JP2007169456A - 樹脂粒子分散液の製造方法、静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重縮合性単量体を重縮合しポリエステルを得る工程、カルボキシル基及び/又はその等価基を1つ以上有する乳化性希釈剤及び前記ポリエステルを少なくとも含む混合物を得る工程、並びに、前記混合物を水系媒体中に乳化分散し樹脂粒子分散液を得る工程を含む樹脂粒子分散液の製造方法であって、乳化分散温度における前記ポリエステルの粘度が2,000〜20,000Pa・sであり、乳化分散温度における前記乳化性希釈剤の粘度が0.1〜100Pa・sであることを特徴とする樹脂粒子分散液の製造方法、静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、画像形成方法。
Description
また、他に意図的なトナー形状及び表面構造の制御を可能とする手段として特許文献1及び2に乳化重合凝集法によるトナーの製造方法が提案されている。これらは、一般に乳化重合などにより樹脂粒子分散液を作製し、一方溶媒に着色剤を分散した着色剤分散液を作製し、混合し、トナー粒径に相当する凝集体を形成し、加熱することによって融合合一してトナーとする製造方法である。
これらの製法はワックスの内包を実現するばかりでなく、トナーの小径化を容易とし、より高解像かつ鮮明な画像再現を可能とするものである。
しかしながら、ポリエステルの重合には、200℃を越す高温下で大動力による撹拌、かつ高減圧下で10時間以上の時間に及ぶ反応が必要であり、大量のエネルギー消費を招く。またそのために反応設備の耐久性を得るために膨大な設備投資を必要とする場合が多い。
しかしながら、重縮合樹脂の乳化の際には150℃を超えるような高熱下での高せん断によって乳化するか、溶剤に溶解して低粘度化した溶液を水系媒体中に分散した後に溶剤を除くなどの極めて非効率かつエネルギー消費の大きな工程を必要とする。
これらの問題は、結晶性樹脂において顕著ではあるが、これに限らず非結晶性樹脂でも同様である。
ポリエステルの水分散性を向上させるには、ポリエステル単量体としてスルホン酸、カルボン酸等を塩基により中和したスルホン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸のアルカリ金属塩等を持つ単量体を共重合し親水性基をポリエステル鎖中に導入し、あるいはスルホン酸、カルボン酸を有すポリエステルを作製した後、アルカリ水中に分散しスルホン酸塩、カルボン酸塩を導入する方法がある。しかしながらこうした鎖中に親水性基を導入する方法で得たポリエステルに充分な乳化性を付与するには、多くの親水性極性基を導入する必要があり、これを用いでトナーにした時に帯電性に課題が出てしまう。
さらにまた、ポリエステルに水分散性を付与するために、不飽和結合を有するポリエステルとビニル系単量体をグラフトさせたポリエステルが提案されているが、グラフト制御の不十分さが招くゲル化が起きたりポリエステルの粘度上昇を引き起こし、トナー用として好適な樹脂粒子分散液まで粒径を小さくすることが困難であった。さらにまたポリエステルとビニル系樹脂のグラフト化は相溶化を起こし、可塑化による影響のために、トナーとしてのガラス転移温度は容易に低下し、これが電子写真プロセスとしての機内温度と同等以下となりやすいために、画像欠陥を招くこととなる。
特許文献3はポリエステル単量体と反応し乳化性を付与する目的で1個の官能基を有する化合物としてアルキルグリシジルエステルの例示がある。しかしながら本アプローチで用いたポリエステルは微粒子化が充分ではなく、トナー用樹脂粒子分散液として好適な粒径までに微粒子化するには困難であった。特にトナー用樹脂として好適なアモルファス用ポリエステル樹脂をトナー用樹脂粒子分散液として好適な粒径まで乳化分散するには困難であった。さらにまた本アルキルグリシジルエステルをポリマー鎖中に共重合したポリエステルのTg(ガラス転移点)は大きく低下してしまい、これを用いたトナーの保管安定性、粉体凝集性は大きな課題があった。
本発明の他の目的は、静電荷像現像トナーに用いた場合にトナー定着性や画質、高温高湿下での長期画質維持性に優れ、また、現像剤として用いた場合に高温高湿下での帯電性に優れた樹脂粒子分散液の製造方法を提供することである。
また、本発明のさらに他の目的は、これを利用して、トナー定着性、高温高湿下での帯電性及び長期画質維持性に優れ、高画質である静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、これらを使用する画像形成方法を提供することである。
<1> 重縮合性単量体を重縮合しポリエステルを得る工程、中和性カルボキシル基を有する乳化性希釈剤及び前記ポリエステルを少なくとも含む混合物を得る工程、並びに、前記混合物を水系媒体中に乳化分散し樹脂粒子分散液を得る工程を含む樹脂粒子分散液の製造方法であって、乳化分散温度における前記ポリエステルの粘度が2,000〜20,000Pa・sであり、乳化分散温度における前記乳化性希釈剤の粘度が0.1〜100Pa・sであることを特徴とする樹脂粒子分散液の製造方法、
<2> 少なくとも樹脂粒子分散液を含む分散液中で該樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、該凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む静電荷像現像トナーの製造方法であって、前記樹脂粒子分散液が、上記<1>に記載の製造方法により製造された樹脂粒子分散液である静電荷像現像トナーの製造方法、
<3> 上記<2>に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー、
<4> 上記<3>に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤、
<5> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程を含む画像形成方法であって、前記トナーとして上記<3>に記載の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として上記<4>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法。
また、本発明によれば、これを利用して、トナー定着性、高温高湿下での帯電性及び長期画質維持性に優れ、高画質である静電荷像現像トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、並びに、これらを使用する画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂粒子分散液の製造方法は、前記重縮合工程、前記混合工程、及び、前記分散工程を含む樹脂粒子分散液の製造方法であって、乳化分散時の温度における前記ポリエステルの粘度が2,000〜20,000Pa・sであり、乳化分散温度における前記乳化性希釈剤の粘度が0.1〜100Pa・sであることを特徴とする。
なお、前記乳化分散時温度とは、乳化から分散までが完了する間の分散媒の液温であり、乳化分散時における液温が一定でない場合は、実質的に乳化分散操作を行っている温度又は温度帯のうちで最も高い温度とする。
本発明の製造方法により得られる樹脂粒子分散液は、重縮合樹脂が水系媒体中にメジアン径0.05μm以上2.0μm以下で乳化分散している樹脂粒子分散液であることが好ましく、樹脂粒子が重縮合性単量体を重縮合触媒存在下低温で重縮合した後、ポリエステルと酸基を有する乳化性希釈剤と共に乳化分散した後、塩基で中和して得たものであることが特に好ましい。
本発明の樹脂粒子分散液は、前記製造方法により製造されるものである。
ポリエステルの乳化を好適に行うためには(i)ポリエステルの乳化温度における粘度を適正な領域まで低減させる、及び、(ii)エマルションの液滴を安定化させるために親水基を効果的に液滴表面に配向させることが必要である。
アルキルベンゼンスルホン酸やそのナトリウム塩等の界面活性剤はエマルション中に残留し、またトナー化の際に用いる凝集剤や顔料等と結合してしまい、トナーの帯電性を悪化させてしまう。
