JP2017116807A - トナー - Google Patents

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恒 石上
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健太郎 釜江
剛 大津
Takeshi Otsu
剛 大津
龍一郎 松尾
Ryuichiro Matsuo
龍一郎 松尾
陽介 岩崎
Yosuke Iwasaki
陽介 岩崎
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Wakiko Katsumata
和起子 勝間田
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正治 三浦
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Abstract

【課題】低温での定着が可能で、白点等などの画像不良のない彩度、明度が高いトナーを提供する。【解決手段】非晶性樹脂A、非晶性樹脂B、樹脂組成物C、結晶性ポリエステル樹脂D、ワックス及び着色剤を含有する粉砕法トナー粒子を有するトナーであって、(1)該非晶性樹脂Aの軟化点Tm(a)、該非晶性樹脂Bの軟化点Tm(b)がTm(a)<Tm(b)、Tm(b)>120℃であり、(2)該非晶性樹脂Aの溶解パラメータSP1、非晶性樹脂Bの溶解パラメータSP2が、下記の関係を満足し、−0.20<SP1−SP2<0.20 (式1)9.60<SP2<10.80 (式2)(3)該樹脂組成物Cが、脂肪族系炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高い生産性を要求されるようになってきている。例えば、厚紙から薄紙へ紙種が変更されても、紙種にあわせてプロセススピードを変更せずに、あるいは定着器加熱設定温度を変えることなく印刷を続ける、メディア種によらない等速性が求められている。このメディア等速性の観点から、トナーには、低温から高温まで幅広い温度範囲で適正に定着を完了することが求められている。
幅広い温度範囲で定着を完了させるために、シャープメルト性を有する結晶性樹脂をトナーへ添加し、低温定着性能を向上させたトナーが種々提案されている。例えば、二種類の非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂分散剤の溶解パラメーター(SP値)の関係を規定したトナーが提案されている(特許文献1参照)。低温側の定着性改良には一定の効果はあるが、印刷市場に対応した高速機においては、依然として、定着性が不足している。また、特に、溶融混練法でトナー化した場合には、結晶性ポリエステル樹脂の溶解パラメーターに近い非晶性ポリエステル側に結晶性ポリエステル樹脂が選択的に相溶するため、溶融混練混合物が低粘度化することがある。そのため、混練機内の混合物の粘度が低下し、混練シェアがかからず、顔料やワックスなどの材料が十分に分散されないことがある。そのため、顔料の分散が不十分となり、十分な画像濃度が得られず、特にカラートナーにおいは、彩度、明度が劣ったものになるという課題が残っている。また、極性の最も高い第二の非晶性ポリエステルは、高分子量で分子量分布も広く、樹脂の軟化点が高いと想定され、溶融混練温度条件によっては、第二の非晶性ポリエステルが溶解できず、第二の非晶性ポリエステルドメインとして混練物の中に留まることがある。そのため、混練以降の工程、分級時には、粗大粒子側に第二の非晶性ポリエステル樹脂が粗大粒子として回収され、第二の非晶性ポリエステルに期待されるホットオフセットを向上される効果が得られないことがある。また、第二の非晶性ポリエステルドメインが着色剤を内包しない樹脂玉として現像されてしまうため、画像上に白点となって現れることがあり、画質の観点からも課題がある。
以上のように、より低温での定着を可能にするだけでなく、彩度、明度が高く、白点等などの画像不良のないトナーを得るためには、依然として検討の余地がある。
特開2012−063559号公報
本発明の目的は、より低温での定着を可能にし、彩度、明度が高く、白点等の画像不良のないトナーを得るためには、依然として検討の余地がある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、より低温での定着を可能であり、彩度、明度が高く、白点等の画像不良のないトナーを得るために、次のことを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、非晶性樹脂A、非晶性樹脂B、樹脂組成物C、結晶性ポリエステル樹脂D、ワックス及び着色剤を含有する粉砕法トナー粒子を有するトナーであって、
(1)該非晶性樹脂Aの軟化点Tm(a)、該非晶性樹脂Bの軟化点Tm(b)がTm(a)<Tm(b)、Tm(b)>120℃であり、
(2)該非晶性樹脂Aの溶解パラメータSP1、非晶性樹脂Bの溶解パラメータSP2が、下記の関係を満足し、
−0.20<SP1−SP2<0.20 (式1)
9.60<SP2<10.80 (式2)
(3)該樹脂組成物Cが、脂肪族系炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物であることを特徴とするトナーに関する。
本発明のトナーを用いることにより、より低温での定着が可能になるだけでなく、彩度、明度が高く、白点等の画像不良のないトナーを提供することができる。
本発明に用いられる熱球形化処理装置の図である。
本発明のトナーは、非晶性樹脂A、非晶性樹脂B、樹脂組成物C、結晶性ポリエステル樹脂D、ワックス及び着色剤を含有する粉砕法トナー粒子を有するトナーであって、
該非晶性樹脂Aの軟化点Tm(a)、該非晶性樹脂Bの軟化点Tm(b)がTm(a)<Tm(b)、Tm(b)>120℃であり、
該非晶性樹脂Aの溶解パラメータSP1、非晶性樹脂Bの溶解パラメータSP2が、下記の関係を満足し、
−0.20<SP1−SP2<0.20 (式1)
9.60<SP1<10.80 (式2)
該樹脂組成物Cが、脂肪族系炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物であることが特徴である。
本発明のトナーは、非晶性樹脂A、非晶性樹脂B、樹脂組成物C、結晶性ポリエステル樹脂D、ワックス及び着色剤を含有し、軟化点の異なる二種類の非晶性樹脂A及びBそれぞれの溶解パラメータが、式(1)及び式(2)を満足し、脂肪族系炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物Cとともに溶融混練された粉砕法によって製造されたトナーに関するものである。本発明のトナーは、従来よりも、より低温での定着が可能になるだけでなく、白点等の画像不良のない、高着色力で、高彩度、高明度の画像を安定して得ることができる。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂Dを含有させることで、定着時にトナーを可塑化させることで、より低温での定着が可能となる。
