JP2018136515A - トナー、トナー製造方法及び重合体 - Google Patents

トナー、トナー製造方法及び重合体 Download PDF

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【課題】POD市場向けなどの高速機であっても、定着器からの分離性に優れていると共に、低温定着性に優れたトナー及びトナー製造方法を提供すること。【解決手段】結着樹脂、ワックス及びトナー用ワックス分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー用ワックス分散剤が、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有する重合体であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナー、トナー製造方法及び重合体に関する。
近年、フルカラープリンター、フルカラー複写機、フルカラー複合機等の画像形成装置においては、高画質な印刷物が安定して出力できる高い現像性を要求される一方で、省エネルギー対応への要求が強く求められている。特に定着システムにおいては、消費電力削減の観点から、熱容量の小さいフィルム定着やベルト定着といった軽圧定着システムがオンデマンド印刷(POD)市場向けなどの高速機において、広く普及している。
しかし、上記定着システムにおいては、従来のローラー定着といった方法に比べ低熱容量であるため、POD市場向けなどの高速機において、定着器からの転写材の分離性悪化や画像の光沢性の低下が懸念されている。また、POD市場の拡大化に伴い、特に高温高湿環境や薄紙といった厳しい条件での定着器からの分離性の差別化が要求されている。
そのため、高速機においては、例えば特許文献1の第1定着で提案されているように、分離性の向上のために、定着ニップ部出口に分離爪等の分離部材を設けることが有効である。
ところで、分離爪によって分離性は格段に向上させることができるが、分離爪が定着画像表面をこすれることにより、画像の光沢ムラを生ずる可能性がある。したがって、分離爪による分離性向上では、POD市場に求められるような高画質性を十分満足しているとはいえない。
そのため、トナーとしては、POD市場向けなどの高速機のような、長期間にわたって現像装置内の撹拌等によるトナーへの高いストレスがかかる状態であっても、高現像性を維持できる耐久安定性を有し、かつ画像の高い光沢性、定着機からの分離性を満足することが望まれている。分離性を向上させるために、トナー中にワックスを含有させ、トナーに離型性を持たせる方法がある。この場合、トナー中のワックス分散状態は、トナーの性質に重要な影響を及ぼすため、均一であることが求められる。
特許文献2には、トナー中のワックスの分散状態を制御するために、トナー中にワックス分散剤を含有させる技術が提案されている。また、特許文献3のように、ポリエステル樹脂からなるバインダー中に、脂肪族モノオール及びモノカルボン酸から選ばれる1種以上を一定量含有することにより、トナー中のワックス分散を制御する技術が提案されている。
しかし、特許文献2及び3のトナーにおいては、表面近傍のワックスが少なく、ワックスの分散径が小さいため、例えば、80枚/分以上といったPOD向けの高速機において、定着ニップ出口でワックスが十分に染み出すことができず、離型性が十分に得られないため、画像の光沢性低下や紙が定着器に巻きつく可能性がある。
また、トナー中のワックスの分散状態を制御しても、トナーを高温高湿下に放置すると、ワックスがトナー表面に溶け出し、ブロッキングしてしまう場合がある。
以上のように、様々な提案がなされてきたが、低温定着性と耐ブロッキング性を満足しつつ、PODのような高速な印刷における定着器からの転写材の分離性を満足しているとは言えず、更なる検討の余地がある。
特開2005−292567号公報 特開2011−13548号公報 W010/143385号公報
本発明は、上記のような問題点を解決したトナー、トナー製造方法及び重合体を提供することにある。具体的には、トナー中のワックスの分散状態を制御し、低温定着性、耐ブロッキング性に優れると共に、POD市場向けなどの高速機であっても、定着器からの転写材の分離性を十分に満足するトナー、トナー製造方法及び重合体を提供するものである。
本発明は、結着樹脂、ワックス及びトナー用ワックス分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー用ワックス分散剤が、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有する重合体であることを特徴とするトナーである。
また、本発明は、上記構成のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
前記結着樹脂、前記ワックス及び前記トナー用ワックス分散剤を含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程、及び
該溶融混練物を冷却して冷却物を得て、該冷却物を粉砕して粉砕物を得る工程
を有するトナーの製造方法である。
さらに、本発明は、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有することを特徴とする重合体である。
本発明によれば、低温定着性、耐ブロッキング性に優れると共に、高速機においても定着器からの転写材の分離性を十分に満足するトナー、トナー製造方法及び重合体を提供することができる。
本発明に用いられる熱球形化処理装置の図である。
本発明のトナーは、結着樹脂、ワックス及びトナー用ワックス分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナー用ワックス分散剤が、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有する重合体であることを特徴とする。
本発明の重合体は、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位が、トナー中の結着樹脂と親和性を持ち、ポリオレフィン部位がトナー中のワックスと親和性を持つ。このため、トナー中でワックスを均一に分散することができる。
また、本発明の重合体は、前記異なるセグメントのスチレンアクリル系ポリマー部位同士が架橋されている。このため、トナー中のワックスの分散径がある程度の大きさを持つことができる。
そして、本発明では、ワックス分散剤が飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有することで、従来のワックス分散剤と同様にトナー中のワックスを微分散させると同時に、高速機においても十分量のワックスが染み出し、定着器からの転写材の高い分離性を維持できることが分かった。
