以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明は、バインダー樹脂、着色剤及びワックスを有するトナーであって、トナー表面から0.3μm以上内部の領域に無機微粒子Aと無機微粒子Bとを有し、該無機微粒子Aの含有量WAは、該トナー100質量部に対し0.10質量部以上4.00質量部以下であり、該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径DAは、60nm以上300nm以下であり、該無機微粒子Bの含有量WBは、該トナー100質量部に対し0.02質量部以上2.00質量部以下であり、該無機微粒子Bの一次粒子の個数平均径DBは、4nm以上50nm以下であることを特徴とするトナーである。
従来は、トナー粒子中に単独の無機微粒子を含有させることにより、トナーの保存性を向上させたり、ワックスの分散性を制御する手法がとられてきた。この場合、比表面積の大きい無機微粒子をトナー粒子中に含有させた場合、トナーの保存性は向上するものの、分速100枚以上の高速印刷機へ適用した場合に低温定着性や画像光沢性が悪化することがあった。また比表面積の小さい無機微粒子をトナー粒子中に含有させた場合には、耐ホットオフセット性や耐定着巻き付き性は向上するものの、高印字比率で長時間印刷した後に濃度変動やカブリが発生することがあった。
前述の特許文献1のように、比表面積の大きいシリカと比表面積の小さいシリカを組み合わせて使用することでトナーの保存性を改良させることも行われている。この場合、比表面積の小さいシリカの一次粒子の個数平均径が小さいため、分速100枚以上の高速機へ適用した場合に耐ホットオフセット性や耐定着巻き付き性が満足できないことがあった。
本発明者らは、トナー粒子中に含有させる無機微粒子の一次粒子の個数平均径に着目した。一般に、無機微粒子の一次粒子の個数平均径と無機微粒子の比表面積は反比例関係にある。しかし、無機微粒子の一次粒子の個数平均径が同じであっても、表面処理の有無、表面処理方法によって、比表面積は大きく変わりうる。本発明者らは、個数平均径の異なる無機微粒子を含有させることで、定着性や長時間耐久後の現像安定性を高いレベルで両立できることに加え、画像濃度によらず画像光沢性が均一にできることを見出し、本発明に至った。
そのメカニズムについて本発明者らは以下のように考えている。
トナー内部に一次粒子の個数平均径の小さな無機微粒子が存在すると、高印字比率で長時間印刷した後に濃度変動やカブリが発生することがあるのはバインダー樹脂と無機微粒子とで帯電性が異なることに起因すると考えている。無機微粒子の一次粒子の個数平均径が大きいとその体積も増大するため、トナー粒子中での帯電の高い部分と低い部分がまばらに存在し、濃度変動やカブリが悪化する傾向にあると思われる。一次粒子の個数平均径の大きい無機微粒子と一次粒子の個数平均径の小さい無機微粒子がともにトナー内部に存在すると、個数平均径の小さい無機微粒子はトナー内部において個数平均径の大きい無機微粒子の間隙に入ることができる。すると、バインダー樹脂の帯電性が無機微粒子の帯電性に近づくため、トナー粒子内部がより均一な帯電分布となると考えられる。その結果、高印字比率で長時間印刷した後に濃度変動やカブリが一次粒子の個数平均径の大きい無機微粒子のみが存在する場合に比べ良化するものと考えている。
画像濃度によって画像光沢性が大きく変わる理由は、トナーの載り量の少ないハーフトーン部分で画像の表面平滑性が低下しているためと考えられる。本発明のトナーは、一次粒子の個数平均径の大きい無機微粒子と一次粒子の個数平均径の小さい無機微粒子がともにトナー内部に存在することによって、それぞれが単独で存在するトナーとは異なる特有な粘弾性を有しているものと思われる。その結果、画像濃度によらず均一な画像光沢性を実現できていると推測している。
本発明において、トナー粒子内部というのは、トナー表面に存在する外添剤の影響を受けない範囲のことを意味し、具体的にはトナー表面から0.3μm以上内部の領域に無機微粒子全体が包含されていることを意味する。本発明では、トナー表面から0.3μm内部の境界面に跨って存在する無機微粒子はカウントしないものとする。尚、本発明のトナーは、トナーとして一般的な粒径を有する。具体的には、重量平均粒径(D4)3.0μm以上10.0μm以下程度である。本発明においては、この程度の粒径を有するトナーにおける0.3μm以上内部の領域について議論しているものである。
トナー表面から0.3μm以上内部の領域に該無機微粒子Aと該無機微粒子Bとを存在させる方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。結着樹脂及びワックスを溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕法において、原料混合工程において予め他の原料と、該無機微粒子Aと該無機微粒子Bとを混合させる方法;結着樹脂、ワックス及び該無機微粒子Aと該無機微粒子Bとを溶剤中に溶解または分散させた溶液を水系媒体中に導入し懸濁造粒させ、該溶剤を除去することによってトナー粒子を得る懸濁造粒法;モノマーに該無機微粒子Aと該無機微粒子B、及びワックス等を均一に分散または溶解したモノマー組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に分散し、重合反応を行わせトナー粒子を作製する懸濁重合法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成する乳化重合法において該無機微粒子Aと該無機微粒子Bとを予めモノマー組成物中に含有させておく方法;少なくとも重合体微粒子、ワックス及び該無機微粒子Aと該無機微粒子Bとを凝集して微粒子凝集体を形成する工程と該微粒子凝集体中の微粒子間の融着を起こさせる熟成工程を経て得られる乳化凝集法;該無機微粒子Aと該無機微粒子Bとを含有するコア微粒子表面に、該無機微粒子Aも該無機微粒子Bも含まないシェルを被膜しコアシェル構造の微粒子を形成させる方法などがある。
本発明における無機微粒子Aとしては、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化錫、酸化亜鉛、などからなる酸化物の微粒子、また無定形炭素(カーボンブラックなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)からなる無機微粒子が挙げられる。