本発明のトナーは、非晶性樹脂A、非晶性樹脂B、樹脂組成物C、結晶性ポリエステル樹脂D、ワックス及び着色剤を溶融混練する際、結着樹脂の極性を表す溶解パラメータが、式(1)及び式(2)を満足することが重要となる。式(1)及び式(2)を満足するのは、非晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bの極性差が小さい場合であり、その場合、従来よりも低温での定着が可能となり、白点等などの画像不良のない、高着色力で、高彩度、高明度の画像を安定して得ることができた。
結晶性ポリエステル樹脂存在下での溶融混練は、混練物が低粘度化しているため、従来トナーと比べ、混練時にシェアがかかりにくいと考えられる。結晶性ポリエステル樹脂は、複数の結着樹脂が存在する場合、極性の近い樹脂側を可塑化するため、結着樹脂間に極端な粘度の差が生じ、両者が均一に混合できなくなる。そのため、特に結晶性ポリエステル樹脂の存在下、二種類以上の結着樹脂を溶融混練する場合においては、両者の極性はできるだけ近くあることが必要となる。
二種類の非晶性樹脂の極性を近づけることは重要であるが、結晶性ポリエステル樹脂存在下での溶融混練は、従来よりも混練機内で溶融した混合物が一段と低粘度化している。そのため、混練時のシェアが十分にかからず、トナーの着色力が不足したり、明度、彩度が上がらないことがある。しかし、本発明の特定の樹脂組成物Cを存在させることで、特にカラートナーにおいて、着色力の向上と、明度、彩度の向上、長期使用にともなって現像性の低下がないことがわかった。このことから、非晶性樹脂A、非晶性樹脂B、結晶性ポリエステル樹脂D、ワックス及び着色剤とともに樹脂組成物Cの存在下に溶融混練することで、混練シェアが上がり、顔料の分散性が向上したと推察される。
本発明において、二種類の非晶性樹脂は異なる軟化点を有する樹脂を用いることが重要である。該非晶性樹脂Aの軟化点Tm(a)、該非晶性樹脂Bの軟化点Tm(b)が、Tm(a)<Tm(b)であることが、低温定着性と高温オフセットを両立し、幅広い定着可能温度範囲を実現する上で重要である。
また、Tm(b)>120℃であることは、耐高温オフセット性を上げるために重要であり、Tm(b)が120℃未満となると、ホットオフセットが低い温度から発生したり、定着器から排紙される際の分離性が悪化し、定着部材への巻き付きを起こすことがある。
本発明において、樹脂組成物Cは、脂肪族系炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物を含有するが、樹脂組成物Cの脂肪族系炭化水素ユニットには、脂肪族系炭化水素ユニットの極性の近いワックスが配位しているものと考えられる。また、樹脂組成物Cのビニル系重合ユニットには、極性の近い結晶性ポリエステル樹脂が配位していると考えられる。つまり樹脂組成物Cを介してワックスと結晶性ポリエステル樹脂とが複合化した状態をとることで、一時的に高分子量体として振舞い、混練時に溶融混練系を一時的に高粘度化し、混練シェアが上がったものと推察している。その結果、着色剤の分散性が向上し、着色力、明度、彩度が向上したと考えられる。実際、脂肪族炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットが化学的に結合していない状態で、それぞれ添加しただけでは、着色力の向上等は確認されない。このことからも、本発明では、結晶性ポリエステル樹脂存在下に二種類の非晶性樹脂を溶融混練する際に樹脂組成物Cを存在させると、低温での定着が可能となり定着可能温度範囲が広がり、特にカラー画像において、着色力の高いトナーが得られることがわかった。
結着樹脂の極性を表す溶解パラメータが式(1)を満足する、つまり、二種類の結着樹脂の極性が近いとき、従来よりも低温での定着が可能となり、白点等などの画像不良のない、高着色力で、高彩度、高明度の画像を安定して得ることができる。
また、式(1)で表わされる非晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bの溶解パラメータの差が、−0.20以下となるとき、ホットオフセットは悪化した。−0.20以下となるのは、高軟化点の非晶性樹脂Bの極性が低く、結晶性ポリエステル樹脂との極性が近くなることになる。つまり、高軟化点の非晶性樹脂Bに結晶性ポリエステル樹脂が相溶し可塑化するため、トナーとしての弾性が失われホットオフセットが悪化したと推察される。
また、式(1)で表わされる非晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bの溶解パラメータの差0.20以上のとき、画像に白い斑点が生じることがある。溶解パラメータの差0.20以上となるのは、軟化点の低い非晶性樹脂AがBより低極性となっており、結晶性ポリエステル樹脂が極性の近い非晶性樹脂Aに選択的に相溶することとなる。この時、混練系は低粘度化し、混練シェアが十分にかからない状態となるため、軟化点の高い非晶性樹脂Bが顔料と十分に混ざらず、非晶性樹脂Bが樹脂玉としてトナー中に存在し現像されることで白点を生じたものと考えられる。
また、非晶性樹脂Bの溶解パラメータが、式(2)の範囲であることが、結晶性ポリエステルが高軟化点の非溶性樹脂Bを可塑化するうえで重要である。10.80を超えると、非晶性樹脂Bと結晶性ポリエステルとの相溶性が低下するため、非晶性樹脂Bを十分に可塑できず、低温での定着が難しくなる。また、9.60以下となるとき、非晶性樹脂Bが結晶性ポリエステルによって、過剰に可塑化されるため、ホットオフセットが悪化することがある。
以上のように、樹脂組成物Cは、溶融混練時にワックス、結晶性ポリエステル樹脂ととも樹脂組成物Cを介して複合化することで混練系の粘度を制御することができる。結晶性ポリエステル樹脂存在下の溶融混練は混練系が低粘度化し材料分散には不利になるが、樹脂組成物Cを介する複合化によって粘度が上がり、材料分散が改善し、画質が向上する希有の材料である。
なお、本発明の樹脂の溶解パラメータは、Fedors法で算出している。算出に当たり使用した蒸発エネルギー(Δei[cal/mole])とモル体積(Δvi[cal/mole])は、井上稔著 「接着の基礎理論」刊行会発行 第五章、R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.14,147(1974)に記載の数値を使用している。本発明においては、ポリマー構成単位の構造を元に計算を行っている。
<非晶性樹脂A及びB>
本発明のトナーに使用される非晶性樹脂A及びBは、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。本発明に使用される非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、下記式(1−1)で表されるビスフェノール誘導体、下記式(1−1)の水添物、下記式(1−2)で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 2017116807
[式中、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2から10である。]
Figure 2017116807
