JP7341760B2 - トナー - Google Patents
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Description
具体的な高画質化対応策としては、ドット再現性を高めるため、小粒径のトナーが求められている。
そこで、特許文献1では、ドット再現性を高めるため、小粒径かつ粒度分布がシャープなトナーが提案されている。
さらに、特許文献2では、粒度分布にばらつきがあるトナーに対して、帯電性能や歩留まりを良くするため、ケイ酸微粒子の被覆率をその粒径範囲ごとに調整したトナーも提案されている。
また、具体的な画像濃度の安定化策としては、低湿環境下でも帯電量が大きくなりすぎないトナーが求められている。
そこで、特許文献3では、低湿環境下でも帯電量が大きくならない外添設計がなされたトナーが提案されている。
トナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とで個数基準で概ね均等に二分して得られる、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群について、
前記大粒径側粒子群と前記小粒径側粒子群の表面電荷密度の平均値の絶対値をそれぞれσl(C/m2)、σs(C/m2)としたとき、前記σlおよび前記σsが、下記式(1)の関係を満たし、
0.10≦σl/σs≦0.75・・・(1)
前記外添剤が、負帯電性の外添剤を含み、
前記小粒径側粒子群に含まれるトナーを被覆する負帯電性の外添剤が、前記大粒径側粒子群に含まれるトナーを被覆する負帯電性の外添剤よりも高い負帯電性を有する、ことを特徴とする。
また、本発明の別の態様に係るトナーは、
トナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とで個数基準で概ね均等に二分して得られる、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群について、
前記大粒径側粒子群と前記小粒径側粒子群の表面電荷密度の平均値の絶対値をそれぞれσl(C/m 2 )、σs(C/m 2 )としたとき、
前記σsおよび前記σlが、下記式(1)の関係を満し、
0.10≦σl/σs≦0.75・・・(1)
前記外添剤が、負帯電性の外添剤を含み、
前記小粒径側粒子群に含まれるトナーには水分吸着量が0.5%以下のシリカ粒子が被覆され、前記大粒径側粒子群に含まれるトナーには水分吸着量が1.0%以上のシリカ粒子が被覆されている、ことを特徴とする。
また、本発明の別の態様に係るトナーは、
トナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とで個数基準で概ね均等に二分して得られる、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群について、
前記大粒径側粒子群と前記小粒径側粒子群の表面電荷密度の平均値の絶対値をそれぞれσl(C/m 2 )、σs(C/m 2 )としたとき、
前記σsおよび前記σlが、下記式(1)の関係を満し、
0.10≦σl/σs≦0.75・・・(1)
前記外添剤が、負帯電性の外添剤を含み、
前記小粒径側粒子群に含まれるトナーにおける前記負帯電性の外添剤による被覆率をCsとし、
前記大粒径側粒子群に含まれるトナーにおける前記負帯電性の外添剤による被覆率をClとしたとき、
前記Csおよび前記Clが、下記式(4)の関係を満たす、ことを特徴とする。
0.10≦Cl/Cs≦0.80・・・(4)
トナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とで個数基準で概ね均等に二分して得られる、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群について、
前記大粒径側粒子群と前記小粒径側粒子群の表面電荷密度の平均値の絶対値をそれぞれσl(C/m2)、σs(C/m2)としたとき、前記σlおよび前記σsが、下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
0.10≦σl/σs≦0.75・・・(1)
0.10≦σl/σs≦0.75・・・(1)
尚、トナーを大粒径側粒子群と小粒径側粒子群とに分割する方法については後述する。両粒子群はいずれも、粒径に関して分布を有するものであり、大粒径側粒子群の中心粒径が、小粒径側粒子群の中心粒径よりも大きいという関係にある。また、大粒径側粒子群に含まれる最小の粒子が、小粒径側粒子群に含まれる最大の粒子よりも大きいという関係にはない。
0.10≦σl/σs≦0.67・・・(2)
まずトナーを、以下の条件で摩擦帯電させる。
23℃50%RHの環境下において、トナー0.7gと、画像学会標準キャリア(N-01)9.3gを容量50mLのポリ瓶に入れ、振蘯器(Model-YS-8D;株式会社ヤヨイ社製)を用いて200rpmにて5分間振蘯させる。
帯電させたトナーの表面電荷密度は、帯電量分布測定装置を用いて測定することが可能である。具体的には、E-spartアナライザー(株式会社ホソカワミクロン社製)を用いて測定することができる。E-spartアナライザーは、電場と音響場を同時に形成させた検知部(測定部)に試料粒子を導入し、レーザードップラー法で粒子の移動速度を測定して、粒径と帯電量とを測定する装置である。
トナーを、慣性分級方式のエルボージェット分級機(日鉄鉱業社製)を用い、大粒径側と小粒径側とに個数基準で概ね均等に二分する。エルボージェットの運転条件であるフィード量・微粉分級エッジを適正化し、粗粉分級エッジを最大にして閉じることで、トナーを大粒径側粒子群と小粒径側粒子群に概ね均等に二分されるように調整する。
エルボージェットの運転条件の設定においては、先ず、大粒径側と小粒径側の風量が同じになるように風量調節弁を調整した上で、微粉分級エッジを動かし、大粒径側と小粒径側とに振り分けられる粒子数の差が8%程度になる位置を求める。その後、微粉分級エッジをその位置に固定して、大粒径側と小粒径側の風量調節弁を微調整し、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群とが個数基準で均等に(粒子数の差が4%以下)二分されるように調整する。この際、例えば、フィード量を5kg/hrとし、エルボージェット内の微粉通過側の壁と微粉分級エッジの先端との距離を10~15mmとすればよい。
