JP6376969B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナーの製造方法に関する。
近年、電子写真装置においても省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられ、定着装置にかかる熱量の大幅な削減が検討されている。従って、トナーにおいては、より低エネルギーでの定着が可能であること、いわゆる「低温定着性」へのニーズが高まっている。
低温での定着を可能にするための手法としては、トナー中の結着樹脂のガラス転移点(Tg)を低下させることが挙げられる。しかしながら、Tgを低下させることは、トナーの耐熱保存性を失わせることや、現像時のストレスでトナー表面を劣化させることにつながる。そのため、トナーの低温定着性、耐熱保存性を維持し、過酷環境下で低印字率の画像を多数枚形成した際のトナーの劣化を抑制することは困難であるとされている。
この低温定着性と耐熱保存性を両立させるための結着樹脂用の材料として、結晶性樹脂が近年特に注目されている。結晶性樹脂は、樹脂を構成する高分子鎖が規則的に配列した構造を形成することが可能であり、明確なTgを持たず、融点(Tm)を持つことが知られている。そのため結晶の融点未満の温度領域では軟化しにくく、融点を境に結晶が融解して急激に粘度の低下を起こす性質(シャープメルト性)を有している。このことから、結晶性樹脂を非晶性の結着樹脂に添加したトナーの検討が盛んに行われている。
しかしながら、トナー材料として結晶性樹脂を使用する場合、通常のトナー製造過程においては、融点以上の熱履歴を与えたり、他の材料とともに有機溶剤に溶解したりする工程が必要であるため、非晶性の結着樹脂との相溶が生じて、結晶性が損なわれやすい。したがって、結晶性樹脂の結晶性を保持したままトナー中に存在させることは容易ではなく、通常は結晶性樹脂と非晶性樹脂とが相溶した状態となりやすい。つまり、トナーの非晶性樹脂に結晶性樹脂が相溶することで非晶性樹脂のTgが低下したままの状態のため、Tgより高い温度での耐熱保存性が悪化することがある。
さらに、相溶状態のトナーは、トナー表面が柔らかい状態のため、現像時のストレスによってトナー表面の外添剤の劣化が生じて、トナーの帯電性や転写性をさらに低下させる要因となることがある。
こうした問題を解決するため、結晶性が低下した結晶性樹脂を含有するトナー中間体、またはトナーに対し、結晶性樹脂の融点よりも低い温度で熱処理を施し、結晶構造を再構築しようとする試みが為されている。結晶性樹脂中の高分子鎖は高温に保持することにより、分子運動性が増し、より安定な構造である結晶構造を形成しやすくなる。ただし結晶の融点よりも高い温度に保持した場合、結晶性樹脂が融解して結晶構造が崩れてしまう。
例えば特許文献1では、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルを含有する原料を溶融混練した後、前記溶融混練物のガラス転移温度以上、前記非晶性ポリエステルの軟化点より10℃低い温度以下の条件で加熱処理を行ない、次いで、この加熱処理物を粉砕するトナーの製造方法が提案されている。ただし、この方法では溶融混練物の粒径が大きいため、溶融混練物の内部まで熱が伝わりにくい。そのため、溶融混練物内の結晶化が必ずしも十分とは言えない。その後の粉砕による、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との界面には相溶部と結晶部が存在するため、トナー母粒子の表面の硬さにばらつきが生じ易い。これらのトナー母粒子に外添剤を添加した場合、各トナー母粒子の表面における外添剤の埋め込み度合いが異なり、トナーの転写性が悪化する場合があった。
また、特許文献2では、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルを結着樹脂として含有するトナーの製造工程の中間品、または最終製品を、45℃から65℃の範囲内の温度で保管する工程を含むトナーの製造方法が提案されている。この方法によれば、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルの界面における相溶部が結晶化される。しかし、静置状態で保管するため結晶化には長時間を要する。一方、生産性を考慮して混合時間を短くした場合には、各トナー母粒子への熱の伝わり方にバラツキが生じる可能性がある。そのため、熱が伝わりやすいトナー母粒子と熱が伝わりにくいトナー母粒子とでは結晶化度が不均一になる場合があった。
特許文献3では、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルを含有するトナーに、外添剤として無機微粒子とフッ素系樹脂を付着させる外添処理時に、トナー母粒子のガラス転移点(Tg)±10℃の温度で処理する工程を含むトナーの製造方法が提案されている。この方法では、各トナー母粒子へ熱が均一に伝わるため結晶性ポリエステルが結晶化し、トナーの耐熱保存性は向上できる。しかし、トナー母粒子の表面には凹凸が存在するため外添剤をしっかりと付着させようとした場合、トナー母粒子の表面の凸部において外添剤が埋込まれすぎたり、該凸部からトナー母粒子の表面の凹部に外添剤が移動して凸部の被覆率が減少する傾向があった。その結果、各トナー母粒子の表面における外添剤の存在状態が不均一となりトナーの転写性が不十分な場合があった。
以上の通り、結晶性樹脂の結晶化を促進し、トナー全体の結晶化度のばらつきをなくし、且つ、トナー母粒子の表面の凹凸状態の相違に係わらず外添剤を均一に埋め込み、固定化させることが可能なトナーの製造方法は見出されていなかった。
特開2005−308995号公報 特開2006−065015号公報 特開2010−170031号公報
本発明の目的は、上述した従来の問題点を解決したトナーの製造方法を提供することある。すなわち、本発明の目的は、トナー粒子中の結晶性樹脂の結晶化を促進し、トナー全体の結晶化度を均一に高めることで、低温定着性に優れたトナーでありながら耐熱保存性を両立するができるトナーの製造方法を提供することある。さらに本発明の目的は、無機微粒子をトナー表面に均一に固定化することで転写性を向上させ、過酷環境下での低印字耐久においても劣化に強いトナーを、簡便に得ることのできる製造方法を提供することある。
上記の目的は、下記構成の本発明により達成することができる。
着色剤、結晶性樹脂、非晶性樹脂及びワックスを含有するトナー母粒子と無機微粒子とを混合して混合物を得る第一混合工程、及び、前記混合物を混合する第二混合工程を有するトナーの製造方法であって、
前記第一混合工程及び前記第二混合工程が、機械的衝撃力を付与する撹拌手段を容器内に具備する混合装置を用いて混合を行う工程であり、
前記第一混合工程における処理温度をT(℃)と表示し、前記第一混合工程において処理物の単位質量に与えられる混合装置の撹拌動力をW(W/kg)と表示し、前記第二混合工程における処理温度をT(℃)と表示し、前記第二混合工程における処理物の単位質量に与えられる混合装置の撹拌動力をW(W/kg)と表示したときに、下記数式(1)、(2)、(3)及び(4)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法。
TgA≦T<Tp (1)
TgA≦T<Tp (2)
3≦W (3)
≦1/2W (4)。
式中、Tp(℃)は、前記トナー母粒子を測定試料とする示差走査熱量(DSC)測定において、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際に測定される結晶性樹脂由来の最大吸熱ピークのオンセット温度を示す。TgA(℃)は、前記トナー母粒子を測定試料とするDSC測定において、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した後、20℃まで降温速度50℃/分で冷却し、その後、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際に測定される2回目昇温時のガラス転移温度を示す。
本発明によれば、トナー全体の結晶化度を均一に高めることで、低温定着性に優れたトナーでありながら耐熱保存性を両立することができる。さらに、無機微粒子をトナー表面に均一に固定化することで転写性が向上でき、過酷環境下での低印字耐久においても劣化に強いトナーを、簡便に得ることができる。
示差走査熱量(DSC)測定の昇温過程で観察される吸熱ピークのオンセット温度を示す図である。
本発明者らは、トナーの製造において材料の混合時の処理温度や撹拌動力による効果について検討を行った。その結果、材料の混合工程を2段階以上とし、各混合工程の処理温度と撹拌動力を変更することによって、1段階での混合工程だけでは達成不可能であった、トナー母粒子への無機微粒子の均一な固定化と、トナー全体の結晶化度を均一に高めること、が可能であることを見出した。
