JPWO2010098021A1 - トナー用離型剤及びトナー - Google Patents
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Abstract
この発明の課題は、トナーの保存安定性に優れ、さらに低温定着性、及びホットオフセット性のいずれもが優れたトナー及びそのようなトナーを製造するのに好適なトナー用離型剤を提供することであり、この発明の解決手段は、下記(a),(b)の条件を満たすαオレフィン重合体に、スチレン類をグラフトして得られるトナー用離型剤であって、25℃で濃度15質量%にて2−ブタノンに分散させた場合、2−ブタノン不溶成分が70質量%以上であるトナー用離型剤である。(a) αオレフィン単量体の炭素数が16以上36以下の範囲であり、これらの少なくとも1種の単量体を用いた重合体。(b) 示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である重合体。
Description
本発明は、トナー用離型剤及びトナーに関し、更に詳しくは、電子写真又は静電印刷等において静電荷像を現像するために用いられる電子写真用又は静電印刷用とすることのできるトナー及びそのトナーを製造するために使用されるトナー用離型剤に関する。
複写機及びプリンター等を始めとする画像形成装置の、近年における開発において重要視されていることは、省エネルギー仕様である。複写機の消費電力の約60%がトナーの定着部であることから、この電力を抑えることができれば、大きく省エネに貢献できると考えられる。この定着部分には主に熱ロールで加熱圧着する方式、例えば熱ロール定着方式を採用する機構が用いられている。この機構においては、この消費電力を削減するためには、如何にトナーを低温で定着させるか、つまりトナーの低温定着性が技術的に重要である。その一方で熱ロール定着方式においては、溶融状態となっているトナーが定着ロール表面に接触するため、トナーが熱ロールに付着転移し、次の被着シートにこれが再転移して前記被着シートを汚染するホットオフセットの発生も防止しなければならない。さらにトナーとしては保管、輸送、及び使用時の耐ブロッキング性も必要であり、これにより、長期保存、長期使用が可能になる。
しかしながら、トナーに低温定着性の特性を過度に付与させると、トナーを高温下で使用する際、あるいはトナーを長期間放置(保存)する際に、トナーがブロッキングを起こし易くなり、トナーの保存性が低下する問題が生じる。トナーの設計においては低温定着性と耐ブロッキング性とは相反する特性であり、そのバランスを考慮して設計しなければならない。また、トナーの設計には、定着過程において、トナーを被着シートに定着させると同時に、定着ロールからトナーを良好に剥離できる機能すなわち剥離性をトナーに付与させることも考慮する必要がある。
上記要求に対し、トナーの設計方法として結着剤のガラス転移温度(Tg)を低下させる方法、結着剤に低融点樹脂及び/又は低分子量樹脂を含有させる方法、離型性又は剥離性を有する低軟化点物質をトナー中に含有させる方法などの提案がされている。
離型性又は剥離性を有する前記低軟化点物質は、従来、トナー用離型剤と称されることがあり、そのトナー用離型剤としてポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックス等が用いられてきた。しかしながら、これらは融点が十分に低くないので、低温定着性の要求に対応できないため、近年、さらに低融点であるカルナバワックスやエステル系ワックス、αオレフィン重合体をトナー用離型剤として用いる方法が提案されている(特許文献1〜8参照)。もっとも、近年における省エネルギーの要請及び画像形成装置における高画像品質の要求がますます増大しつつある現況下では、トナー用離型剤の分散性及び耐ブロッキング性のさらなる向上が要望されている。
トナー用離型剤の分散性及びトナーの耐ブロッキング性を向上させることを目的として、トナー用離型剤として用いられる、又はトナー用離型剤に含有される天然ワックス又は合成ワックスを改質する手法として、アクリル樹脂変性、スチレン−アクリル樹脂変性、及びスチレン樹脂変性等のビニル変性、及び酸変性等のいわゆる変性と呼ばれる手法が従来から知られている(例えば、特許文献9〜12参照)。特許文献9にあるような酸変性ワックスをトナー用離型剤として用いた場合は、トナーの耐ブロッキング性は改善するが離型性が低下し、耐ホットオフセット性が未変性物より劣る傾向が見られる。特許文献10にあるようなビニル単量体による変性においては、変性率が低く、ワックスの未変性物とワックスに結合していないビニル単量体重合物が生成しやすいためにワックスを溶融した時に相分離する事、さらに結合していない低分子量ビニル単量体重合物が可塑剤ないし粘着剤として働き、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性が不十分であると判断される場合があった。スチレン樹脂による変性はカーボンブラックとの相溶性に優れ、また、結着剤には芳香環を含む化合物が多いために結着剤との相溶性にも優れるが(特許文献11及び特許文献12)、近年、結着剤としてポリエステルが使用されるようになると、ポリエステルとの相溶性、及び耐ブロッキング性が不十分な場合があり、さらなる改良が求められていた。
本発明の課題は、電子写真又は静電印刷等において静電荷像を現像するために用いられる電子写真用又は静電印刷用として好適な、前記諸物性を満たすトナーを提供すること、及び前記トナーを製造する原料として好適なトナー用離型剤を提供することにある。
即ち、前記課題を解決しようとする本発明の手段は、