σ=Q/πD2
計算式中、Qはトナー1粒の帯電量(C)、Dはトナーの粒径(m)である。
(D90-D10)/D50・・・(3)
式中、D90は個数基準の累積90%粒径、D10は個数基準の累積10%粒径である。
トナーの単位質量当たりの帯電量(μC/g)=Q/(W1-W2)
シリカ粒子をサンプルパンに20mg程度載せ、チャンバー内環境を温度23℃相対湿度50%にし、24時間保持した後に温度40℃相対湿度95%の環境を1時間保持するようプログラミングして測定を開始する。測定開始から24時間経過後の質量をTGA1、温度40℃相対湿度95%の環境で1時間経過後の質量をTGA2とした時、(TGA2-TGA1)/TGA1を水分吸着量とする。
吸湿性が低いシリカ粒子としては、上記測定により求められる水分吸着量が0.5%以下であるシリカ粒子が好ましい。具体的には、ゾルゲルシリカがあげられる。
0.10≦Cl/Cs≦0.80・・・(4)
0.10≦Cl/Cs≦0.67・・・(5)
0.10≦CAl/CAs≦0.80・・・(6)
0.10≦CAl/CAs≦0.50・・・(7)
有機金属化合物およびキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸およびダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、またはエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
ニグロシンおよび脂肪酸金属塩のようなニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
本発明におけるトナー粒子は、結着樹脂として、以下の重合体などを用いることが可能である。ポリスチレン、ポリ-p-クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル;フェノール樹脂;天然樹脂変性フェノール樹脂;天然樹脂変性マレイン酸樹脂;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニル;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリアミド;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレンなどが挙げられる。その中でも、ポリエステルを主成分としていることが、低温定着性の観点から好ましい。
式(B)で示されるジオール類;
が挙げられる。
トナーに用いられる離型剤であるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
本発明におけるトナー粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
トナーは、必要に応じて二種類以上のシリカ粒子を含有していてもよく、シリカ微粒子以外の無機微粒子を含有してもよい。
外添剤としては、シリカ粒子、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子のような無機微粒子が好ましい。特に酸化チタン粒子、チタン酸ストロンチウム粒子のような抵抗の低い外添剤は、温湿度環境による帯電量の変化が抑制できるとともに、トナーの電荷の局在化を抑え、静電付着力が低下することからカブリの抑制や転写効率向上の観点から好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイルまたはそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、また、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることもできる。
トナー粒子を製造する方法としては、特に限定されないが、各成分の分散性の観点から粉砕法が好ましい。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、離型剤、着色剤、結晶性ポリエステル、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定および解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローセルに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載したフロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用する。上記手順に従い調製した分散液をフロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子について計測する。
そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒径を円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求める。
本発明において、トナー粒子表面の外添剤の被覆率は、X線光電子分光分析(ESCA)による表面組成分析を行うことで算出することができる。ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
装置:PHI社(Physical Electronics Industries,INC.)製、PHI5000 VersaProbeII Scanning XPS Microprobe
測定条件:
X線源;AlKα(100μ25W15KV)
Angle;45°
Pass Energy;58.70eV
以下の記載において、実施例3、6および10は参考例である。
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:73.8質量部(0.19モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:12.5質量部(0.08モル;多価カルボン酸総モル数に対して48.0mol%)
