JP2017198980A - トナー - Google Patents
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Abstract
Description
これらプリンターや複写機はアナログからデジタルへの移行が進み、潜像の再現性に優れ高解像度であると同時に、長期間にわたる使用においても安定した画質が求められている。さらには省エネルギー対策として定着性の良いトナーが求められており、定着性改良のために結着樹脂の溶融粘度の改良等が行われている。
しかし、こうした定着性を良化させたトナーであっても、プリントされた後にトナーが一部剥がれる「剥がれ」という現象が問題になることがある。剥がれは、特にトナー載り量の多い部分で起きやすく、その原因としては、トナーの溶融特性が不十分であることや、定着部材との離型性が不足していることが考えられる。
上記定着性の課題に対して、従来数多くの技術が開示されている(例えば特許文献1〜3)。しかしながら、これら提案のトナーであっても、トナー載り量が多い部分における剥がれに関しては不十分であり改善が求められている。
また、従来、定着性を良化させたトナーは、保存性が不十分になりやすく、特に長期保管後に高温高湿の如きトナー劣化に厳しい環境で長期に渡って使用する場合、画質を保つことが難しい。こうした問題に対しても従来技術では不十分であり、改善が求められている。
該離型剤のドメインの最大径の相加平均値が1.0μm以上4.0μm以下であり、
該結晶性ポリエステルのドメイン、及び該離型剤のドメインが一粒子中に観察されるトナー粒子からなる粒子群において、以下の(i)から(iii)の条件を満たしていることを特徴とするトナー。
(i)該結晶性ポリエステルのドメインによる、該離型剤のドメインの平均被覆率が80
%以上である。
(ii)該結晶性ポリエステルのドメインの占める面積の平均割合が、該トナー粒子の断面積に対して10.0%以上40.0%以下である。
(iii)該離型剤のドメインの占める面積の平均割合が、該トナー粒子の断面積に対して10.0%以上40.0%以下である。
本発明者らが鋭意検討した結果、トナー粒子内部で結晶性ポリエステルと離型剤両者の特定のドメインを形成させ、更に離型剤表面を結晶性ポリエステルで覆う構造を取ることで、剥がれに対して顕著な効果があることを見出した。さらに、この状態により定着性だけでなく、長期保管後にも安定した画質が得られることを見出し、本発明に至った。
このような現象がトナー下層や上層で起きた場合、定着後のトナーは紙などのメディアに対しての結着力が小さい状態であることが多い。そのため、例えばプリント画像をこすると、結着力が小さいトナー層全てが剥がれてしまうことがある。これを本発明者らは「剥がれ」と呼び、本発明の課題とした。
結着樹脂、着色剤、離型剤及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、透過型電子顕微鏡によるトナー粒子の断面観察において、該結晶性ポリエステルのドメイン、及び該離型剤のドメインが一粒子中に観察されるトナー粒子の割合が、トナー中70個数%以上であり、
該離型剤のドメインの最大径の相加平均値が1.0μm以上4.0μm以下であり、
該結晶性ポリエステルのドメイン、及び該離型剤のドメインが一粒子中に観察されるトナー粒子からなる粒子群において、以下の(i)から(iii)の条件を満たしていることを特徴とするトナー。
(i)該結晶性ポリエステルのドメインによる、該離型剤のドメインの平均被覆率が80%以上である。
(ii)該結晶性ポリエステルのドメインの占める面積の平均割合が、該トナー粒子の断面積に対して10.0%以上40.0%以下である。
(iii)該離型剤のドメインの占める面積の平均割合が、該トナー粒子の断面積に対して10.0%以上40.0%以下である。
まず、結晶性ポリエステルが離型剤を覆う構造であるため、トナー1粒子中に結晶性ポリエステルのドメインと離型剤のドメインの両者が存在するものが主成分である必要がある。本発明者らの検討によると、両者とも有するトナー粒子(以下、このトナー粒子のことを“Tcw”と称することもある)が、トナー中70個数%以上であることが重要である。本発明者らの検討によると、このTcwにおける結晶性ポリエステルと離型剤の存在状態を制御することが大切であった。該Tcwの割合は、80個数%以上であることが好ましい。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは100個数%以下である。
なお、Tcwであることの認定はトナー粒子断面をTEM観察することで行っている。断面を出すためにトナー粒子を切断し観察するが、高いTcw比率の達成は、両者が均一に混ざり合うか、本発明のように結晶性ポリエステルが離型剤をある程度被覆していなければ難しい。Tcwは、例えば、結晶性ポリエステルと離型剤の親和性が高まるよう構造制御することや、両者の量比、トナー製造方法の選択(具体的には、結晶性ポリエステルと離型剤を混合、溶融する工程を含む製法が好ましい)により制御することが好ましい。
なお、最大径とは、トナー粒子断面をTEM観察した際、離型剤のドメインのうち面積が最も大きなドメインに関して直径をあらゆる角度から測定し、最も長くなる値を指す。
該Tcwにおいては、該離型剤のドメインを結晶性ポリエステルが実質的に被覆している。これは、上述したように定着時にはまず結晶性ポリエステルが溶け広がる必要があり、それにより離型剤の機能が十分発揮されるためである。本発明者らの検討によると、被覆率としては、離型剤のドメインの周囲長を基準として、80%以上が必要であった。80%を下回ると、剥がれが顕著に発生しやすくなるため、好ましくない。画質の安定性の観点から、被覆率は85%以上が好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100%以下である。該被覆率は、例えば、結晶性ポリエステルと離型剤の種類の選択や、両者の量比、結着樹脂の主成分、トナー製造方法及び条件により制御することが好ましい。なお、離型剤のドメインを結晶性ポリエステルが100%の被覆率で覆っている場合、図
2のような形がトナー粒子断面のTEM観察により確認される。ここで、結晶性ポリエステルと離型剤に関しては、両者の親和性が高いものを組み合わせることで被覆率を高く制御しやすく、好ましい。本発明者らの検討によると、炭素数10以上24以下のアルキル基を有するモノアルコール又はモノカルボン酸由来の構造を有する結晶性ポリエステルと、エステル基を2以上6以下有するエステルワックスの組み合わせは親和性が高い傾向であった。