つまり、本発明のトナーの製造方法は、結晶性樹脂と非晶性樹脂を含有するトナー母粒子に無機微粒子を混合して混合物を得る第一混合工程と第二混合工程とを有する。第一混合工程および第二混合工程は、機械的衝撃力を付与する撹拌手段を容器内に具備する混合装置を用いて混合を行う工程である。第一混合工程と第二混合工程の処理温度と撹拌動力を制御することで、トナー母粒子の表面の凹凸状態の相違に係わらずトナー母粒子への無機微粒子の均一な固着と、結晶性樹脂の結晶化を促進し、トナー全体の結晶化度を均一に高めることが可能となる。
第一混合工程は、無機微粒子の解砕とトナー母粒子への無機微粒子の均一固着を主とする工程である。非晶性樹脂と結晶性樹脂が相溶しているトナー母粒子に、無機微粒子を解砕と同時に固着できる撹拌動力を与えながら、トナー母粒子のガラス転移点以上の温度で混合処理することが特徴である。
第二混合工程は、該混合物中の結晶性樹脂の結晶化を促進させると同時にトナー母粒子への無機微粒子の固定化を主とする工程である。第二混合工程は、第一混合工程よりも高い温度で行うことが好ましい。トナー母粒子の結晶性樹脂の結晶化を促進することで非晶性樹脂と結晶性樹脂との相溶部を少なくし、トナー母粒子のTgを上げること、つまりトナー母粒子を硬くすることにより無機微粒子を固定化することができる。
第一混合工程及び第二混合工程は、ともに、撹拌動力を与えることで、容器からトナーへの熱の伝わりを均一にできるため、結晶性樹脂の結晶化を促進し、トナー全体の結晶化度を均一に高めることができる。
以下、本発明のトナーの製造方法を具体的に説明する。
〔第一混合工程〕
本発明の第一混合工程は、無機微粒子の解砕とトナー母粒子への無機微粒子の均一固着を主とする工程である。そのため、第一混合工程では、下記数式(1)及び(4)で表される処理温度T(℃)と撹拌動力W(W/kg)条件下にて混合が行なわれる。
TgA≦T<Tp (1)
≦1/2W (4)。
なお、数式(1)中の処理温度Tは、混合装置の容器内温度を示す。「TgA」(℃)は、トナー母粒子を測定試料とする示差走査熱量(DSC)測定において、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した後、20℃まで降温速度50℃/分で冷却し、20℃で10分間保持し、その後、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際に測定される2回目昇温時のガラス転移温度を示す。「Tp」(℃)は、トナー母粒子を測定試料とするDSC測定において、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際に測定される結晶性樹脂由来の最大吸熱ピークのオンセット温度を示す。
無機微粒子をトナー母粒子の表面に均一固着する観点から、処理温度Tは数式(1)の範囲内である。TgAは、結晶性樹脂と非晶性樹脂との相溶時の、トナー母粒子のガラス転移温度を示している。容器内温度をTgA以上の温度として無機微粒子を外添することにより、トナー母粒子の表面の分子が動きやすくなるためトナー母粒子の表面が柔らかくなり、無機微粒子をトナー母粒子の表面に均一に固着することが可能である。
がTgA未満の場合には、トナー母粒子の表面の分子が動きにくいため、無機微粒子はトナー母粒子の内部に埋込まれにくい。その結果、撹拌混合時にトナー母粒子の凹部に無機微粒子が移動してしまいトナー母粒子の凸部における無機微粒子の量が少なくなるため、画像形成時においてトナーの転写性が低下しまう。また、撹拌混合時に無機微粒子の埋め込みが弱いため、無機微粒子はトナー母粒子への固着が弱くなってしまう。そのため、特に低湿低温の過酷環境下での低印字耐久において、現像器内のストレスにより無機微粒子が脱離して現像器の部材を汚染したりする。
一方、TがTp以上の場合には、結晶性樹脂が融解するため、無機微粒子の外添時にトナー母粒子同士の凝集が起こる。
尚、TgAは、低温定着性の観点から55℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましい。また。Tpは、耐熱保存性と低温定着性の観点から45℃以上110℃以下であることが好ましく、50℃以上100℃以下であることがより好ましい。
数式(4)中のWは、攪拌混合時のトナー母粒子の単位質量当たりの撹拌動力を示す。撹拌動力Wは、処理温度Tでトナー母粒子の表面が柔らかい状態のときに、無機微粒子の解砕と同時にトナー母粒子の表面の凹凸状態の相違に関係なくトナー母粒子の表面に無機微粒子を均一に固着させる動力であることが好ましい。
〔第二混合工程〕
第二混合工程では、前記混合物中の結晶性樹脂の結晶化を促進させると同時にトナー母粒子への無機微粒子の固定化が行なわれる。そのため、下記数式(2)、(3)、及び(4)で表される処理温度T(℃)と撹拌動力W(W/kg)の条件下にて混合が行なわれる。
TgA≦T<Tp (2)
3≦W (3)
≦1/2W (4)。
なお、数式(2)中の処理温度Tは、混合装置の容器内温度を示す。処理温度Tは、結晶性樹脂の結晶化を促進させる観点から、数式(2)の範囲内の温度である。処理温度Tが高いほど、非晶性樹脂と相溶化している結晶性樹脂の分子が動きやすくなるため、結晶性樹脂の結晶化は速くなる。TがTgA未満の場合には、結晶性樹脂の分子の動きが遅いため、結晶化が不十分となりトナーの耐熱保存性が低下する。さらには、結晶性樹脂と非晶性樹脂との相溶部が存在するため、第一混合工程でトナー母粒子に固着させた無機微粒子の固定化が弱くなる。その結果、画像形成時、特に低湿低温の過酷環境下での低印字耐久において現像器内のストレスにより、無機微粒子がトナー母粒子の内部に埋込まれ、トナーの転写性が低下する。
一方、TがTp以上の場合には、結晶性樹脂が融解するため、無機微粒子の外添時にトナー母粒子同士の凝集が起こる。
数式(3)中のWは、攪拌混合時のトナー母粒子単位質量当たりの撹拌動力を示す。撹拌動力Wは混合装置内のトナー母粒子の動きに相関している。混合装置内で、トナー母粒子を撹拌して動かすことでトナー母粒子と容器(熱源)との接触回数が増えて、トナー母粒子に熱を均一に伝えることが可能となる。その結果、トナー母粒子全体の結晶化度を均一に高めることができる。Wは3(W/kg)以上であることが必要であり、好ましくは5(W/kg)以上であり、より好ましくは10(W/kg)以上である。
撹拌動力Wが3(W/kg)未満の場合は、容器(熱源)と接触できないトナー母粒子が発生するため、トナー母粒子への熱の伝わりが不均一になり、結晶性樹脂の結晶化が不十分なトナー母粒子が存在する。つまり、トナー母粒子間に結晶化度のバラツキが生じる。その結果、製造されたトナーの耐熱保存性が低下する。
数式(4)は、撹拌動力Wと撹拌動力Wの関係を示す。第二混合工程で無機微粒子がトナー母粒子の内部へ埋込まれ過ぎるのを防ぐため、Wは、Wの1/2以下であることが好ましい。より好ましくは1/3以下である。Wが、1/2Wより大きい場合には、第一混合工程でトナー母粒子の表面に均一に固着した無機微粒子が、第二混合工程でトナー母粒子の内部に過度に埋め込まれる。つまり、無機微粒子の添加効果がなくなり、画像形成時においてトナーの転写性が低下する。
さらに、第二混合工程において、処理温度T(℃)は、結晶性樹脂の結晶化を促進させる観点から下記数式(5)を満たすことがより好ましい。
+5<T (5)。
さらに、第一混合工程において下記数式(6)を満たすことで、無機微粒子の解砕と同時に無機微粒子のトナー母粒子表面への均一固着性がより良好になる。具体的には、無機微粒子を一次粒子近くまで解砕することで、トナー母粒子の表面における無機微粒子の被覆率を高めることができる。さらに無機微粒子の解砕と同時に、トナー母粒子の結晶性樹脂が結晶化される前の柔らかい状態において、無機微粒子を打ち込むことで、トナー母粒子の表面凹凸の影響を受けにくく無機微粒子を均一に固着させることができる。そのため、画像形成時においてトナーの転写性が更に向上する。より好ましくは、Wは、50以上であることがより好ましい。
30≦W (6)。
〔トナー母粒子の製造方法〕
本発明のトナー母粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、低温定着性に優れたトナーとなる点から、粉砕法が好ましい。
