JP2016224419A - トナー、トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温定着性、保存安定性、現像耐久性、環境安定性に優れたトナーを提供する。【解決手段】 有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、トナー粒子が、スチレンアクリル樹脂と、i)ポリエステル部位Cおよびビニルポリマー部位Aを有し、前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A)が、40/60〜80/20であり、ii)融点(Tm)が55〜90℃であるブロックポリマーと、を含有し、有機ケイ素重合体がRf−SiO3/2で表わされる部分構造を有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法およびトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナー、及びトナーの製造方法に関する。
近年、コンピューター及びマルチメディアの発達により、オフィスから家庭まで幅広い分野で、高精細なフルカラー画像を出力する手段が要望されている。
また、複写又はプリントを多く行うようなオフィスでの使用においては、多数枚の複写又はプリントによっても画質低下のない高耐久性が求められている。一方で、スモールオフィスや家庭での使用においては、高画質な画像を得るとともに、省スペース、省エネルギー、軽量化の観点から、画像形成装置の小型化が求められている。上記要求に対応するために、低温定着性、現像耐久性及び保存安定性といったトナーの性能のさらなる向上が必要となる。さらに、温度及び湿度が異なるような様々な環境において、長期使用可能の高精細なフルカラー画像を出力する手段が要望されている。このような要望に対応するためには、温度及び湿度といった使用環境によって生じるトナーの帯電量の変化や、トナー粒子の表面性の変化といった課題を解決する必要がある。
こうした課題を解決するために、特許文献1には、トナーの軟化点を下げ、低温定着性及び高グロス化を達成するために、結着樹脂に結晶性樹脂を含有させるトナーが開示されている。
また、特許文献2には、現像耐久性、保存安定性の向上を目的として、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層を有する重合トナーが開示されている。
また、特許文献3には、高温保存性及び印刷時の常温常湿環境下や高温高湿環境下における印字耐久性の向上のため、トナー粒子の表面を無機微粒子で強く固着させたトナーが開示されている。
また、特許文献4には、トナーの流動性、凝集性改善を目的に、多面体オリゴマーシルセスキオキサン化合物を含むトナーが開示されている。
特許第5084482号公報 特開2001−75304号公報 特開2006−146056号公報 特開2010−145994号公報
しかしながら、さらなる省エネルギーと長寿命・高安定性の両立が求められる昨今においては、より改善された特性が求められる。特に結晶性樹脂を含有するトナーにおける、トナー中の離型剤や樹脂成分がトナーの内部から表面に染み出す現象(以下、ブリード(bleed)ともいう)を抑制することが重要である。また、現像耐久性、保存安定性、環境安定性をさらに改善することが求められている。
本発明は、低温定着性、保存安定性、現像耐久性、環境安定性に優れたトナーを提供することにある。また、本発明は、上記トナーを製造するトナーの製造方法を提供することにある。
本発明は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記トナー粒子が、スチレンアクリル樹脂、及びブロックポリマーを含有し、
前記有機ケイ素重合体は、下記式(1)で表される部分構造を有し、
Rf−SiO3/2 (1)
(式中、Rfは、炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を示す。)
前記ブロックポリマーは、
i)ポリエステル部位Cおよびビニルポリマー部位Aを有し、前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A)が、40/60以上80/20以下であり、
ii)前記ポリエステル部位Cは、下記式(2)で示される構造単位を有し、
iii)融点(Tm)が55℃以上90℃以下である、
ことを特徴とするトナーに関する。
Figure 2016224419

(式中、m、nは、それぞれ独立して、4〜16の整数である。)
また、本発明は、上記トナー粒子を有するトナーを製造するトナーの製造方法であって、
前記スチレンアクリル樹脂を生成し得る重合性単量体、前記ブロックポリマー及び前記有機ケイ素重合体を生成し得るケイ素化合物を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合する工程を有することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
以上説明したように、本発明によれば、低温定着性、保存安定性、現像耐久性、環境安定性に優れたトナーが得られる。
有機ケイ素化合物を含有するトナー表面の、表面厚さを定義する概念図である。 本発明における有機ケイ素化合物のNMR測定例である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、トナー粒子の表層に有機ケイ素重合体を含有し、トナー粒子がスチレンアクリル樹脂、及び特定のブロックポリマーを含有することで、低温定着性に優れ、且つ保存安定性、及び耐久性にも優れるトナーが得られることを見出した。
具体的には、本発明に使用するブロックポリマーは結晶性の樹脂であるため、シャープメルトで低温定着性に優れる一方で、弾性が低く機械的強度に劣る。そのため結着樹脂として単独で使用した場合、十分な耐久性が得られにくく、現像ローラなどの部材へのトナー融着を起因とした排紙方向への縦スジなどの画像弊害が発生しやすくなる。また、ブロックポリマーのポリエステル部位(結晶性部位)は帯電のリークサイトとして働くため、帯電安定性が著しく劣りカブリなどが発生しやすい。本発明では、スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーを結着樹脂として併用することで低温定着性および定着領域幅を維持しつつ、上記課題を解決することができることを見出した。スチレンアクリル樹脂と親和性の高いビニルポリマー部位Aを有するブロックポリマーを用いるとトナー中ではスチレンアクリル樹脂中にブロックポリマーが高分散状態を取る。これにより、トナー粒子の強靭性が保たれ高い耐久性が得られる。
一方、定着プロセスにおいては、トナーに熱が供給されると、融点が低いブロックポリマーが、ビニルポリマー部位を起点としてスチレンアクリル樹脂に瞬時に相溶し可塑効果を発揮する。それによりトナーの軟化点が下がり低温定着性が達成される。また、ブロックポリマーがビニルポリマー部位を有することで、溶融後、ブロックポリマーが定着に必要な適度な粘度を持つことで、結着樹脂として働き低温定着性が相乗的に達成されると考えられる。
本発明の有機ケイ素重合体は、上記式(1)で表される部分構造を有した有機−無機のハイブリッド樹脂である。この有機ケイ素重合体に含有される上記式(1)で表される部分構造中のRfで表されるアルキル基又はフェニル基の疎水性により、内部の低融点成分のブリードを抑制することが可能となる。これにより高温放置においてもブロッキングを抑制した優れた保存性が得られるようになる。また、上記式(1)中のRfで表されるアルキル基又はフェニル基の帯電性により、環境安定性にも優れたトナーを得られるようになる。
式(1)において、−SiO3/2は、Si原子が3つの酸素原子と結合しており、その酸素原子がさらに他のSi原子と結合していることを表している。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。Si原子がOH基と結合した場合には、例えば、Rf−SiO2/2−OHとなる。この構造では、ジメチルシリコーンに代表される2置換シリコーン樹脂に類似している。
この有機ケイ素重合体の−SiO3/2構造は、多数のシロキサン構造で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。従って本発明のトナーは、シリカを添加した場合と似た状況を作り出していると考えられる。一方で、Rfを含んでいることで、シリカとは異なる何らかの作用も持っていると考えられる。
本発明に係るトナー粒子においては、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が5.0%以上であることが好ましい。これは、トナー粒子に含まれる有機ケイ素重合体のケイ素のうち、5.0個数%以上が−SiO3/2で表される部分構造を有していることを意味している。式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が5.0%以上であると、シリカのような硬い性質が発現し始めると考えられる。それにより、耐久性向上と保存安定性がさらに向上する一因であると推測している。上記式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合は、10.0%以上であることが好ましく、20.0%以上であることがより好ましい。一方、現像耐久性向上と環境安定性の観点より、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、上記式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が、100.0%以下であることが好ましい。前記式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合は、式(1)の部分構造を形成させる際の反応温度、反応時間、反応溶媒及び反応時のpHにより制御することができる。
本発明において、式(1)中のRfは、炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を表すが、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)であることが、帯電性及びカブリ抑制のさらなる向上のために好ましい。最も好ましくは、環境安定性と保存安定性の観点から、メチル基である。
上記式(1)で表わされる部分構造を有する有機ケイ素重合体を得るための単量体(有機ケイ素化合物)としては、下記式(3)で表される有機ケイ素化合物が挙げられる。
Figure 2016224419
は、式(1)で表される構造におけるRfとなる基であり、炭素数1〜6のアルキル基、又は、フェニル基を表す。
〜Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下「反応基」ともいう。)。
これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成することで、部材を汚染しにくく、現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点からメトキシ基やエトキシ基が好ましい。また、R〜Rの加水分解、付加重合及び縮合重合は反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(3)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下「三官能性シラン」ともいう。)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
また、本発明において、有機ケイ素重合体の含有量は、トナー粒子の全質量に対して0.5質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。含有量が0.5質量%以上であれば有機ケイ素重合体のブリード抑制効果が十分に得られ耐熱性が向上する。また、含有量が4.0質量%以下であれば有機ケイ素重合体による定着性阻害分が最小限に抑えられ良好な定着性が得られる。
上記式(3)としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体において、式(3)で表される有機ケイ素化合物の含有量は、有機ケイ素重合体中に50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上である。式(3)を満たす有機ケイ素化合物の含有量を50モル%以上とすることによって、さらにトナーの環境安定性を向上させることができる。
また、本発明において、本発明の効果を損なわない程度に、式(3)で表される有機ケイ素化合物とともに、以下の有機ケイ素化合物を用いてもよい。一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)。一分子中に3つの反応基を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)。一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)。1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)。これら併用してもよい有機ケイ素化合物としては以下のようなものが挙げられる。
ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、ビニルトリイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメトキシジクロロシラン、ビニルエトキシジクロロシラン、ビニルジメトキシクロロシラン、ビニルメトキシエトキシクロロシラン、ビニルジエトキシクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルジアセトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、ビニルアセトキシメトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジエトキシシラン、ビニルトリヒドロキシシラン、ビニルメトキシジヒドロキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルトリヒドロキシシラン。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体の代表的な製造例としては、ゾルゲル法と呼ばれる製造方法が挙げられる。
ゾルゲル法は、金属アルコキシドM(OR)n(M:金属、O:酸素、R:炭化水素、n:金属の酸化数)を出発原料に用いて、溶媒中で加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経て、ゲル化する方法である。このゾルゲル法は、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットの合成に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子といった種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子に含まれる有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
また、有機ケイ素重合体は、トナー粒子の表層に含有する。有機ケイ素重合体を含む表層がトナーの粒子の表面に有することにより、従来のトナーでの無機微粒子の固着や付着を行わなくても、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、溶液から出発し、その溶液をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に存在させやすい。
しかしながら、有機ケイ素化合物の疎水性が大きい場合(例えば、有機ケイ素化合物が疎水性の高い官能基を有する場合)、トナー粒子の表層に有機ケイ素化合物を存在させにくくなる。そのため、その結果、トナー粒子は有機ケイ素重合体を含有する表層を形成しにくくなる。一方で、有機ケイ素化合物の炭化水素基の炭素数が0の場合には疎水性が弱くなりすぎるため、トナーの帯電安定性が低下する傾向がある。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機ケイ素化合物の種類及び添加量などによって調整することができる。
一般的に、ゾルゲル反応では、反応媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結合状態が異なることが知られている。具体的には、反応媒体が酸性である場合には、水素イオンが1つの反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロシリル基になる。水が十分に存在している場合には、H1つで反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))の酸素を1つ攻撃するため、反応媒体中のHの含有率が少ないときには、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、ケイ素原子に付いた反応基のすべてが加水分解する前に縮重合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成しやすい。
一方、反応媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一ケイ素原子に3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び縮重合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
従って、有機ケイ素重合体を形成するには、反応媒体がアルカリ性の状態でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上であることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れた有機ケイ素重合体を形成することができる。また、ゾルゲル反応は、反応温度90度以上、かつ、反応時間5時間以上で行うことが好ましい。
このゾルゲル反応を上記反応温度及び反応時間で行うことによって、トナー粒子の表面のゾルやゲルの状態のシラン化合物同士が結合した合一粒子の形成を抑制することができる。
さらに、本発明の効果を損なわない程度に、上記有機ケイ素化合物とともに、有機チタン化合物や有機アルミ化合物を用いてもよい。
有機チタン化合物としては、以下のものが挙げられる。チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、チタンイソブトキサイド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンラクテート、チタンメタクリレートイソプロポキサイド、トリイソプロポキシチタネート、チタンメトキシプロポキサイド、チタンステアリルオキサイド。
有機アルミ化合物としては、以下のものが挙げられる。アルミニウム(III)−n−ブトキサイド、アルミニウム(III)−s−ブトキサイド、アルミニウム(III)−s−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(III)ジ−s−ブトキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)ジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)エトキシエトキシエトキサイド、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム(III)3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネート、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキサイド、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムフェノキサイド、アルミニウム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート。
なお、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。これらを適宜に組み合わせたり、添加量を変えたりすることで、帯電量を調節することができる。
本発明のトナーは、トナー粒子の表面のX線光電子分光分析(ESCA)において、下記式で求められるトナー粒子表面のケイ素原子の存在割合が0.025(2.5%)以上であることが好ましい。さらに好ましくは0.050(5.0%)以上であり、特に好ましくは0.150(15.0%)以上である。ESCAは、Electron Spectroscopy for Chemical Analysisの略である。
dSi/(dC+dO+dSi+dS)
(式中、dCは炭素原子の強度を示す。dOは酸素原子の強度を示す。dSiはケイ素原子の強度を示す。dSは硫黄原子の強度を示す。)
トナー粒子の表面におけるケイ素原子の割合が0.025以上であることで、表面の表面自由エネルギーを小さくすることができる。そして、前記ケイ素原子の濃度を0.025以上に調整することによって、流動性の向上やカブリの発生の抑制が可能となり、耐久性や現像性が向上する。一方、前記トナー粒子の表面のケイ素原子の濃度は、帯電性の観点より、0.333以下であることが好ましい。