本発明における非晶性樹脂A及びBは、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を80モル%以上(より好ましくは90モル%以上)含有したアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合することにより得られた非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。また、該プロピレンオキサイド付加物の平均付加モル数が2.2以上3.0以下であることが好ましく、平均付加モル数が2.5以上2.8以下であることがより好ましい。プロピレンオキサイド付加物の比率や、付加モル数をあげることは、非晶性樹脂の疎水性を高める、溶解パラメータを下げることとなり、結晶性ポリエステル樹脂の相溶性が向上し、より低温での定着を実現する観点で好ましい。また、プロピレンオキサイド付加物の平均付加モル数を2.2以上3.0以下とすることで、結晶性ポリエステル樹脂存在下であっても、高温高湿環境下での帯電量が上昇する。また、特に、非晶性樹脂Bの付加モル数を2.2以上3.0以下とすることでホットオフセットレベルも向上した。付加モル数をあげていくことによって、Tg、Tmが低下する傾向にあるため、非晶性樹脂Bに必要な軟化点Tm(b)を維持するために、分子量を上げることとなり、弾性アップによってホットオフセットレベルが向上したと考えられる。
一方、非晶性ポリエステル樹脂を構成する2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物が挙げられる。さらには、炭素数6から18のアルキル基またはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、通常用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;およびこれら金属含有化合物など、いずれの触媒を用いても製造することができる。これら触媒の中でも特に、チタン系の触媒を用いて重縮合した非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
チタン系の触媒を用いて重縮合した非晶性ポリエステル樹脂は、均質なポリエステル樹脂になりやすいため、トナー粒子間でのばらつきも少なくなる。このため、特に本発明の磁性トナーの好ましい製造方法である懸濁重合法においては、磁性トナー粒子のシェル層を均一に構成することが可能となるため非常に好ましい。
上記非晶性ポリエステル樹脂は、帯電の安定性と言う観点から、酸価は1mgKOH/g以上10mgKOH/g以下であることが好ましい。10mgKOH/g以下であることにより、磁性トナーの帯電性が安定化しやすいため、特に高温高湿度環境下での現像効率が向上しやすい。
本発明において、該非晶性樹脂Aの軟化点Tm(a)、該非晶性樹脂Bの軟化点Tm(b)とするとき、Tm(a)<Tm(b)であることが低温定着とホットオフセットを両立する上で必要である。また、該樹脂組成物Cの軟化点Tm(c)とするとき、下記の関係を満たすことが、顔料分散性の観点でより好ましい。中間粘度の樹脂が存在することで、混練系が粘度アップするため、顔料の分散が向上し、着色力が高いトナーを得ることができる。
Tm(a)<Tm(c)<Tm(b) (式3)
<樹脂組成物C>
本発明のトナーは、樹脂組成物Cとして、脂肪族系炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物である。脂肪族炭化水素化合物とビニル系樹脂成分とが化学的に結合した樹脂組成物とは、ビニル系樹脂成分にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したビニル系樹脂成分を有するグラフト重合体を含有する樹脂組成物である。
上記脂肪族系炭化水素ユニットは、二重結合を一つ有する不飽和炭化水素系モノマーの重合体または共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。特にポリエチレン系、ポリプロピレン系が好ましく用いられる。
上記ビニル系樹脂成分に用いられるビニル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体などのスチレン系モノマー。メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアミノ基含有α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などのN原子を含むビニル系モノマー。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物、及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を含むビニル系モノマー。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどの水酸基を含むビニル系モノマー。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類などのアクリル酸エステルからなるエステル単位。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステルからなるエステル単位。
先述の通り、樹脂組成物Cは、溶融混練時に、ワックス、結晶性ポリエステル樹脂ととも樹脂組成物Cを介して複合化し混練系の粘度制御でき、材料分散に不利な結晶性ポリエステル樹脂存在下の溶融混練であっても、材料分散を改善させ、画質を向上できる。特にビニル系重合ユニットが、メタクリル酸シクロヘキシルに由来する構造を有するとき、結晶性ポリエステル樹脂との相互作用による複合化が促進され、材料分散性が向上し、着色力が向上するのでより好ましい。
本発明に用いられる脂肪族炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物は、前述したこれらのビニル系モノマー同士の反応や、一方の重合体のモノマーと他方の重合体との反応等、公知の方法によって得ることができる。ビニル系樹脂成分の構成単位として、スチレン系単位、エステル系単位さらにはアクリロニトリル、またはメタアクリロニトリルを含むのが好ましい。また、本発明に用いられる前記重合体のガラス転移温度(Tg)は50℃以上100℃以下であることが、保存性、低温定着性、耐高温オフセット性を両立させる上で好ましい。
また、上記脂肪族炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物は、トナー製造時の混練工程において、溶融した結着樹脂とワックスとの親和性を高める効果がある。そのため、上記樹脂組成物を上記トナーに含有させることで、トナー粒子中のワックス分散性のコントロールができるため好ましい。上記樹脂組成物を用いない場合には、トナー粒子中のワックスの分散状態が不十分なため、クリーニング性が悪化する場合がある。
また、熱による表面処理を行う場合、トナー同士の合一が課題となるが、上記樹脂組成物は合一を防ぐ希有の材料であることが確認されている。
上記樹脂組成物の脂肪族炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットの質量比は1/99以上75/25以下であることが好ましい。より好ましくは10/90以上50/50以下である。上記脂肪族炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物の含有量は、結晶性ポリエステル樹脂の添加量と同量以上であることが、前述の複合化状態を維持する上で好ましい。