(1) 下記条件(a)及び(b)の条件を満たすαオレフィン重合体に、スチレン類をグラフトして得られるトナー用離型剤であって、25℃で濃度15質量%となるように2−ブタノンにトナー用離型剤を分散させた場合、2−ブタノン不溶成分が70質量%以上であるトナー用離型剤である。
(a) αオレフィン単量体の炭素数が16以上36以下の範囲であり、これらの少なくとも1種の単量体を用いた重合体。
(b) 示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である重合体。
前記課題を解決しようとする本発明の他の手段は、
(2) トナー用離型剤が示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つ観測され、かつ該ピークの半値幅が20℃以内である前記(1)のトナー用離型剤であり、
(3)結着剤の固形分に対して、前記(1)又は(2)のトナー用離型剤を0.1〜40質量%含有してなるトナーである。
(1) 下記条件(a)及び(b)の条件を満たすαオレフィン重合体に、スチレン類をグラフトして得られるトナー用離型剤であって、25℃で濃度15質量%となるように2−ブタノンにトナー用離型剤を分散させた場合、2−ブタノン不溶成分が70質量%以上であるトナー用離型剤である。
(a) αオレフィン単量体の炭素数が16以上36以下の範囲であり、これらの少なくとも1種の単量体を用いた重合体。
(b) 示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である重合体。
前記課題を解決しようとする本発明の他の手段は、
(2) トナー用離型剤が示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つ観測され、かつ該ピークの半値幅が20℃以内である前記(1)のトナー用離型剤であり、
(3)結着剤の固形分に対して、前記(1)又は(2)のトナー用離型剤を0.1〜40質量%含有してなるトナーである。
本発明は、低温定着性を維持しつつ耐ホットオフセット性が向上した、即ち広い非オフセット領域を持ち、さらに耐ブロッキング性に優れ、トナー用離型剤の分散性が優れるトナーを製造することのできるトナー用離型剤を提供することができ、また、低温定着性を維持しつつ耐ホットオフセット性が向上した、即ち広い非オフセット領域を持ち、さらに耐ブロッキング性に優れ、トナー用離型剤の分散性が優れるトナーを提供することができ、このようなトナーを使用する画像形成装置によると省エネルギー及び高品質画像を実現することができる。
本発明の詳細は以下の通りである。
本発明のトナー用離型剤を形成する原料であるαオレフィン重合体は、炭素数16以上36以下のαオレフィンをモノマーユニットとして含む。モノマーユニットとして炭素数16以上36以下の、好ましくは炭素数18以上34以下の、さらに好ましくは炭素数18以上32以下のαオレフィンのαオレフィン重合体中に含まれるその含有量は、αオレフィン重合体に対して好ましくは50mol%〜100mol%であり、更に好ましくは70〜100mol%、特に好ましくは85〜100mol%であり、最も好ましくは100mol%である。炭素数16以上36以下のαオレフィンがモノマーユニットとしてαオレフィン重合体中に含まれていない場合、融点が高すぎてしまい各種物質との相溶性が低下してしまう。炭素数16以上36以下のαオレフィンとしては、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−イコセン、1−エイコセン、1−ヘンイコセン、1−ドコセン、1−トリコセン、1−テトラコセン、1−ペンタコセン、1−ヘキサコセン、1−ヘプタコセン、1−オクタコセン、1−ノナコセン、1−トリアコンテン、1−ヘントリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−トリトリアコンテン、1−テトラトリアコンテン、1−ペンタトリアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン等が挙げられ、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。本発明のトナー用離型剤の原料となるαオレフィン重合体に含まれるモノマーユニットとしてのαオレフィンの炭素数が16未満の場合は、αオレフィン重合体の結晶性が低く、αオレフィン重合体及びαオレフィン重合体のスチレン類変性物、ひいてはトナーのべたつきやその融点低下につながる。なお、本発明の効果を害さない範囲で1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、などを含む炭素数16以上36以下のαオレフィン以外のαオレフィンを用いることもできる。
また、本発明のトナー用離型剤の原料となるαオレフィン重合体は、炭素数16以上36以下のαオレフィンをモノマーユニットとして含み、かつ、下記の(1)の要件を満たし、さらには(1)〜(3)の要件を満たすことが好ましい。
(1) 示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内であるαオレフィン重合体。
(2) ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000,000であるαオレフィン重合体。
(3) GPC法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であるαオレフィン重合体。
(1) 示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内であるαオレフィン重合体。