結晶性ポリエステルのドメインの占める面積の割合は、例えば、結晶性ポリエステルの含有量、結着樹脂の組成、トナーの製造方法において結晶化を促進する手法を適用することにより制御することが好ましい。離型剤のドメインの占める面積の割合は、例えば、離型剤の含有量、結着樹脂の組成、トナー製造工程に結晶性ポリエステルの結晶化温度付近でアニールする工程を追加すること等により制御することができる。
長期保管において、トナーが変質しないためには、離型剤や結晶性ポリエステルといった結晶性材料を安定化する必要がある。本発明者らの検討によると、離型剤のドメインを大きなドメインに成長させておくことが大切であった。さらに、上述したような結晶性ポリエステルのドメインが、該離型剤のドメインを被覆率80%以上で覆うと、保管後の耐久性能が飛躍的に向上した。詳細は不明であるが、離型剤と結晶性ポリエステルがトナー粒子中に比較的大きなドメインを形成することで両者が安定化し、さらに大きな結晶が内包されることでトナー粒子としての硬度が増し、長期保管後の耐久性向上につながったと推測している。
結着樹脂に関してはスチレンアクリル系樹脂を主成分とすると、離型剤や結晶性ポリエステルの特定のドメインを安定的に作り易いため、好ましい。ここで、主成分とは、結着樹脂の質量を基準として、70%以上の成分を指す。画像の安定性の観点から、80%以上が好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは100%以下である。スチレンアクリル系樹脂に関しては後述する。
具体的には、透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面において、5nm以上500nm以下の最大径を有する該離型剤のドメイン及び結晶性ポリエステルのドメインの個数の合計が、一つのトナー粒子断面当たり、50個以上500個以下であることが好ましく、80個以上500個以下であることがより好ましい。5〜500nmのドメインの
量が上記範囲であると、保存性や現像性に弊害が無い形で上述した結晶性ポリエステルと離型剤の広がりを助ける傾向があるため、好ましい。5〜500nmのドメインの量は、結晶性ポリエステル及び離型剤の種類と結着樹脂組成の組み合わせ、トナー製造方法における結晶化を促進する工程により制御することが好ましい。ここで、結晶化を促進する工程として、結晶性ポリエステル及び離型剤の融点以上の温度から結晶化温度±5℃まで5.0℃/分以上の速度で冷却することが好ましい手法として挙げられる。
結晶性ポリエステルは公知のものを使用できるが、飽和ポリエステルであると好ましい。脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールの縮合物であることが好ましく、末端に脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造を有することがより好ましい。脂肪族モノカルボン酸由来の末端構造は、分子量や水酸基価の調整がし易くなることに加えて、離型剤との親和性を制御できるため、好ましい。使用できるモノマーは、例えば以下の通りである。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等が挙げられる。
また、本発明で使用する結晶性ポリエステルは、ラウリン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸から選ばれる酸モノマー由来の構造を末端に有するポリエステルであると、上述したエステルワックスとの親和性が更に高まり、離型剤に対する結晶性ポリエステルの被覆率も高まる傾向であるため、好ましい。
結晶性ポリエステルの結晶性の点で、ポリオール成分のうち、直鎖型脂肪族ジオールの含有量が80mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの融点は、好ましくは50℃以上95℃以下であり、より好ましくは55℃以上90℃以下、更に好ましくは55℃以上85℃以下である。融点は、使用するカルボン酸成分、アルコール成分の組み合わせで制御することができる。
ができる。例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステルの種々の製造条件やモノマー構成によって制御可能である。特に、モノアルコールやモノカルボン酸をモノマーとして併用すると、分子量が下がる傾向がある。分子量を50000以上に調整したい場合、モノアルコールやモノカルボン酸は併用しないことが好ましい。
また、結晶性ポリエステルの酸価(mgKOH/g)に関しても水酸基価と同様に、結晶性ポリエステルによる離型剤の被覆率を高める観点で、低く制御しておくことが好ましい。具体的には8.0以下である。より好ましくは、5.0以下であり、更に好ましくは4.5以下である。
本発明のトナーにおいては、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルを併用することも出来る。これは、結着樹脂としてではなく、例えばシェル層としての効果を期待するものである。非晶性ポリエステルは、結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上含有することが好ましく、より好ましくは1.0質量部以上20.0質量部以下である。
離型剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、
N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
以下に、本発明に好適に用いることのできるエステルワックスを挙げる。なお、以下で述べる官能数は、1分子中に含まれるエステル基の数を示している。例えば、ベヘン酸ベヘニルであれば1官能のエステルワックスであり、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネートであれば6官能のエステルワックス、と呼ぶ。
脂肪族アルコールの例としては、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。また、脂肪族カルボン酸の例としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸が挙げられる。
ジカルボン酸としてアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸が挙げられる。
ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
ジカルボン酸と縮合させるモノアルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましい。具体的には、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール等が挙げられる。中でも、ドコサノールは定着性や現像性の観点で好ましい。
