JP7187249B2 - トナー - Google Patents
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前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、
(i)炭素数が12以上16以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が6以下である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物、または、
(ii)炭素数が6以下である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が12以上16以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物
であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂Bが、炭素数が10以上16以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が10以上16以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂Cが有する多価カルボン酸モノマー由来の構造単位の内、90モル%以上が芳香族の多価カルボン酸モノマー由来の構造単位であり、
前記トナー粒子中の前記結晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、前記トナー粒子中の前記非晶性ポリエステル樹脂C100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記トナー粒子中の前記結晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が、前記トナー粒子中の前記非晶性ポリエステル樹脂C100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記トナー粒子中の前記結晶性ポリエステル樹脂A及び前記結晶性ポリエステル樹脂Bの合計の含有量が、前記トナー粒子中の前記非晶性ポリエステル樹脂C100質量部に対して2質量部以上19質量部以下であることを特徴とする。
(i)炭素数が12以上16以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が6以下である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物、または、
(ii)炭素数が6以下である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が12以上16以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物
である。
(i)炭素数が12以上14以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が6以下である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物、または、
(ii)炭素数が6以下である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が12以上14以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物であることが好ましい。
5 ≦ Tm(b)- Tm(a) ≦ 10 (1)
上記範囲にあることで、結晶性ポリエステル樹脂Bが結晶化した後に速やかに結晶性ポリエステル樹脂Aが結晶化し、画像の耐熱保存性が向上する。
結晶性ポリエステル樹脂Aは、
(i)炭素数が12以上16以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が6以下である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物、または、
(ii)炭素数が6以下である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が12以上16以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物である。
結晶性ポリエステル樹脂Bは、炭素数が10以上16以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が10以上16以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物である。
非晶性ポリエステル樹脂Cは、結着樹脂として含有される成分である。非晶性ポリエステル樹脂Cの合成に用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作製する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
式(B)で示されるジオール類;
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、顔料分散性を向上させたり、トナーの帯電安定性、耐ブロッキング性を改善したりする目的で上記非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル、オレフィン系共重合体以外に下記「その他の樹脂」を本発明の効果を阻害しない量で添加することも可能である。
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
本発明のトナーに使用できるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
また、本発明におけるトナーでは、ワックスとして炭化水素系ワックスを含有する場合、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体を含有することがワックスを樹脂中に分散させるために好ましい。中でも、ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したグラフト重合体を更に含有することが好ましい。
ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体に関して、ポリオレフィンは二重結合を一つ有する不飽和炭化水素の重合体または共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。特にポリエチレン系、ポリプロピレン系が好ましく用いられる。
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて他の無機微粉末を含有させることもできる。無機微粉末は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムのような無機微粉末が好ましい。無機微粉末は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
本発明のトナー粒子を製造する方法としては、粉砕法などの乾式法、乳化凝集法、溶解懸濁法などの湿式法など、公知の方法で得ることができる。
まず、室温で24時間かけて、結晶性樹脂をo-ジクロロベンゼンに溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC-8121GPC/HT(東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR-H HT 7.8cm I.D×30cm2連(東ソー社製)
検出器:高温用RI
温度 :135℃
溶媒 :o-ジクロロベンゼン(0.05%アイオノール添加)
流速 :1.0ml/min
試料 :0.1%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark-Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算をすることによって算出される。
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
測定範囲30乃至180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30乃至100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30~200℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30~200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークのピーク温度を融点とする。なお、温度200℃まで昇温させてからの保持時間はなく、温度200℃まで到達したらすぐに30℃まで降温させる。
