JP6195375B2 - トナー - Google Patents

トナー Download PDF

Info

Publication number
JP6195375B2
JP6195375B2 JP2013263123A JP2013263123A JP6195375B2 JP 6195375 B2 JP6195375 B2 JP 6195375B2 JP 2013263123 A JP2013263123 A JP 2013263123A JP 2013263123 A JP2013263123 A JP 2013263123A JP 6195375 B2 JP6195375 B2 JP 6195375B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
polyester resin
temperature
resin
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013263123A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015118341A (ja
JP2015118341A5 (ja
Inventor
岡本 直樹
直樹 岡本
森部 修平
修平 森部
航助 福留
航助 福留
聡司 三田
聡司 三田
中村 邦彦
邦彦 中村
宜良 梅田
宜良 梅田
吉彬 塩足
吉彬 塩足
井田 哲也
哲也 井田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2013263123A priority Critical patent/JP6195375B2/ja
Publication of JP2015118341A publication Critical patent/JP2015118341A/ja
Publication of JP2015118341A5 publication Critical patent/JP2015118341A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6195375B2 publication Critical patent/JP6195375B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、電子写真法、静電荷像を顕像化するための画像形成方法およびトナージェット法に使用されるトナーに関する。
近年、電子写真法やトナージェット法に用いられるトナーは、装置の省電力化、ウェイトタイムの短縮化のために、省エネ対応の低温定着性が求められている。また、近年のプリントスピードの高速化に伴い、トナーと紙などのメディアが定着装置のニップ内を通過する時間は年々短くなってきている。よって、省エネ対応と高速対応を両立した更なる低温定着性を有するトナーが広く望まれている。
さらに、オフィスユースの印字比率の低い画像から、印字比率の高いグラフィック画像まで、ユーザーが複写機やレーザープリンター(LBP)などの画像形成装置を用いて出力する機会が増加している。印字比率の高いグラフィック画像とは、デジタルカメラ、携帯端末などによって取り込まれた画像データやポスターなどである。よって、印字比率の低い画像を長期に亘って出力でき得る耐久安定性と、印字比率の高い画像を短時間でプリントアウトでき得る低温定着性を両立するトナーが求められている。
このような背景から、まず優れた低温定着性を達成するために、結着樹脂として結晶性樹脂を用いたトナーが数多く提案されている。近年、低温定着性を改良するためのトナーとしては、結着樹脂の改良として結晶性樹脂が広く用いられるようになっている。
特許文献1には、結晶性樹脂がガラス転移温度付近で急激に溶融すること、結晶性樹脂と非晶性樹脂との相溶性を高めることで、トナーの低温定着性が改善されることが開示されている。しかしながら、両者の相溶性が高すぎると、トナーの耐久安定性が著しく低下してしまう。
逆に、非晶性樹脂と結晶性樹脂との相溶性を低くすると結晶性樹脂の結晶は形成されやすくなる傾向にあるが、融点以上においても両者は相溶しにくいため、特に印字比率の高い画像を短時間でプリントアウトする場合、低温定着性を良化することは困難である。
特許文献2では、トナーの製造工程に、特定の温度で加熱処理する工程を付加し、結晶性樹脂の再結晶化を促進させることが開示されている。特許文献2に記載の方法によれば、結晶性樹脂の結晶を含むトナーが得られる。しかしながら、定着工程においてトナーを一端溶融させると、結晶性樹脂と非晶性樹脂が相溶化してしまい、元の結晶状態には戻らないため、両面プリントを長期に亘って行うと、定着後のトナー画像同士が接着してしまう場合もある。
そこで、トナー中に結晶核剤を添加することによって、結晶性樹脂の結晶化を促進する手法が提案されている。特許文献3には、核剤として、安息香酸金属塩や脂肪酸アミドなどの有機系結晶核剤を用いることが記載されている。また、特許文献4には、核剤として、シリカなどの微粒子の無機系結晶核剤を用いることが記載されている。しかしながら、有機系核剤は、安息香酸金属塩や脂肪酸金属塩など低分子化合物である事が多く、こういった核剤は、トナー表面へ偏析して結晶核剤としての効果が不十分となり、トナーの耐久安定性が悪化してしまう場合がある。
一方、シリカなどの無機系結晶核剤は、その処方量が多いとフィラー効果を発現し、トナーの溶融粘度を高めるため、低温定着性を阻害する場合がある。また、無機系結晶核剤は帯電特性に影響し、トナーの帯電性の制御が困難になる場合が多い。特許文献5においても、結晶性樹脂の結晶核剤として、無機系結晶核剤の記載があるが、これらも低温定着性、帯電性、結晶核剤としての効果が十分であるとは言えない。
一方で、近年、優れた低温定着性を達成するために、熱伝導性に優れた無機微粒子を添加し、トナーの定着溶融時の可塑化を促進し、低温定着性を改良する提案がなされている。
特許文献6では、熱伝導率の高い窒化物をトナー中に添加することによって、低温定着性を改良したトナーが提案されている。しかしながら、熱伝導性は高いものの、その添加量が多いとフィラー効果を発現し、トナーの溶融粘度を高めるために、定着溶融時の可塑化促進効果を相殺してしまい、十分な低温定着性を得られない場合がある。
このように、高い耐久安定性と優れた低温定着性を両立するためには更なる改良の余地がある。
特開2010−102058号公報 特開2010−152102号公報 特開2007−033773号公報 特開2006−113473号公報 特許第3360527号公報 特開2012−103535号公報
