JP2018136515A - トナー、トナー製造方法及び重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、上記定着システムにおいては、従来のローラー定着といった方法に比べ低熱容量であるため、POD市場向けなどの高速機において、定着器からの転写材の分離性悪化や画像の光沢性の低下が懸念されている。また、POD市場の拡大化に伴い、特に高温高湿環境や薄紙といった厳しい条件での定着器からの分離性の差別化が要求されている。
そのため、高速機においては、例えば特許文献1の第1定着で提案されているように、分離性の向上のために、定着ニップ部出口に分離爪等の分離部材を設けることが有効である。
ところで、分離爪によって分離性は格段に向上させることができるが、分離爪が定着画像表面をこすれることにより、画像の光沢ムラを生ずる可能性がある。したがって、分離爪による分離性向上では、POD市場に求められるような高画質性を十分満足しているとはいえない。
そのため、トナーとしては、POD市場向けなどの高速機のような、長期間にわたって現像装置内の撹拌等によるトナーへの高いストレスがかかる状態であっても、高現像性を維持できる耐久安定性を有し、かつ画像の高い光沢性、定着機からの分離性を満足することが望まれている。分離性を向上させるために、トナー中にワックスを含有させ、トナーに離型性を持たせる方法がある。この場合、トナー中のワックス分散状態は、トナーの性質に重要な影響を及ぼすため、均一であることが求められる。
特許文献2には、トナー中のワックスの分散状態を制御するために、トナー中にワックス分散剤を含有させる技術が提案されている。また、特許文献3のように、ポリエステル樹脂からなるバインダー中に、脂肪族モノオール及びモノカルボン酸から選ばれる1種以上を一定量含有することにより、トナー中のワックス分散を制御する技術が提案されている。
しかし、特許文献2及び3のトナーにおいては、表面近傍のワックスが少なく、ワックスの分散径が小さいため、例えば、80枚/分以上といったPOD向けの高速機において、定着ニップ出口でワックスが十分に染み出すことができず、離型性が十分に得られないため、画像の光沢性低下や紙が定着器に巻きつく可能性がある。
また、トナー中のワックスの分散状態を制御しても、トナーを高温高湿下に放置すると、ワックスがトナー表面に溶け出し、ブロッキングしてしまう場合がある。
以上のように、様々な提案がなされてきたが、低温定着性と耐ブロッキング性を満足しつつ、PODのような高速な印刷における定着器からの転写材の分離性を満足しているとは言えず、更なる検討の余地がある。
該トナー用ワックス分散剤が、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有する重合体であることを特徴とするトナーである。
また、本発明は、上記構成のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
前記結着樹脂、前記ワックス及び前記トナー用ワックス分散剤を含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程、及び
該溶融混練物を冷却して冷却物を得て、該冷却物を粉砕して粉砕物を得る工程
を有するトナーの製造方法である。
さらに、本発明は、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有することを特徴とする重合体である。
本発明においては、ワックス分散剤として飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有する重合体を必要とする。さらに、本発明の重合体は、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有することを特徴とする。
本発明のトナーは結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を主成分とすることが必要である。非晶性ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作製する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
本発明のトナーの製造方法は特に限定されることはないが、ワックスをより均一に分散させ、本発明の効果をより発揮させるために、粉砕法を用いるとよい。
本発明におけるワックス等の最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
ワックス分散剤及び非晶性ポリエステル樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
トナー中のワックス分散径の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)(JEOL社、JEM280)による断面観察によって実施することができる。
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン300質量部、ポリプロピレン10質量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン73.0質量部、シクロヘキシルメタクリレート5.0質量部、ブチルアクリレート12.0質量部およびキシレン250質量部の混合溶液を180℃で3時間滴下し重合した。次いで反応槽中にジビニルベンゼン0.75質量部を加え、この温度を保ったまま30分撹拌した後、脱溶剤を行い、ワックス分散剤A1を得た。得られたワックス分散剤A1の諸物性を表1に示す。
ワックス分散剤A1の製造例において、表1となるように適宜条件を変更した以外は、ワックス分散剤A1の製造例と同様の操作を行い、ワックス分散剤A2乃至A10を得た。
・1,6−ヘキサンジオール:
34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:
2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が137℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂B1を得た。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が90℃に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂C1を得た。
・非晶性ポリエステル樹脂B1 30質量部
・非晶性ポリエステル樹脂C1 70質量部
・結晶性ポリエステル樹脂1 7.5質量部
・ワックス分散剤A1 5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 6質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業社製) 0.3質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
トナー1製造例において、ワックス分散剤Aの種類、結晶性ポリエステル樹脂の添加部数、体B2の添加部数、熱風処理を表2に示したように変更したほかは同様の操作を行い、トナー2及びトナー4乃至トナー13を得た。得られたトナー2及び4〜13の物性を表2に示す。
(非晶性ポリエステル樹脂B1分散液)
非晶性ポリエステル樹脂B1を、イオン交換水80%、非晶性ポリエステル樹脂の濃度が20%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、加熱150℃の条件でキャビトロンを運転し、非晶性ポリエステル樹脂B1分散液(固形分:20%)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂C1を、イオン交換水80%、非晶性ポリエステル樹脂の濃度が20%の組成比で、アンモニアによりpHを8.5に調整し、加熱150℃の条件でキャビトロンを運転し、非晶性ポリエステル樹脂C1分散液(固形分:20%)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂を80質量部、イオン交換水720質量部を各々ステンレスビーカーに入れ、99℃に加熱した。結晶性ポリエステル樹脂C1が溶融した時点で、ホモジナイザーを用いて撹拌した。次いで、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK、固形分:20%)2.0質量部を滴下しながら、乳化分散を行い、結晶性ポリエステル樹脂分散液(固形分:10%)を得た。
・C.I.ピグメントブルー15:3 1000質量部