前記トナー粒子の表面におけるケイ素原子の濃度は、上記式(1)中のRfの構造、トナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量によっても制御することができる。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面の観察によって測定される、有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.が5.0nm以上150.0nm以下であることが好ましい。
平均厚みDav.は、次のように定義される。前記トナー粒子断面の最長径を与える弦を長軸Lの中点を中心にして、トナー粒子断面を交差角が均等(交差角は11.25°)になるように16分割し、前記中心からトナー粒子の表面へ向かう分割軸をそれぞれA(n=1乃至32)とする。この前記Ar(n=1〜32)上における前記表層部分の長さをFRA(n=1〜32)としたとき、FRA(n=1〜32)の相加平均値が表層の平均厚みDav.である(図1参照)。
これにより、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。保存安定性の観点から、トナー粒子の表層の平均厚みDav.は7.5以上125.0nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10.0以上100.0nm以下である。
有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.は、上記式(1)中のRfの構造、親水性基の数、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の量で制御することができる。
次いで、本発明のトナーに含有されるブロックポリマーについて説明する。ブロックポリマーは、以下の3つの特徴を有する。
i)ポリエステル部位Cおよびビニルポリマー部位Aを有し、前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A)が、40/60以上80/20以下である。
ii)前記ポリエステル部位Cは式(2)で示される構造単位を有する。
Figure 2016224419

(式中、m、nは、それぞれ独立して、4〜16の整数である。)
iii)融点(Tm)が55℃以上90℃以下である。
以下それぞれの特徴について説明する。ブロックポリマーは、融点(Tm)が55℃以上90℃以下であることが必要である。融点(Tm)が55℃より低い場合は、ブロッキングが発生しやすく保存性の観点から使用しにくい。融点(Tm)が90℃より高い場合は、ブロックポリマーを溶融させるための必要温度が高くなるため低温定着性という観点で使用しにくい。より好ましくは60℃以上85℃以下である。ブロックポリマーの融点は、ポリエステル部位を生成するモノマーやポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率により制御することができる。
ブロックポリマーのポリエステル部位Cは、式(2)で示される構造単位を有することが必要である。式(2)で示される構造単位を有するポリエステル部位Cを用いることでトナー時にはスチレンアクリル樹脂と相分離状態にあり、溶融時にはスチレンアクリル樹脂と相溶状態となる。
ポリエステル部位Cを構成するのに用いることができる単量体としては、下記式(A)で示されるジカルボン酸、またはそのアルキルエステル化物もしくは分子内酸無水化物と、下記式(B)で示されるジオールとから生成することができる。式(2)で表される構造単位を有するポリエステル部位はこれらが縮合重合することで生成される。
HOOC−(CH)m−COOH 式(A)
[式中、mは、4〜16(好ましくは6〜12)の整数を示す]
HO−(CH)n−OH 式(B)
[式中、nは、4〜16(好ましくは6〜12)の整数を示す]
ジカルボン酸は、ポリエステル部位に同じ部分骨格を生成するものであれば、カルボキシル基が(好ましくは炭素数1〜4の)アルキルエステル化した化合物または分子内酸無水物化した化合物等を用いてもよい。
ジカルボン酸としては、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸などが好ましい。
ジオールとしては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが好ましい。
ブロックポリマーのビニルポリマー部位Aはスチレン、メチルメタクリレートまたはn−ブチルアクリレートのような公知のビニルモノマーを用いて合成することができる。特に好ましくはスチレンであり、スチレンに由来するユニットを有することによって、スチレンアクリル樹脂との相溶部位として有効に働き溶融時の可塑がより発揮される。
ブロックポリマーのポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A)は40/60以上80/20以下であることが必要である。40/60より小さい場合、ポリエステル部位の特性が小さくなるためシャープメルト性が損なわれ低温定着性に劣る傾向にある。80/20より大きい場合は、逆にポリエステル部位の特性が強く出すぎる傾向にあり耐久性に劣る。
ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は、15000以上45000以下であることが好ましく、より好ましくは20000以上40000以下であり、特に好ましくは23000以上37000以下である。また、ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)とブロックポリマーの数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.5以上3.5以下が好ましい。重量平均分子量が15000以上(より好ましくは20000以上)であれば、ブロックポリマーの機械的強度が優れ、耐久性が高くなる。45000以下であれば、分子の動きが緩慢となりにくく、溶融時の可塑効果が得られやすくなる。
ビニルポリマー部位の重量平均分子量(Mw)は4000以上15000以下であることが好ましい。上記の範囲内であると、スチレンアクリル樹脂との相溶起点として働きやすくなり、低温定着性がより向上する。重量平均分子量(Mw)は、開始剤の量、添加タイミング、反応温度などにより制御することができる。
ブロックポリマーの含有量は、ブロックポリマーとスチレンアクリル樹脂との合計に対して2.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上50.0質量%以下であることがより好ましい。さらに好ましくは20.0質量%以上40.0質量%以下である。
2.0質量%以上(より好ましくは5.0質量%以上)であれば、本発明の効果である溶融時の可塑効果およびブロックポリマーによる結着効果が得られやすくなり、低温定着性が向上する。50.0質量%以下であれば、結晶性のポリエステル部位からの帯電リークが起きにくく、帯電性が低下しにくく、カブリが発生しにくくなる。また、耐ストレス性も低下しにくいため、耐久性が低下しにくく、現像スジなどの画像弊害が発生しにくくなる。
上記ブロックポリマーとスチレンアクリル樹脂との合計に対するブロックポリマーの含有量をX質量%、トナー粒子の全質量に対する有機ケイ素重合体の含有量をY質量%とした際に、XとYとの比(X/Y)が1.5以上30.0以下であることが好ましい。より好ましくは2.0以上20.0以下である。X/Yを上記範囲にすることで、帯電性の低下とカブリの発生をより抑制するとともに、トナーの帯電量分布が均一になり、特に低温低湿環境下においてトナーの高帯電量成分に起因するゴーストの発生を抑制できる。一般に、低温低湿環境下では、トナー帯電量が高くなる傾向があり、特に高帯電量成分が増える傾向がある。これにより、トナー担持体上のトナーがはぎ取られずに連れ回りやすくなる。結果、非印字領域などでトナーを消費していない状態のトナー担持体上のトナー量が、トナーを消費した直後の状態のトナー担持体上のトナー量に対して多くなり、ゴーストが発生する。
本発明の有機ケイ素重合体はRfに表されるアルキル基、フェニル基の存在により、ブロックポリマー中のポリエステル部位のアルキル基と親和性が高いと考えられる。また、ブロックポリマーは、スチレンアクリル樹脂と親和性の高いビニルポリマー部位Aを一定比率以上有する。そのため、表層の有機ケイ素重合体、コアのブロックポリマー、スチレンアクリル樹脂の密着性が高い状態であると考えられる。結果、表層の有機ケイ素重合体で発生した電荷がブロックポリマーを通してトナー内部まで均一に存在できるようになり、トナーの帯電性をより安定化することができると考えている。特に低温低湿環境下でトナー最表面のみで過剰な帯電が発生することを抑制し、高帯電量成分の抑制、ゴースト発生の抑制に効果がある。X/Yは1.5以上(より好ましくは2.0以上)であることで、高帯電量成分の抑制、ゴースト発生の抑制の効果を得られやすくなる。また、30.0以下(より好ましくは20.0以下)であることで帯電性の低下、カブリの発生を抑制できる。
なお、ブロックポリマーの定義としては、線状に連結した複数のブロックで構成されたポリマー(高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集)とあり、本発明もその定義に従う。
スチレンアクリル樹脂を生成する重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体を用いることが可能である。ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体または多官能性重合性単量体を使用することができる。なお、単官能性重合性単量体とは、重合性不飽和基を1つ有する単量体であり、多官能性重合性単量体とは、重合性不飽和基を複数有する単量体である。
前記単官能性重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、および、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、および、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、および、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体類が挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、および、ジビニルエーテルが挙げられる。
単官能性重合性単量体を単独で、あるいは二種以上組み合わせて、または、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体とを組み合わせて、または、多官能性重合性単量体を単独で、あるいは、二種以上を組み合わせて使用する。重合性単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独もしくは混合して、または、それらとほかの重合性単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性および耐久性の観点から好ましい。
