JP2015045851A - トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B、及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、該結晶性ポリエステル樹脂Aは、ポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤部位を有し、且つ該結晶性ポリエステル樹脂AのSP値Sa((cal/cm3)1/2)が9.00以上11.50以下であり、さらに、該非晶性ポリエステル樹脂Bが、特定の官能基を有することを特徴とするトナー。
【選択図】なし
Description
一般的に定着性能はトナーの粘度と関係があるが、特に、高速現像システムにおいては、従来の定着性能に加え、わずかな定着時の熱により素早く融ける性質(いわゆるシャープメルト性)も求められる。
特許文献1では炭素数10〜24の1価の脂肪族カルボン酸化合物及び炭素数10〜24の1価の脂肪族アルコールの群より選ばれた少なくとも1種の1価の脂肪族化合物を非晶性ポリエステル樹脂に結合させ、低温定着性を改良させたトナーの提案がなされている。
こういった脂肪族炭化水素部位を非晶性ポリエステル樹脂に結合させると、この部位が、非晶性ポリエステル樹脂を可塑し、低温定着性は向上する。
また、シャープメルト性を付与する目的で、結着樹脂として非晶性樹脂だけでなく、結晶性樹脂を使用するという報告が数多くされている(例えば特許文献2)。
結晶性樹脂は、ガラス転移温度付近で急激に溶融し、非晶性樹脂との相溶性を高める事で、低温定着性を改良できることが知られている。
しかしながら、両者の相溶性が高すぎると、トナーの耐熱保存性が悪化し、また、結晶性樹脂のもつシャープメルト性が失われるため、高速現像システムにおいて、定着性が悪化することがある。
しかし、いずれの場合も定着性能に一定の効果は見られるものの、非晶性ポリエステル樹脂に結合した脂肪族炭化水素部位が、非晶性ポリエステル樹脂を可塑しやすいという状態を確実に避けることは困難である。特に、長期間高温で放置した場合に、トナーの耐熱保存性が低下する場合がある。
このように、高速現像時の定着性と長期保存安定性および高温高湿保存安定性、さらには、グロス均一性を十分に満足できるトナーは未だないのが現状である。
すなわち、本発明の目的は長期保存安定性および高温高湿保存安定性に優れ、高速印字における定着性が良好で均一なグロスを有するトナーを提供することにある。
(a)炭素数8以上50以下の脂肪族炭化水素基
(b)炭素数8以上50以下の脂肪族アルコールが縮合により結合した官能基
(c)炭素数9以上51以下の脂肪族カルボン酸が縮合により結合した官能基
そこで、発明者らは、室温では官能基Cが結晶化しており、非晶性ポリエステル樹脂の可塑化が抑制され、溶融状態においては、非晶性ポリエステル樹脂全体を可塑化する材料を用いれば、所望の性能が得られるのではないかと考えた。つまり造核効果と可塑効果両方を有する材料を添加すれば、所望の性能が得られると考えた。
こういった要件を鑑み、我々は、結晶性ポリエステル樹脂末端に結晶核剤を結合させた材料(結晶性ポリエステル樹脂A)を用いる事で、造核効果と可塑効果両方の効果が発現できると考えた。
結晶核剤を有する結晶性ポリエステル樹脂Aは、結晶化速度が非常に速い結晶性ポリエ
ステル樹脂となる。これは、結晶核剤部位が、結晶性ポリエステル樹脂に直接、結晶成長を誘発させる事ができるためと思われる。
この結晶化速度が速く、造核効果の強い結晶性ポリエステル樹脂Aが、結晶化する際には、構造が類似している官能基C周辺で選択的に結晶化する。そのため、官能基Cは非晶性ポリエステル樹脂と相溶する前に、結晶性ポリエステル樹脂Aと共に結晶状態を形成する。その結果、上述したような、官能基Cによる非晶性ポリエステル樹脂の可塑化が抑制されるものと思われる。
さらに、官能基C周辺で結晶性ポリエステル樹脂Aが結晶状態となるため、従来から懸念とされていた、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との相溶化を抑える事もできる。
即ち、本発明のトナーは、ポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤部位を有し、且つSP値(Sa)が9.00(cal/cm3)1/2以上11.50(cal/cm3)1/2以下である結晶性ポリエステル樹脂Aを有する事が特徴である。結晶性ポリエステル樹脂AのSP値は、9.70(cal/cm3)1/2以上10.20(cal/cm3)1/2以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖末端に結晶核剤部位を有さない場合、官能基Cが結晶化せずに、官能基Cと非晶性ポリエステル樹脂とが相溶化する。その結果、耐熱保存性が低下する。
また、結晶性ポリエステル樹脂Aが官能基Cを介して迅速に熱溶融できないため、結晶性ポリエステル樹脂Aと非晶性ポリエステル樹脂との可塑速度にムラが生じる。そのため、高速現像システムで定着した定着画像で、グロスムラが発生しやすくなる。