・アニオン界面活性剤 150質量部
・イオン交換水 9000質量部
以上を混合し、溶解した後、高圧衝撃式分散機を用いて分散した。得られた着色剤分散液における着色剤粒子の体積平均粒径D50は0.16μm、着色剤濃度は23%であった。
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 45質量部
・ワックス分散剤A1 45質量部
・アニオン性界面活性剤 5質量部
・イオン交換水 150質量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザーを用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(ワックス濃度:20%)を調製した。
・非晶性ポリエステル樹脂B1分散液 150質量部
・非晶性ポリエステル樹脂C1分散液 350質量部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液 75質量部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザーで混合・分散した。これにポリ塩化アルミニウム0.15質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。その後、
・着色剤分散液 30.5質量部
・ワックス分散液 25質量部
以上を追加し、さらにポリ塩化アルミニウム0.05質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1〜13を各々8.0質量部加え、V型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1乃至13を得た。
得られた二成分系現像剤1を用い、評価を行った。
(分離性)
紙:GF−600(60.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
評価画像:上記A4用紙の先端部から4mmの位置に幅60mmの画像を配置
トナーの載り量:1.20mg/cm2(FFh画像)
プロセススピード:350mm/sec
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH(以下H/H))
上記画像形成装置を用い、上記条件で未定着画像を作成した。
A:巻き付き温度が180℃以上(非常に優れている)
B:巻き付き温度が165℃以上、180℃未満(良好である)
C:巻き付き温度が150℃以上、165℃未満(本発明では問題ないレベルである)
D:巻き付き温度が150℃未満(本発明では許容できない)
(低温定着性)
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量:1.20mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の中心に10cm2の画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境、15℃/10%RH(以下「L/L」)
プロセススピード:350mm/sec
上記画像形成装置を用い、上記条件で出力した定着画像の低温定着性を評価した。
A:濃度低下率が1.0%未満(非常に優れている)
B:濃度低下率が1.0%以上、5.0%未満(良好である)
C:濃度低下率が5.0%以上、10.0%未満(本発明では問題ないレベルである)
D:濃度低下率が10.0%以上(本発明では許容できない)
100ccのポリカップにトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(55℃41%)に48時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。凝集性は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き20μmのメッシュで振るった際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。
A:残存率2.0%未満(非常に優れている)
B:残存率2.0%以上、10.0%未満(良好である)
C:残存率10.0%以上、15.0%未満(本発明では問題ないレベルである)
D:残存率15.0%以上(本発明では許容できない)
二成分系現像剤2〜10を用いたほかは、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表3に示す。
二成分系現像剤11〜13を用いたほかは、実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表3に示す。
比較例1で用いたトナー11は、ワックス分散剤A8の合成時に、架橋剤を添加していないため、ワックス分散剤中の異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋していないトナーである。このため、トナー中でワックスが均一に微分散しており、その平均分散径は0.29μmと小さい。その結果、高速の定着器において、定着ニップ部でワックスが十分量染み出すことができず、分離性が悪化したと推察される。
比較例2で用いたトナー12は、ワックス分散剤A9が飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位を含有していないトナーである。このため、トナー中でワックス分散径が大きく不均一に分散しており、高温高湿下でワックスが露出しやすく、耐ブロッキング性が悪化したと推察される。
比較例3で用いたトナー13は、ワックス分散剤A10が飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位を含有しておらず、またスチレンアクリル系部位同士が架橋していないトナーである。このため、トナー中のワックスが不均一に分散しており、定着ニップ部では分離に十分な量のワックスが染み出すことができず分離性が悪化し、また高温高湿下でワックスが露出しやすく、耐ブロッキング性が悪化したと推察される。
Claims (11)
- 結着樹脂、ワックス及びトナー用ワックス分散剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナー用ワックス分散剤が、飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有する重合体であることを特徴とするトナー。 - 前記重合体の重量平均分子量(Mw)が60000以上80000以下である請求項1に記載のトナー。
- 前記異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士がジビニルベンゼンで架橋されている請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記飽和脂環式化合物由来のユニットが、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレート由来のユニットである請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記トナーが、前記結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
前記結着樹脂、前記ワックス及び前記トナー用ワックス分散剤を含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程、及び
該溶融混練物を冷却して冷却物を得て、該冷却物を粉砕して粉砕物を得る工程
を有するトナーの製造方法。 - 前記製造方法が、更に、前記粉砕物を熱風処理する工程を有する請求項6に記載のトナーの製造方法。
- 飽和脂環式化合物由来のユニットを有するスチレンアクリル系ポリマー部位とポリオレフィン部位とを有するセグメントを有し、異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士が架橋されている構造を有することを特徴とする重合体。
- 前記重合体の重量平均分子量(Mw)が60000以上80000以下である請求項8に記載の重合体。
- 前記異なるセグメントのスチレンアクリル系部位同士がジビニルベンゼンで架橋されている請求項8又は9に記載の重合体。
- 前記飽和脂環式化合物由来のユニットが、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレート由来のユニットである請求項8〜10のいずれか1項に記載の重合体。
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