本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、長期間の使用においても帯電性が維持できるとともに、耐ストレス性を向上させ、高品質な画像を安定的に得られるトナーを提供するためには、特定の構造を持つ化合物によって処理されたシリカ微粒子をトナー表面に固着することが重要であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、結着樹脂A及び着色剤を含有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面にシリカ微粒子を有するトナーであって、
前記シリカ微粒子はスルホン酸基又はスルホン酸塩基に由来する部分構造を有する化合物Bを表面に有するシリカ微粒子Cを含み、
前記シリカ微粒子は前記トナー粒子表面に50%以上固着されていることを特徴とするトナーであることが重要である。
前記化合物Bで表面処理したシリカ微粒子をトナー粒子表面に固着している(50%以上、好ましくは70%以上固着)トナーは、これを満たさないトナーに比べ、画質の安定性において優れることが確認された。この効果が発現するメカニズムは完全には明らかになっていないが、本発明者らは次のように推定している。
一般的に、電気陰性度が大きな原子を有する物質は、摩擦係数が小さくなることが知られている。これは、van der Waals力の定義を考えると理解できる。van der Waals力は、2つの原子が近づくことで生じる、電子の揺らぎがもたらす引力である。そのため電気陰性度が大きく電子の揺らぎが発生し難い物質に関しては、van der Waals力が小さくなる。よって、摩擦係数も小さくなる。
本発明では、化合物Bをシリカ微粒子の表面に有することが特徴であり、化合物Bは、スルホン酸基又はスルホン酸塩基に由来する部分構造を有している。このような極性を有する化合物Bは、電気陰性度が大きい原子で構成されているため、相手の物質と接触し易く低摩擦特性を示すと考えている。ゆえに、化合物Bを有するシリカ微粒子をトナー表面に固着させることにより、化合物Bで処理していないシリカ微粒子を用いた場合より、トナー及び現像剤の流動性が向上する。
耐ストレス性の悪化の原因の一つとして、現像器内でのトナー同士やキャリアとの摺擦による影響が考えられる。シリカ微粒子をトナー表面に固着させない場合、現像器内でのトナー同士やキャリアとの摺擦により、シリカ微粒子がトナー表面の窪み部分に移動する、トナー表面から脱離するなどの要因で、トナー及び現像剤の流動性が変化してしまい、画質の変化につながってしまう。また小粒径の外添剤を用いた場合はトナー粒子に埋没して外添剤の機能を果たせなくなり、流動性/帯電性が損なわれる。従来トナーとして必要な流動性を付与せせるには小粒径の外添剤をトナー粒子に固着させずに付着させるのが一般的である。しかしながらこの場合、小粒径外添剤の離脱、埋没が起こってしまい流動性/帯電性の変化が発生してしまう。
そこで、本発明ではシリカ微粒子自身に潤滑性を持たせ、且つ固着させることによって状態を変わらなくしている。シリカ微粒子自身が滑る為、固着されていてもトナーの流動性は満足できる。また固着されているため離脱、窪みへの移動が生じないため終始安定した流動性、帯電性が得られる。
シリカ微粒子の1次平均粒径は15nm以上250nm以下が好ましい。さらに好ましくは20nm以上200nm以下である。1次平均粒径が15nm以上であると、シリカ微粒子の埋没がなく外添剤としての機能が十分発揮できる。一方、250nmを以下であればシリカ微粒子の凹凸形状の効き過ぎによる凸部の噛みあいが生じず、トナーとしての流動性が保たれる。
スルホン酸を置換基として有する化合物Bとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸あるいは、下記式(3)のマレイン酸アミド誘導体、マレイミド誘導体、スチレン誘導体等に由来する樹脂が例示でき、特にAMPS系樹脂が好ましい。
更に、本発明に用いられる化合物Bは、酸価が15mgKOH/mg以上35mgKOH/mg以下であることが好ましい。先述した通り、本発明における摩擦低減効果は、極性を有する置換基によって発現していると考えている。よって酸価が15mgKOH/mg以上であると、良好な摩擦低減効果の発揮が防げられない。また、酸価が35mgKOH/mg以下であると、水分吸着量増加による帯電量の低下を引き起こす恐れがない。
<シリカ微粒子>
本発明に用いられるシリカ微粒子としては、沈降法、ゾルゲル法等の湿式シリカ、爆燃法、ヒュームド法等の乾式シリカがあるが、形状制御のしやすさから、乾式シリカであることがより好ましい。
乾式シリカは、ケイ素ハロゲン化合物等を原料としている。ケイ素ハロゲン化合物としては、四塩化ケイ素が用いられるが、メチルトリクロロシラン、トリクロロシランなどのシラン類単独、又は四塩化ケイ素とシラン類との混合状態でも原料として使用可能である。原料は気化した後、酸水素炎中で中間体として生じる水と反応する、いわゆる、火炎加水分解反応によって目的のシリカを得る。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸素、水素中における熱分解酸化反応を利用するもので、反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
以下に、本発明に用いられる乾式シリカの製造例を説明する。
酸素ガスをバーナーに供給し、着火用バーナーに点火した後、水素ガスをバーナーに供給して火炎を形成し、これに原料である四塩化ケイ素を投入しガス化させた。次に、火炎加水分解反応を行わせ、生成したシリカ粉末を回収した。
平均粒径および形状は、四塩化ケイ素流量、酸素ガス供給流量、水素ガス供給流量、シリカの火炎中滞留時間を適宜変えることによって、任意に調整可能である。