よって、結晶性ポリエステル樹脂AのSP値は9.00(cal/cm3)1/2未満の場合は極性基が少なく、分子の規則性が上がり、造核効果が強くなり過ぎる。そのため、結晶性ポリエステル樹脂Aと官能基Cとは強固な結晶状態を形成し、高速現像システムにおいて、短時間でトナーを十分に溶融する事ができなくなり、低温定着性が低下する。一方、結晶性ポリエステル樹脂AのSP値が11.50(cal/cm3)1/2よりも大きい場合は、極性基が増え、分子の規則性が下がり、造核効果が弱くなる。その結果、官能基Cを十分に結晶化できなくなり、高温で長時間放置すると、徐々に官能基Cによる非晶性ポリエステル樹脂の可塑化が進行し、耐熱保存性が低下する。
なお、本発明で用いられるSP値は一般的に用いられているFedorsの方法[Poly.Eng.Sci.,14(2)147 (1974)]により、樹脂を構成するモノマーの種類と比率から算出する。また、結晶性ポリエステル樹脂AのSP値は、結晶核剤部位を含むポリエステル分子鎖のSP値を表している。
SP値は、添加するモノマーの種類と量によって制御することができる。SP値を大きくするためには、例えば、SP値の大きいモノマーを添加すればよい。一方、SP値を小
さくするためには、例えば、SP値の小さいモノマーを添加すればよい。
(a)炭素数8以上50以下(好ましくは炭素数10以上30以下)の脂肪族炭化水素基(b)炭素数8以上50以下(好ましくは炭素数10以上30以下)の脂肪族アルコールが縮合により結合した官能基
(c)炭素数9以上51以下(好ましくは炭素数11以上31以下)の脂肪族カルボン酸が縮合により結合した官能基
なお官能基Cは上記(a)乃至(c)のグループより選択される少なくとも一つの官能基を表すものとする。
この官能基Cは、非晶性ポリエステル樹脂と結合している。
例えば、
i)水素引き抜き反応により非晶性ポリエステル樹脂中にラジカルを発生させ、不飽和結合を有する脂肪族炭化水素と反応させる、
ii)非晶性ポリエステル樹脂の有するヒドロキシ基と脂肪族カルボン酸とを縮合反応させる、
iii)非晶性ポリエステル樹脂の有するカルボキシル基と脂肪族アルコールとを縮合反応させる、
ことによって、官能基Cを非晶性ポリエステル樹脂Bに導入することができる。官能基Cは、分岐でも直鎖でもよいが、直鎖であることが好ましい。
また、官能基Cの片末端は非晶性ポリエステル樹脂と結合しているが、反対側は非晶性ポリエステル樹脂とは結合していない。
上記のii)の方法によって形成される官能基は、−OC(=O)−Rという構造になり、iii)の方法によって形成される官能基は、−C(=O)O−Rという構造になる。
官能基Cを構成する成分は、非晶性ポリエステル樹脂Bを構成するモノマー中に、2.0mol%以上11.0mol%以下含有されている事が好ましい。上記範囲であることで、定着性と保存性の両立が可能となる。
酸の炭素数が9未満の場合には、官能基Cの結晶化度が低くなる。結晶性ポリエステル樹脂Aを用いる事で、官能基Cをある程度結晶化する事は可能であるが、水分の多い環境においては、水が可塑剤となり、結晶性ポリエステル樹脂Aと官能基Cとの結晶化状態を弱くする。よって、高温高湿下の環境においては、結晶状態が保てず、耐熱保存性が低下する。
以上述べてきたように、結晶核剤部位を有し、且つ、造核効果の高い結晶性ポリエステル樹脂Aと、特定の脂肪族炭化水素官能基を有する非晶性ポリエステル樹脂Bとを組み合わせる事で、使用環境によらず、長期保存安定性が優れる。また、高速印字における低温定着性と均一グロスを両立することが出来るのである。
−1.50≦Sb−Sa≦1.50 ・・・式(1)
SP値(溶解度パラメーター)は、従来、樹脂同士及び樹脂とワックスとの混ざりやすさなどを示す指標として用いられている。Sb−Saは、熱溶融時における結晶性ポリエステル樹脂Aと非晶性ポリエステル樹脂Bとの相溶しやすさ、及び室温での相分離のしやすさを示した指標である。この範囲内で各樹脂のSP値を制御する事で、長期にわたる耐熱保存性と低温定着性をさらに向上する上で好ましい。
Sb−Saは、
−0.50≦Sb−Sa≦0.50
であることがより好ましい。
なお、非晶性ポリエステル樹脂BのSP値は、官能基Cを含むポリエステル分子鎖のSP値を表している。
その中でも、炭素数10以上30以下の脂肪族モノアルコール及び/または炭素数11以上31以下の脂肪族モノカルボン酸に由来する部位である事が長期保存安定性を向上させる点で好ましい。すなわち、結晶核剤部位は、結晶性ポリエステル樹脂Aにおいて、上記脂肪族モノアルコール及び/または脂肪族モノカルボン酸が、結晶性ポリエステル樹脂の末端に縮合した構造を有することが好ましい。
脂肪族モノアルコールとしては、1−デカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、ステアリン酸、アルキジン酸、ベヘン酸が挙げられる。
また結晶性ポリエステル樹脂の分子鎖末端の反応性が高まる点で、結晶核剤部位の分子量は100以上10,000以下であることが好ましく、150以上5,000以下であることがより好ましい。
結晶核剤部位は、結晶化速度を上げるという観点から、結晶性ポリエステル樹脂Aを構成するモノマー中に、好ましくは0.1mol%以上7.0mol%以下、より好ましくは0.5mol%以上4.0mol%以下含有される。
