JP2017116810A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
幅広い定着可能温度でトナーを定着させるために、トナー中にワックスを含有させトナーに離型性を持たせる方法がある。この場合、トナー中のワックスの分散状態は、トナーの性質に重大な影響を及ぼすため、微細かつ均一であることが望まれる。
そこで特許文献1のように、トナー中のワックスの分散状態を制御するために、トナー中にワックス分散剤を含有させる技術が提案されている。また、特許文献2のように、高粘度樹脂と低粘度樹脂、分散剤からなるトナーバインダーを用いることによってワックスの分散性を向上させ、画像劣化を抑制するという提案がなされている。
しかし、トナー中のワックスの分散状態を制御しても、トナーを高温高湿下に放置すると、ワックスがトナー表面に溶け出し、トナーの流動性が悪化するために、帯電性に劣る場合がある。
さらに、特許文献3のように、幅広い定着可能温度で定着するために、シャープメルト性を有する結晶性樹脂をトナーへ添加し、低温定着性能を向上させたトナーが種々提案されている。また、特許文献4のように、定着補助成分としての結晶性樹脂とワックス分散剤を併用することによって、帯電性を維持しつつ低温定着性、流動性を良好に保つという提案がなされている。
しかし、更なる高速化と省エネルギー化のために、近年求められるレベルの低温定着性を満たすには至っていない。また、結晶性樹脂を含有するトナーでは、樹脂強度の低下から、表面の外添剤の遊離や埋め込みが起きやすくなるため、高温高湿下での帯電性の悪化が発生しやすい場合がある。さらに、トナー形状を制御したものではないことから、転写効率が不足することがある。
これに対し、特許文献5では、転写効率を高めるために、トナーを熱風処理することによって形状を制御し、トナーの付着力を下げる提案がなされている。
熱風処理されたトナーは、トナーの形状が制御される一方で、付着性の高いワックスがトナー表面近傍に溶出してくることが知られている。このため、トナー表面近傍に溶出したワックスによる影響でトナーの流動性が悪化し、帯電性が悪化する場合がある。
以上のように、トナー中のワックスの分散状態を制御し、帯電性と定着性、耐ブロッキング性を満足させるためには、依然として検討の余地がある。
該結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、
該スチレンアクリル系樹脂組成物は、脂肪族系炭化水素樹脂でグラフト変性させているスチレンアクリル系樹脂を含有し、該脂肪族系炭化水素樹脂でグラフト変性させているスチレンアクリル系樹脂組成物は、下記式(1)で表わされる化合物に由来するユニットを含有し、該脂肪族系炭化水素樹脂でグラフト変性させているスチレンアクリル系樹脂組成物の含有量が、該トナー粒子100質量部に対して1.0質量部以上10質量部以下であることを特徴とするトナーに関する。
CH2=C−R−CO−O−CnH2n+1 (1)
[10≦n≦20、RはHまたはCH3]
CH2=C−R−CO−O−CnH2n+1 (1)
[10≦n≦20、RはHまたはCH3]
本発明のトナーに用いられるワックス分散剤は、炭化水素化合物をグラフト変性させているスチレンアクリル系樹脂を含有し、該スチレンアクリル系樹脂が下記式(1)で表わされる化合物に由来するユニットを含有している。
CH2=C−R−CO−O−CnH2n+1 (1)
本発明のトナーは軟化剤として結晶性ポリエステル樹脂を含有する。本発明における結晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を主成分とすることが必要である。非晶性ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作成する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
本発明のトナーの製造方法は特に限定されることはないが、本発明のワックス分散剤の効果を十分に発揮できるのは、ワックスの分散性の観点から、溶融混練製法が好ましい。
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
本発明におけるワックス、結晶性樹脂の最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができる。
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン300質量部、ポリエチレン10質量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン68質量部、ステアリルメタクリレート2質量部、アクリロニトリル30質量部およびキシレン250質量部の混合溶液を180℃で3時間滴下し重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、ワックス分散剤A1を得た。
ワックス分散剤A1の製造例において、脂肪族系炭化水素樹脂が表1となるように適宜条件を変更した以外は、ワックス分散剤1の製造例と同様の操作を行い、ワックス分散剤A2乃至A3を得た。得られたワックス分散剤の組成、SP値を表1に示す。
ワックス分散剤A1の製造例において、脂肪族系炭化水素樹脂及びSP値が表1となるように適宜条件とモノマー比率を変更した以外は、ワックス分散剤1の製造例と同様の操作を行い、ワックス分散剤A4を得た。得られたワックス分散剤の組成、SP値を表1に示す。
ワックス分散剤A1の製造例において、脂肪族系炭化水素樹脂及び式(1)の化合物が表1となるように適宜条件を変更した以外は、ワックス分散剤1の製造例と同様の操作を行い、ワックス分散剤A5及びA6を得た。得られたワックス分散剤の組成、SP値を表1に示す。
ワックス分散剤A1の製造例において、脂肪族系炭化水素樹脂、式(1)の化合物、及びSP値が表1となるように適宜条件とモノマー比率を変更した以外は、ワックス分散剤1の製造例と同様の操作を行い、ワックス分散剤A7を得た。得られたワックス分散剤の組成、SP値を表1に示す。
ワックス分散剤A1の製造例において、脂肪族系炭化水素樹脂、式(1)の化合物及びその他の化合物が表1となるように適宜条件とモノマー比率を変更した以外は、ワックス分散剤1の製造例と同様の操作を行い、ワックス分散剤A8乃至A10を得た。得られたワックス分散剤の組成、SP値を表1に示す。
・1,6−ヘキサンジオール:
34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