ジオールと縮合させるモノカルボン酸としては、脂肪族カルボン酸が好ましい。具体的には、脂肪酸としてラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等が挙げられる。中でも、ベヘン酸は定着性や現像性の観点で好ましい。
なお、ここでは直鎖脂肪酸、直鎖アルコールを例示したが、分岐構造を有していても構わない。
3官能のエスエルワックスとしては、グリセリン化合物と1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物が挙げられる。4官能のエステルワックスとしては、ペンタエリスリトールと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物、ジグリセリンとカルボン酸の縮合物が挙げられる。5官能のエステルワックスとしては、トリグリセリンと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物が
挙げられる。6官能のエステルワックスとしては、ジペンタエリスリトールと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物、テトラグリセリンと1官能の脂肪族カルボン酸の縮合物が挙げられる。
エステルワックスとしては、2官能〜6官能のものが結晶性ポリエステルとの親和性が高く、離型剤のドメインが結晶性ポリエステルに覆われた構造を取りやすいため、好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上40.0質量部以下が好ましく、更に好ましくは3.0質量部以上35.0質量部以下、特に好ましくは3.0質量部以上30.0質量部以下である。
また、結晶性ポリエステルは、結着樹脂100質量部に対して、5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレンアクリル系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも特にスチレン−アクリル酸ブチルに代表されるスチレンアクリル系樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
スチレン系重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンが挙げられる。
アクリル系重合性単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プ
ロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートが挙げられる。
メタクリル系重合性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートが挙げられる。
なお、スチレンアクリル系樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、結着樹脂はその他公知の樹脂を組み合わせて使用することもできる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、及び、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及び、アリルアミド化合物が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、シアン系着色剤、及び磁性粉体を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、磁性粉体以外を用いる場合には、結着樹脂を構成する重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下が好ましい。磁性粉体を用いる場合の含有量としては、結着樹脂を構成する重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し、好ましくは20質量部以上200質量部以下、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
なお、磁性粉体の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍〜4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体粒子径を測定する。そして、磁性粉体の投影面積に等しい
円の相当径を基に、個数平均粒径の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5〜10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性粉体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性粉体を得ることができる。
RmSiYn (I)
[式中、Rは炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基などの官能基を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
本発明においては、一般式(I)のYがアルキル基であるものが好ましく用いることができる。中でも好ましいのは、炭素数3以上6以下のアルキル基であり、特に好ましくは3又は4である。
用いるカップリング剤の総処理量は磁性粉体100質量部に対して0.9〜3.0質量部であることが好ましく、磁性粉体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが重要である。
て昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱する。100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性粉体量とする。
荷電制御剤としてはトナーを負荷電性に制御するものと正荷電性に制御するものがある。トナーを負荷電性に制御するものとしては、例えば以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸並びにその金属塩、無水物、及びエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、及び荷電制御樹脂が挙げられる。
上記の荷電制御剤は、単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウム又はジルコニウムであるものが好ましい。