本発明における該無機微粒子Aとしては、シリカ微粒子、チタニア微粒子、或いはこれらを複合化した金属酸化物からなる微粒子のグループから選択されることが好ましい。さらに、該無機微粒子Aがシリカ微粒子であると、画像光沢性の均一性の効果が発現しやすいため特に好ましい。
シリカ微粒子は、例えば、沈降法、ゾルゲル法に代表される、ケイ酸ナトリウムを中和することでシリカを得る湿式法、火炎溶融法やアーク法に代表される気相中でシリカを得る乾式法など任意の方法で製造されたシリカ微粒子が好ましく用いられる。その中でも一次粒子の個数平均径を所望の範囲に制御しやすいことから、ゾルゲル法または火炎溶融法で製造されたシリカ微粒子がより好ましい。
チタニア微粒子の製造方法は特に制限されるものではなく、従来公知の硫酸法及び塩素法で製造されたチタニア微粒子、四塩化チタンを原料として気相中で酸素と反応させる気相酸化法で得られたチタニア微粒子が挙げられる。得られるチタニア微粒子の一次粒子の個数平均径を制御しやすいことから、硫酸法で得られたチタニア微粒子であることがより好ましい。チタニア微粒子は、ルチル型、アナターゼ型の2種類の結晶型のどちらも好ましく用いられる。アナターゼ型酸化チタン微粒子を得たい場合は、メタチタン酸を焼成する際に、ルチル転移抑制剤として、リン酸、リン酸塩、カリウム塩等を添加することが好ましい。また、ルチル型酸化チタン微粒子を得たい場合は、メタチタン酸を焼成する際に、ルチル転移促進剤として、リチウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩等の塩類や、ルチル微結晶を含んだスラリー等のシードを添加することが好ましい。
該無機微粒子Aは、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で処理されていることが好ましい。
該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径DAは、60nm以上300nm以下である。
該無機微粒子Aの一次粒子の個数平均径DAが上記範囲の場合、高印字比率で長時間印刷した後の濃度変動やカブリの発生を抑制しつつ、高速印刷における耐ホットオフセット性と耐定着巻き付き性を向上させ、かつトナーの載り量によらない均一な画像光沢性を有することができる。DAが300nmを超える場合、濃度変動やカブリが悪化することがある。また、DAが60nm未満である場合、低温定着性が悪化する傾向にあったり、トナーの載り量によらない均一な画像光沢性の効果が表れにくい。好ましくは、70nm以上200nm以下である。
該無機微粒子Aとして、ゾルゲル法で製造されたシリカ微粒子を用いる場合、加水分解・縮合反応工程における反応温度、有機溶媒の種類、アルコキシシランの滴下速度、並びに、水、有機溶媒及び触媒の重量比、撹拌速度などによって一次粒子の個数平均径DAを制御することが可能である。
該無機微粒子Aとして、火炎溶融法で製造されたシリカ微粒子を用いる場合、原料ガス供給速度や、可燃性ガスの供給量及び酸素比率などによって一次粒子の個数平均径DAを制御することが可能である。
該無機微粒子Aとして、硫酸法で製造されたチタニア微粒子を用いる場合、加水分解する際の温度、チタニアゲルの添加量、焼成する際の焼成温度や焼成時間によって一次粒子の個数平均径DAを制御することが可能である。
該無機微粒子Aの含有量WAは、該トナー100質量部に対し0.10質量部以上4.00質量部以下である。該無機微粒子Aの含有量WAが上記範囲の場合、高印字比率で長時間印刷した後に濃度変動やカブリを発生させることなく高速印刷における耐ホットオフセット性や耐定着巻き付き性を両立できる。WAが4.00質量部を超える場合、高温高湿環境下において高印字比率で長時間印刷した後の濃度変動やカブリが悪化することがある。好ましくは0.20質量部以上2.00質量部以下である。
本発明における無機微粒子Bとしては、金属酸化物である、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化錫、酸化亜鉛、などからなる無機微粒子が挙げられる。
また無定形炭素(カーボンブラックなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)からなる無機微粒子が挙げられる。
本発明における該無機微粒子Bとしては、トナー粒子内部に均一に分散しやすい点で、シリカ微粒子、チタニア微粒子、或いはこれらを複合化した金属酸化物からなるグループから選択されることが好ましい。
シリカ微粒子は、例えば、沈降法、ゾルゲル法に代表される、ケイ酸ナトリウムを中和することでシリカを得る湿式法、火炎溶融法やアーク法に代表される気相中でシリカを得る乾式法など任意の方法で製造されたシリカ微粒子が好ましく用いられる。一次粒子の個数平均径を所望の範囲に制御しやすいことから、ゾルゲル法または火炎溶融法で製造されたシリカ微粒子がより好ましい。
チタニア微粒子の製造方法は特に制限されるものではなく、従来公知の硫酸法及び塩素法で製造されたチタニア微粒子、四塩化チタンを原料として気相中で酸素と反応させる気相酸化法で得られたチタニア微粒子が挙げられる。得られるチタニア微粒子の一次粒子の個数平均径を制御しやすいことから、硫酸法で得られたチタニア微粒子であることがより好ましい。チタニア微粒子は、ルチル型、アナターゼ型の2種類の結晶型のどちらも好ましく用いられる。アナターゼ型酸化チタン微粒子を得たい場合は、メタチタン酸を焼成する際に、ルチル転移抑制剤として、リン酸、リン酸塩、カリウム塩等を添加することが好ましい。また、ルチル型酸化チタン微粒子を得たい場合は、メタチタン酸を焼成する際に、ルチル転移促進剤として、リチウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩等の塩類や、ルチル微結晶を含んだスラリー等のシードを添加することが好ましい。
該無機微粒子Bは、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で処理されていることが好ましい。
該無機微粒子Bの一次粒子の個数平均径DBは、4nm以上50nm以下である。