結着樹脂100質量部に対しては、0.2質量部以上40.0質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0質量部以上20.0質量部以下である。
<結晶性ポリエステル樹脂D>
本発明の結晶性ポリエステル樹脂Dは、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を重縮合反応させることにより得られる。その中で、低温定着性と保存性を一段高いレベルで両立するという点から、結晶性ポリエステル樹脂のモノマー構成として、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を用いることがより好ましい。
炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールの如き直鎖脂肪族、α,ω−ジオールが好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
本発明において、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
一方、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
本発明において、上記炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなども含まれる。また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体等も含まれる。
さらに、本発明の結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物が分子鎖の末端に縮合したポリエステル樹脂であることがより好ましい。
本発明の結晶性ポリエステル樹脂において、結晶性ポリエステル部の分子鎖の末端に脂肪族化合物が結合していることで、トナーの保存性が向上する。このことから、末端に脂肪族化合物が結合することで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度が高まり、溶融混練後の冷却工程でより微分散した状態で固定化されていると考えられる。一般的に結晶部位は、結晶核ができた後に、結晶が成長するとされている。本発明では、結晶性ポリエステル部の末端に脂肪族化合物を有することで、末端の脂肪族炭化水素が結晶構造をとりうる部位(以下、部位aという)に結晶成長を促進することができ、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度を向上させることができると考えられる。
脂肪族化合物部を形成する化合物としては、部位aよりも結晶化速度が速い化合物であれば特に制限されるものではない。但し、結晶化速度が速いという観点から、主鎖が炭化水素系部位を含み、結晶性ポリエステル部の末端と反応しうる官能基を1つ以上有する化合物であることが好ましい。更に、炭化水素系部位が直鎖状であり、結晶性ポリエステル部と反応する官能基数が1つである化合物が好ましい。また脂肪族化合物と結晶性ポリエステル部の末端との反応性が高まる観点で、脂肪族化合物の分子量は100以上10,000以下であることが好ましく、150以上5,000以下であることがより好ましい。
脂肪族化合物としては、ポリエステル部の末端に結合するものであれば、特に制限されないが、炭素数10以上30以下の脂肪族カルボン酸及び/または炭素数10以上30以下の脂肪族アルコールが好ましい。脂肪族化合物が一定数以上の炭素数を有することで、脂肪族化合物の結晶化度が高くなり、さらに、結晶性ポリエステル樹脂の部位aよりも分子運動しやすくなり、脂肪族化合物としての結晶化速度を上げることができるという観点からも好ましい。脂肪族化合物は、結晶化速度を上げるという観点から、結晶性ポリエステル樹脂中に、結晶性ポリエステル樹脂のポリエステル分子鎖の原料モノマー100mol部に対して、0.1mol部以上10.0mol部以下、好ましくは0.2mol部以上7.0mol部以下含有されていることが好ましい。上記の範囲内であれば、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との相溶性を適度に調整でき、また定着画像を折り曲げた際の、画像剥がれも抑制できる。特に、低い定着圧力で定着を行うような画像形成装置においても、良好な定着性(低圧定着性)が得られる。
炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸としては、カプリン酸(デカン酸)、ウンデシル酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、トリデシル酸、ミリスチル酸(テトラデカン酸)、ペンタデシル酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、ノナデシル酸、アラキジン酸(イコサン酸)が挙げられる。
炭素数10以上20以下の脂肪族モノアルコールとしては、カプリルアルコール(デカノール)、ウンデカノール、ラウリルアルコール(ドデカノール)、トリデカノール、ミリスチルアルコール(テトラデカノール)、ペンタデカノール、パルミチルアルコール(ヘキサデカノール)、マルガリルアルコール(ヘプタデカノール)、ステアリルアルコール(オクタデカノール)、ノナデカノール、アラキジルアルコール(イコサノール)が挙げられる。
脂肪族化合物がポリエステル部と結合しているか否かは、以下の分析によって判別する。サンプルを2mgを精秤し、クロロホルム2mlを加えて溶解させてサンプル溶液を作製する。樹脂サンプルとしては結晶性ポリエステル樹脂を用いるが、結晶性ポリエステル樹脂が入手困難な場合には、結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーをサンプルとして代用することも可能である。次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mlを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1ml添加して溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。このようにして調製したサンプル溶液25μl、マトリックス溶液50μl、イオン化助剤溶液5μlを混合してMALDI分析用のサンプルプレートに滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。分析機器として、MALDI−TOFMS(Bruker Daltonics製 ReflexIII)を用い、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、分子末端に脂肪族化合物が結合した組成に対応するピークが存在するか否かを確認する。
本発明において、トナー粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対し、1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が上述の範囲であるとき、十分な低温定着性が発現し、トナー中に結晶性ポリエステル樹脂が微分散させることができるためより好ましい。