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上90℃以下、ピーク分子量(Mp)が10,000以上30,000以下、重量平均分子量(Mw)が25,000以上50,000以下であるものが好ましい。この荷電制御樹脂を用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有しているため、着色剤の分散液中の荷電制御樹脂自身の分散性、及び、着色剤の分散性が向上し、着色力、透明性、及び、摩擦帯電特性をより向上させることができる。
懸濁重合法とは、結着樹脂を構成する重合性単量体、離型剤、結晶性ポリエステル及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を分散剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散・造粒し、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となるために画質の向上が期待できる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンを単独で、又は他の単量体と混合して使
用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
具体的な重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジセカンダリーブチルパーオキシジカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明に用いられる架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,7−ヘプタンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,11−ウンデカンジオールジアクリレート、1,18−オクタデカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル、ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物、3個以上のビニル基を有する化合物が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
特に下記式で示される1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,7−ヘプタンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,11−ウンデカンジオールジアクリレート、1,18−オクタデカンジオールジアクリレートが、好ましく用いられる。
上記の化合物は柔軟性を持ち、比較的分子鎖が長いために結着樹脂の架橋点の間隔が広
くなりやすく、大きな網目構造を形成しやすくなる。
その結果、本発明における結晶性ポリエステルによる離型剤の被覆率を制御しつつ、定着剥がれと長期保管後の耐久現像性を両立させやすくなる。
この理由は定かではないが、架橋構造を持たせることでトナーの脆性が改良されると同時に、架橋点の間隔が広いことで離型剤や結晶性ポリエステルの存在状態に影響を与えにくいためと推測している。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえばよい。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を使用することが好ましい。また、上記分散剤は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。更に、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。
上記重合性単量体の重合が終了して着色粒子を得た後、着色粒子が水系媒体に分散した状態で、結晶性ポリエステル及び離型剤の融点を超える温度まで、昇温させてもよい。重合温度が当該融点を超えている場合、この操作は必要ない。
結晶性ポリエステルを結晶化させる目的でトナーの製造方法に関して着目すると、例えば粉砕法や懸濁重合、乳化重合によってトナーを製造する場合、一度結晶性ポリエステルや離型剤が融解するような温度まで昇温し、その後常温まで冷却する工程を含むことが多い。
冷却工程について考えると、結晶性ポリエステルや離型剤が結晶化するのは冷却工程中であり、本発明のトナーを得る上で好ましい工程である。
長時間保持することにより、結晶性ポリエステルおよび離型剤の結晶化度、更には結晶性ポリエステルの離型剤に対する被覆率を高めることが出来るため、好ましい。一方、保持時間が短いと(例えば30分未満)、結晶性物質の結晶化度が十分に高まらない場合がある。
また、冷却速度に関しては、5.0℃/分以上の速度で冷却すると結晶量が高まる傾向であり、特に5nm以上500nm以下のドメイン個数が増加傾向であるため、好ましい。より好ましくは、10.0℃/分以上であり、更に好ましくは30.0℃/分以上である。
こうした、保持工程および冷却速度を制御して製造したトナーは、剥がれや耐久現像性に優れる傾向があるため、好ましい。
本発明のトナーは、流動化剤として1次粒子の個数平均粒径が好ましくは4〜80nm、より好ましくは6〜40nmの無機微粉体が添加されていることが好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及び帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真を用いて行う。
に対して、0.1〜3.0質量部であることが好ましい。添加量が0.1質量部以上であるとその効果が十分に得られる。3.0質量部以下であると定着性が良好になる。無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
無機微粉体は疎水化処理された物であることが、トナーの環境安定性を向上させることができるため好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、帯電量が不均一になり易く、トナー飛散が起こり易くなる。無機微粉体の疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光ドラム100に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。感光ドラム100上の静電潜像は現像器140によって一成分トナーで現像されてトナー画像を得、トナー画像は転写材を介して感光体に当接された転写ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像を載せた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナー116によりクリーニングされる。
