JP6541471B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明で離型剤として用いることができるα−オレフィン重合体は、炭素数20以上40以下のα−オレフィンモノマーを重合して得られる重合体である。炭素数20以上40以下のα−オレフィンとしては、1−イコセン、1−ドコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−テトラトリアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、1−オクタトリアコンテン及び1−テトラコンテンなどが挙げられる。本発明においては、これらのα−オレフィンはそれぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明におけるトナーでは、ビニル系樹脂成分とポリオレフィンが反応した構造を有する重合体を含有することが重要である。この重合体としては、ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したグラフト重合体が好ましい。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、ポリエステル樹脂を主成分とすることが必要である。ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作成する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
式(B)で示されるジオール類;
本発明のトナーは軟化剤として結晶性ポリエステルを含有することが好ましい。
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
トナー粒子を製造する方法としては、結着樹脂、離型剤、着色剤、結晶性ポリエステル及びビニル系樹脂成分とポリオレフィンが反応した構造を有する重合体を溶融混練する必要がある。従って、上記材料を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕法が好ましい。
本発明においてα−オレフィン重合体からなる離型剤の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定される。
装置 :HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR−H HT 7.8cmI.D×30cm
2連(東ソー社製)
検出器:高温用RI
温度 :135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.05%アイオノール添加)
流速 :1.0ml/min
試料 :0.1%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算をすることによって算出される。
JIS K−2235(1991年)に準拠し測定した。具体的には、試料を加熱溶融して試料容器に採り,放冷した後,恒温水浴中で25℃に保ち,質量の合計を100gにした規定の針を試料中に垂直に5秒間進入させる。試料の針入度は,針の進入した深さを0.1mmまで測定し,これを10倍した数値(無名数)で表す。
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:
2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
・無水トリメリット酸:
6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させた。ASTM D36−86に従って測定した軟化点が所望温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、(第2反応工程)、結着樹脂Aを得た。得られた結着樹脂Aの軟化点は132℃、ガラス転移温度は61℃であった。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
・無水トリメリット酸:
1.3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
・1,6−ヘキサンジオール:
34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
結晶性ポリエステル樹脂1の製造例において、ジカルボン酸、ジオール、結晶性ポリエステル部位の分子鎖の末端に縮合した脂肪族化合物が表1となるように適宜条件を変更して樹脂C2乃至C11の製造を行った。表1に記載した以外は、結晶性ポリエステル樹脂1の製造例と同様の操作を行い、結晶性ポリエステル樹脂2乃至結晶性ポリエステル樹脂11を得た。
主として炭素数20以上のα−オレフィンの混合体を減圧下(0.3kPa)で蒸留し、留出温度180〜220℃の留分である平均炭素数23のモノマー1(質量比:C20/C22/C24=8.9/53.8/37.3)を得た。
・C20 α−オレフィン
離型剤D1の製造例において、表2に示したモノマー、触媒、反応温度に変更して重合反応を行い、製造例1と同様に処理して、α−オレフィン重合体2乃至6(離型剤D2乃至D6)を得た。得られたα−オレフィン重合体2乃至6の物性を表2に示した。
・パラフィンワックス:商品名 150(日本精鑞株式会社)
について、物性を表2に示した。
・ポリオレフィン系重合ワックス:商品名 バイバー103(東洋ペトロライト株式会社)
について、物性を表2に示した。
・フィッシャートロプシュワックス:商品名 C105(シューマン・サゾール社)
について、物性を表2に示した。
・不飽和結合を1つ以上有するポリエチレン(Mw:1400、Mn:850、DSCによる吸熱ピーク:が100℃) 20質量部
・スチレン 59質量部
・アクリル酸−n−ブチル 18.5質量部
・アクリロニトリル 2.5質量部
上記原料をオートクレーブに仕込み、系内を窒素置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のジ−tert−ブチルパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、ポリエチレンに共重合体がグラフトしたビニル系樹脂重合体Eを得た。得られたビニル系樹脂重合体Eの軟化点は110℃、ガラス転移温度は64℃であり、重合体EのTHF可溶分のGPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)7400、数平均分子量(Mn)2800であった。原料の、不飽和結合を1つ以上有するポリエチレンに相当するピークは認められなかった。
・結着樹脂A 30質量部
・結着樹脂B 60質量部