本発明の目的は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化促進と、定着溶融時の可塑化促進を高い次元で両立することで、高い耐久安定性と優れた低温定着性を有するトナーを提供することである。
本発明は、結晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B、六方晶系の窒化ホウ素、および着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、ポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤部位を有し、
前記窒化ホウ素が、
一次粒子の個数平均粒径が0.050μm以上3.0μm以下であり、
粉末X線回折法により求められる結晶化度GI値が1.60以上、35.0以下であることを特徴とするトナーに関する。
又、本発明は、前記結晶核剤部位は、炭素数10以上30以下である脂肪族モノカルボン酸及び/又は、炭素数11以上31以下である脂肪族モノアルコールに由来する部位であることを特徴とするトナーに関する。
又、本発明は、前記結晶性ポリエステル樹脂AのSP値Sa((cal/cm31/2)が9.00以上11.50以下であり、且つ、該Saと前記非晶性ポリエステル樹脂BのSP値Sb((cal/cm31/2)とが下記式(1)を満足することを特徴とするトナーに関する。
−1.50≦Sb−Sa≦0.80 ・・・式(1)
本発明によれば、分子鎖の末端に結晶核剤部位を有する結晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B、および特定の六方晶系の窒化ホウ素を含有するトナーを用いることで、結晶化ポリエステル樹脂の結晶化促進と、定着溶融時の結着樹脂の可塑化促進を高い次元で両立させるトナーを提供することができる。すなわち、印字比率の低い画像を長期に亘って出力でき得る高い耐久安定性と、印字比率の高い画像を短時間でプリントアウトする優れた低温定着性とを両立するトナーを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
まず、本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B、六方晶系の窒化ホウ素、および着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーである。前記結晶性ポリエステル樹脂Aは、ポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤部位を有する。前記窒化ホウ素は、一次粒子の個数平均粒径が0.050μm以上3.0μm以下であり、粉末X線回折法により求められる結晶化度GI値が1.60以上、35.0以下である。
本発明のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖の末端に結晶核剤部位を有することと、特定の六方晶系の窒化ホウ素を併用する相乗効果で、トナーの結晶化促進および可塑化促進を高いレベルで両立することができることを見出した。本発明者らは、その理由を以下のように考えている。
従来、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂は相溶性を高めて、低温定着を改良してきた。しかしながら、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂を、例えば溶融混練工程により単に混ぜると相溶してしまい、結晶性ポリエステルの結晶化が起こらず、トナーとしてはガラス転移点(Tg)が低いトナーとなってしまう。
そこで、本発明者らは、まず結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖の末端に結晶核剤部位を有することで、相溶状態の結晶性ポリエステル樹脂の結晶化、特に結晶の核を形成する造核作用が高まることを見出した。そして、その結晶核剤部位とともに、さらに特定の六方晶系の窒化ホウ素を併用することで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化、特に結晶核を成長させる結晶成長作用を促進できることを見出した。
また、従来のように結着樹脂中に熱伝導性の高い無機微粒子を添加してトナーの可塑化を促進しようとしても、フィラー効果によるトナー粘度上昇が、トナーの可塑化を阻害する。しかしながら、本発明では、特定の結晶性ポリエステル樹脂と、特定の六方晶系の窒化ホウ素を併用することで、窒化ホウ素が有する六角網目構造の特有の格子振動による熱伝導性がトナー中で結晶化された樹脂成分の可塑化を促進できることを見出した。
この理由は定かではないが、本発明者らは、その理由を以下のように考えている。
窒化ホウ素が有する六角網目構造の結晶化度を特定の範囲にすることによって、結晶性ポリエステル分子鎖の末端の結晶核剤部位自体の結晶化速度を高め、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化、特に結晶の核を形成する造核作用を更に向上するのではないかと考える。また、定着溶融時の可塑時には、窒化ホウ素が有する六角網目構造の特有の格子振動による熱伝導が、まず結晶核部位自体の可塑化を促進し、結晶性ポリエステル樹脂の可塑化を誘発しやすくしているのではないかと考える。
よって、本発明の分子鎖の末端に特定の結晶性ポリエステル樹脂と、特定の六方晶系の窒化ホウ素の併用が、トナーの結晶化促進および可塑化促進を高いレベルで両立することができ、高い耐久安定性と優れた低温定着性を達成できることを見出し、本発明に至った。
本発明で用いられる六方晶系の窒化ホウ素は、一次粒子の個数平均粒径が0.050μm以上3.0μm以下である。この範囲にあることで、トナー中の結晶核を成長させる結晶成長作用を効果的に促進させることができ、定着溶融時にはトナー中で結晶化された樹脂成分の可塑化を効果的に促進させることができる。
0.050μm未満だと、窒化ホウ素自体の結晶化度が低くなってしまい、所望の結晶化促進効果が得られないこと、窒化ホウ素自体がトナー中で凝集しやすくなってしまい、所望の熱伝導性が得られないことがある。また、3.0μmを超えると、窒化ホウ素自体の結晶化度は高いものの、トナー中に取り込まれにくくなるために、トナーの結晶化および可塑化の促進効果が十分に得られにくくなってしまう。
また、本発明で用いられる六方晶系の窒化ホウ素は、粉末X線回折法による結晶化度G
I(Graphitization Index)値が、1.60以上35.0以下である。この値は、J. ThomasらがJ.Am.