なお、ここでは磁性一成分ジャンピング現像の画像形成装置を示したが、ジャンピング現像又は接触現像のいずれの方法に用いられるものであってもよい。
〈結晶性ポリエステルの融点〉
結晶性ポリエステルの融点はDSCにて測定した際の、吸熱ピークのピークトップ温度として求めることができる。測定はASTM D 3417−99に準じて行う。これらの測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000を用いることができる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定する。なお、結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを有するものをいう。
トナー(母粒子)の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定
データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(母粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(母粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
結晶性ポリエステル、非晶性飽和ポリエステル樹脂及びトナーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で結晶性ポリエステル、非晶性飽和ポリエステル樹脂又はトナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量 :0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結晶性ポリエステルの酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定した。具体的には、以下の手順に従って測定した。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得た。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとした。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得た。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管した。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求めた。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いた。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性ポリエステルの試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解した。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定した。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとした。(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行った。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出した。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
本発明において、結晶性ポリエステルの水酸基価OHv(JIS水酸基価)は、以下の方法により求める。水酸基価とは、試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結晶性ポリエステルの水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定される。
具体的には、以下の手順に従って測定する。
(ア)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭
酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。特級水酸化カリウム35gを20mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。
(イ)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性ポリエステルの試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
結着樹脂の試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(ウ)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:結晶性ポリエステルの酸価(mgKOH/g)である。
透過型電子顕微鏡(TEM)によるトナー粒子の断面観察は以下のようにして実施することができる。
トナー粒子断面をルテニウム染色することによって観察を行う。トナーに含有される結晶性ポリエステル及び離型剤は結晶性を有するために、結着樹脂のような非晶樹脂よりもルテニウムで染色される。そのため、コントラストが明瞭になり、観察が容易となる。染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分は、これらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では黒くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では白くなる。
まず、カバーガラス(松浪硝子社、角カバーグラス 正方形 No.1)上にトナーを一層となるように散布し、オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナー粒子にOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。次に、PTFE製のチューブ(Φ1.5mm×Φ3mm×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填し、チューブの上に前記カバーガラスをトナー粒子が光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナー粒子が包埋された円柱型の樹脂を形成する。超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)に
