JP7066439B2 - トナー用外添剤、トナー用外添剤の製造方法及びトナー - Google Patents
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Description
低温定着性を良化させるには、定着ニップ内においてトナーをシャープメルトさせることが好ましく、そのためにはトナー粒子表層を柔らかくする設計等が求められている。特に、定着ニップ内でトナーが受ける熱量が少なくなる高速プリンターでは、定着ニップ内でトナー粒子表層を溶融させることで、トナー粒子同士を合一させることが重要である。
しかし、これらの手法では、低温定着性は良化するものの、結晶性樹脂微粒子が帯電リークサイトとなるため、帯電分布が不均一化し、現像性の低下要因となりやすかった。
特許文献3では、樹脂微粒子の表面に無機微粒子が埋め込まれた複合粒子からなる外添剤をトナーに外添することで、現像性を向上させる技術が開示されている。しかし、当該手法では、現像性は良化するものの、高速化における低温定着性の向上にはいたらなかった。
そこで、特許文献4では、融点が60℃以上150℃以下である樹脂微粒子に、無機微粒子が埋め込まれた複合微粒子を、トナー粒子に外添することで、低温定着性と高温高湿環境下の現像性とを向上させる技術が開示されている。
このように、表層溶融による低温定着性を向上しつつ裏汚れ発生を低減させるためには、未だ改善の余地がある。
本発明者らの検討の結果、上記特許文献に記載のトナーは、高速化、長寿命化、省エネルギー化、小型化を鑑みると、低温定着性を維持しつつ裏汚れ発生を低減することに関し
て、さらなる改良の余地があることがわかった。
そこで、本発明は、画像形成装置の高速化が進んでも低温定着性及び耐熱保存性の向上と裏汚れ発生の低減に寄与するトナー用外添剤、該トナー用外添剤の製造方法、及び該トナー用外添剤を有するトナーを得ることを目的とする。
該樹脂微粒子に埋め込まれた無機微粒子と、
を有するトナー用外添剤であって、
該樹脂微粒子の表面には、該無機微粒子の一部が露出しており、
該トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度T1[℃]及び降温1回目の最大発熱ピーク温度T2[℃]が、下記式(1)~(3)を満たすことを特徴とするトナー用外添剤。
(ただし、該昇温1回目は、昇温速度10℃/minで-40℃から150℃まで測定し、該降温1回目は、降温速度10℃/minで150℃から-40℃まで測定する。)
T1-T2≦40.0 ・・・(1)
50.0≦T1≦120.0 ・・・(2)
10.0≦T2≦80.0 ・・・(3)
また、本発明は、結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、
該樹脂微粒子に埋め込まれた無機微粒子と、を有し、
該樹脂微粒子の表面に、該無機微粒子の一部が露出したトナー用外添剤の製造方法であって、
結晶性樹脂を有機溶媒に溶解した溶解液に無機微粒子が分散した分散液Aを作製する工程a、
該分散液Aに酸解離定数pKa7.0以上の中和剤を添加し、分散液Bを作製する工程b、
該分散液Bに水を添加し、転相乳化により該トナー用外添剤が分散した分散液Cを作製する工程c、
を有し、
該トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度T1[℃]が、下記式(2)を満たすことを特徴とするトナー用外添剤の製造方法に関する。
50.0≦T1≦120.0 ・・・(2)
また、本発明は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、
該トナー粒子表面のトナー用外添剤と、
を有するトナーであって、
該トナー用外添剤が上記トナー用外添剤を含むトナーに関する。
本発明において、数値範囲の上限及び下限の組み合わせは、明細書に記載されている上
限及び下限の全ての組み合わせから決定することができる。
本発明のトナー用外添剤は、結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、該樹脂微粒子に埋め込まれた無機微粒子とを有する。即ち、本発明のトナー用外添剤は、該樹脂微粒子表面に、無機微粒子の一部が露出し、該無機微粒子由来の凸部を形成させることを特徴としている。
結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子を用いる理由は、定着時に結晶性樹脂を融解させ、トナー粒子同士の表層接着を促進することによって、トナーの低温定着性を向上させるためである。
50.0≦T1≦120.0 ・・・(2)
T1が120.0℃よりも大きいと、トナーの低温定着性を向上させる効果が小さい。50℃未満であると耐熱保存性が不十分である場合がある。該最大吸熱ピーク温度T1は、好ましくは60℃以上であり、上限については好ましくは110℃以下である。T1は、結晶性樹脂の組成により制御できる。
このため、本発明のトナー用外添剤は、示差走査熱量測定において、降温1回目における最大発熱ピーク温度T2[℃]が、下記式(3)を満たす。
10.0≦T2≦80.0 ・・・(3)
最大発熟ピーク温度T2が10.0℃未満であるとトナー用外添剤の再結晶化が進みにくく、トナー粒子同士の表層接着の効果が低下してトナーが脱離しやすい。そのため、印字した紙を積み重ねたとき、紙の裏面に脱離したトナーが付着して裏汚れが発生してしまう。より好ましくは、降温1回目の最大発熱ピーク温度T2は20.0℃以上である。
一方、上限はより好ましくは40.0℃以下である。T2は、前記結晶性樹脂の組成、中和剤の添加量および種類、界面活性剤の添加量により制御できる。
T1-T2≦40.0 ・・・(1)
