JP6732528B2 - トナー - Google Patents

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本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナー及び該トナーの製造方法に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高生産性が要求されるようになってきている。
例えば、厚紙から薄紙へ紙種が変更されても、紙種に合わせたプロセススピードの変更や定着器の加熱設定温度の変更を行わずに印刷が継続可能な、メディア等速性が求められている。
メディア等速性の観点から、トナーには低温から高温まで幅広い定着温度範囲で適正に定着を完了することが求められている。
特許文献1では、幅広い定着可能温度でトナーを定着するために、シャープメルト性を有する結晶性樹脂を軟化剤としてトナーへ添加し、低温定着性能を向上させたトナーが種々提案されている。
特開2006−113473号公報 特開2012−063559号公報 特開2013−257415号公報
しかし、結晶性樹脂を含有したトナーにおいては、経時によるトナー中での結晶性が変化することにより、高温高湿環境下での帯電性や、帯電の維持が難しくなる課題がある。
結晶性樹脂は非晶性樹脂に比べて体積抵抗が低いため、電荷の漏洩が生じやすい傾向にある。そのため、結晶性樹脂を含有するトナーにおいて、特に高温高湿環境下で長期に渡り連続印刷を行う際、結晶性の変化により、帯電性の変動が起こりやすくなり、その結果、画像濃度の低下が発生してしまうといった問題がある。
これに対する措置として、連続印刷中に本体内で出力画像の濃度を検知し、濃度を補正する制御を入れるなどの工程を設けているが、そのため高速機の印刷時間が長くなってしまうという問題がある。
また、トナー中の結晶性樹脂の分散状態は、トナーの性質に重大な影響を及ぼす。トナーの帯電性を向上させるためには、トナー中の結晶性樹脂は微細かつ均一であることが望まれる。
特許文献2では、トナー中の結晶性樹脂の分散状態を制御するために、主たる結着樹脂と軟化剤としての結晶性ポリエステル樹脂に加え、結晶性ポリエステル樹脂用の分散剤を併用するトナーが提案されている。
一方、特許文献3では、優れた耐久性能と定着性能を同時に達成させるために、結晶性ポリエステルの酸価を特定範囲に制御することが開示されている。また、結晶性ポリエステルの酸価の制御方法として、ポリマー末端のカルボキシ基を封止することが開示されている。
しかし、いずれも、さらなる高速化と省エネルギー化のために、近年求められるレベルの低温定着性と帯電安定性の両者を満たすには至っていない。
以上のように、軟化剤である結晶性樹脂のトナー中での分散状態を制御し、帯電安定性
を満足させるためには、依然として検討の余地がある。
本発明は、上記のような問題を解決したトナー及び該トナーの製造方法を提供するものである。具体的には、低温定着性に優れると共に、高温高湿環境下で連続印刷を行っても帯電性が維持されたトナー及び該トナー製造方法を提供するものである。
本発明は、
芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する芳香族ポリエステル樹脂、
脂肪族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び脂肪族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、
スチレンアクリル系重合体
を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該脂肪族ポリエステル樹脂が、さらに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有し、
該スチレンアクリル系重合体が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体であり、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有し、
該芳香族ポリエステル樹脂の含有量は、該トナー粒子を構成する全樹脂成分を基準として、50質量%以上であり、
該脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が、該芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上15.0質量部以下であり、
該スチレンアクリル系重合体の含有量が、該芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下であることを特徴とするトナーである
本発明によれば、低温定着性に優れると共に、高温高湿環境下で連続印刷を行っても帯電性が維持されたトナー及び該トナーの製造方法を提供することができる。
熱処理装置の概略図
本発明は、
芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する芳香族ポリエステル樹脂、
脂肪族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び脂肪族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、
スチレンアクリル系重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該脂肪族ポリエステル樹脂が、さらに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有し、
該スチレンアクリル系重合体が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体であることを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は、
芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する芳香族ポリエステル樹脂、
脂肪族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び脂肪族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、
スチレンアクリル系重合体を含有する組成物を溶融混練して混練物を得る工程、
該混練物を冷却して冷却物を得る工程、
該冷却物を粉砕して樹脂粒子を得る工程を含み、
該脂肪族ポリエステル樹脂が、さらに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有し、
該スチレンアクリル系重合体が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体であることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
なお、本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
また、上記モノマーユニットとは、ポリマー又は樹脂中のモノマー物質の反応した形態をいう。さらに、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
本発明において、トナー粒子は、結着樹脂として、芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する芳香族ポリエステル樹脂を含有する。該芳香族ポリエステル樹脂の含有量は、低温定着性と高温高湿環境下における帯電安定性の観点から、トナー粒子を構成する全樹脂成分を基準として、50質量%以上であることが好ましい。また、該芳香族ポリエステル樹脂は、非晶性樹脂である。
また、トナー粒子は、軟化剤として、脂肪族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び脂肪族多価アルコール由来のモノマーユニット、並びに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有する脂肪族ポリエステル樹脂を含有する。また、該脂肪族ポリエステル樹脂は、結晶性樹脂である、
さらに、トナー粒子は、該脂肪族ポリエステル樹脂の分散剤として、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体を含有している。
一般に、トナーに軟化剤として、結晶性樹脂である、脂肪族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び脂肪族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する脂肪族ポリエステル樹脂を用いた場合、時間の経過に伴い、トナー中で脂肪族ポリエステル樹脂の分子鎖が折りたたまれることによって結晶化度が上昇する。
また、結晶性樹脂は非晶性樹脂に比べて体積抵抗が低いため、電荷の漏洩が生じやすい傾向にある。その結果、高温高湿環境下での連続印刷時に帯電性の低下に起因する画像濃度の低下が発生する場合があった。