スチレンアクリル樹脂のSP(ソルビリティパラメータ)値は9.45以上9.90以下であることが好ましく。より好ましくは9.50以上9.85以下である。スチレンアクリル樹脂のSP値とブロックポリマーのSP値との差の絶対値(ΔSP値)が0.03以上0.25以下であることが好ましい。この範囲にあることでトナー時における相分離状態、溶融時における相溶状態のバランスがとりやすくなる。
次に、トナー粒子の製造方法について説明する。以下、有機ケイ素重合体をトナー粒子中及び表層に含有させる具体的態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
第一製法としては、まず、水系媒体中で、有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物、スチレンアクリル樹脂を生成し得る重合性単量体、及び、ブロックポリマーを含有する重合性単量体組成物の粒子を形成(造粒)する。次いで、粒子に含まれる重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を得る態様(以下「懸濁重合法」ともいう。)が挙げられる。
第二製法としては、先にトナー粒子の母体を得た後、トナー粒子の母体を水系媒体中に投入して、水系媒体中でトナー粒子の母体に有機ケイ素重合体の表層を形成する態様が挙げられる。トナー粒子の母体は、スチレンアクリル樹脂及びブロックポリマーを溶融混練し、粉砕することによって得られるものであってもよい(粉砕法)。また、スチレンアクリル樹脂粒子及びブロックポリマー粒子を、水系媒体中で凝集させ、会合させることによって得られるものであってもよい(乳化凝集法)。さらに、スチレンアクリル樹脂、有機ケイ素重合体を生成し得る有機ケイ素化合物及びブロックポリマーを、有機溶媒に溶解させた分散液を、水系媒体中に粒子を形成(造粒)し、有機溶媒を除去することによって得られるものであってもよい(溶解懸濁法)。
第三製法としては、結着樹脂、有機ケイ素重合体を生成し得る有機ケイ素化合物、及び、ブロックポリマーを、有機溶媒に溶解させた分散液を、水系媒体中に粒子を形成(造粒)し、有機溶媒を除去してトナー粒子を得る態様が挙げられる。
第四製法としては、スチレンアクリル樹脂粒子、ブロックポリマー粒子、及び、ゾル又はゲル状態の有機ケイ素重合体を生成し得る有機ケイ素化合物含有粒子を、水系媒体中で凝集させ、会合させてトナー粒子を形成(造粒)する態様が挙げられる。
第五製法としては、トナー粒子の母体の表面に、有機ケイ素重合体を生成し得る有機ケイ素化合物を含有する溶媒をスプレードライ法によりトナー粒子の母体の表面に噴射する。その後、熱風及び冷却により表面を重合又は乾燥させて、有機ケイ素重合体を形成する態様が挙げられる。有機ケイ素化合物は、ある程度重合させたものを用いてもよい。トナー粒子の母体は、上記第二製法で述べたトナー粒子の母体の作成方法と同様である。
これらの製造方法によって製造されたトナー粒子は、有機ケイ素重合体がトナー粒子の表面近傍で形成されるため、環境安定性(特に、過酷環境下での帯電性)が良好となる。また、過酷環境下においてもトナー内部に存在する樹脂や、必要に応じて添加される離型剤のブリードによるトナー粒子の表面状態の変化が抑制される。
以下、本発明に用いられるトナー粒子の製造方法の中で最も好適な懸濁重合法を用いて、トナー粒子の製造方法を説明する。
スチレンアクリル樹脂を生成し得る重合性単量体、ブロックポリマー、有機ケイ素重合体を生成し得るケイ素化合物および、分散機に依って均一に溶解または分散させ、これにラジカル重合開始剤(以下、重合開始剤)を溶解し、重合性単量体組成物を調製する。重合性単量体組成物には、必要に応じて、着色剤、ワックスなどその他の添加物を加えてもよい。次に、該重合性単量体組成物を分散安定剤含有の水系媒体中に懸濁して重合を行う。次いで、ゾルゲル反応により有機ケイ素重合体を生成することによってトナー粒子が製造される。分散機としては、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機が挙げられる。
重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加剤を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
本発明のトナーには、公知のワックスを含有させてもよい。具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの石油系ワックスおよびその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスおよびその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックスおよびその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの天然ワックスおよびそれらの誘導体が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸またはその化合物;酸アミド、エステル、ケトン、硬化ヒマシ油およびその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独、もしくは併用して用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックスまたは石油系ワックスを使用した場合に、現像性や転写性の改善効果がさらに高くなる。なお、これらのワックス成分には、トナーの帯電性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。また、これらのワックス成分は、結着樹脂(スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーとの合計)100.0質量部に対して、1.0〜30.0質量部使用するのが好ましい。
本発明に用いられるワックス成分の融点は30〜120℃であることが好ましく、より好ましくは60〜100℃である。
本発明には着色剤として、以下の有機顔料、有機染料、および、無機顔料を用いてもよい。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、および、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、および、66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、および、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、およびC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、および、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191、および、194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、および、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、および、シアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、および、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
該着色剤は、結着樹脂(スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーとの合計)100.0質量部に対して、1.0〜20.0質量部用いることが好ましい。
懸濁重合法を用いてトナー粒子を得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性を考慮し、重合阻害のない物質による疎水化処理を施した着色剤を用いることが好ましい。染料を疎水化処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめて着色重合体を得る方法が挙げられ、この得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の疎水化処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(ポリオルガノシロキサン)で処理を行ってもよい。
また、必要に応じて荷電制御剤を用いてもよい。荷電制御剤としては、摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸およびダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノおよびポリカルボン酸およびその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、および、荷電制御樹脂が挙げられる。
一方、トナーを正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、および、これらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、および、フェロシアン化物);高級脂肪酸の金属塩;荷電制御樹脂。これら荷電制御剤は、単独でまたは2種類以上組み合わせて添加してもよい。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂(スチレンアクリル樹脂とブロックポリマーとの合計)100.0質量部に対して、0.01〜20.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10.0質量部である。
また、荷電制御樹脂は、スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体を用いることが好ましい。スルホン酸基、スルホン酸塩基またはスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマーまたはスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有することが好ましい。より好ましくは5質量%以上含有することである。荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35〜90℃、ピーク分子量(Mp)が10,000〜30,000、重量平均分子量(Mn)が25,000〜50,000であるものが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有しているため、着色剤の分散液中の荷電制御樹脂自身の分散性、および、着色剤の分散性が向上し、着色力、透明性、および、摩擦帯電特性をより向上させることができる。