化合物Bをシリカ微粒子表面に持たせる方法としては、例えば、化合物Bを水または有機溶媒に溶解し、シリカ微粒子に対して溶解液を滴下または噴霧により添加して混合後、加熱処理によって水または有機溶媒を除去することで表面処理を行えば良い。これにより、化合物Bが表面に処理されたシリカ微粒子を得ることが出来る。
シリカ微粒子の解砕方法としては、例えばアトマイザー(東京アトマイザー製造株式会社製)等の解砕機を用いることが出来る。解砕機の回転数、及び解砕機への供給量を任意に調整することで、シリカ微粒子の稠密度を制御することが可能となる。
また本発明ではシラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化処理されたシリカ微粒子を併用させてもよい。
<その他の無機微粒子>
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子をさらに含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
化合物Bを表面に有するシリカ微粒子Cのトナー粒子に対する被覆率は20%以上80%以下が好ましい。20%以上であると本発明で期待する流動性の付与能量低下が生じない。80%以下であると定着性悪化を招くことがない。被覆率の算出は後述のESCAを用いて行うことができる。
[結着樹脂]
本発明のトナーに用いられる結着樹脂Aは、ポリエステル樹脂を主成分(結着樹脂中、ポリエステル樹脂が50質量%以上)とすることが好ましい。ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作製する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
式(B)で示されるジオール類;
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。ポリエステル樹脂を主成分とするならば他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であっても良い。例えば、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットとポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニット及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、本発明では結着樹脂として、ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来より結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用することができる。このような樹脂化合物としては、例えばフェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
また、本発明の結着樹脂のピーク分子量は8000以上13000以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、本発明の結着樹脂の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。さらに、本発明の結着樹脂の水酸基価は2mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが、低温定着性と保存性の観点から好ましい。
また、本発明の結着樹脂は、低分子量の結着樹脂bと高分子量の結着樹脂aを混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量の結着樹脂aと低分子量の結着樹脂bの含有比率(a/b)は質量基準で10/90以上60/40以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高分子量の結着樹脂aのピーク分子量は10000以上20000以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、高分子量の結着樹脂aの酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
低分子量の結着樹脂bの数平均分子量は1500以上3500以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、低分子量の結着樹脂bの酸価は10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
<離型剤(ワックス)>
本発明のトナーには必要に応じてワックスを含有させてもよい。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
[荷電制御剤]
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
<現像剤>
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
<製造方法>
トナー粒子を製造する方法としては、溶融混練粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等、トナー母体の製造方法は問わないが、SF−2が140〜250の母体を作成するには溶解混練粉砕法、乳化重合法が好ましい。