以下、粉砕法によって本発明で用いられるトナー母粒子を得るための方法を説明する。原料混合工程では、トナー母粒子を構成する材料として、結晶性樹脂、非晶性樹脂、ワックス、着色剤、及びその他の添加剤等を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、非晶性樹脂中に結晶性樹脂、ワックス、及び着色剤等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工社製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー母粒子を得る。
必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理の如き表面処理を行い、トナー母粒子を得ることもできる。
本発明のトナーの製造方法においては、前記の如く特定の処理温度と撹拌動力での混合が、少なくとも第一混合工程と第二混合工程の2段階で行なわれる。混合装置は、「機械的衝撃力を付与する撹拌手段」を容器内に具備している。混合装置の一例として、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、ハイブリタイザー(奈良機械社製)、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製)等が挙げられる。
混合時には機械的衝撃力を加えることが好ましい。「機械的衝撃力」とは、混合装置の撹拌部と容器の底部もしくは壁面との間等にかかる力のことである。
第一混合工程の処理温度T(℃)、第二混合工程時の処理温度T(℃)の制御は、例えば、混合装置のジャケットに所定の温度に調整した水を流すこと、混合装置内に所定の温度に調整した熱風を導入すること、等で行うことができる。
第一混合工程において処理物の単位質量に与えられる混合装置の撹拌動力W(W/kg)、第二混合工程において処理物の単位質量に与えられる混合装置の撹拌動力W(W/kg)は、下記式により求められる。
=(E−E10)/(Y×X) (9)
=(E−E20)/(Y×X) (10)
:第一工程の処理物混合時の混合機の消費エネルギー[W・h]
10:第一工程の空運転時の消費エネルギー[W・h]
:第一工程の混合時間[h]
:第一工程の処理物の投入量[kg]
:第二工程の処理物混合時の混合機の消費エネルギー[W・h]
20:第二工程の空運転時の消費エネルギー[W・h]
:第二工程の混合時間[h]
:第二工程の処理物の投入量[kg]。
第一混合工程の時間Xは、無機微粒子を解砕し、トナー母粒子の表面に無機微粒子を固着させるため観点から2分間以上が好ましい。また、トナー母粒子の表面の凸部における無機微粒子が表面の凹部へ移動することを抑えて、トナー母粒子の表面に無機微粒子を均一に固着させる観点から30分間以下が好ましい。
第二混合工程の時間Xは、トナー全体の結晶化度を均一に高める観点から3分間以上が好ましい。また、第一工程でトナー母粒子の表面に固着させた無機微粒子のトナー母粒子の内部への埋込み過ぎを防ぎ、トナー母粒子の表面に無機微粒子を固定化させる観点から50分間以下が好ましい。
必要に応じて、第二混合工程以降に所望の無機微粒子を新たに添加し、ヘンシェルミキサー等の混合機により外添処理を行っても良い。
〔トナー母粒子の構成〕
次にトナー母粒子の構成について詳細に述べる。本発明において用いられるトナー母粒子は、結晶性樹脂を含有する。結晶性樹脂を含有させることにより、得られるトナーは優れた低温定着性を示す。結晶性樹脂の融点「Tcm」は、トナーの低温定着性の観点から、120℃以下であることが好ましい。また結晶性樹脂の融点は、トナーの耐熱保存性の観点から、55℃以上であることが好ましい。
下記数式(7)の「TgB−TgA」は、結晶性樹脂と非晶性樹脂が相溶した状態のガラス転移温度TgA(℃)と、結晶性樹脂と非晶性樹脂が相溶した状態の粒子を50℃で20分間放置して、結晶化を促進させた後のガラス転移温度TgB(℃)との差を示している。つまり、「TgA−TgB」の値が大きいほど、結晶性樹脂の結晶化速度が高いことを意味する。「TgA−TgB」の値は5℃以上であることが好ましく、6℃以上であることがより好ましい。
TgB−TgA≧5 (7)。
結晶性樹脂の結晶化速度が高いと、第二混合工程での結晶化の時間を短くできるため、第一混合工程でトナー母粒子の表面に均一固着させた無機微粒子のトナー母粒子の内部への埋込み過ぎを防ぎ、トナー母粒子の表面に無機微粒子を均一に固定化することができる。
次に結晶性樹脂の結晶化速度を高くする手法について述べる。結晶性樹脂の結晶化速度を高くするためには、ワックスとして炭化水素ワックスを用いることが好ましい。そのメカニズムは明確ではないが、本発明者らは、ワックスが核剤的な働きをしていると考えている。トナーの定着時にトナーを溶解させ、トナーの定着後にトナーが冷却されていく時に、ワックスは、まず、結晶性の高い部分が結晶化する。この結晶化したワックスが結晶核剤的な働きをし、結晶性樹脂の結晶化を促進させると考えている。特に、ワックスの融点「Twm」が結晶性樹脂の融点Tcmより高い場合、先にワックスが結晶化し、その後、結晶性樹脂が結晶化するために、結晶性樹脂の結晶化速度がさらに高くなる。また、結晶性樹脂とワックスの融点差が20℃未満であるとワックスの結晶化と結晶性樹脂の固化が同時に起こるため、結晶性樹脂の結晶化がより効率的に進む。
また、結晶性樹脂が結晶核剤部位を有することが、より好ましい。結晶性樹脂が結晶核剤部位を有することにより、結晶性樹脂が核剤部位から迅速に結晶化することができる。
さらには、結晶性樹脂の分子量を小さくすることでも結晶性樹脂の結晶化速度を上げることができる。結晶性樹脂の分子量を小さくすることで、結晶性樹脂の分子運動性が高まり、素早く分子が配向し、結晶化速度が向上する。結晶性樹脂の重量平均分子量Mwは、100,000以下であることが好ましく、45,000以下であることがより好ましい。
以上述べてきたように、結晶性樹脂の結晶化速度を高くする手法は、多数ある。本発明者らはこれらの手法のいずれか、または、これらの手法のいくつかの組み合わせの有無に拘らず、前記の数式(7)を満たすことが有効であることを見出した。
〔結晶性樹脂〕
結晶性樹脂については、形態は特に限定されないが、低温定着性に優れたトナーとなる観点から結晶性ポリエステルが好ましい。結晶性ポリエステルとしては具体的には以下のものが挙げられる。
結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、結晶性を高める観点から、炭素数6〜18の脂肪族ジオールが好ましい。これらの中でも、トナーの定着性及び耐熱安定性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。上記脂肪族ジオールは、結晶性ポリエステルの結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80.0〜100.0モル%含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していても良く、例えば以下のものが挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等を含む下記化学式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール。
Figure 0006376969
式中、Rは、炭素数2又は3のアルキレン基を示す。x及びyは、0以上の整数を示し、xとyの和は、1〜16、好ましくは2〜5である。
結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。これらの中でも、トナーの定着性及び耐熱安定性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。脂肪族ジカルボン酸化合物としては、1,8−オクタン二酸、1,9−ノナン二酸、1,10−デカン二酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸等が挙げられる。炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸化合物は、カルボン酸成分中に80.0〜100.0モル%含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸成分としては、上記脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していても良い。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、これらの酸の無水物、及びこれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステルが好ましく挙げられる。該アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、これらの酸の無水物、及びこれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