本発明者らが検討した結果、以下のようなメカニズムが推定される。
トナーを高温高湿下に放置すると、トナー表面にワックスが移行する。本発明ではトナーが上記ワックス分散剤を含有しているため、トナー表面にワックスが移行する際に、ワックス分散剤もワックスと一緒にトナー表面に移行しているものと推測される。
本発明では、従来のワックス分散剤と比較して、ワックス分散剤が嵩高い飽和脂環式化合物由来のユニットを持っているため、ワックス分散剤がトナー表面に移行すると、ワックスの溶出が抑制され、高温高湿下に放置されても耐ブロッキング性が悪化しないと考えられる。また、本発明のワックス分散剤のトナー表面に移行すると、トナーの疎水性が向上し、高温高湿下に放置されても帯電性が悪化しないものと考えられる。
しかし、該重合体の効果により、トナー中でワックスが微分散した結果、POD市場向けのような高速機で、定着部材からの分離性が悪化する傾向があった。特に、光沢ムラを軽減するために、分離爪のような分離部材を持たない構成の定着器において、分離性が悪化した。本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ワックス分散剤の異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士に架橋構造を持たせることによって、トナー中のワックス分散径を制御することができ、その結果トナーの分離性を改良することに成功した。
該重合体の重合時に架橋剤を添加することにより、重合体の異なるセグメントの飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位同士が架橋構造を持つ。そのため、トナー中に分散するワックス分散剤とワックスが相互作用したドメイン同士が部分的に架橋されていることにより、ワックスの分散径が、従来のワックス分散剤を含有したトナーよりも大きくなる傾向にある。ワックス分散径が大きいことにより、ワックスの染み出し速度が速くなるため、高速機においても定着ニップ部で離型するために十分な量のワックスが染み出すことができるため、トナーの分離性が向上する。また、ワックス分散の均一性は保っているため、高温高湿下においても十分な耐ブロッキング性を維持することができる。
以上のように、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、さらに異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有することで、耐ブロッキング性を維持しつつ、高速機でも高い分離性を維持できる本発明に至った。
以下に本発明において好ましいワックス分散剤およびトナーの構成を詳述する。
<ワックス分散剤>
本発明においては、ワックス分散剤として飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有する重合体を必要とする。さらに、本発明の重合体は、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有することを特徴とする。
本発明の重合体は、GPCによる分子量分布において、重量平均分子量(Mw)が60000以上80000以下であることが好ましい。本発明の重合体が上記範囲であるとワックスの分散性が向上し、分離性が向上すると同時に耐ブロッキング性、低温定着性が向上する。すなわち、重量平均分子量(Mw)が60000以下であると、ワックス分散径が適度に大きくなるため、高速機において定着ニップ部で十分な量のワックスを溶出でき、分離性が発揮される。また、重量平均分子量(Mw)が80000を以下であると、トナー中のワックス分散径が大きくなりすぎることがないため、高温高湿下においてトナー表面に柔らかいワックス面が露出し難く、外添剤の埋め込みなども生じず、耐ブロッキング性が保たれる。
本発明においては、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有する。合成時、必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーを添加してもよい。
芳香族ジビニル化合物、アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、ポリエステル型ジアクリレート類、及び多官能の架橋剤。
芳香族ジビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられる。
アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、以下のものが挙げられる。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。
芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、以下のものが挙げられる。ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの。ポリエステル型ジアクリレート類としては、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋性モノマーは、他のモノマー成分100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下(さらに好ましくは0.1質量%以上2質量%以下)用いることができる。またこれらの架橋性モノマーのうち、定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)や、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
本発明のワックス分散剤において、スチレンアクリル系ポリマーは、飽和脂環式化合物由来の構造部位を有していれば特に限定されることはない。
例えば、スチレンアクリル系ポリマーが、下記式(1)で表されるモノマーユニットを有する態様が挙げられる。
Figure 2018136515
[前記式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は飽和脂環式基を表す。]
上記R2における飽和脂環式化合物としては、より好ましくは炭素数3以上18以下の飽和脂環式炭化水素基、さらに好ましくは炭素数4以上12以下の飽和脂環式炭化水素基である。飽和脂環式炭化水素基には、シクロアルキル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基などが包含される。
このような飽和脂環式基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデカニル基、デカヒドロ−2−ナフチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、ペンタシクロペンタデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンタニル基などを挙げることができる。