以下、溶解混練粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂及びワックス、着色剤、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、分級品(トナー粒子)を得る。中でも、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)は、分級と同時にトナー粒子の球形化処理を行うことができ、転写効率の向上という点で好ましい。
更にトナー粒子の表面に外添剤が外添処理される。外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
図2に示す混合処理装置は、トナー粒子と無機粒子に対して、狭いクリアランス部において、シェアがかかる構成になっているために、シリカ微粒子をトナー粒子表面に比較的強く付着させることができる。図3は、上記混合処理装置に使用される撹拌部材の構成の一例を示す模式図である。以下、上記シリカ微粒子の外添混合工程について図2および図3を用いて説明する。
上記シリカ微粒子を外添混合する混合処理装置は、少なくとも複数の撹拌部材2が表面に設置された回転体22と、回転体を回転駆動する駆動部28と、撹拌部材23と間隙を有して設けられた本体ケーシング21とを有する。
本体ケーシング21の内周部と、撹拌部材23との間隙(クリアランス)は、トナー粒子に均一にシェアを与え、シリカ微粒子をトナー粒子表面に付着しやすくするために、一定かつ微小に保つことが好ましい。
また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが好ましい。本体ケーシング21の内周部の径の、1%以上5%以下程度とすることで、無機微粒子に十分なシェアをかけることができる。具体的には、本体ケーシング1の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm以上5mm以下程度とし、本体ケーシング21の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm以上30mm以下程度とすればよい。
本発明における無機微粒子の外添混合工程は、混合処理装置を用い、駆動部28によって回転体22を回転させ、混合処理装置中に投入されたトナー粒子および無機微粒子を撹拌、混合することで、トナー粒子の表面に無機微粒子を外添混合処理する。
図3に示すように、複数の撹拌部材23の少なくとも一部が、回転体22の回転に伴って、トナー粒子および無機粒子を回転体の軸方向の一方向に送る送り用撹拌部材23aとして形成される。また、複数の撹拌部材23の少なくとも一部が、トナー粒子および無機微粒子を、回転体22の回転に伴って、回転体の軸方向の他方向に戻す戻し用撹拌部材23bとして形成されている。
ここで、図2のように、原料投入口25と製品排出口26が本体ケーシング21の両端部に設けられている場合には、原料投入口25から製品排出口26へ向かう方向(図3で右方向)を「送り方向」という。
すなわち、図3に示すように、送り用撹拌部材23aの板面は送り方向33にトナー粒子を送るように傾斜している。一方、撹拌部材23bの板面は戻り方向32にトナー粒子および無機微粒子を送るように傾斜している。
これにより、「送り方向」への送り33と、「戻り方向」への送り32とを繰り返し行いながら、トナー粒子の表面に無機微粒子の外添混合処理を行う。
また、撹拌部材23aと23bは、回転体22の円周方向に間隔を置いて配置した複数枚の部材が一組となっている。図3に示す例では、撹拌部材23a、23bが回転体22に互いに180度の間隔で2枚の部材が一組をなしているが、120度の間隔で3枚、あるいは90度の間隔で4枚、というように多数の部材を一組としてもよい。
図3に示す例では、撹拌部材23aと23bは等間隔で、計12枚形成されている。
さらに、図3において、Dは撹拌部材の幅、dは撹拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。トナー粒子および無機微粒子を、送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、図3における回転体22の長さに対して、Dは20%以上30%以下程度の幅であることが好ましい。図3においては、23%である例を示す。さらに撹拌部材23aと23bは撹拌部材23aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、撹拌部材23bと撹拌部材の重なり部分dをある程度有することが好ましい。これにより、二次粒子となっている無機微粒子に効率的にシェアをかけることが可能である。Dに対するdは、10%以上30%以下であることがシェアをかける点で好ましい。
なお、羽根の形状に関しては、図3に示すような形状以外にも、送り方向および戻り方向にトナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、曲面を有する形状や先端羽根部分が棒状アームで回転体22に結合されたパドル構造であってもよい。
以下、図2および図3に示す装置の模式図に従って、本発明をさらに詳細に説明する。
図2に示す装置は、少なくとも複数の撹拌部材23が表面に設置された回転体22と、回転体22を回転駆動する駆動部28と、撹拌部材23と間隙を有して設けられた本体ケーシング21を有する。さらに、本体ケーシング21の内側および回転体端部側面30にあって、冷熱媒体を流すことのできるジャケット24を有している。
さらに、図2に示す装置は、磁性トナー粒子および無機微粒子を導入するために、本体ケーシング21上部に形成された原料投入口25、外添混合処理されたトナーを本体ケーシング21から外に排出するために、本体ケーシング21下部に形成された製品排出口26を有している。
さらに、図2に示す装置は、原料投入口25内に、原料投入口用インナーピース36が挿入されており、製品排出口26内に、製品排出口用インナーピース37が挿入されている。