結晶性ポリエステルの原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量Mwは、相溶速度と結晶化速度、耐熱保存性を向上させるため、8000以上100,000以下であることが好ましく、12,000以上45,000以下であることがより好ましい。
さらに、結晶性ポリエステルが結晶核剤部位を有することが、結晶性ポリエステルの結晶化速度を向上できるため、より好ましい。結晶核剤部位を形成する原料としては、結晶核剤部位が導入される前の結晶性ポリエステル(以下「樹脂P」という。)よりも結晶化速度が高い化合物であれば特に制限されない。しかし、結晶核剤部位を形成する原料は、結晶化速度が高いという観点から、主鎖が直鎖の炭化水素系部位を含み、前記「樹脂P」の分子鎖末端と反応しうる1価以上の官能基を有する化合物であることが好ましい。
またその中でも、トナーの長期保存安定性を向上させる観点から、結晶核剤部位を形成する原料は、炭素数10以上30以下の脂肪族モノアルコール、炭素数11以上31以下の脂肪族モノカルボン酸であることが好ましい。すなわち、結晶核剤部位は、結晶性ポリエステルにおいて、上記脂肪族モノアルコール及び/または脂肪族モノカルボン酸が、結晶性ポリエステルの末端に縮合した構造を有することが好ましい。前記脂肪族モノアルコールとしては、1−デカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。前記脂肪族モノカルボン酸としては、ステアリン酸、アルキジン酸、ベヘン酸が挙げられる。
また結晶性ポリエステルの分子鎖末端の反応性が高まる点で、結晶核剤部位の分子量は100以上10,000以下であることが好ましく、150以上5,000以下であることがより好ましい。
結晶核剤部位は、結晶化速度を上げるという観点から、結晶性ポリエステルを構成するモノマー中に、好ましくは0.1モル%以上7.0モル%以下、より好ましくは0.5モル%以上4.0モル%以下含有される。
結晶核剤部位が結晶性ポリエステルと結合しているか否かの測定方法は、後述する。
次に、トナーの低温定着性の観点から、結晶性樹脂のSP値(SPa)と非晶性樹脂のSP値(SPb)が下記数式(8)満足することが好ましい。
−1.5≦SPb−SPa≦1.5 (8)。
本発明におけるSP値とは、「接着(40巻8号(1996)p342−350;高分子刊行会発行)」において、沖津俊直によって示された、下記数式(11)により算出される溶解性パラメータδである。
δ=ΣΔF/ΣΔv (11)
数式(11)中、ΔFは、各原子団のモル引力定数を表し、Δvは、各原子団のモル容積(1モル当りの容積)を表し、それぞれ具体的な値は下記表Aに示すとおりである。
また、混合物(混合溶剤等)のSP値を計算する場合には、各成分の溶解性パラメータとモル分率の積を計算し、その総和で求めることができる。具体的には下記数式(12)によって算出される。
δmix=φδ+φδ+・・・+φδ (12)
数式(12)中、φはn番目の成分のモル分率であり、δはn番目の成分の溶解性パラメータであり、「φ+φ+・・・+φ=1」である。
Figure 0006376969
例えば、ヘプタンのSP値は以下のように求められる。
ヘプタンは、原子団として、−CHを2個、−CH−を5個有する。上記表Aに記載された各原子団の値に基づいて、ΣΔF、ΣΔvを計算すると以下のようになる。
ΣΔF=205×2+132×5=1070
ΣΔv=31.8×2+16.5×5=146.1
従って、上記数式(11)よりヘプタンのSP値は、以下のように算出される。
ΣΔF/ΣΔv=1070/146.1=7.32。
樹脂のSP値は、樹脂の製造時に使用される原料モノマーの種類と量によって制御することができる。樹脂のSP値を大きくするためには、例えば、SP値の大きいモノマーを使用すればよい。一方、樹脂のSP値を小さくするためには、例えば、SP値の小さいモノマーを使用すればよい。
〔非晶性樹脂〕
非晶性樹脂については、形態は特に限定されないが、低温定着性に優れたトナーとなる観点から非晶性ポリエステルが好ましい。非晶性ポリエステルとしては具体的には以下のものが挙げられる。
非晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるアルコール成分としては下記のものが挙げられる。2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等を含む上記化学式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物;エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等。3価以上のアルコール成分としては、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。上記2価のアルコール成分及び3価以上の多価アルコール成分は、単独で、又は複数の化合物を組み合わせて用いることができる。
また、非晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、下記のものが挙げられる。2価のカルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、n−ドデセニルコハク酸、これらの酸の無水物、及びこれらの酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、及びこれらの酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。
非晶性ポリエステルのガラス転移温度「Tgnc」は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性の観点から45℃以上75℃以下であることが好ましい。非晶性ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、80℃以上150℃以下であることが好ましい。
非晶性ポリエステルの重量平均分子量Mwは、トナーの低温定着性と耐熱保存性の観点から、8,000以上1,000,000以下であることが好ましく、40,000以上300,000以下であることがより好ましい。
非晶性ポリエステルの酸価は、2mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることが、トナーの良好な帯電特性の観点から好ましい。
トナーに含有される、結晶性樹脂と非晶性樹脂との質量比は、トナーの低温定着性及び画像の長期保存安定性の観点から、1:99〜50:50であることが好ましく、5:95〜40:60であることがより好ましい。
〔ワックス〕
本発明で用いられるトナー母粒子は、ワックスを含有する。ワックスを含有させることによって、結晶性樹脂の結晶化速度を高めることができ、また、トナーに良好な離型性を付与することができる。結晶性樹脂の結晶化速度を高めるために、ワックスの種類としては、炭化水素ワックスが好ましく、ワックスの融点としては120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。さらに、ワックスの融点が、結晶性樹脂の融点より高く、かつ、その差が、20℃以下であれば、結晶化をより促進することができる。また、ワックスの融点は、耐熱保存性の観点から、60℃以上であることが好ましい。
ワックスとしては、トナー母粒子中での分散のしやすさ、トナーの離型性の高さの観点から、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き炭化水素系ワックスが好ましい。必要に応じて、二種以上のワックスを併用してもかまわない。ワックスとしては、具体的には以下のものが挙げられる。シューマン・サゾール社の商品名サゾールH1、H2、C80、C77、及び、日本精鑞株式会社の商品名HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−51。
ワックスは、粉砕法によってトナーを製造する場合は、溶融混練時に添加することが好ましい。また、非晶性樹脂の製造時にワックスを添加しても良い。ワックスは、結晶性樹脂及び非晶性樹脂の合計100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下含有することが好ましい。
〔着色剤〕