本発明者は、鋭意検討を重ね、軟化剤として脂肪族ポリエステル樹脂を含んだトナーであっても、脂肪族ポリエステル樹脂が芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを含有し、かつ、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体を含有することにより、上述の問題を解決できることを見出した。
この理由については定かではないが、以下のようなメカニズムが推定される。
ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合したスチレンアクリル系重合体を含有するトナーでは、グラフト変性させたポリオレフィン部がトナー中の脂肪族ポリエステル樹脂と親和性を持つ。このため、トナー中で脂肪族ポリエステル樹脂とスチレンアクリル系重合体のドメインが形成され、脂肪族ポリエステル樹脂を微細かつ均一に分散させることができる。これにより低温定着性を満足し、さらに帯電安定性を向上させることが可能となる。
このとき、トナー中にワックスが存在する場合、該ワックスもポリオレフィン部と親和
性を持つため、トナー中で微分散させることができる。その結果、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性を満足させることが可能となる。
ところが、脂肪族ポリエステル樹脂は、トナーの製造直後から時間の経過に伴い、分子鎖が折りたたまれていき、結晶化度が高くなる。そのため、軟化剤として脂肪族ポリエステル樹脂を含有するトナーは、帯電性が変化しやすくなり、高温高湿環境下での連続印刷時に画像濃度の低下が発生する。
しかし、脂肪族ポリエステル樹脂が、さらに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有する場合、該モノマーユニットは、脂肪族ポリエステル樹脂を構成する分子鎖の末端に存在することになり、エンドキャップのような役割をする。
また、該脂肪族ポリエステル樹脂の分子鎖末端に存在する芳香環部位が、結着樹脂である芳香族ポリエステル樹脂の芳香環部位と相互作用し、アンカー効果を発現する。そのため、脂肪族ポリエステル樹脂の分子鎖の折りたたみが軽減され、トナーの製造から時間を経過した後でも、脂肪族ポリエステル樹脂の結晶化度がほとんど変化しない。その結果、低温定着性に優れると共に、高温高湿環境下で連続印刷を実施した場合でも帯電安定性が著しく向上したと推察される。
以下にトナーの構成を詳述するがこれらに限定される訳ではない。
<脂肪族ポリエステル樹脂>
脂肪族ポリエステル樹脂は、脂肪族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び脂肪族多価アルコール由来のモノマーユニット、並びに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有する。
該脂肪族多価カルボン酸は、炭素数2〜22であることが好ましく、炭素数6〜12であることがより好ましい。
該脂肪族多価アルコールは、炭素数2〜22であることが好ましく、炭素数6〜12であることがより好ましい。
なかでも、脂肪族ポリエステル樹脂は、低温定着性と保存性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジオール由来のモノマーユニット、及び、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸由来のモノマーユニットを含有することがより好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂を添加したトナーの低温定着性が良化する理由は、上記芳香族ポリエステル樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂が相溶し、芳香族ポリエステル樹脂の分子鎖の間隔を広げ、分子間力を弱めるからである。その結果、芳香族ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)を大幅に低下させ、芳香族ポリエステル樹脂の溶融粘度を低い状態にすることができる。
よって、芳香族ポリエステル樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との相溶性を高めることにより、低温定着性は良化していく傾向にある。
そして、芳香族ポリエステル樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との相溶性を高めるためには、上記脂肪族多価ジオール及び/又は脂肪族多価カルボン酸の炭素数を短くし、エステル基濃度を高め、極性を高めていくことになる。
一方で、Tgが大幅に低下したトナーにおいても、高温高湿環境下での使用や輸送などにおける保存性を確保する必要がある。ここで、脂肪族ポリエステル樹脂のエステル基濃度が高く、芳香族ポリエステル樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の相溶性があまりにも高いと、トナーの保存性が低下することになる。
以上のことから、低温定着性と保存性の両立を考慮した場合、脂肪族ポリエステル樹脂は、炭素数6〜12の脂肪族ジオール由来のモノマーユニット、及び、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸由来のモノマーユニットを含有することが好ましい。
炭素数2〜22の脂肪族多価アルコールとしては、特に限定されないが、炭素数2〜22の脂肪族ジオールであることが好ましい。該脂肪族ジオールは、鎖状であることが好ま
しく、より好ましくは直鎖状である。
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、及び1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
これらの中でも、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、及び1,12−ドデカンジオールなどのような直鎖脂肪族α,ω−ジオールが好ましく例示される。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない程度に、上記炭素数2〜22の脂肪族ジオール由来のモノマーユニット以外の多価アルコール由来のモノマーユニットを含有してもよい。
該多価アルコールのうち2価アルコールとしては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどの芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
また、該多価アルコールのうち3価以上の多価アルコールとしては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどの芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの脂肪族アルコールなどが挙げられる。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂における、上記炭素数2〜22の脂肪族ジオール由来のモノマーユニットの含有割合が、アルコール由来の全モノマーユニット中、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上100質量%以下である。
一方、炭素数2〜22の脂肪族多価カルボン酸としては、特に限定されないが、炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。該脂肪族ジカルボン酸は、鎖状であることが好ましく、より好ましくは直鎖状である。
例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられる。また、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない程度に、上記炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸由来のモノマーユニット以外の多価カルボン酸由来のモノマーユニットを含有してもよい。
該多価カルボン酸のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられる。また、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなども含まれる。
また、該多価カルボン酸のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、などの脂肪族カルボン酸が挙げられる。また、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなどの誘導体なども含まれる。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂における、上記炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸由来のモノマーユニットの含有割合が、カルボン酸由来の全モノマーユニット中、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上100質量%以下である。
