JP6742806B2 - トナー - Google Patents
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Description
トナーをより低温で溶融させる手法として、トナーの主成分である結着樹脂の溶融粘度を低めに制御することが知られている。しかし、結着樹脂自体の溶融粘度を低めに制御した場合、トナーの耐久性が低下する。その結果、高温高湿環境下で長期間使用後は、トナーの劣化による帯電量の変動が大きくなり、ハーフトーン画像の濃度ムラ(以下、ハーフトーンムラと表記する)が発生する場合があった。そこで、結着樹脂自体の溶融粘度を低くする方法ではなく、可塑剤を添加することでトナーをより低温で溶融させる手法が種々検討されてきた。
また、特許文献2では、ビスフェノキシエタノールフルオレンをトナー中に6質量%以上17質量%以下含有させることで、広い定着温度域に対応可能なトナーが提案されている。
一方で、特許文献3では、トナーに使用する結着樹脂を構成するモノマーの一つとして、ビスフェノキシエタノールフルオレンを使用した結着樹脂が開示されている。
また、特許文献2に記載のトナーを用いた場合、定着性に対して効果が得られたが、高温高湿環境下で用いた場合、帯電量が低下してハーフトーンムラが発生しやすくなる場合があった。
さらに、特許文献3に記載されているトナーは、モノマーの一つとして、ビスフェノキシエタノールフルオレンを、従来結着樹脂に使用されているビスフェノールA誘導体の代替品として用いている。特許文献2と同様の化合物を用いているが、添加剤としてトナー
中に存在していない為、低温定着性や帯電性の向上に対しては効果は得られなかった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、結着樹脂、着色剤、及び前記一般式〔1〕で表される化合物を含有することを特徴とするトナーに関する。
本発明者らの検討によれば、上記のトナーを用いる事により、従来よりも低温定着性に優れ、定着部材が汚染されにくく、高温高湿環境下で長期間使用後もハーフトーンムラが発生しにくいトナーを提供できることを見出した。
本発明者らが鋭意検討した結果、前記一般式〔1〕で表される化合物は、一般的にトナーに用いられる結着樹脂(例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂など)との相溶性が非常に高いことを見出した。前記一般式〔1〕で表される化合物は、トナーに用いられる結着樹脂と均一に相溶するため、トナー中に偏在あるいは、トナーから遊離することが無い。よって、前記一般式〔1〕で表される化合物を含有するトナーは、定着部材を汚染することがなく、帯電量分布もシャープに維持することが可能になる為
、ハーフトーンムラが発生しにくい。
また、本発明者らは、前記一般式〔1〕で表される化合物は、トナーに用いられる結着樹脂(例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂など)への可塑効果が非常に高いことも見出した。そのため、前記一般式〔1〕で表される化合物は、トナーの溶融粘度を効果的に下げることができる為、従来よりも優れた低温定着性を達成することが可能となった。以上のような効果は、前記一般式〔1〕で表される化合物の構造に由来すると考えられる。
本発明で用いられる前記一般式〔1〕で表される化合物について説明する。
本発明の特徴は、下記一般式〔1〕で表される化合物をトナー中に含有することである。
炭素数1以上6以下の炭化水素基は、ターシャリーブチル基であることがより好ましい。また、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基は、メチロール基であることが好ましい。
前記一般式〔1〕の中で、Xが−CR9R10−であるとは、下記一般式〔2〕で表される化合物であることを示している。
それぞれ独立して水素原子、臭素原子、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、水酸基、フェニル基、及び炭素数が1以上6以下の炭化水素基から選択される基を表す。)
炭素数1以上6以下の炭化水素基は、ターシャリーブチル基であることがより好ましい。また、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基は、メチロール基であることが好ましい。
フルオレン、9,9−ジメチルフルオレン、2−アミノ−9,9−ジメチルフルオレン、2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレン、2−アミノフルオレン、9−ブロモフルオレン、2−ブロモフルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン、2−ヨードフルオレン、2−フルオロフルオレン、2−フルオレンカルボキシアルデヒド、9−フルオレノール、9−フェニル−9−フルオレノール、2−アセチルフルオレン、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン、9−フルオレニルメタノールのようなフルオレン誘導体、9−フルオレノン、2−ブロモ−9−フルオレノン、2−アミノ−9−フルオレノンのようなフルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン、2−ブロモジベンゾチオフェン、4−ブロモジベンゾチオフェン、4−ヨードジベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン−4−カルボキシアルデヒド、2,8−ジメチルジベンゾチオフェンのようなジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン、2−ブロモジベンゾフラン、4−ブロモジベンゾフラン、ジベンゾフラン−2−カルボキシアルデヒドのようなジベンゾフラン誘導体。
Xがカルボニル基であるフルオレノン誘導体を使用することで、トナーへの可塑効果がより良好となる為、低温定着性が良好となる。
前記一般式〔1〕で表される化合物の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.2質量部以上10質量部以下がより好ましく、1質量部以上5質量部以下がさらに好ましい。前記一般式〔1〕で表される化合物の含有量を上述の範囲に制御することで、トナーへの可塑効果や相溶性がより良好となり、低温定着性及び定着部材への汚染性が良好となり、さらに高温高湿環境下で長期間使用後も、ハーフトーンムラが少ない画像を得ることができる。なお、トナー中に式〔1〕で表される化合物が含まれているか否かは、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計や核磁気共鳴装置(1H−NMR)などを用いて調べることができる。
