JP6584158B2 - トナー - Google Patents
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Description
省電力化の手法として、低温定着性能の向上が挙げられる。トナーがより低温で定着することで、定着時に必要な電力の削減が行える。低温定着性能向上のため、非晶性のポリエステルを用いたトナー等の提案が多々なされている。さらに、特許文献1には、非晶性ポリエステルをメインバインダーに用いたトナーにおいて、結晶性ポリエステルを添加する手法が検討されている。結晶性ポリエステルを添加することによりメインバインダーである非晶性ポリエステル樹脂に可塑効果を及ぼし、母体の粘度を低下させることで、より低温での定着が図られている。
そこで、無機微粒子をトナー内部に含有させることによりトナー中の材料分散を改善させようとする検討が行われている。特許文献2には、バインダー樹脂、着色剤、シリカ及びワックスを溶融混練し、粉砕した後に、浮遊状態で加熱処理することで、特定の円平均相当径のシリカ凝集体がトナー粒子の断面に観察される静電荷像現像用トナーが記載されている。また、特許文献3には、熱風による表面処理によりトナー粒子の表面に無機微粒子が固着しており、トナーの深さ方向におけるワックス偏在度合いが特定の範囲に制御されているトナーが記載されている。その中でワックス偏在度合いを制御する手法の1つとして、シリカ微粒子又は酸化チタン微粒子を内添させたトナー粒子を熱処理したトナーが例示されている。
本発明の目的は、結晶性材料のような可塑剤を用いたトナーにおいても、材料をトナー中へ高度に分散させ、低温定着性と帯電安定性に優れたトナーを提供することである。
該トナー粒子は、結着樹脂、無機微粒子A及び無機微粒子Bを含有するトナー組成物の溶融混練粉砕物であり、
該無機微粒子Aと該無機微粒子Bとは、同一物質ではなく、
該結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを含有し、
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対し、1.0質量部以上15.0質量部以下であり、
該トナー粒子の重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下であり、
該トナー粒子は、トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域に該無機微粒子A及び該無機微粒子Bを有し、
該トナー粒子は、該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、該トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域において、
(i)該無機微粒子Aを0.10質量部以上2.00質量部以下含有し、
(ii)該無機微粒子Bを0.02質量部以上0.30質量部以下含有し、
該トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域に存在する該無機微粒子A及び該無機微粒子Bに関して、
(iii)該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)は、80nm以上300nm以下であり、
(iv)該無機微粒子Bの一次粒子の個数平均径(D1)は、該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)の0.05倍以上0.40倍以下である、
ことを特徴とするトナーである。
また、本発明は、
結着樹脂、無機微粒子A及び無機微粒子Bの混合物を溶融混練する工程、
得られた混練物を冷却する工程、及び、
該混練物の冷却物を粉砕してトナー粒子を得る工程、
を有するトナーの製造方法であって、
該結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを含有し、
該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対する、該結晶性ポリエステル樹脂の添加量が、2.0質量部以上14.5質量部以下であり、
該トナー粒子の重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対する、
該無機微粒子Aの添加量が、0.15質量部以上1.85質量部以下であり、
該無機微粒子Bの添加量が、0.03質量部以上0.28質量部以下であり、
該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)が、85nm以上200nm以下であり、
該無機微粒子Bの一次粒子の個数平均径(D1)が、該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)の0.09倍以上0.38倍以下である、
ことを特徴とするトナーの製造方法である。
該結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを含有し、
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対し、1.0質量部以上15.0質量部以下であり、
該トナー粒子の重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下であり、
該トナー粒子は、トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域に該無機微粒子A及び該無機微粒子Bを有し、
該トナー粒子は、該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、
該無機微粒子Aを0.10質量部以上2.00質量部以下含有し、