サンプルを2mg精秤し、クロロホルム2mLを加えて溶解させてサンプル溶液を作製する。樹脂サンプルとしては結晶性ポリエステル樹脂Aを用いるが、結晶性ポリエステル樹脂Aが入手困難な場合には、結晶性ポリエステル樹脂Aを含有するトナーをサンプルとして代用することも可能である。次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mLを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1mL添加して溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μL、マトリックス溶液50μL、イオン化助剤溶液5μLを混合してMALDI分析用のサンプルプレートに滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。分析機器として、MALDI−TOFMS(Bruker Daltonics製 ReflexIII)を用い、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、分子末端に結晶核剤が結合した組成に対応するピークが存在するか否かを確認する。
0.5≦C1/C2≦3.0・・・式(2)
ましい。脂肪族ジカルボン酸化合物としては、1,8−オクタン二酸、1,9−ノナン二酸、1,10−デカン二酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸等が挙げられる。炭素数6〜18の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中に80.0〜100.0モル%含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Aの原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量Mwaは、低温定着性と耐熱保存性の観点から、8000以上100,000以下であることが好ましく、より好ましくは12,000以上45,000以下である。
また、結晶性ポリエステル樹脂Aの融点は、トナーの低温定着性の観点から、60℃以上120℃以下であることが好ましく、70℃以上90℃以下であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂Aの酸価は、2mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である事が、トナーの良好な帯電特性の観点から好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂Bは、上記のアルコール成分及びカルボン酸成分、さらには、官能基Cを構成する成分を用いて、エステル化反応、又はエステル交換反応によって製造
することができる。縮重合の際には、反応を促進させるため、酸化ジブチル錫等の公知のエステル化触媒等を適宜使用してもよい。
なお、官能基Cの構成成分が(b)及び/または(c)となる場合は、非晶部を縮重合により生成させた後、(b)及び/または(c)成分を投入し、縮重合することが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は、低温定着性及び耐熱保存性の観点から45℃以上75℃以下である事が好ましい。非晶性ポリエステル樹脂Bの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、80℃以上150℃以下であることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂Bの酸価は、2mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である事が、トナーの良好な帯電特性の観点から好ましい。
トナーに含有される、結晶性ポリエステル樹脂Aと非晶性ポリエステル樹脂Bとの質量比(樹脂A:樹脂B)は、低温定着性及び画像の長期保存安定性の観点から、5:95〜40:60であることが好ましく、8:92〜30:70がより好ましい。
さらに、これら樹脂を用いたトナーの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、80℃以上120℃以下であることが好ましい。トナーの重量平均分子量は、定着性と、高温オフセット防止の観点から、3000以上500000以下であることが好ましい。
ワックスとしては、具体的には以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330−P、550−P、660−P、TS−200 (三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP−1、HNP−3、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12(日本精鑞株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODAにて入手可能)。
ワックスは、粉砕法によってトナーを製造する場合は、溶融混練時に添加することが好ましい。また、非晶性ポリエステル樹脂Bの製造時にワックスを添加しても良い。ワックスは、結晶性ポリエステル樹脂A及び非晶性ポリエステル樹脂B100.0質量部に対して1.0質量部以上20.0質量部以下含有することが好ましい。