本発明においては、まず、原料投入口25から原料投入口用インナーピース36を取り出し、トナー粒子を原料投入口25より処理空間29に投入する。次に無機微粒子を原料投入口25より処理空間29に投入し、原料投入口用インナーピース36を挿入する。次に、駆動部28により回転体22を回転させ(31は回転方向を示す)、上記で投入した処理物を、回転体22表面に複数設けられた撹拌部材23により撹拌、混合しながら外添混合処理する。
なお、投入する順序は、先に無機微粒子を原料投入口25より投入し、次に、トナー粒子を原料投入口25より投入しても構わない。また、ヘンシェルミキサーのような混合機で予め、トナー粒子と無機微粒子を混合した後、混合物を、図2に示す装置の原料投入口25より投入しても構わない。
次に、本発明において、シリカ微粒子を固着させるのに好ましい構成について説明する。本発明ではシリカ微粒子を固着させる手段としては、熱的に固着させることが好ましい。例えば瞬間的にトナー粒子表面に高温の熱風を吹きつけ、直後に冷風によってトナー粒子を冷却することによってトナー粒子の表面改質を行う熱風処理工程が挙げられる。
このような熱風処理工程によってトナー粒子の表面を改質することは、トナー粒子に過度の熱を加えることがないので原材料成分の変質を防ぎつつトナー粒子の表面改質を行うことができる。
トナー粒子の熱風処理工程には、例えば図1に示すような表面改質装置を用いることができる。
原料定量供給手段1により定量供給されたトナー粒子とシリカ微粒子Cとの混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。
トナー粒子表面にシリカ微粒子Cが熱固着された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、熱処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給されるトナーの旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向であることにより、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナーに強力な遠心力がかかり、トナーの分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナーを得ることができる。
この製造方法では、熱処理後に粗大な粒子が存在する場合、必要に応じて、分級によって粗大粒子を除去する工程を有していても構わない。粗大粒子を除去する分級機としては、分級機としては、ターボプレックス、TSP、TTSP(ホソカワミクロン社製)、エルボージェット(日鉄鉱業社製)等が挙げられる。
さらに、熱処理後、必要に応じて、粗粒等を篩い分けるために、例えば、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ハイボルター(東洋ハイテック社製)等の篩分機を用いても良い。なお、本発明の熱処理工程は上記微粉砕の後であっても良いし、分級の後でもよい。
本発明のトナーの平均円形度は0.960以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.965以上である。トナーの平均円形度が上記の範囲であることにより、外添剤の固着率及びトナーの転写効率が向上する。
表面改質されたトナーは、冷風導入口から導入される冷風で瞬時に冷却される。本発明では冷風には液体窒素を用いているが、表面改質されたトナーを瞬時に冷却することができれば、手段は特に限定されない。表面改質されたトナーはブロワーで吸引されて、サイクロンで捕集される。
本発明においては、特に、この熱風処理工程は、シリカ微粒子の固着状態の調整の点で、非常に好ましい。シリカ微粒子の固着状態の調整は具体的には以下のように実施することができる。まずトナー粒子に、上記混合機により、無機微粒子を外添混合処理し、熱風処理前トナー粒子を得る。その後、熱風処理前トナー粒子を、図1に示す表面改質装置に供給し、上記のように熱風処理を行うことにより、外添混合処理された無機微粒子が熱風により半溶融した結着樹脂に覆われることで、強い強度で固着化される。このように、トナー粒子に、シリカ微粒子を外添混合処理し、熱風処理を行うことが好ましい。熱風処理前トナー粒子に添加する無機微粒子の選択および添加量の調整、さらに熱風処理の処理条件の適正化により、シリカ微粒子の固着状態を調整することが可能である。
シリカ微粒子を熱により固着する手段が本発明に適している理由としては定かではないが、本発明者らは次のように考えている。熱によりシリカ微粒子を固着させるとシリカ微粒子が程良く埋没し、トナー粒子表面との界面における段差が少なくなり、トナーの流動性が増す。一方で機械的に固着させた場合はトナー粒子表面を溶融させないため外添剤の凹凸が効き過ぎて化合物Bを処理したシリカ微粒子を固着させた場合でも期待する流動性が得られない場合がある。また熱により固着させた場合、処理された化合物Bが熱により溶融し化合物Bが広範囲に拡がり、より一層の潤滑効果を生み出しているのではないかと考えている。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<シリカ微粒子の固着率の測定方法>
本発明では、固着されているシリカ微粒子を次の様に定義する。イオン交換水20g、界面活性剤であるコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)0.4gを30ccのガラスバイアル(例えば、日電理化硝子株式会社製、VCV−30、外径:35mm、高さ:70mm)に入れて十分混合し、分散液を作製する。このバイアルにトナー1.0gを添加し、トナーが自然に沈降するまで静置して処理前分散液を作製する。この分散液を、振とう速度:46.7cm/秒、振とうの幅:4.0cmで5分間振とうした場合でも剥がれないシリカ微粒子を固着されているとする。シリカ微粒子が残存したトナーと脱離したシリカ微粒子の分離は遠心分離機を用いて行う。遠心分離工程は3700rpmで30min行った。シリカ微粒子が残存したトナーを採取し、乾燥させ分離後のトナーを得た。