T1-T2が40℃を超えるとトナーの低温定着性と再結晶化の両立を図ることが困難になる。なお、前記昇温1回目は、昇温速度10℃/minで-40℃から150℃まで測定し、前記降温1回目は、降温速度10℃/minで150℃から-40℃まで測定する。
T1-T2は、好ましくは38℃以下、より好ましくは36℃以下である。一方、下限は特に制限されないが、好ましくは5℃以上であり、より好ましくは10℃以上である。
で、定着ニップ内でトナーを溶融させた際に、トナー粒子表面のトナー用外添剤を表層熔融させ、トナーを均一に紙に定着させやすくなるためである。300nm以下であることで、トナー用外添剤の中心部まで定着時の熱伝導が良化するため、トナー用外添剤による表層接着が進みやすく、良好な画像濃度が得られる。
特に、無機微粒子としてシリカ微粒子を用いたトナー用外添剤は、トナー粒子との組み合わせによって、トナーに優れた帯電性を付与できるためより好ましい。シリカ微粒子は、ヒュームドシリカのように乾式法で得られたものを用いてもよく、ゾルゲル法のような湿式法で得られたものを用いてもよい。
結晶性樹脂については特に制限されず、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性アクリル樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、変性ワックスをグラフトしたビニル系樹脂などが挙げられる。
上記の通り、トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度T1が、50.0℃以上120.0℃以下であれば、トナー粒子表層を可塑しトナー粒子間の表層接着が促進できる。ポリエステルは極性を有するために、外添剤と紙との付着性が上がり、低温定着性が向上しやすい。そのため、結晶性樹脂は、結晶性ポリエステルを含むことが好ましく、結晶性ポリエステルであることがより好ましい。
多価アルコールの例としては、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で、又は、混合して用いることも可能である。
多価カルボン酸としては、例えば以下のものを挙げることができる。蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸。あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で、又は混合して用いることも可能である。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができる。例えば、モノマーの種類に応じて、直接重縮合やエステル交換法を適宜使い分けて製造することができる。
5.0mgKOHg以上であると、樹脂微粒子を転相乳化によって製造しやすくなる。
また、30.0mgKOH/g以下であると、結晶性樹脂の結晶化度を高めやすく、トナー用外添剤としての耐熱保存性が良好になる。
結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、
該樹脂微粒子に埋め込まれた無機微粒子と、を有し、
該樹脂微粒子の表面に、該無機微粒子の一部が露出したトナー用外添剤の製造方法であって、
結晶性樹脂を有機浴媒に溶解した溶解液に無機微粒子が分散した分散液Aを作製する工程a、
この分散液Aに酸解離定数pKa7.0以上の中和剤を添加し、分散液Bを作製する工程b、
この分散液bに水を添加し、転相乳化によりトナー用外添剤が分散した分散液Cを作製する工程cを有し、
該トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度T1[℃]が、下記式(2)を満たすことを特徴とする。
50.0≦T1≦120.0 ・・・(2)
ここで、前記分散液Aに結晶性樹脂以外の樹脂を共溶解させてもよい。
上記工程a~cにより、結晶性樹脂が転相乳化により樹脂微粒子を形成する際に、無機微粒子の表面が親水性であることから、樹脂微粒子と水の界面に無機微粒子が適度に露出することになるため、無機微粒子が樹脂微粒子に埋め込まれ一部が露出した外添剤が得られる。
樹脂微粒子に良好な分散安定性を付与するためには、中和剤のpKaは7.5以上14.0以下であることが好ましく、9.0以上13.0以下であることがより好ましく、9.0以上12.0以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると粒度分布のシャープなトナー用外添剤が得られやすい。また、pKaが上記範囲であると、温度T2が低くなる傾向にあり、結晶性樹脂が再結晶化しやすくなるため、裏汚れを抑制しやすくなる。
アンモニア水(-33℃)、N-メチル-エタノールアミン(155℃)、N,N-ジメチルエタノールアミン(133℃)、2-ジエチルアミノエタノール(161℃)、トリエチルアミン(90℃)、エタノールアミン(170℃)、トリエタノールアミン(208℃)、N-メチル-ジエタノールアミン(246℃)、トリ-n-ブチルアミン(216℃)、ビス-3-ヒドロキシプロピルアミン(185℃)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(165℃)、1-アミノ-2-プロパノール(160℃)、2-アミノ-2-メチル1-3-プロパンジオール(151℃)、シクロヘキシルアミン(135℃)、t-ブチルアミン(78℃)、N-メチルモルホリン(115℃)、ヒドロキシ
ルアミン(58℃)などのアミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの弱酸と強塩基の塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物など。これらは単独で、又は混合して用いることも可能である。