・アジピン酸:7.8質量部(0.05モル;多価カルボン酸総モル数に対して34.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5質量部
上記材料を冷却管、攪拌機、窒素導入管、および、熱電対のついた反応槽に秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、160℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、15時間反応させた。その後、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が120℃の温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、(第2反応工程)、非晶性樹脂1を得た。得られた非晶性樹脂1は、ピーク分子量Mp10000、軟化点Tm110℃、ガラス転移温度Tg60℃であった。
<Fトナー(小粒径側粒子群)1の製造例>
・非晶性樹脂1:100部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃):4部
・ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体:14部
・荷電制御剤:3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業(株)製):0.3部
・カーボンブラック:10部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1500rpm、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティ(F-300、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。ファカルティの運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。
・小粒径側の熱処理トナー粒子1:100部
・ヘキサメチルジシラザンで表面処理したヒュームドシリカ(個数基準におけるメジアン径(D50)が40nm):4.0部
・イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(個数基準におけるメジアン径(D50)が10nm):1.0部
上記材料を、ヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)を用いて回転数1900rpm、回転時間10minの条件で混合し、Fトナー(小粒径側粒子群)1を得た。
・上記大粒径側の熱処理トナー粒子1:100部
・ヘキサメチルジシラザンで表面処理したゾルゲルシリカ(個数基準におけるメジアン径(D50)が40nm):4.0部
・イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(個数基準におけるメジアン径(D50)が10nm):1.0部
上記材料を、ヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)を用いて回転数1900rpm、回転時間10minの条件で混合し、Mトナー(大粒径側粒子群)1を得た。
トナー1の製造例において、処方、条件を表1および表2に記載のように変更する以外は同様にして、Fトナー2~16およびMトナー2~16を作製した。
また、Fトナー2~16およびMトナー2~16を表3に示す組み合わせで用いてトナー2~16を得た。トナー2~16についての各物性を表4に示す。
乾式:ヘキサメチルジシラザンで表面処理したヒュームドシリカ
湿式:ヘキサメチルジシラザンで表面処理したゾルゲルシリカ
酸化チタン微粒子:イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3:62.7部
MnCO3:29.5部
Mg(OH)2:6.8部
SrCO3:1.0部
上記フェライト原材料を上記組成比となるように秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した。その後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393である。
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、直径1/8インチのジルコニアビーズを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕した。得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(大川原化工機社製)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間保つことで、工程4で得た球状粒子を焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で粒子を取り出した。
凝集した球状粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品を選別して除去し、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去することで、体積分布基準の50%粒径が37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー:26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー:0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー(片末端にメタクリロイル基を有する質量平均分子量5000のマクロモノマー):8.4質量%
トルエン:31.3質量%
メチルエチルケトン:31.3質量%