また、本発明において、トナー粒子に含有される結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、樹脂組成物Cの含有量と同量以上であることがより好ましい。
<ワックス>
本発明のトナーに用いられるワックスは、樹脂組成物Cの脂肪族炭化水素ユニットと極性が近く、相互に相溶できることが条件となる。したがって、ワックスも樹脂組成物Cの炭化水素ユニットと同じ脂肪族炭化水素系のワックスであることが望ましい。脂肪族炭化水素ワックスとしては、例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又はメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスである。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。また、パラフィンワックスも好ましく用いられる。低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
<着色剤>
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
<荷電制御剤>
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
<無機微粒子>
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粉体が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粉体であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粉体を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができる。
<現像剤>
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが好ましい。また、長期にわたり安定した画像が得られるという点でも好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
<製造方法>
次に、本発明における粉砕法でのトナーを製造する手順について説明する。
原料混合工程で、トナー粒子を構成する材料として、非晶性樹脂A及びB、結晶性ポリエステル樹脂D、樹脂組成物C、ワックス等を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(三井鉱山社製)。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(三井鉱山社製)。
更に、溶融混練することによって得られる着色された樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、冷却された混練物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)又はメカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)を用いたり、さらに熱を加えながら処理するようなトナー粒子の表面改質処理を行うこともできる。本発明の熱処理工程は、熱処理工程でのトナー粒子の合一、形状の均一性の観点から、熱風を利用したものであることがより好ましい。
本発明においては、図1に示すような熱処理による表面改質装置を用いることもできる。
原料定量供給手段1により定量供給されたトナー粒子は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過したトナー粒子は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給されたトナー粒子は、処理室内に設けられたトナー粒子の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給されたトナー粒子は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給されたトナー粒子を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃乃至300℃であることが好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、トナー粒子を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃乃至30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、トナー粒子の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。また、該冷風は除湿された冷風であることが好ましい。具体的には、冷風の絶対水分量が5g/m3以下であることが好ましい。さらに好ましくは3g/m3以下である。冷風の絶対水分量が5g/m3を超える場合には、冷風の親水性が上がるため、その結果、ワックスの溶出速度が遅くなる場合がある。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給されたトナー粒子の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給されるトナーの旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向であることにより、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナーに強力な遠心力がかかり、トナーの分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナーを得ることができる。
本発明のトナーの製造方法においては、熱処理工程の前に、得られたトナー用粉体粒子に必要に応じて無機微粒子等を添加しても構わない。トナー用粉体粒子に無機微粒子等を添加する方法としては、トナー用粉体粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する。
本発明のトナーの製造方法では、熱処理後に粗大な粒子が存在する場合、必要に応じて、分級によって粗大粒子を除去する工程を有していても構わない。粗大粒子を除去する分級機としては、分級機としては、ターボプレックス、TSP、TTSP(ホソカワミクロン社製)、エルボージェット(日鉄鉱業社製)等が挙げられる。
更に、熱処理後、必要に応じて、粗粒等を篩い分けるために、例えば、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ハイボルター(東洋ハイテック社製)等の篩分機を用いても良い。
尚、本発明の熱処理工程は上記微粉砕の後であっても良いし、分級の後でもよい。
トナーの平均円形度は0.960以上であることが好ましく、更に好ましくは0.965以上である。トナーの平均円形度が上記の範囲であることにより、トナーの転写効率が向上する。
トナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30乃至100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
<ワックスおよびCPESのDSC吸熱量(ΔH)の測定>