以下、カルボキシル基及び/又はその等価基を有する乳化性希釈剤(以下、単に「乳化性希釈剤」ともいう。)に関して詳細に説明する。
本発明に用いることができる乳化性希釈剤は、カルボキシル基及び/又はその等価基を1個以上有する添加剤であり、さらにポリエステル液滴に相溶し、アンカリング効果を有する炭化水素鎖を有する構造であることが好ましい。乳化性希釈剤は乳化の直前にポリエステルに添加しても良いし、重縮合の途中で添加しても良い。ポリエステルに添加・混合すると効果的に溶融粘度を低下させることが可能であり乳化分散が効果的に進む。
さらに、乳化性希釈剤のカルボキシル基及び/又はその等価基を中和するために塩基を用いる場合、使用する塩基により効果的に中和されポリエステルの水分散性とエマルションの液滴の安定性が高まる。乳化性希釈剤を用いず、ポリエステル末端のカルボキシル基の中和のみを行う乳化分散に比べ、本発明の樹脂粒子分散液の製造方法は良好な乳化分散が可能となる。こうした乳化効果は、乳化性希釈剤が、樹脂粒子表面に効果的に配向し易く、分散の安定化に寄与するといった機構に基づくものである。
なお、本発明において「カルボキシル基の等価基」とは、中和可能であるカルボキシル基の等価基を表し、具体的には、酸無水物基が挙げられる。
また、本発明においては「カルボキシル及び/又はその等価基」を総称して、「中和性カルボキシル基」ともいう。
中和剤として塩基を用いる場合、本機構によりさらにまた、水分散の際に必要な中和剤の量を最低限に抑えることが可能になるため好ましい。さらにラテックス間に発生する中和率の分布に起因した組成偏在を抑えることが可能となる。これにより高温度高湿下での帯電性の低下が回避できる。そのためには乳化性希釈剤の粘度には好適な粘度がある。
さらにまた、これら乳化性希釈剤は中和を行うことで、水への溶解性が大きく増加し、過剰なものはエマルションの液滴から除去されていき、本エマルションを用いたトナー用樹脂への物性低下を最小限に抑えることが可能であるため好ましい。
乳化性希釈剤の乳化分散時の温度における粘度は0.1〜100Pa・sであり、用いるポリエステルの溶融粘度と充分な粘度差を有するのが好ましい。本粘度差と中和基の効果により乳化性希釈剤は乳化後、ラテックスから水相へと移行していきポリエステル樹脂物性への影響を最小限度に抑え、具体的には高温高湿下の帯電性の改善が可能となる。
本発明に用いることができる乳化性希釈剤は、効果的にポリエステル粘度を低下させることが可能であり好ましい。
(1)全炭素数10〜40である直鎖、分岐鎖状又は環状の脂肪酸、
(2)全炭素数10〜40である直鎖、分枝鎖状又は環状のアルキルコハク酸及びその無水物、並びに、これらに対応するアルケニルコハク酸及びその無水物、
(3)全炭素数10〜40である直鎖、分枝鎖状又は環状のα,ω−ジカルボン酸類、
(4)不飽和カルボン酸付加高級脂肪酸類、
(5)ダイマー酸などである。
前記(1)の化合物の具体例としては、直鎖脂肪酸であるカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、カプロレイン酸、リンデル酸、フィゼテリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸、ステアロール酸などや、分岐脂肪酸であるイソ酸、ツベルクロステアリン酸、環状脂肪酸であるマルバリン酸、ショールムーグリン酸などを挙げることができる。
前記(2)の化合物は、直鎖、分岐鎖状、環状のα−オレフィンオリゴマー又はエチレン、プロピレンなどをオリゴマー化してなる、直鎖、分岐鎖状、環状の内部オレフィンオリゴマーと、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和ジカルボン酸類をエン付加などの付加反応をさせることにより、更には該反応物を水素化することにより得ることができる。具体例としては、オクテニルコハク酸、オクテニル無水コハク酸、デセニルコハク酸、デセニル無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、テトラデセニルコハク酸、テトラデセニル無水コハク酸、ヘキサデセニルコハク酸、ヘキサデセニル無水コハク酸、オクタデセニルコハク酸、オクタデセニル無水コハク酸、エイコセニルコハク酸、エイコセニル無水コハク酸、メチルウンデセニルコハク酸、メチルウンデセニル無水コハク酸、アリルシクロペンテニルコハク酸、アリルシクロペンテニル無水コハク酸、オクチルコハク酸、オクチル無水コハク酸、デシルコハク酸、デシル無水コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、テトラデシルコハク酸、テトラデシル無水コハク酸、ヘキサデシルコハク酸、ヘキサデシル無水コハク酸、オクタデシルコハク酸、オクタデシル無水コハク酸、メチルウンデシルコハク酸、メチルウンデシル無水コハク酸、アリルシクロペンチルコハク酸、アリルシクロペンチル無水コハク酸などが挙げられる。
前記(3)の化合物の具体例としては、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、テトラコサン二酸、ヘキサコサン二酸、オクタコサン二酸、トリアコンタン二酸などあげられる。
本発明に用いることができる乳化性希釈剤は、乳化分散時の温度における粘度が0.1〜100Pa・sであり、0.5〜80Pa・sであることが好ましく、0.6〜60Pa・sであることがより好ましい。上記範囲であると、好適にポリエステル粘度を低下させ、乳化分散を容易に行うことができるため好ましい。乳化分散時の温度における粘度が100Pa・sを超えると粘度の低下が効果的に発揮できず、乳化分散が困難となったり、エマルションの経時での安定性が困難となり好ましくない。また、0.1Pa・sを下回るとポリエステルとの粘度差が大きくなりポリエステルへの分散性が困難となりエマルションの経時での安定性が低下してしまう。
本発明で用いることができる乳化性希釈剤としては、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ドデセニルコハク酸であることが特に好ましく、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸であることが最も好ましい。
また、本発明において乳化性希釈剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに本発明においては、乳化性希釈剤と併用して多価酸等の助剤を使用することも可能である。
効果的な助剤としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等の3〜4官能の酸が挙げられる。添加量は乳化性希釈剤に対し0.1〜50重量%の量が好ましい。
次に重縮合性単量体に関し説明する。
本発明に用いることのできる重縮合性単量体としては、例えば、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸、又は、それらの混合物が挙げられるが、不飽和基を有さない事が重要である。特に、重縮合性単量体としては、多価カルボン酸とポリオールと更にはこれらのエステル化合物(オリゴマー及び/又はプレポリマー)であることが好ましく、直接エステル反応、またはエステル交換反応を経て、ポリエステルを得るものがよい。この場合、重合されるポリエステル樹脂としてはアモルファス(無定形)ポリエステル(非結晶性ポリエステル)、結晶性ポリエステルなどのいずれかの形態、またはそれらの混合形態をとることができる。
また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等、さらにまたこれらの低級エステルなどが挙げられる。さらにまた酸塩化物もこの限りではない。
これらは一種単独で使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。
なお、低級エステルとは、エステルのアルコキシ部分の炭素数が1〜8であることを示す。具体的には、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル及びイソブチルエステル等が挙げられる。
また、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性樹脂や結晶性樹脂を容易に得ることができる。