・結晶性ポリエステル樹脂C1 10質量部
・離型剤D1 6質量部
・ビニル系樹脂重合体E 6質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業社製) 0.3質量部
トナー1製造例において、結晶性ポリエステル樹脂C、離型剤D、ビニル系樹脂重合体Eの種類と添加部数を表3に示したように変更した。そして、平均円形度が表3となるように表面処理装置の熱風温度を適宜変更したほかは同様の操作を行い、トナー2乃至トナー27を得た。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1を8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、表4のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2乃至27を得た。
得られた二成分系現像剤1を用い、評価を行った。
紙:CS−680(68.0g/m2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm2(FFh画像)
評価画像:上記A4用紙画像比率100%のチャート
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度85%RH(以下「H/H」)
耐久画像出力試験として、画像比率0.1%のFFh出力の帯チャートを用いて、A4用紙に10,000枚出力を行った。その後、上記評価画像を出力し、画像中の白斑点の個数を目視で確認した。
A:白斑点が5個未満
B:白斑点が5個以上、10個未満
C:白斑点が10個以上、20個未満
D:白斑点が20個以上
100ccのポリカップにトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(42℃、54%)に48時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。凝集性は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き20μmのメッシュで振るった際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。
A:残存率2.0%未満
B:残存率2.0%以上、10.0%未満
C:残存率10.0%以上、15.0%未満
D:残存率15.0%以上
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量 :1.20mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の中心に10cm2の画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
上記未定着画像を作製した後、プロセススピードを450mm/sec、定着温度を130℃に設定し低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。画像濃度低下率は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。そして、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)を測定した。
A:濃度低下率1.0%未満
B:濃度低下率1.0%以上、5.0%未満
C:濃度低下率5.0%以上、10.0%未満
D:濃度低下率10.0%以上
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量 :0.08mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の両末端に10cm2の画像を配置
定着試験環境:常温低湿環境:温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L」)
上記未定着画像を作製した後、プロセススピードを450mm/secに設定し、定着温度を150℃から順に5℃ずつ上げ、耐ホットオフセット性を評価した。手順としては、まず、定着ベルトの中心位置に無地のはがきを10枚通紙した後に、上記未定着画像を通紙した。カブリの値をホットオフセットの評価指標とした。カブリは、リフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)と定着試験後の白地部の反射率Ds(%)を測定し、下記式を用いて算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
A:0.2%未満
B:0.2%以上、0.5%未満
C:0.5%以上、1.0%未満
D:1.0%以上
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
潜像担持体上のトナーの載り量:0.35mg/cm2
評価画像:上記A4用紙画像比率100%のチャート
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度85%RH(以下「H/H」)
上記画像を出力する際、現像中に停止させ、画像形成時の潜像担持体上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープによりテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼ったものの濃度から、粘着テープのみを紙上に貼ったものの濃度を差し引いた濃度差をそれぞれ算出した。下記の評価基準に基づいて評価を行った。尚、転写残濃度はX−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ)で測定した。
A:濃度差が0.10未満
B:濃度差が0.10以上、0.15未満
C:濃度差が0.15以上、0.25未満
D:濃度差が0.25以上
表4に示した通りの二成分系現像剤2乃至22を用いたほかは、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表5に示す。
表4に示した通りの二成分系現像剤23乃至27を用いたほかは、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表5に示す。
比較例1で用いたトナー23は、熱風処理がなされていないトナーである。熱風処理がないためトナーの円形度が低く、転写性が悪化したと考えられる。また、トナーの表面近傍に高硬度の離型剤が配置されておらず、トナーの表面硬度が十分でないために、耐久性や保存性も悪化したと推測される。