また、本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂は、さらに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有する。
分子量の小さい脂肪族ポリエステル樹脂を合成する過程で、芳香族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノアルコールを添加すると、脂肪族ポリエステル樹脂を構成する分子鎖の末端に反応し、エンドキャップのような役割をするため、分子鎖が長くなりすぎにくい。
そのため、脂肪族ポリエステル樹脂を合成するときに、未反応の遊離モノマーのほとんどが反応するため、未反応モノマー由来の低分子量成分が減少し、分子量分布がシャープになる。
該芳香族モノカルボン酸としては、ナフタレンカルボン酸、安息香酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、ベンゼンエタン酸、及びベンゼンプロパン酸などが挙げられる。
芳香族モノアルコールとしては、フェノール、メチルフェノール、及びナフトールなどが挙げられる。
上記芳香族モノカルボン酸及び芳香族モノアルコールは、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
本発明において、該芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットは、安息香酸に由来するモノマーユニットを含むことが好ましい。安息香酸を用いた場合、脂肪族ポリエステル樹脂の分子鎖末端に存在する芳香環部位と、芳香族ポリエステル樹脂中の芳香環部位との相互作用が容易であり、アンカー効果を発揮しやすい。
その結果、トナーの製造から時間を経過した後でも、脂肪族ポリエステル樹脂の結晶化度の変化がより軽減される。また、安息香酸を用いた場合、スチレンアクリル系重合体もより作用しやすくなり、トナー中で脂肪族ポリエステル樹脂がより微分散しやすくなる。
該脂肪族ポリエステル樹脂において、脂肪族ポリエステル樹脂を構成するモノマーユニットの総モル数に対する、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットの総モル数の割合が、0.5モル%以上15.0モル%以下であることが好ましく、3.0モル%以上12.0モル%以下であることがより好ましい。
該割合が上記範囲を満たす場合、保存性、帯電安定性、及び低温定着性がより向上する。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂の含有量をW1質量部、スチレンアクリル系重合体の含有量をW2質量部としたときに、0.5≦W1/W2≦2.0の関係を満たすことが好ましく、0.5≦W1/W2≦1.25の関係を満たすことがより好ましい。W1/W2が上記関係を満たす場合、脂肪族ポリエステル樹脂をトナー中により微分散させやすくなる。
本発明において、低温定着性、高温高湿環境下における帯電安定性、及び耐熱保存性をより向上させるために、脂肪族ポリエステル樹脂の含有量は、上記芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明において、脂肪族ポリエステル樹脂の重量平均分子量は5000以上14000
以下であることが好ましく、6000以上13000以下であることがより好ましい。
該重量平均分子量が上記範囲である場合、耐熱保存性及び耐ホットオフセット性と、低温定着性とを両立させることが容易となる。
本発明において、トナーの示差走査熱量分析(DSC)装置を用いて測定された、脂肪族ポリエステル樹脂由来の最大吸熱ピークの吸熱量をΔH[J/g]とし、脂肪族ポリエステル樹脂の添加部数Wとした場合、ΔHをWで割った値[ΔH/W]は、0.002以上0.200以下であることが好ましく、0.005以上0.100以下であることがより好ましい。
ΔH/Wが上記範囲を満たす場合、製造から時間を経過したトナーにおいて、脂肪族ポリエステル樹脂の添加部数に対する脂肪族ポリエステル樹脂の結晶化度が低い。その結果、トナーの製造から時間を経過した後でも、低温定着性と高温高湿環境下の帯電安定性が向上する。
該脂肪族ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、上記カルボン酸とアルコ−ルとをエステル化反応、又はエステル交換反応させた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って縮重合反応させることで脂肪族ポリエステル樹脂を得ることができる。その後、さらに、上記芳香族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノアルコールを加え、エステル化反応を行うことで、所望の脂肪族ポリエステル樹脂が得られる。
上記エステル化反応又はエステル交換反応には、必要に応じて、硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いるとよい。
また、上記縮重合反応は、通常の重合触媒、例えば、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化反応若しくはエステル交換反応又は縮重合反応においては、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全モノマーを一括で仕込んでもよく、低分子量成分を少なくするために2価のモノマーを先ず反応させた後、3価以上のモノマーを添加して反応させてもよい。
<芳香族ポリエステル樹脂>
芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する。
該芳香族多価カルボン酸としては、例えば、2価若しくは3価以上のカルボン酸、又はそれらの酸無水物若しくはそれらの低級アルキルエステルが挙げられる。
該芳香族多価アルコールとしては、例えば、2価若しくは3価以上のアルコールが挙げられる。
ここで、分岐した芳香族ポリエステル樹脂を作製する場合には、芳香族ポリエステル樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多価化合物を使用することが好ましい。すなわち、3価以上のカルボン酸又はそれらの酸無水物若しくはそれらの低級アルキルエステル、及び/又は、3価以上のアルコールを使用するとよい。
該芳香族多価アルコールとしては、以下が例示できる。
2価のアルコールとして、水素化ビスフェノールA、下記式(A)で表されるビスフェノール誘導体、下記式(B)で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 0006732528

[式中、Rはエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。]
Figure 0006732528
3価以上のアルコールとして、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独で又は複数を併用して用いることができる。
該芳香族多価カルボン酸としては、以下が例示できる。
2価のカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。また、これらの酸無水物及びこれらの低級アルキルエステルも含まれる。
3価以上のカルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸が挙げられる。また、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルも含まれる。これらの2価のカルボン酸及び3価以上のカルボン酸は、単独で又は複数を併用して用いることができる。
本発明において、芳香族ポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない程度に、上記芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット以外の公知の多価カルボン酸由来のモノマーユニットを含有してもよい。
また、芳香族ポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない程度に、上記芳香族多価アルコール由来のモノマーユニット以外の公知の多価アルコール由来のモノマーユニットを含有してもよい。
本発明において、芳香族ポリエステル樹脂における、上記芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニットの含有割合が、カルボン酸由来の全モノマーユニット中、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