また、非結晶性樹脂のガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
なお、重縮合樹脂粒子のメジアン径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。
本発明の樹脂粒子分散液の製造方法は、重縮合性単量体を重縮合しポリエステルを得る工程(重縮合工程)を含む。
また、重縮合時の反応時間は、反応温度にも依存するが、0.5〜72時間が好ましく、1〜48時間がより好ましい。
本発明における重縮合工程では、重縮合反応の反応速度を上げることができるため、重縮合触媒を用いることが好ましい。
本発明の重縮合工程においては、必要により既知の重縮合触媒を予め重縮合性単量体中に配合させることもできる。また、重縮合性単量体を150℃以下又は100℃以下の低温で重縮合するためには、通常、重縮合触媒が用いられ、低温で触媒活性を有する重縮合性触媒としては、酸系触媒、希土類含有触媒、又は、加水分解酵素なども用いることができる。
さらにまた、界面活性効果を有する酸を用いても良い。界面活性効果を有する酸とは、疎水基と親水基とからなる化学構造を有し、少なくとも親水基の一部がプロトンからなる酸の構造を有するものである。
界面活性効果を有する酸としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、各種脂肪酸、スルホン化高級脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、樹脂酸、樹脂酸アルコール硫酸、ナフテン酸、パラトルエンスルホン酸、及び、これらすべての塩化合物などが挙げられ、必要に応じて複数を組み合わせてもよい。
希土類含有触媒としては、スカンジウムトリフラート、イットリウムトリフラート、及び、ランタノイドトリフラートなどのトリフラート構造を有するものが好ましい。ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳述されている。前記トリフラートとしては、構造式では、X(OSO2CF3)3が例示できる。ここでXは、希土類元素であり、これらの中でも、Xは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)などであることがさらに好ましい。
本発明の樹脂粒子分散液の製造方法は、カルボキシル基及び/又はその等価基を1つ以上有する乳化性希釈剤及び前記ポリエステルを少なくとも含む混合物を得る工程(混合工程)を含む。
混合工程における混合手段としては、特に制限はなく公知の装置や方法を用いることができる。
本発明における混合工程は、前記重縮合工程において前記乳化性希釈剤は重縮合性単量体と共に初めから用いて混合しても良く、また、重縮合の途中で添加し、混合しても良いが、ポリエステルの分子量を所望の範囲まで到達させるには重縮合途中に加えることが好ましい。
また、本発明における混合工程は、後述の乳化分散時に前記ポリエステルと乳化性希釈剤を水系媒体中に分散し、混合してもよい。
本発明の樹脂粒子分散液の製造方法は、カルボキシル基及び/その等価基を1つ以上有する乳化性希釈剤及び前記ポリエステルを少なくとも含む混合物を水系媒体中に乳化分散し樹脂粒子分散液を得る工程(乳化分散工程)を含む。
本発明の樹脂粒子分散液の製造方法においては、中和性カルボキシル基を有する乳化性希釈剤を用いることで、有機溶剤などの溶剤を用いずにポリエステルの水系媒体への乳化分散を行うことができる。
また、本発明の樹脂粒子分散液のpHとしては、4.0〜10.0であることが好ましく、5.0〜9.0であることがより好ましく、6.0〜8.0であることがさらに好ましい。
本発明に用いることのできる水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
これら樹脂粒子分散液の製造方法の中でも、本発明の樹脂粒子分散液の製造方法は、重縮合性単量体及び乳化性希釈剤を少なくとも含む油相が水系媒体中に乳化分散された乳化分散液を調製する工程、及び、重縮合性単量体を前記重縮合触媒を用いて水系媒体中で重縮合する工程を含むことが好ましい。上記の製造方法であると、本発明の樹脂粒子分散液を、簡便な操作で樹脂粒子分散液を製造でき、また、省エネルギー性に優れるため好ましい。
これら水系媒体中での重合に際し重合前の単量体成分に加え、後述の着色剤、ワックス等を予め混合しておくことも可能である。このような方法により着色剤やワックスを取り込んだ形で樹脂粒子を得ることができる。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
高分子分散剤としては、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、無機分散剤としては、炭酸カルシウムなどを例示することが出来るが、これらはなんら本発明を制限するものではない。
さらに通常水系媒体中での単量体エマルジョン粒子のOstwald Ripning現象を防ぐためにしばしば、ヘプタノールやオクタノールに代表される高級アルコール類、ヘキサデカンに代表される高級脂肪族炭化水素類を安定助剤として配合することも可能である。
この場合に用いられるラジカル重合性単量体としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン等の核置換スチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン等の核置換ハロゲン化スチレン等のビニル芳香族類、(メタ)アクリル酸(なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味するものとし、以下も同様とする。)、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類、(メタ)アクリルアルデヒド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の不飽和カルボン酸誘導体類、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル化合物類、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレインアミド酸エステル、N−メチロールマレイミド、N−エチロールマレイミド等のN−置換不飽和アミド類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン等の多官能ビニル化合物類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート類等が挙げられる。なお、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエン類、多官能ビニル化合物類、及び、多官能アクリレート類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させることもできる。これらを、単独で、あるいは組み合わせて使用できる。
具体的には、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド等のアゾビスニトリル類、アセチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、α−クミルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート等の有機過酸化物類、過酸化水素等の無機過酸化物類、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類等のラジカル重合開始剤が挙げられる。なお、レドックス重合開始剤を併用することもできる。
また、付加重合時に連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、特に制限はなく、具体的には炭素原子と硫黄原子との共有結合を持つものが好ましく、例えば、チオール類が好ましく挙げられる。