本発明のトナーを非磁性トナーとして用いる場合には、着色剤としてカーボンブラックやその他、公知の顔料や染料を用いることができる。また、顔料や染料は一種のみ使用しても良いし、二種以上を併用することもできる。トナーに含有される着色剤は、結晶性ポ
リエステル樹脂A及び非晶性ポリエステル樹脂Bの合計100.0質量部に対して、0.1質量部以上60.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上50.0質量部以下である。
その中でも、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体が好ましく用いられる。処理シリカ微粉体は、メタノール滴定試験によって滴定された疎水化度が30以上98以下であることが好ましい。
シリコーンオイルによるシリカ微粉体の疎水化処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法;ベースとなるシリカ微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法。シリコーンオイル処理シリカは、シリコーンオイルの処理後にシリカを不活性ガス中で温度200℃以上(より好ましくは250℃以上)で加熱し、表面のコートを安定化させたものがより好ましい。
流動性向上剤は、トナー粒子100.0質量部に対して0.1質量部以上8.0質量部以下用いることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上4.0質量部以下である。
滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。中でもポリフッ化ビニリデン粉末が好ましい。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられる。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることも可能である。磁性キャリアとしては、フェライトキャリアや、結着樹脂中に磁性体を分散させた磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、公知のものを使用できる。トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、現像剤中のトナー濃度が2質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
次に、混合した材料を溶融混練して、結晶性ポリエステル樹脂A及び非晶性ポリエステル樹脂B中に着色剤等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理の如きトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
更に必要に応じて所望の添加剤をヘンシェルミキサー等の混合機により十分混合することが出来る。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量の測定>
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒と
してテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流速で流し、THF試料溶液を約100μL注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSK gel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSK guard columnの組み合せを挙げることができる。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)を通過させたものをGPCの試料とする。又、試料濃度は、樹脂成分が0.5mg/mL以上5.0mg/mL以下となるように調製する。
結晶性ポリエステル樹脂A及びワックスの融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定したDSC曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度を融点とし、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピーク温度を、融点、ピークの面積から求められる熱量を融解熱量とする。
非晶性ポリエステル樹脂BのTgは、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料約2mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、非晶性ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度Tgとする。
非晶性ポリエステル樹脂B及びトナーの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリン
ダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
昇温速度:4℃/min
開始温度:50℃
到達温度:200℃
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。ポリエステル樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕したポリエステル樹脂の試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer
3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
1.Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
2.ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
3.発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
4.前記2.のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
5.前記4.のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
6.サンプルスタンド内に設置した前記1.の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記5.の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調製する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
7.測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<結晶性ポリエステル樹脂A1の製造>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、アルコールモノマーとして1,10−デカンジオール、及びカルボン酸モノマーとして1,10−デカン二酸を表1に示す量を投入した。そして、触媒としてジオクチル酸錫をモノマー総量100質量部に対して1質量部添加し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しなが
ら6時間反応させた。次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させ、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させた。
その後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、表1に示した結晶核剤(n−オクタデカン酸)を加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより結晶性ポリエステル樹脂A1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂A1のMALDI−TOFMSのマススペクトルには、結晶性ポリエステル樹脂の分子末端にn−オクタデカン酸が結合した組成のピークが確認されたことから、結晶性ポリエステル樹脂の分子末端と結晶核剤とが結合していることが確認された。結晶性ポリエステル樹脂A1の物性を表2に示す。
モノマー、結晶核剤及び使用量を表1に記載の様に変更し、それ以外は、結晶性ポリエステル樹脂A1と同様にして結晶性ポリエステル樹脂A2乃至A11を得た。また得られた樹脂A2乃至A7、樹脂A9、樹脂A10のMALDI−TOFMSのマススペクトルにおいて、分子末端に結晶核剤が結合した組成のピークが確認され、分子末端と結晶核剤とが結合していることが確認された。
結晶性ポリエステル樹脂A2乃至A11の物性を表2に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に示す使用量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、非晶性ポリエステル樹脂B1を得た。その際、得られるポリエステル樹脂B1の軟化点が表4の値となるように重合時間を調整した。非晶性ポリエステル樹脂B1の物性を表4に示す。
<非晶性ポリエステル樹脂B2乃至B3、及び、B6乃至B14の製造>
モノマー及び使用量を表3に記載の様に変更し、それ以外は、非晶性ポリエステル樹脂B1と同様にして非晶性ポリエステル樹脂B2乃至B3、及び、B6乃至B14を得た。これらの非晶性ポリエステル樹脂の物性を表4に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に示す使用量のモノマー(酸成分およびアルコール成分)を入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行った。その後、常圧に戻し、表3に記載の官能基Cを構成する成分を添加し、210℃、5kPa以下の条件下にて縮合を行い、非晶性ポリエステル樹脂B4及びB5を得た。これらの非晶性ポリエステル樹脂の物性を表4に示す。
・結晶性ポリエステル樹脂A1 10.0質量部
・非晶性ポリエステル樹脂B1 90.0質量部