Chem.Soc.,24,4619(1962)で報告した値で、X線回折図の(100)、(101)および(102)線の積分強度比すなわち面積比を次式によって算出することによって求めることができる。この値が小さいほど結晶性が高い。
GI値=〔面積{(100)+(101)}〕/〔面積(102)〕
面積{(100)+(101)}は(100)面に関するピークの面積と(101)面に関するピークの面積との和であり、面積(102)は(102)面に関するピークの面積である。
上記のように、GI値は六方晶系の窒化ホウ素の結晶性の指標であり、結晶性が高いほどこの値が小さくなり、完全に結晶化(黒鉛化)したものではGI値=1.60になるとされている。
このGI値が、1.60以上35.0以下であることで、トナー中の結晶核を成長させる結晶成長作用を効果的に促進させることができ、定着溶融時にはトナー中で結晶化された樹脂成分の可塑化を効果的に促進させることができる。
35.0を超える場合は、窒化ホウ素自体の結晶化度が低くなってしまい、所望の結晶化促進効果が得られない。1.60未満の場合は、窒化ホウ素自体の結晶化度が高く、粒子としても結晶成長した粒径を有することになり、トナー中に取り込まれにくくなるために、トナーの結晶化および可塑化の促進効果が十分に得られにくくなってしまう。
また、本発明で用いられる六方晶系の窒化ホウ素は、従来用いられてきたように、高い潤滑性と高帯電性を有することから、転写向上剤および帯電付与剤として機能することは言うまでもない。トナーとしての諸特性を向上し得るという点で、本発明で見出した結晶化および可塑化の促進効果を高いレベルで両立するトナーは、その他諸特性に弊害を与えることがないトナーであるといえる。
また、本発明で用いられる六方晶系の窒化ホウ素の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。さらには、0.2質量部以上10質量部以下で添加されていることがより好ましい。
0.2質量部以上であると、上記効果が得やすくなり、20質量部以下であると、トナー中に取り込まれやすくなり、遊離した窒化ホウ素が現像部材などに付着して画像不良を発生してしまう場合が少ない。
<結晶性ポリエステルAの分子鎖の末端に結合した結晶核剤部位>
一般的にトナー中の結晶性ポリエステルの結晶成分は、結晶核ができた後に、結晶が成長することでできる。本発明では、結晶性ポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤を有することで、結晶構造をとりうる部位に結晶化を誘発させることができ、結晶性ポリエステル樹脂Aの結晶化、特に結晶核を形成する造核作用を促進させることができる。
ポリエステル分子鎖に結晶核剤を有さない場合、結晶化を誘発させることができないため、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化が十分に起こらなくなってしまう。また、結晶核剤部位は低分子体である場合が多く、そのような低分子体が遊離した状態でトナー中に存在すると、遊離した結晶核剤がトナーの表面に析出しやすくなり、トナーの耐久安定性が悪化してしまう場合がある。
結晶核剤部位としては、結晶性ポリエステル樹脂Aよりも結晶化速度が速い化合物であれば特に制限されるものではない。結晶化速度が速い点で主鎖が炭化水素系部位を含み、ポリエステル樹脂Aの樹脂分子の末端と反応しうる1価以上の官能基を有する化合物であることが好ましい。
より結晶化速度を高めやすい点で、結晶核剤部位は、炭化水素系部位が直鎖状であり、官能基が1価の化合物が好ましい。また結晶核剤部位と結晶性ポリエステル樹脂Aの樹脂末端の反応性が高まる点で、結晶核剤部位の分子量は100〜10,000であることが好ましく、150〜5,000であることがより好ましい。
結晶核剤部位としては、結晶性ポリエステル樹脂Aのポリエステル分子末端に結合するものであれば、特に制限されない。炭素数10以上30以下の脂肪族モノカルボン酸および/または炭素数11以上31以下の脂肪族モノアルコールに由来する部位であることが好ましい。結晶核剤部位が特定の炭素数を有することで、結晶核剤の結晶化度が高くなり、さらに、結晶性ポリエステル樹脂Aよりも分子運動性が高いため、結晶核を形成する造核作用を高めることができる。
結晶核剤部位は、結晶化速度を上げるという観点から、ポリエステル樹脂A中に、ポリエステル樹脂Aのポリエステル分子鎖の原料モノマー100モルに対して、0.1モル以上、7.0モル以下含有されていることが好ましい。0.2モル以上、5.0モル以下含有されていることがより好ましい。
0.1モル以上の場合は結晶化速度が低くならず、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとが相溶しにくくなり、トナーのガラス転移点(Tg)が低くならず、トナーの耐久安定性が悪化してしまう場合が少ない。一方、7.0モル以下の場合には、結晶化度が高くなり過ぎることもなく、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとが定着時においても相溶化しにくくならず、十分な定着性が得られない場合が少ない。
結晶核剤部位が結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖と結合しているか否かは、以下の分析によって判別する。
サンプルを2mg精秤し、クロロホルム2mLを加えて溶解させてサンプル溶液を調製する。樹脂サンプルとしてはポリエステル樹脂Aを用いるが、ポリエステル樹脂Aが入手困難な場合には、ポリエステル樹脂Aを含有するトナーをサンプルとして代用することも可能である。
次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mLを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1mL添加して溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μL、マトリックス溶液50μL、イオン化助剤溶液5μLを混合してMALDI分析用のサンプルプレートに滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。分析機器として、MALDI−TOFMS(Bruker Daltonics製 ReflexIII)を用い、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、分子末端に結晶核剤が結合した組成に対応するピークが存在するか否かを確認する。
本発明では、結晶構造をとりうるポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤部位を有するポリエステル樹脂Aと、結晶構造をとりうる部位を有さないポリエステル樹脂Bとが用いられる。本発明において、結晶構造をとりうる部位を有するとは、示差走査熱量計(DSC)測定において昇温時に吸熱ピークがあり、降温時に発熱ピークを有することを指し、その測定は「ASTM D3418−82」測定法に準じて行う。
<結晶性ポリエステル樹脂Aおよび非晶性ポリエステル樹脂B>
本発明者らは、結晶性ポリエステル樹脂Aおよび非晶性ポリエステル樹脂BのSP値(溶解パラメータ)およびSP値差を制御することで、結晶核剤部位と特定の六方晶系の窒化ホウ素の併用による、結晶化および可塑化の促進効果を得られやすくなると考えている。
なお、本発明で用いられるSP値は、一般的に用いられている方法により、樹脂を構成するモノマーの種類と比率から算出する。また、ポリエステル樹脂AのSP値は、結晶核剤を除くポリエステル分子鎖のSP値を表している。
結晶性ポリエステル樹脂AのSP値Sa((cal/cm1/2)は、9.00以上11.50以下であると結晶化度が高いので好ましい。結晶性ポリエステル樹脂Aにおいて、SP値が低いということは、結晶性ポリエステル樹脂Aを構成する脂肪族カルボン酸および/または脂肪族アルコールの炭素数が多いことを示す。結晶性ポリエステル樹脂Aの結晶化度を高めるという観点では、炭素数が多いほど、つまりSP値が低いほど好ましい。また、結晶化ポリエステル樹脂Aの相溶性を高めるという観点では、炭素数が少ないほど、つまりSP値が高いほど好ましい。
トナー中の結晶性ポリエステル樹脂Aと非晶性ポリエステル樹脂Bとの相溶状態を制御するのは、非晶性ポリエステル樹脂BのSP値Sb((cal/cm1/2)と前記Saとの差である。結晶核剤部位と特定の六方晶系の窒化ホウ素の併用による、結晶化促進および可塑化促進を効果的に発揮するためには、ポリエステル樹脂AのSP値Saとポリエステル樹脂BのSP値Sbとが下記関係式(1)を満足することが好ましい。
−1.5≦Sb−Sa≦0.80 ・・・(1)
Sb−Saの値が小さくなると、結晶性ポリエステル樹脂Aは相溶しやすい状態となり優れた低温定着性を有するが、トナーのガラス転移点(Tg)は低くなるので、高い耐久安定性は達成しにくくなる。