より、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(重量平均粒径(D4)が8.0μmの場合は4.0μm)の長さだけ切削して、トナー粒子の断面を出す。次に、膜厚250nmとなるように切削し、トナー粒子断面の薄片サンプルを作製した。このような手法で切削することで、トナー粒子中心部の断面を得ることができる。
得られた薄片サンプルを真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色し、TEM(JEOL社、JEM2800)のSTEM機能を用いてSTEM観察を行った。
STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelにて画像を取得した。また、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Gammmaを1.00に調整して、画像を取得した。
トナー粒子の断面のTEM画像をもとに、結晶性材料のドメインの同定を、以下の手順により行う。
結晶性材料を原材料として入手できる場合、それらの結晶構造を、上述のルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)におけるトナー粒子断面の観察方法と同様にして、観察し、原材料それぞれの結晶のラメラ構造の画像を得る。それらと、トナー粒子の断面におけるドメインのラメラ構造を比較し、ラメラの層間隔が誤差10%以下であった場合、トナー粒子の断面におけるドメインを形成している原材料を特定することができる。
離型剤のドメイン径の測定は、ルテニウム染色処理された透過型電子顕微鏡(TEM)におけるトナー粒子断面の観察により得られたTEM画像をもとに行い、離型剤のドメインのうち面積が最も大きなドメインの最大径を測定する。
100個のトナー粒子の断面を観察し、これらの相加平均値を離型剤のドメインの最大径とする。
観察するトナー粒子は重量平均粒径(D4)に対して、0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たす長径R(μm)を呈するものとする。
上述の結晶性ポリエステル及び離型剤のドメイン径の測定と同様に、TEM画像を用いて、一粒子のトナー粒子断面当りに含まれる結晶性ポリエステル及び離型剤のドメインの個数を計測する。具体的には、ドメインの最大径が5〜500nmのドメインの個数を計測する。これを100個のトナー粒子の断面について行い、一つのトナー粒子断面当りのドメインの個数を、結晶性ポリエステル及び離型剤のドメインの個数とする。
上述の結晶性ポリエステル及び離型剤ドメインの同定において、0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たすトナー粒子100個について、結晶性ポリエステルのドメイン及び離型剤のドメインの両方を有するトナー粒子をカウントし、トナー中の割合を算出した。
被覆率は、結晶性ポリエステルのドメイン及び該離型剤のドメインを一粒子中に含有するトナー粒子(Tcw)からなる粒子群における、トナー粒子断面のTEM画像を用いて、下記のように算出した。まず、TEM観察において、最大径を有する離型剤のドメインを特定し、該ドメインの界面に沿ってフリーハンドで周囲長(L1)を測定した。次に、
離型剤の該ドメインにおいて結晶性ポリエステルと接触している部分の長さ(L2)を、同じくフリーハンドで測定した。これらの値を用いて下式から、被覆率を算出することができる。
被覆率(%)=L2/L1×100
同様の計算を0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たすトナー粒子100個について行い、その相加平均値を離型剤ドメインに対する結晶性ポリエステルの平均被覆率とした。
結晶性ポリエステルドメイン及び離型剤ドメインそれぞれのトナー粒子断面積に対する面積比の測定は、トナー粒子Tcwからなる粒子群について、上記と同様にTEM観察によって得られた画像(明視野像)を、画像処理ソフト「Image J 1.48」にて2値化をして行う。
まず、明るさ(階調255)の閾値を離型剤及び結晶性ポリエステルドメインが区別できるよう設定して2値化し、ドメインの面積を求める。また、このドメインを有するトナー粒子断面の面積も求め、それらの比を取ることで面積比を求める。
0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たすトナー100個の2値化を行い数値化し、その平均値をもって面積比とした。
樹脂サンプルを2mg精秤し、クロロホルム2mlを加えて溶解させてサンプル溶液を作製する。樹脂サンプルとしては結晶性ポリエステルを用いるが、結晶性ポリエステルを含有するトナーをサンプルとして代用することも可能である。次に、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mlを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸Na(NaTFA)3mgを精秤した後、アセトンを1ml添加して溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μl、マトリックス溶液50μl、イオン化助剤溶液5μlを混合して、MALDI分析用のサンプルプレート上に滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。分析機器として、MALDI−TOFMS(Bruker Daltonics製 Reflex III)を用い、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルにおいて、オリゴマー領域(m/Zが2000以下)の各ピークの帰属を行い、分子末端にモノカルボン酸が結合した構造に対応するピークが存在するか否かを確認する。
アルコールモノマーとカルボン酸モノマー1及び2を表1の通りとし、反応時間及び温度、モノマーの添加量を所望の物性になるように調整して、結晶性ポリエステル1〜13を得た。得られた結晶性ポリエステルの物性を表1に示す。結晶性ポリエステル1〜13は、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを有していた。