また、芳香族ポリエステル樹脂における、上記芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットの含有割合が、アルコール由来の全モノマーユニット中、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
該芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットを構成成分とする芳香族ポリエステル部位が主成分であるならば、他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であってもよい。例えば、芳香族ポリエステル部位とビニル系ポリマー部位とが結合したハイブリッド樹脂が挙げら
れる。ここで、主成分とは、ハイブリッド樹脂中における芳香族ポリエステル部位の含有量が50質量%以上であることを意味する。
ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合体と芳香族ポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂又はビニル系共重合体、及び芳香族ポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方若しくは両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、芳香族ポリエステル樹脂を構成するモノマーのうちビニル系樹脂又はビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系樹脂又はビニル系共重合体を構成するモノマーのうち芳香族ポリエステル樹脂と反応し得るものとしては、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
本発明において、トナー粒子を構成する樹脂成分として、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル系重合体以外にも、公知の樹脂を併用することができる。このような樹脂としては、例えばフェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
本発明において、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、芳香族ポリエステル樹脂のピーク分子量は4000以上13000以下であることが好ましい。
また、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から、芳香族ポリエステル樹脂の酸価は5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。さらに、低温定着性と保存性の観点から、芳香族ポリエステル樹脂の水酸基価は2mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが好ましい。
本発明において、芳香族ポリエステル樹脂は、高分子量の芳香族ポリエステル樹脂Cと低分子量の芳香族ポリエステル樹脂Dを混合して使用してもよい。
高分子量の芳香族ポリエステル樹脂Cと低分子量の芳香族ポリエステル樹脂Dの含有比率(C/D)は質量基準で10/90〜60/40であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高分子量の芳香族ポリエステル樹脂Cのピーク分子量は10000以上20000以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、高分子量の芳香族ポリエステル樹脂Cの酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
低分子量の芳香族ポリエステル樹脂Dのピーク分子量は、4000以上7000以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、低分子量の芳香族ポリエステル樹脂Dの酸価は10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
<スチレンアクリル系重合体>
本発明において、スチレンアクリル系重合体は、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体である。
該ポリオレフィンは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される最大吸熱ピークのピーク温度が70℃以上90℃以下であることが好ましい。
該ポリオレフィンは、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックスであることが好適に例示できる。
該スチレンアクリル系重合体において、ポリオレフィンの、スチレンアクリル系ポリマーに対する質量比は、1:99〜30:70であることが好ましく、3:97〜20:80であることがより好ましい。
また、該スチレンアクリル系重合体の製造時の反応性の観点から、ポリプロピレンのように枝分かれ構造を持つことが好ましい。
また、該ポリオレフィンは、トナー中のワックスとも親和性を持つため、トナー中にワックスを微分散することができる。
なお、本発明において、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーをグラフト重合させる方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
上記スチレンアクリル系ポリマーは、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有することが好ましい。ここで、シクロアルキル(メタ)アクリレートは、シクロアルキルアクリレート又はシクロアルキルメタクリレートを意味する。
該シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有することで、トナー中の脂肪族ポリエステル樹脂を微分散させることができる。また同時に、疎水性のシクロアルキル基を有することで、従来の分散剤より水分の吸着を阻害しやすいと考えられるため、トナーが高温高湿下に放置されても帯電性が維持される。
該シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットは、下記式(1)で表すことができる。
Figure 0006732528

[式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはシクロアルキル基を表す。]
上記Rは、炭素数3以上18以下のシクロアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数4以上12以下のシクロアルキル基である。
該シクロアルキル基の具体例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
また、該シクロアルキル基は、置換基としてアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基などを有することもできる。該アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
なお、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
該シクロアルキル(メタ)アクリレートの具体例として、シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、疎水性の観点から、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレートが好ましい。
本発明において、式(1)で表されるモノマーユニットの含有割合は、スチレンアクリル系ポリマーを構成する全モノマーユニット100質量部に対して、1.0質量部以上4
0.0質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
スチレンアクリル系ポリマーの構成成分としては、シクロアルキル(メタ)アクリレート以外のモノマーとしては、以下が例示できる。
スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレンなどのスチレン系モノマー;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸のアルキルエステル(該アルキルの炭素数が1以上18以下);酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;ビニルメチルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー;塩化ビニルのようなハロゲン元素含有ビニル系モノマー;ブタジエン、イソブチレンなどのジエン系モノマーが挙げられる。これらは、一種又は二種以上を併用することが可能である。
