JP2017173545A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速現像システムに適応可能な、低温定着性、耐熱保存性、耐ホットオフセット性及び現像耐久性に優れたトナーを提供する。【解決手段】結晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、及び非晶性ポリエステル樹脂Cを有するトナーであって前記結晶性ポリエステル樹脂A及び前記結晶性ポリエステル樹脂Bの含有量の合計が、前記非晶質ポリエステル樹脂C100質量部に対し、2質量部以上20質量部以下であり、前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分とを縮重合して得られる炭素数6以上18以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有し、前記結晶性ポリエステル樹脂Bが、脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分とを縮重合して得られる炭素数24以上60以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナー及びトナーの製造方法に関する。
電子写真法を用いた画像形成装置は、近年、より高速化し、より信頼性の高いものが求められている。また、省電力化、ウェイトタイムの短縮化などの要望も高く、これらに対応するために、トナーとしては、低温定着性が求められている。また、近年では紙資源の有効活用の観点から、坪量の低い紙を使用し、さらには両面印刷によって紙の使用量を低下させる試みがなされている。そのため、トナーとしては、耐ホットオフセット性も併せて求められている。
低温定着性を達成する目的で、結着樹脂として非晶性樹脂だけでなく、結晶性樹脂を使用するという提案がされている(特許文献1)。結晶性樹脂は、ガラス転移温度付近で急激に溶融し、非晶性樹脂との相溶性を高めることで、低温定着性を高めることで、低温定着性を改良できることが知られている。
しかし、結晶性樹脂は、非晶性樹脂と相溶することで、非晶性樹脂の可塑化を促進し、ガラス転移温度(Tg)を低下させるだけでなく、軟化点(Tm)を低下させる現象も同時に生じる。そのため、トナーの耐熱保存性を低下させる要因となり、また、耐ホットオフセット性の低下も引き起こし易い。
また、特許文献2においては、非架橋性結晶性樹脂と架橋性結晶性樹脂を併用することにより、定着性と保存性を両立させる提案がされている。しかしながら、架橋性結晶性樹脂は、非晶性樹脂中への分散が不均一となり易く、それにより長期の使用においては、トナーの摩擦帯電不良を引き起こし易かった。
一方、トナーは、流動性を向上させ、機内での搬送性及び均一な摩擦帯電性を維持することを目的として、トナーの表面に、ケイ素化合物をはじめとした種々の微粒子をスペーサーとして付着させ、粒子間の凝集力を抑える方法が用いられている。
しかしながら、高速現像システムでは、現像器内での、現像ローラー、トナー規制部材及び撹拌部材等によるトナーへのストレスがより大きい。特に多数枚の連続印刷を行った際、スペーサー粒子が、トナーの表面に埋没し、凝集力抑制効果が十分に発揮できず、安定的な摩擦帯電特性を維持することが困難となり易い。特に、上述した結晶性樹脂を非晶性樹脂の可塑化促進を目的として用いた場合、トナーの強靭性が損なわれ、これらの埋没現象が発生し易い。
上記のように、結晶性樹脂を用いる系においても、低温定着性、耐熱保存性、耐ホットオフセット性、及び現像耐久性を同時に満足することできるトナーを得るには至っていない。
特開2002−72557号公報 特開2012−53196号公報
本発明の目的は上記問題点を解消した、結晶性材料のごとき可塑剤を用いトナーにおいても、低温定着性、耐熱保存性、耐ホットオフセット性及び現像耐久性に優れたトナーを提供することである。
本発明の一態様によれば、
結晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、及び非晶性ポリエステル樹脂Cを有するトナーであって
前記結晶性ポリエステル樹脂A及び前記結晶性ポリエステル樹脂Bの含有量の合計が、前記非晶質ポリエステル樹脂C100質量部に対し、2質量部以上20質量部以下であり、
前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分とを縮重合して得られる炭素数6以上18以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有し、
前記結晶性ポリエステル樹脂Bが、脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分とを縮重合して得られる炭素数24以上60以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有するトナーが提供される。
本発明によれば、高速現像システムにおいても、低温定着性、耐熱保存性、耐ホットオフセット性及び現像耐久性を満足するトナー及びそのようなトナーの製造方法を提供することができる。
本発明に用いられる熱球形化処理装置の図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態に関する記載は、この発明の技術的範囲を以下の実施の形態に限定するものではない。
本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、及び非晶性ポリエステル樹脂Cを有する。
前記結晶性ポリエステル樹脂A及び前記結晶性ポリエステル樹脂Bの含有量の合計は、前記非晶質ポリエステル樹脂C100質量部に対し、2質量部以上20質量部以下である。
前記結晶性ポリエステル樹脂Aは、脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分とを縮重合して得られる炭素数6以上18以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有する。
前記結晶性ポリエステル樹脂Bは、脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分とを縮重合して得られる炭素数24以上60以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有する。
このような構成を有する本発明のトナーを用いることによる作用効果について、本発明者らは以下のように考える。
結晶性ポリエステル樹脂Aは、炭素数を特定の値より低くすることにより、非晶性ポリエステル樹脂Cとの相溶性を上げ、トナー中に均一に分散させることができる。それにより、低温定着時における非晶性ポリエステル樹脂Cの可塑化を促進し低温定着性に寄与する。
結晶性ポリエステル樹脂Bにおいては、炭素数を特定の値より大きくすることにより非晶性ポリエステル樹脂との相溶性が悪くなり、結晶性ポリエステル樹脂Bの結晶化が進み易い。そのため、トナーの耐熱保存性が向上するとともに、常温でのトナーの強靭性が増し、電子写真工程中の現像工程における外添剤の埋め込み等のトナー劣化が抑制される。
また、トナーの製造時に熱処理工程を加える場合においては、上記結晶性ポリエステル樹脂Bを、結晶化を維持しつつ、トナーの表面近傍に配置することが可能となり、上記効果がより発現し易くなる。
さらに、本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bを同時に非晶性ポリエステル樹脂C中に存在させることを特徴とする。結晶性ポリエステル樹脂Aと結晶性ポリエステル樹脂Bは類似した構造を有するため、互いに引き付け合いトナー中で結晶性ポリエステル樹脂Bの周囲を結晶性ポリエステル樹脂Aが覆う様に存在していると考えられる。そのため、結晶性ポリエステル樹脂Bのトナー中での偏在を抑制するとともに、トナー製造時の熱処理工程においては、過剰な表面への析出を抑え、トナー中での、結晶性ポリエステル樹脂の配置を調整し易くなる。