重合性単量体を重合させるためのラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。有機過酸化物系開始剤としては、以下のものが挙げられる。ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、および、tert−ブチル−パーオキシピバレートなどである。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、および、アゾビスメチルブチロニトリルなどが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、および、アンモニウム塩)の無機過酸化物、および、4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩、および、3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン、および、エチルアミンのような炭素数1〜6程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、および、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1〜6)、アスコルビン酸またはその塩、および低級アルデヒド(炭素数1〜6)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独または混合して利用される。前記重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100.0質量部に対し、0.5〜20.0質量部が添加される。
また、重合度を制御するため公知の連鎖移動剤、および、重合禁止剤をさらに添加し用いることも可能である。
重合性単量体を重合させる場合に各種架橋剤を用いることもできる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、4,4’−ジビニルビフェニル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、および、トリメチロールプロパントリメタクリレートのような多官能性化合物が挙げられる。
水系媒体を調製するときに使用する分散安定剤としては、公知の無機化合物の分散安定剤、および、有機化合物の分散安定剤を用いることができる。無機化合物の分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、および、アルミナが挙げられる。一方、有機化合物の分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸およびその塩、および、デンプンが挙げられる。これら分散安定剤の使用量は、重合性単量体100.0質量部に対して、0.2〜20.0質量部であることが好ましい。
これら分散安定剤の中で、無機化合物の分散安定剤を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒径の分散安定剤を得るために、水系媒体中で該無機化合物を生成させてもよい。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで得られる。
トナー粒子には、トナーへの各種特性を付与するために外添剤を外添してもよい。トナーの流動性を向上させるための外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、および、それらの複酸化物微粒子のような無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子および酸化チタン微粒子が好ましい。例えば、トナー粒子に、無機微粒子を外添混合してトナー粒子の表面に付着させることで、トナーを得ることができる。無機微粒子の外添方法は公知の方法を採用すればよい。例えば、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用いて混合処理を行う方法が挙げられる。
シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカまたはヒュームドシリカ、および、水ガラスから製造される湿式シリカが挙げられる。無機微粒子としては、表面およびシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において、塩化アルミニウム、塩化チタン他のような金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって得られる、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子であってもよい。
無機微粒子は、その表面を処理剤によって疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、および、高温高湿下での流動性の向上を達成することができるので、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。トナーに外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーの摩擦帯電量、および、流動性が低下し、現像性や転写性の低下が生じやすくなる。
無機微粒子を疎水化処理するための処理剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、および、有機チタン化合物が挙げられる。その中でも、シリコーンオイルが好ましい。これらの処理剤は単独で用いてもまたは併用してもよい。
無機微粒子の総添加量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1〜2.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.0質量部である。外添剤は、トナーに添加したときの耐久性の点から、トナー粒子の平均粒径の1/10以下の粒径であることが好ましい。
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
<SP値の計算方法>
本発明におけるSP値は、Fedorsの式(式(3))を用いて求める。ここでのΔei、および、Δviの値は著「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3−9による原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参照にした。
δi=[Ev/V]1/2=[Δei/Δvi]1/2 式(3)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子または原子団のモル体積
例えば、ヘキサンジオールは、原子団(−OH)×2+(−CH)×6から構成され、計算SP値は下記式で求められる。
δi=[Δei/Δvi]1/2=[{(5220)×2+(1180)×6}/{(13)×2+(16.1)×6}]1/2
SP値(δi)は11.95となる。
<分子量の測定方法>
ブロックポリマー、ビニルポリマー部位及びトナーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。なお、トナーの重量平均分子量とは、トナーのTHF可溶分を測定して得られる重量平均分子量のことを意味する。
まず、室温で、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連
溶離液:THF
流速:0.6mL/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<ブロックポリマーのポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率の測定方法>
ブロックポリマーのポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率は核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて行う。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値からポリエステル部位とビニルポリマー部位の質量比(C/A比)を算出する。
<融点の測定方法>
ブロックポリマーの融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ブロックポリマー5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度及び降温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のブロックポリマーのDSC測定における融点(Tm)とする。
<NMRの測定方法(式(1)で表される部分構造の確認)>
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(1)で表される部分構造の確認には、以下の固体NMR測定により確認する。測定条件及び試料調製方法は以下の通りである。
「測定条件」
装置:日本電子社製 JNM−EX400
プローブ:6mm CP/MASプローブ
測定温度:室温
基準物質:ポリジメチルシラン(PDMS) 外部基準:−34.0ppm
測定核:29Si (共鳴周波数79.30MHz)
パルスモード:CP/MAS
パルス幅:6.4μsec
繰り返し時間:ACQTM=25.6msec PD=15.0sec
データ点:POINT=4096 SAMPO=1024
コンタクト時間:5msec
スペクトル幅:40kHz
試料回転数:6kHz
積算回数:2000回
試料:測定試料200mg(調製方法は以下)を直径6mmのサンプルチューブに入れる。
測定試料の調製:トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mlを用いて20時間抽出する。円筒濾紙中のろ物を40℃で数時間真空乾燥して得られたものをNMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分とする。
なお、本発明において、トナーに上記有機微粉体又は無機微粉体が外添されている場合は、下記方法によって、該有機微粉体又は無機微粉体を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20minで振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30minの条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラなどで採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
トナー粒子のTHF不溶分のサンプルを上記NMRで測定後に、トナー粒子の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記Q1構造、Q2構造、Q3構造、及びQ4構造にピーク分離する。分離したピークの面積比から各成分のモル%を算出する。