また、飽和脂環式基は、置換基としてアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基などを有することもできる。該アルキル基としては、炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましい。
これらの飽和脂環式基のうち、シクロアルキル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基が好ましく、炭素数3以上18以下のシクロアルキル基、置換又は非置換のジシクロペンタニル基、置換又は非置換のトリシクロペンタニル基がより好ましく、炭素数6以上10以下のシクロアルキル基がさらに好ましく、炭素数6のシクロヘキシル基が特に好ましい。
なお、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
また、該重合体は、該結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上10.0質量部以下含有されることが定着性、分散性の観点から好ましい。
上記スチレンアクリル系ポリマーは、飽和脂環式化合物由来の構造部位を有するビニル系モノマー(a)の単独重合体でもよいが、その他のモノマー(b)との共重合体であってもよい。
該ビニル系モノマー(a)としては、シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートなどのモノマー及びこれらの併用が挙げられる。
これらの中でも、疎水性の観点から、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレートが好ましい。
該その他のモノマー(b)としては、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレンなどのスチレン系モノマー;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸のアルキルエステル(該アルキルの炭素数が1以上18以下);酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;ビニルメチルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー;塩化ビニルのようなハロゲン元素含有ビニル系モノマー;ブタジエン、イソブチレンなどのジエン系モノマー及びこれらの併用が挙げられる。
本発明の重合体は、ポリオレフィン部位を含有する。該ポリオレフィンは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される最大級熱ピークのピーク温度が70℃以上90℃以下であることが好ましい。
本発明においては、該ポリオレフィンが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックスであることが好適に例示できる。また、該スチレンアクリル系重合体の製造時の反応性の観点から、ポリプロピレンのように枝分かれ構造を持つことが好ましい。
また、該ポリオレフィン部は、トナー中のワックスとも親和性を持つため、トナー中にワックスを微分散することができる。
<結晶性ポリエステル樹脂>
本発明のトナーは結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
本発明のトナーにおいて、トナー粒子に含まれる結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を重縮合反応させることにより得られる。
その中でも、本発明者等が鋭意検討した結果、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸が、低温定着性と保存性の観点から好ましい。結晶性ポリエステル樹脂を添加したトナーの低温定着性が良化する理由は、結着樹脂と結晶性ポリエステル樹脂が相溶し、結着樹脂の分子鎖の間隔を広げ、分子間力を弱めることで、ガラス転移温度(Tg)を大幅に低下し、結着樹脂の溶融粘度を低い状態にすることに由来する。よって、結着樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との相溶性を高めることにより、低温定着性は良化していく傾向にある。そして、結着樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との相溶性を高めるためには、結晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーの脂肪族ジオール及び/または脂肪族ジカルボン酸の炭素数を短くし、エステル基濃度を高め、極性を高めていくことになる。一方で、Tgが大幅に低下したトナーにおいても、高温高湿環境下での使用や輸送などにおける保存性を確保する必要がある。そのためには、そのような環境下にトナーがさらされた場合には、相溶していたトナー中の結晶性ポリエステル樹脂を再結晶化させ、トナーのTgを結着樹脂のTg付近まで戻す必要がある。ここで、結晶性ポリエステル樹脂のエステル基濃度が高く、結着樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の相溶性があまりにも高いと、結晶性ポリエステル樹脂を再結晶化させることが難しくなり、トナーの保存性が悪化することになる。以上のことから、低温定着性と保存性を両立できる結晶性ポリエステル樹脂のモノマー構成として、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールと、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましいことを見出した。
炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールの如き直鎖脂肪族、α,ω−ジオールが好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
本発明において、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
一方、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
本発明において、上記炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなども含まれる。また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体等も含まれる。