本発明において用いられるトナー母粒子に含有される着色剤としては、特に限定されず、公知の着色剤を使用することができる。具体的には以下のものが挙げられる。なお、着色剤は、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。
マゼンタトナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、185、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン用着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結晶性樹脂及び非晶性樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下である。
本発明のトナーは磁性トナーであっても良い。磁性トナーとして用いる場合は、磁性体および着色剤として磁性酸化鉄を用いることができる。磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマタイト,フェライト等の酸化鉄が用いられる。トナーに含有される磁性酸化鉄の量(着色剤としての)は、結晶性樹脂と非晶性樹脂の合計100.0質量部に対して25.0質量部以上45.0質量部以下であることが好ましい。この量は、より好ましくは30.0質量部以上45.0質量部以下である。
〔無機微粒子〕
本発明のトナーの製造方法において、上記トナー母粒子に無機微粒子が混合される。無機微粒子は、トナーの流動性を向上させる機能、トナーの帯電を均一化する機能、トナーの転写性を向上させる機能等を有する。無機微粒子の1次粒子の個数平均粒径としては、トナーの流動性向上、転写性向上の観点から10nm以上500nm以下が好ましく、更に好ましくは100nm以上300nm以下である。特に、本発明の方法によれば、トナーの転写性の向上に、より効果のある100nm以上の無機微粒子を、トナー母粒子の表面の凹凸状態に係わらず、トナー母粒子の表面に均一に固定化することが可能である。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複合酸化物微粒子の如き微粒子が挙げられる。これらの無機微粒子の中でも、シリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が好ましい。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。シリカ微粒子としては、シリカ微粒子の表面及び内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の含有量が少ない乾式シリカが好ましい。また乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化物と共に用いることによって製造された、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であっても良い。
また、無機微粒子自体が疎水化処理されることによって、トナーの帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上を達成することができるので、無機微粒子としては、疎水化処理された無機微粒子を用いることがより好ましい。トナーに外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーの帯電量が低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粒子の疎水化処理用の処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物及び有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。無機微粒子をカップリング剤で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粒子が、高湿環境下でもトナーの帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する観点から、より好ましい。
上記無機微粒子の添加量は、トナー母粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上8.0質量部以下であることがより好ましい。
トナー母粒子には、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。
〔磁性キャリア〕
本発明で製造されるトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることも可能である。磁性キャリアとしては、フェライトキャリアや、結着樹脂中に磁性体を分散させた磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、公知のものを使用できる。トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、現像剤中のトナー濃度が2質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
本発明で製造されるトナーは、重量平均粒径(D4)が、3.0μm以上8.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以上7.0μm以下であることがより好ましい。このような重量平均粒径(D4)のトナーを用いることは、トナーのハンドリング性を良好にしつつ、ドットの再現性を十分に満足する上で好ましい。トナーの重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比「D4/D1」は、1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましい。
トナーの平均円形度は、0.930以上0.985以下であることが好ましく、0.940以上0.980以下であることがより好ましい。このような平均円形度のトナーを用いることは、トナーの均一帯電性、及び転写残トナーのクリーニング性を満足する上で好ましい。
〔測定方法〕
以下に、本発明で規定する各物性値の測定方法を記載する。
<1.結晶核剤部位の測定>
サンプルを2mg精秤し、クロロホルム2mLを加えて溶解させてサンプル溶液を作製する。樹脂サンプルとしては結晶性ポリエステルを用いるが、結晶性ポリエステルを含有するトナーをサンプルとして代用することも可能である。次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mLを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1mL添加して溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μL、マトリックス溶液50μL、イオン化助剤溶液5μLを混合してMALDI分析用のサンプルプレート上に滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。分析機器として、MALDI−TOFMS(BrukerDalTonics製 Reflex III)を用い、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、分子末端に結晶核剤が結合した構造に対応するピークが存在するか否かを確認する。
<2.非晶性樹脂のガラス転移温度(Tgnc)の測定>
非晶性樹脂のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線から算出する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲20〜180℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。尚、測定においては、一旦温度を180℃まで昇温させて、続いて20℃まで降温速度50℃/分で冷却し、その後に再度昇温を行う。この2回目の昇温過程で温度20〜180℃の範囲におけるDSC曲線に比熱変化が検出される。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、非晶性樹脂のガラス転移温度「Tgnc」とする。
<3.トナーのガラス転移温度(Tg1st)の測定>
Tg1stは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線から算出する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲20〜180℃の間で、昇温速度10℃/分で昇温測定を行う。