カーブフィティングは日本電子社製のJNM−EX400用ソフトのEXcalibur for Windows(登録商標) version 4.2(EX series)を用いる。メニューアイコンから「1D Pro」をクリックして測定データを読み込む。
次に、メニューバーの「Command」から「Curve fitting functinon」を選択し、カーブフィティングを行った。その一例を図2に示す。合成ピーク(b)と測定結果(d)の差分である合成ピーク差分(a)のピークが最も小さくなるようにピーク分割を行う。
Q1構造の面積、Q2構造の面積、Q3構造の面積、Q4構造の面積を求めて以下の式によりSQ1、SQ2、SQ3、SQ4を求める。
Q1構造:(R)(R)(R)SiO1/2 式(4)
Q2構造:(R)(R)Si(O1/2 式(5)
Q3構造:RSi(O1/2 式(6)
Q4構造:Si(O1/2 式(7)
Figure 2016224419
(式(4)、(5)及び(6)中のR、R、R,R、R、及びRはケイ素に結合している有機基、ハロゲン原子、水酸基又はアルコキシ基を示す。)
本発明では化学シフト値でシランモノマーを特定して、トナー粒子の29Si−NMRの測定において全ピーク面積からQ1構造の面積とQ2構造の面積とQ3構造の面積とQ4構造の面積の合計を有機ケイ素重合体の全ピーク面積とする。
SQ1+SQ2+SQ3+SQ4=1.000
SQ1={Q1の面積/(Q1の面積+Q2の面積+Q3の面積+Q4の面積)}
SQ2={Q2の面積/(Q1の面積+Q2の面積+Q3の面積+Q4の面積)}
SQ3={Q3の面積/(Q1の面積+Q2の面積+Q3の面積+Q4の面積)}
SQ4={Q4の面積/(Q1の面積+Q2の面積+Q3の面積+Q4の面積)}
本発明における有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合は、上記のSQ3である。
Q1構造、Q2構造、Q3構造及びQ4構造におけるケイ素の化学シフト値を以下に示す。
Q1構造の一例(R=R=−OC、R=−CH):−47ppm
Q2構造の一例(R=−OC、R=−CH):−56ppm
Q3構造の一例(R=−CH):−65ppm
Q4構造:−108ppm
<式(1)で表される部分構造の確認方法>
式(1)のRfで表される有機基の有無は、13C−NMRにより確認する。
また、式(1)の詳細な構造はH−NMR,13C−NMR及び29Si−NMRにより確認する。使用した装置及び測定条件を以下に示す。
「測定条件」
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(上記NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
当該方法にて、式(1)のRfで表される有機基の有無を確認した。シグナルが確認できたら、式(1)の構造は“あり”とする。
13C−NMR(固体)の測定条件」
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
<透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、トナー粒子の表層の平均厚み(Dav.)の測定>
本発明において、トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間置き、エポキシ樹脂を硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い、薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(商品名:Tecnai TF20XT、FEI社製)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
本発明においては、用いる樹脂と有機ケイ素重合体の中の原子の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して確認を行っている。さらに、材料間のコントラストを付けるためには四酸化ルテニウム染色法及び四酸化オスミウム染色法を用いる。本発明では真空電子染色装置(商品名:VSC4R1H、Filgen社製)を用い、薄片状にしたサンプルをチャンバーに入れ、濃度5、染色時間15分で染色処理を行う。
当該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求め、その値が後述の方法により求めたトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるものとする。
上述のように、透過型電子顕微鏡(商品名:Tecnai TF20XT、FEI社製)を用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の明視野像を取得する。次に、EELS検出器(商品名:GIF Tridiem、Gatan社製)を用い、Three Window法によりSi−K端(99eV)のEFマッピング像を取得して表層に有機ケイ素重合体が存在することを確認する。次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子断面の最大径である長軸Lの中点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する。すなわち、該長軸Lの中点を通り、且つ、前記中点における交差角が均等(交差角は11.25°)になるように前記断面を横断する直線を16本ひくことにより、前記中点から前記トナー粒子の表面まで32本の線分を形成する。次に、該中心からトナー粒子の表層へ向かう線分(分割軸)をそれぞれAn(n=1〜32)、各線分(分割軸)の長さをAr、上記線分An上の表層の厚みをFRAn(n=1〜32)とする。そして、該分割軸上の32箇所の有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の平均厚みDav.を求める。本発明では、平均化するためトナー粒子10個に対して行い、その相加平均値を求める。
尚、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は、前述のAr(n=1〜32)の相加平均値を計算し、その2倍とする。
[TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)=(Ar1+Ar2+Ar3+Ar4+Ar5+Ar6+Ar7+Ar8+Ar9+Ar10+Ar11+Ar12+Ar13+Ar14+Ar15+Ar16+Ar17+Ar18+Ar19+Ar20+Ar21+Ar22+Ar23+Ar24+Ar25+Ar26+Ar27+Ar28+Ar29+Ar30+Ar31+Ar32)/16
続いて、トナー粒子の表層の平均厚み(Dav.)は以下方法で求める。まず、1つのトナー粒子の表層の平均厚みD(n)を以下の方法で求める。
(n)=(分割軸上における表層の厚みの32箇所の合計)/32=(FRA1+FRA2+FRA3+FRA4+FRA5+FRA6+FRA7+FRA8+FRA9+FRA10+FRA11+FRA12+FRA13+FRA14+FRA15+FRA16+FRA17+FRA18+FRA19+FRA20+FRA21+FRA22+FRA23+FRA24+FRA25+FRA26+FRA27+FRA28+FRA29+FRA30+FRA31+FRA32)/32
平均化するためトナー粒子10個のトナー粒子の表層の平均厚みD(n)(n=1〜10)を求め、トナー粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の表層の平均厚み(Dav.)とする。
<有機ケイ素重合体の含有量の測定>
有機ケイ素重合体の含有量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
有機ケイ素重合体を含まないトナー粒子100質量部に対して、シリカ(SiO)微粉末を0.10質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を0.20質量部、0.50質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、ペレットを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象のトナーを錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi−Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー中の有機ケイ素重合体含有量を求める。
<トナー粒子の表面のケイ素原子の存在比率(atomic%)>
トナー粒子の表面に存在するケイ素原子の強度[dSi]、炭素原子の強度[dC]、酸素原子の強度[dO]、及び硫黄原子の強度[dS]は、X線光電子分光分析(ESCA)を用いた表面組成分析を行い算出する。ESCAの装置および測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件: X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV
StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V
Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 10回、S 5回
測定された各原子のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて、トナー粒子表面に存在する、dSi、dC、dO、dS(いずれも、atomic%)を算出する。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。測定方法は、特開2014−130238号公報に記載の方法と同様の方法で測定する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。なお、実施例および比較例の部数および%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
まず、実施例で用いるブロックポリマーについて述べる。