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸第一鉄水溶液50リットルに、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55リットルを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この水溶液を85℃に保ち、20L/minで空気を吹き込みながら酸化反応を行い、コア粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過・洗浄した後、コア粒子を水中に再度分散させ、リスラリーした。このリスラリー液に、コア粒子100部あたり珪素換算で0.20質量%となる珪酸ソーダを添加し、スラリー液のpHを6.0に調整し、撹拌することで珪素リッチな表面を有する磁性酸化鉄粒子を得た。得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過、洗浄、更にイオン交換水にてリスラリーを行った。このリスラリー液(固形分50g/L)に500g(磁性酸化鉄に対して10質量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入し、2時間撹拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュでろ過して除去し、フィルタープレスにてろ過・洗浄し、乾燥・解砕して個数平均径が0.23μmの磁性酸化鉄を得た。
iso−ブチルトリメトキシシラン30部をイオン交換水70部に撹拌しながら滴下した。その後、この水溶液をpH5.5、温度55℃に保持し、ディスパー翼を用いて、周速0.46m/sで120分間分散させて加水分解を行った。その後、水溶液のpHを7.0とし、10℃に冷却して加水分解反応を停止させた。こうしてシラン化合物を含有する水溶液を得た。
磁性酸化鉄の100部をハイスピードミキサー(深江パウテック社製 LFS−2型)に入れ、回転数2000rpmで撹拌しながら、シラン化合物を含有する水溶液8.0部を2分間かけて滴下した。その後5分間混合・撹拌した。次いで、シラン化合物の固着性を高めるために、40℃で1時間乾燥し、水分を減少させた後に、混合物を110℃で3時間乾燥し、シラン化合物の縮合反応を進行させた。その後、解砕し、目開き100μmの篩を通して磁性体1を得た。
イオン交換水720部にNa3PO4水溶液(0.1モル/L)450部を投入して60℃に加温した。その後、CaCl2水溶液(1.0モル/L)67.7質量部を添加し
て、クレアミックス(エムテクニック製)を用いて、1,200r/minにて撹拌し水系媒体を調製した。また、架橋剤としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを用いた。
・スチレン 79.0部
・n−ブチルアクリレート 21.0部
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート 0.65部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土谷化学社製) 1.5部
・磁性体1 95.0部
・非晶性飽和ポリエステル樹脂 5.0部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド(2モル)及びプロピレンオキサイド(2モル)付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られる非晶性飽和ポリエステル樹脂;Mw=9500、酸価=2.2mgKOH/g、ガラス転移温度=68℃)
上記処方をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)を用いて均一に分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を63℃に加温し、そこに表3記載の結晶性ポリエステル1を10.0質量部、離型剤としてセバシン酸ジベヘニルを5.0質量部、HNP‐9(日本精蝋社製)15.0質量部を混合し、溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ重合開始剤t−ブチルパーオキシピバレート5.0質量部を投入し、70℃に昇温して4時間反応させた。反応終了後、懸濁液を100℃まで昇温させ、2時間保持した。
(冷却工程)
その後、冷却工程として、懸濁液に常温の水を投入し、40℃/分の速度で懸濁液を100℃から50℃まで冷却した後、50℃で100分保持し、常温(以下、トナーの製造において30℃以下を常温とする)まで放冷した。なお、結晶性ポリエステル1の結晶化温度は53℃であった。その後、懸濁液に塩酸を加えて十分洗浄することで分散安定剤を溶解させ、濾過・乾燥してトナー母粒子1を得た。処方を表2に示す。
トナー母粒子1の製造において、結晶性ポリエステル及び離型剤の種類と部数、冷却工程を表2に記載の通りに変更した以外は同様にして、トナー母粒子2〜12を製造した。
トナー母粒子1の製造において、結晶性ポリエステル及び離型剤の種類と部数、冷却工程を表2に記載の通りに変更し、更に、非晶性飽和ポリエステルの添加量を30.0部としたこと以外は同様にして、トナー母粒子13〜16を製造した。
トナー母粒子1の製造において、結晶性ポリエステル及び離型剤の種類と部数、冷却工程を表2に記載の通りに変更し、更に、架橋剤をジビニルベンゼンに置き換えたこと以外は同様にして、比較用トナー母粒子1〜6を製造した。
なお、トナー母粒子1〜16、比較用トナー母粒子1〜6のいずれもガラス転移温度が50〜60℃の範囲内であり、重量平均粒径(D4)が6.5〜9.0μmの範囲内であった。
なお、表2中の「冷却速度」について詳述する。
「40℃/分」という条件は、トナー母粒子1の製造例にあるように、冷却工程において、40℃/分の速度で懸濁液を100℃から結晶性ポリエステルの結晶化温度付近まで冷却した後、同温度で100分保温し、常温まで放冷することを示す。結晶性ポリエステルの結晶化温度は事前に確認することによって、冷却工程の停止温度及び保持温度を決定した。同様に、「5℃/分」という条件、及び、「1℃/分」は、それぞれ、冷却工程に
おいて、5℃/分の速度、又は、1℃/分の速度で懸濁液を100℃から結晶性ポリエステルの結晶化温度付近まで冷却する以外は上記同様に保温、放冷することを示す。
100質量部のトナー母粒子1と、BET値が300m2/gで一次粒径8nmの乾式シリカ微粒子にヘキサメチルジシラザン処理を行った疎水性シリカ微粉体0.8質量部とを三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合してトナー1を得た。