140℃以下であると、酸性官能基の中和に用いられなかった過剰な中和剤の除去が容易になる。そのため、中和剤が残渣になりにくく、結晶性樹脂が可塑されにくいため、耐熱保存性が良好になる。揮発性の中和剤は残渣になりにくく、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ジメタノールアミンなどが好ましい。
アニオン性界面活性剤の具体例として、例えば、ドデシルベンゼンスルホネート、デシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート並びにこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩、ドデシル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例として、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の具体例として、例えば、オキシエチレン系アルキルエーテル等が挙げられる。また、2種類以上の界面活性剤を併用することもできる。
また、前記工程a~cのいずれか又は全部において分散機を用いることができる。例えば、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機のような分散機を用いることができる。さらに、製造したトナー用外添剤の分散液は、精製工程を加えた後に保管することが好ましい。精製工程における方法は限定されないが、例えば、遠心分離、透析、限外濾過等、従来公知の方法を適用できる。
ここでいう疎水化度とは無機微粒子のメタノールによる濡れ性試験によって決定される値である。疎水化度が30メタノール体積%以下であると、前記工程cにおいて無機微粒子の親水性が適度であり転相乳化の際に水側に無機微粒子が遊離しにくく、無機微粒子が凸部を形成しやすくなる。
無機微粒子が20質量部以上であると、前記工程cにおいて転相乳化時に無機微粒子の一部がトナー用外添剤の表面に露出しやすくなる。無機微粒子が80質量部以下であると、前記工程aにおいて分散液Aの中で無機微粒子を分散させやすくなる。
5.0≦Ry/Rx≦100.0 ・・・(5)
Ry/Rxが5.0以上であると、樹脂微粒子の表面が無機微粒子で適度に被覆されるため、トナー用外添剤の表層接着が促進される。Ry/Rxが100以下であると、無機微粒子が樹脂微粒子の内部から飛び出しにくくなる。Ry/Rxは、より好ましくは6.0以上20.0以下であり、より好ましくは6.0以上18.0以下である。
Rxが10.0nm以上であると、トナー用外添剤表面の無機微粒子による凸部が大きいため、点接触となり、トナーの転写性が良化してベタ画像の濃度が高くなりやすい。70.0nm以下であると、トナー用外添剤が製造しやすくなる。
有機ケイ素化合物又はシリコーンオイルで処理することによって、外添剤の疎水性を高めることができるため、高温高湿環境においても安定した現像性を有するトナーとすることができる。表面処理の方法は、例えば、トナー用外添剤の表面に反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理することによって疎水化することができる。
好ましい方法は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で処理する方法である。有機ケイ素化合物の例としては、以下のものが挙げられる。
テトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当たり2~12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位のSiに水酸基を1つずつ有するジメチルポリシロキサン等。これらは1種又は2種以上の混合物で用いられる。
シリコーンオイル処理の方法は以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子などの無機微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーのような混合機を用いて直接混合する方法。ベースとなる無機微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、無機微粒子を加え混合し、溶剤を除去する方法。
結着樹脂は、特に制限なく公知のものを用いることができる。例えば、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
好ましくはポリエステル樹脂であり、より好ましくは非晶性ポリエステル樹脂である。
アルコール成分としては、以下のような2価のアルコールが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェールA、並びに下記(I)式で表されるビスフェノール及びその誘導体。
アルコール成分には、3価以上の多価アルコールとして、1,2,3-プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを用いてもよい。
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上18以下のアルキル基若しくは炭素数6以上18以下のアルケニル基で置換されたこはく酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物。
酸成分には3価以上の多価カルボン酸を用いることも好ましい。例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1~20質量部であることが好ましい。