固着率の測定は以下の様にする。まず上記分離工程前のトナーに含まれるシリカ微粒子の定量を行う。これは波長分散型蛍光X線分析装置Axios advanced(PANalytical社製)を用いて、トナー粒子中のSi元素強度:Si−Bを測定する。次に同様に上記分離工程後のトナーのSi元素強度:Si−Aを測定する。固着率は(Si−A/Si−B)×100(%)で求められる。
<一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
外添剤の一次粒子の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)「JEM2800」(日本電子製)を用いて測定する。
まず、測定サンプルの調整を行う。外添剤約5mgに対し、イソプロパノール1mlを加え、超音波分散機(超音波洗浄機)で5分間分散させる。次に、TEM用の支持膜付きマイクログリッド(150メッシュ)に上記分散液を1滴たらし、乾燥させることで測定サンプルを準備した。
次に、透過型電子顕微鏡(TEM)により、加速電圧200kVの条件のもと、視野中の外添剤が十分に測長できる倍率(例えば200k〜1M倍)にて画像を取得し、ランダムに100個の外添剤の一次粒子の粒径を測定して個数平均粒径を求める。一次粒子の粒径の測定は手動、または計測ツールを用いても良い。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定した。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れた。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定した。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なった。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡をあらかじめ除去した。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加えた。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加した。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続した。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なった。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出した。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナー粒子の平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は、1視野が512画素×512画素であり、1画素あたり0.37×0.37μmの画像処理解像度で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円形当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円形当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が真円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなるほど円形度は小さい値になる。
各粒子の円形度を算出後、円形度0.2から1.0の範囲を800分割したチャンネルに振り分け、各チャンネルの中心値を代表値として平均値を計算し平均円形度の算出を行う。
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.02g加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定し、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<ESCAによる被覆率の測定方法>
本発明における外添剤被覆率は、ESCA(X線光電子分光分析)により測定される、トナー粒子表面に存在するシリカ由来のケイ素(以下、Siと省略する。)原子量から算出される。ESCAは、サンプル表面の深さ方向で数nm以下の領域の原子を検出する分析方法である。そのため、磁性トナーの表面の原子を検出することが可能である。サンプルホルダーとしては、装置付属の75mm角のプラテン(サンプル固定用の約1mm径のねじ穴が具備されている)を用いた。そのプラテンのネジ穴は貫通しているため、樹脂等で穴をふさぎ、深さ0.5mm程度の粉体測定用の凹部を作成する。その凹部に測定試料をスパチュラ等で詰め込み、すり切ることでサンプルを作製した。
ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeII
分析方法:ナロー分析
測定条件:
X線源:Al−Kα
X線条件:100μ25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
測定範囲:300μm×200μm
以上の条件より測定を行った。