低温定着時のようにトナーに加わる熱量が少ない場合には、樹脂Aの結晶が優先的に融解し、非晶性ポリエステル樹脂Cを可塑化する。その結果、本発明のトナーは、低温定着性に関して良好な結果が得られる。
また、薄紙両面印刷のような紙が高温になり易い状態である高温定着時には、結晶性ポリエステル樹脂Aのみならず、結晶性ポリエステル樹脂Bの結晶も融解する。このとき、結晶性ポリエステル樹脂同士が相溶し合い、両樹脂の中間的な挙動を示すようになる。そのため、結晶性ポリエステル樹脂Aが非晶性ポリエステル樹脂Cを可塑化する働きが、結晶性ポリエステル樹脂Bにより緩和され、高温領域における非晶性ポリエステル樹脂Cの弾性の低下を抑制し、トナーは耐ホットオフセット性に優れると推察される。
結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bの含有量の合計が、非晶性ポリエステル樹脂C100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下であることが重要である。結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bの含有量の合計がこの範囲にあるとき、結晶性ポリエステル分散効果が十分に発揮され、帯電安定性を保ちつつ、低温定着性を向上させる。該結晶性ポリエステル樹脂の含有量の合計が2質量部未満の場合、低温定着性が損なわれる。該結晶性ポリエステルの含有量の合計が20質量部超の場合、非晶性ポリエステル樹脂と相溶できる結晶性ポリエステル樹脂の量が限界を超え、結晶性ポリエステル樹脂同士の結晶化が過度に進んでしまい帯電安定性に悪影響を及ぼす。
本発明のトナーは、炭素数6以上18以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有する結晶性ポリエステル樹脂Aと、炭素数24以上60以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有する結晶性ポリエステル樹脂Bを併用することを特徴とする。上記範囲の炭素数を有する結晶性ポリエステル樹脂を用いることにより、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性、帯電安定性をバランスよく満足することができる。
結晶性ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量Mwは、トナーの低温定着性と耐ホットオフセット性の両立、及び非晶性樹脂中への分散性向上させ現像耐久性の観点から、5,000以上18,000以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量Mwも、トナーの低温定着性と耐ホットオフセット性の両立、及び非晶性樹脂中への分散性向上させ現像耐久性の観点から、5,000以上18,000以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Aの融点(最大吸熱ピークのピーク温度)は、トナーの低温定着性の観点から、60℃以上80℃以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Bの融点(最大吸熱ピークのピーク温度)は、トナーの耐ホットオフセット性及び耐熱保存性の観点から、85℃以上110℃以下であることが好ましい。
トナー中に含まれる、結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bの質量比は、トナーの耐熱保存性及び耐ホットオフセット性の観点から、80:20〜20:80であることが好ましい。これら2種類の結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂Cとの質量比は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の観点から、5:95〜40:60であることが好ましい。
本発明のトナーの構成を以下に詳述する。
[結晶性ポリエステル樹脂A]
結晶性ポリエステル樹脂Aは、ジオール成分とジカルボン酸成分との縮重合により得られる炭素数6以上18以下の結晶性ポリエステルを主成分として含む。ジオール成分は脂肪族ジオールを主成分として含む。ジカルボン酸成分は脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含む。
「主成分として含む」とは、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上含むことを意味する。
脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましい。例えば、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、が好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは85質量%以上が、炭素数4〜10の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールであることが好ましい。
本発明において、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を併せて用いることもできる。
該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、例えば以下のものが挙げられる。1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のアルコールを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えば以下のものが挙げられる。n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性アルコール。
一方、脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、85質量%以上が、炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸であることが好ましい。
本発明において、脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。
その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、例えば以下のものが挙げられる。イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸や、これらの酸無水物または低級アルキルエステル。
また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、例えば以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸や、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば以下のものが挙げられる。安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸。
本発明における結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコール単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応させた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望の結晶性ポリエステルを得ることができる。