結晶性ポリエステル樹脂B1の製造例において、ジカルボン酸、ジオール、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が表2となるように、適宜条件を変更した以外は、結晶性ポリエステル樹脂B1の製造例と同様の操作を行い、結晶性ポリエステル樹脂B2乃至結晶性ポリエステル樹脂B8を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量(Mw)を表2に示す。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:
2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が所望温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、結着樹脂Cを得た。得られた結着樹脂Cの軟化点は141℃、ガラス転移温度は63℃であった。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が所望温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、結着樹脂Dを得た。得られた結着樹脂Dの軟化点は94℃、ガラス転移温度は57℃であった。
・結着樹脂C 35質量部
・結着樹脂D 65質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B1 7.5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 5質量部
・ワックス分散剤A1 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業社製) 0.3質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
トナー1の製造例において、ワックス分散剤Aの種類と含有量、結晶性ポリエステル樹脂Bの種類と含有量を表3に示したように変更したほかは同様の操作を行い、トナー2乃至トナー12、トナー14乃至トナー26及び、トナー28を得た。
(非晶性ポリエステル樹脂分散液)
非晶性ポリエステル樹脂を、イオン交換水80%、非晶性ポリエステル樹脂の濃度が20%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、加熱150℃の条件でキャビトロンを運転し、非晶性ポリエステル樹脂分散液(固形分:20%)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂B1を80質量部、イオン交換水720質量部を各々ステンレスビーカーに入れ、99℃に加熱した。結晶性ポリエステル樹脂C1が溶融した時点で、ホモジナイザーを用いて撹拌した。次いで、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK、固形分:20%)2.0質量部を滴下しながら、乳化分散を行い、結晶性ポリエステル樹脂B1分散液(固形分:10%)を得た。
・C.I.ピグメントブルー15:3 1000質量部
・アニオン界面活性剤 150質量部
・イオン交換水 9000質量部
以上を混合し、溶解した後、高圧衝撃式分散機を用いて分散した。得られた着色剤分散液における着色剤粒子の体積平均粒径D50は0.16μm、着色剤濃度は23%であった。
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 45質量部
・ワックス分散剤A1 45質量部
・アニオン性界面活性剤 5質量部
・イオン交換水 150質量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(ワックス濃度:20%)を調製した。
・非晶性ポリエステル樹脂分散液 500質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B1分散液 75質量部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザーで混合・分散した。これにポリ塩化アルミニウム0.15部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。その後、
・着色剤分散液 30.5質量部
・離型剤分散液 25質量部
以上を追加し、さらにポリ塩化アルミニウム0.05質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。
トナー1の製造例で、ワックス分散剤Aの種類、結晶性ポリエステル樹脂Bの種類と含有量を表2に示したように変更し、トナー粒子1を熱風処理しなかったほかは、トナー1と同様の製造方法でトナー27を得た。得られたトナー27を55℃/41%RHに48時間放置し、DSC測定を行ったところ、結晶性樹脂に由来する吸熱ピークとワックスに由来する吸熱ピークがそれぞれ観察された。
トナー1の製造例において、結晶性ポリエステル樹脂を用いず、ワックス分散剤Aの種類と含有量を表2に示したように変更したほかは同様の操作を行い、トナー29及びトナー30を得た。得られたトナー29及びトナー30を55℃/41%RHに48時間放置し、DSC測定を行ったところ、ワックスに由来する吸熱ピークが観察された。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
(上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393)
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1を8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、トナーを表4のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2乃至30を得た。
得られた二成分系現像剤1を用い、評価を行った。
高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)で静電潜像担持体の載り量が0.35mg/cm2となるように調整し、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、及び捕集されたトナー質量Mを測定し、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を計算し、静電潜像担持体上Q/M(mC/kg)とした。