好適な共界面活性剤の例としては、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の炭素数8〜30のアルカン類、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数8〜30のアルキルアルコール類、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数8〜30のアルキル(メタ)アクリレート類、ラウリルメルカプタン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等の炭素数8〜30のアルキルメルカプタン類、及び、その他、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリマー又はポリアダクト類、カルボン酸類、ケトン類、アミン類等が挙げられる。
本発明の静電荷像現像トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の製造方法は、少なくとも樹脂粒子分散液を含む分散液中で該樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、該凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む静電荷像現像トナーの製造方法であって、前記樹脂粒子分散液が上述の樹脂粒子分散液であることを特徴とする。
本発明の静電荷像現像トナーの製造方法は、例えば、本発明において調整した樹脂粒子分散液を、着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液と混合し、さらに凝集剤を添加しヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、樹脂粒子のガラス転移点以上又は融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合・合一し洗浄、乾燥することにより、本発明の静電荷像現像トナーが得られる。なお、トナー形状は不定形から球形までのものが好ましく用いられる。また、凝集剤としては界面活性剤の他、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性の特性において好ましい。
また前述の凝集工程において本発明の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液を予め凝集し、第一の凝集粒子形成後、さらに本発明の樹脂粒子分散液又は別の樹脂粒子分散液を添加して第一の粒子表面に第二のシェル層を形成することも可能である。この例示においては着色剤分散液を別に調整しているが、当然、本発明の樹脂粒子分散液中の樹脂粒子に予め着色剤が配合されても良い。
更に、凝集処理後、粒子表面からの着色剤の滲出を抑える等の目的で、熱処理を施す等により粒子表面を架橋せしめてもよい。なお、用いた界面活性剤等は、必要に応じて、水洗浄、酸洗浄、或いはアルカリ洗浄等によって除去してもよい。
帯電制御剤の添加量は、単量体又は重合体100重量部に対して、好ましくは1〜25重量部、更に好ましくは5〜15重量部である。
その帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン系樹脂等の正荷電性帯電制御剤、又は、クロム、コバルト、アルミニウム、鉄等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸若しくはアキルサリチル酸やベンジル酸等のヒドロキシカルボン酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等の金属塩や金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物等の負荷電性帯電制御剤等、公知のものを用いることができる。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ワックス、パラフィン系ワックス、水添ヒマシ油、カルナバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、モンタン酸エステル等の高級脂肪酸エステル系ワックス、アルキル変性シリコーン、ステアリン酸等の高級脂肪酸ステアリルアルコール等の高級アルコール、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン等、公知のものを用いることができる。
更に、本発明の静電荷像現像トナーの製造方法には、必要に応じてこの種のトナーに用いられる酸化防止剤、紫外線吸収剤等の公知の各種内添剤を用いてもよい。
本発明の静電荷像現像トナーの製造方法により得られるトナーは、1〜10μmの平均粒子径を有することが好ましく、また、その粒子中に、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、更に好ましくは0.5〜40重量部、特に好ましくは1〜25重量部の着色剤を含有する。
また、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液及び非結晶性ポリエステル樹脂分散液以外にも、従来から知られる乳化重合などを用いて作製された付加重合系樹脂粒子分散液を合わせて用いることができる。本発明で用いることのできる付加重合系樹脂粒子分散液中の樹脂粒子のメジアン径は、本発明の樹脂粒子分散液と同様に0.02μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
付加重合系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に溶かし、イオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水系媒体中に粒子状に分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を得ることができる。
また、付加重合系単量体の重合時に前述の重合開始剤や連鎖移動剤を用いることもできる。
本発明のトナーに用いることのできる着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート、チタンブラックなどの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などが挙げられる。前記着色剤として、具体的には、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコオイルブルー(C.I.No.azoic Blue3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリンブルー(C.I.No.77103)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)、これらの混合物などを好ましく用いることができる。
着色剤の使用量は、トナー100重量部に対して通常0.1〜20重量部であり、特に0.5〜10重量部が好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用することができる。
これらの分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
前記磁性体としては、フェライト、マグネタイトを始めとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す金属若しくは合金、又は、これらの元素を含む化合物、あるいは強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、または二酸化クロム、その他を挙げることができる。例えば黒色のトナーを得る場合においては、それ自身黒色であり着色剤としての機能をも発揮するマグネタイトを特に好ましく用いることができる。また、カラートナーを得る場合においては、金属鉄などのように黒みの少ないものが好ましい。またこれらの磁性体のなかには着色剤としての機能をも果たすものがあり、その場合には着色剤として兼用してもよい。これら磁性体の含有量は、磁性トナーとする場合にはトナー100重量部当り20〜70重量部であることが好ましく、より好ましくは40〜70重量部である。