前記一般式〔1〕で表される化合物は沸点が290℃以上であることが好ましい。沸点が290℃以上であることにより、定着時の熱でも化合物が揮発しにくく、定着部材の汚染を抑制することができる。上限は特に制限されないが、好ましくは600℃以下であり、より好ましくは500℃以下である。
、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。中でも好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエステル樹脂とスチレン系共重合樹脂が混合又は両者が一部反応したハイブリッド樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂を構成する2価の酸成分としては、以下のジカルボン酸又はその誘導体が挙げられる。フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;炭素数の平均値が1以上50以下のアルケニルコハク酸類又はアルキルコハク酸類、又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物若しくはその低級アルキルエステル。
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
(式中、R’はエチレン又はプロピレン基であり、x’、y’はそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x’+y’の平均値は0以上10以下である。)
3価以上のカルボン酸化合物としては、特に制限されないが、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。また、3価以上のアルコール化合物としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
く、公知の方法を用いることができる。例えば、前述の2価のカルボン酸化合物及び2価のアルコール化合物をエステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。
スチレン以外のスチレン系共重合樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなスチレン系モノマー及びアクリル酸系モノマーが挙げられる。
さらに、スチレン系共重合樹脂を構成するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンのようなヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
上記芳香族ジビニル化合物としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられる
上記エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。
上記多官能の架橋剤としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
このような重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドのようなケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロビルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
そのため、両樹脂のモノマーのいずれとも反応しうる化合物(以下「両反応性化合物」という)を用いて重合を行うことが好ましい。このような両反応性化合物としては、前記のポリエステル樹脂のモノマー及びスチレン系共重合樹脂のモノマー中の、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、及びフマル酸ジメチル等の化合物が挙げられる。これらのうち、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸が好ましく用いられる。
ハイブリッド樹脂において、ポリエステル樹脂とスチレン系共重合樹脂の混合比(質量比)はポリエステル樹脂/スチレン系共重合樹脂で50/50〜90/10であることが分子レベルでの架橋構造の制御の観点で好ましく、50/50〜80/20がより好ましい。
2種以上の結着樹脂を含有する場合は、高軟化点樹脂は、軟化点が120℃以上170℃以下であることが好ましい。また、低軟化点樹脂は軟化点が70℃以上120℃未満であることが好ましい。
軟化点の異なる2種以上の結着樹脂を含有することで、トナーの分子量分布の設計を比較的容易に行うことができ、幅広い定着領域を持たせることができるので好ましい。
結着樹脂1種類を単独で使用する場合、軟化点は95℃以上170℃以下が好ましい。
より好ましくは120℃以上160℃以下である。軟化点が上記の範囲内であれば、耐高温オフセット性と低温定着性が良好となる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度Tmである。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナー用結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC)、MDSC−2920(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて、常温常湿下で測定する。測定試料として、結着樹脂約3mgを精密に秤量したものを用いる。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。測定温度範囲を30℃以上200℃以下とし、一旦、昇温速度10℃/minで30℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から30℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
磁性1成分トナーとして用いる場合、着色剤としては、磁性酸化鉄粒子が好ましく用いられる。磁性1成分トナーに含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe,C
o,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
磁性酸化鉄粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、30質量部以上150質量部以下が好ましい。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
ラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。必要に応じて一種類又は二種類以上のワックスを、少量併用してもかまわない。