本発明におけるトナー等の最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
トナーを試料とする場合において、最大吸熱ピーク(結着樹脂由来の最大吸熱ピーク)がワックス及び結晶性樹脂以外の樹脂の吸熱ピークと重なっていない場合には、得られた最大吸熱ピークの吸熱量をそのままワックス及び結晶性樹脂に由来する最大吸熱ピークの吸熱量として扱う。一方、トナーを試料とする場合において、ワックス及び結着樹脂以外の樹脂の吸熱ピークが結着樹脂の最大吸熱ピークと重なっている場合は、ワックス及び結着樹脂以外の樹脂に由来する吸熱量を、得られた最大吸熱ピークの吸熱量から差し引く必要がある。
なお、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことを意味する。また、最大吸熱ピークの吸熱量(ΔH)はピークの面積から装置付属の解析ソフトを用いて計算により求める。
<GPCによる樹脂の分子量測定>
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂の軟化点の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
尚、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<非晶性樹脂A1の造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、フェノールAのエチレンオキサイド2.2モル付加物429質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2.7モル付加物329質量部、テレフタル酸158質量部、ジブチルスズオキサイド2質量部を入れ、230℃で10時間反応させ、さらに15mmHgで5時間反応させた後、無水トリメリット酸30質量部を加え、180℃で3時間反応させて、非晶性樹脂A1を得た。物性を表1に示した。
<非晶性樹脂A2乃至A9、B1乃至B8の造例>
表1に示した材料を適宜組み合わせて、非晶性樹脂A1とほぼ同様にして樹脂を合成した。樹脂の物性は表1に示した。
Figure 2017116807
<樹脂組成物C1の製造例>
・ポリエチレン(Mw:1400、Mn:850、DSCによる吸熱ピーク:が100℃) 20質量部
・スチレン 60質量部
・アクリル酸−n−ブチル 16質量部
・アクリロニトリル 4質量部
・キシレン 20質量部
上記原料をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のジ−tert−ブチルパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンに共重合体がグラフトしたビニル系樹脂重合体C1を得た。ビニル系樹脂重合体C1は、ガラス転移温度(Tg)61℃であり、重合体C1のTHF可溶分のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)7400、数平均分子量(Mn)2800であった。原料のポリエチレンに相当するピークは認められなかった。
<樹脂組成物C2及びC3の製造例>
樹脂組成物C1の製造例において、原料を表2に示した配合となるようそれぞれのモノマー量を変更した以外は、ほぼ同様に反応を行い、樹脂組成物C2及びC3を得た。樹脂組成物C2及びC3の物性を表2に示す。
<樹脂組成物C4の製造例>
温度計及び撹拌機を装備したオートクレーブ反応槽に、融点108℃の低分子量ポリエチレンを70質量部、キシレン805質量部を入れ、170℃に昇温し、窒素で置換した。次にスチレン805質量部、アクリロニトリル50質量部、アクリル酸ブチル45質量部及びt−ブチルパーオキサイド36質量部をキシレン100質量部に溶解さえた溶液を3時間で滴下し、170℃で30分間保持した後、脱溶剤し、樹脂組成物C4を得た。樹脂組成物C4の物性を表2に示す。
Figure 2017116807
<結晶性ポリエステル樹脂D1の製造例>
表3に示した原料モノマー及びオクチル酸錫(II)(原料モノマー総量の0.5質量部相当)を、冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に入れ、窒素ガス雰囲気に撹拌しながら徐々に昇温し、160℃で撹拌し、5時間かけて反応させた。反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に昇温し4時間反応させた(第一の反応工程)。
その後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、原料モノマー総量モル数に対して7.0mol%のオクタデカン酸を加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより結晶性ポリエステル樹脂D1得た(第二の反応工程)。得られたポリエステル樹脂D1軟化点、SP値を表3に示す。
<結晶性ポリエステル樹脂D2乃至D6の製造例>
結晶性ポリエステル樹脂D1製造例において、第1反応工程の多価アルコール成分及び/または多価カルボン酸成分のモル比率を表1となるようにそれぞれのモノマー量を変更し、第2反応工程のモノマー量も適宜変更したほかは同様にして反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂D2乃至D6を得た。結晶性ポリエステル樹脂D2乃至D6の物性を表3に示す。
<結晶性ポリエステル樹脂D7の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱電対を装備した4つ口フラスコに、1,10−デカンジカルボン酸2120質量部、1,6−ヘキサンジオール1520質量部及びハイドロキノン3.9質量部を入れ、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、さらに8.3kPaで2時間反応させて、結晶性ポリエステル樹脂D7を得た。結晶性ポリエステルD7の物性を表3に示す。
Figure 2017116807
<トナー1の製造例>
・非晶性樹脂A1 62.5質量部
・非晶性樹脂B1 30.0質量部
・樹脂組成物C1 5.0質量部
・結晶性ポリエステル樹脂D1 7.5質量部
・ワックス(FNP0090) 5.0質量部
・銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.3質量部
(ボントロンE88 オリエント化学工業社製)
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度150℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
得られたトナー粒子1を用い、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い熱処理トナー粒子を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、また、熱風温度C=170℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度E=−5℃、冷風流量=4m3/min.、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。