トナーは、磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等に代表される酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケル等に代表される金属、あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金及びその混合物等が挙げられる。
磁性体を用いる場合の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、40質量部以上140質量部以下であることが好ましい。
ポリエチレンのような低分子量ポリオレフィン類;加熱により融点(軟化点)を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;ステアリン酸ステアリルのようなエステルワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックスのような鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物が挙げられる。
離型剤の含有量は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上25質量部以下であることが好ましい。
流動性向上剤としては、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカのような微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ;酸化亜鉛、酸化スズのような酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムのような複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムのような炭酸塩化合物等が挙げられる。
流動性向上剤は、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上200nm以下であると、高い帯電性と流動性を持たせることができるので好ましい。
本発明のトナー用外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましい。
混合機としては、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)などが挙げられる。
下限は特に制限されないが、好ましくは-20.0×107以上であり、より好ましくは-18.0×107以上である。
この粉体動的粘弾性測定は、粉体状態のままトナーの粘弾性を測定することが可能であり、この測定によって示される貯蔵弾性率E’[Pa]とは、トナー溶融の状態を示していると本発明者らは考えている。
トナーが外部から熱を受けた際、最初に熱を受けるのは、当然トナー粒子表面近傍であるので、低温側で示される貯蔵弾性率の低下は、トナー粒子表面近傍における溶融の進行を意味するものと推測される。さらに、温度に対する貯蔵弾性率の低下速度とは、トナー溶融の速度を意味する。
よって、ここで定義した「最も低温側の極小値」とは、トナー粒子の表面近傍の溶融性能のポテンシャルを示すと考えられる。この値が負側に大きくなるほど温度に対してトナーの貯蔵弾性率の変化が大きく、表面近傍の溶融性能の高いトナーであることを示す。
前記極小値は、本発明のトナー用外添剤の添加量や融点、結晶性樹脂の種類により制御することができる。前記極小値を負側に大きくしたい場合は、低融点の結晶性樹脂を使用することが挙げられる。
<結晶性樹脂の融点、トナー用外添剤の最大吸熱ピーク温度及び最大発熱ピーク温度の測定方法>
融点、最大吸熱ピーク温度及び最大発熱ピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
試料(トナー用外添剤、結晶性樹脂)5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲-40℃
~150℃で、昇温速度10℃/minで昇温1回目の測定を行う。この昇温1回目のDSC曲線において、温度-40~150℃の範囲におけるDSC曲線の最大吸熱ピークの温度を、試料がトナー用外添剤であればT1、結晶性樹脂であれば融点とする。
次に、昇温1回目の測定に続いて150℃で10分間保持し、次に-40℃まで降温速度10℃/minで降温する。この降温1回目のDSC曲線において、温度150~-40℃の範囲におけるDSC曲線の最大発熱ピークの温度をT2とする。
個数平均粒径はゼータサイザーNano-ZS(MALVERN社製)を用いて測定する。該装置は動的光散乱法により、粒径を測定できる。まず、測定対象のサンプルの固液比が0.10質量%(±0.02質量%)となるように希釈して調整し、石英セルに採取して測定部に入れる。分散媒体は、サンプルが無機微粒子の場合はメチルエチルケトンを用い、サンプルが樹脂微粒子又はトナー用外添剤の場合は水を用いる。測定条件として、制御ソフトZetasizersoftware 6.30で サンプルの屈折率、分散溶媒の屈折率、粘度及び
温度を入力し測定する。Dnを個数平均粒径として採用する。
無機微粒子の屈折率は、化学便覧から採用する。樹脂微粒子の屈折率は、樹脂微粒子に使用している樹脂の屈折率を前記制御ソフトに内蔵されている屈折率を採用する。ただし、内蔵されている屈折率が無い場合は、国立研究開発法人 物質・材料研究機構 高分子データベースに記載の値を用いる。トナー用外添剤の屈折率は、無機微粒子の屈折率と樹脂微粒子に使用されている樹脂の屈折率から重量平均をとって計算する。分散溶媒の屈折率、粘度および温度は、前記制御ソフトに内蔵されている数値を選択する。混合溶媒の場合は、混合する分散媒体の重量平均をとる。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。酸価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性樹脂2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のフ