該無機微粒子Bの一次粒子の個数平均径DBが上記範囲の場合、高印字比率で長時間印刷した後の濃度変動やカブリを抑制したまま、トナーの載り量によらない均一な画像光沢性を有することができる。DBが4nm未満であるような無機微粒子は製造が困難であり、また、DBが50nmを超える場合、高印字比率で長時間印刷した後の濃度変動やカブリやトナーの載り量によらない均一な画像光沢性がやや悪化する傾向にある。好ましくは7nm以上45nm以下である。
該無機微粒子Bとして、ゾルゲル法で製造されたシリカ微粒子を用いる場合、加水分解・縮合反応工程における反応温度、有機溶媒の種類、アルコキシシランの滴下速度、並びに、水、有機溶媒及び触媒の重量比、撹拌速度などによってDBを制御することが可能である。
該無機微粒子Bとして、火炎溶融法で製造されたシリカ微粒子を用いる場合、燃焼させるバーナーの温度などによって、得られるシリカ微粒子の一次粒子の個数平均径DBをコントロールすることが可能である。
該無機微粒子Bとして、硫酸法で製造されたチタニア微粒子を用いる場合、加水分解する際の温度、チタニアゲルの添加量、焼成する際の焼成温度や焼成時間によってDBを制御することが可能である。
該無機微粒子Bの含有量WBは、該トナー100質量部に対し0.02質量部以上2.00質量部以下である。該無機微粒子Bの含有量WBが上記範囲の場合、低温定着性や耐ホットオフセット性、画像光沢性を悪化させることなく高印字比率で長時間印刷した後に濃度変動やカブリを抑制することができる。WBが2.00質量部を超える場合、低温定着性や画像光沢性が悪化することがある。好ましくは0.05質量部以上1.00質量部以下である。
該無機微粒子Aと該無機微粒子Bの組み合わせは、該無機微粒子Aと該無機微粒子Bがシリカ微粒子またはチタニア微粒子、或いはこれらを複合化した金属酸化物のグループから選ばれる場合、同じであっても良いし、それぞれ異なっていても良い。該無機微粒子Aと該無機微粒子Bの種類、または製法が異なっていると前述したトナーの載り量によらない均一な画像光沢性の効果が発現しやすいため好ましい。
また、トナー粒子表面にも該無機微粒子Aと該無機微粒子Bを有していると、転写効率の向上といった点で好ましい。トナー粒子表面と内部に同じ無機微粒子が存在することで転写工程においてトナーの帯電分布が均一になりやすくなるためであると考えられる。トナー粒子表面に該無機微粒子Aと該無機微粒子Bを有するための手法としては、トナー粒子と、該無機微粒子Aと該無機微粒子Bを、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いて混合することが挙げられ、特に装置は限定されるものではない。
また、本発明のトナーは、熱風による表面処理が施されることが好ましい。これは熱風処理による加熱によって、トナー粒子内部のワックスが表面へしみだす速度を該無機微粒子A、該無機微粒子Bによって制御することができるためである。トナー内部に無機微粒子を含まない場合に比べ、熱風処理の加熱によるワックスのトナー粒子表面へのしみだしを抑制することができるためトナーの保存性がより向上する。また、該無機微粒子Aと該無機微粒子Bが本発明の含有量の範囲でトナー内部に存在する場合は、高速印刷時における耐ホットオフセット性や耐定着巻き付き性に対しより有利なワックスの分散状態を熱風処理後に形成することができるためより好ましい。
本発明のトナーに使用されるバインダー樹脂としては、下記の重合体を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
これらの中で、低温定着性、帯電性制御の観点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリエステル樹脂としては、「ポリエステルユニット」を結着樹脂鎖中に有している樹脂であり、該ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分が挙げられる。
例えば、該2価以上のアルコールモノマー成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、該芳香族ジオールであり、該ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは80モル%以上の割合で含有することが好ましい。
例えば、該2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6乃至18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
また、該ポリエステル樹脂の酸価は、1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることがより摩擦帯電量の安定性の観点で好ましい。
なお、該酸価は、樹脂に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、その範囲とすることができる。具体的には、樹脂製造時のアルコールモノマー成分比/酸モノマー成分比、分子量を調整することにより制御できる。また、エステル縮重合後、末端アルコールを多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)で反応させることに制御できる。
本発明のトナーに使用される着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐定着巻きつき性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。
該ワックスは、結着樹脂100質量部あたり0.5質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。また、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては50℃以上110℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内の場合、トナーの保存性とホットオフセット性を両立できるため好ましい。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
また、流動性向上や摩擦帯電量調整のために、トナー表面に外添剤が添加されていてもよい。
外添剤としては、金属酸化物である、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化錫、酸化亜鉛、などからなる無機微粒子が挙げられる。