定着性向上剤としては、例えば、ポリオレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルおよび脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、流動または固形のパラフィンワックス、ポリアミド系ワックス、多価アルコールエステル、シリコンワニス、脂肪族フロロカーボンなどを用いることができる。特に軟化点(環球法:JIS K2531)が60〜150℃のワックスが好ましい。
荷電制御剤としては、従来から知られているものを用いることができ、例えば、ニグロシン系染料、含金属染料等が挙げられる。
本発明において用いられる前記無機粒子としては、一次粒子径が5nm〜2μmであり、好ましくは5nm〜500nmである粒子である。またBET法による比表面積は20〜500m2/gであることが好ましい。トナーに混合される割合は0.01〜5重量%であり、好ましくは0.01〜2.0重量%である。このような無機粒子としては例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に好ましい。
ここでいうシリカ粉末はSi−O−Si結合を有する粉末であり、乾式法および湿式法で製造されたもののいずれも含まれる。また、無水二酸化ケイ素の他、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などいずれでもよいが、SiO2を85重量%以上含むものが好ましい。
これらシリカ粉末の具体例としては種々の市販のシリカがあるが、表面に疎水性基を有するものが好ましく、例えばAEROSIL R−972、R−974、R−805、R−812(以上アエロジル社製)、タラックス500(タルコ社製)等を挙げることができる。その他シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有するシリコンオイル等で処理されたシリカ粉末などが使用可能である。
形状係数SF1は、主に顕微鏡画像または走査電子顕微鏡画像を画像解析装置によって解析することによって数値化され、例えば、次のようにして求められる。形状係数SF1の測定は、まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて下記式のSF1を計算し、平均値を求めることにより得られる。
以上説明した本発明の静電荷像現像トナーの製造方法により得られるトナーは、静電荷像現像剤として使用することができる。この現像剤は、この静電荷像現像トナーを含有することのほかは特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
本発明に用いることができるキャリアとしては、特に限定されないが、通常、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
二成分系の静電荷像現像剤における本発明のトナーとキャリアとの混合割合は、通常、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部である。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程とを含む画像形成方法であって、前記トナーとして本発明の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として本発明の静電荷像現像剤を用いることを特徴とする。
本発明の画像形成方法としては、上記のような特定のトナーを用いて現像剤を調製し、それを用いて常用の電子写真複写機により静電像の形成および現像を行い、得られたトナー像を転写紙上に静電転写した上加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により定着して複写画像を形成する。
本発明の画像形成方法は、転写紙上のトナーと加熱ローラとの接触時間が1秒間以内、特に0.5秒間以内であるような高速定着を行なう際に特に好ましく用いられる。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担体上に静電潜像を形成する工程である。前記トナー画像形成工程は、現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、前記本発明の静電荷像現像トナーを含有する本発明の静電荷像現像剤を含んでいれば特に制限はない。前記転写工程は、前記トナー画像を転写体上に転写する工程である。前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
本発明の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
なお、本実施例のトナーは、下記の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これを所定の割合で混合し撹拌しながら、金属塩の重合体を添加し、イオン的に中和させて凝集粒子を形成した。次いで、無機水酸化物を添加して系内のpHを弱酸性から中性に調整した後、前記樹脂粒子のガラス転移点以上又は融点以上の温度に加熱して融合・合一を行った。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナーを得たる。以下、それぞれの調製方法、及び、各特性値の測定方法を説明する。
示差走査熱量測定法(DSC)に従い、「DSC−20」(セイコー電子工業社製)を使用し、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークから融点を求めた。
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの値は、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって、以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し、測定を行った。また、試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択するものとする。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認することができる。
また、用いたGPCのカラムとしては、TSK−GEL、GMH(東ソー(株)社製)を用いた。
なお、溶媒及び測定温度は、測定試料にあわせ、適当な条件に変更して行った。
ポリエステルとして脂肪族ポリエステルを用い、付加重合型性樹脂として芳香族を含むモノマーを用いた樹脂粒子分散液を作製した場合、両者の分子量をGPCで解析する際、検出器としてUVとRIを分離する装置を後付けし、それぞれの分子量を解析することもできる。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 275重量部
ビスフェノールA エチレンオキサイド1モル付加物 210重量部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド1モル付加物 100重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.35重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた2,000mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で7時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は16,000、ガラス転移温度(オンセット)は57℃、樹脂酸価は21mg・KOH/gであった。
ドデカン酸(ラウリン酸) 20重量部
を投入し、100℃で1時間混合を継続した。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。90℃での粘度は10,000Pa・sであった。
また、ドデカン酸の粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は50.4Pa・sであった。