<ブロックポリマー1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0部、および、1,12−ドデカンジオール105.5部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.3部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合する。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所望の分子量となるまで反応させてポリエステル(1)を得た。ポリエステル(1)の重量平均分子量(Mw)は17000、融点(Tm)は83℃であった。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器にポリエステル(1)100.0部、脱水クロロホルム440.0部を添加して完全に溶解させた後、トリエチルアミン5.0部を加え、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。メタノール550.0部を入れた容器に、上記樹脂溶解液を徐々に滴下して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製、乾燥させてポリエステル(2)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得られたポリエステル(2)100.0部、スチレン120.0部、臭化銅(I)3.0部、および、ペンタメチルジエチレントリアミン6.5部を添加して撹拌しながら、温度110℃で重合反応を行った。所望の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のスチレンおよび触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥してポリエステル部位Cとビニルポリマー部位Aを有するブロックポリマー1を得た。得られたブロックポリマー1の物性を表3に示す。
<ブロックポリマー2〜5の製造>
ブロックポリマー2の製造条件を表1に示すように変更すること以外はブロックポリマー1の製造方法と同様にしてブロックポリマー2〜5を得た。得られたブロックポリマー2〜5の物性を表3に示す。
<ブロックポリマー6の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、および、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン100.0部を窒素置換しながら加熱し、液温120℃で還流させた。そこへスチレン100.0部、Dimethyl 2,2’−azobis(2−methylpropionate)9.0部を混合したものを3時間かけて滴下し、滴下終了後、溶液を3時間撹拌した。その後、160℃、1hPaにて、キシレンおよび残存スチレンを留去しビニルポリマー(1)を得た。
次いで、撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に上記で得られたビニルポリマー(1)100.0部、有機溶媒としてキシレン80.0部、1,12−ドデカンジオール109.8部にエステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えて、窒素雰囲気下、150℃で4時間反応させた。その後、セバシン酸105.5部を加えて150℃で3時間、180℃で4時間反応させた。その後、さらに180℃、1hPaで所望のMwとなるまで反応させてブロックポリマー6を得た。得られたブロックポリマー6の物性を表3に示す。
<ブロックポリマー7〜16の製造>
ブロックポリマー6の製造条件を表2に示すように変更すること以外はブロックポリマー6の製造方法と同様にしてブロックポリマー7〜16得た。得られたブロックポリマー7〜16の物性を表3に示す。
Figure 2016224419
Figure 2016224419
Figure 2016224419
<負荷電性制御樹脂1の製造>
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置および減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール255.0部、2−ブタノン145.0部および2−プロパノール100.0部を添加し、重合性単量体としてスチレン88.0部、アクリル酸2−エチルヘキシル6.0部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5.0部を添加して撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0部を2−ブタノン20.0部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続した。さらに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、さらに5時間撹拌して重合を終了し、凝集物を得た。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた凝集物を150メッシュ(目開き104μm)のスクリーンを装着したカッターミルにて100μm以下に粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕した。その微粉体を250メッシュ(目開き61μm)の篩により分級し、60μm以下の粒子を分別して得た。次に該粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトン(MEK)を加え溶解し、前述の溶液をMEKの20倍量のメタノール中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のメタノールで洗浄し、ろ過した粒子を温度35℃にて48時間真空乾燥した。
さらに前述の真空乾燥後の粒子を10%の濃度になるようにMEKを加え再溶解し、前述の溶液をMEKの20倍量のn−ヘキサン中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のn−ヘキサンで洗浄し、ろ過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥して極性重合体を得た。こうして得られた極性重合体はガラス転移温度(Tg)が83℃であり、メインピーク分子量(Mp)が21,500、数平均分子量(Mn)が11,000、重量平均分子量(Mw)が33,000であり、酸価は14.5mgKOH/gであった。また、1H−NMR(日本電子社製EX−400:400MHz)で測定された組成はスチレン:アクリル酸2−エチルヘキシル:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸=88.0:6.0:5.0(質量比)であった。得られた極性重合体を負荷電性制御樹脂1とする。
<トナー1の製造>
温度60℃に加温したイオン交換水1300.0部に、リン酸三カルシウム9.0部を添加し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、撹拌速度15,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
また、下記の処方を、プロペラ式攪拌装置にて撹拌速度100rpmで撹拌しながら、混合して混合液を調製した。
・スチレン 70.2部
・n−ブチルアクリレート 19.8部
・ブロックポリマー1 10.0部
・メチルトリエトキシシラン 5.0部
次に上記混合液に、
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・負荷電制御剤(ボントロンE−84、オリエント化学社製) 0.5部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0部
・負荷電性制御樹脂1 0.7部
・極性樹脂 5.0部
(スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体、酸価10mgKOH/g、Tg=80℃、Mw=15,000)
を加え、その後、混合液を温度65℃に加温した後にT.K.ホモミクサーにて、撹拌速度10,000rpmにて攪拌し、溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
続いて、上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤として、
・パーブチルPV(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製))9.0部
を加え、温度60℃にてT.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度15,000rpmで20分間攪拌し、造粒した。
[反応1工程]
プロペラ式攪拌装置に移して撹拌速度200rpmで攪拌しつつ、温度70℃で4時間、重合性単量体組成物中の重合性単量体であるスチレンおよびn−ブチルアクリレートを重合させた。この時のpHは5.1であった。
[反応2工程]
次に、1.0モル/L−NaOH水溶液を加えてpH8.0に調整し、容器内の温度を90℃まで昇温し、1.5時間維持した。
[蒸留工程]
反応2工程終了後、還流管を取り外し、留分を回収できる蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃になるまで昇温し、容器内温度(蒸留温度)を100℃にて、5.0時間(蒸留時間)維持した。この工程で、残存単量体やその他溶剤を除去した。蒸留開始時および終了時の容器内容物を少量取り出し、85℃でのpHを測定したところ、いずれも8.0であった。
[洗浄工程]
蒸留工程終了後、30℃まで冷却し、容器内に希塩酸を添加してpHを1.5まで下げて、分散安定剤を溶解させた。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして、重量平均粒径が5.6μmのトナー1を得た。
トナー1のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。また、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。トナー1の物性を表5に示す。
<トナー2〜31およびトナー33〜36の製造>
表4に示した製造条件及び処方に従い、それ以外はトナー1と同様の製造方法でトナー2〜31およびトナー33〜36を得た。得られたトナーの物性を表5に示した。なお、減圧蒸留は、空いている口に減圧機を取り付け、留分を回収する蒸留装置側に引きこまれない程度まで減圧することで行った。
これらのトナーについて、TEM観察においてケイ素マッピングを行った。トナー2〜31及びトナー33〜36においては、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認し、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。トナー30〜31においては表層におけるケイ素原子の量がわずかであることを確認した。
<トナー32の製造>
・スチレン−アクリル樹脂 90.0部
(スチレン:n−ブチルアクリレート=78:22(質量比)の共重合物)(Mw=30,000、Tg=55℃)