ァクター、S:試料(g)である。
結晶性樹脂の数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、50℃で24時間かけて、結晶性樹脂をトルエンに溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、トルエンに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:トルエン
流速:1.0ml/min
オーブン温度:50.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
下記のようにして得たメタノール滴下透過率曲線から求める。
まず、水70mlを、直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
次いで、無機微粒子0.1gを精秤して、上記水を入れた容器の中に添加し、測定用サンプル液を調製する。
そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET-100P」(レスカ社製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、6.7s-1(400rpm)の速度で攪拌する。なお、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを1.3ml/minの滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、図2に示したようなメタノール滴下透過率曲線を作成する。
透過率が、滴下開始時の50%となったときのメタノール濃度を疎水化度とする。
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、さらにコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
中和剤0.100gを250mlのトールビーカーに精秤し、水150mlを加え、30分かけて溶解し中和剤水溶液を作製する。前記中和剤水溶液にpH電極を入れ、サンプルの水溶液のpHを読み取る。次に、前記中和剤水溶液に0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を10μlずつ添加し、その都度pHを読み取って滴定を行う。pHが14以上となり、30μl添加してもpHの変化がなくなるまで0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液を加える。
得られた結果から0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液添加量に対するpHをプロットし、滴定曲線を得る。得られた滴定曲線からpH変化の傾きが一番大きいところを中和点とし、中和点におけるpHの値をpKaとする。
測定装置としては、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分
に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak-to-peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)予め23℃、60%RH環境下において24時間放置したトナー5gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下記式に基づき凝集度を算出した。
(凝集度(%))={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
測定装置としては、DMA8000(Perkin Elmer社製)を用いる。測定にはシングルカンチレバー(品番:N533-0300)を用い、加熱炉は品番:N533-0267を使用して測定する。
まず、トナー約50mgを精秤し、付属のマテリアルポケット(品番:N533-0322)にトナーが中心にくるよう仕込む。次に、固定具が温度センサーをまたぐように、そしてドライブシャフトと固定具間の距離が18.0mmになるようジオメトリーシャフトに固定具を取り付ける。次に、トナーを仕込んだマテリアルポケットの中心が固定具とドライブシャフトの中心にくるよう固定具で挟み、測定を行う。
測定は測定ウィザードを用いて以下の測定条件に設定する。
加熱炉:Standard Air Oven
測定タイプ:温度スキャン
変形モード:シングルカンチレバー
周波数:単一周波数1Hz
振幅:0.05mm
昇温スピード:2℃/min
開始温度:30℃
終了温度:180℃
断面:直方体
試験片の寸法:縦×横×厚み:17.5mm×7.5mm×1.5mm
データ取得間隔:0.3秒間隔
トナーの粉体動的粘弾性測定で得られる、温度T[℃]-貯蔵弾性率E’[Pa]曲線において、貯蔵弾性率E’の温度Tに対する変化量(dE’/dT)は、各温度の前後1.5秒間でのE’の温度Tに対する変化量(dE’/dT)を測定する。
上記方法でオンセット温度以上90℃以下の温度範囲で変化量(dE’/dT)を算出し、各プロットのデータの内、最初のデータから2点飛ばしで温度[℃]-変化量(dE’/dT)のグラフを作成する。該グラフの-1.0×107以下となる極小値を測定し、該極小値のうち、低温側に最初に現れる極小値を算出する。
・デカンジカルボン酸 124.0部
・1,6-ヘキサンジオール 66.3部