脂肪族炭化水素系ワックスの母体となる炭化水素としては、以下のものが挙げられる。具体的には、金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えば、ジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレン等のアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素等が挙げられる。
パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールとを反応させてなる部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
離型剤を添加するタイミングは、トナー製造時に添加してもよいし、結着樹脂の製造時に添加してもよい。また、これら離型剤は、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。離型剤は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。必要に応じて一種類又は二種類以上の荷電制御剤を併用してもかまわない。荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下添加することが好ましい。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。
シリカ微粉体のBET比表面積は、例えば比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粉体の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
さらに本発明のトナーには、必要に応じて他の外添剤を添加してもよい。このような外添剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする樹脂微粒子や無機微粉体が挙げられる。帯電補助剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの金属酸化物が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
粉砕法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。結着樹脂、着色剤、前記一般式〔1〕で表される化合物、及び必要に応じてその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。さらに必要に応じて
、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法は、樹脂微粒子、及び着色剤微粒子を凝集する工程を含むトナーの製造方法であって、前記樹脂微粒子は、前記一般式〔1〕で表される化合物を含有する製造方法であることが好ましい。
具体的には、前記一般式〔1〕で表される化合物を含む樹脂微粒子、及び着色剤微粒子の凝集工程、融合工程、冷却工程、洗浄工程を経てトナー粒子が製造される。必要に応じて、樹脂微粒子とは別に、式〔1〕で表される化合物の微粒子を作製し用いてもよい。また必要に応じて、冷却工程後にシェル化工程を加え、コアシェルトナー粒子にすることもできる。
結着樹脂を含む樹脂微粒子は公知の方法で調製できる。例えば、前記結着樹脂を有機溶剤に溶かして水系媒体に添加し、界面活性剤や高分子電解質と共にホモジナイザーなどの分散機により水系媒体に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を除去することにより、樹脂粒子分散液を作製することができる。溶解させるために使用する有機溶剤としては、前記結着樹脂を溶解させるものであればどのようなものでも使用可能であるが、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、クロロホルムなどが溶解性の観点から好ましい。
前記一般式〔1〕で表される化合物を添加する方法として、前記結着樹脂と共に、前記一般式〔1〕で表される化合物を有機溶剤に溶かすことで、前記一般式〔1〕で表される
化合物を含有した結着樹脂微粒子を作製してもよい。
また、乳化工程において、水系媒体中のpHを8以上にすることが好ましい。pHを8以上にすることによって、乳化時に発生したモノマー成分を水系媒体中に除去し易くなる。pHの調整は任意の塩基を使用することができるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。
乳化時に使用する界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、カルボン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。当該界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は0.05μm以上1.0μm以下が好ましく、0.05μm以上0.4μm以下がより好ましい。1.0μm以下であると、トナー粒子として適切な体積基準のメジアン径である4.0μm以上7.0μm以下のトナー粒子を得やすくなる。
着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体に分散させてなる。着色剤は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、必要に応じて分散安定性を付与する界面活性剤や高分子分散剤を添加することができる。着色剤は上述した着色剤を使用することができる。
乳化凝集法では、式〔1〕で表される化合物の微粒子を用いてもよい。前記一般式〔1〕で表される化合物の微粒子は、前記一般式〔1〕で表される化合物を水系媒体に分散させてなる。前記一般式〔1〕で表される化合物は公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。また、必要に応じて分散安定性を付与する界面活性剤や高分子分散剤を添加することができる。
樹脂微粒子、着色剤微粒子、前記一般式〔1〕で表される化合物の微粒子の粒度分布の解析は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、LA−950)を用い該装置の操作マニュアルに従い測定する。循環水に界面活性剤水溶液を滴下後、各微粒子分散液を機器の最適濃度まで滴下し、超音波で30秒間分散させて、測定を開始し、50%累積粒径値(D50)及び90%累積粒径値(D90)を求める。
凝集工程とは、上述の樹脂微粒子、及び着色剤微粒子などを必要量に応じて混合し混合液を調製し、ついで、調製された混合液中に含まれる粒子を凝集し、凝集体を形成させる工程である。当該凝集体を形成させる方法としては、例えば凝集剤を上記混合液中に添加・混合し、温度、機械的動力等を適宜加える方法が好適に例示できる。