また無定形炭素(カーボンブラックなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)からなる無機微粒子が挙げられる。
該外添剤に用いられる無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが帯電安定性の点で好ましい。
また、該外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
トナー粒子を製造する方法としては、例えば、結着樹脂及びワックスを溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕法;結着樹脂とワックスとを溶剤中に溶解または分散させた溶液を水系媒体中に導入し懸濁造粒させ、該溶剤を除去することによってトナー粒子を得る懸濁造粒法;モノマーにワックス等を均一に溶解または分散したモノマー組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に分散し、重合反応を行わせトナー粒子を作製する懸濁重合法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成する乳化重合法;少なくとも重合体微粒子及びワックスを凝集して微粒子凝集体を形成する工程と該微粒子凝集体中の微粒子間の融着を起こさせる熟成工程を経て得られる乳化凝集法;などがある。
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、バインダー樹脂、着色剤、ワックス及び所望の無機微粒子、必要に応じて着色剤、荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。 更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理の如きトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
また、必要に応じて、得られた分級品に対して、後述する熱風による表面処理を施すことができるが、分級と表面処理との順番は逆であっても良い。また、表面処理前に、シリカ等の無機微粉体を外添処理することもできる。外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
熱風により表面処理を行う方法としては、例えば、図1で表される表面処理装置を用いて熱風による表面処理を行うことが好ましいが、当該手段に限定されるわけではない。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱は、熱供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。
処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃乃至300℃であることが好ましく、130℃乃至170℃であることがより好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。このときの円形度としては、0.955〜0.980であることが好ましい。熱風は熱風供給手段出口11から供給される。
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃乃至30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給される熱処理前トナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前トナー粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理トナー粒子を得ることができる。
熱風による表面処理後のトナー粒子の平均円形度は、転写効率や現像性の観点から0.950以上0.980以下であることが好ましい。より好ましくは0.955以上0.975以下である。トナー粒子の平均円形度は、熱風処理温度を変えることで調整することができる。尚、外添剤が添加されたトナーとしての平均円形度としても、0.950以上0.980以下であることが好ましい。
また、必要に応じて、例えば奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムを用いて更に表面処理及び球形化処理を行ってもよい。このような場合では必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。
更に、熱風による表面処理が施されたトナー粒子に、必要に応じて、外添剤が外添処理される。外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
該トナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
<無機微粒子の一次粒子の個数平均径の測定方法>
クライオミクロトーム(Leica社製 ULTRACUT UCT)装置に水溶性樹脂に分散したトナー粒子を入れた。液体窒素により該装置を−80℃まで冷却し、トナー粒子が分散された水溶性樹脂を凍結した。凍結された水溶性樹脂を、ガラスナイフにより切削面形状が約0.1ミリ幅、約0.2ミリ長になるようにトリミングした。次にダイヤモンドナイフを用いて、水溶性樹脂を含むトナーの超薄切片(厚み設定:70nm)を作製し、まつげプローブを用いてTEM観察用グリッドメッシュ上に移動した。水溶性樹脂を含むトナー粒子の超薄切片を室温に戻した後、水溶性樹脂を純水に溶解させて透過型電子顕微鏡(TEM)の観察試料とした。該試料は、日立社製透過型電子顕微鏡H−7500を用い、加速電圧100kVにて観察し、トナー粒子の断面の拡大写真を撮影した。また、拡大写真の倍率は20000倍とした。TEMにて無機微粒子の一次粒子の個数平均径を決定するための粒子は、顕微鏡写真での断面積から円相当径を求め、その値がコールターカウンターを用いる後述の方法により求めた個数平均粒径(D1)の±10%の幅に含まれるものを該当粒子とした。
上記写真撮影により得られたTEM画像は、画像解析ソフトImage−ProPlusProPlus5.1J(Media Cybernetics社製)を用いて、2値の画像データに変換した。そのうち、無機微粒子についてのみ無作為に解析を行なった。