・トリメリット酸 9.7部
撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた反応容器中に、上記原料を仕込んだ。続いて上記原料総量に対して、0.1部のテトライソブチルチタネートを入れ、180℃で4時間反応させた後、10℃/1時間の速度で210℃まで昇温、210℃で8時間保持した後8.3kPaにて1時間反応させることで、結晶性樹脂1を得た。結晶性樹脂1の物性は表1の通り。
結晶性樹脂1の製造例からモノマー処方を表1のように変更し、反応条件を調整して、結晶性樹脂2~10を得た。結晶性樹脂2~10の物性を表1に示す。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 60.0部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.2mol付加) 40.0部
・テレフタル酸 77.0部
撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた5リットルオートクレーブに、上記原料を仕込んだ。上記原料総量に対して、0.2部のジブチル錫オキシドを仕込み、オートクレーブ内に窒素ガスを導入しながら230℃で重縮合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後容器から取り出し、冷却、粉砕して非晶性樹脂1(ガラス転移温度Tg:59℃、軟化点Tm:112℃)を得た。
ジメチルジシラザン0.1部をイソプロピルアルコール1.0部に溶解させた疎水化剤溶液1を作製した。
中和剤は、表2に示すものを用意した。
無機微粒子分散剤は、以下の表3に記載したものを使用した。無機微粒子分散液を乾固して、乾燥前後の重量変化から固形分量を測定した。また、乾固して得られた無機微粒子の凝集物を凍結粉砕器で粉砕した後、十分に乾燥及び解砕して無機微粒子を得た。この無機微粒子のメタノールに対する濡れ性試験を行って疎水化度を測定した。表3に個数平均粒径、疎水化度、固形分量を示す。無機微粒子分散液1~6はメチルエチルケトン/メタノールの混合溶媒に分散している。
撹拌機、コンデンサー、温度計、を備えた反応容器に、結晶性樹脂1を5.0部とTHF10.0部を仕込み、50℃に加熱して溶解した。
十分に樹脂が溶解していることを確認してから、表3の無機微粒子分散液1を3.0部添加し、十分に撹拌する。次いで、撹拌しながら、中和剤1としてトリエチルアミン0.35部を添加し、共分散液1を作製した。共分散液1に水を2.5g/分の速度で75部滴下して転相乳化し、40℃においてエバポレータでTHFを十分に留去した。次に、過剰な中和剤を除去するために限外濾過を行い、濃縮/濾過を計5回繰り返し行った。さらに超音波をかけながら水を添加して、トナー用外添剤分散液1(固形分濃度5.0質量%)を得た。ゼータサイザーで個数平均粒径を測定したところ190nmであった。
そして、トナー用外添剤分散液1に疎水化剤溶液1を1.0部添加し、30.0℃で2時間撹拌した。次に、12000回転/分で10分間遠心分離処理し、沈殿物を回収して、真空乾燥することでトナー用外添剤1が得られた。トナー用外添剤1のT1、T2、T1-T2、個数平均粒径を測定した。物性は表5に示す。
トナー用外添剤1の製造例において、結晶性樹脂の種類、無機微粒子分散液の種類及び添加量、中和剤の種類及び添加量、並びに界面活性剤の種類及び添加量を表4のように変更した以外は、トナー用外添剤1の製造例と同様にして、トナー用外添剤2~30を得た。なお、界面活性剤を用いる場合、中和剤を添加した後、共分散液に添加する水に溶解させて添加した。物性値を表5に示す。
撹拌機、コンデンサー、温度計を備えた容器に、ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)を3.0部及び水を150.0部投入し溶解させた。次に、スチレン95.0部を3.0部/分の割合で滴下することで添加し、乳化液を作製した。乳化液の温度を80℃に昇温し、10.0部の水に溶解した過硫酸カリウム0.6部を加え2時間重合させた。
続いて乳化液を40℃まで冷却させたのちジビニルベンゼンを5.0部添加して2時間攪拌を行った後、温度を85℃に昇温して水2.0部に溶解した過硫酸カリウム0.1部を添加して、4時間重合反応を実施し、反応停止剤としてハイドロキノン水溶液を添加して重合を終了した。この時の重合転化率は99%であった。
限外ろ過によって水溶性物質を除去し、pH及び濃度を調整して、固形分濃度が50%、pHが8.5の樹脂微粒子分散液を得た。
得られた2.0部の樹脂微粒子分散液をメタノール100.0部に添加した後、疎水化
剤として、テトラエトキシシラン7.5部を溶解した。この状態で50℃に加熱し、1時間攪拌した。次いで、この溶液に、28質量%のNH4OH水溶液20.0部を滴下しながら加え、室温にて48時間攪拌することによって、ゾルゲル反応を行って、樹脂微粒子の表面をシロキサンによって被覆した。反応終了後に、水で洗浄し、次いでメタノールで洗浄し、濾過した後、45℃で24時間、40kPaの減圧下で乾燥させた。
次に全量をトルエン6.0部に分散し、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(アミノ基を含有するケイ素化合物)を0.01部添加した後、15分間分散混合した。次いで、ヘキサメチルジシラザンを0.01部添加した後、15分間分散混合して微粒子と接触させた。その分散液を減圧蒸留、乾燥してトナー用外添剤31を得た。物性値を表5に示す。