上記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応または重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全単量体を一括混合したりしてもよい。また低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂Aの原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
[結晶性ポリエステル樹脂B]
結晶性ポリエステル樹脂Bは、ジオール成分とジカルボン酸成分との縮重合により得られる炭素数24以上60以下の結晶性ポリエステルを主成分として含む。ジオール成分は脂肪族ジオールを主成分として含む。ジカルボン酸成分は脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含む。
「主成分として含む」とは、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上含むことを意味する。
脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましい。例えば、デカンジオール、ドデカンジオール、ウンデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール、オクタデカンジオール、イコサンジオール等が好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは85質量%以上が、炭素数10〜20の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールであることが好ましい。
本発明において、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を併せて用いることもできる。
該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、例えば以下のものが挙げられる。1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のアルコールを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えば以下のものが挙げられる。n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性アルコール。
一方、脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としては以下のものが挙げられる。デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、イコサンジカルボン酸や、これらの酸無水物または低級アルキルエステルを加水分解したもの。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、85質量%以上が、炭素数10〜20の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸であることが好ましい。
本発明において、脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。
その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、例えば以下のものが挙げられる。イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸や、これらの酸無水物または低級アルキルエステル。
また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、例えば以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸や、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば以下のものが挙げられる。安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸。
本発明における結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコール単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応させた後、減圧下または窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望の結晶性ポリエステルを得ることができる。
上記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応または重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全単量体を一括混合したりしてもよい。また低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bの原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
[非晶性ポリエステル樹脂C]
非晶性ポリエステル樹脂Cは、ポリエステル樹脂を主成分とすることが必要である。ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作製する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
2価のアルコール成分としては、例えば以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;式(B)で示されるジオール類。
Figure 2017173545
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
Figure 2017173545
3価以上のアルコール成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステル。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、以下のものが挙げられる。1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステル。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂Cは、ポリエステル樹脂を主成分とするならば他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であっても良い。例えば、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニットとポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、以下のような方法が好ましい。すなわち、ビニル系樹脂やビニル系共重合ユニット及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行う方法である。
例えば、ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、非晶性ポリエステル樹脂Cは、ポリエステル樹脂を主成分とするならば、上記のビニル系樹脂以外にも、従来より結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用するものでもよい。このような樹脂化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂。