Sb−Saの値が大きくなると、結晶性ポリエステル樹脂Aは結晶化しやすい状態となりトナーのガラス転移点(Tg)は高くなるので、高い耐久安定性を有するが、優れた低温定着性が達成しにくくなる。
結晶性ポリエステル樹脂Aの原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、ポリエステル樹脂Aの結晶性を高める観点から、炭素数6〜18の脂肪族ジオールを用いることが好ましい。これらの中でも、定着性および耐熱安定性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。上記脂肪族ジオールの含有量は、ポリエステル樹脂Aの結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80〜100モル%含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Aを得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していても良い。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物などを含む下記式(I)で示されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどの3価以上のアルコールが挙げられる。
Figure 0006195375
(式中、Rは、炭素数2または3のアルキレン基を示す。xおよびyは、正の数を示し、xとyの和は、1〜16、好ましくは1.5〜5である。)
結晶性ポリエステル樹脂Aの原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、ポリエステル樹脂Aの結晶性を高める観点から、炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸化合物を用いることが好ましい。これらの中でも、トナーの定着性および耐熱安定性の観点から、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、1,8−オクタン二酸、1,9−ノナン二酸、1,10−デカン二酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸などが挙げられる。炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中に80〜100モル%含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Aを得るためのカルボン酸成分としては、上記脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していても良い。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。
芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸およびこれらの酸の無水物、ならびにそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステルが好ましく挙げられる。前記アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸などの芳香族カルボン酸、およびこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステルなどの誘導体が挙げられる。
本発明に用いることのできる結晶性ポリエステル樹脂Aは、示差走査熱量計(DSC)測定において昇温時に観測される吸熱ピークの面積から求められる融解熱量(ΔH)が80J/g以上、140J/g以下であることが好ましい。また、ポリエステル樹脂Aの融点は、トナーの低温定着性の観点から、60℃以上、120℃以下であることが好ましく、70℃以上、90℃以下であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Aの酸価は、2mgKOH/g以上、40mgKOH/g以下であることが、トナーの良好な帯電特性の観点から好ましい。ポリエステル樹脂Aの水酸基価は、定着性および、保存安定性の観点から2mgKOH/g以上、40mgKOH/g以下であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂Bを得るためのアルコール成分としては下記のものが挙げられる。2価のアルコール成分としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物などを含む上記式(I)で示されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。3価以上のアルコール成分としては、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
上記2価のアルコール成分および3価以上の多価アルコール成分は、単独で、または複数の化合物を組み合わせて用いることができる。
非晶性ポリエステル樹脂Bを得るためのカルボン酸成分としては、下記のものが挙げられる。2価のカルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、n−ドデセニルコハク酸、およびこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステルなどが挙げられる。3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステルなどが挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂Bは、上記のアルコール成分およびカルボン酸成分を用いて、エステル化反応、またはエステル交換反応によって製造することができる。縮重合の際には、反応を促進させるため、酸化ジブチル錫などの公知のエステル化触媒などを適宜使用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は、定着性および耐久安定性の観点から45℃以上、70℃以下であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂Bの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、80℃以上130℃以下であることが好ましく、90℃以上120℃以下であることがより好ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂Bを低分子量樹脂と高分子量樹脂の併用とする際は、トナーの低温定着性の観点から、低分子量樹脂の軟化点は、80℃以上110℃以下、高分子量樹脂の軟化点は、120℃以上150℃以下であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂Bの酸価は、2mgKOH/g以上、40mgKOH/g以下であることが、トナーの良好な帯電特性の観点から好ましい。ポリエステル樹脂Bの水酸基価は、定着性および保存安定性の観点から2mgKOH/g以上、40mgKOH/g以下であることが好ましい。
本発明のトナーに含有される、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとの質量比は、低温定着性および耐久安定性の観点から、5:95〜40:60であることが好ましい。
<トナーの物性値>
トナーの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、80℃以上、120℃以下であることが好ましい。トナーの重量平均分子量は、定着性と、高温オフセット抑制の観点から、3000以上、100000以下であることが好ましい。
トナーの離型性を高めるために、必要に応じてトナーにワックスを用いても良い。ワックスとしては、トナー中での分散のしやすさ、離型性の高さの観点から、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの炭化水素系ワックスが好ましい。必要に応じて、2種以上のワックスを併用してもかまわない。
ワックスとしては、具体的には以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200 (三洋化成工業(株))、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学(株))、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞(株))、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト(株))、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス((株)セラリカNODAにて入手可能)。