トナーからの結晶性樹脂に由来する吸熱ピークの測定は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
保持温度:50℃
測定範囲30~180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度50℃まで昇温させ3日間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30乃至100℃の範囲においてベースラインに対して吸熱ピークが得られる。このときの吸熱ピークが、エンタルピー緩和や離型剤に由来する吸熱ピークと分離できている場合は、その吸熱ピークを結晶性樹脂に由来する吸熱ピークとする。
第一分離:23℃のMEKにトナーを溶解させ、可溶分(非晶性樹脂)と不溶分(結晶性樹脂、離型剤、着色剤、無機粒子)を分離する。
第二分離:100℃のMEKに、第一分離で得られた不溶分(結晶性樹脂、離型剤、着色剤、無機粒子)を溶解させ、可溶分(結晶性樹脂、離型剤)と不溶分(着色剤、無機粒子)を分離する。
第三分離:23℃のクロロホルムに、第二分離で得られた可溶分(結晶性樹脂、離型剤)を溶解させ、可溶分(結晶性樹脂)と不溶分(離型剤)を分離する。
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200乃至1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
本発明において、酸価とは、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムの質量[mg]である。すなわち、試料1g中に含有されている遊離脂肪酸及び樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムの質量[mg]を酸価という。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得た。
(A)本試験
試料2.0gを200mLの三角フラスコに入れて精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて試料を溶解させた。次いで、指示薬として上記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、上記水酸化カリウム溶液を用いて滴定した。滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が30秒間続いたときとする。
試料を添加しない(すなわち、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行った。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出した。
AV=[(B-A)×f×5.61]/S
上記式中、AVは酸価[mgKOH/g]を示し、Aは空試験の水酸化カリウム溶液の添加量[mL]を示し、Bは本試験の水酸化カリウム溶液の添加量[mL]を示し、fは水酸化カリウム溶液のファクターを示し、Sは試料の質量[g]を示す。
無機微粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なった。具体的な測定方法は、以下の通りである。
・1,4-ブタンジオール:29.2質量部(0.32モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:70.8質量部(0.31モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
結晶性ポリエステル樹脂A1の製造例において、使用するアルコール成分、ジカルボン酸成分、またはモノカルボン酸成分を表2のように変更したほか、A2~A5は反応時間を調整して反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂A2~A8を得た。その際、アルコール成分、カルボン酸成分、ラウリン酸のモル%が表1の値となるように原材料の質量部を調整した。得られた結晶性ポリエステル樹脂A2~A8の物性を表2に示す。
結晶性ポリエステル樹脂A1の製造例において、使用するアルコール成分、ジカルボン酸成分、またはモノカルボン酸成分を表2のように変更したほか、結晶性ポリエステル樹脂B1~B5は反応時間を調整して反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂B1~B11を得た。その際、アルコール成分、カルボン酸成分、ラウリン酸のモル%が表2の値と同じになるように原材料の質量部を調整した。得られた結晶性ポリエステル樹脂B1~B11の物性を表2に示す。
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:72.9質量部(0.2モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:25.4質量部(0.15モル;多価カルボン酸総モル数に対して91.1mol%)
・コハク酸:1.7質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して8.9mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、5時間反応させた。
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が90℃の温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂C1を得た。
非晶性ポリエステルC1の製造例において、使用するアルコール成分、カルボン酸成分を表3のように変更したほかは同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂C2を得た。その際、アルコール成分、カルボン酸成分のモル%が表3の値と同じになるように原材料の質量部を調整した。
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:71.4質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:22.4質量部(0.13モル;多価カルボン酸総モル数に対して82.2mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
・無水トリメリット酸:6.2質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して17.7mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が表3の温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、非晶性ポリエステル樹脂C3を得た。
非晶性ポリエステルC3の製造例において、使用するアルコール成分、カルボン酸成分を表3のように変更したほかは同様にして反応を行い、非晶性ポリエステル樹脂C4、C5を得た。その際、アルコール成分、カルボン酸成分のモル%が表3の値と同じになるように原材料の質量部を調整した。
・低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製ビスコール660P):
10.0質量部(0.02モル;構成モノマーの総モル数に対して2.4mol%)
・キシレン:25.0質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に175℃の温度まで昇温した。
・スチレン:68.0質量部(0.65モル;構成モノマーの総モル数に対して76.4mol%)
・メタクリル酸シクロヘキシル:5.0質量部(0.03モル;構成モノマーの総モル数に対して3.5mol%)
・アクリル酸ブチル:12.0質量部(0.09モル;構成モノマーの総モル数に対して11.0mol%)
・メタクリル酸:
5.0質量部(0.06モル;構成モノマーの総モル数に対して6.8mol%)
・キシレン:10.0質量部
・ジーt-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート:0.5質量部
その後、上記材料を3時間かけて滴下し、さらに30分間撹拌した。次いで、溶剤を留去して、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体Dを得た。得られた重合体Dは、ピーク分子量Mp6000、軟化点125℃であった。