該無機微粒子Bを0.02質量部以上0.30質量部以下含有し、
該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)は、80nm以上300nm以下であり、
該無機微粒子Bの一次粒子の個数平均径(D1)は、該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)の0.05倍以上0.40倍以下であることを特徴とする。
題を解決するに至った理由を以下のように考えている。
一次粒子の個数平均径(D1)80nm以上300nm以下の粒径を有する無機微粒子Aは、溶融混練後の冷却工程における結晶性ポリエステルの再凝集を抑制し、結晶性ポリエステルの非晶性ポリエステル中での分散状態を改善する効果を発現すると考えている。
しかしながら、無機微粒子Aの過渡の添加は、無機微粒子A自体のトナー組成物中の分散性を悪化させ、無機微粒子Aによる結晶性ポリエステルに対する分散補助効果が十分に得られにくくなる。それに対し、一次粒子の個数平均径(D1)が、無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)の0.05倍以上0.40倍以下である無機微粒子Bを同時に含有させることにより、小粒子径である無機微粒子Bが、大粒子径である無機微粒子Aの隙間に入り込み、無機微粒子Aのトナー粒子中での分散性を向上させる。それにより無機微粒子Aによる結晶性ポリエステル分散効果がトナー粒子中の全域にわたり発現すると考えている。
下)含有し、無機微粒子Bを0.02質量部以上0.30質量部以下(好ましくは0.08質量部以上0.25質量部以下)含有することを特徴とする。上記範囲である場合、結晶性ポリエステルの分散状態を良好に保ち、低温定着性及び帯電安定性を両立することができる。
上記範囲である場合、同様にして、結晶性ポリエステルの分散状態を良好に保ち、低温定着性及び帯電安定性を両立することができる。なお、無機微粒子のD1は、原料組成及び粒子製造条件により制御することができる。
また無定形炭素(カーボンブラックなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化
ケイ素など)、金属塩(チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)からなる無機微粒子が挙げられる。
本発明における該無機微粒子A及び該無機微粒子Bとしては、トナー粒子内部に均一に分散しやすい点で、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びこれらを複合化した金属酸化物からなるグループから選択されることが好ましい。
ゾルゲル法で製造されたシリカ微粒子を用いる場合、加水分解・縮合反応工程における反応温度、有機溶媒の種類、アルコキシシランの滴下速度、並びに、水、有機溶媒及び触媒の重量比、撹拌速度などによって一次粒子の個数平均径を制御することが可能である。火炎溶融法で製造されたシリカ微粒子を用いる場合、原料ガス供給速度や、可燃性ガスの供給量及び酸素比率などによって一次粒子の個数平均径を制御することが可能である。
チタニア微粒子は、ルチル型、アナターゼ型の2種類の結晶型のどちらも好ましく用いられる。アナターゼ型酸化チタン微粒子を得たい場合は、メタチタン酸を焼成する際に、ルチル転移抑制剤として、リン酸、リン酸塩、カリウム塩等を添加することが好ましい。また、ルチル型酸化チタン微粒子を得たい場合は、メタチタン酸を焼成する際に、ルチル転移促進剤として、リチウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩等の塩類や、ルチル微結晶を含んだスラリー等のシードを添加することが好ましい。硫酸法で製造されたチタニア微粒子を用いる場合、加水分解する際の温度、チタニアゲルの添加量、焼成する際の焼成温度や焼成時間によって一次粒子の個数平均径を制御することが可能である。
該無機微粒子Aと該無機微粒子Bの組み合わせは、該無機微粒子Aと該無機微粒子Bがシリカ微粒子、チタニア微粒子、及びこれらを複合化した金属酸化物のグループから選ばれる場合、同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。該無機微粒子Aがシリカ微粒子であることがより好ましく、該無機微粒子Bがチタニア微粒子であることがより好ましい。
[非晶性ポリエステル樹脂]
本発明のトナーに用いられる非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分とすることが必要である。主成分であるとは非晶性ポリエステル樹脂全量に対するポリエステル樹脂の含有量が50質量%以上であることを示す。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作成する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリ
エステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表されるビスフェノール及びその誘導体;
式(B)で示されるジオール類;が挙げられる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物
及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独で又は複数を併用して用いることができる。
例えば、ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
該非晶性ポリエステル樹脂中のポリエステル樹脂の含有量は、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