また、非晶性ポリエステル樹脂Cのピーク分子量は8,000以上13,000以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂Cの酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。さらに、結着樹脂の水酸基価は2mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが、低温定着性と保存性の観点から好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂Cは、高分子量の非晶性ポリエステル樹脂C(H)と低分子量の非晶性ポリエステル樹脂C(L)とを混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量の非晶性ポリエステル樹脂C(H)と低分子量の非晶性ポリエステル樹脂C(L)との含有比率(H/L)は質量基準で10/90以上60/40以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高分子量の非晶性ポリエステル樹脂C(H)のピーク分子量は10,000以上20,000以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、高分子量の非晶性ポリエステル樹脂C(H)の酸価は15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
低分子量の非晶性ポリエステル樹脂C(L)の数平均分子量は1,500以上3,500以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、低分子量の非晶性ポリエステル樹脂C(L)の酸価は10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
[ワックス]
本発明のトナーは、必要に応じワックスを含有することができる。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
該ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上15質量部以下で使用されることが好ましい。該ワックスの含有量がこの範囲にあるとき、耐ホットオフセット性を効率的に維持することが可能となり易い。
また、トナーの保存性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、示差走査熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体]
また、本発明におけるトナーでは、ワックスとして炭化水素系ワックスを含有する場合、ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体を含有することがワックスを樹脂中に分散させるために好ましい。中でも、ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体又はポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したグラフト重合体を更に含有することが好ましい。
該重合体が含有された場合、ワックスと樹脂との相溶性が促進され、ワックス分散不良による帯電不良、部材汚染などの弊害を引き起こしにくくなる。
また該ビニル系樹脂成分と炭化水素化合物が反応した構造を有する重合体の含有量は、非晶性樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上15質量部以下であることが好ましい。含有量がこの範囲にあるとき、非晶性樹脂中にワックスの分散状態が均一となり易い。
ビニル系樹脂にポリオレフィンがグラフトした構造を有するグラフト重合体に関して、ポリオレフィンは二重結合を一つ有する不飽和炭化水素の重合体または共重合体であれば特に限定されず、様々なポリオレフィンを用いることができる。特にポリエチレン系、ポリプロピレン系が好ましく用いられる。
ビニル系基を有するモノマーとしては、例えば以下のものが挙げられる。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体などのスチレン系単位。
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアミノ基含有α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などのN原子を含むビニル系単位。
マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物、及びこれらのモノエステルなどのカルボキシ基を含むビニル系単位。
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどのヒドロキシ基を含むビニル系単位。
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類などのアクリル酸エステルからなるエステル単位。
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類などのメタクリル酸エステルからなるエステル単位。
本発明に用いられるポリオレフィンにビニル系モノマーがグラフト重合したグラフト重合体は、前述したこれらの重合体同士の反応や、一方の重合体のモノマーと他方の重合体との反応等、公知の方法によって得ることができる。
ビニル樹脂の構成単位として、スチレン系単位、さらにはアクリロニトリル、またはメタアクリロニトリルを含むのが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
[荷電制御材]
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、例えば以下のものが挙げられる。サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物。カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
〔磁性体〕
本発明のトナーは磁性トナーであっても非磁性トナーであっても良い。磁性トナーとして用いる場合は、磁性体として磁性酸化鉄を用いることが好ましい。磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマタイト,フェライト等の酸化鉄が用いられる。トナーに含有される磁性酸化鉄の量は、樹脂A、樹脂B、及び樹脂Cの合計を100.0質量部としたときに、25.0質量部以上95.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30.0質量部以上45.0質量部以下である。
〔流動性向上剤〕
本発明のトナーには、無機微粉体等の流動性向上剤を用いることができる。流動性向上剤としては、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ;これらのシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理した処理シリカ。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカ又はヒュームドシリカである。
その中でも、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体が好ましく用いられる。処理シリカ微粉体は、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30以上98以下であることが好ましい。