・結晶性ポリエステル樹脂A1 7質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B1 3質量部
・非晶性ポリエステル樹脂C1 70質量部
・非晶性ポリエステル樹脂C3 30質量部
・重合体D 5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度89℃) 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて吐出温度140℃にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、フロイントターボ(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
トナーの製造例1において、結晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、非晶性ポリエステル樹脂C、及びその質量部を表4に記載したように変更したこと以外は同様にして、トナー2~22を得た。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。次いで、
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
磁性キャリア1を92.0質量部に対し、トナー1を8.0質量部加え、V型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤の製造例1において、トナーを表5のように変更する以外は同様にして製造を行い、二成分系現像剤2~22を得た。
キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePress C800を、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように改造して、調製した二成分系現像剤について、低温定着性の試験を行った。常温常湿度環境下(温度23℃、相対湿度50%以上~60%以下)において、単色モードで、紙上のトナー載り量が1.2mg/cm2になるように調整した。評価紙は、コピー用紙GF-C081(A4、坪量81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用い、画像印字比率25%で画像を形成した。
A:155℃未満
B:155℃以上、165℃未満
C:165℃以上、170℃未満
D:170℃以上
評価結果を表6に示す。
紙 :CS-680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量 :1.20mg/cm2
評価画像 :上記A4用紙の中心に100cm2(10cm×10cm)の画像を配置
定着試験環境 :低温低湿環境、15℃/10%RH(以下「L/L」)
プロセススピード:450mm/sec
定着温度 :低温定着温度+10℃
上記画像形成装置を用い、上記条件で定着画像を1枚出力し、その上に紙束(CS-680 500枚)を積載し、該出力物及び紙束を30℃、80%RHに設定した恒温槽に入れ、1時間放置した。その後、恒温槽の温度を下記評価条件に再設定したのち10時間放置した。次に、該出力物とその上の紙1枚を恒温槽から取り出し、1時間放冷したのち、その2枚を引きはがした。その際に画像が接着しているかを評価した。
A1:恒温槽条件温度60℃において出力物が簡単にはがれる。
A2:恒温槽条件温度60℃において出力物をはがすときに負荷を感じるが画像のグロスムラは出ない。
B1:恒温槽条件温度55℃において出力物が簡単にはがれる。
B2:恒温槽条件温度55℃において出力物をはがすときに負荷を感じるが画像のグロスムラは出ない。
C1:恒温槽条件温度50℃において出力物同士が接着しない。
C2:恒温槽条件温度50℃において出力物をはがすときに負荷を感じるが画像のグロスムラは出ない。
D:恒温槽条件温度50℃において出力物同士が接着し、引きはがすと画像にグロスムラが観察される、或いは、引きはがす際に出力物が破れる。
実施例1において、評価に用いる二成分系現像剤を表5に記載の二成分系現像剤に変更する以外は同様にして、評価を行った。評価結果を表6に示す。
なお、実施例9~16は、参考例として記載するものである。
Claims (6)
- 結晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、及び非晶性ポリエステル樹脂Cを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、
(i)炭素数が12以上16以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が6以下である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物、または、
(ii)炭素数が6以下である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が12以上16以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物
であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂Bが、炭素数が10以上16以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が10以上16以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物であり、
前記非晶性ポリエステル樹脂Cが有する多価カルボン酸モノマー由来の構造単位の内、90モル%以上が芳香族の多価カルボン酸モノマー由来の構造単位であり、
前記トナー粒子中の前記結晶性ポリエステル樹脂Aの含有量が、前記トナー粒子中の前記非晶性ポリエステル樹脂C100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記トナー粒子中の前記結晶性ポリエステル樹脂Bの含有量が、前記トナー粒子中の前記非晶性ポリエステル樹脂C100質量部に対して、1質量部以上であり、
前記トナー粒子中の前記結晶性ポリエステル樹脂A及び前記結晶性ポリエステル樹脂Bの合計の含有量が、前記トナー粒子中の前記非晶性ポリエステル樹脂C100質量部に対して2質量部以上19質量部以下である、
ことを特徴とするトナー。 - 前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、
(i)炭素数が12以上14以下の偶数である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が6以下である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物、または、
(ii)炭素数が6以下である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が12以上14以下の偶数である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂Bが、炭素数が10または12である脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、炭素数が10または12である脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分と、の縮重合物である、請求項1に記載のトナー。 - 前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、炭素数が4である脂肪族ジオールと炭素数が12である脂肪族ジカルボン酸化合物と、の縮重合物であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂Bが、炭素数が12である脂肪族ジオールと炭素数が12である脂肪族ジカルボン酸化合物と、の縮重合物である、請求項1に記載のトナー。 - 前記結晶性ポリエステル樹脂Aの融点Tm(a)と前記結晶性ポリエステル樹脂Bの融点Tm(b)との関係が、下記式(1)を満たす請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
5 ≦ Tm(b)-Tm(a) ≦ 10 (1) - 前記結晶性ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量Mwが、9000以上30000以下である請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量Mwが、9000以上30000以下である請求項1~5のいずれか1項に記載のトナー。
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