上記材料を、還流冷却器、温度計、窒素導入管および攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリル2.0質量%を添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを添加して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
次いで、30部の被覆樹脂1を、トルエン40部およびメチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%):33.3質量%
トルエン:66.4質量%
カーボンブラックRegal330(キャボット製、一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75mL/100g):0.3質量%
上記材料を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散した。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、磁性コア粒子1および被覆樹脂溶液1を投入した(被覆樹脂溶液の投入量は、100部の磁性コア粒子1に対して樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
92.0部の磁性キャリア1と8.0部のトナー1をV型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、表5に示すトナー1~16と磁性キャリア1の組み合わせにより同様の操作で、実施例1~12および比較例1~4に係る二成分系現像剤2~16を得た。
上記で作製した実施例1~12および比較例1~4に係る二成分系現像剤1~16を用いて、後述の評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5560の改造機を用いた。装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、および、レーザーパワーを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、FFh画像のトナーの載り量が所望になるようにVDC、VD、およびレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
各二成分系現像剤を、上記画像形成装置のブラック用現像器に入れ、以下の条件で上記評価画像を出力してカブリの抑制の評価を行った。
紙:CS-680(68.0g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
評価画像:上記A4用紙の全面に00h画像
Vback:150V(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、およびレーザーパワーにより調整)
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH)
定着温度:170℃
プロセススピード:377mm/sec
まず、リフレクトメータ(REFLECTOMETER MODEL TC-6DS:東京電色製)を用い、通紙前の評価紙の平均反射率Ds(%)を測定する。次に、通紙後の評価紙の平均反射率Dr(%)を測定する。そして、下記式を用いて算出した値をカブリ値とした。得られたカブリ値を下記の評価基準に従って評価した。
カブリ値 = Dr(%)-Ds(%)
(評価基準)
A:カブリ値0.3%未満 (非常に優れている)
B:カブリ値0.3%以上、0.5%未満 (優れている)
C:カブリ値0.5%以上、0.8%未満 (良好である)
D:カブリ値0.8%以上、1.2%未満 (問題ないレベルである)
E:カブリ値1.2%以上 (許容できない)
各二成分系現像剤を、上記画像形成装置のシアン用現像器に入れ、以下の条件で転写性を評価した。
紙:GF-C081(81.0g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
ベタ画像におけるトナーの載り量:0.35mg/cm2
一次転写電流:30μA
試験環境:常温常湿環境(温度23℃/湿度50%RH)
プロセススピード:377mm/sec
一次転写後に感光体上に残ったトナーと一次転写前のトナーをそれぞれ透明なポリエステル製の粘着テープによりテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼り、その濃度を分光濃度計500シリーズ(X-Rite社)で測定した。
以上により得られた一次転写前の画像濃度と、転写残の画像濃度の変化率を転写効率とし、下記の評価基準に基づいて評価を行った。
A:転写効率;90%以上
B:転写効率;85%以上90%未満
C:転写効率;80%以上85%未満
D:転写効率;80%未満
各二成分系現像剤を、上記画像形成装置のシアン用現像器に入れ、以下の条件で評価画像を出力し、画像濃度安定性を評価した。
紙:GFC-081(81.0g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
Vcontrast:350V(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、およびレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:常温常湿環境:温度23℃/湿度50%RH
定着温度:170℃
プロセススピード:377mm/sec
画像濃度の値を評価指標とした。X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を用い、中心部の画像濃度を測定した。得られた画像濃度の値を下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
A:画像濃度の値が1.35以上 (非常に優れている)
B:画像濃度の値が1.30以上、1.35未満 (優れている)
C:画像濃度の値が1.25以上、1.30未満 (問題ないレベルである)
D:画像濃度の値が1.25未満 (許容できない)
各二成分系現像剤を、上記画像形成装置のシアン用現像器に入れ、以下の条件で評価画像を出力し、画質を評価した。