(2) ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000,000であるαオレフィン重合体。
(3) GPC法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であるαオレフィン重合体。
本発明におけるαオレフィン重合体の融点(Tm)は、30〜80℃であり、好ましくは40〜80℃、更に好ましくは50〜80℃である。本発明におけるαオレフィン重合体はこのような関係を満たすことにより、αオレフィン重合体及びαオレフィン重合体のスチレン類変性物、ひいてはトナーにおける常温でのべたつきが発生しがたく、貯蔵性及び二次加工性等に優れたものとなるとともに、低温にて均一に溶融するため加工性に優れたものとなる。
本発明におけるαオレフィン重合体の融点(Tm)は、示差走査型熱量計(DSC,エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製EXSTAR6000)を用いて測定される。試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、190℃まで、10℃/分で昇温し、更に、190℃で5分保持した後、−10℃まで、5℃/分で降温させ、−10℃で5分保持した後、190℃まで10℃/分で昇温させることにより観測されるピークのピークトップの融点(Tm)が唯一つ観測される。また、融点より高温域のラインが安定した所から低温域へ延ばしたx軸と平行な直線と直線x=Tmの交点(図1の点a)を求め、その交点と溶融ピークトップ(図1の点b)までの中点における溶融ピークの幅(図1のc−dの幅,半値幅)が15℃以内である。
本発明におけるαオレフィン重合体の融点(Tm)は、示差走査型熱量計(DSC,エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製EXSTAR6000)を用いて測定される。試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、190℃まで、10℃/分で昇温し、更に、190℃で5分保持した後、−10℃まで、5℃/分で降温させ、−10℃で5分保持した後、190℃まで10℃/分で昇温させることにより観測されるピークのピークトップの融点(Tm)が唯一つ観測される。また、融点より高温域のラインが安定した所から低温域へ延ばしたx軸と平行な直線と直線x=Tmの交点(図1の点a)を求め、その交点と溶融ピークトップ(図1の点b)までの中点における溶融ピークの幅(図1のc−dの幅,半値幅)が15℃以内である。
本発明におけるαオレフィン重合体は、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000,000であることが好ましく、更に好ましくは5,000〜10,000,000である。Mwが1,000未満では強度が低下し、10,000,000を超えると、溶融粘度が高くなり、成形、混練が困難になることがある。又、本発明におけるαオレフィン重合体はGPC法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であることが好ましく、更に好ましくは1.0〜3.5、特に好ましくは1.0〜3.0である。分子量分布(Mw/Mn)が5.0を超えると分子量分布が広くなり、分子量分布(Mw/Mn)が5.0を超えるαオレフィン重合体及びαオレフィン重合体のスチレン類変性物を含有するトナーは、その表面特性を悪化させてしまうことがあり、特にべたつき、強度低下を生じさせることがある。
尚、上記の分子量分布(Mw/Mn)は、GPC法により、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の質量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出することができる。
GPC測定装置
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラフ用RI検出器 WATERS 150C
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度 :2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
GPC測定装置
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラフ用RI検出器 WATERS 150C
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度 :2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
本発明におけるαオレフィン重合体は、例えばWO2003/070790号公報に記載の触媒を好適に使用できる。
本発明においてαオレフィン重合体にグラフトさせるスチレン類としてはスチレン及びスチレン骨格を持つ誘導体(なお、これらは一般に「スチレン骨格含有化合物」と称されることがある。)等を挙げることができる。スチレン骨格含有化合物はいずれもベンゼン核に結合する二重結合が重合反応性を有しており、αオレフィン重合体に有効にグラフト重合することができる。スチレン類として例えば、スチレン、αメチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、4−ビニル安息香酸、4−アミノスチレン、4−メトキシスチレン、4−ニトロスチレン、スチルベン、4,4’−ジメチル−スチルベンなどが挙げられ、好ましくはスチレンである。これらスチレン類はその1種以上をグラフト重合に用いることができる。