本発明では、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂としての非晶性ポリエステル樹脂100質量部あたり0.5質量部以上15.0質量部以下で使用されることが好ましい。前記含有量が0.5質量部以上であると、低温定着性が保たれ、15.0質量部以下であと、高温高湿環境下における帯電安定性や耐熱保存性の悪化が生じない。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコ−ル単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応せしめた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで結晶性ポリエステル樹脂を得ることができる。その後、さらに、上記の脂肪族化合物を加え、エステル化反応を行うことで、所望の結晶性ポリエステル樹脂を得られることができる。
上記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応または重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全単量体を一括仕込みするか、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させる等の方法を用いてもよい。
<非晶性ポリエステル樹脂>
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を主成分とすることが必要である。非晶性ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作製する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
Figure 2018136515
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
式(B)で示されるジオール類;
Figure 2018136515
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、アジピン酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を主成分とするならば他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であっても良い。例えば、非晶性ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットと非晶性ポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニット及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、非晶性ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、本発明では結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来より、結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用することができる。このような樹脂化合物としては、例えばフェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
また、本発明の結着樹脂のピーク分子量は8000以上13000以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、本発明の結着樹脂の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。さらに、本発明の結着樹脂の水酸基価は2mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが、低温定着性と保存性の観点から好ましい。
また、本発明の結着樹脂は、低分子量の結着樹脂Cと高分子量の結着樹脂Bを混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量の結着樹脂Bと低分子量の結着樹脂Cの含有比率(B/C)は質量基準で10/90以上60/40以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高分子量の結着樹脂Bのピーク分子量は10000以上20000以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、高分子量の結着樹脂の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
低分子量の結着樹脂Cの数平均分子量は1500以上3500以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、低分子量の結着樹脂の酸価は10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
<ワックス>
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であると、保存性と耐ホットオフセット性を両立する観点からより好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であると好ましく、60℃以上100℃以下であると、トナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため、より好ましい。
<着色剤>
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
<荷電制御剤>
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
<無機微粒子(主に外添剤)>
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粉体が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下の無機微粉体であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粉体を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができる。
<現像剤>
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
<製造方法>
本発明のトナーの製造方法は特に限定されることはないが、ワックスをより均一に分散させ、本発明の効果をより発揮させるために、粉砕法を用いるとよい。