・ブロックポリマー2 10.0部
・メチルエチルケトン 100.0部
・酢酸エチル 100.0部
・炭化水素ワックス(Tm=78℃) 9.0部
・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・負荷電性制御樹脂1 1.0部
・メチルトリエトキシシラン 5.0部
上記材料を、アトライター(三井三池化工機株式会社製)を用いて3時間分散し、着色剤分散液を得た。
一方、温度60℃に加温したイオン交換水3000.0部にリン酸カルシウム27.0部を添加し、T.K.ホモミクサーを用いて、撹拌速度10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。上記水系媒体へ上記着色剤分散液を投入し、温度65℃、N雰囲気下において、T.K.ホモミクサーにて撹拌速度12,000rpmで15分間撹拌し、着色剤粒子を造粒した。その後、T.K.ホモミクサーから通常のプロペラ撹拌装置に変更し、撹拌装置の撹拌速度を150rpmに維持した。次に、1.0モル/L−NaOH水溶液を加えてpH8.0に調整し、容器内の温度を90℃まで昇温し、1.5時間維持した。
その後、還流管を取り外し、留分を回収できる蒸留装置を取り付けた。次に、容器内の温度が100℃になるまで昇温し、容器内温度を100℃にて5.0時間維持した。蒸留開始時および終了時の容器内容物を少量取り出し、85℃でのpHを測定したところ、いずれも8.0であった。蒸留終了後、30℃まで冷却し、容器内に希塩酸を添加してpHを1.5まで下げて、リン酸カルシウムを溶解させた。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.8μmのトナー32を得た。
トナー32のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在することを確認した。また、ケイ素化合物を含む粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。得られたトナーの物性を表5に示した。
Figure 2016224419
Figure 2016224419
〔実施例1〕
評価機としてLBP9660Ci(キヤノン社製)を使用した。シアンカートリッジにトナー1を150g装填し、下記項目の評価を行った。結果を表6に示す。なお、特に記述が無い限り、評価紙にはLETTERサイズのXEROX 4200(XEROX社製、坪量75g/m)を用いた。また、耐熱性はトナー単独で評価した。
<低温定着性>
常温常湿環境下(25℃、50%RH)において、評価紙にベタ画像(トナーの載り量:0.9mg/cm)を、定着温度を変えてプリントし、下記の基準で評価した。なお、定着温度は定着ローラ表面を非接触の温度計を用いて測定した値である。
(評価基準)
A:100℃でオフセットせず
B:100℃以上110℃未満でオフセット発生
C:110℃以上120℃未満でオフセット発生
D:120℃以上でオフセット発生
<保存安定性>
各トナー5gを50mLのプラスチック製カップに取り、温度55℃/湿度20%RHで5日間放置し、凝集塊の有無を調べ、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず。
B:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すと崩れる。
C:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない。
D:完全に凝集。
<環境安定性及び現像耐久性の評価>
トナーカートリッジを低温低湿L/L(10℃/15%RH)、高温高湿H/H(33℃/85%RH)の各環境下に、24時間放置した。各環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP9660Ciに取り付け、ベタ画像(トナー載り量0.40mg/cm)、カブリ評価用の印字比率0%の画像を出力した。その後、0.5%の印字比率の画像を30000枚出力した。30000枚の画像出力を行った後に、ベタ画像、印字比率0%の画像、現像スジ評価用のハーフトーン画像を出力した。また、ゴースト評価用のサンプル画像として15mm四方のベタ画像が画像の最上流部左端から右端まで15mm間隔で配置され、その下流部に10mm幅の間隔を開けて全面ハーフトーン画像が配置された画像を1枚出力した。
(画像濃度の評価)
SPI補助フィルターを装着した、マクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)を用いて、初期のベタ画像及び30000枚の画像出力後のベタ画像の定着画像部の画像濃度を測定した。なお、画像濃度の評価基準は下記のとおりである。
A:1.45以上
B:1.35以上1.45未満
C:1.25以上1.35未満
D:1.25未満
(カブリの評価)
初期の0%の印字比率の画像及び30000枚の画像出力後の0%の印字比率の画像において、「リフレクトメータ」((有)東京電色製)により測定した出力画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出した。また、そのカブリ濃度を下記の基準で画像カブリとして評価した。また、そのカブリ濃度を下記の基準で画像カブリとして評価した。数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。
A:カブリ濃度0.5%未満
B:カブリ濃度0.5%以上1.0%未満
C:カブリ濃度1.0%以上2.0%未満
D:カブリ濃度2.0%以上
(現像スジの評価)
30000枚画像出力後にハーフトーン画像(トナー載り量0.25mg/cm)を出力し、下記基準に従い評価した。なお、耐久性に優れるトナーは潰れたり割れたりしにくく、現像ローラ等の部材に付着しにくいため、現像スジが生じにくい。
A:未発生
B:画像上に、縦スジ(排紙方向に沿ったスジ)が1〜3カ所発生
C:画像上に縦スジが4〜6カ所発生
D:画像上に縦スジが7カ所以上発生、あるいは、幅0.5mm以上のスジが発生
(ゴーストの評価)
・評価基準
A:画像上でベタ画像部よりトナー担持ローラ一周分下流側に位置する部分の画像濃度と周辺部分の画像濃度との差が0.05以下
B:画像上でベタ画像部よりトナー担持ローラ一周分下流側に位置する部分の画像濃度と周辺部分の画像濃度との差が0.06以上0.10以下
C:画像上でベタ画像部よりトナー担持ローラ一周分下流側に位置する部分の画像濃度と周辺部分の画像濃度との差が0.11以上0.20以下
D:画像上でベタ画像部よりトナー担持ローラ一周分下流側に位置する部分の画像濃度と周辺部分の画像濃度との差が0.21以上
〔実施例2〜32〕
実施例2〜32では、トナーとして、トナー2〜32をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表6に示す。
〔比較例1〜4〕
比較例1〜4では、トナーとしてトナー33〜36をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表6に示す。
Figure 2016224419

Claims (9)

  1. 有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記トナー粒子が、スチレンアクリル樹脂、及びブロックポリマーを含有し、
    前記有機ケイ素重合体は、下記式(1)で表される部分構造を有し、
    Rf−SiO3/2 (1)
    (式中、Rfは、炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基を示す。)
    前記ブロックポリマーは、
    i)ポリエステル部位Cおよびビニルポリマー部位Aを有し、前記ポリエステル部位Cと前記ビニルポリマー部位Aの質量基準の比率(C/A)が、40/60以上80/20以下であり、
    ii)前記ポリエステル部位Cは、下記式(2)で示される構造単位を有し、
    iii)融点(Tm)が55℃以上90℃以下である、
    ことを特徴とするトナー。
    Figure 2016224419

    (式中、m、nは、それぞれ独立して、4〜16の整数である。)
  2. 前記トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si−NMRの測定において、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、前記式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合が5.0%以上である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)が、15000以上45000以下である、請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記ビニルポリマー部位Aが、スチレンに由来するユニットを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記スチレンアクリル樹脂のSP値と、前記ブロックポリマーのSP値との差の絶対値(ΔSP値)が、0.03以上0.25以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記トナー粒子の表面のX線光電子分光分析(ESCA)において、下記式:
    dSi/(dC+dO+dSi+dS)
    で求められるケイ素原子の存在割合が0.025以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
    (式中、dCは炭素原子の強度を示す。dOは酸素原子の強度を示す。dSiはケイ素原子の強度を示す。dSは硫黄原子の強度を示す。)
  7. 前記有機ケイ素重合体の含有量が前記トナー粒子の全質量に対して、0.5質量%以上4.0質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記ブロックポリマーと前記スチレンアクリル樹脂との合計に対する前記ブロックポリマーの含有量をX質量%、前記トナー粒子の全質量に対する前記有機ケイ素重合体の含有量をY質量%としたとき、XとYとの比(X/Y)が1.5以上30.0以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
    前記スチレンアクリル樹脂を生成し得る重合性単量体、前記ブロックポリマー及び前記有機ケイ素重合体を生成し得るケイ素化合物を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成し、前記粒子に含まれる前記重合性単量体を重合する工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
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