この昇温過程で温度20〜180℃の範囲におけるDSC曲線の比熱変化が検出される。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、トナーの1回目昇温時のガラス転移温度「Tg1st」として用いる。
<4.トナー母粒子のガラス転移温度(TgA)の測定>
TgAは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線から算出する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲20〜180℃の間で、昇温速度10℃/分で1回目の昇温測定を行う。次いで、1回目の昇温後、20℃まで降温速度50℃/分で冷却する。冷却後、直ちに、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、2回目の昇温測定を行う。
2回目の昇温過程で温度20〜180℃の範囲におけるDSC曲線の比熱変化が検出される。トナー母粒子を試料として用いて得られたDSC曲線における非熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、トナー母粒子の2回目昇温時のガラス転移温度「TgA」として用いる。
<5.トナー母粒子のガラス転移温度TgBの測定>
TgBは、DSC測定の際の1回目の昇温後と2回目の昇温開始前の間の冷却操作が、TgAの測定方法の場合の冷却操作と異なる点を除き、TgAと同様にして測定される。即ち、1回目の昇温後、50℃まで降温速度50℃/分で冷却して50℃で20分間保持し、その後、20℃まで降温速度50℃/分で冷却し、20℃で10分間保持し、次いで2回目の昇温を開始する。
<6.結晶性樹脂及びワックスの融点及び融解熱量の測定>
結晶性樹脂及びワックスの融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度を融点とし、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜180℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。尚、測定においては、一旦温度180℃まで昇温させて、続いて30℃まで降温速度50℃/分で冷却し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を融点とし、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
<7.トナー母粒子中の結晶性樹脂由来のオンセット温度(Tp)の測定>
トナー母粒子中の結晶性樹脂由来のオンセット温度Tpは、示差走査熱量測定装置DSC Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/分
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。
測定で得られた測定データは装置付属の専用ソフト「TA Instruments Universal Analysis 2000」にて解析を行い、結晶構造を取りうる結晶性樹脂由来の最大吸熱ピークのオンセット温度Tpを算出する。前記最大吸熱ピークとは、DSCチャートにおいて複数の吸熱ピークが存在する場合、吸熱量が最大となるピークである。本発明の製造方法に用いるトナー母粒子において吸熱ピークを示す材料としては結晶性樹脂以外にワックスがあるが、トナー母粒子中の含有量から、最大吸熱ピークは結晶性樹脂に由来するものであると特定することができる。
尚、オンセット温度Tpは、図1に示すようにDSCチャートの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、前記最大吸熱ピークの昇温時の吸熱量変化を示す曲線において、こう配が最大になる点で引いた接線との交点を示す温度である。
<8.ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量の測定>
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流量で流し、THF試料溶液を約100μL注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば以下の組み合わせが挙げられる。昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せ。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料50mgをTHF10mL中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中における放置時間の合計が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)などを使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。又、試料濃度は、樹脂成分が0.5mg/mL以上5.0mg/mL以下となるように調整する。
<9.非晶性樹脂及びトナーの軟化点の測定>
非晶性樹脂及びトナーの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダ内に充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2の値Xを求める(X=(Smax−Smin)/2)。そして、前記流動曲線においてピストンの降下量が「Smin+X」となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料としては、約1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
昇温速度:4℃/min
開始温度:50℃
到達温度:200℃
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm。
<10.トナーの重量平均粒径(D4)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の1.〜7.に記載の通りである。
1.Multisizer 3専用のガラス製の250mLの丸底ビーカー内に前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
2.ガラス製の100mLの平底ビーカー内に前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
3.発振周波数50kHzの発振器2個の位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
4.前記2.のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
5.前記4.のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液中に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
6.サンプルスタンド内に設置した前記1.の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記5.の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
7.測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、トナーの重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<11.トナーの平均円形度の測定>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
具体的な測定方法としては、脱イオン水20mLに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加える。発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本発明においては、シスメックス社による校正作業が行われたシスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用する。解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うものである。試料チャンバー内に加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセル内に送り込まれる。フラットシースフロー内に送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L (21)。