以下、粉砕法を用いたトナーの製造手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー原料として、結着樹脂(非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂)、炭化水素系ワックス及びワックス分散剤等を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(日本コークス社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)等がある。
更に、混合したトナー原料を溶融混練工程にて、溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。混練装置の一例としては、TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);ニーデックス(三井鉱山社製)等が挙げられるが、連続生産できる等の優位性から、バッチ式練り機よりも、1軸または2軸押出機といった連続式の練り機が好ましい。
更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等で微粉砕され、トナー微粒子を得る。
得られたトナー微粒子は、分級工程にて、所望の粒径を有するトナー用粉体粒子に分級される。分級機としては、ターボプレックス、ファカルティ、TSP、TTSP(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)等がある。
また、本発明の製造方法においては、得られたトナー用粉体粒子に必要に応じて無機微粒子等を添加しても構わない。トナー用粉体粒子に無機微粒子等を添加する方法としては、トナー用粉体粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する。
更に、必要に応じて、粗粒等を篩い分けるために、例えば、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ハイボルター(東洋ハイテック社製)等の篩分機を用いても良い。
続いて、得られたトナー用粉体粒子を熱処理工程で図1のような熱処理装置を用いて球形化処理を行うことが好ましい。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上170℃以下であることがより好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。このときの円形度としては、0.955以上0.980以下であることが好ましい。熱風は熱風供給手段出口11から供給される。
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃乃至30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給される熱処理前トナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前トナー粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理トナー粒子を得ることができる。
本発明のトナーの製造方法においては、熱処理工程の前に、得られたトナー用粉体粒子に必要に応じて無機微粒子等を添加しても構わない。トナー用粉体粒子に無機微粒子等を添加する方法としては、トナー用粉体粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する。
本発明のトナーの製造方法では、熱処理後に粗大な粒子が存在する場合、必要に応じて、分級によって粗大粒子を除去する工程を有していても構わない。粗大粒子を除去する分級機としては、分級機としては、ターボプレックス、TSP、TTSP、クリフィス(ホソカワミクロン社製)、エルボージェット(日鉄鉱業社製)等が挙げられる。
更に、熱処理後、必要に応じて、粗粒等を篩い分けるために、例えば、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ハイボルター(東洋ハイテック社製)等の篩分機を用いても良い。
尚、本発明の熱処理工程は上記微粉砕の後であっても良い。
本発明のトナーの平均円形度は0.960以上であることが好ましく、更に好ましくは0.965以上である。トナーの平均円形度が上記の範囲であることにより、トナーの転写効率が向上する。
以下に、トナー及び原材料の各種物性の測定法について説明する。
<DSC測定>
本発明におけるワックス等の最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
トナーを試料とする場合において、最大吸熱ピーク(結着樹脂由来の最大吸熱ピーク)がワックス及び脂肪族ポリエステル樹脂以外の樹脂の吸熱ピークと重なっていない場合には、得られた最大吸熱ピークの吸熱量をそのままワックス及び脂肪族ポリエステル樹脂に由来する最大吸熱ピークの吸熱量として扱う。一方、トナーを試料とする場合において、ワックス及び結着樹脂以外の樹脂の吸熱ピークが結着樹脂の最大吸熱ピークと重なっている場合は、ワックス及び結着樹脂以外の樹脂に由来する吸熱量を、得られた最大吸熱ピークの吸熱量から差し引く必要がある。
なお、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことを意味する。また、最大吸熱ピークの吸熱量(ΔH)はピークの面積から装置付属の解析ソフトを用いて計算により求める。
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂組成物5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、リファレンスとして空の銀製のパンを用い、測定範囲30℃以上180℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。
一度、180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、30℃以上180℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、DSC曲線におけるガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度を、樹脂のガラス転移温度(Tg:℃)とする。
<ワックス分散剤及び非晶性ポリエステル樹脂のGPCによる重量平均分子量測定>
ワックス分散剤及び非晶性ポリエステル樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
尚、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<ワックス分散径の測定>