上記凝集剤としては、例えば、ナトリウム、カリウム等の1価の金属の金属塩;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属の金属塩;鉄、アルミニウム等の3価の金属の金属塩があげられる。
以下の温度で行うことが好ましい。この温度条件下で上記混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。上記混合は、公知の混合装置、ホモジナイザー、ミキサー等を用いて行うことができる。
ここで形成される凝集体の平均粒径としては、特に制限はないが、通常、得ようとするトナー粒子の平均粒径と同じ程度になるよう4.0μm以上9.0μm以下に制御するとよい。制御は、例えば、上記凝集剤等の添加・混合時の温度と上記撹拌混合の条件を適宜設定・変更することにより容易に行うことができる。なお、トナー粒子の粒度分布はコールター法による粒度分布解析装置(コールターマルチサイザーIII:コールター社製)にて測定できる。
また、乳化工程と同様にポリエステル樹脂の加水分解で発生するモノマーを水系媒体中に溶解させて除去する観点から、水系媒体中のpHを8以上にすることが好ましい。pHが8以上であると、乳化工程で水系媒体中に流出したモノマーが析出しにくいため、トナー中に取り込まれる恐れが少なくなる。
融合工程とは、上記凝集体を、樹脂のガラス転移点(Tg)以上に加熱し融合することで、凝集体表面を平滑化させた粒子を製造する工程である。一次融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤等を適宜投入することができる。
キレート剤の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩等のアルカリ金属塩、グルコン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム、ニトロトリアセテート(NTA)塩、COOH及びOHの両方の官能性を含む多くの水溶性ポリマー類(高分子電解質)が挙げられる。
冷却工程とは、上記粒子を含む水系媒体の温度を、結着樹脂のガラス転移点(Tg)より低い温度まで冷却する工程である。冷却を該Tgより低い温度まで行うことで、粗大粒子の発生を抑制できる。具体的な冷却速度は、好ましくは0.1℃/分以上50℃/分以下である。
また本発明では必要に応じて、下記の洗浄乾燥工程の前にシェル化工程を入れることができる。シェル化工程はこれまでの工程で作製した粒子に、樹脂微粒子を新たに添加し付着させて、シェル化させる工程である。
ここで添加する樹脂微粒子はコアに使用した樹脂微粒子と同一の構造でもよいし、異なる構造の樹脂微粒子でもよい。
から、ポリエステル樹脂がより好ましい。ポリエステル樹脂は、主鎖中に剛直な芳香環を有する場合、スチレン−アクリル共重合体のようなビニル系重合体にくらべ可撓性を有するため、ビニル系重合体より低分子量のものであっても同等の機械的強度を付与できる。そのため、低温定着性に適した樹脂としてもポリエステル樹脂が好ましい。
本発明においては、上記のシェル層を構成する結着樹脂は単独で用いてもよいが、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記工程を経て作製した粒子を、洗浄、ろ過、乾燥等することにより、トナー粒子を得ることができる。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムでpHを調整されたイオン交換水で洗浄ろ過を行い、続いて、イオン交換水で洗浄、ろ過を複数回行うことが好ましい。この方法で、洗浄を行うことによって、加水分解によって発生したモノマー成分を効率的に除去することができる。
上記工程により、乳化凝集法によるトナー粒子を得ることができ、さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法とは、結着樹脂を生成する重合性モノマー及び着色剤を含有する重合性モノマー組成物の粒子を水系媒体中で形成し、前記粒子中に含有される前記重合性モノマーを重合させて得られるトナー粒子の製造方法であって、前記重合性モノマー組成物は、前記一般式〔1〕で表される化合物を含有する製造方法であることが好ましい。
重合性モノマー組成物の粒子を重合させて得られた粒子を、好ましくは、濾過し、洗浄し、乾燥させることで、トナー粒子を得ることができる。必要に応じて、重合後に蒸留を行い、残留している重合性モノマーを除いてもよい。
重合性モノマーを重合させる際に用いることのできる重合開始剤は、重合性モノマー中に他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中で重合性モノマー組成物の粒子を形成する直前に加えてもよい。また、重合性モノマー組成物の粒子の形成直後かつ重合反応を開始する前に、重合性モノマー又は溶媒に溶解させた重合開始剤を加えてもよい。
これらの重合開始剤の使用量は、重合性モノマー100.0質量部に対して3.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
無機系の分散安定剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
有機系の分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセル
ロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが挙げられる。
これらの分散安定剤の中でも、無機系の難水溶性の分散安定剤が好ましい。また、酸に可溶性である難水溶性の無機分散安定剤がより好ましい。
また、分散安定剤の使用量は、重合性モノマー100.0質量部に対して0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。
また、水系媒体の使用量は、重合性モノマー組成物100質量部に対して300質量部以上3000質量部以下の水を用いて調製されたものが好ましい。
上記工程により、懸濁重合法によるトナー粒子を得る事ができ、さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
溶解懸濁法によるトナー粒子の製造方法は、結着樹脂、着色剤、及び前記一般式〔1〕で表される化合物を含有するトナー粒子組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させた混合樹脂溶液を水系媒体中で分散し、該混合樹脂溶液の粒子を形成する造粒工程、及び該混合樹脂溶液の該粒子中に存在する該有機溶媒を除去してトナー粒子を得る溶剤除去工程を含むトナー粒子の製造方法である。