1,4−フェニレンジ酢酸 222重量部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド1モル付加物 200重量部
ビスフェノールA エチレンオキサイド1モル付加物 86重量部
シクロヘキサンジメタノール 83重量部
p−トルエンスルホン酸 0.7重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた2,000mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で7時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は14,500、ガラス転移温度(オンセット)は52℃、樹脂酸価は20mg・KOH/gであった。
オレイン酸(不飽和脂肪酸) 20重量部
さらに乳化安定助剤として
無水トリメリット酸 1.5重量部
を投入し、100℃で1時間混合を継続した。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。90℃での粘度は15,000Pa・sであった。
また、オレイン酸の粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は65.8Pa・sであった。
1,4−フェニレンジプロパン酸 222重量部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド1モル付加物 344重量部
p−トルエンスルホン酸 0.07重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた200mlのリアクターにを投入し、窒素雰囲気下120℃で24時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
少量サンプルを採取し、以下の物性を測定した。
GPCによる重量平均分子量:11,000
ガラス転移温度(オンセット):59℃
酸価:21mg・KOH/g
ドデセニルコハク酸無水物 15重量部
を投入し、100℃で1時間混合を継続した。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。90℃での粘度は12,000Pa・sであった。
また、ドデセニルコハク酸無水物の粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は95.4Pa・sであった。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 275重量部
ビスフェノールA エチレンオキサイド1モル付加物 210重量部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド1モル付加物 100重量部
ジブチルスズオキサイド 0.25重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた2,000mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下145℃で7時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は17,000、ガラス転移温度(オンセット)は51℃、樹脂酸価は18mg・KOH/gであった。
ドデカン酸(ラウリン酸) 20重量部
を投入し、100℃で1時間混合を継続した。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。75℃での粘度は18,000Pa・sであった。
また、ドデカン酸の粘度の温度依存性を同様に測定したところ、75℃での粘度は50.4Pa・sであった。
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.36重量部
1,6−ヘキサンジオール 59重量部
ドデカン二酸 101重量部
500mlフラスコ中にて混合し、マントルヒーターで130℃に加熱し、混合物を融解した後、スリーワンモーターにて撹拌し脱気しながら80℃に4時間保持すると内容物が粘調な溶融体となった。
ミリスチン酸 20重量部
を加え、さらに3時間重合を継続したところ、均一透明な結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は22,000、融点は72℃、樹脂酸価は16mg・KOH/gであった。同じく粘度を分析した結果、
90℃での溶融粘度:8,000Pa・s
であった。
また、ミリスチン酸の粘度の温度依存性を同様に測定したところ、80℃での粘度は75.3Pa・sであった。
実施例1において、ドデカン酸を添加しない以外は全て同じにし樹脂を作製し90℃で乳化することにより、樹脂粒子の中心径が3,200nm、固形分量が20%の非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(A5)を得た。90℃での樹脂粘度は25,000Pa・s、ガラス転移点は57℃、重量平均分子量は15,900、酸価は21mg・KOH/g、固形分量は20%であった。
テレフタル酸ジメチル 155重量部
ビスフェノールA エチレンオキサイド1モル付加物 210重量部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド1モル付加物 100重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.35重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた2,000mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下200℃で7時間重縮合を実施した。重合途中から、樹脂の粘度は上昇してゆき、重合時間7時間後は透明性の低い粘ちょうな樹脂成分を得た。
分析用に少量採取し、以下の測定値を得た。GPCによる重量平均分子量は10,000、ガラス転移温度(オンセット)は41℃でブロードなピークであった。樹脂酸価は45mg・KOH/g、90℃における粘度は25,000Pa・sであった。
アルキル(C10〜15の分岐)グリシジルエステル 15重量部
(カージュラE10、シェル化学社製)
を添加し、120℃で1時間混合を継続した。さらにこのポリステルを少量採取し90℃における樹脂粘度を測定したところ、粘度は24,000Pa・sであった。
また、上記アルキルグリシジルエステルの粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は44.3Pa・sであった。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 275重量部
ビスフェノールA エチレンオキサイド1モル付加物 210重量部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド1モル付加物 100重量部
SDSP(イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム) 20重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.25重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた2,000mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下145℃で7時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は11,000、ガラス転移温度(オンセット)は51℃、樹脂酸価は21mg・KOH/gであった。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。90℃での粘度は22,000Pa・sであった。
また、SDSPの粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は18.9Pa・sであった。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 175重量部
