式(3)及び(4)を満たす、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトナー。
    1.0≦dSi/dAl 式(3)
    0.10≦(dSi+dAl)/(dFe+dSi+dAl)≦0.50 式(4)
    (式中、dSiはケイ素原子のatomic%を示す。dAlはアルミニウム原子のatomic%を示す。dFeは鉄原子のatomic%を示す。)
  7. 前記トナーの透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察において、前記磁性粒子の一次粒子の個数平均径(D1)が50nm以上200nm以下であり、
    13μm×13μmの視野において、1μm×1μmの範囲における前記磁性粒子の占める面積の標準偏差が10.0以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記トナーの酢酸エチルを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの前記結着樹脂中の酢酸エチル不溶分の含有量α[質量%]が、18.0質量%以上30.0質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 前記トナーの酢酸エチルを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの前記結着樹脂中の酢酸エチル不溶分の含有量をα[質量%]とし、
    前記トナーのテトラヒドロフランを用いたソックスレー抽出において、18時間抽出したときの前記結着樹脂中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量をβ[質量%]としたとき、
    前記α及び前記βが、下記式(5)を満たす、請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナー。
    15.0≦(α−β)≦25.0 式(5)
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