有機溶媒中に、結着樹脂、着色剤、及び前記一般式〔1〕で表される化合物などを含むトナー粒子組成物を溶解又は分散させた混合樹脂溶液を作製する方法としては、有機溶媒中に攪拌をしながら結着樹脂、着色剤、及び前記一般式〔1〕で表される化合物などを徐々に添加していき、溶解又は分散させればよい。
有機溶媒中に結着樹脂と前記一般式〔1〕で表される化合物を溶解することで、結着樹脂と前記一般式〔1〕で表される化合物が均一に相溶する。一方で、着色剤として顔料を用いる場合や、離型剤や荷電制御剤などのうち有機溶媒に溶解しにくいようなものを添加する場合、有機溶媒への添加に先立って粒子を小さくしておくことが好ましい。分散に際
しては公知のビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いることができる。
少なくとも界面活性剤又は無機分散安定剤を含む水系媒体中に前述の工程で得られた混合樹脂溶液を分散させ、トナー粒子組成物の水系分散体を作製する。トナー粒子組成物に、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する変性樹脂を添加している場合は、活性水素基含有化合物を添加し、水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、該変性樹脂とを反応させることにより結着樹脂を生成しながら、トナー粒子組成物の水系分散体を形成してもよい。
造粒工程で使用する装置としては、例えば高剪断力を有する撹拌機を設置した竪型撹拌槽で行なうことができる。高剪断力を有する撹拌機としてはハイシェアミキサー(IKA社製)、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業社製)、T.K.フィルミックス(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)のような市販のものを用いることができる。
溶解懸濁法によるトナー粒子の製造に用いる無機分散安定剤としては、懸濁重合法と同様のものを挙げることができ、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤除去工程では、得られたトナー粒子組成物の水系分散体から有機溶剤を除去する。有機溶剤を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。又は、トナー粒子組成物の水系分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去してもよい。
末端にイソシアネート基等の活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために、熟成工程を行ってもよい。熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常0〜65℃、好ましくは35〜50℃である。
上記工程により、溶解懸濁法によるトナー粒子を得ることができ、さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
〈トナーの重量平均粒径(D4)測定〉
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer
3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
1)可塑効果の検証方法
可塑効果は、前記一般式〔1〕で表される化合物又はその他の添加剤を含有するトナー
と、含有しないトナーの、ガラス転移温度Tgを測定することで検証する。ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、各サンプル約3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。測定温度範囲を20℃〜200℃とし、一旦、昇温速度10℃/minで20℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から20℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。
2回目の昇温過程で得られるDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、各トナーのガラス転移温度Tgとする。このとき、前記一般式〔1〕で表される化合物又はその他の添加剤を含有するトナーと、含有しないトナーの、ガラス転移温度Tgの差を測定し、その差を用いて可塑効果を検証する。前記各トナーのガラス転移温度Tgの差が大きいほど、可塑効果は大きいことになる。
相溶性は、前記一般式〔1〕で表される化合物又はその他の添加剤や、前記一般式〔1〕で表される化合物又はその他の添加剤を含有するトナーの吸熱量を測定することで検証する。吸熱量は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments
社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、各サンプル約3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。測定温度範囲を20℃〜200℃とし、一旦、昇温速度10℃/minで20℃から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/minで200℃から20℃まで降温し、再度、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温させる。
前記一般式〔1〕で表される化合物又はその他の添加剤において、この2度目の昇温過程での温度20℃〜200℃の範囲において、トナー中に含まれる前記一般式〔1〕で表される化合物又はその他の添加剤由来の吸熱量を測定し、相溶性を検証する。前記一般式〔1〕で表される化合物又はその他の添加剤由来の吸熱量が小さいほど、相溶性が高いことになる。
本発明においては、トナー中に含まれる前記一般式〔1〕で表される化合物由来の吸熱量は1.0J/g以下であることが好ましく、0.5J/g以下であることがより好ましい。
・ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物 117部
(平均付加モル数:2.2モル)
・ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物 62部
(平均付加モル数:2.2モル)
・イソフタル酸 390部
・n−ドデセニルコハク酸 360部
・無水トリメリット酸 19部
上記モノマーに、ジブチル錫オキシドを全酸成分100部に対して2部添加し窒素気流下、220℃にて6時間攪拌しつつ反応させ結着樹脂1を得た。軟化点135℃、Tg6
5℃であった。
・スチレン 70部
・アクリル酸n−ブチル 24部