解析方法は、まず炭素1s軌道のC−C結合に由来するピークを285eVに補正する。その後、100eV以上105eV以下にピークトップが検出されるケイ素2p軌道に由来するピーク面積から、アルバック−ファイ社提供の相対感度因子を用いることで、構成元素の総量に対するシリカに由来するSi量を算出する。次に、上記と同様の方法でトナーに適用したシリカ単体を測定し、構成元素の総量に対するシリカに由来するSi量を算出し、外添剤単体を測定した際のSi量に対するトナーを測定した際のSi量の割合を本発明におけるシリカ被覆率とする。
<樹脂の重量平均分子量の測定方法>
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定した。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。その後得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得た。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整した。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定した。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用した。
以上本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明の実施の態様がなんら限定されるものではない。
シリカ微粒子の製造
本発明に用いられるシリカは、沈降法、ゾルゲル法等の湿式シリカ、爆燃法、ヒュームド法等の乾式シリカがあるが、本発明の特徴の一つである該外添剤の形状制御のしやすさから、乾式シリカであることが好ましい。
乾式シリカは、ケイ素ハロゲン化合物等を原料としている。ケイ素ハロゲン化合物としては、四塩化ケイ素が用いられるが、メチルトリクロロシラン、トリクロロシランなどのシラン類単独、あるいは四塩化ケイ素とシラン類との混合状態でも原料として使用可能である。
原料は気化した後、酸水素炎中で中間体として生じる水と反応する、いわゆる、火炎加水分解反応によって目的のシリカを得る。
以下に、本発明に用いられる乾式非球状シリカの製造方法を説明する。
<シリカ微粒子1〜6の製造例>
酸素ガスをバーナーに供給し、着火用バーナーに点火した後、水素ガスをバーナーに供給して火炎を形成し、これに原料である四塩化ケイ素を投入しガス化させた。表1に示す条件下で火炎加水分解反応を行わせ、1次粒径が異なるシリカ微粒子1〜6を得た。
本発明のシリカ微粒子のトナー粒子表面の被覆率に関しては20%〜80%が好ましい。
表2にシリカ微粒子の1次平均粒径のトナー粒子100質量部に対する添加部数を振った時の被覆率の結果を示す。この時のトナー粒子の平均円形度は0.950、トナー粒子の重量平均粒径D4は6.5μmのものを用いた。
<化合物Bの製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した3Lフラスコに純水1000質量部、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム4質量部を仕込み、窒素置換を30分間行った。ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)2質量部を仕込み、撹拌し溶解した。その後、内容物を窒素導入下80℃に昇温した。80℃に到達した時点でスチレン300質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル(2−EHA)60質量部の混合モノマーと、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)40質量部を純水600質量部に溶解した水溶液を2時間かけて別々に滴下する。その後80℃のまま8時間重合を行い、エマルション溶液を得た。該エマルション溶液を50℃の真空乾燥機で水分が1%以下になるまで乾燥し、スチレン/2−EHA/AMPS共重合体である化合物Bを得た。化合物Bの酸価は21.6mgKOH/g、Mwは18300であった。
<シリカ微粒子1−A〜6−A、3−Bの製造例>
シリカ微粒子1を100gに対して、化合物B 5gをトルエンに溶解した液を噴霧し、2時間の撹拌混合によって化合物Bの固定化を行った。その後、200℃で熱処理してトルエンを揮発させ、表面に化合物Bを有するシリカ微粒子1/化合物B複合物を得た。次に、得られたシリカ微粒子1/化合物B複合物を、微粉砕機アトマイザーTAP−1W(東京アトマイザー製造株式会社製)によって解砕することでシリカ微粒子1に化合物Bが表面処理されたシリカ微粒子1−Aを得た。解砕機の回転数は4000rpm、解砕機への供給量は5kg/hである。
上記同様の処理をシリカ微粒子2〜6に行い、シリカ微粒子2−A〜6−Aを得た。
次に得られたシリカ微粒子3 100質量部に対して、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン10質量部を添加し、シリカ微粒子3−Bを得た。
<結着樹脂Aの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:1.3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、Tg=57℃の結着樹脂Aを得た。
<トナー製造例1>
・結着樹脂A 100質量部
・ワックス(フィッシャートロプシュワックス、融点90℃) 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が6.5μmであった。平均円形度は0.950であった。