紙:GFC-081(81.0g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
Vcontrast:300V(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、およびレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙に1ドット、1スペースの縦線画像を配置
試験環境:常温常湿環境:温度23℃/湿度50%RH
定着温度:170℃
プロセススピード:377mm/sec
Blurの値(ISO13660で定義されたラインのぼやけ方を表す数値)をドット再現性の評価指標とした。Blurの値パーソナルIAS(イメージ・アナリシス・システム、QEA社製)を用いて測定した。得られたBlurの値を下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
A:Blurの値35μm未満 (非常に優れている)
B:Blurの値35μm以上38μm未満 (優れている)
C:Blurの値38μm以上41μm未満 (問題ないレベルである)
D:Blurの値41μm以上 (許容できない)
2.圧縮気体流量調整手段
3.導入管
4.突起状部材
5.供給管
6.処理室
7.熱風供給手段
8.冷風供給手段
9.規制手段
10.回収手段
11.熱風供給手段出口
12.分配部材
13.旋回部材
14.粉体粒子供給口
Claims (11)
- トナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とで個数基準で概ね均等に二分して得られる、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群について、
前記大粒径側粒子群と前記小粒径側粒子群の表面電荷密度の平均値の絶対値をそれぞれσl(C/m2)、σs(C/m2)としたとき、
前記σsおよび前記σlが、下記式(1)の関係を満し、
0.10≦σl/σs≦0.75・・・(1)
前記外添剤が、負帯電性の外添剤を含み、
前記小粒径側粒子群に含まれるトナーを被覆する負帯電性の外添剤が、前記大粒径側粒子群に含まれるトナーを被覆する負帯電性の外添剤よりも高い負帯電性を有する、ことを特徴とするトナー。 - トナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とで個数基準で概ね均等に二分して得られる、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群について、
前記大粒径側粒子群と前記小粒径側粒子群の表面電荷密度の平均値の絶対値をそれぞれσl(C/m 2 )、σs(C/m 2 )としたとき、
前記σsおよび前記σlが、下記式(1)の関係を満し、
0.10≦σl/σs≦0.75・・・(1)
前記外添剤が、負帯電性の外添剤を含み、
前記小粒径側粒子群に含まれるトナーには水分吸着量が0.5%以下のシリカ粒子が被覆され、前記大粒径側粒子群に含まれるトナーには水分吸着量が1.0%以上のシリカ粒子が被覆されている、ことを特徴とするトナー。 - トナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該トナーを慣性分級方式の分級機により、大粒径側と小粒径側とで個数基準で概ね均等に二分して得られる、大粒径側粒子群と小粒径側粒子群について、
前記大粒径側粒子群と前記小粒径側粒子群の表面電荷密度の平均値の絶対値をそれぞれσl(C/m 2 )、σs(C/m 2 )としたとき、
前記σsおよび前記σlが、下記式(1)の関係を満し、
0.10≦σl/σs≦0.75・・・(1)
前記外添剤が、負帯電性の外添剤を含み、
前記小粒径側粒子群に含まれるトナーにおける前記負帯電性の外添剤による被覆率をCsとし、
前記大粒径側粒子群に含まれるトナーにおける前記負帯電性の外添剤による被覆率をClとしたとき、
前記Csおよび前記Clが、下記式(4)の関係を満たす、ことを特徴とするトナー。
0.10≦Cl/Cs≦0.80・・・(4) - 前記Csおよび前記Clが下記式(5)の関係を満たす請求項3に記載のトナー。
0.10≦Cl/Cs≦0.67・・・(5) - 前記トナーの個数基準のメジアン径D50が、3.0μm以上6.0μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記トナーの個数基準のメジアン径D50が、3.0μm以上5.0μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記小粒径側粒子群に含まれるトナーの1粒当たりの帯電量の平均値の絶対値をQsとしたとき、前記Qsが1.4fC以上である請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記大粒径側粒子群に含まれるトナーの1粒当たりの帯電量の平均値の絶対値をQlとしたとき、前記Qlが2.8fC以下である請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記σsおよび前記σlが、下記式(2)の関係を満たす請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
0.10≦σl/σs≦0.67・・・(2) - 23℃50%RHの環境下において、前記トナー0.7gと、画像学会標準キャリア(N-01)9.3gを50mLのポリ瓶に入れ、振蘯器を用いて200rpmにて5分間振蘯させて摩擦帯電させたときの前記トナーの単位質量当たりの帯電量Q/Mの絶対値が70μC/g以下である請求項1~9のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記トナーの下記式(3)で得られるスパン値が0.7以上2.0以下である請求項1~10のいずれか一項に記載のトナー。
(D90-D10)/D50・・・(3)
(式中、D90は個数基準の累積90%粒径、D10は個数基準の累積10%粒径である。)
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