シリカ微粉体の疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応する有機ケイ素化合物、あるいはシリカ微粉体を物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理する方法が挙げられる。好ましい方法は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法である。
有機ケイ素化合物としては、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及びジメチルポリシロキサン。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
シリカ微粉体は、シリコーンオイルによって処理されていても良く、また、シリコーンオイルと上記有機ケイ素化合物とを併用して処理されていても良い。シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30mm/s以上1,000mm/s以下であるものが好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイルによるシリカ微粉体の疎水化処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとを三井ヘンシェルミキサの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤中にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で温度200℃以上(より好ましくは250℃以上)で加熱し、表面のコートを安定化させたものがより好ましい。
無機微粉体は、トナー粒子100.0質量部に対して0.1質量部以上8.0質量部以下用いることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上4.0質量部以下である。
[その他外添剤]
本発明では、流動性向上や摩擦帯電量調整のために、その他の外添剤が添加されていてもよい。
当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粒子が好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、三井ヘンシェルミキサの如き公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
[キャリア]
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、以下のものが挙げられる。表面を酸化した鉄粉、未酸化の鉄粉、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体。磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持する結着樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)。
[製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、トナーの原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。製造方法の例を挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、着色剤、無機微粒子A及び無機微粒子B、並びに必要に応じてワックス、着色剤、荷電制御剤等の他の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、三井ヘンシェルミキサ、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)(旧三井三池化工機(株))製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に他原材料等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機((株)池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理の如きトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
また、本発明では、必要に応じ、上記製法により得られたトナー粒子表面に無機微粉体や樹脂粒子などの添加剤を加えて混合分散させ、その分散させた状態で熱風による表面処理により添加剤をトナー粒子表面に固着させてもよい。
例えば、図1で表される表面処理装置を用いて熱風により表面処理を行い、必要に応じて分級をすることによりトナーを得ることができる。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体流量調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。
処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃〜300℃であることが好ましく、130℃〜170℃であることがより好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。このときの円形度としては、0.955〜0.980であることが好ましい。熱風は熱風供給手段出口11から供給される。
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃〜30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m以上15.0g/m以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。
冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給される熱処理前トナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前トナー粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理トナー粒子を得ることができる。
その後、必要に応じ選択された無機微粉体や樹脂粒子などの外部添加剤を加えて混合他の無機微粒子を外添し、流動性付与、帯電安定性を向上させてもよい。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、三井ヘンシェルミキサ、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)(旧三井三池化工機(株))製))などが挙げられる。
次に、本発明に関わる各物性の測定方法について記載する。
<GPCによる樹脂の重量平均分子量Mwの測定>
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流量で流し、THF試料溶液を約100μL注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー(株)製あるいは昭和電工(株)製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば以下の組み合わせが挙げられる。昭和電工(株)製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー(株)製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せ。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料50mgをTHF10mL中に入れ、25℃で数時間静置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。尚、THF中における静置時間の合計が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー(株)製))を通過させたものをGPCの試料とする。