なお、該スチレン系モノマーユニットの含有割合は、スチレンアクリル系ポリマーを構成する全モノマーユニット100質量部に対して、60.0質量部以上90.0質量部以下であることが好ましく、70.0質量部以上85.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明において、上記スチレンアクリル系ポリマーは、下記式(2)で表されるモノマーユニットを有することが、トナーの低温定着性の観点から好ましい。
上記スチレンアクリル系ポリマーが、下記式(2)で表されるモノマーユニットを有する場合、該スチレンアクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)を低下させることができる。その結果、該スチレンアクリル系重合体がトナー粒子に含有された場合、トナーが高温高湿下に放置されても帯電性が低下せず、かつ、低温定着性がさらに向上する。
なお、該下記式(2)で表されるモノマーユニットの含有割合は、スチレンアクリル系ポリマーを構成する全モノマーユニット100質量部に対して、5.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、10.0質量部以上20.0質量部以下であることがより好ましい。
Figure 0006732528

[式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、nは1以上18以下の整数を表す。]
なお、nは、2以上7以下の整数であることがより好ましい。nが2以上7以下の整数である場合、ガラス転移温度(Tg)を効率よく低下させることができる。
本発明において、スチレンアクリル系重合体の重量平均分子量は、5000以上70000以下であることが好ましく、10000以上50000以下であることがより好ましい。
本発明において、スチレンアクリル系重合体の融点は、100℃以上150℃以下であることが好ましく、110℃以上135℃以下であることがより好ましい。
本発明において、スチレンアクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上
90℃以下であることが好ましく、60℃以上80℃以下であることがより好ましい。
本発明において、スチレンアクリル系重合体の含有量は、芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下であることが、低温定着性、及び脂肪族ポリエステル樹脂の分散性の観点から好ましい。より好ましくは、4.0質量部以上10.0質量部以下である。
<ワックス>
本発明において、トナー粒子はワックスを含有してもよい。
該ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、及び耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、又はカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
該ワックスの含有量は、芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましい。
また、トナーの保存性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、示差走査熱量計で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、45℃以上140℃以下であることが好ましく、60℃以上100℃以下であることがより好ましい。
<着色剤>
本発明において、トナー粒子は着色剤を含有してもよい。該着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調色したものが挙げられる。
着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明
度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の含有量は、芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
本発明において、トナーは必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
負帯電性荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
正帯電性荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
荷電制御剤の含有量は、芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
本発明において、トナーは、必要に応じて無機微粒子を含有してもよい。
該無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子のような無機微粒子が好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれら
の混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m/g以上400m/g以下の無機微粒子が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m/g以上50m/g以下の無機微粒子であることが好ましい。
流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。
該外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。また、トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが好ましい。また長期にわたり安定した画像が得られるという点でも、二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉又は未酸化の鉄粉;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、又はそれらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;該磁性体、及び該磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂を含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)など、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、二成分系現像剤中のトナーの含有量は、2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上13質量%以下である。
本発明のトナーの製造方法は、
芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する芳香族ポリエステル樹脂、
脂肪族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び脂肪族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、
スチレンアクリル系重合体を含有する組成物を溶融混練して混練物を得る工程、
該混練物を冷却して冷却物を得る工程、
該冷却物を粉砕して樹脂粒子を得る工程を含み、
該脂肪族ポリエステル樹脂が、さらに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有し、
該スチレンアクリル系重合体が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体であることを特徴とする。
以下、上記粉砕法を用いたトナーの製造手順について説明する。
まず、トナー原料として、脂肪族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、及びスチレンアクリル系重合体、並びに、必要に応じてワックスなどを所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(日本コークス社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)などがある。
混合したトナー原料を、溶融混練して、樹脂類を溶融し、脂肪族ポリエステル樹脂を微細かつ均一に分散させる。混練装置の一例としては、TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);ニーデックス(三井鉱山社製)などが挙げられる。連続生産できるなどの優位性から、バッチ式練り機よりも、1軸又は2軸押出機といった連続式の練り機が好ましい。
さらに、トナー原料を溶融混練することによって得られる混練物は、溶融混練後、2本ロールなどで圧延され、水冷などで冷却する冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどで粗粉砕され、さらに、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)などで微粉砕され、樹脂粒子を得るとよい。