・マレイン酸モノブチル 6部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド 1部
上記モノマーをキシレン200部中に4時間かけて滴下した。さらに、キシレン還流下で重合を完了した。この後、昇温して有機溶剤を留去し、室温まで冷却後粉砕し結着樹脂2を得た。軟化点125℃、Tg60℃であった。
(トナーA−1の製造例)
・結着樹脂1 100部
・一般式〔1〕で表される化合物(9−フルオレノン、融点:84℃) 3部
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。該トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g)1.0部とチタン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.6μm)3.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナーA−1を得た。
まず、可塑効果の検証として、トナーA−1及びトナーa−1のガラス転移温度Tgを、示差走査熱量分析装置「Q1000」を用いて測定した。トナーA−1のガラス転移温度Tgは53℃であり、トナーa−1のガラス転移温度Tgは61℃であった。この結果から、9−フルオレノンを3部添加することによって、Tgにして8℃の可塑効果があることが分かった。
次に、相溶性の検証として、9−フルオレノンと、トナーA−1の吸熱ピークを示差走査熱量分析装置「Q1000」を用いて測定した。9−フルオレノンは、84℃にシャープな吸熱ピークを観測した。一方、トナーA−1は、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての9−フルオレノンが相溶していると判断された。
以上のことから、9−フルオレノンは、結着樹脂1に対して高い可塑効果と相溶性を有している事を確認した。
100部のFe2O3に水を添加し、ボールミルで15min粉砕し、平均粒径55μmの磁性コアを作製した。
次に、ストレートシリコーン樹脂(信越化学社製:KR271)1.0部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5部、トルエン98.5部の混合液を、上記磁性コア100部に添加し、さらに溶液減圧ニーダーで撹拌混合しながら70℃、5時間減圧乾燥を行ない、溶剤を除去した。その後、140℃で2時間焼き付け処理して、篩振とう機(300MM−2型、筒井理化学機械:75μm開口)で篩い、磁性キャリアを得た。
トナーA−1と磁性キャリアを、キャリア1.0質量部に対して、トナーA−1が10.0質量部になるように、V型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s−1、回転時間5minの条件で混合して現像剤A−1を調製した。
評価は、画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER
ADVANCE C5255を用いた。また、評価紙はA4サイズのレーザービームプリ
ンター用紙CS−814(81.4g/m2)を用いた。
また、画像濃度はカラー反射濃度計(X−Rite 504 X−Rite社製)で測定した。
試験の条件は、常温常湿環境下(温度23℃/湿度50%RH)において、印字比率50%のテストチャートを用いて50万枚の連続通紙試験を行った後、ベタ黒画像の画像濃度を測定した。
試験の条件は、低温低湿環境下(温度10℃/湿度15%RH)において、印字比率50%のオリジナルチャートを用いて50万枚の連続通紙試験を行った後、ベタ黒画像の画像濃度を測定し、また、定着器周りの汚染状態を目視により以下の基準で評価した。
A:定着器周辺に汚染は見られない。
B:定着器周辺に微量の汚染が観察される。
C:定着器周辺に汚染が観察される。
D:定着器周辺に汚染の広がりが観察される。
高温高湿(32℃、80%RH)環境下において、印字比率5%のテストチャートを用いて30万枚の連続通紙試験を行った。その後、ベタ黒画像の画像濃度を測定し、また、600dpiの解像度で2ドット3スペースのハーフトーン画像(現像の濃淡ムラ)を目視で評価した。
A:濃淡ムラは感じられない。
B:濃淡ムラがわずかにみられるが、ほぼ気にならない。
C:濃淡ムラが若干みられる。
D:濃淡ムラが目立つ。
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVA
NCE C5255を改造して評価を行った。改造はシアントナー単色だけでも作動する
よう改造した。また、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
低温定着性の評価は、低温低湿(5℃、5%RH)環境下で行った。20mm×20mmサイズのハーフトーンのパッチをA3用紙に均等に9点書かせて、画像濃度が0.6になるように現像バイアスを設定した。次いで、定着器の加圧ローラーの温度が5℃以下になるまで冷却した後、20枚片面で連続通紙した。低温定着性評価用のサンプルとして、1枚目、3枚目、5枚目、10枚目、20枚目をサンプリングし、得られた定着画像に、4.9kPaの荷重をかけ、シルボン紙によりその定着画像を5往復摺擦した。5サンプルの内、摺擦前後での前記9点の画像濃度低下率の平均値の最悪値を各温度の画像濃度低下率とした。定着温度を160℃から175℃まで5℃おきに変えて、画像濃度低下率が10%以下となる定着温度を定着開始温度とし、これを基準に低温定着性を評価した。
(評価基準)
A:定着開始温度が160℃である。
B:定着開始温度が165℃である。
C:定着開始温度が170℃である。
D:定着開始温度が175℃である。
以上の各評価項目において、実施例A−1の現像剤は全てA判定であった。
・結着樹脂2 100部
・一般式〔1〕で表される化合物(2−アミノ−9−フルオレノン、融点:156℃)
5部
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。該トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g)1.0部とチタン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.6μm)3.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナーA−2を得た。トナーA−2のガラス転移温度Tgは50℃であり、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての2−アミノ−9−フルオレノンが相溶していると判断された。