高分子量のポリエステル樹脂Aのピーク分子量は10000以上20000以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、高分子量のポリエステル樹脂Aの酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境
下における帯電安定性の観点から好ましい。
低分子量のポリエステル樹脂Bの数平均分子量は1500以上3500以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、低分子量のポリエステル樹脂Bの酸価は10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
本発明のトナーは結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする。
非晶性樹脂にポリエステル樹脂を用いた場合、可塑効果を十分に発揮させるためには、結晶性樹脂としてもポリエステルを使用することが重要である。なお、結晶性樹脂とは、示差走査熱量分析装置による比熱変化測定の可逆比熱変化曲線において、明確な吸熱ピーク(融点)が観測される樹脂を指す。
本発明のトナーにおいて、トナー粒子に含まれる結晶性ポリエステルは、脂肪族ジオールと、脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を縮重合反応させることにより得られるものが好ましい。脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸は、炭素数6以上12以下であることが好ましく、7以上11以下であることがより好ましい。
上記アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数6〜12の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のアルコ−ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性アルコールなどが挙げられる。
酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。
上記エステル化又はエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応又は重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたりしてもよい。また低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
本発明のトナーは、必要に応じワックスを含有することができる。トナーに含有されるワックスとしては、公知のものが利用できるが、本発明のトナーに用いられるワックスとしては、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックスを用いることが好ましい。
例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又はメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。
母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。また、パラフィンワックスも好ましく用いられる。
また、トナーの保存性と高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
また、本発明におけるトナーでは、ワックスとして炭化水素系ワックスを含有する場合、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体を含有することが好ましい。中でも、ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したグラフト重合体を更に含有することが好ましい。
該重合体が含有された場合、ワックスと樹脂との相溶性が促進され、ワックス分散不良による帯電不良、部材汚染などの弊害を引き起こしにくくなる。
また該ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体の含有量は、非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。含有量がこの範囲にあるとき、非晶性ポリエステル樹脂中にワックスの分散状態が均一となり易い。
ビニル系樹脂に用いられるビニル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n
−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンのようなスチレン及びその誘導体などのスチレン系単位。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなアミノ基含有α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸又はメタクリル酸誘導体などのN原子を含むビニル系単位。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどの水酸基を含むビニル系単位。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステルからなるエステル単位。
ビニル樹脂の構成単位として、スチレン系単位、さらにはアクリロニトリル、又はメタアクリロニトリルを含むのが好ましい。
本発明のトナーには着色剤を用いてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
本発明では、流動性向上や摩擦帯電量調整のために、その他の外添剤が添加されていてもよい。