・カーボンブラック 5.0質量部
・フィッシャートロプシュワックス(DSCピーク温度:105℃) 5.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工(株)製PCM−30型))にて回転数3.3s−1、混練温度130℃の条件で混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T−250)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.0μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。
・得られたトナー粒子 100.0質量部
・イソブチルトリメトキシシラン15.0質量%で表面処理した一次平均粒子径50nmの酸化チタン微粒子 1.0質量部
・ヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次平均粒子径16nmの疎水性シリカ微粒子 0.8質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM−75型)に投入して
、混合し、トナー1を得た。
トナー1の諸物性を表5に記載する。
本実施例で製造したトナーを用い、下記の評価を行った。評価には、市販のカラーレーザープリンターColor Laser Jet CP4525(HP社製)を用いた。尚、トナー1を用いた評価においては、何れの評価も良好な結果が得られた。
上記評価機の定着器を取り出し、定着装置の定着温度、定着ニップ圧及びプロセススピードを任意に設定できるようにした外部定着器を用いた。記録媒体としては、カラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m2)を使用した。そして、市販のブラック色用のカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナー1を150g充填した。なお、マゼンタ、イエロー、シアンの各ステーションには、それぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、およびシアンカートリッジを挿入した。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で、トナー載り量0.6mg/cm2となるようにベタ黒の未定着画像を出力した。
定着器の定着温度を140℃、定着ニップ圧を0.10MPaに改造し、プロセススピードを300mm/secから500mm/secまでの範囲で、20mm/secずつ速めていき、上記ベタ黒の未定着画像の定着を行った。
得られたベタ黒画像を約100gの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着可能な最高プロセススピードとした。この定着可能な最高プロセススピードが速い程、高速現像時の低温定着性に優れたトナーである。評価結果を表6に示す。本発明ではCまでが許容できるレベルである。
A:定着可能な最高プロセススピードが500mm/secである。
B:定着可能な最高プロセススピードが400mm/sec以上、480mm/sec以下である。
C:定着可能な最高プロセススピードが300mm/sec以上、380mm/sec以下である。
D:定着可能な最高プロセススピードが280mm/sec以下である。
上記定着試験において、厚紙のGF−C104用紙(キヤノン製、104g/m2)を使用し、定着温度160℃、定着ニップ圧を0.10MPa、プロセススピードを200mm/secとした時の画像を連続10枚出力し、1枚目と10枚目の画像のグロス(光沢度)(%)を測定した。
グロス(光沢度)の測定は、ハンディ型グロスメーターPG−1(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。測定としては、投光角度、受光角度をそれぞれ75°に合わせた。
グロスムラ試験は、出力した1枚目と10枚目の各画像の10点、計20点のグロスを測定し、最高のグロスと最低グロスとの差でグロスムラの評価を行った。評価基準は下記の様に行った。評価結果を表6に示す。本発明ではCまでが許容できるレベルである。
A:グロス差が2%未満である。
B:グロス差が2%以上5%未満である。
C:グロス差が5%以上7%未満である。
D:グロス差が7%以上である。
長期保存安定性の評価方法としては、評価サンプル10gの入った袋(サンジップD−
4袋 シーアイ化成社製)の上に、1kgの荷重を掛け、温度45℃、湿度5%の環境下で1カ月放置した。1カ月後、評価サンプルを温度23℃、湿度60%の環境下に移し1晩放置した。
測定法としては、セットした200メッシュふるい(目開き77μm)上に評価用のトナーをのせ、デジタル振動計の変位の値を0.50mm(peak−to−peak)になるように調整し、30秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残ったトナーの凝集塊の量から長期保管安定性を評価した。評価結果を表6に示す。本発明ではCまでが許容できるレベルである。
A:メッシュ上のトナー残量が0.2g以下である。