ビスフェノールA エチレンオキサイド1モル付加物 210重量部
ビスフェノールA プロピレンオキサイド1モル付加物 100重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.35重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えた2,000mlのリアクターに投入し、窒素雰囲気下120℃で7時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は12,000、ガラス転移温度(オンセット)は54℃、樹脂酸価は25mg・KOH/g、60℃での粘度は30,000Pasであった。
ドデシル硫酸 30重量部
イオン交換水 852重量部
パルミチン酸 188重量部
ペンタエリスリトール 25重量部
を混合し、250℃に加熱し融解した後、上記のドデシル硫酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で5分乳化後乳化物を撹拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。
これにより離型剤粒子の中心径が310nm、融点が72℃、固形分量が20%の離型剤粒子分散液(W1)を得た。
シアン顔料(大日精化工業(株)製、C.I.Pigment Blue 15:3)
50重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 5重量部
イオン交換水 200重量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径190nm、固形分量21.5%のシアン着色剤粒子分散液(P1)を得た。
<トナー粒子の調製>
非結晶性樹脂粒子分散液(A1) 210重量部(樹脂42重量部)
着色剤粒子分散液(P1) 40重量部(顔料8.6重量部)
離型剤粒子分散液(W1) 40重量部(離型剤8.6重量部)
ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
イオン交換水 300重量部
前記成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、非結晶性樹脂粒子分散液(A1)を50重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら80℃まで加熱した。
80℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。反応終了後、55℃まで冷却し、この温度で3時間保持した後、室温まで再度冷却した。さらに濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥12時間行いトナー1を得た。このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.17であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は135のポテト形状であった。
ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物粒子とを、それぞれ1重量%づつ添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、シアン外添トナーを作製した。
体積平均粒子径40μmのCu−Znフェライト粒子100重量部にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1重量部を含有するメタノール溶液を添加し、ニーダーで被覆した後、メタノールを留去し、さらに120℃で2時間加熱して上記シラン化合物を完全に硬化させた。この粒子に、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体(共重合比40:60)をトルエンに溶解させたものを添加し、真空減圧型ニーダーを使用してパーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体のコーティング量が0.5重量%となるように樹脂被覆型キャリアを製造した。
上述のように作製した各トナー5重量部を、得られた樹脂被覆型キャリア100重量部とVブレンダーにて20分混合して、静電荷像現像剤を作製した。これを以下に示す評価において現像剤として使用した。
上記現像剤を使用し、富士ゼロックス社製のDocuCenterColor500の改造機において、転写用紙として富士ゼロックス社製Jコート紙を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は120℃以上で、画像は充分な定着性を示した。現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な初期画質(○)を示した。
上記改造機において、30℃80%の高温高湿下の条件で5万枚の連続プリント試験を行ったが、初期の良好な画質を最後まで維持し、感光体へのフィルミングなどの発生も皆無であった。(高温高湿下での画質評価:○)
高温・高湿下における現像剤の帯電量を以下の方法で測定した。即ち、調製した現像剤を30℃80%の高温・高湿環境下に20時間放置し、トナーの電荷分布測定装置(イースパートアナライザー:細川ミクロン社製)にて逆極性トナー量を測定した。
[高温高湿下における帯電性評価基準]
○:逆極性トナーの量が5%未満である。
△:逆極性トナーの量が5%以上10%未満である。
×:逆極性トナーの量が10%以上である。
○を合格とした。
トナーの定着性を以下の方法で評価した。
上記富士ゼロックス社製のDocuCenterColor500の改造機において、転写用紙として富士ゼロックス社製Jコート紙を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整し、定着ロール温度を90℃から5℃刻みで設定し、最低定着温度を測定した。トナーの最低定着温度の評価は低温度でのオフセットの発生を確認できなくなった温度で表し、以下のとおりである。
[トナー定着性評価基準]
○:最低定着温度が120℃未満である。
△:最低定着温度が120℃以上140℃未満である。
×:最低定着温度が140℃以上である。
○を合格とした。
上記の条件で画像を形成し、初期画質を以下の基準で評価した。
○:画像濃度、背景部汚れ、細線再現性ともに極めて良好(画像欠陥なし)
△:画像濃度、背景部汚れ、細線再現性でやや劣るが使用上問題なし(画像欠陥若干あり)
×:画像濃度、背景部汚れ、細線再現性いずれかで劣る(画像欠陥あり)
上記の条件で5万枚の連続プリント試験を行い、以下の基準で評価した。
○:画質維持性良好、感光体へのフィルミング発生無し。
△:5万枚連続の範囲では、画質維持性良好。ただし、感光体への軽度なフィルミング発生が観察される。
×:画質劣化がみられる。かつ感光体へのフィルミング発生も観察される。
○を合格とした。
実施例1に使用したトナーと同様に、表1に示した樹脂粒子分散液(A2)〜(A4)をそれぞれ用いトナー2〜4を作製し、実施例1と同様に現像剤をそれぞれ作製した。
実施例1に使用したトナーと同様に、表1に示した樹脂粒子分散液(A1)、(C1)を用いトナー5を作製し、実施例1と同様に現像剤を作製した。樹脂粒子分散液(A1)、(C1)の混合率は以下に示す比率とした。
非結晶性樹脂粒子分散液(A1) 210重量部(樹脂42重量部)
結晶性樹脂粒子分散液(C1) 50重量部(樹脂21重量部)
着色剤粒子分散液(P1) 40重量部(顔料8.6重量部)
離型剤粒子分散液(W1) 40重量部(離型剤8.6重量部)
ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
イオン交換水 300重量部
実施例1に使用したトナーと同様に、表1に示した樹脂粒子分散液(A5)〜(A8)をそれぞれ用いトナー6〜9を作製し、実施例1と同様に現像剤をそれぞれ作製した。
トナー実施例1〜5及び比較例1〜4におけるトナー評価結果を、以下の表2に示す。
乳化性希釈剤としてヘキサデカン二酸を使用した以外は実施例1と同様にして、作製した。すなわち、重合終了したリアクター中に