無機微粒子の一次粒子径は、粒子の長軸と短軸の平均値を一次粒子径とした。また、無機微粒子の一次粒子の個数平均径は、一次粒子100個を無作為に選択し、その一次粒子径の個数平均を無機微粒子の一次粒子の個数平均径とした。
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローセルに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200乃至1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。該手順に従い調整した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲の粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出することができる。トナーの平均円形度は、円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<樹脂またはトナーのピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。試料としては、樹脂、または、トナーを用いる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂の軟化点の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度35乃至100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
<ワックスの最大吸熱ピークの測定>
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックス約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明で用いるワックスのDSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークとする。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように該専用ソフトの設定を行った。
該専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに該電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに該電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)該(2)のビーカーを該超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)該(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ該電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した該(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した該(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の該専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例5〜18は参考例である。
<シリカ微粒子1製造例>
シリカ微粒子1の製造には、燃焼炉は、内炎と外炎が形成できる二重管構造の炭化水素−酸素混合型バーナーを用いた。バーナー中心部にスラリー噴射用の二流体ノズルが接地され、原料の珪素化合物が導入される。二流体ノズルの周囲から炭化水素−酸素の可燃性ガスが噴射され、還元雰囲気である内炎及び外炎を形成する。可燃性ガスと酸素の量及び流量の制御により、雰囲気と温度、火炎の長さ等が調整される。火炎中において珪素化合物からシリカ微粒子が形成され、さらに所望の粒径になるまで融着させる。その後、冷却後、バグフィルター等により捕集することによって得られる。
原料の珪素化合物として、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いて、シリカ微粒子を製造し、得られたシリカ微粒子99.6質量%に、ヘキサメチルジシラザン0.4質量%で表面処理した。一次粒子の個数平均径は150nmであった。
<シリカ微粒子2、5乃至7、9製造例>
可燃性ガスと酸素の量及び流量を変更することでシリカ原体の平均粒子径を表1のとおりに変更した以外はシリカ微粒子1と同様の手法で作製した。一次粒子の個数平均径について表1にまとめる。
<シリカ微粒子3製造例>
撹拌機、滴下ロート及び温度計を有するガラス製反応器に、アルコール溶媒としてメタノールを693.0g、水を46.0g、及び28質量%のアンモニア水を55.3g添加して、メタノール、水及びアンモニアの混合溶液を作製した。
得られた混合溶液を反応温度35℃に調整し、反応温度を保ちながら撹拌し、テトラメトキシシランを1293.0g(8.5モル)、及び、5.4質量%のアンモニア水を464.5g同時に滴下開始した。このとき、テトラメトキシシランの滴下時間を9時間として滴下した。なお、アンモニア水はテトラメトキシシランよりも1時間早く滴下が終了するように滴下速度を調整した。
テトラメトキシシランの滴下が終了後、1時間撹拌を続けて加水分解を行い、ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール−水分散液を得た。
次いで、該分散液を75℃に加熱してメタノールを1320g留去し、その後、1320gの水を加えた。そして、該分散液を90℃に加熱してメタノールを532.4g留去することにより、ゾルゲルシリカ微粒子の水性分散液を得た。
該水性分散液にメチルイソブチルケトンを1584g添加した後、90乃至110℃に加熱し、15時間かけてメタノールと水の混合物を1474g留去した。
得られたゾルゲルシリカ微粒子のメチルイソブチルケトン分散液を25℃まで冷却した後、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザンを322g(2.0モル、SiO2単位1モルに対して0.24モル)添加し、110℃に加熱して、5時間反応させることにより、ゾルゲルシリカ微粒子に表面処理を施した。