得られたトナー粒子100質量部にシリカ微粒子3−Aを3.0質量部、シリカ微粒子3−Bを2.0質量部添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間10min混合して、トナー前駆体の外添剤混合物を得た。
上記混合物を図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い熱処理トナー1を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、また、熱風温度C=180℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度E=−5℃、冷風流量=4m3/min.、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。
トナー1の平均円形度は0.973であった。シリカ微粒子の固着率を表4に示す。
<トナー製造例2>
表3に示すシリカ微粒子と添加部数を用いた。熱風による表面処理温度を175℃とし、その他の条件はトナー製造例1と同様にし、トナー2を得た。トナー2の平均円形度は0.970であった。シリカ微粒子の固着率を表4に示す。
<トナー製造例3>
表3に示すシリカ微粒子と添加部数を用いた。熱風による表面処理温度を170℃とし、その他の条件はトナー製造例1と同様にし、トナー3を得た。トナー3の平均円形度は0.965であった。シリカ微粒子の固着率を表4に示す。
<トナー製造例4〜9>
表3に示すシリカ微粒子と添加部数を用いた。熱風による表面処理温度を160℃とし、その他の条件はトナー製造例1と同様にし、トナー4〜9を得た。トナー4〜9の平均円形度は0.961であった。シリカ微粒子の固着率を表4に示す。
<トナー製造例10>
表3に示すシリカ微粒子と添加部数を用いた。外添混合装置としてヘンシェルミキサー(FM−10C型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数60s-1、回転時間3minで混合外添してトナー10を得た。トナー10の平均円形度は0.950であった。シリカ微粒子の固着率を表4に示す。
<トナー製造例11>
表3に示すシリカ微粒子と添加部数を用いた。外添混合装置としてヘンシェルミキサー(FM−10C型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数40s-1、回転時間3minで混合外添してトナー11を得た。トナー11の平均円形度は0.950であった。シリカ微粒子の固着率を表4に示す。
<トナー製造例12>
シリカ微粒子の固着手段として図2に示す混合処理装置を用いた。本実施例においては、図2に示す装置の処理空間29の容積が2.0×10-3m3の装置(NOB−130;ホソカワミクロン株式会社製)を用い、駆動部28の定格動力を5.5kWとし、撹拌部材23の形状を図3のものとした。そして、図3における撹拌部材23aと撹拌部材23bの重なり幅dを撹拌部材23の最大幅Dに対して0.25Dとし、撹拌部材23と本体ケーシング21内周との最小間隙を2.0mmとした。
上記した装置構成で、上記トナー粒子の100質量部(300g)と、表3に示すシリカ微粒子を所定の質量部、図2に示す装置に投入した。
トナー粒子とシリカ微粒子を投入後、トナー粒子と無機粒子を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、駆動部28の動力を0.1W/g(駆動部28の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。
プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、駆動部28の動力を1.3W/g(駆動部28の回転数2000rpm)で一定となるように、撹拌部材23の最外端部周速を調整し、処理時間を5分間とした。このようにしてトナー12を得た。トナー12の平均円形度は熱処理を施してしないため変わらず0.950であった。シリカ微粒子の固着率を表4に示す。
<トナー製造例13>
表3に示すシリカ微粒子と添加部数を用いた。外添混合装置としてヘンシェルミキサー(FM−10C型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数63s-1、回転時間10minで混合外添してトナー13を得た。トナー13の平均円形度は0.950であった。シリカ微粒子の固着率を表4に示す。
<磁性コア粒子の製造例>
工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 60.2質量%
MnCO3 33.9質量%
Mg(OH)2 4.8質量%
SrCO3 1.1質量%
となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、ジルコニア(φ10mm)のボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中で1000℃で3時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。フェライトの組成は、下記の通り。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.39、b=0.11、c=0.01、d=0.50
工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した後に、ジルコニア(φ10mm)のボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで2時間粉砕した。そのスラリーを、ジルコニアのビーズ(φ1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで4時間粉砕し、フェライトスラリーを得た。