<結晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B及びワックスの融点の測定>
結晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、ワックスの融点は、下記の示差走査熱量計を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線における最大吸熱ピークのピーク温度とする。
示差走査熱量計「Q2000」(TA Instruments社製)
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークのピーク温度を融点とする。なお、温度200℃まで昇温させてからの保持時間はなく、温度200℃まで到達したらすぐに30℃まで降温させる。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、下記の装置等を用いて実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)
測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)を用いることができる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の(1)〜(7)のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mLの丸底ビーカー内に前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャのフラッシュ」機能により、アパーチャチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100mLの平底ビーカー内に前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記の「コンタミノンN」を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの下記の超音波分散器の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液中に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C={2×(π×S)(1/2)}/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下のとおりである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として下記の「コンタミノンN」をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。
「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)
更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」((株)ヴェルヴォクリーア製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用した。該手順に従い調製した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3,000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲の粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出することができる。トナーの平均円形度は、円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に例えば下記の標準ラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)
なお、本願実施例では、シスメックス(株)による校正作業が行われた、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
以下、製造例及び実施例により本発明を説明する。製造例1〜26は、結晶性ポリエステル樹脂の製造例である。以下の説明において、部数は質量部基準である。ただし、この実施例に関する記載は、この発明の技術的範囲を限定するものではない。
<結晶性ポリエステル樹脂の製造例1>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、アルコール成分として1,5−ペンタンジオール、及び酸成分としてグルタル酸を各50モル%で投入した。そして、触媒としてジオクチル酸錫を原料モノマーの総量100質量部に対して1質量部添加し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら6時間反応させた。次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させてポリエステル樹脂A−1を得た。
<製造例2〜28>
アルコール成分、酸成分の種類を表1及び表2に記載の様に変更し、それ以外は、製造例1と同様にして結晶性ポリエステル樹脂A−2〜A−14及びB−1〜B-14を得た。これらの結晶性ポリエステル樹脂の物性を表1及び表2に示す。
Figure 2017173545
Figure 2017173545
<非晶性ポリエステル樹脂の製造例>
(低分子量の非晶性ポリエステル樹脂Lの製造例)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒): 0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が94℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、結着樹脂Lを得た。得られた低分子量の非晶性ポリエステル樹脂Lの軟化点(Tm)は94℃、ガラス転移温度(Tg)は57℃であった。
(高分子量の非晶性ポリエステル樹脂Hの製造例)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸: 18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・無水トリメリット酸:6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が132℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、結着樹脂Hを得た。得られた高分子量の非晶性ポリエステル樹脂Hの軟化点(Tm)は132℃、ガラス転移温度(Tg)は61℃であった。
[実施例1]
<トナー1の製造例>
・低分子量の非晶性ポリエステル樹脂L 75.00質量部
・高分子量の非晶性ポリエステル樹脂H 25.00質量部
・結晶性ポリエステル樹脂A−1 5.00質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B−1 5.00質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
5.00質量部
・ビニル系樹脂重合体D 5.00質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.00質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.50質量部
