JP2014006339A - トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B、及び着色剤を含有するトナーにおいて、ポリエステル樹脂Aは結晶構造をとりうる部位を有する樹脂であり、ポリエステル樹脂Bは結晶構造をとりうる部位を有さない樹脂であり、透過型電子顕微鏡を用いたトナーの断面積観察において、トナー断面にはポリエステル樹脂A由来のドメインを有し、ドメインの中で長径が最大のドメインの長径が3.0μm以上であり、ドメインのアスペクト比(長径/短径)の平均が4.0以上20.0以下であり、ポリエステル樹脂Aの融点Taとポリエステル樹脂Bの軟化点Tbが式1を満足するトナー。Ta<Tb・・・式1
【選択図】図1
Description
さらに、近年、デジタルカメラ、携帯端末等によって取り込まれた画像データやポスター等、印字比率の高いグラフィック画像などの高画質な画像を、厚紙を用いてユーザーがレーザープリンター(LBP)などの画像形成装置を用いて出力する機会が増加している。
結晶性ポリエステル樹脂をトナーに含有させる場合には、結晶性ポリエステル樹脂をトナー中に微分散させる提案(例えば特許文献1、特許文献2)がなされている。これは非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の接触面積を増やすことによって、両樹脂の相溶化を促進させる技術である。
本発明の目的は、厚紙の様な熱の伝わり辛いメディア等を用いた定着においても定着温度を変えず、さらに印字速度を落とすことなく優れた低温定着性を有し、一定時間放置後も電荷が漏洩しにくいトナーを提供することにある。
(1)該ポリエステル樹脂Aは、結晶構造をとりうる部位を有する樹脂であり、
(2)該ポリエステル樹脂Bは、結晶構造をとりうる部位を有さない樹脂であり、
(3)透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた該トナーの断面積観察において、該トナーの断面に該ポリエステル樹脂A由来のドメインを有し、該ドメインの中で長径が最大のドメインの長径が3.0μm以上であり、
(4)該ドメインのアスペクト比(長径/短径)の平均が4.0以上20.0以下であり、
(5)該ポリエステル樹脂Aの融点Taと該ポリエステル樹脂Bの軟化点Tbが下記式1を満足することを特徴とするトナーを提供する。
Ta<Tb ・・・式1
本発明のトナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂A及びポリエステル樹脂Bを有し、ポリエステル樹脂Aは結晶構造をとりうる部位を有する樹脂であって、ポリエステル樹脂Bは結晶構造をとりうる部位を有さない樹脂である。ポリエステル樹脂Aは、定着時のように融点以上の温度で加熱された場合にのみ、ポリエステル樹脂Bに対して可塑化効果を発揮し、定着性を向上させる。
Ta<Tb ・・・式1
−0.40≦Sb−Sa≦0.80・・・式2
なお、本発明でいう結晶構造をとりうる部位を有するとは、当該樹脂が示差走査熱量計(DSC)測定において昇温時に吸熱ピークがあり、降温時に発熱ピークを有することを指し、その測定は「ASTM D3418−82」測定法に準じて行う。
炭素数6〜18の脂肪族ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、定着性及び耐熱安定性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジオールが好ましい。
炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、1,8−オクタン二酸、1,9−ノナン二酸、1,10−デカン二酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸等が挙げられる。これらの中でも、トナーの定着性及び耐熱安定性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。
縮重合反応の原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下が好ましい。
また、ポリエステル樹脂Bの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、80℃以上130℃以下、好ましくは90℃以上120℃以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂Bはテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が3,000以上100,000以下であることが好ましい。
該ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さから、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。必要に応じて一種又は二種以上のワックスを、少量併用してもかまわない。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
ポリエステル樹脂Aの融点やポリエステル樹脂Bの軟化点は材料を入手できれば、その材料で測定を行うことが好ましい。しかし、トナー作製後であっても、サンプル調製を適正に行えば測定は可能である。サンプル調製方法は特に限定されることはなく、以下は、トナー中のポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの分離方法の一例である。分離が十分でない場合は、適宜条件を変更する必要がある。
トナー約1.5gを秤量し、予め秤量した円筒濾紙(例えば、商品名No.86R(サイズ28×100mm)、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットした。溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mlを用い10時間抽出を行った。THF可溶分を回収し、室温で24時間静置した後、濾過することにより析出した成分(ポリエステル樹脂A)を得た。次に、濾液からエバポレーターを使用してTHFを蒸発させ、析出した成分(ポリエステル樹脂B)を得た。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができる。