この分散液から溶媒を80℃で減圧留去することにより、シリカ微粒子3を得た。一次粒子の個数平均径について表1にまとめる。
<チタニア微粒子製造例1>
TiO2相当分を50質量%含有しているイルメナイト鉱石を、150℃で3時間乾燥した後、硫酸を添加して溶解させ、TiOSO4の水溶液を得た。
得られた水溶液を濃縮した後、アナターゼ型結晶を有するチタニアゾルをシードとして10質量部添加した後、170℃で加水分解を行い、不純物を含有するTiO(OH)2のスラリーを得た。
このスラリーをpH5乃至6で繰り返し洗浄を行い、硫酸、FeSO4及び不純物を十分に除去することで、高純度のメタチタン酸〔TiO(OH)2〕のスラリーを得た。
このスラリーを濾過した後、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)を0.5質量部添加し、240℃で4時間焼成した後、ジェットミルによる解砕処理を繰り返し行い、アナターゼ型結晶を有するチタニア微粒子を得た。
得られたチタニア微粒子をエタノール中に分散させて撹拌しながら、チタニア微粒子100質量部に対して、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシランを5質量部滴下混合して反応させた。
乾燥した後、170℃で3時間加熱処理し、チタニアの凝集体が無くなるまでジェットミルで繰り返し解砕処理を行い、チタニア微粒子1を得た。チタニア微粒子1の一次粒子の個数平均径は30nmであった。
<チタニア微粒子製造例2>
チタニア微粒子1製造例において、チタニアゾルとして、ルチル型チタニアゾルを8質量部添加したこと、150℃で加水分解を行ったこと、炭酸リチウムリン酸二水素カリウム(KH2PO4)の代わりに炭酸リチウム(Li2CO3)を用いたこと、焼成温度を350℃にしたこと以外は同様にして作成し、ルチル型結晶を有するチタニア微粒子2を得た。チタニア微粒子2の一次粒子の個数平均径は80nmであった。一次粒子の個数平均径について表1にまとめる。
<結着樹脂1製造例>
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン75.0質量部(0.167モル部)、テレフタル酸24.0質量部(0.145モル部)、及びチタンテトラブトキシド0.5質量部をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れた。温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に設置した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、210℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた(第1反応工程)。その後、無水トリメリット酸2.0質量部(0.010モル部)を添加し、180℃で2時間反応させ(第2反応工程)、ポリエステル樹脂A−1を得た。
このポリエステル樹脂A−1のTHF可溶分のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)10,000、数平均分子量(Mn)3,700、ピーク分子量(Mp)4,500、軟化点(Tm)は110℃、ガラス転移温度(Tg)は59℃であった。
(トナー製造例1)
・結着樹脂1 100質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度78℃) 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.4質量部
・無機微粒子Aとしてシリカ微粒子1 2.00質量部
・無機微粒子Bとしてチタニア微粒子1 0.50質量部
該処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝 製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用いて分級を行い、トナー粒子1を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1で分級を行った。得られたトナー粒子1は、重量平均粒径(D4)が6.0μmであった。
このトナー粒子に対し、図1で示す表面熱処理装置によって表面処理を行った。該表面熱処理装置の概要と運転条件は以下の通りである。
該表面熱処理装置の内径は450mm、円筒状ポールの外径は200mmとした。熱風供給手段出口部は、内径200mm、外径300mmとし、熱風は整流ブレードを介して(角度50度、ブレード厚み1mm、枚数36枚)、処理室内に導入した。第1冷風供給手段は、内径350mm、外径450mmとした。
尚、本実施例においては、原料供給手段及び第1ノズルは一体的に構成され、かつジャケット化されている。更に、第1ノズルの稜線角度を40度、第2ノズルの稜線角度を60度とし、第2ノズルの外周面にはリブ、下端部には返し部が設けられている。返し部の稜線のなす角度は140度とした。尚、原料供給手段の外径は150mmとした。
また、表面熱処理装置の運転条件は、原料フィード量(F)=15kg/hr、熱風温度(T1)=200℃、熱風風量(Q1)=8.0m3/min、冷風1総量(Q2)=4.0m3/min、冷風2総量(Q3)=1.0m3/min、冷風3総量(Q4)=1.0m3/min、ポール冷風総量(Q5)=0.5m3/min、圧縮気体風量(IJ)=1.6m3/min、ブロワー風量(Q6)=23.0m3/min、冷風絶対水分量=3g/m3であった。得られた処理トナー粒子1は、平均円形度が0.964、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
得られた処理トナー粒子1 100質量部と、無機微粒子Cとしてシリカ微粒子1 1.0質量部と、無機微粒子Dとしてチタニア微粒子1 0.8質量部とを混合し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)に投入した。ヘンシェルミキサーで回転数30s-1、混合時間10minの条件で混合して、トナー1を得た。トナー1は、平均円形度が0.964、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