ワックスは、粉砕法によってトナーを製造する場合は、溶融混練時に添加することが好ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂Bの製造時にワックスを添加しても良い。
トナーは、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上、20質量部以下のワックスを含有することが好ましい。
本発明のトナーは磁性トナーであっても非磁性トナーであっても良い。磁性トナーとして用いる場合は、磁性体として磁性酸化鉄を用いることが好ましい。磁性酸化鉄としては、マグネタイト,マグヘマタイト,フェライトなどの酸化鉄が用いられる。トナーに含有される磁性酸化鉄の量は、ポリエステル樹脂AおよびB100質量部に対して25質量部以上、45質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30質量部以上、45質量部以下である。
本発明のトナーを非磁性トナーとして用いる場合には、着色剤としてカーボンブラックやその他、公知の顔料や染料を用いることができる。また、顔料や染料は一種のみ使用しても良いし、2種以上を併用することもできる。トナーに含有される着色剤は、ポリエステル樹脂AおよびB100質量部に対して、0.1質量部以上、60.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、50.0質量部以下である。
トナーには、無機微粉体などの流動性向上剤を使用することができる。流動性向上剤としては、以下のものが挙げられる。フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末などのフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカなどの微粉末シリカ、それらシリカをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、またはシリコーンオイルなどにより表面処理を施した処理シリカ。好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、乾式法シリカまたはヒュームドシリカである。
その中でも、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体が好ましく用いられる。処理シリカ微粉体は、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30以上、98以下であることが好ましい。
シリカ微粉体の疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理する方法が挙げられる。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法である。有機ケイ素化合物としては、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフエニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個当りのSiに結合した水酸基(ヒドロキシ基)を含有するジメチルポリシロキサン。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
シリカ微粉体は、シリコーンオイルによって処理されても良く、また、シリコーンオイルと上記有機ケイ素化合物とを併用して処理されていても良い。シリコーンオイルとしては、温度25℃における粘度が30mm/s以上、1000mm/s以下であるものが好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイルによるシリカ微粉体の疎水化処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で温度200℃以上(より好ましくは250℃以上)で加熱し、表面のコートを安定化させたものがより好ましい。
無機微粉体は、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上、8.0質量部以下用いることが好ましく、より好ましくは0.10質量部以上、4.0質量部以下である。
トナーには、必要に応じて他の外部添加剤を添加しても良い。例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、研磨剤の働きをする樹脂微粒子や無機微粒子である。
滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることも可能である。磁性キャリアとしては、フェライトキャリアや、ポリエステル樹脂のような結着樹脂中に磁性体を分散させた磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)など、公知のものを使用できる。トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、現像剤中のトナー濃度が2質量%以上、15質量%以下であることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、特に限定されるものではないが、より低温定着性に優れたトナーとなる点から、粉砕法が好ましい。粉砕法では、溶融混練工程において、せん断を加えて材料を混合することで結晶性ポリエステル樹脂Aの分子鎖が非晶性ポリエステル樹脂Bへ入り込みやすくなる。このため、定着時において、結晶性ポリエステル樹脂Aおよび非晶性ポリエステル樹脂Bを良好に相溶化させることができ、トナーの低温定着性を良化できる。
従来は、粉砕法によりトナーを製造する場合、ポリエステル樹脂の結晶性を維持することが困難であったために、溶融混練工程において一端相溶化すると、トナー中に結晶部位を形成することは難しかった。しかし、ポリエステル樹脂Aの分子末端の結晶核剤や、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂BとのSP値の差などの制御により、粉砕法で製造した場合であっても、トナー中に結晶部位が良好に存在するトナーを得ることができる。
<粉砕法によってトナーを得る方法>
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B、着色剤、その他の添加剤などを、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、ポリエステル樹脂中に着色剤などを分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機(池貝鉄工(株)製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロールなどで圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
次いで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどの粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)などの分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて、球形化処理などのトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
さらに必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサーなどの混合機により十分混合することができる。
結着樹脂、窒化ホウ素およびトナーに係る物性の測定方法は以下に示すとおりである。後述の実施例においてもこれらの方法に基づいて物性値を測定している。
<窒化ホウ素の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定>
本発明で用いられる窒化ホウ素の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定は、JIS Z8825−1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下のとおりである。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」((株)堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows(登録商標) WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、あらかじめ不純固形物などを除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下のとおりである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、ファイル「110A000I」(相対屈折率1.10)を選択する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を個数基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行なった後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行なう。