比較例2で用いたトナー24は、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体が添加されていないトナーである。これにより離型剤が十分に微分散されずに大きなドメインとして存在するため、熱風処理後、表面に均一にブリードされず、保存性や現像性が悪いと考えられる。
比較例3で用いたトナー25は、離型剤として針入度が13と柔らかいパラフィンワックスを使用したトナーである。熱風処理によりトナー表面近傍に配置された離型剤の硬度が低いため、トナー表面硬度が十分に高くなく、耐久性や保存性、耐ホットオフセット性が悪いと考えられる。
比較例4で用いたトナー26は、離型剤として、融点が103.8℃と高く、針入度が5のポリオレフィン系重合ワックスを使用したトナーである。離型剤の融点が高く、硬度もやや低いため、熱風処理後、トナー表面近傍に十分配置されず、トナー表面硬度が十分に高くなく、耐久性や保存性、耐ホットオフセット性が悪いと考えられる。また離型剤の融点が高いため、低温定着において離型性が十分に発揮できず、低温定着性が悪いと推測される。
比較例5で用いたトナー27は、離型剤として、針入度は1であり高硬度だが、融点が110.5℃と非常に高いフィッシャートロプシュワックスを使用したトナーである。離型剤の融点が高いため、熱風処理後、トナー表面近傍に十分配置されないため、トナー表面硬度が十分に高くなく、耐久性や保存性、耐ホットオフセット性が悪いと考えられる。また離型剤の融点が非常に高いため、低温定着において離型性が十分に発揮できず、低温定着性が悪いと推測される。
2 圧縮気体流量調整手段
3 導入管
4 突起状部材
5 供給管
6 処理室
7 熱風供給手段
8 冷風供給手段
9 規制手段
10 回収手段
11 熱風供給手段出口
12 分配部材
13 旋回部材
14 粉体粒子供給口
Claims (11)
- 結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含有するトナー粒子と外添剤とを有するトナーであって、
該トナー粒子が熱球形化トナー粒子であり、
該結着樹脂が、ポリエステル樹脂を有し、
該離型剤が、炭素数20以上40以下のα−オレフィンモノマーを重合して得られるα−オレフィン重合体であり、
示差走査熱量計(DSC)により測定される該α−オレフィン重合体の最大吸熱ピークが、40℃以上80℃以下であり、
該α−オレフィン重合体の25℃における針入度が、1以上8以下であり、
該トナー粒子は、更に、ビニル系樹脂成分とポリオレフィンが反応した構造を有する重合体を含有する
ことを特徴とするトナー。 - 該α−オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)が、1000以上5000以下であり、該α−オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下である請求項1に記載のトナー。
- 該トナー粒子に含有される該離型剤の含有量が、該結着樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上15.0質量部以下である請求項1または2に記載のトナー。
- 該トナー粒子が、
炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、
炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸と
の重縮合体である結晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。 - 該結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数8以上20以下の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数8以上20以下の脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物に由来する部位を含有したポリエステル樹脂である請求項4に記載のトナー。
- 該トナーにおける、フロー式粒子像分析装置によって計測される円相当径1.985μm以上39.69μm未満の粒子の平均円形度が、0.96以上1.00以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
- 該外添剤の含有量が、該トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
- 結着樹脂、離型剤及び着色剤を含有する組成物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
該溶融混練物を粉砕分級してトナー粒子を得る工程と、
該トナー粒子を熱球形化処理する工程と、
熱球形化処理されたトナー粒子と外添剤とを混合する工程と
を有するトナーの製造方法において、
該結着樹脂が、ポリエステル樹脂を有し、
該離型剤が、炭素数20以上40以下のα−オレフィンモノマーを重合して得られるα−オレフィン重合体であり、
示差走査熱量計(DSC)により測定される該α−オレフィン重合体の最大吸熱ピークが、40℃以上80℃以下であり、
該α−オレフィン重合体の25℃における針入度が、1以上8以下であり、
該組成物が、更に、ビニル系樹脂成分とポリオレフィンが反応した構造を有する重合体を含有し、
該熱球形化処理工程における熱風温度が、120℃〜170℃である
ことを特徴とするトナーの製造方法。 - 該α−オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)が1000以上5000以下であり、該α−オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)から求められる分子量分布(Mw/Mn)が、2.0以下である請求項8に記載のトナーの製造方法。
- 該トナー粒子が、
炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、
炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸と
の重縮合体である結晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項8または9に記載のトナーの製造方法。 - 該結晶性ポリエステル樹脂が、炭素数8以上20以下の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数8以上20以下の脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた一種以上の脂肪族化合物に由来する部位を含有したポリエステル樹脂である請求項10に記載のトナーの製造方法。
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