(トナー製造例2乃至28)
トナー製造例1において、無機微粒子A乃至Dを下記表2に示す無機微粒子に変更する以外は同様にして、トナー2乃至28を得た。
尚、得られたトナー2乃至28は、いずれも平均円形度が0.964、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
<磁性コア粒子の製造例1>
工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 60.2質量%
MnCO3 33.9質量%
Mg(OH)2 4.8質量%
SrCO3 1.1質量%
となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、ボールミルで粉砕・混合した。
工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中で1000℃で3時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。フェライトの組成は、下記の通り。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d上記式において、a=0.39、b=0.11、c=0.01、d=0.50
工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、ジルコニア(φ10mm)のボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで2時間粉砕した。
そのスラリーを、ジルコニアのビーズ(φ1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで4時間粉砕し、フェライトスラリーを得た。
工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対しポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(大川原化工機製)で約36μmの球状粒子に造粒した。
工程5(本焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%以下)で、1150℃で4時間焼成した。
工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性コア粒子1を得た。
<コート樹脂の製造例1>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量部
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量部
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量部
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量部
メチルエチルケトン 31.3質量部
上記材料を、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、2.0質量部のアゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してコート樹脂1を得た。
(磁性キャリア製造例1)
コート樹脂1 20.0質量%
トルエン 80.0質量%
上記材料をビーズミルで分散混合し、樹脂液1を得た。
該磁性コア粒子1 100質量部をナウターミキサーに投入し、さらに、該樹脂液1を樹脂成分として2.0質量部になるようにナウターミキサーに投入した。減圧下で温度70℃に加熱し、100rpmで混合し、4時間かけて溶媒除去及び塗布操作を行った。その後、得られた試料をジュリアミキサーに移し、窒素雰囲気下、温度100℃で2時間熱処理した後、目開き70μmの篩で分級して磁性キャリア1を得た。得られた磁性キャリア1の体積分布基準50%粒径(D50)は、38.2μmであった。
〔実施例1〕
上記トナー1と磁性キャリア1で、トナー濃度が8質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤1を得た。
<現像性評価>
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROを、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように改造して、二成分系現像剤1を用い、評価を行った。
常温常湿環境下(23℃、50%RH)、常温低湿環境下(23℃、5%RH)、高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)、でプロセススピードを500mm/secに変更した条件で画出し評価(A4横、80%印字比率、10,000枚連続通紙)を行った。
10,000枚連続通紙時間中は、1枚目と同じ現像条件、転写条件(キャリブレーション無し)で通紙を行うこととする。評価紙は、コピー用紙GF−C081(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。該評価環境において、FFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.5mg/cm2となるように調整した。FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
初期(1枚目)と10,000枚連続通紙時の画出し評価の項目と評価基準を以下に示す。
(初期(1枚目)および10,000枚連続時の画像濃度測定)
X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用し、画像濃度(FFH画像部;ベタ部)、カブリ(00H画像部;白地部)を測定した。
初期(1枚目)および10,000枚目のFFH画像部;ベタ部の画像濃度の差を以下の基準で評価とした。
(評価基準)
A:0.05未満 (非常に優れている)
B:0.05以上0.10未満(良好である)
C:0.10以上0.20未満(本発明では問題ないレベルである)
D:0.20以上 (本発明では許容できない)
(初期(1枚目)および10,000枚連続時の00H画像部;白地部のカブリ測定)