該処方で示した原材料を三井ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5分間で混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイント・ターボ(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.7μmであった。
得られたトナー粒子 100質量部に、一次粒子の個数平均粒径110nmのシリカ微粒子 5.0質量部を添加し、三井ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で、回転数30s−1、回転時間10分間で混合した。得られた混合物を用い、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い熱処理トナー粒子を得た。運転条件はフィード量=5kg/時とし、また、熱風温度C=220℃、熱風流量=6m/分、冷風温度E=5℃、冷風流量=4m/分、冷風絶対水分量=3g/m、ブロワー風量=20m/分、インジェクションエア流量=1m/分とした。得られた処理トナー粒子は、平均円形度が0.963、重量平均粒径(D4)が6.2μmであった。
得られたトナー粒子100.0質量部に、下記の材料を添加し、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製FM−75型)で混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1を得た。
・イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径50nmの酸化チタン微粒子 1.0質量部
・ヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径16nmの疎水性シリカ微粒子 0.8質量部
<二成分現像剤1の製造例>
該トナー1とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:(株)徳寿製作所)で0.5s−1、回転時間5分間で混合し、二成分系現像剤1を得た。
以下の方法(1)〜(4)に従って、トナーの性能評価を行った。
(1)低温定着性
キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C1+のシアンステーションに上記二成分系現像剤を入れた現像器を搭載し、定着温度を取り外した状態で画像形成できるように改造し、未定着画像を形成した。評価には、普通紙:OSE TOP COLOR PAPER(A4 100.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を用いた。
FFh画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cmとなるように現像条件を適宜調整し、A4評価紙の先端から3cm、評価紙の中心の位置に2cm×10cmのベタ未定着画像を形成した。未定着画像は常温低湿環境下(温度25℃/相対湿度5%)にて24時間調湿した。なお、FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C800から定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるように改造した定着試験用治具を用い低温低湿環境下(温度15℃/相対湿度10%)にて準備した。プロセススピードを320mm/秒に調整し、下ベルト温度は100℃に固定した状態で、前記定着試験用治具の上ベルト温度を100〜200℃の範囲で5℃おきに調整した。前記の調湿済み未定着画像を通紙した。定着器を通過させた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたレンズクリーニングワイパー(商品名:ダスパー 小津産業(株)製)で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。10%を超えて濃度低下がおこると定着できていないとの判定基準のもと、画像濃度低下率が10%を超えない最も低い上ベルト設定温度を定着開始温度とし、下記の評価基準に従って評価した。評価結果を表4に示す。本発明ではランクDまでが許容できるレベルである。
(評価基準:低温定着性)
A:110℃未満
B:110℃以上140℃未満
C:140℃以上155℃未満
D:155℃以上180℃未満
E:180℃以上
(2)耐ホットオフセット性
評価には、普通紙:CS−680(A4 68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を用いた。
FFh画像のトナーの紙上への載り量が0.08mg/cmとなるように現像条件を調整し、未定着のFFh画像を得た。
その後、低温定着性評価と同様に、キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C800から取り外した定着器を改造した定着評価治具を用いて常温低湿環境(温度23℃/相対湿度10%)にて評価を行った。
画出し前の評価紙について反射率をリフレクトメータ(「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」、(有)東京電色製)によって測定し、5箇所測定した平均値をD(%)とした。上記外部定着器における定着温度を100〜200℃の範囲で5℃おきに調整し、各定着温度における定着画像の白地部についてリフレクトメータで反射率を測定し、最大値をD(%)とした。
そして、D(%)とD(%)の差が0.5%を超えない、最も高い定着温度を定着上限温度とし、下記の基準にて耐ホットオフセット性を評価した。評価結果を表4に示す。本発明ではランクDまでが許容できるレベルである。
(評価基準:耐ホットオフセット性)
A:220℃以上
B:205℃以上220℃未満
C:190℃以上205℃未満
D:175℃以上190℃未満
E:175℃未満
(3)耐熱保存性
評価トナーサンプルが5.0gの入った袋(サンジップD−4袋 シーアイ化成社製)を、高温低湿環境下(温度50℃/相対湿度10%)において、袋の上に1.5kgの重しを載せ5日間静置した。その後、重しを取り除き、常温常湿環境下(温度23℃、相対湿度50%)に移し、1晩静置した。
測定装置としては、「パウダーテスターPT−X」(ホソカワミクロン(株)製)を使用し、目開き75μm(200メッシュ)の篩を用いて、常温常湿環境(温度23℃、相対湿度50%)下で行った。
篩の振幅を1.00mm(peak−to−peak)になるように調整し、篩上に評価用のトナーをのせ、60秒間振動を加えた。その後、篩上に残ったトナーの凝集物の量から耐熱保存性を評価し、以下の基準でA〜Eにランク付けした。評価結果を表4に示す。本発明ではランクDまでが許容できるレベルである。
A:メッシュ上のトナー残量が0.10g以下である。
B:メッシュ上のトナー残量が0.10gを超え、0.20g以下である。
C:メッシュ上のトナー残量が0.20gを超え、0.35g以下である。
D:メッシュ上のトナー残量が0.35gを超え、0.50g以下である。
E:メッシュ上のトナー残量が0.50gを超えている。
(4)現像耐久性 評価 低印字率モード
キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C800のシアンステーションに上記二成分系現像剤を入れ、予め空回転(トナー無補給)し現像剤にストレスを与えた後の画像評価を行った。この評価は低印字率、つまりはトナーの入れ替わりがほとんど無い状態での耐久性を促進的に評価する目的で行った。
具体的な手法としてはimagePRESS C800より取り出した現像器に上記評価用二成分系現像剤を配置し、現像器単独にて、現像ローラー及び撹拌部材を回転させることができる現像空回転治具を用いて行った。この空回転冶具にて、プロセススピード320mm/秒に設定し、高温多湿環境下(温度40℃/相対湿度40%)において5時間空回転させた。得られた現像剤を用いて画像を出力し、白斑点の発生状況を評価した。