100質量部の熱処理トナー粒子に、疎水性シリカ(BET:200m2/g)1.0質量部、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m2/g)を1.0質量部、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。トナー1の重量平均粒径(D4)は6.2μmであり、平均円形度は0.971であった。トナーの物性を表4に示した。
<トナー2乃至11、13乃至15の製造例>
トナー1の製造例において、非晶性樹脂A、B、樹脂組成物C、結晶性ポリエステル樹脂Dの種類と配合量を表4に従い調整した以外は、トナー1の製造例とほぼ同様にして、トナー2乃至11、13乃至15を得た。
<トナー12の製造例>
トナー1の製造例において、非晶性樹脂A、B、結晶性ポリエステル樹脂Dの種類と配合量を表4に従い調整し、樹脂組成物C5質量部の代わりに、ポリエチレン(Mw:1400、Mn:850、DSCによる吸熱ピーク:が100℃)1質量部とスチレンアクリル樹脂(スチレン-アクリル酸ブチル-アクリロニトリル Tg98℃)4質量部を加えた以外、トナー1の製造例とほぼ同様にして、トナー12を得た。
Figure 2017116807
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe23 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して窒素ガスで系内を置換した。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<二成分系現像剤1の製造例>
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1を8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<二成分系現像剤2乃至33の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、表6のようにトナーの組合せを変更した以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2乃至33を得た。
〔実施例1〕
二成分系現像剤1に対し、下記の通りの各種評価テストを行った。評価結果を表5に示す。
[低温定着性]
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C1+のシアンステーションに二成分系現像剤1を入れた現像器を搭載し、定着器を取り外した状態で画像形成できるように改造を行い、評価紙上に定着されていないトナー像(以下、未定着画像)を形成した。評価には、カラー複写機・プリンタ用普通紙 GF−C104(A4104g/cm2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
実際には、FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm2となるように現像条件を適宜調整し、A4縦評価紙先端から3cm、評価紙の中心の位置に2cm×10cmの未定着画像を形成した。未定着画像は低湿低温環境下(15℃/10%Rh)に24時間調湿した。
続いて、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROから定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるよう定着試験用治具を低湿低温環境下(15℃/10%Rh)準備した。プロセススピードを450mm/secに調整し、前記定着試験用治具の上ベルト温度を100℃乃至200℃の範囲で5℃おきに調整した。下ベルト温度は100℃に固定した状態で、前記の調湿済み未定着画像を通紙した。定着器を通過させた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたレンズクリーニングワイパー(ダスパー 小津産業株式会社製)で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。10%を超えて濃度低下がおこると定着できていないとの判定基準のもと、画像濃度低下率10%を超えない最も低い上ベルト設定温度を低温定着温度とし、下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準:低温定着性)
A:120℃未満 (優れている)
B:120℃以上135℃未満 (少し優れている)
C:135℃以上150℃未満 (従来技術レベル;本発明において許容レベル)
D:150℃以上 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
[耐ホットオフセット性]
低温定着の評価と同様に、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C1+のシアンステーションに二成分系現像剤1を入れ評価用未定着画像を作成した。評価紙は、カラー複写機・プリンタ用普通紙 CS680 A3(A4、68g/m2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.08mg/cm2となるように現像条件を調整し、未定着のFFH画像を得た。
その後、低温定着性評価と同様に、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROから取り外した定着器を改造した定着評価治具を用いて常温低湿環境にて評価を行った。。
画出し前の評価紙について反射率をリフレクトメータ(「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」、東京電色株式会社製)によって測定し、5箇所測定した平均値をDA(%)とした。上記外部定着器における定着温度を100乃至200℃の範囲で10℃おきに調整し、各定着温度における定着画像の白地部についてリフレクトメータで反射率を測定し、最大値をDB(%)とした。
そして、DA(%)とDB(%)の差が0.5%を超えない、最も高い定着温度を定着上限温度とし、下記の基準にて耐ホットオフセット性を評価した。
(評価基準:耐ホットオフセット性)
A:210℃以上 (優れている)
B:180℃以上210℃未満 (少し優れている)
C:160℃以上180℃未満 (従来技術レベル;本発明において許容レベル)
D:160℃未満 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
[定着可能幅]
低温定着温度と定着上限温度の差を定着可能幅とし、定着可能温度幅の広さを評価した。
(評価基準:定着可能幅)
A:80℃以上 (優れている)
B:65℃以上80℃未満 (少し優れている)
C:35℃以上65℃未満 (従来技術レベル;本発明において許容レベル)
D:35℃未満 (従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
[画質(白点)]