一般式〔1〕で表される化合物の種類及び添加量を表1のように変更した以外はトナーA−1の製造例と同様にして、トナーA−3〜A−20を得た。トナーA−3〜A−20のガラス転移温度Tgを表1に示す。トナーA−3〜A−20のTgがいずれもトナーa−1のTgである61℃よりも低いことから、表1に記載の化合物において可塑効果があることを確認した。また、トナーA−3〜A−20は測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての一般式〔1〕で表される化合物が相溶していると判断された。
表1に示すように、トナーをA−2〜A−20に変更した以外は現像剤A−1と同様にして、現像剤A−2〜A−20を得た。
現像剤A−2〜A−20を実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
一般式〔1〕で表される化合物の代わりに、表3に示す化合物を添加した以外はトナーA−1の製造例と同様にして、トナーA−21〜A−27を得た。更に、表3示すように、トナーをA−21〜A−27に変更した以外は現像剤A−1と同様にして、現像剤A−21〜A−27を得た。
現像剤A−21〜A−27を実施例A−1と同様の方法で評価した。評価結果を表4に示す。
(樹脂微粒子分散液1の調製)
・結着樹脂1 1200部
・9−フルオレノン 36部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンSC−A) 0.5部
・テトラヒドロフラン 2400部
上記成分を添加し、10分間撹拌した。その後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて、回転数5000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水:3600部を滴下した。得られた混合物を減圧下(50mmHg)、50℃にて処理することでTHFを除去し、樹脂微粒子分散液1を得た。得られた樹脂微粒子のD50は0.12μmであり、D90は0.16μmであった。
・C.I.ピグメントブルー 15:3 100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK) 15部
・イオン交換水 885部
以上を混合し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業社製)を用いて1時間分散して、着色剤を分散させてなる着色剤微粒子の水系分散体を調整した。着色剤微粒子のD50は0.19μmであり、D90は0.26μmであった。
・樹脂微粒子分散液1 600部
・着色剤微粒子分散液 60部
・1質量%硫酸マグネシウム水溶液 150部
・イオン交換水 515部
上記の各成分を、丸型ステンレス製フラスコに投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて5000rpmで10分間混合、分散させた後、加熱用オイルバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数に適宜調節しながら43℃まで加熱した。43℃で1時間保持して、凝集粒子を形成した。
その後、285部のイオン交換水に対し、クエン酸三ナトリウム15部を溶解させた水溶液を追加した後、撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。その後、室温まで冷却して後、ろ過して、ろ物をイオン交換水で十分に洗浄し、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより、トナー粒子を得た。トナー粒子の重量平均粒径は6.0μmであった。
該トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g)1.0部とチタン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.6μm)3.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナーB−1を得た。トナーB−1のガラス転移温度Tgは52℃であり、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての9−フルオレノンが相溶していると判断された。
トナーB−1と磁性キャリアを、キャリア1.0部に対して、トナーB−1が10.0部になるように、V型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s−1、回転時間5minの条件で混合して現像剤B−1を調製した。得られた現像剤B−1に対して評価を行った。
定着部材の汚染性、ハーフトーンムラ及び低温定着性の評価に関しては、実施例A−1と同様の方法で評価を行った。現像剤B−1は全てA判定であった。
<トナーC−1の製造例>
温度60℃に加温したイオン交換水1300.0部に、リン酸三カルシウム9.0部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して混合液を調製した。
・スチレン 50.0部
・n−ブチルアクリレート 30.0部
・結着樹脂1 5.0部
次に上記混合液に、
・スチレン 20.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0部
・3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
・一般式〔1〕で表される化合物(9−フルオレノン、融点:84℃) 3.0部
を加え、その後、混合液を温度65℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて、撹拌速度10,000rpmにて攪拌し、溶解、分散し、重合性モノマー組成物を調整した。
プロペラ式攪拌装置に移して撹拌速度200rpmで攪拌しつつ、温度85℃で5時間、重合性モノマー組成物中の重合性単量体であるスチレン及びn−ブチルアクリレートを重合反応させ、トナー粒子を含むスラリーを製造した。重合反応終了後、該スラリーを冷却した。冷却されたスラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン
酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥したトナー粒子をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。
該トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g)1.0部とチタン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.6μm)3.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナーC−1を得た。トナーC−1のガラス転移温度Tgは54℃であり、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての9−フルオレノンが相溶していると判断された。