試料をTHF中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。又、試料濃度は、樹脂成分が0.5mg/ml以上5.0mg/ml以下となるように調整する。
ポリエステル樹脂及びワックスの融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度を融点とし、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を、融点、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
ポリエステル樹脂及びトナーのTgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgとする。
ポリエステル樹脂及びトナーの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行なう。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下のとおりである。
試験モード:昇温法
昇温速度:4℃/min
開始温度:50℃
到達温度:200℃
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。ポリエステル樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(A)本試験
粉砕したポリエステル樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。ポリエステル樹脂の水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(A)本試験
粉砕したポリエステル樹脂の試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
ポリエステル樹脂の試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:ポリエステル樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、アルコールモノマーとして1,10−デカンジオールを、酸モノマーとして1,10−デカン二酸を表1に示す配合量で投入した。
そして触媒としてジオクチル酸錫をモノマー総量100質量部に対して1質量部添加し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら6時間反応させた。
次いで200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させ、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させた。
その後、反応槽内の圧力を徐々に開放して常圧へ戻した後、表1に示した結晶核剤(n−オクタデカン酸)を加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることによりポリエステル樹脂A1を得た。
得られたポリエステル樹脂A1の諸物性については表2に示したとおりである。
モノマー種、その配合量及び結晶核剤を表1に記載のように変更した以外は、ポリエステル樹脂A1の製造例と同様にポリエステル樹脂A2乃至ポリエステル樹脂A12を得た。これらの諸物性については表2に示したとおりである。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に示す配合量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。
次いで窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。
210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行いポリエステル樹脂B1を得た。
このとき得られる樹脂B1の軟化点が表4の値となるように重合時間を調整した。ポリエステル樹脂B1の諸物性については表4に示したとおりである。
モノマー種及びその配合量を表3に記載のように変更した以外は、ポリエステル樹脂B1の製造例と同様にポリエステル樹脂B2乃至ポリエステル樹脂B10を得た。これらの諸物性については表4に示したとおりである。
・ポリエステル樹脂A1 20.0質量部
・ポリエステル樹脂B1 80.0質量部
・カーボンブラック 5.0質量部
・フィッシャートロプシュワックス(DSCピーク温度105℃) 5.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))にて回転数3.3s-1、混練樹脂温度120℃の条件で混練した。
トナーの製造例1において、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの種類と、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの質量比率を表5に示したように変更した以外は、トナーの製造例1と同様にしてトナー2乃至8、10、11、14,15のトナーを作製した。トナー2乃至8、10、11、14,15の諸物性は表5に記載したとおりである。
トナーの製造例1において、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの種類と、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bの質量比率を表5に示したように変更し、熱球形化処理を行わなかった以外は、トナーの製造例1と同様にしてトナー9、12、13、16、17のトナーを作製した。トナー9、12、13、16、17の諸物性は表5に記載したとおりである。
本実施例において評価に用いるマシンとしては、市販のカラーレーザープリンタColor Laser Jet CP4525(HP社製)を用いた。この評価機のトナーをトナーの製造例1で製造したトナー1に変更し、下記の評価を実施した。
市販のカラーレーザープリンタColor Laser Jet CP4525(HP社製)の定着器に代えて、定着装置の定着温度、定着ニップ圧及びプロセススピードを任意に設定できるようにした外部定着器を用いた。