A:静電潜像担持体上Q/M維持率が80%以上:非常に良好である。
B:静電潜像担持体上Q/M維持率が70%以上80%未満:良好である。
C:静電潜像担持体上Q/M維持率が60%以上70%未満:本発明において許容レベルである。
D:静電潜像担持体上Q/M維持率が60%未満:本発明において不可レベルである。
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量:1.20mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の中心に10cm2の画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
上記未定着画像を作製した後、プロセススピードを450mm/sec、定着温度を130℃に設定し低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。画像濃度低下率は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけて、シルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。そして、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)を測定した。
A:濃度低下率2.0%未満 (非常に優れている)
B:濃度低下率2.0%以上5.0%未満 (良好である)
C:濃度低下率5.0%以上10.0%未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:濃度低下率10.0%以上 (本発明では許容できない)
100ccのポリカップにトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(55℃、41%)に48時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。凝集性は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き20μmのメッシュで篩った際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。
A:残存率2.0%未満(非常に優れている)
B:残存率2.0%以上10.0%未満(良好である)
C:残存率10.0%以上15.0%未満(本発明では問題ないレベルである)
D:残存率15.0%以上(本発明では許容できない)
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量:0.08mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の両末端に10cm2の画像を配置
定着試験環境:常温低湿環境:温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L」)
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
A:0.2%未満(非常に優れている)
B:0.2%以上0.5%未満(良好である)
C:0.5%以上1.0%未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:1.0%以上(本発明では許容できない)
表4に示した通りの二成分系現像剤2乃至24を用いたほかは、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表5に示す。
表4に示した通りの二成分系現像剤25乃至30を用いたほかは、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表5に示す。
Claims (7)
- 結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、ワックス、及びスチレンアクリル系樹脂組成物を含有するトナー粒子であって、
該結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、
該スチレンアクリル系樹脂組成物は、脂肪族系炭化水素樹脂でグラフト変性させているスチレンアクリル系樹脂を含有し、該脂肪族系炭化水素樹脂でグラフト変性させているスチレンアクリル系樹脂組成物は、下記式(1)で表わされる化合物に由来するユニットを含有し、該脂肪族系炭化水素樹脂でグラフト変性させているスチレンアクリル系樹脂組成物の含有量が、該トナー粒子100質量部に対して1.0質量部以上10質量部以下であることを特徴とするトナー。
CH2=C−R−CO−O−CnH2n+1 (1)
[10≦n≦20、RはHまたはCH3] - 該スチレンアクリル系樹脂の溶解度パラメータ(SP値)が10.3以上10.7以下である請求項1に記載のトナー。
- 該結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が7000以上13000以下の範囲である請求項1又は2に記載のトナー。
- 該トナーは、該結着樹脂、該結晶性ポリエステル樹脂、該ワックス、及び該脂肪族系炭化水素樹脂をグラフト変性させたスチレンアクリル系樹脂組成物を含有する混合物を溶融混練する工程で得られたトナー粒子を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
- 該脂肪族系炭化水素樹脂は、ポリエチレン及び/またはポリプロピレンである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
- 該結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を縮重合して得られた結晶性ポリエステル樹脂であり、
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、該非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対し1.0質量部以上15質量部以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトナー。 - 該トナー粒子は、熱風による表面処理が施されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載のトナー。
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