トナー中のワックス分散径の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)(JEOL社、JEM280)による断面観察によって実施することができる。
トナー断面をルテニウム染色することによって、ワックスが明瞭なコントラストとして得られる。ワックスはトナー内部を構成する有機成分よりも、弱く染色される。これは、ワックスの中への染色材料の染み込みが、密度の差などが有るために、トナー内部の有機成分よりも弱いためと考えられる。
染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分は、これらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では黒くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では白くなる。
オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)およびナフタレン膜(20nm)を施し、光硬化性樹脂D800(日本電子社)で包埋したのち、超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度1mm/sで膜厚60nm(or70nm)のトナー断面を作製した。
得られた断面を真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色し、TEMを用いてSTEM観察を行った。
STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelで取得した。
本発明では無作為に選んだ50個のトナーについて断面観察した際に、長さが測定可能なワックスドメインの長軸及び短軸の長さを全数計測し、その平均値を算出した。
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下実施例に基づいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。
<ワックス分散剤A1の製造例>
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン300質量部、ポリプロピレン10質量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン73.0質量部、シクロヘキシルメタクリレート5.0質量部、ブチルアクリレート12.0質量部およびキシレン250質量部の混合溶液を180℃で3時間滴下し重合した。次いで反応槽中にジビニルベンゼン0.75質量部を加え、この温度を保ったまま30分撹拌した後、脱溶剤を行い、ワックス分散剤A1を得た。得られたワックス分散剤A1の諸物性を表1に示す。
<ワックス分散剤A2乃至A10の製造例>
ワックス分散剤A1の製造例において、表1となるように適宜条件を変更した以外は、ワックス分散剤A1の製造例と同様の操作を行い、ワックス分散剤A2乃至A10を得た。
得られたワックス分散剤A2乃至10の諸物性を表1に示す。
Figure 2018136515
<結晶性ポリエステル樹脂1の製造例>
・1,6−ヘキサンジオール:
34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、安息香酸を7.8質量部(0.06mol;結晶性ポリエステル樹脂総モル数に対し10mol%)加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。
その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂B1の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:
2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:
6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が137℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂B1を得た。
<非晶性ポリエステル樹脂C1の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:
3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が90℃に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂C1を得た。
<トナー1製造例>
・非晶性ポリエステル樹脂B1 30質量部
・非晶性ポリエステル樹脂C1 70質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 7.5質量部
・ワックス分散剤A1 5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 6質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業社製) 0.3質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
得られたトナー粒子1を用い、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い、トナーの熱風処理粒子を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、また、熱風温度=150℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度=−5℃、冷風流量=4m3/min.、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。
得られた熱風処理トナー粒子100質量部に、疎水性シリカ(BET:200m2/g)1.0質量部、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m2/g)を1.0質量部、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。
得られたトナー1の物性を表2に示す。
<トナー2及びトナー4〜トナー13の製造例>
トナー1製造例において、ワックス分散剤Aの種類、結晶性ポリエステル樹脂の添加部数、体B2の添加部数、熱風処理を表2に示したように変更したほかは同様の操作を行い、トナー2及びトナー4乃至トナー13を得た。得られたトナー2及び4〜13の物性を表2に示す。
<トナー3の製造例>
(非晶性ポリエステル樹脂B1分散液)