画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
初期(1枚目)、10,000枚目の、00H画像部;白地部の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDs(初期(1枚目)および10,000枚目)より、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
(評価基準)
A:0.5%未満 (非常に優れている)
B:0.5%以上1.0%未満(良好である)
C:1.0%以上2.0%未満(本発明では問題ないレベルである)
D:2.0%以上 (本発明では許容できない)
<転写性評価>
常温常湿環境下(23℃、50%RH)、常温低湿環境下(23℃、5%RH)、高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)での10,000枚通紙耐久試験の現像性評価後に、転写効率を評価した。評価紙は、コピー用紙GF−C081(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。評価用画像としては、5cm×5cmの大きさのFFH画像パターンを形成した画像を用いた。ベタ画像を出力した。画像形成時の感光体ドラム上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープによりテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼り、その濃度を分光濃度計500シリーズ(X−Rite社)で測定した。また、粘着テープのみを紙上に貼り、その際の濃度も測定した。前者の濃度から後者の濃度の値を差し引いた濃度差を算出し、この濃度差を以下に示す評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A:濃度差0.05未満(非常に優れている)
B:濃度差0.05以上0.1未満(良好である)
C:濃度差0.1以上0.2未満(本発明では問題ないレベルである)
D:濃度差0.2以上(本発明では許容できない)
該評価結果を表4−1(常温常湿環境下(23℃、50%RH))、表4−2(常温低湿環境下(23℃、5%RH))、表4−3(高温高湿環境下(32.5℃、80%RH))に示す。
<定着性(低温定着性、耐ホットオフセット性、画像光沢性、耐定着巻きつき性)評価>
キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROを、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように改造して、前記二成分系現像剤1について、低温定着性、耐ホットオフセット性の試験を行った。画像は単色モードで常温常湿度環境下(23℃/50乃至60%)において、FFH画像部の紙上のトナー載り量が1.2mg/cm2になるように調整し、未定着画像を作成した。評価紙は、コピー用紙Color Copy(A4、坪量100g/m2、MONDI社製)を用い、画像印字比率25%で画像を形成した。その後、常温常湿度環境下(23℃/50乃至60%)において、プロセススピードを500mm/secに設定し、定着温度を100℃から順に5℃ずつ上げ、オフセットが生じない温度幅(定着可能温度からオフセット発生温度)を定着可能領域とした。定着可能領域の下限温度を低温定着温度、上限温度を耐ホットオフセット性温度とした。評価紙をイメージコートグロス100(コート紙、A4、坪量100g/m2、キヤノンマーケティングジャパンより販売)に変えて同様の未定着画像を作成し、前記低温定着温度+10℃の条件下で定着画像を作成し、ハンディ光沢計(東京電色株式会社製の「PG−1M」)を用い、単角度60°での値を測定し、その測定値をグロス値として、光沢性の評価を行った。さらに、FFH画像部と40H画像部でのグロス値の差を画像光沢性の均一性とした。各項目について以下の評価基準に基づいて評価を行った。
(低温定着性評価基準)
A:155℃未満(非常に優れている)
B:155℃以上170℃未満(良好である)
C:170℃以上180℃未満(本発明では問題ないレベルである)
D:180℃以上(本発明では許容できない)
(耐ホットオフセット性評価基準)
A:210℃以上(非常に優れている)
B:200℃以上210℃未満(良好である)
C:190℃以上200℃未満(本発明では問題ないレベルである)
D:190℃未満(本発明では許容できない)
(画像光沢性評価基準)
A:50以上(非常に優れている)
B:40以上50未満(良好である)
C:30以上40未満(本発明では問題ないレベルである)
D:30未満(本発明では許容できない)
(画像光沢の均一性評価基準)
A:グロス値の差5未満(非常に優れている)
B:グロス値の差5以上15未満(良好である)
C:グロス値の差15以上30未満(本発明では問題ないレベルである)
D:グロス値の差30以上(本発明では許容できない)
評価紙の先端部から1mmの位置を始点とし、通紙方向に長さ60mmの未定着画像(トナー載り量が1.2mg/cm2)を、評価紙上のトナー載り量が1.2mg/cm2になるように調整し、未定着画像を担持する評価サンプルを10枚作成した。評価紙は、CS−680(A4、坪量68g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を使用した。また、該定着性評価で用いた評価機を用いて、プロセススピード500mm/secに設定し、定着温度を180℃に設定して、500mm/sec(分速115枚相当)の紙搬送速度で、10枚連続で通紙し、定着巻き付きの発生の有無を以下の基準で確認した。
A:定着分離爪によらず定着巻き付きが全く発生しない。(非常に優れている)
B:定着分離爪で分離でき、定着画像に筋もなく問題ない。(良好である)
C:定着分離爪で分離できるが、定着画像に若干筋が発生している。(本発明では問題ないレベルである)
D:定着分離爪で分離できず、ジャムが発生する。(本発明では許容できない)
評価結果を表5に示す。
〔実施例2乃至18、及び比較例1乃至10〕
実施例1において、評価に用いる二成分系現像剤を表3に記載のトナーに変更する以外は同様にして、評価を行った。表4−1(23℃、50%RH)、表4−2(23℃、5%RH)、表4−3(32.5℃、80%RH)、表5に評価結果を示す。