トナーC−1と磁性キャリアを、キャリア1.0部に対して、トナーC−1が10.0部になるように、V型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s−1、回転時間5minの条件で混合して現像剤C−1を調製した。得られた現像剤C−1に対して定着部材の汚染性、ハーフトーンムラ及び低温定着性の評価を実施例A−1と同様の方法で行った。現像剤C−1は全てA判定であった。
(トナーD−1の製造例)
(水系媒体の調製)
イオン交換水330部に、Na3PO4:5.0部、10%塩酸2.0部を添加し、ハイシェアミキサー(IKA製)を用いて、3,000r/minにて撹拌しながら、60℃に加温した。これにイオン交換水:20部にCaCl2:3.0部を溶解させた水溶液を添加し、30分後、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業社製)15部、酢酸エチル30部を加え、液温を30℃まで冷却し、水系媒体を調製した。
・C.I.ピグメントブルー15:3 40部
・結着樹脂1 60部
を2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕して、マスターバッチを得た。
・ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物 682部
(平均付加モル数:2.2モル)
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物 81部
(平均付加モル数:2.2モル)
・テレフタル酸 283部
・無水トリメリット酸 22部
・ジブチル錫オキサイド 2部
を反応容器内に投入し、常圧下、230℃で8時間反応した。次いで、10〜15mmHgの減圧で5時間反応して中間体ポリエステルを合成した。
次いで、
・中間体ポリエステル 410部
・イソホロンジイソシアネート 89部
・酢酸エチル 500部
を入れ100℃で5時間反応し、プレポリマーを合成した。
反応容器内に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、5
0℃で5時間反応を行い、ケチミン化合物を合成した。
(トナー粒子組成物の作製)
攪拌棒、及び温度計をセットした容器内に、マスターバッチ150部、結着樹脂1:700部、一般式〔1〕で表される化合物(9−フルオレノン、融点:84℃) 23部、
酢酸エチル850部を投入し、TKホモミキサー(特殊機化社製)で回転数9,000rpmで10分間混合した。
その後、容器を冷却しながらTKホモミキサーの回転数を1,000rpmとし、液温が30℃となるまで攪拌した。液温が30℃となった後、更にプレポリマー:194部、及びケチミン化合物:6部を加え回転数5,000rpmで30秒攪拌しトナー粒子組成物を得た。
造粒スラリー総量が、600kgになるように、下記の比率で材料の使用量を調整した。水系媒体:140部を入れた容器内にトナー粒子組成物を60部投入し、ハイシェアミキサー(IKA製)を用いて、3,000r/minで10分間混合しトナー粒子組成物の分散体を得た。
(溶剤除去・熟成)
造粒工程終了後、トナー粒子組成物の分散体を30℃に維持している容器に移して50r/minで攪拌を開始し、10時間溶剤除去を行った。続いて、ジャケット内温度を80℃に設定し、容器内温度55℃まで昇温させ、更に55℃で5時間熟成を行い、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.8μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。
該トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉体(BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m2/g)1.0部とチタン酸ストロンチウム(体積平均粒径1.6μm)3.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナーD−1を得た。トナーD−1のガラス転移温度Tgは52℃であり、測定温度範囲内において、吸熱ピークは観測されず、全ての9−フルオレノンが相溶していると判断された。
トナーD−1と磁性キャリアを、キャリア1.0部に対して、トナーD−1が10.0部になるように、V型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s−1、回転時間5minの条件で混合して現像剤D−1を調製した。得られた現像剤D−1に対して定着部材の汚染性、ハーフトーンムラ及び低温定着性の評価を実施例A−1と同様の方法で行った。現像剤D−1は全てA判定であった。
Claims (5)
- 結着樹脂、着色剤、及び下記一般式〔1〕で表される化合物を含有し、
該化合物の含有量が、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下であることを特徴とするトナー。
(式中、R1〜R8は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ヒドロキシ基、アセチル基、アルデヒド基、炭素数1以上6以下の炭化水素基、及びアミノ基から選択される基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、及び−CR9R10−から選択される基を表し、R9及びR10は、それぞれ独立して水素原子、臭素原子、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、水酸基、フェニル基、及び炭素数1以上6以下の炭化水素基から選択される基を表す。) - 前記一般式〔1〕で表される化合物の含有量が、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上5質量部以下である請求項1に記載のトナー。
- 前記一般式〔1〕で表される化合物の沸点が、290℃以上である請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記一般式〔1〕中、Xがカルボニル基である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記一般式〔1〕で表される化合物が、9−フルオレノン、2−アミノ−9−フルオレノン及び2−ブロモ−9−フルオレノンからなる群から選択されるいずれかの化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
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