αオレフィン重合体にグラフトさせるスチレン類の量は必要に応じて決定することができ、トナーに求められる性質から考えて、望ましくはαオレフィン重合体に対し10質量%以上50質量%以下、さらに望ましくは15質量%以上40質量%以下である。グラフトさせるスチレン類の量が少ない場合、特に10質量%以下では2−ブタノン不溶成分は増えるがトナー用離型剤としての性能は非グラフトαオレフィン重合体の性質に近づき、非オフセット領域が狭くなる。逆にグラフトさせるスチレン類の量が多い場合、特に50質量%以上では2−ブタノン不溶成分が減少し、場合によっては2−ブタノン不溶成分が70質量%未満になる場合がある。2−ブタノン不溶成分が少ないと耐ブロッキング性及び耐ホットオフセット性等の低下などトナー性能に悪影響を及ぼす。
αオレフィン重合体にスチレン類をグラフトさせるには水素引き抜き効果を持つグラフト重合開始剤として有機過酸化物が望ましく、例えば特開2006−052246号公報に記載の有機過酸化物を好適に使用できる。その中でも特に好ましいのはジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドである。これらは、一種単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、この発明の目的を阻害しない限りにおいて前記有機過酸化物以外のラジカル重合開始剤、例えばAIBN、レドックス系ラジカル開始剤、光重合開始剤等を、前記グラフト反応に用いることができる。
有機過酸化物の使用量はスチレン類の量に対して0.1質量%以上10質量%以下となることが好ましく、特に0.2質量%以上5質量%以下となることがより好ましい。0.1質量%よりも使用量が少ない場合に比べ、0.1質量%以上10質量%以下である場合には、スチレン類の反応効率が向上する。10質量%よりも多い場合に比べ、0.1質量%以上10質量%以下である場合には、有機過酸化物により発生するラジカルによるポリオレフィン鎖の切断が抑制されるため、低分子量成分が少なくなり、トナー性能が良好となるため好ましく、0.2質量%以上5質量%以下である場合には更に低分子量成分の発生が抑制されるためにより好ましい。
本発明のトナー用離型剤は、使用する目的に応じて製造の際、安定性を調整するための安定剤を添加することができる。安定剤としてはヒドロキノン、ベンゾキノン、ニトロソフェニルヒドロキシ化合物、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物類、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のペンタエリスリトールエステル類等、公知の化合物が挙げられる。
スチレン類をαオレフィン重合体にグラフト反応させる方法においてはVOCの規制の点から有機溶剤は使用しない事が望ましい。しかし、諸事情で有機溶剤を使用する場合、有機溶剤としては、たとえば、トルエン、キシレン等のエチレン性二重結合を含まない芳香族炭化水素類、ヘキサン、へプタン、オクタン等の飽和脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロへプタン、メチルシクロヘプタン等の飽和脂環式炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等のエチレン性の二重結合を含まないエステル類、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のエチレン性の二重結合を含まないケトン類、n−ブチルエーテル、イソブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジオキサン等のエチレン性の二重結合を含まないエーテル類などが挙げられる。これら有機溶剤は単独で用いてもよいし、混合して使用してもよい。
スチレン類をαオレフィン重合体にグラフト反応させる方法で有機溶剤を使用する場合、有機溶剤の使用量は少ないほど好ましく、スチレン類とαオレフィン重合体の総和に対して最大300質量%である。有機溶剤量が300質量%を超えると、αオレフィン重合体及びスチレン類が希薄な状態となるため、付加反応の効率が低下して好ましくない。
検討の結果、αオレフィン重合体、及びスチレン類がグラフトしているαオレフィン重合体は25℃、濃度15質量%において2−ブタノンに不溶であり、グラフトしていないスチレン類は溶解する事を確認している。即ち、2-ブタノン不溶成分とはαオレフィン重合体、及びスチレン類がグラフトしているαオレフィン重合体であり、2-ブタノン可溶性成分とはグラフトしなかった遊離のスチレン類及びスチレン類の低重合体である。2-ブタノン可溶成分が多いと低温定着温度は低下するが耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性、離型剤分散性が悪化する。本発明のトナー用離型剤はグラフト率が高いために、2−ブタノンに25℃における濃度15質量%で分散させた場合、2-ブタノン不溶成分が70質量%以上となる。求められる諸物性、製造上の操作性から望ましくは前記2-ブタノン不溶成分が80質量%以上である。なお、前記濃度15質量%は、トナー用離型剤と2−ブタノンの質量総和に対するトナー用離型剤の質量割合を示す。