得られた樹脂粒子は、分級工程にて、所望の粒径を有する樹脂粒子に分級してもよい。分級機としては、ターボプレックス、ファカルティ、TSP、TTSP(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)などがある。
得られた樹脂粒子は、図1に示す熱処理装置を用いて、熱処理工程を実施することが好ましい。以下に、樹脂粒子に熱処理を実施する方法を具体的に例示する。
原料定量供給手段1により定量供給された樹脂粒子は、圧縮気体流量調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管3を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室6に供給された樹脂粒子は、処理室6内に設けられた樹脂粒子の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室6に供給された樹脂粒子は、処理室6内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された樹脂粒子を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室6内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室6内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上170℃以下であることがより好ましい。熱風供給手段7の出口部における温度が上記の範囲内であれば、樹脂粒子を加熱しすぎることによる粒子の融着や合一を防止しつつ、粒子を均一に処理することが可能となる。
熱風は熱風供給手段7から供給される。さらに熱処理された熱処理樹脂粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却される。冷風供給手段8から供給される冷風の温度は−20℃以上30℃以下であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理樹脂粒子を効率的に冷却することができ、樹脂粒子の均一な熱処理を阻害することなく、熱処理樹脂粒子の融着や合一を防止することができる。また、冷風の絶対水分量は、0.5g/m以上15.0g/m以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理樹脂粒子は、処理室6の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段10の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された樹脂粒子の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、回収手段10も、旋回された樹脂粒子の旋回方向を維持するように、処理室6の外周部に接線方向に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口14から供給される熱処理前樹脂粒子の旋回方向、冷風供給手段8から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段7から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前樹脂粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前樹脂粒子の分散性がさらに向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理樹脂粒子を得ることができる。
なお、上記熱処理工程は上記微粉砕の後であってもよいし、分級の後でもよい。
本発明のトナーの平均円形度は0.960以上であることが好ましく、より好ましくは0.965以上である。トナーの平均円形度が上記の範囲であることにより、トナーの転写効率が向上する。
以下に、本発明に関わる各物性の測定方法について説明する。
<ワックス、脂肪族ポリエステル樹脂、重合体及びトナーの最大吸熱ピークのピーク温度の測定>
ワックス、脂肪族ポリエステル樹脂、重合体及びトナーの最大吸熱ピークのピーク温度(融点)は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミニウム製の空パンを用いる。
本発明において、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことを意味する。また、該最大吸熱ピークのピーク温度は融点である。
また、トナーを試料として測定した場合において、脂肪族ポリエステル樹脂由来の最大吸熱ピークの吸熱量ΔH[J/g]を、脂肪族ポリエステル樹脂の添加部数Wで割った値をΔH/Wとする。ここで、添加部数Wは、トナー製造において添加された芳香族ポリエステル樹脂を100質量部としたときの脂肪族ポリエステル樹脂の添加部数をいう。
該最大吸熱ピークの吸熱量(ΔH)はピークの面積から装置付属の解析ソフトを用いて計算により求める。
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いる。
測定範囲30〜180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度、180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30〜180℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、DSC曲線におけるガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度を、樹脂のガラス転移温度(Tg:℃)とする。
<脂肪族ポリエステル樹脂の重量平均分子量の測定>
脂肪族ポリエステル樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
先ず、試料50mgをクロロホルム5mLに入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、クロロホルムとよく混ぜ、試料の合一体が無くなるまで、さらに24時間以上静置する。
得られた溶液を、ポア径が0.5μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク H−25−5」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「Labsolutions GPC」(島津製作所製)
カラム:PLgel 5μm MIXED−C 300×7.5mm(Agilent
Technologies製):2本、PLgel 5μm Guard 50×7.5mm(Agilent Technologies製):1本
溶離液:クロロホルム
流速:1.0ml/min
オーブン温度:45℃
試料注入量:60μL
検出器:RI(屈折率)検出器
試料の分子量は、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン
F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びピーク分子量(Mp)を算出する。
<芳香族ポリエステル樹脂又はスチレンアクリル系重合体の重量平均分子量の測定>
芳香族ポリエステル樹脂又はスチレンアクリル系重合体の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びピーク分子量(Mp)を算出する。
<トナーの平均円形度の測定>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。
さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。
そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm
以上39.69μm未満に限定し、トナーの平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<樹脂の構造(NMR)>
芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、及びスチレンアクリル系重合体などの詳細構造は、核磁気共鳴分光分析(H−NMR)により分析する。
測定装置:JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:1024回
測定溶媒:DMSO−d6
試料をDMSO−d6に可能な限り溶解し、上記条件で測定を行う。得られるスペクトルのケミカルシフト値及びプロトン比より、試料の詳細構造などを決定する。
以下、本発明を製造例及び実施例によりさらに具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<脂肪族ポリエステル樹脂A1の製造例>