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C1+のシアンステーションに二成分系現像剤1を入れた現像器を搭載し、定着器を取り外した状態で画像形成できるように改造を行い、評価紙上に定着されていないトナー像(以下、未定着画像)を形成した。評価には、カラー複写機・プリンタ用普通紙 GF−C104(A4 104g/cm2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
実際には、FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm2となるように現像条件を適宜調整し、A4縦評価紙全面ベタ未定着画像を作成した。続いて、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROから定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるよう定着試験用治具を常温常湿環境下(23℃/50%Rh)準備した。プロセススピードを450mm/secに調整し、前記定着試験用治具の上ベルト温度を、先述の低温定着性評価結果の最低定着温度+20℃を適正温度として各トナーにあわせ設定した。下ベルト温度は100℃に固定した状態で、前記の調湿済み未定着画像を通紙して得られた10枚の定着画像を目視で観察し、画像上の白点の数で評価を行った。
(評価基準:画質(白点))
A:0個以上5個未満(優れている)
B:5個以上10個未満(少し優れている)
C:10個以上25個未満(従来技術レベル;本発明において許容レベル)
D:25個以上(従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
[画質(着色力)]
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C1+のシアンステーションに二成分系現像剤1を入れた現像器を搭載し、定着器を取り外した状態で画像形成できるように改造を行い、評価紙上に定着されていないトナー像(以下、未定着画像)を形成した。評価には、カラー複写機・プリンタ用普通紙 CS680 A4(A4、68g/m2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用い、常温常湿(23℃、50%RH)環境下で実施した。紙上のトナーの載り量が0.2mg/cm2から0.8mg/cm2の範囲の数種類のベタ未定着画像を作製した。
続いて、キヤノン製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C9075PROから定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるよう定着試験用治具を常温常湿環境下(23℃/50%Rh)準備した。プロセススピードを450mm/secに調整し、前記定着試験用治具の上ベルト温度を、先述の低温定着性評価結果の最低定着温度を適正温度として各トナーにあわせ設定した。下ベルト温度は100℃に固定した状態で、前記の調湿済み未定着画像を通紙したて定着されたベタ画像を得た。それらの定着画像の画像濃度をX−Riteカラー反射濃度計を用いて測定し、転写紙上のトナー量と画像濃度の関係をグラフ化する。そして、紙上のトナーの載り量が0.35mg/cm2のときの画像濃度をグラフから読み取り、以下のようにして相対的に着色力を評価した。
(評価基準:画質(着色力))
A:1.4以上(優れている)
B:1.35以上1.40未満(少し優れている)
C:1.30以上1.35未満(従来技術レベル;本発明において許容レベル)
D:1.30未満(従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
[耐熱保存性の評価]
約10gのトナー1を100mlのポリカップに入れ、50℃で3日及び53℃で3日放置した後、目視で評価した。
(評価基準)
A:まったく凝集物は確認されず、初期とほぼ同様の状態。(優れている)
B:若干、凝集気味であるが、ポリカップを軽く5回振る程度で崩れる状態であり、特に問題とならない。(少し優れている)
C:凝集気味であるが、指でほぐすと簡単にほぐれる状態であり、実使用に耐えうる。(従来技術レベル;本発明において許容レベル)
D:凝集が激しく発生。固形化しており、使用できない。(従来より劣る;本発明において実用不可レベル)
〔実施例2乃至10および比較例1乃至5〕
表6に示した実施例2乃至10、比較例1乃至5の現像剤を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表6に示す。
Figure 2017116807
1.原料定量供給手段、2.圧縮気体流量調整手段、3.導入管、4.突起状部材、5.供給管、6.処理室、7.熱風供給手段、8.冷風供給手段、9.規制手段、10.回収手段、11.熱風供給手段出口、12.分配部材、13.旋回部材、14.粉体粒子供給口

Claims (6)

  1. 非晶性樹脂A、非晶性樹脂B、樹脂組成物C、結晶性ポリエステル樹脂D、ワックス及び着色剤を含有する粉砕法トナー粒子を有するトナーであって、
    (1)該非晶性樹脂Aの軟化点Tm(a)、該非晶性樹脂Bの軟化点Tm(b)がTm(a)<Tm(b)、Tm(b)>120℃であり、
    (2)該非晶性樹脂Aの溶解パラメータSP1、非晶性樹脂Bの溶解パラメータSP2が、下記の関係を満足し、
    −0.20<SP1−SP2<0.20 (式1)
    9.60<SP2<10.80 (式2)
    (3)該樹脂組成物Cが、脂肪族系炭化水素ユニットとビニル系重合ユニットとが化学的に結合した樹脂組成物であることを特徴とするトナー。
  2. 該非晶性樹脂A及びBはそれぞれ、ビスフェノール類のプロピレンオキサイド付加物を80モル%以上含有したアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られた樹脂であり、該プロピレンオキサイド付加物の平均付加モル数が、2.2以上3.0以下であることを特徴ことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該非晶性樹脂Aの軟化点Tm(a)、該非晶性樹脂Bの軟化点Tm(b)、該樹脂組成物Cの軟化点Tm(c)が、下記の関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
    Tm(a)<Tm(c)<Tm(b) (式3)
  4. 該結晶性ポリエステル樹脂Dは、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とを縮重合して得られた樹脂であることを特徴する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 該結晶性ポリエステル樹脂Dは、炭素数10以上20以下の脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物が分子鎖の末端に縮合したポリエステル樹脂ユニットを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 該トナー粒子は、熱風により熱処理されたトナー粒子であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
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