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例に先立って、結晶性ポリエステル樹脂の製造例1〜4、非晶性ポリエステル樹脂の製造例11及び12、並びに、トナー母粒子の製造例21〜27を説明する。なお、実施例等における「部」及び「%」は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<製造例1>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、アルコールモノマーとして1,10−デカンジオール、及びカルボン酸モノマーとして1,10デカン二酸を表1に示す量で投入した。そして、触媒としてジオクチル酸錫をモノマー総量100質量部に対して1質量部添加し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら6時間反応させた。次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させ、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させて樹脂を得た。この樹脂は、結晶核剤部位が導入される前の結晶性ポリエステルである。
その後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、表1に示す量の結晶核剤(n−オクタデカン酸)を加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより「結晶性ポリエステル樹脂1」を得た。得られた樹脂のMALDI−TOFMSのマススペクトルには、結晶性ポリエステルの分子末端にn−オクタデカン酸が結合した構造のピークが確認されたことから、結晶性ポリエステルの分子末端と結晶核剤とが結合していることが確認された。結晶性ポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。
<製造例2乃至4>
モノマー、結晶核剤及び使用量を表1に記載の様に変更し、それ以外は、製造例1と同様にして結晶性ポリエステル樹脂2乃至4を得た。また得られた結晶性ポリエステル樹脂2のMALDI−TOFMSのマススペクトルにおいて、分子末端に結晶核剤が結合した構造のピークが確認され、分子末端と結晶核剤とが結合していることが確認された。これらの樹脂の物性を表2に示す。
Figure 0006376969
Figure 0006376969
<製造例11>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に示す使用量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、非晶性ポリエステル樹脂11を得た。その際、得られる樹脂の軟化点が表4の値となるように重合時間を調整した。非晶性ポリエステル樹脂11の物性を表4に示す。
<製造例12>
モノマー及び使用量を表3に記載の様に変更し、それ以外は、製造例11と同様にして非晶性ポリエステル樹脂12を得た。この樹脂の物性を表4に示す。
Figure 0006376969
Figure 0006376969
<製造例21>
下記表5に示す種類及び量の材料をヘンシェルミキサー(「FM−75型」、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度160℃に設定した二軸混練機(「PCM−30型」、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
次に、高圧気体を利用する衝突式気流粉砕機を用いて、この粗砕物を微粉砕した。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(「エルボージェットラボEJ−L3」、日鉄鉱業社製)で、この微粉砕物を分級して、微粉及び粗粉を同時に除去し、「トナー母粒子1」を得た。
Figure 0006376969
<製造例22乃至26>
製造例21において、使用する材料を表5に示す構成に変更したこと以外は、製造例21と同様にして、トナー母粒子2乃至6を得た。
<製造例27>
製造例21において、使用する材料を表6示す構成に変更したこと以外は、製造例21と同様にして、トナー母粒子7を得た。
Figure 0006376969
得られたトナー母粒子1〜7の物性を表9に示す。
〔実施例1〕
[1.第一混合工程]
下記表7に示す材料をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)に投入した。処理温度Tが50℃になるようにジャケットに流れる水の設定温度を調整し、撹拌動力Wが140W/kgとなるように回転数を調整して、5分間混合した。
Figure 0006376969
[2.第二混合工程]
第一混合工程終了後、処理温度Tが60℃になるようにジャケットに流れる水の設定温度を調整し、撹拌動力Wが10W/kgとなるように回転数を調整して、15分間混合した。第二混合工程後、目開き75μmの金網で篩って「トナー1」を得た。トナー1の材料構成と製造条件を表10に示す。またトナー1の物性を表11に示す。
[3.磁性キャリアの製造]
下記表8に示す種類及び量の材料を容器内に入れ、溶液減圧ニーダーで撹拌混合しながら75℃、5時間減圧乾燥を行い、溶剤を除去した。その後、135℃で2時間焼き付け処理して、篩振とう機(300MM−2型、筒井理化学機械:75μm開口)で篩い、D50が40μmの「磁性キャリア1」を得た。
Figure 0006376969
[4.トナーの評価]
トナー1を用いて、下記の評価1〜評価5を行った。いずれの評価についても良好な結果が得られた。評価結果を表12に示す。
(評価1)第二混合工程後の凝集性評価
第二混合工程後のトナーをポリカップにサンプリングして目視で評価した。評価結果を以下の基準でA〜Dにランク付けした。
A:まったく凝集物は確認されず、問題無い状態である。
B:若干凝集気味であるが、ポリカップを軽く5回振る程度で崩れる状態である。
C:凝集気味であるが、指でほぐすと簡単にほぐれる状態である。
D:凝集が激しい。
(評価2)保存性の評価
容量50mLのポリカップにトナーを5g秤量し、55℃の恒温槽内に3日間放置した。その後、恒温槽からトナーを取り出し、トナーの状態を観察し、評価結果を以下の基準でA〜Eにランク付けした。
A:まったく凝集物は確認されず、初期とほぼ同様の状態である。
B:若干凝集気味であるが、ポリカップを軽く5回振る程度で凝集物が崩れる状態である。
C:凝集気味であるが、指でほぐすと簡単にほぐれる状態である。
D:凝集が激しい。
E:トナーが固形化している。
(評価3)高速現像における低温定着性の評価
評価機として市販のカラーレーザープリンタColor Laser Jet CP4525(HP社製)を用いた。この評価機から定着器を取り外し、その代わりに、定着装置の定着温度、定着ニップ圧及びプロセススピードを任意に設定できるように改造した外部定着器を取り付けた。記録媒体としては、カラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m)を使用した。そして、市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を150g充填した。なお、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各ステーションには、それぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、およびブラックカートリッジを挿入した。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で、トナー載り量0.6mg/cmとなるようにベタ黒の未定着画像を出力した。定着器の定着温度を140℃、定着ニップ圧を0.10MPaとし、プロセススピードを300mm/secから500mm/secまでの範囲で20mm/secごとに上げていき、上記ベタ黒の未定着画像の定着を行った。得られたベタ黒画像を約100gの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着可能な最高プロセススピードVmaxとした。このVmaxが速い程、高速現像時の低温定着性に優れたトナーである。評価結果を以下の基準でA〜Dにランク付けした。