非晶性ポリエステル樹脂B1を、イオン交換水80%、非晶性ポリエステル樹脂の濃度が20%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、加熱150℃の条件でキャビトロンを運転し、非晶性ポリエステル樹脂B1分散液(固形分:20%)を得た。
(非晶性ポリエステル樹脂C1分散液)
非晶性ポリエステル樹脂C1を、イオン交換水80%、非晶性ポリエステル樹脂の濃度が20%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、加熱150℃の条件でキャビトロンを運転し、非晶性ポリエステル樹脂C1分散液(固形分:20%)を得た。
(結晶性ポリエステル分散液)
結晶性ポリエステル樹脂を80質量部、イオン交換水720質量部を各々ステンレスビーカーに入れ、99℃に加熱した。結晶性ポリエステル樹脂C1が溶融した時点で、ホモジナイザーを用いて撹拌した。次いで、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK、固形分:20%)2.0質量部を滴下しながら、乳化分散を行い、結晶性ポリエステル樹脂分散液(固形分:10%)を得た。
(着色剤分散液)
・C.I.ピグメントブルー15:3 1000質量部
・アニオン界面活性剤 150質量部
・イオン交換水 9000質量部
以上を混合し、溶解した後、高圧衝撃式分散機を用いて分散した。得られた着色剤分散液における着色剤粒子の体積平均粒径D50は0.16μm、着色剤濃度は23%であった。
(ワックス分散液)
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 45質量部
・ワックス分散剤A1 45質量部
・アニオン性界面活性剤 5質量部
・イオン交換水 150質量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(ワックス濃度:20%)を調製した。
・非晶性ポリエステル樹脂B1分散液 150質量部
・非晶性ポリエステル樹脂C1分散液 350質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液 75質量部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザーで混合・分散した。これにポリ塩化アルミニウム0.15質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。その後、
・着色剤分散液 30.5質量部
・ワックス分散液 25質量部
以上を追加し、さらにポリ塩化アルミニウム0.05質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。
撹拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に撹拌するように撹拌機の回転数を調整しながら、60℃まで昇温し、60℃で15分保持した後、0.05℃/分で昇温しながら10分ごとに、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとなったところで、非晶性ポリエステル樹脂分散液75質量部(追加樹脂)を3分間かけて投入した。投入後30分間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0に調整しながら、昇温速度1℃/分で96℃まで昇温し、96℃で保持した。30分ごとに光学顕微鏡及び走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、5時間目で球形化したので、1℃/分で20℃まで降温して粒子を固化させた。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより、トナー粒子3を得た。
100質量部のトナー粒子3に対して、疎水性シリカ(BET:200m2/g)1.0質量部、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m2/g)を1.0質量部、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s-1、回転時間10min.で混合して、トナー3を得た。
Figure 2018136515
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe23 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<二成分系現像剤の製造例>
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1〜13を各々8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1乃至13を得た。
〔実施例1〕
得られた二成分系現像剤1を用い、評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C9280 PRO改造機を用い、シアン位置の現像器に二成分系現像剤1を入れ、静電潜像担持体または紙上のトナーの載り量が所望になる画像を形成し、後述の評価を行った。改造点としては、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、レーザーパワー、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表3に示す。
<評価1>
(分離性)
紙:GF−600(60.0g/m2
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
評価画像:上記A4用紙の先端部から4mmの位置に幅60mmの画像を配置
トナーの載り量:1.20mg/cm2(FFh画像)
プロセススピード:350mm/sec
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH(以下H/H))
上記画像形成装置を用い、上記条件で未定着画像を作成した。
作成した未定着画像をH/H環境に2晩晩放置させた後、定着温度を100℃から順に5℃ずつ上げ、定着画像が定着器に巻きつく温度を測定し、以下の基準により評価した。
(評価基準)
A:巻き付き温度が180℃以上(非常に優れている)
B:巻き付き温度が165℃以上、180℃未満(良好である)
C:巻き付き温度が150℃以上、165℃未満(本発明では問題ないレベルである)
D:巻き付き温度が150℃未満(本発明では許容できない)
<評価2>
(低温定着性)
紙:CS−680(68.0g/m2