この白斑点は、現像時に現像キャリアがトナーと共に感光ドラム上に飛翔してしまい、一次転写部でキャリア周辺のトナーが転写されないことで発生する現象である。これは現像器内のトナーがストレスを受け続けた結果、トナーの表面に存在する流動性付与剤等が埋没し、トナー―キャリア間の非静電的付着力が増大し、現像キャリアがトナーと共に感光ドラム上に飛翔することにより発生する。
画質評価はimagePRESS C800を用いて常温常湿環境下(温度23℃/相対湿度50%)にて、普通紙CS−680(68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を使用して行った。X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)にて、紙上ベタ(FFh)濃度1.40となる現像条件で、A4サイズで17階調(00h〜FFh、各横帯10mm×290mm)を出力し発生個数をカウントした。(5時間空回転後 白斑点発生個数)以下の基準でA〜Eにランク付けした。評価結果を表4に示す。本発明ではランクDまでが許容できるレベルである。
A: 2個未満
B: 2個以上5個未満
C: 5個以上10個未満
D:10個以上20個未満
E:20個以上
[実施例2〜7]
結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bを表3に記載の様に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜7を作製し、同様に二成分現像剤2〜7を作製した。
さらに、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例8]
<トナー8の製造例>
・低分子量の非晶性ポリエステル樹脂L 75.00質量部
・高分子量の非晶性ポリエステル樹脂H 25.00質量部
・結晶性ポリエステル樹脂A−2 5.00質量部
・結晶性ポリエステル樹脂B−3 5.00質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
5.00質量部
・ビニル系樹脂重合体D 5.00質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.00質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.50質量部
該処方で示した原材料を三井ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5分間で混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイント・ターボ(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナー粒子は、重量平均粒径(D4)が5.7μmであった。
得られたトナー粒子100.0質量部に、下記の材料を添加し、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機(株)製FM−75型)で回転数30s−1、回転時間10分間で混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー8を得た。
・一次粒子の個数平均粒径110nmのシリカ微粒子 5.0質量部
・イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径50nmの酸化チタン微粒子 1.0質量部
・ヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径16nmの疎水性シリカ微粒子 0.8質量部
<二成分現像剤8の製造例>
該トナー8とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:(株)徳寿製作所)で0.5s−1、回転時間5分間で混合し、二成分系現像剤8を得た。
さらに、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例9〜34及び比較例1〜6]
結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bを表3に記載の様に変更した以外は、実施例8と同様にして、トナー9〜34及び比較トナー1〜5を作製した。
比較トナー6は、結晶性ポリエステル樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Bを添加しないで実施例8と同様にして作製した。
上記作製したトナーを用い、実施例8と同様にして二成分現像剤9〜34及び比較二成分現像剤1〜6を作製した。
さらに、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2017173545
Figure 2017173545
1.原料定量供給手段
2.圧縮気体流量調整手段
3.導入管
4.突起状部材
5.供給管
6.処理室
7.熱風供給手段
8.冷風供給手段
9.規制手段
10.回収手段
11.熱風供給手段出口
12.分配部材
13.旋回部材
14.粉体粒子供給口


Claims (5)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂B、及び非晶性ポリエステル樹脂Cを有するトナーであって
    前記結晶性ポリエステル樹脂A及び前記結晶性ポリエステル樹脂Bの含有量の合計が、前記非晶質ポリエステル樹脂C100質量部に対し、2質量部以上20質量部以下であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分とを縮重合して得られる炭素数6以上18以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有し、
    前記結晶性ポリエステル樹脂Bが、脂肪族ジオールを主成分として含むジオール成分と、脂肪族ジカルボン酸化合物を主成分として含むジカルボン酸成分とを縮重合して得られる炭素数24以上60以下の結晶性ポリエステルを主成分として含有することを特徴とするトナー。
  2. 前記結晶性ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量Mwが5,000以上18,000以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均分子量Mwが5,000以上18,000以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記結晶性ポリエステル樹脂Aは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度が60℃以上80℃以下であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂Bは、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度が85℃以上110℃以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のトナー。
  5. 前記結晶性ポリエステル樹脂A、前記結晶性ポリエステル樹脂B、及び前記非晶性ポリエステル樹脂Cを含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粉砕手段によって粉砕し、得られた粉体を熱により表面処理することにより得られるトナーの製造方法であり、該トナーは請求項1〜4の何れか一項に記載のトナーであることを特徴とするトナーの製造方法。
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