A(非常に良い):Vmaxが500mm/secである。
B(良い):Vmaxが400mm/sec以上、500mm/sec未満である。
C(普通):Vmaxが300mm/sec以上、400mm/sec未満である。
D(悪い):Vmaxが300mm/sec未満である。
(評価4)初期及び耐久性試験後の転写性の評価
トナー1と前記磁性キャリア1を用いて二成分系現像剤を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア100.0質量部に対して、トナー8.0質量部の配合割合とし、V型混合機で5分間混合した。
画像形成装置としては、キヤノン製カラー複写機imageRUNNER iRC3580の改造機を用いた。改造点は、現像剤担持体周速を500mm/secとし、感光体ドラム周速を300mm/secとなるようにしたことである。なお、上記二成分系現像剤は、画像形成装置のシアン用現像器内に充填した。又、シアンボトルを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を充填した。
この改造機を用いて、低温低湿(温度15℃、相対湿度10%)の環境下で、感光体上に載り量が0.3mg/cmになるように感光体の電位コントラストを調整した。
初期の転写性評価は、ベタ画像を出力し、ベタ画像形成時の感光体上の転写残トナーを、マイラーテープによりテーピングして剥ぎ取った。剥ぎ取ったテープを紙上に貼ったものの濃度Cから、テープのみを紙上に貼ったものの濃度Cを差し引いた濃度差をそれぞれ算出した。その濃度差の値から、以下のようにして判定した。なお、濃度はX−Riteカラー反射濃度計(Color reflection densitometerX−Rite 404A)で測定した。
また、耐久性試験後の転写性評価は、画像比率1%で50000枚印刷する耐久性試験を行った後に実施する評価である。初期評価と同様にしてベタ画像を出力し、濃度C及びCを測定し、濃度差の値を算出した。
評価結果を以下の基準でA〜Eにランク付けした。
A:濃度差が0.05未満である。
B:濃度差が0.05以上0.10未満である。
C:濃度差が0.10以上0.20未満である。
D:濃度差が0.20以上0.30未満である。
E:濃度差が0.30以上である。
(評価5)帯電ローラの汚染性の評価
この評価は、帯電ローラが汚染されると電気抵抗値が高くなり帯電電流が低下する現象を利用する評価である。
画像形成装置として、評価4と同様の改造機を用いた。低温低湿(温度15℃、相対湿度10%)の環境下で、直流電圧VDCは、ベタ部のトナーの紙上への載り量が0.5mg/cmとなるように調整した。その後、画像比率1%で50000枚印刷する耐久性試験を行った。耐久性試験前後の一定交流電圧印加で帯電ローラの帯電交流電流値を測定し、電流の低下量を汚染性として、評価結果を以下の基準でA〜Eにランク付けした。
ΔA(電流の低下量)=A(初期の電流値)−A(耐久性試験後の電流値)。
A:電流の低下量が0.10mA未満である。
B:電流の低下量が0.10mA以上0.20mA未満である。
C:電流の低下量が0.20mA以上0.30mA未満である。
D:電流の低下量が0.30mA以上0.40mA未満である。
E:電流の低下量が0.40mA以上である。
<実施例2〜31>
トナー母粒子及びシリカ微粒子の種類及び使用量、第一混合工程の条件、第二混合工程の条件を表10に示すように変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜31を得た。各トナーの物性を表11に示す。
トナーの種類を変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価1〜5を行った。二成分現像剤が必要な評価に関しては、実施例1と同様にして二成分現像剤を作成した。評価結果を表12に示す。
<比較例1及び2>
実施例2と同様の材料を用い、混合は、第一混合工程のみの一段混合として、混合条件を表10に示すように変更し、トナーC1及びC2を得た。これらのトナー物性を表11に示す。
トナーの種類を変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価1〜5を行った。二成分現像剤が必要な評価に関しては、実施例1と同様にして二成分現像剤を作成した。評価結果を表12に示す。
<比較例3〜9>
トナー母粒子及びシリカ微粒子の種類及び使用量、第一混合工程の条件、第二混合工程の条件を表10に示すように変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、トナーC3〜C9を得た。これらのトナー物性を表11に示す。
トナーの種類を変更したこと以外は、実施例1と同様にして評価1〜5を行った。二成分現像剤が必要な評価に関しては、実施例1と同様にして二成分現像剤を作成した。評価結果を表12に示す。
Figure 0006376969
Figure 0006376969
Figure 0006376969
Figure 0006376969

Claims (6)

  1. 着色剤、結晶性樹脂、非晶性樹脂及びワックスを含有するトナー母粒子と無機微粒子とを混合して混合物を得る第一混合工程、及び
    前記混合物を更に混合する第二混合工程、
    を有するトナーの製造方法であって、
    前記第一混合工程及び前記第二混合工程が、機械的衝撃力を付与する撹拌手段を容器内に具備する混合装置を用いて混合を行う工程であり、
    前記第一混合工程における処理温度をT(℃)と表示し、前記第一混合工程において処理物の単位質量に与えられる混合装置の撹拌動力をW(W/kg)と表示し、前記第二混合工程における処理温度をT(℃)と表示し、前記第二混合工程における処理物の単位質量に与えられる混合装置の撹拌動力をW(W/kg)と表示したときに、下記数式(1)、(2)、(3)及び(4)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法:
    TgA≦T<Tp (1)
    TgA≦T<Tp (2)
    3≦W (3)
    ≦1/2W (4)
    [式中、Tp(℃)は、前記トナー母粒子を測定試料とする示差走査熱量(DSC)測定において、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際に測定される結晶性樹脂由来の最大吸熱ピークのオンセット温度を示す。
    TgA(℃)は、前記トナー母粒子を測定試料とするDSC測定において、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した後、20℃まで降温速度50℃/分で冷却し、その後直ちに、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際に測定される2回目昇温時のガラス転移温度を示す。]。
  2. 前記T(℃)およびT(℃)が下記数式(5)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
    +5<T (5)
  3. 前記W(W/kg)が下記数式(6)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
    30≦W (6)
  4. 前記トナーが下記数式(7)を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法:
    TgB−TgA≧5 (7)
    [式中、TgB(℃)は、前記トナー母粒子を測定試料とするDSC測定において、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した後、50℃まで降温速度50℃/分で冷却し、50℃で20分間保持し、その後、20℃まで降温速度50℃/分で冷却し、20℃で10分間保持し、その後、20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際に測定される2回目昇温時のガラス転移温度を示す。]。
  5. 前記結晶性樹脂が結晶核剤部位を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
  6. 前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステルであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
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