当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムのような無機微粒子が好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサー
のような公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対し、0.01質量部以上10.0質量部以下が好ましい。
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉又は未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
二成分系現像剤中のトナー濃度は、2.0質量%以上15.0質量%以下が好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、トナーの原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。製造方法の例を挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、無機微粒子A及び無機微粒子B、並びに必要に応じてワックス、着色剤、荷電制御剤等の他の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に他原材料等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理の如きトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
本発明では、例えば、図1で表される表面処理装置を用いて熱風により表面処理を行い
、必要に応じて分級をすることによりトナーを得ることができる。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
さらに熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20〜30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であるこ
とが好ましい。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給される熱処理前トナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前トナー粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理トナー粒子を得ることができる。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ
解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
日立超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて撮影した拡大写真により行う。
上記写真撮影により得られたTEM画像は、画像解析ソフトImage−ProPlusProPlus5.1J(Media Cybernetics社製)を用いて、2値
の画像データに変換した。
上記画像データにより無機微粒子A及びBのそれぞれを観察し、ランダムに選択した1
000個の無機微粒子の長軸と短軸を計測し、その平均値を無機微粒子A又はBの一次粒子の個数平均径とした。
クライオミクロト―ム(Leica社製 ULTRACUT UCT)装置に水溶性樹脂に分散したトナーを入れた。液体窒素により該装置を−80℃まで冷却し、トナーが分散された水溶性樹脂を凍結した。凍結された水溶性樹脂を、ガラスナイフにより切削面形状が約0.1ミリ幅、約0.2ミリ長になるようにトリミングした。次にダイヤモンドナイフを用いて、水溶性樹脂を含むトナーの超薄切片(厚み設定:70nm)を作製し、まつげプローブを用いてTEM観察用グリッドメッシュ上に移動した。水溶性樹脂を含むトナーの超薄切片を室温に戻した後、水溶性樹脂を純水に溶解させて透過型電子顕微鏡(TEM)の観察試料とした。該試料は、日立社製透過型電子顕微鏡H−7500を用い、加速電圧100kVにて観察し、トナーの粒子断面の拡大写真を撮影した。また、拡大写真の倍率は20000倍とした。
上記写真撮影により得られたTEM画像は、画像解析ソフトImage−ProPlusProPlus5.1J(Media Cybernetics社製)を用いて、2値
の画像データに変換した。そのうち、無機微粒子についてのみ無作為に解析を行なった。
無機微粒子の一次粒子径は、粒子の長軸と短軸の平均値を一次粒子径とした。また、無機微粒子A及びBそれぞれの一次粒子の個数平均径は、上記該当粒子A及びBの一次粒子100個を無作為に選択し、その一次粒子径の個数平均をそれぞれ無機微粒子A及びBの一次粒子の個数平均径(D1)とした。
なお、トナーの粒子断面において、トナーの粒子表面から0.3μm以上内部の領域に該無機微粒子A及び該無機微粒子Bを有することの確認は、上記トナー粒子の断面拡大写真より確認を行った。
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30〜200℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。試料としては、樹脂、または、トナーを用いる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
日立超高分解能電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて撮影した拡大写真により行う。
上記写真撮影により得られたSEM画像を、画像解析ソフトImage−ProPlusProPlus5.1J(Media Cybernetics社製)を用いて、2値