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量:1.20mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の中心に10cm2の画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境、15℃/10%RH(以下「L/L」)
プロセススピード:350mm/sec
上記画像形成装置を用い、上記条件で出力した定着画像の低温定着性を評価した。
低温定着性の評価は、下記画像濃度低下率の値を指標とした。
画像濃度低下率は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用い、先ず、中心部の定着画像の濃度を測定する。次に、定着画像の濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけて、シルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、定着画像の濃度を再度測定する。そして、摺擦前後での定着画像の濃度の低下率(%)を測定した。
(評価基準)
A:濃度低下率が1.0%未満(非常に優れている)
B:濃度低下率が1.0%以上、5.0%未満(良好である)
C:濃度低下率が5.0%以上、10.0%未満(本発明では問題ないレベルである)
D:濃度低下率が10.0%以上(本発明では許容できない)
<評価3>耐ブロッキング性
100ccのポリカップにトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(55℃41%)に48時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。凝集性は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き20μmのメッシュで振るった際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。
(評価基準)
A:残存率2.0%未満(非常に優れている)
B:残存率2.0%以上、10.0%未満(良好である)
C:残存率10.0%以上、15.0%未満(本発明では問題ないレベルである)
D:残存率15.0%以上(本発明では許容できない)
〔実施例2〜10〕
二成分系現像剤2〜10を用いたほかは、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表3に示す。
〔比較例1〜3〕
二成分系現像剤11〜13を用いたほかは、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2018136515
比較例1:
比較例1で用いたトナー11は、ワックス分散剤A8の合成時に、架橋剤を添加していないため、ワックス分散剤中の異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋していないトナーである。このため、トナー中でワックスが均一に微分散しており、その平均分散径は0.29μmと小さい。その結果、高速の定着器において、定着ニップ部でワックスが十分量染み出すことができず、分離性が悪化したと推察される。
比較例2:
比較例2で用いたトナー12は、ワックス分散剤A9が飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位を含有していないトナーである。このため、トナー中でワックス分散径が大きく不均一に分散しており、高温高湿下でワックスが露出しやすく、耐ブロッキング性が悪化したと推察される。
比較例3:
比較例3で用いたトナー13は、ワックス分散剤A10が飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位を含有しておらず、またスチレンアクリル系部位同士が架橋していないトナーである。このため、トナー中のワックスが不均一に分散しており、定着ニップ部では分離に十分な量のワックスが染み出すことができず分離性が悪化し、また高温高湿下でワックスが露出しやすく、耐ブロッキング性が悪化したと推察される。
1.原料定量供給手段、2.圧縮気体流量調整手段、3.導入管、4.突起状部材、5.供給管、6.処理室、7.熱風供給手段、8.冷風供給手段、9.規制手段、10.回収手段、11.熱風供給手段出口、12.分配部材、13.旋回部材、14.粉体粒子供給口

Claims (11)

  1. 結着樹脂、ワックス及びトナー用ワックス分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナー用ワックス分散剤が、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有する重合体であることを特徴とするトナー。
  2. 前記重合体の重量平均分子量(Mw)が60000以上80000以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士がジビニルベンゼンで架橋されている請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記飽和脂環式化合物由来のユニットが、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレート由来のユニットである請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記トナーが、前記結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
    前記結着樹脂、前記ワックス及び前記トナー用ワックス分散剤を含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程、及び
    該溶融混練物を冷却して冷却物を得て、該冷却物を粉砕して粉砕物を得る工程
    を有するトナーの製造方法。
  7. 前記製造方法が、更に、前記粉砕物を熱風処理する工程を有する請求項6に記載のトナーの製造方法。
  8. 飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有することを特徴とする重合体。
  9. 前記重合体の重量平均分子量(Mw)が60000以上80000以下である請求項8に記載の重合体。
  10. 前記異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士がジビニルベンゼンで架橋されている請求項8又は9に記載の重合体。
  11. 前記飽和脂環式化合物由来のユニットが、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレート由来のユニットである請求項8〜10のいずれか1項に記載の重合体。
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