(7)ガラス製の100mL平底ビーカーに約60mLのイオン交換水を入れる。この中に分散剤として、「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(8)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(9)前記(7)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(10)前記(9)のビーカー内の水溶液に超音波を照射した状態で、約1mgの窒化ホウ素を少量ずつ前記ビーカー内の水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、この際に窒化ホウ素が固まりとなって液面に浮く場合があるが、その場合はビーカーを揺り動かすことで固まりを水中に沈めてから60秒間の超音波分散を行なう。また、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(11)前記(10)で調製した窒化ホウ素が分散した水溶液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%〜95%となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた個数基準の粒度分布のデータを元に、一次粒子の個数平均粒径を算出する。
<窒化ホウ素の結晶化度Graphitization Index(GI)値測定>
窒化ホウ素の結晶化度GI値は、リガク社製の粉末X線回折装置“RINT TTRII”システムにより、窒化ホウ素のX線回折スペクトルから得られる(100)面、(101)面、(102)面のピーク面積強度比で示され、下記式から求めた。
GI値=〔面積{(100)+(101)}〕/〔面積(102)〕
なお、X線はCuKαをX線源とし、CuKβ線はニッケルフィルターにより除去している。標準物質には高純度シリコンを使用し、主な測定条件は以下の表1のとおりである。
Figure 0006195375
<GPCによる重量平均分子量の測定>
温度40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mLの流速で流し、THF試料溶液を約100μL注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー(株)製あるいは昭和電工(株)製の分子量が10〜10程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。なお、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工(株)製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー(株)製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができる。
<試料の作製>
試料をTHF中に入れ、温度25℃で数時間静置した後、十分振盪し、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、さらに12時間以上静置する。その時THF中への静置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー(株)製)など使用できる。)を通過させたものをGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)の試料とする。また、試料濃度は、樹脂成分が0.5mg/mL以上、5.0mg/mL以下となるように調整する。
<ポリエステル樹脂およびワックスの融点および融解熱量の測定>
ポリエステル樹脂およびワックスの融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線における最大の吸熱ピークのピーク温度とする。また、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を、融点、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
<ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgの測定>
ポリエステル樹脂およびトナーのTgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。
この2度目の昇温過程での温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgとする。
<ポリエステル樹脂およびトナーの軟化点の測定>
ポリエステル樹脂およびトナーの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」((株)島津製作所製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行なう。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの試料を、温度25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム(株)製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の表2のとおりである。
Figure 0006195375
<ポリエステル樹脂の酸価の測定>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。ポリエステル樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間静置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕したポリエステル樹脂の試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<ポリエステル樹脂の水酸基価の測定>
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。ポリエステル樹脂の水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスなどに触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガスなどに触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間静置後、濾過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。
前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕したポリエステル樹脂の試料1.0gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mLをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、温度約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mLで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
ポリエステル樹脂の試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:ポリエステル樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下の装置およびソフトウェアを用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
・100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)
・測定条件設定および測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
1.Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
2.ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。「コンタミノンN」は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液(和光純薬工業(株)製)である。