温度23℃、相対湿度50%環境下で、カラーレーザーコピア用紙(HAMMERMILL製、216g/m2)を使用し、評価に用いるカートリッジはブラックカートリッジを用いた。すなわち、市販のブラックカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにてカートリッジ内部を清掃した後、本発明のトナー1を150gカートリッジに充填して評価を行った。なお、マゼンタ、イエロー及びシアンの各ステーションには、製品トナーを抜き取り、かつ、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー及びシアンカートリッジを挿入して評価を行った。
その後、トナー載り量0.6mg/cm2となるようにベタ黒の未定着画像を出力した。定着器の定着温度を150℃とし、プロセススピードを300mm/secに設定し、上記ベタ黒未定着画像の定着を行った。
得られたベタ黒画像を約100gの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%未満を定着性Aとし、以下濃度低下率が5%上昇するごとに評価をB、C、Dとした。濃度低下率が低いほど低温定着性に優れたトナーである。
評価結果を表6に示す。本発明では、C評価までが許容できる範囲である。
A:濃度低下率が10%未満である。
B:濃度低下率が10%以上15%未満である。
C:濃度低下率が15%以上20%未満である。
D:濃度低下率が20%以上25%未満である。
E:濃度低下率が25%以上である。
市販のカラーレーザープリンタColor Laser Jet CP4525(HP社製)を使用して温度23℃、相対湿度50%環境下で評価を行った。評価には、ブラックカートリッジを2個用いた。すなわち、市販のブラックカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにてカートリッジ内部を清掃した後、本発明のトナー1を150gカートリッジに充填した(このカートリッジをカートリッジ1という)。この操作を繰り返してもう一つの同様のカートリッジを用意した(このカートリッジをカートリッジ2と呼ぶ)。なお、マゼンタ、イエロー及びシアンの各ステーションには、製品トナーを抜き取り、かつ、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー及びシアンカートリッジを挿入した。まず評価機にカートリッジ1を挿入した後、評価機の前扉を閉めると、自動的に90秒間の空回転が行われた。次いで、ベタ白画像を出力(感光体ドラムに現像剤を現像させない)させた直後の、現像剤担持体に担持される現像剤の摩擦帯電量(Q/M)をE−SpartAnalyzer Model EST−III(商品名;ホソカワミクロン社製)により測定した。なお、測定粒子個数は3000個程度とし、温度23℃、相対湿度50%の環境下で測定した。得られた摩擦帯電量(Q/M)を放置前Q/Mとした。また、カートリッジ1に代えてカートリッジ2を使用し、同様にしてベタ白画像を出力した後、カートリッジ2を評価機本体から取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下に168時間放置し現像剤担持体に担持される現像剤の摩擦帯電量(Q/M)をE−SpartAnalyzerにて測定した。このとき得られた摩擦帯電量(Q/M)を放置後Q/Mとした。放置前Q/Mと放置後Q/Mの変化率%を帯電量の変化率とし放置後帯電安定性の評価とした。帯電量の変化率が0%以上10%未満を放置後帯電安定性Aとした。帯電量の変化率が低いほど、放置後帯電安定性が優れるトナーである。
評価結果を表6に示す。本発明では、C評価までが許容できる範囲である。
A:帯電量の変化率が0%以上10%未満である。
B:帯電量の変化率が10%以上15%未満である。
C:帯電量の変化率が15%以上20%未満である。
D:帯電量の変化率が20%以上25%未満である。
E:帯電量の変化率が25%以上である。
実施例1では、トナーについての何れの評価も良好な結果が得られた。
実施例1において、評価に用いるトナーを表6に示したようにトナー2乃至17に変更した以外は、実施例1と同様にして評価を実施した(実施例2乃至12、比較例1乃至5)。このとき得られた評価結果は表6に示したとおりである。
10:ポリエステル樹脂A由来のドメイン
11:ポリエステル樹脂B
Claims (4)
- ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B、及び着色剤を含有するトナーにおいて、
(1)該ポリエステル樹脂Aは、結晶構造をとりうる部位を有する樹脂であり、
(2)該ポリエステル樹脂Bは、結晶構造をとりうる部位を有さない樹脂であり、
(3)透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた該トナーの断面積観察において、該トナーはトナー断面に該ポリエステル樹脂A由来のドメインを有し、該ドメインの中で長径が最大のドメインの長径が3.0μm以上であり、
(4)該ドメインのアスペクト比(長径/短径)の平均が4.0以上20.0以下であり、
(5)該ポリエステル樹脂Aの融点Taと該ポリエステル樹脂Bの軟化点Tbが下記式1を満足することを特徴とするトナー。
Ta<Tb ・・・式1 - 該ポリエステル樹脂Aと該ポリエステル樹脂Bの質量比率が、5:95〜40:60であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該ポリエステル樹脂Aが、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオールを全アルコール成分に対して85モル%以上含有するアルコール成分と、炭素数6以上12以下の脂肪族カルボン酸を全カルボン酸成分に対して85モル%以上含有するジカルボン酸成分とを重縮合して得られたポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 該トナーが、熱球形化処理を経て製造されたトナーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
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