工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、バインダーとして仮焼フェライト100質量部に対してポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、約36μmの球状粒子に造粒した。
工程5(本焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%以下)で、1150℃で4時間焼成した。
工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性コア粒子を得た。
<コート樹脂の製造例>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量部
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量部
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量部
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量部
メチルエチルケトン 31.3質量部
上記材料を、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、2.0質量部のアゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥してコート樹脂を得た。
<磁性キャリア製造例>
コート樹脂 20.0質量%
トルエン 80.0質量%
上記材料をビーズミルで分散混合し、樹脂液を得た。
上記磁性コア粒子100質量部をナウタミキサに投入し、さらに、該樹脂液を樹脂成分として2.0質量部になるようにナウタミキサに投入した。減圧下で温度70℃に加熱し、100rpmで混合し、4時間かけて溶媒除去及び塗布操作を行った。その後、得られた試料をジュリアミキサーに移し、窒素雰囲気下、温度100℃で2時間熱処理した後、目開き70μmの篩で分級して磁性キャリアを得た。得られた磁性キャリアの体積分布基準50%粒径(D50)は、38.2μmであった。
上記のトナー1〜13と該磁性キャリアで、トナー濃度が8.0質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5minで混合し、二成分系現像剤1〜13を得た。
〔実施例1〜9、比較例1〜4〕
<評価I ベタ追従性>
キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5051の改造機を用いて常温常湿環境下(23℃/50%Rh)においてベタ画像(印字率100%)で耐久試験を行った。感光体上のトナー載り量を約0.35mg/cm2とし、初期画像濃度を1.45に合せて耐久をスタートし、画像の濃度変化を評価した。
評価紙はCS−680(68.0g/m2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を使用した。
耐久枚数はA4チャート、連続1000枚通紙した。濃度測定はX−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用した。
ここでの評価はベタ追従性を見ることでトナーの流動性を評価している。トナーの流動性が悪いものはトナーボトル、或いはホッパーからのトナー排出量がベタ画像の消費量に追従できず濃度が低下してきてしまう。
評価基準は以下の様にした。
濃度変化
A:0.05未満 (非常に優れている)
B:0.05以上0.1未満 (良好である)
C:0.1以上0.15未満 (本発明において許容レベル)
D:0.15以上 (本発明において許容出来ない)
以上の評価方法・基準によりトナー1を評価した結果を表5に示す。同様にトナー2〜13についても評価した結果を表5に示す。
<評価II トナー耐久性 印字率変化モード>
ここでは低印字率モードで耐久した後、高印字率モードに切り替え画像の濃度変化を評価した。低印字率モードの耐久では外添剤の離脱/埋め込み等、外添状態の変化が発生する。そうなると現像剤の流動性が変化し、新たなトナーが補給された時の現像器内でのフレッシュトナー撹拌が不十分となり、所望の帯電量が得られず濃度変化を引き起こす。外添状態の変化が大きいものほど濃度変化の幅も大きくなる。
以下詳細な評価条件である。
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
感光ドラム上のトナーの載り量(初期):0.35mg/cm2
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH)
評価機:キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5051の改造機
耐久画像出力試験として、画像比率0.1%のFFh出力の帯チャートを用いて、A4用紙に10,000枚出力を行った。その後、上記A4用紙の中心に10cm2の画像を配置し、出力後の画像濃度を測定した。引き続き、画像比率40.0%のFFh出力の帯チャートを用いて、A4用紙に1,000枚出力を行った後、上記A4用紙の中心に10cm2の画像を配置し、出力後の画像濃度を測定した。上記2つの評価画像の濃度差について、以下の基準により評価した。
<評価基準>
A:濃度差が0.10未満(非常に優れている)
B:濃度差が0.10以上0.15未満(良好である)
C:濃度差が0.15以上0.25未満(本発明では問題ないレベルである)
D:濃度差が0.25以上(本発明では許容できない)