の画像データに変換した。
上記画像データによりランダムに選択した1000個の無機微粒子Aの一次粒子径の個数分布を算出し、無機微粒子Aの個数平均粒径(D1)の40%に相当する粒径までの個数割合を算出した。
無機微粒子Aの製造には、原料にヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いた、燃焼法によりシリカ微粒子を作製した。燃焼炉は、内炎と外炎が形成できる二重管構造の炭化水素−酸素混合型バーナーを用いた。バーナー中心部にスラリー噴射用の二流体ノズルが接地され、原料の珪素化合物を導入した。二流体ノズルの周囲から炭化水素−酸素の可燃性ガスが噴射され、還元雰囲気である内炎及び外炎を形成した。可燃性ガスと酸素の量及び流量の制御により、雰囲気と温度、火炎の長さ等を調整した。火炎中において珪素化合物からシリカ微粒子が形成され、さらに所望の粒径になるまで融着させた。そして、冷却後、バグフィルター等により捕集することによってシリカ微粒子を得た。
得られたシリカ微粒子99.5質量%に、ヘキサメチルジシラザン0.5質量%で表面処理し、無機微粒子A−1を得た。得られた無機微粒子A−1の一次粒子の個数平均径は120nmであり、A−1の一次粒子の個数分布において、小粒子側からA−1の一次粒子の個数平均粒子径(D1)の40%に相当する粒径までの個数割合は0.55個数%であった。
可燃性ガスと酸素の量及び流量を変更することでシリカ原体の平均粒子径及び小粒子側からD1の40%に相当する粒径までの個数割合を表1のとおりになるように変更した以外は無機微粒子A−1と同様の手法で作製し、シリカ微粒子である無機微粒子A−2、無機微粒子A−4及び無機微粒子A−5を得た。
撹拌機、滴下ロート及び温度計を有するガラス製反応器に、アルコール溶媒としてメタノールを693.0g、水を46.0g、及び28質量%のアンモニア水を55.3g添加して、メタノール、水及びアンモニアの混合溶液を作製した。
得られた混合溶液を反応温度35℃に調整し、反応温度を保ちながら撹拌し、テトラメトキシシランを1293.0g(8.5モル)、及び、5.4質量%のアンモニア水を464.5g同時に滴下開始した。このとき、テトラメトキシシランの滴下時間を9時間として滴下した。なお、アンモニア水はテトラメトキシシランよりも1時間早く滴下が終了するように滴下速度を調整した。
テトラメトキシシランの滴下が終了後、1時間撹拌を続けて加水分解を行い、ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール−水分散液を得た。
次いで、該分散液を75℃に加熱してメタノールを1320g留去し、その後、1320gの水を加えた。そして、該分散液を90℃に加熱してメタノールを532.4g留去することにより、ゾルゲルシリカ微粒子の水性分散液を得た。
該水性分散液にメチルイソブチルケトンを1584g添加した後、90〜110℃に加熱し、15時間かけてメタノールと水の混合物を1474g留去した。
得られたゾルゲルシリカ微粒子のメチルイソブチルケトン分散液を25℃まで冷却した後、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザンを322g(2.0モル、SiO2単位1
モルに対して0.24モル)添加し、110℃に加熱して、5時間反応させることにより、ゾルゲルシリカ微粒子に表面処理を施した。
この分散液から溶媒を80℃で減圧留去することにより、シリカ微粒子である無機微粒子A−3を得た。得られた無機微粒子A−3の一次粒子の個数平均径は200nmであり、小粒子側からD1の40%に相当する粒径までの個数割合は0.32個数%であった。
エタノール濃度が50%のエタノール/水混合液200mlを−20〜10℃に冷やし、そこにCa(OH)2を160g加えた。得られたスラリー状の液体を強撹拌しながら、容器下部から、炭酸ガス濃度30%の炭酸ガス/窒素の混合ガスを500〜5000ml/minの流速で導入し、pHが低下し始めるまで反応させた。このとき反応温度及び炭酸ガスの導入速度を調節して、一次平均粒径が130nm粒径の合成炭酸カルシウムを含むスラリー得た。さらに、それぞれの分散液を低温状態のままろ過し、純水で十分に洗浄してから乾燥させ、合成炭酸カルシウムを得た。
得られた合成炭酸カルシウムに、70℃に調整した水を固形分10質量%となるように加え、攪拌型分散機を用いてスラリーとした。この合成炭酸カルシウムのスラリー1kgを分散機により攪拌させながら、鹸化したステアリン酸0.2〜4gを添加し、1〜30分間攪拌した後、プレス脱水した。このとき、脂肪酸添加量及び攪拌時間をふって脂肪酸処理量及び脂肪酸処理分布の異なる疎水化炭酸カルシウムのスラリーとした。得られた脱水ケーキを乾燥後、粉末化した、その後、風力分級機により微粒子成分を除去することにより、脂肪酸で疎水化表面処理された炭酸カルシウム粒子である無機微粒子A−6を得た。
得られた無機微粒子A−6の一次粒子の個数平均径は、90nmであり、小粒子側からD1の40%に相当する粒径までの個数割合は、0.75個数%であった。
無機微粒子A−6の製造例において、反応温度及び炭酸ガスの導入速度を調整すると共に、風力分級工程の条件を変更し、個数平均径及び小粒子比率を表1のとおりに変更した以外は同様にして、無機微粒子A−7〜A−10得た。
TiO2相当分を50質量%含有しているイルメナイト鉱石を、150℃で3時間乾燥
した後、硫酸を添加して溶解させ、TiOSO4の水溶液を得た。
得られた水溶液を濃縮した後、アナターゼ型結晶を有するチタニアゾルをシードとして10質量部添加した後、170℃で加水分解を行い、不純物を含有するTiO(OH)2
のスラリーを得た。
このスラリーをpH5〜6で繰り返し洗浄を行い、硫酸、FeSO4及び不純物を十分
に除去することで、高純度のメタチタン酸〔TiO(OH)2〕のスラリーを得た。