3.発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの下記の超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
・超音波分散器:「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)
4.前記2.のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
5.前記4.のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
6.サンプルスタンド内に設置した前記1.の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記5.の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
7.定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの熱伝導率の測定方法>
サンプルに関しては、トナーを3.0g秤量し、直径25mmのペレット作成用冶具にセットした後、ニュートンプレスにて20MPaの加圧条件で1分間加圧して、厚み5mm程度のペレットを作製した。得られたペレットは常温常湿(温度23℃、相対湿度50%RH)環境下にて、24時間以上静置した後、測定用サンプルとした。
熱伝導率測定は、ホットディスク社製Hot Disk TPS2500を用いて、60mW、40秒間、測定ポイントは200ポイントとし、50〜200ポイントの測定値から解析を行い、熱伝導率(W/mK)を求めた。そして、3回測定の平均値をもってトナーの熱伝導率とした。
以下の実施例において、部数は質量部基準である。
<ポリエステル樹脂A1の製造>
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した反応槽中に、アルコールモノマーとして1,10−デカンジオール、およびカルボン酸モノマーとして1,10デカン二酸を表3に示す量を投入した。そして、触媒としてジオクチル酸錫をモノマー総量100質量部に対して1質量部添加し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら6時間反応させた。次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させ、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させた。
その後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、表3に示した結晶核剤(n-オクタデカン酸)を加え、常圧下にて温度200℃で2時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して温度200℃で3時間反応させることによりポリエステル樹脂A1を得た。得られた樹脂A1のMALDI−TOFMSのマススペクトルには、樹脂Aの分子末端にn−オクタデカン酸が結合した組成のピークが確認されたことから、樹脂Aの分子末端と結晶核剤とが結合していることが確認された。ポリエステル樹脂A1の物性を表4に示す。
<ポリエステル樹脂A2〜A13の製造>
モノマー、結晶核剤および使用量を表3に記載の様に変更し、それ以外はポリエステル樹脂A1と同様にして、ポリエステル樹脂A2〜A13を得た。また得られた樹脂A2〜樹脂A12のMALDI−TOFMSのマススペクトルにおいて、樹脂Aの分子末端に結晶核剤が結合した組成のピークが確認され、分子末端と結晶核剤とが結合していることが確認された。
ポリエステル樹脂A2〜A13の物性を表4に示す。
Figure 0006195375
Figure 0006195375
<ポリエステル樹脂B1の製造>
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した反応槽中に、表5に示す使用量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。温度210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、温度210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、ポリエステル樹脂B1を得た。
その際、得られるポリエステル樹脂B1の軟化点が表6の値(115℃)となるように重合時間を調整した。ポリエステル樹脂B1の物性を表6に示す。
<ポリエステル樹脂B2〜B4の製造>
モノマーおよび使用量を表5に記載の様に変更し、それ以外は、ポリエステル樹脂B1と同様にしてポリエステル樹脂B2〜B4を得た。ポリエステル樹脂B2〜B4の物性を表6に示す。
Figure 0006195375
Figure 0006195375
<実施例1>
Figure 0006195375
上記表7に記載の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))にて回転数3.3s−1、混練温度120℃の条件で混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径が7.0μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対して、下記表8に記載の材料を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)で混合して、トナー1を得た。
Figure 0006195375
得られたトナーの材料構成と物性に関しては表13に記載したとおりである。
また、得られたトナーの評価に関しては、下記(1)〜(4)の評価手法と判断基準をもって評価した。
(1)高速定着性(定着可能な通過時間)
トナーの高速定着性の評価には、市販のカラーレーザープリンタColor Laser Jet CP4525(HP社製)を用いた。
評価機の定着器を取り出し、定着装置の定着温度、定着ニップ幅およびプロセススピードを任意に設定できるようにした外部定着器とした。メディアとしては、カラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m)を使用した。そして、市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を150g充填した。なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションには、それぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、およびブラックカートリッジを挿入した。
測定環境は常温低湿(温度23℃、相対湿度5%RH)の環境下で、トナー載り量0.8mg/cmとなるようにベタ画像の未定着画像を出力した。
定着器の定着温度を140℃、定着ニップ幅を8mmおよび12mmとし、プロセススピードを200mm/秒から500mm/秒までの範囲で50mm/秒ごとに上げていき、各プロセススピードで上記ベタ画像の未定着画像の定着を行った。得られたベタ画像を約100gの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が20%以下になる点を定着可能な通過時間とした。この定着可能な通過時間が短いほど、高速定着性に優れたトナーであり、下記表9に記載の判断基準にて評価した。評価結果を表14に示す。
Figure 0006195375
(2)軽圧定着性(分離可能温度範囲)
トナーの軽圧定着性の評価には、評価手法(1)と同様にして評価機を準備した。
測定環境は高温高湿(温度30℃、相対湿度85%RH)の環境下で、トナー載り量0.8mg/cm2となるようにベタ画像の未定着画像を出力した。
定着器の定着ニップ幅を6mm、プロセススピードを400mm/秒で定着温度を5℃づつ上げつつ、上記ベタ画像の未定着画像の定着を行った。得られたベタ画像を約100gの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が20%以下になる点を定着可能温度とし、上記ベタ画像の未定着画像が定着器に巻き付いた温度を分離可能温度とした。そして、その温度差(分離可能温度−定着可能温度)を分離可能温度範囲とした。この分離可能温度範囲が大きいほど、定着性に優れたトナーであり、下記表10に記載の判断基準にて評価した。評価結果を表14に示す。
Figure 0006195375
(3)耐久安定性評価その1(高速低印字比率二成分系評価)
トナーの耐久性評価その1の評価には、市販の複写機iR-ADVANCE C5051(キヤノン(株)製)を用いた。
シアン現像器を抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を25gと50μmのフェライトキャリア225gを混合した二成分現像剤を現像器に充填した。また、シアンボトルを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を500g充填した。