撹拌機、コンデンサー、温度計、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を備えた容器にワックス(ハイワックス100P(三井化学株式会社製、分子量900、融点116℃、軟化点121℃))を100.0部、水を900.0部、及びモノステアリン酸エチレングリコール)を2.0部投入し90℃で撹拌した。次にクレアミックスの回転速度を10000回転/分で10分間分散を行い、ワックス微粒子分散液を得た。次いで、ワックス微粒子分散液を40℃まで冷却した後、真空乾燥機にて、25℃で真空乾燥して、ワックス微粒子を得た。
ワックス微粒子100.0部と、ヒュームドシリカ(BET:200m2/g)20.0部とを、マルチパーパスミキサー(MP5(日本コークス工業株式会社製))により混合して、ヒュームドシリカをワックス微粒子の表面に付着させて、トナー用外添剤32を得た。物性値を表5に示す。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた容器に 結晶性樹脂1を100.0部、メチルエチルケトンを50.0部、及び2-プロパノールを25.0部投入し、50℃で十分に撹拌しながら溶解させた。次に10重量%アンモニア水溶液3.5部を添加し、10分以上撹拌し結晶性樹脂溶解液2を得た。
次に72℃に加温し、結晶性樹脂溶解液2を撹拌しながら水を1.0部/分の割合で滴下することで転相乳化を行った。水の滴下終了後、70回転/分の条件で撹拌しつつ25℃で24時間乾燥窒素をバブリングすることにより溶剤を除去し、トナー用外添剤分散液33を得た。次にトナー用外添剤分散液33の全量を凍結乾燥してトナー用外添剤33を得た。物性値を表5に示す。
撹拌機、コンデンサー、温度計を備えた反応容器に、結晶性樹脂1を5.0部、トルエン10.0部を仕込み、50℃に加熱して溶解し結晶性樹脂溶解液1を作製した。十分に樹脂が溶解していることを確認してから、表3の無機微粒子分散液1を3.0部添加し、十分に撹拌する。ドデシルスルホン酸ナトリウム0.3部を水100部に溶解させた水相に前記結晶性樹脂溶解液1を投入し、回転式ホモジナイザーT50ULTRA-TURRAX(IKA社製)で12000回転/分の条件で10分間分散した。
40℃においてエバポレータでトルエンを十分に留去した。次に、過剰な界面活性剤を除去するために限外濾過を行い、濃縮/濾過を計5回繰り返し行った。さらに超音波をかけながら水を添加して、トナー用外添剤分散液34(固形分濃度5.0質量%)を得た。ゼータサイザーで個数平均粒径を測定したところ190nmであった。
そして、トナー用外添剤分散液34に疎水化剤溶液1を1.0部添加し、30.0℃で2時間撹拌した。次に、12000回転/分で10分間遠心分離処理し、沈殿物を回収して、真空乾燥することでトナー用外添剤34が得られた。トナー用外添剤34のT1、T2、T1-T2、個数平均粒径を測定した。物性は表5に示す。
非晶性樹脂1(Tg:59℃、軟化点Tm:112℃)を100.0部、磁性酸化鉄粒子を75.0部、フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製C105、融点:105℃)を2.0部、荷電制御剤(保土谷化学工業社製、T-77)2.0部をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM-30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後に、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕し、分級して、重量平均粒径(D4)7.2μmのトナー粒子1を得た。
トナー粒子1の100.0部に対し、1.5部のトナー用外添剤1、ヘキサメチルジシ
ラザンで処理された0.5部のヒュームドシリカ(BET:200m2/g)、をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)にて5分間乾式混合して、さらに外添された粒子を目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。表6に物性を示す。
トナー1の製造例において、トナー外添剤1を表6のように変更する以外は同様にして、トナー2~34得た。表6に物性を示す。
市販の磁性一成分方式のプリンターHP LaserJet Enterprise M606dn(ヒューレットパッカード社製:プロセススピード350mm/s)のプロセススピードを380mm/sになるように改造を施した本体を用いて、トナー1を用いて下記の評価を実施した。
また評価に用いるプロセスカートリッジは、81X High Yield Black Original LaserJet Toner Cartridge(ヒューレットパ
ッカード社製)である。所定のプロセスカートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、実施例で得たトナーを高密度になるよう1200g充填した。これを用いて、トナー1を用いた下記の評価を実施した。また、評価紙はVitality(Xerox社製、坪量75g/cm2、レター)を用いた。
上記評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にした外部定着器を用いた。この装置を用いて、170℃以上220℃以下の範囲で5℃おきに定着温度の制御を行い、画像濃度が0.60以上0.65以下となるようにハーフトーン画像を出力する。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定した。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率を測定した。
濃度低下率10%以下となる最も低い定着器の設定温度をトナーの定着開始温度とし、下記の基準により低温定着性を評価した。定着開始温度が低いトナーは低温定着性が良いことを示す。低温定着性の評価は常温常湿環境下(25.0℃/50%RH)で行った。評価結果を表7に示す。