このスラリーを濾過した後、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)を0.5質量部添加し、240℃で4時間焼成した後、ジェットミルによる解砕処理を繰り返し行い、アナターゼ型結晶を有するチタニア微粒子を得た。
得られたチタニア微粒子をエタノール中に分散させて撹拌しながら、チタニア微粒子100質量部に対して、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシランを5質量部滴下混合して反応させた。
乾燥した後、170℃で3時間加熱処理し、チタニアの凝集体が無くなるまでジェットミルで繰り返し解砕処理を行い、チタニア微粒子である無機微粒子B−1を得た。無機微粒子B−1の一次粒子の個数平均径は40nmであった。
焼成時間及び粉砕強度を変更し、チタニア微粒子母体の平均粒子径を表1の通りに変更したい以外は無機微粒子B−1と同様の手法で作製し、無機微粒子B−2、無機微粒子B−4を得た。
無機微粒子B−1製造例において、チタニアゾルとして、ルチル型チタニアゾルを8質量部添加したこと、150℃で加水分解を行ったこと、炭酸リチウムリン酸二水素カリウム(KH2PO4)の代わりに炭酸リチウム(Li2CO3)を用いたこと、焼成温度を30
0℃にしたこと以外は同様にして作成し、ルチル型結晶を有するチタニア微粒子である無機微粒子B−3を得た。無機微粒子B−3の一次粒子の個数平均径は55nmであった。
焼成時間及び粉砕強度を変更し、チタニア微粒子母体の平均粒子径を表1の通りに変更したい以外は無機微粒子B−3と同様の手法で作製し、無機微粒子B−5を得た。
無機微粒子A−1の製造例において、可燃性ガスと酸素の量及び流量を変更することでシリカ原体の平均粒子径を表1のとおりに変更した以外は同様の手法で作製し、シリカ微粒子である無機微粒子B−6及びB−7を得た。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して96.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で
撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:
1.3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が94℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、(第2反応工程)、結着樹脂Lを得た。得られた樹脂Lの軟化点(Tm)は94℃、ガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:
2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:
6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が132℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、(第2反応工程)、結着樹脂Hを得た。得られた樹脂Hの軟化点(Tm)は132℃、ガラス転移温度(Tg)は61℃であった。
・1,10−デカンジオール:46.9質量部(0.27モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・セバシン酸:53.1質量部(0.26モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂C−1を得た樹脂C−1は示差走査熱量分析において、明確な吸熱ピークを示した。
用いたカルボン酸成分及びアルコール成分を表2に示すとおり変更した以外は、結晶性
ポリエステル樹脂C−1の製造例と同様にして製造し、結晶性ポリエステルC−2〜C−6を得た。樹脂C−2〜C−6は示差走査熱量分析において、明確な吸熱ピークを示した。
・不飽和結合を1つ以上有するポリエチレン(Mw:1400、Mn:850、DSCによる吸熱ピーク: 100℃) 20質量部
・スチレン 59質量部
・アクリル酸−n−ブチル 18.5質量部
・アクリロニトリル 2.5質量部
上記原料をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のジ−tert−ブチルパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンに共重合体がグラフトしたビニル系樹脂重合体C1を得た。ビニル系樹脂重合体C−1は、軟化点(Tm)は110℃、ガラス転移温度(Tg)は64℃であり、重合体Cー1のTHF可溶分のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)7400、数平均分子量(Mn)2800であった。原料の、不飽和結合を1つ以上有するポリエチレンに相当するピークは認められなかった。軟化点(Tm)は110℃、ガラス転移温度(Tg)は64℃であった。
<トナー1の製造例>
・非晶性ポリエステル樹脂L 50.00質量部・非晶性ポリエステル樹脂H 50.00質量部・結晶性ポリエステル樹脂C−1 7.50質量部・パラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃) 7.50質量部・ビニル系樹脂重合体D 7.50質量部・C.I.ピグメントブルー15:3 5.00質量部・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.50質量部・無機微粒子A−1 1.00質量部・無機微粒子B−1 0.15質量部
(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.7μmであった。