測定環境は高温高湿(温度30℃、相対湿度85%RH)の環境下で、印字比率を1%として、50000枚まで耐久を行った。そして耐久前後のトナーのBET値(BET法による比表面積)を測定し、その比をBET低下率(%)とし、下記表11に記載の判断基準にて評価した。評価結果を表14に示す。
Figure 0006195375
(4)耐久安定性評価その2(高速低印字比率一成分系評価)
トナーの耐久性評価その2の評価には、評価手法(1)と同様にして評価機を準備した。
測定環境は高温高湿(温度30℃、相対湿度85%RH)の環境下で、プロセススピードを400mm/秒、印字比率を1%として、30000枚まで耐久を行った。そして耐久前後のトナーのBET値を測定し、その比をBET低下率(%)とし、下記表12に記載の判断基準にて評価した。評価結果を表14に示す。
Figure 0006195375
<実施例2〜21>
トナーの材料構成を表13に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜21を作製した。トナー2〜21の物性を表13に示す。また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表14に示す。
なお、実施例4においては、窒化ホウ素として、一次粒子の個数平均粒径(D1)が0.050μm、GI値が33.71であるAP−170S((株)MARUKA製)を用いた。実施例6においては、窒化ホウ素として、一次粒子の個数平均粒径が1.0μm、GI値が1.97であるUHP−S1(昭和電工(株)製)を用いた。
実施例6においては、窒化ホウ素として、一次粒子の個数平均粒径が3.0μm、GI値が1.97であるAP−10S((株)MARUKA製)を用いた。
<比較例1〜4>
トナーの材料構成を表13に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー22〜25を作製した。トナー22〜25の物性を表13に示す。また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表14に示す。
なお、比較例4においては、窒化ホウ素として、一次粒子の個数平均粒径が0.10μm、GI値が95.6であるAP−10S((株)MARUKA製)を用いた。
Figure 0006195375
Figure 0006195375

Claims (4)

  1. 結晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B、六方晶系の窒化ホウ素、および着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結晶性ポリエステル樹脂Aが、ポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤部位を有し、
    前記窒化ホウ素が、
    一次粒子の個数平均粒径が0.050μm以上3.0μm以下であり、
    粉末X線回折法により求められる結晶化度GI値が1.60以上35.0以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記結晶核剤部位が、
    炭素数10以上30以下である脂肪族モノカルボン酸および/または、
    炭素数11以上31以下である脂肪族モノアルコール
    に由来する部位である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結晶性ポリエステル樹脂AのSP値Sa((cal/cm1/2)が9.00以上11.50以下であり、
    前記Saと前記非晶性ポリエステル樹脂BのSP値Sb((cal/cm1/2)とが下記式(1)を満足する請求項1または2に記載のトナー。
    −1.50≦Sb−Sa≦0.80 ・・・ 式(1)
  4. 前記六方晶系の窒化ホウ素の含有量が、トナー粒子100質量部に対して、0.2質量部以上20質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
JP2013263123A 2013-12-19 2013-12-19 トナー Active JP6195375B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013263123A JP6195375B2 (ja) 2013-12-19 2013-12-19 トナー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013263123A JP6195375B2 (ja) 2013-12-19 2013-12-19 トナー

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015118341A JP2015118341A (ja) 2015-06-25
JP2015118341A5 JP2015118341A5 (ja) 2017-02-02
JP6195375B2 true JP6195375B2 (ja) 2017-09-13

Family

ID=53531073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013263123A Active JP6195375B2 (ja) 2013-12-19 2013-12-19 トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6195375B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6598112B2 (ja) * 2015-10-08 2019-10-30 花王株式会社 電子写真用トナー及びその製造方法
JP6886353B2 (ja) * 2016-06-09 2021-06-16 三洋化成工業株式会社 トナー用樹脂及びトナー
JP6777774B2 (ja) * 2018-03-06 2020-10-28 三洋化成工業株式会社 トナーバインダー及びトナー
JP7407068B2 (ja) 2020-05-25 2023-12-28 花王株式会社 トナー用結着樹脂組成物

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4863107B2 (ja) * 2006-03-23 2012-01-25 三菱化学株式会社 静電荷像現像用トナー
JP5247173B2 (ja) * 2007-07-11 2013-07-24 三洋化成工業株式会社 トナー用樹脂およびトナー組成物
JP5185006B2 (ja) * 2008-07-31 2013-04-17 三洋化成工業株式会社 静電荷像現像用トナー
EP2869126A4 (en) * 2012-06-22 2016-01-20 Canon Kk TONER

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015118341A (ja) 2015-06-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6104072B2 (ja) トナー
JP5984528B2 (ja) トナー
JP6181992B2 (ja) トナー
JP6140002B2 (ja) トナー
US9116448B2 (en) Toner
JP2015045851A (ja) トナー
US9285697B2 (en) Toner
JP6448351B2 (ja) トナー及び二成分系現像剤
JP6214371B2 (ja) トナー
US8071268B2 (en) Electrophotographic toner
JP2012150467A (ja) トナー
JP6376969B2 (ja) トナーの製造方法
JP6195374B2 (ja) トナー
JP2015121580A (ja) トナー
JP6195375B2 (ja) トナー
JP6292865B2 (ja) トナー及び二成分系現像剤
JP6659141B2 (ja) トナー
JP2017142320A (ja) トナーの製造方法
JP2017122820A (ja) トナーの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161214

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170718

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170810

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6195375

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D03