・1,6−ヘキサンジオール:34.5部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0モル%)
・ドデカン二酸:65.5部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0モル%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記材料を秤量した。
反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、安息香酸を7.8部(0.06モル;脂肪族ポリエステル樹脂を構成するモノマーユニットの総モル数に対して、9.5モル%)加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。
その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、脂肪族ポリエステル樹脂A1を得た。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂A1の重量平均分子量(Mw)及び融点を表1に示す。
<脂肪族ポリエステル樹脂A2〜A12の製造例>
脂肪族ポリエステル樹脂A1の製造例において、芳香族化合物、芳香族化合物の添加量、又は脂肪族ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が表1となるように、適宜条件
を変更した以外は、脂肪族ポリエステル樹脂A1の製造例と同様の操作を行い、脂肪族ポリエステル樹脂A2〜A12を得た。
得られた脂肪族ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)及び融点を表1に示す。
Figure 0006732528
<スチレンアクリル系重合体B1の製造例>
温度計及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン300部、及びポリプロピレン(融点:75℃)10部を入れ、充分溶解し窒素置換した。その後、スチレン75.0部、メタクリル酸シクロヘキシル5.0部、アクリル酸ブチル10.0部及びキシレン250部の混合溶液を180℃で3時間滴下し重合した。さらに、この温度で30分間保持し、脱溶剤を行い、スチレンアクリル系重合体B1を得た。得られたスチレンアクリル系重合体B1の重量平均分子量は15000であり、ガラス転移温度(Tg)は63℃、融点は120℃であった。
<スチレンアクリル系重合体B2の製造例>
スチレンアクリル系重合体B1の製造例において、スチレンを80.0部に変更し、メタクリル酸シクロヘキシルを添加しないこと以外は、スチレンアクリル系重合体B1の製造例と同様の操作を行い、スチレンアクリル系重合体B2を得た。得られたスチレンアクリル系重合体B2の重量平均分子量は12000であり、ガラス転移温度(Tg)は64℃、融点は118℃であった。
<芳香族ポリエステル樹脂C1の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0モル%)
・テレフタル酸:28.0部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して94.4モル%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記材料を秤量した。
反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:1.3部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して5.6モル%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持した状態で、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた(第2反応工程)。
得られた芳香族ポリエステル樹脂C1のガラス転移温度(Tg)は57℃であり、ピーク分子量は4800であった。
<樹脂C2の製造例>
・BPA−PO 2000部
・ドデセニルコハク酸 250部
・テレフタル酸 350部
・アクリル酸 40部
・ジオクタン酸スズ(II) 15部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記材料を秤量した。
反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、230℃で撹拌しつつ、4.5時間反応させた。
その後、一旦160℃まで冷却したところで、トリメリット酸150部を添加した。
次いで、スチレン2850部、アクリル酸2−エチルヘキシル1250部及び重合開始剤であるジクミルパーオキサイド30部の混合物を、160℃で、2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに200℃まで昇温し、軟化点が115℃に達するまで3時間反応を行った。得られた樹脂C2のガラス転移温度(Tg)は60℃であり、ピーク分子量は11000であった。
なお、上記BPA−POは、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2.1モル付加物である。
<トナー1の製造例>
・芳香族ポリエステル樹脂C1 100.0部
・脂肪族ポリエステル樹脂A1 7.5部
・スチレンアクリル系重合体B1 5.0部
・フィッシャートロプシュワックス 6.0部
(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.3部
(ボントロンE88 オリエント化学工業社製)
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、樹脂粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s−1、分散ローター回転数を120s−1とした。
得られた樹脂粒子1を、図1に示す熱処理装置を用いて熱処理を行い、トナー粒子1を
得た。運転条件は、フィード量を5kg/hr、熱風温度を150℃、熱風流量を6m/min.、冷風温度を−5℃、冷風流量を4m/min.、ブロワー風量を20m/min.、インジェクションエア流量を1m/min.とした。
100部のトナー粒子1、ヘキサメチルジシラザンで表面処理した疎水性シリカ(BET:200m/g)1.0部、及びイソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m/g)1.0部を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s−1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。得られたトナーの平均円形度は0.968であった。
得られたトナーのΔH/W1、スチレンアクリル系重合体の添加部数W2、脂肪族ポリエステル樹脂Aの添加部数W1をスチレンアクリル系重合体の添加部数W2で割った値W1/W2を表2に示す。
<トナー2〜22の製造例>
トナー1の製造例において、脂肪族ポリエステル樹脂の種類及び添加部数、並びに、スチレンアクリル系重合体の種類及び添加部数を表2に示したように変更した以外は同様の操作を行い、トナー2〜22を得た。
<トナー23の製造例>
トナー22の製造例において、芳香族ポリエステル樹脂C1を樹脂C2に変更した以外は同様の操作を行い、トナー23を得た。
Figure 0006732528
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe 62.7部
MnCO 29.5部
Mg(OH) 6.8部
SrCO 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)(MgO)(SrO)(Fe
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調整>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して窒素ガスで系内を置換した。その後、80℃まで加温し、アゾビス
イソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
次いで、30部の被覆樹脂1を、トルエン40部、及びメチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(樹脂固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分30質量%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m/g、DBP吸油量75mL/100g)を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、被覆樹脂溶液1及び被覆樹脂溶液1を投入した(被覆樹脂溶液1の投入量は、100部の磁性コア粒子1に対して、樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<二成分系現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリア1に対して、8.0部のトナー1を加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<二成分系現像剤2〜23の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、トナーを表3のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2〜23を得た。