得られたトナー粒子100質量部に、一次平均粒子径110nmのシリカ微粒子5.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で、回転数30s−1、回転時間10minで混合した。得られた混合物を用い、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い、熱処理トナー粒子を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、また、熱風温度C=220℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度E=5℃、冷風流量=4m3/min.、冷風絶対水分量=3g/m3、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。得られた処理トナー粒子は、平均円形度が0.963、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
得られた処理トナー粒子100質量部に、一次平均粒子径13.0nmのシリカ微粒子1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM75型、三井三池化工機(株)製)で周速度45m/sec、5min混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1を得た。得られたトナー1において、トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域に無機微粒子A及び無機微粒子Bを有することを確認した。
該トナー1とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s−1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤1を得た。
<評価1>画像濃度安定性評価
画像形成装置としてキヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C2230を、プロセススピードを200mm/secとなるように改造して、二成分系現像剤1を用い、随時トナー1を補給しながら下記の評価1−1〜1−3を行った。評価結果を表4へ示す。
まず、低温低湿環境下(15℃、10%RH)で、500枚連続通紙試験(A4横、80%印字比率)を行った。
500枚連続通紙中は、1枚目と同じ現像条件、転写条件(キャリブレーション無し)で通紙を行うこととする。評価紙は、コピー用紙GF−C081(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用い、FFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.50mg/cm2となるように調整した。FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
高温高湿環境下(30℃、80%RH)への変更直後の濃度安定性評価
次いで、画出し環境を、低温低湿環境下(15℃、10%RH)から、高温高湿環境下(30℃、80%RH)へ8時間かけて変更した後、同様にして、500枚連続通紙試験(A4横、80%印字比率)行った。
(評価1−3)高温高湿環境下(30℃、80%RH)での濃度安定性評価
次いで、高温高湿環境下(30℃、80%RH)に8時間以上放置し十分に使用環境に馴染ませたのち、同様に500枚の連続通紙をおこなった。
各環境にて画出しした500枚の通紙画像の全てのFFH画像部;ベタ部の画像濃度を測定し、最も高濃度ものと、最も低濃度のものの濃度差を各環境で算出し、評価1−1及び評価1−3を、各環境下での濃度安定性能、評価1−2を、環境変動追従性能として以下の基準で評価した。
また、画像濃度は、Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用して測定した。
(評価基準)
A:0.10未満 (非常に優れている)
B:0.10以上0.20 未満 (良好である)
C:0.20以上0.30未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:0.30以上 (本発明では許容できない)
キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROを、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように改造して定着温度領域の試験を行った。画像は単色モードで常温常湿度環境下(23℃/50〜60%)において、紙上のトナー載り量が1.2mg/cm2になるように調整し、未定着画像を作成した。評価紙は、コピー用紙GF−C081(A4、坪量81.4g/m2)を用い、画像印字比率25%で画像を形成した。その後、常温常湿度環境下(23℃/50〜60%)において、プロセススピードを450mm/secに設定し、定着温度を100℃から順に5℃ずつ上げ、オフセットが生じない温度幅(定着開始温度以上オフセット発生温度未満)を定着可能領域とした。定着可能領域の下限温度を定着開始温度とした。評価結果を表4へ示す。
(低温定着性の評価基準)
A:130℃未満 非常に優れている
B:130℃以上140℃未満 良好である
C:140℃以上150℃未満 本発明では問題ないレベルである
D:160℃以上 本発明では許容できない
キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROを、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように改造して定着温度領域の試験を行った。画像は単色モードで常温常湿度環境下(23℃/50〜60%)において、紙上のトナー載り量が1.2mg/cm2になるように調整し、未定着画像を作成した。評価紙は、コピー用紙GF−C081(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用い、画像印字比率25%で画像を形成した。その後、常温常湿度環境下(23℃/50〜60%)において、プロセススピードを450mm/secに設定し、定着温度を100℃から順に5℃ずつ上げ、オフセットが生じない温度幅(定着開始温度以上オフセット発生温度未満)を定着可能領域とした。定着可能領域の上限温度を耐ホットオフセット温度とした。評価結果を表4へ示す。
(耐ホットオフセット性の評価基準)
A:190℃以上 非常に優れている
B:180℃以上190℃未満 良好である
C:170℃以上180℃未満 本発明では問題ないレベルである
D:170℃未満 本発明では許容できない
表3に示す通り、無機微粒子A及び無機微粒子B及び結晶性ポリエステルCの種類、添加量を変更する以外は、実施例1と同様にして、トナーを製造し、同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、得られたトナーにおいて、トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域に無機微粒子A及び/又は無機微粒子Bを有することを確認した。
なお、実施例13は参考例とする。
供給管、6:処理室、7:熱風供給手段、8:冷風供給手段、9:規制手段、10:回収手段、11:熱風供給手段出口、12:分配部材、13:旋回部材、14:粉体粒子供給口
Claims (5)
- トナー粒子を含むトナーであって、
該トナー粒子は、結着樹脂、無機微粒子A及び無機微粒子Bを含有するトナー組成物の溶融混練粉砕物であり、
該無機微粒子Aと該無機微粒子Bとは、同一物質ではなく、
該結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを含有し、
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対し、1.0質量部以上15.0質量部以下であり、
該トナー粒子の重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下であり、
該トナー粒子は、トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域に該無機微粒子A及び該無機微粒子Bを有し、
該トナー粒子は、該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、該トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域において、
(i)該無機微粒子Aを0.10質量部以上2.00質量部以下含有し、
(ii)該無機微粒子Bを0.02質量部以上0.30質量部以下含有し、
該トナー粒子表面から0.3μm以上内部の領域に存在する該無機微粒子A及び該無機微粒子Bに関して、
(iii)該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)は、80nm以上300nm以下であり、
(iv)該無機微粒子Bの一次粒子の個数平均径(D1)は、該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)の0.05倍以上0.40倍以下である、
ことを特徴とするトナー。 - 前記結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸との縮重合体である請求項1に記載のトナー。
- 前記無機微粒子Aの一次粒子の個数分布において、小粒子側から前記無機微粒子Aの一次粒子の個数平均粒子径(D1)の40%に相当する粒径までの個数割合が、1.00個数%未満である請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記無機微粒子A及び前記無機微粒子Bが、それぞれ独立して、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びこれらを複合化した金属酸化物からなるグループから選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
- 結着樹脂、無機微粒子A及び無機微粒子Bの混合物を溶融混練する工程、
得られた混練物を冷却する工程、及び、
該混練物の冷却物を粉砕してトナー粒子を得る工程、
を有するトナーの製造方法であって、
該結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを含有し、
該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対する、該結晶性ポリエステル樹脂の添加量が、2.0質量部以上14.5質量部以下であり、
該トナー粒子の重量平均粒子径(D4)が3.0μm以上10.0μm以下であり、
該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対する、
該無機微粒子Aの添加量が、0.15質量部以上1.85質量部以下であり、
該無機微粒子Bの添加量が、0.03質量部以上0.28質量部以下であり、
該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)が、85nm以上200nm以下であり、
該無機微粒子Bの一次粒子の個数平均径(D1)が、該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径(D1)の0.09倍以上0.38倍以下である、
ことを特徴とするトナーの製造方法。
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