また、トナー母粒子1をトナー母粒子2〜16及び比較トナー母粒子1〜6とすること以外は同様にして、トナー2〜16、及び比較用トナー1〜6を得た。
トナー1を用いて、以下の評価を行った。
(初期現像性)
画像形成装置としてLBP3410(キヤノン社製モノクロレーザービームプリンター)を用い、トナー1を使用し、常温常湿環境下(23℃/60%RH)にて1日放置した
。紙種としてA4のカラーレーザーコピー用紙(キヤノン製、80g/m2)を用いた。常温常湿環境下でベタ画像を連続で5枚出力し、得られたベタ画像5枚を印字画像濃度(マクベス反射濃度計(マクベス社製))を用いて測定した。それらの最悪値をベタ濃度とし、ベタ濃度が高いほど、現像性が良好であるとして評価を行った。評価結果を表3に記載する。
定着メディアにはFOX RIVER BOND紙(110g/m2)を用いた。画像形成装置としては、初期現像性の評価に用いた画像形成装置を、現像バイアスを調整できるよう改造したものを使用した。評価画像はベタ画像とし、現像バイアスを振ってベタ部の反射濃度を高く設定することで画像上のトナー量を多くした。比較的表面凹凸が大きい厚紙を用いることで、定着工程において紙の凹部やトナー層の下層部のトナーが溶融し難くなるため、剥がれに対して厳しくなる。評価環境としても、低温であると定着器が暖まりにくく、厳しい評価となる。
評価手順を以下に示す。まず、画像形成装置を低温低湿環境(温度15℃湿度10%)下に一晩放置した。その後、FOX RIVER BOND紙を用いてベタ画像を印字した時に、画像濃度(マクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。)が1.5以上、1.55以下となるように現像バイアスを調整した。さらに低温低湿環境において1時間放置した後に、調整したバイアス設定でベタ画像を5枚出力した後、シルボン紙に55g/cm2の加重をかけてベタ画像5枚をシルボン紙1枚で10回摺擦した。この摺擦後のベタ画像と、摺擦に用いたシルボン紙を使用して見た目で下記のように評価した。なお、剥がれはベタ画像部において白く抜けた部分があるかどうか、更にシルボン紙でこすれる紙への付着力が低い部分があるかどうかで判断した。本発明ではD以上を良好と判断した。
A:摺擦後でも剥がれが見られず、ベタ画像の均一性を保っている
B:摺擦後でも剥がれが見られず、ベタ画像の均一性を保っているが、シルボン紙が僅かに汚れている
C:摺擦後でも剥がれが見られず、ベタ画像の均一性を保っているが、シルボン紙に明確な汚れがある
D:摺擦後で剥がれが一部見られ、摺擦前のベタ画像でも剥がれが一部発生している
E:摺擦後で剥がれが見られると共に、摺擦前のベタ画像でも剥がれが明確に発生している
画像形成装置として初期現像性評価で用いたLBP−3410に対して、現像スリーブとして直径10mm径のスリーブを搭載させて評価した。上記条件は、現像スリーブとしては小さく、トナーと現像スリーブ間の圧力が高まる方向であり、現像スリーブへの融着を誘発し易い。さらに、高温環境で長期保管されると離型剤などの結晶性材料が表面に染み出すことがあり、画質が変化する場合がある。このことから、厳しい評価を行うためにトナーを下記の様な環境に放置した後に評価を行った。
具体的には22℃、90%RHに調整された恒温槽にトナーを置き、24時間エージング処理を行う。その後、1時間当り17.5℃のペースで昇温させ、2時間かけて、57℃、90%RHに調整する。その状態で、2時間保持した後、1時間当たり17.5℃のペースで降温させ、57℃、90%RHに戻す。そして、2時間保持した後に、再び昇温させる。このようにして、22℃、90%RHと、57℃、90%RHの温度と湿度で、10回昇温と降温を繰り返した。このモードを用いることで、急激な熱変動をトナーに付与し、高温、低温を何度も繰り返すことにより、トナー内部の物質移動を促し、長期保管に対する耐性を見ることができる。これらの条件を組み合わせることで厳しく耐久性を評価できる。
評価手順としては、高温高湿環境(32.5℃80%)に画像形成装置を一晩放置した
後、上記環境下で印字率1%の横線画像を間欠モードで15000枚出力し、さらにベタ白画像を3枚出力した。画質評価は、最後のベタ白画像3枚について、画像スジが発生しているか、さらに現像スリーブ上を観察することで判断した。本発明ではC以上を良好と判断した。
A:画像スジ未発生
B:画像スジは未発生だが、現像スリーブ上にトナー載り量ムラが見られる
C:画像上に軽微なスジが見られる
D:画像上に明確なスジが見られる
実施例1にて、トナー1をトナー2〜16に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。評価結果を表3に示す。
実施例1にて、トナー1を比較用トナー1〜6に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。評価結果を表3に示す。
Claims (4)
- 結着樹脂、着色剤、離型剤及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
透過型電子顕微鏡によるトナー粒子の断面観察において、該結晶性ポリエステルのドメイン、及び該離型剤のドメインが一粒子中に観察されるトナー粒子の割合が、トナー中70個数%以上であり、
該離型剤のドメインの最大径の相加平均値が1.0μm以上4.0μm以下であり、
該結晶性ポリエステルのドメイン、及び該離型剤のドメインが一粒子中に観察されるトナー粒子からなる粒子群において、以下の(i)から(iii)の条件を満たしていることを特徴とするトナー。
(i)該結晶性ポリエステルのドメインによる、該離型剤のドメインの平均被覆率が80%以上である。
(ii)該結晶性ポリエステルのドメインの占める面積の平均割合が、該トナー粒子の断面積に対して10.0%以上40.0%以下である。
(iii)該離型剤のドメインの占める面積の平均割合が、該トナー粒子の断面積に対して10.0%以上40.0%以下である。 - 前記結着樹脂はスチレンアクリル系樹脂を主成分とする請求項1記載のトナー。
- 透過型電子顕微鏡で観察されるトナー粒子の断面において、5nm以上500nm以下の最大径を有する離型剤のドメイン及び結晶性ポリエステルのドメインの個数の合計が、一つのトナー粒子断面当たり50個以上500個以下である請求項1または2に記載のトナー。
- 前記結晶性ポリエステルは、ラウリン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸から選ばれる酸モノマー由来の構造を末端に有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
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