Figure 0006732528
<実施例1>
得られた二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C9280 PRO改造機を用い、シアン位置の現像器に二成分系現像剤1を入れ、静電潜像担持体又は紙上のトナーの載り量が所望になる画像を形成し、後述の評価を行った。改造点としては、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、レーザーパワー、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表4に示す。
<評価1>
(高温高湿環境下での帯電安定性)
紙:CS−680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm(FFh画像)
試験環境:高温高湿環境下、温度30℃/湿度80%RH(以下「H/H」)
耐久画像出力試験として、H/H環境下で、画像比率0.1%のFFh出力の帯チャートを用いて、A4用紙に10,000枚出力を行った。
その後、上記A4用紙の中心に10cmの画像を配置し、出力後の画像濃度を測定し
た。引き続き、H/H環境下において評価機内に現像器を入れたまま3晩放置させた後、放置前と同様に、上記A4用紙の中心に10cmの画像を配置し、出力後の画像濃度を測定した。上記2つの評価画像の濃度差について、以下の基準により評価した。
(評価基準)
A:濃度差が0.10未満 (非常に優れている)
B:濃度差が0.10以上0.15未満 (良好である)
C:濃度差が0.15以上0.25未満 (問題ないレベル)
D:濃度差が0.25以上 (許容できないレベル)
<評価2>
(低温定着性)
紙:CS−680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量:1.20mg/cm
評価画像:上記A4用紙の中心に10cmの画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境下、温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
プロセススピード:450mm/sec
定着温度:130℃
上記画像形成装置を用い、上記条件で出力した定着画像の低温定着性を評価した。
低温定着性の評価は、下記画像濃度低下率の値を指標とした。
画像濃度低下率は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用い、先ず、中心部の定着画像の濃度を測定する。次に、定着画像の濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけて、シルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、定着画像の濃度を再度測定する。そして、摺擦前後での定着画像の濃度の低下率(%)を測定した。
(評価基準)
A:濃度低下率が1.0%未満 (非常に優れている)
B:濃度低下率が1.0%以上5.0%未満 (良好である)
C:濃度低下率が5.0%以上10.0%未満 (問題ないレベル)
D:濃度低下率が10.0%以上 (許容できないレベル)
<実施例2〜20>
表3に示した通りの二成分系現像剤2〜20を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表4に示す。なお、実施例10〜12はそれぞれ参考例10〜12とする。

<比較例1〜3>
表3に示した通りの二成分系現像剤21〜23を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0006732528
<比較例1>
トナー21に用いられた脂肪族結晶性ポリエステル樹脂は、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを含有していない。そのため、トナー中で脂肪族ポリエステル樹脂が結晶化しやすい。その結果、結晶化した脂肪族ポリエステル樹脂から電荷が漏洩し、帯電安定性が低下したと推察される。
<比較例2>
トナー22は、スチレンアクリル系重合体を含有していない。脂肪族ポリエステル樹脂と相互作用するスチレンアクリル系重合体が存在しないため、脂肪族ポリエステル樹脂がトナー中で均一に微分散しにくい。その結果、トナー中で脂肪族ポリエステル樹脂がドメインとして存在し、結晶化しやすくなっているため、電荷が漏洩し帯電安定性が低下したと推察される。
<比較例3>
トナー23は、スチレンアクリル系重合体を含有しておらず、また、結着樹脂としてハイブリッド樹脂を使用したトナーである。結着樹脂における芳香族ポリエステル樹脂の含有量が低下した結果、脂肪族ポリエステル樹脂との相溶性が低下し、軟化剤としての効果が小さくなった。その結果、低温定着性が低下したと推察される。また、スチレンアクリル系重合体を含有しておらず、脂肪族ポリエステル樹脂の分散が不充分なため、トナー中の脂肪族ポリエステル樹脂が結晶化しやすくなり、電荷が漏洩し帯電安定性が低下したと推察される。
1.原料定量供給手段、2.圧縮気体流量調整手段、3.導入管、4.突起状部材、5.供給管、6.処理室、7.熱風供給手段、8.冷風供給手段、9.規制手段、10.回収手段、11.熱風供給手段出口、12.分配部材、13.旋回部材、14.粉体粒子供給口

Claims (5)

  1. 芳香族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び芳香族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する芳香族ポリエステル樹脂、
    脂肪族多価カルボン酸由来のモノマーユニット及び脂肪族多価アルコール由来のモノマーユニットを有する脂肪族ポリエステル樹脂、並びに、
    スチレンアクリル系重合体
    を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該脂肪族ポリエステル樹脂が、さらに、芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットを有し、
    該スチレンアクリル系重合体が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体であり、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有し、
    該芳香族ポリエステル樹脂の含有量は、該トナー粒子を構成する全樹脂成分を基準として、50質量%以上であり、
    該脂肪族ポリエステル樹脂の含有量が、該芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上15.0質量部以下であり、
    該スチレンアクリル系重合体の含有量が、該芳香族ポリエステル樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記脂肪族ポリエステル樹脂を構成するモノマーユニットの総モル数に対する、前記芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は前記芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットの総モル数の割合が、0.5モル%以上15.0モル%以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記芳香族モノカルボン酸由来のモノマーユニット及び/又は芳香族モノアルコール由来のモノマーユニットが、安息香酸に由来するモノマーユニットを含む、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記脂肪族ポリエステル樹脂の含有量をW1質量部、前記スチレンアクリル系重合体の含有量をW2質量部としたときに、0.5≦W1/W2≦2.0の関係を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記脂肪族ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が、5000以上14000以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のトナー。
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