ドデカン二酸 20重量部
を投入し、100℃で1時間混合を継続した。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。90℃での粘度は12,000Pa・sであった。
また、ヘキサデカン二酸の粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は88.5Pa・sであった。
この樹脂100重量部に界面活性剤としてn−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部を加え、さらにイオン交換水300重量部を加え、90℃に加熱して、かつ加熱しながら丸型ガラス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。その後、さらに0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを7.5に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続し樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子の中心径が260nm、固形分量が20%の非結晶性樹脂粒子分散液(A9)を得た。
乳化性希釈剤としてアクリル酸と大豆油の付加物を使用した以外は実施例1と同様にして作製した。即ち重合終了したリアクター中に
アクリル酸と大豆油の付加物 20重量部
を投入し、100℃で1時間混合を継続した。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。90℃での粘度は15,000Pa・sであった。
また、アクリル酸と大豆油の付加物粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は91.6Pa・sであった。
この樹脂100重量部に界面活性剤としてn−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部を加え、さらにイオン交換水300重量部を加え、90℃に加熱して、かつ加熱しながら丸型ガラス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。その後、さらに0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを7.5に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続し樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子の中心径が290nm、固形分量が20%の非結晶性樹脂粒子分散液(A10)を得た。
乳化性希釈剤としてn−ノナンを大豆油に付加した化合物を使用した以外は実施例1と同様にして作製した。
即ち重合終了したリアクター中に、
n−ノナン酸 20重量部
を投入し、100℃で1時間混合を継続した。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。90℃での粘度は22,000Pa・sであった。
また、n−ノナン酸の粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は0.6Pa・sであった。
この樹脂100重量部に界面活性剤としてn−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部を加え、さらにイオン交換水300重量部を加え、90℃に加熱して、かつ加熱しながら丸型ガラス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。その後、さらに0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを7.5に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続し樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子の中心径が105nm、固形分量が20%の非結晶性樹脂粒子分散液(A11)を得た。
乳化性希釈剤としてn−トリアコンタン酸を使用した以外は実施例1と同様にして作製した。
即ち重合終了したリアクター中に、
n−トリアコンタン酸 20重量部
を投入し、100℃で1時間混合を継続した。
分析用に樹脂を少量取り、樹脂粘度測定装置(フローテスター、島津製作所社製)にて樹脂の粘度の温度依存性を測定した。90℃での粘度は49,000Pa・sであった。
また、n−トリアコンタン酸の粘度の温度依存性を同様に測定したところ、90℃での粘度は5,000Pa・sであった。
この樹脂100重量部に界面活性剤としてn−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部を加え、さらにイオン交換水300重量部を加え、90℃に加熱して、かつ加熱しながら丸型ガラス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。その後、さらに0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを7.5に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続し樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子の中心径が480nm、固形分量が20%の非結晶性樹脂粒子分散液(A12)を得た。
前記樹脂粒子分散液(A9)を用いた以外は、トナー実施例1と同様にトナー化し、実施例6のトナー(トナー10)を得た。さらに、実施例1と同様に現像剤をそれぞれ作製した。結果を下記の表4に示す。
前記樹脂粒子分散液(A10)を用いた以外は、トナー実施例1と同様にトナー化し、実施例7のトナー(トナー11)を得た。さらに、実施例1と同様に現像剤をそれぞれ作製した。結果を下記の表4に示す。
前記樹脂粒子分散液(A11)を用いた以外は、トナー比較例1と同様にトナー化し、比較例5のトナー(トナー12)を得た。さらに、実施例1と同様に現像剤をそれぞれ作製した。結果を下記の表4に示す。
前記樹脂粒子分散液(A12)を用いた以外は、トナー比較例1と同様にトナー化し、比較例6のトナー(トナー13)を得た。さらに、実施例1と同様に現像剤をそれぞれ作製した。結果を下記の表4に示す。
Claims (5)
- 重縮合性単量体を重縮合しポリエステルを得る工程、
カルボキシル基及び/又はその等価基を1つ以上有する乳化性希釈剤及び前記ポリエステルを少なくとも含む混合物を得る工程、並びに、
前記混合物を水系媒体中に乳化分散し樹脂粒子分散液を得る工程を含む樹脂粒子分散液の製造方法であって、
乳化分散温度における前記ポリエステルの粘度が2,000〜20,000Pa・sであり、
乳化分散温度における前記乳化性希釈剤の粘度が0.1〜100Pa・sであることを特徴とする
樹脂粒子分散液の製造方法。 - 少なくとも樹脂粒子分散液を含む分散液中で該樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程、及び、
該凝集粒子を加熱して融合させる工程を含む静電荷像現像トナーの製造方法であって、
前記樹脂粒子分散液が、請求項1に記載の製造方法により製造された樹脂粒子分散液である
静電荷像現像トナーの製造方法。 - 請求項2に記載の製造方法により製造された静電荷像現像トナー。
- 請求項3に記載の静電荷像現像トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
- 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、
前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
前記トナーとして請求項3に記載の静電荷像現像トナー、又は、前記現像剤として請求項4に記載の静電荷像現像剤を用いる
画像形成方法。
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