(評価基準)
A:定着開始温度が190℃未満
B:定着開始温度が190℃以上200℃未満
C:定着開始温度が200℃以上210℃未満
D:定着開始温度が210℃以上
トナー1を充填したプロセスカートリッジと前記プリンターを用いて、定着温度は200℃とした。印字率2%となるE文字パターンを2枚/1ジョブとしたとき、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、計5000枚の画出し試験を実施した。そして、5001枚目から5500枚目までは、全ベタ画像片面印刷で出力し500枚出力トレーに積み重ねた。出力は、高温高湿下(温度32.5℃、相対湿度85%)で行った。5500枚目の全ベタ部の画像濃度を、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定した。評価結果を表7に示す。
(評価基準)
A:画像濃度が1.35以上
B:画像濃度が1.25以上1.35未満
C:画像濃度が1.10以上1.25未満
D:画像濃度が1.10未満
<画像濃度の評価>で印字が終了した後、トレーの一番下から2枚目にあたる5002枚目の裏側(5000枚目のベタ画像と接している部分)の画像濃度を評価した。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定した。評価結果を表7に示す。
(評価基準)
A:裏汚れの濃度が0.02未満
B:裏汚れの濃度が0.02以上0.05未満
C:裏汚れの濃度が0.05以上0.10未満
D:裏汚れの濃度が0.10以上
前記トナー1を各5g精秤し、23℃、60%RH環境下及び30℃、80%RH環境
下において24時間放置した。それぞれの放置後のトナーの凝集度を前記<トナーの凝集度の測定法>で測定した。23℃、60%RH環境下に放置したトナーを100%としたときの80%RH環境下に放置したトナーの凝集度の増加率を指標として。増加率が小さいほど耐熱保存性が良好であることを示す。評価結果を表7に示す。
(評価基準)
A:凝集度の増加率が5%未満
B:凝集度の増加率が5%以上10%未満
C:凝集度の増加率が10%以上20%未満
D:凝集度の増加率が20%以上
トナー2~34を用いて実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表7に示す。
Claims (10)
- 結晶性樹脂を含有する樹脂微粒子と、
該樹脂微粒子に埋め込まれた無機微粒子と、
を有するトナー用外添剤であって、
該樹脂微粒子の表面には、該無機微粒子の一部が露出しており、
該トナー用外添剤の示差走査熱量測定において、昇温1回目の最大吸熱ピーク温度T1[℃]及び降温1回目の最大発熱ピーク温度T2[℃]が、下記式(1)~(3)を満たすことを特徴とするトナー用外添剤。
(ただし、該昇温1回目は、昇温速度10℃/minで-40℃から150℃まで測定し、該降温1回目は、降温速度10℃/minで150℃から-40℃まで測定する。)
T1-T2≦40.0 ・・・(1)
50.0≦T1≦120.0 ・・・(2)
10.0≦T2≦80.0 ・・・(3) - 前記最大発熱ピーク温度T2[℃]が下記式(4)を満たす請求項1に記載のトナー用外添剤。
20.0≦T2≦80.0・・・(4) - 動的光散乱法による前記トナー用外添剤の一次粒子の個数平均粒径が、50nm以上300nm以下である請求項1又は2に記載のトナー用外添剤。
- 前記無機微粒子が、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化亜鉛微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、炭酸カルシウム微粒子及び酸化セリウム微粒子からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー用外添剤。
- 前記結晶性樹脂が、結晶性ポリエステルを含む請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー用外添剤。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー用外添剤の製造方法であって、
結晶性樹脂が有機溶媒に溶解した溶解液に無機微粒子が分散した分散液Aを作製する工
程a、
該分散液Aに酸解離定数pKa7.0以上の中和剤を添加し、分散液Bを作製する工程b、
該分散液Bに水を添加し、転相乳化により該トナー用外添剤が分散した分散液Cを作製する工程c、
を有することを特徴とするトナー用外添剤の製造方法。 - 前記中和剤の酸解離定数pKaが、9.0以上13.0以下である請求項6に記載のトナー用外添剤の製造方法。
- 前記中和剤の沸点が、140℃以下である請求項6又は7に記載のトナー用外添剤の製造方法。
- 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、
該トナー粒子表面のトナー用外添剤と、
を有するトナーであって、
該トナー用外添剤が請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー用外添剤を含むトナー。 - 前記トナーの粉体動的粘弾性測定で得られる温度T[℃]-貯蔵弾性率E’[Pa]曲線において、該温度Tに対する該貯蔵弾性率E’の変化量(dE’/dT)の曲線を得たときに、該dE’/dT曲線のオンセット温度以上90℃以下の温度範囲に-1.0×107以下となる極小値を有し、該極小値のうち最も低温側の極小値が、-9.0×107以下である請求項9に記載のトナー。
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