B:メッシュ上のトナー残量が0.2gを超え、0.5g以下である。
C:メッシュ上のトナー残量が0.5gを超え、1.0g以下である。
D:メッシュ上のトナー残量が1.0gを超え、1.5g以下である。
E:メッシュ上のトナー残量が1.5gを超えている。
評価サンプル10gの入った袋(サンジップD−4袋 シーアイ化成社製)の上に、1kgの荷重を掛け、温度40℃、湿度95%の環境下で7日間放置した。7日後、評価サンプルを温度23℃、湿度60%の環境下に移し1晩放置した。
測定法は上述した「(3)長期保管安定性」と同様の方法で評価した。その後、各ふるい上に残ったトナーの凝集塊の量から高温高湿保管安定性を評価した。評価結果を表6に示す。本発明ではCまでが許容できるレベルである。
A:メッシュ上のトナー残量が0.2g以下である。
B:メッシュ上のトナー残量が0.2gを超え、0.5g以下である。
C:メッシュ上のトナー残量が0.5gを超え、1.0g以下である。
D:メッシュ上のトナー残量が1.0gを超えている。
材料の処方を表5に記載の様に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー2乃至19を得た。トナー2乃至19の物性を表5に示す。また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表6に示す。
材料の処方を表5に記載の様に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナー20乃至25を得た。トナー20乃至25の物性を表5に示す。また、実施例1と同様にして評価を行った結果を表6に示す。
よって、結晶性ポリエステル樹脂AのSP値は9.00(cal/cm3)1/2未満の場合は極性基が少なく、分子の規則性が上がり、造核効果が強くなり過ぎる。そのため、結晶性ポリエステル樹脂Aと官能基Cとは強固な結晶状態を形成し、高速現像システムにおいて、短時間でトナーを十分に溶融する事ができなくなり、低温定着性が低下する。一方、結晶性ポリエステル樹脂AのSP値が11.50(cal/cm3)1/2よりも大きい場合は、極性基が増え、分子の規則性が下がり、造核効果が弱くなる。その結果、官能基Cを十分に結晶化できなくなり、高温で長時間放置すると、徐々に官能基Cによる非晶性ポリエステル樹脂の可塑化が進行し、耐熱保存性が低下する。
なお、本発明で用いられるSP値は一般的に用いられている方法により、樹脂を構成するモノマーの種類と比率から算出する。また、結晶性ポリエステル樹脂AのSP値は、結晶核剤部位を含むポリエステル分子鎖のSP値を表している。
SP値は、添加するモノマーの種類と量によって制御することができる。SP値を大きくするためには、例えば、SP値の大きいモノマーを添加すればよい。一方、SP値を小さくするためには、例えば、SP値の小さいモノマーを添加すればよい。
Claims (6)
- 結晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B、及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
(1)該結晶性ポリエステル樹脂Aは、ポリエステル分子鎖の末端に結晶核剤部位を有し、且つ該結晶性ポリエステル樹脂AのSP値(Sa)((cal/cm3)1/2)が9.00以上11.50以下であり、
(2)該非晶性ポリエステル樹脂Bは、下記(a)乃至(c)からなるグループより選択される少なくとも一つの官能基を有することを特徴とするトナー。
(a)炭素数8以上50以下の脂肪族炭化水素基
(b)炭素数8以上50以下の脂肪族アルコールが縮合により結合した官能基
(c)炭素数9以上51以下の脂肪族カルボン酸が縮合により結合した官能基 - 該Saと該非晶性ポリエステル樹脂BのSP値(Sb)((cal/cm3)1/2)とが下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
−1.50≦Sb−Sa≦1.50 ・・・式(1) - 該結晶核剤部位は、炭素数10以上30以下の脂肪族モノアルコール及び/又は、炭素数11以上31以下の脂肪族モノカルボン酸に由来する部位であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
- 該結晶性ポリエステル樹脂Aと該非晶性ポリエステル樹脂Bの質量比(結晶性ポリエステル樹脂A:非晶性ポリエステル樹脂B)が、5:95〜40:60であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
- 結晶性ポリエステル樹脂Aの結晶核剤部位の炭素数(C1)と非晶性ポリエステル樹脂Bの前記官能基の炭素数(C2)とが下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
0.5≦C1/C2≦3.0・・・式(2) - 非晶性ポリエステル樹脂Bの前記官能基を構成する成分が、非晶性ポリエステル樹脂Bを構成するモノマー中に、2.0mol%以上11.0mol%以下含有されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
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