また、本発明のトナー用離型剤は示差走査型熱量計(DSC,エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製EXSTAR6000)を用いた測定において、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、190℃まで、10℃/分で昇温し、更に、190℃で5分保持した後、−10℃まで、5℃/分で降温させ、−10℃で5分保持した後、190℃まで10℃/分で昇温させることにより観測されるピークのピークトップの融点(Tm)が唯一つ観測される。また、融点より高温域のラインが安定した所から低温域へ延ばしたx軸と平行な直線と直線x=Tmの交点(図1の点a)を求め、その交点と溶融ピークトップ(図1の点b)までの中点における溶融ピークの幅(図1のc−dの幅,半値幅)が20℃以内である事が好ましい。
本発明のトナー用離型剤は次の物性を持つ。融点は30℃〜80℃であるが、トナー性能に鑑みて、望ましい融点は50〜80℃である。平均分子量は1,000〜10,000,000が望ましく、さらに望ましくは5,000〜10,000,000である。
本発明のトナーは、少なくとも結着剤及び本発明のトナー用離型剤を含有し、必要により着色剤、磁性体、本発明のトナー用離型剤以外のトナー用離型剤(以下において、本発明のトナー用離型剤以外のトナー用離型剤を単に「離型剤」と称することがある。)、荷電制御剤及び表面処理剤など種々の添加剤等を含有することができる。本発明のトナー用離型剤を電子写真用トナーに用いる場合、トナー中の離型剤の含有量は、結着剤の固形分に対して0.1〜40質量%、好ましくは1〜30質量%である。
本発明のトナーに含有されることのできる着色剤としては、特に限定されるものではなく従来公知の染料、顔料等を挙げることができる。この着色剤の具体例としては、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、ピグメントレッド、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミン、ピグFBメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。着色剤の含有量は、着色剤として染料又は顔料を使用する場合には、結着剤の固形分に対して、好ましくは0.5〜15質量%である。磁性トナーの場合は、磁性体微粉末を用いるため、着色剤の含有量は、結着剤の固形分に対して、好ましくは20〜150質量%である。
本発明のトナーに含有されることのできる結着剤としては、スチレン単独重合体及びスチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、架橋されたスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体とポリエステル樹脂とを複合化した樹脂などの樹脂が挙げられる。
本発明のトナーに成分として含めることのできる離型剤としては前記本発明のトナー用離型剤の含有量の範囲内で必要に応じて、かつ本発明のトナー用離型剤の性能を阻害しない範囲で、他の離型剤を併用しても良い。併用できる離型剤としては、ポリオレフィン樹脂類[ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン(炭素数3〜8)共重合体、αオレフィン重合体など]、パラフィン類(n−パラフィン、イソパラフィンなど)、エステルワックス類(カルナバワックス、モンタンワックス、ライスワックス等)、炭素数30以上の脂肪族アルコール、炭素数30以上の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられ、1種又は2種以上を併用しても良い。
本発明のトナーに成分として含めることのできる荷電制御剤としては特に限定されず、例えば、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、スルホン酸基含有ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマーが挙げられる。トナー中の荷電制御剤の含有量は、結着剤の固形分に対して、好ましくは0〜10質量%である。
本発明のトナーに成分として含めることのできる表面処理剤としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン超微粒子、シリコーン等の微粉末が挙げられる。トナー中の表面処理剤の含有量は、結着剤の固形分に対して、好ましくは0.1〜20質量%である。
これらの添加剤等を含有してもよい本発明のトナーの製造方法としては従来から公知の方法を用いて製造することができる。例えば、混練粉砕法等の乾式法(以下において乾式法により作られたトナーを乾式トナーと称する。)、および直接重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化会合重合法、シード重合法、乳化凝集法、懸濁造粒法等の水系媒体中で造粒する湿式法(以下において湿式法により作られたトナーを湿式トナーと称する。)が挙げられる。
本発明のトナーを乾式法で製造する方法のうち混練粉砕法による製造方法の一例を説明する。まず、本発明のトナー用離型剤を含有する離型剤、結着剤、着色剤、必要によりその他の添加剤を粉体混合機により混合してから加熱ロール、エクストルーダー、ニーダー等の混練機を用いて温度100〜200℃で溶融し、混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却した後、粉砕および分級を行って、体積平均粒子径2〜15μmのトナー粒子を得る。得られたトナー粒子に粉体混合法により表面処理剤を混合してトナー例えば電子写真用トナーを得ることができる。
本発明のトナーを湿式法で製造する方法のうち懸濁重合法による製造方法の一例を説明する。分散安定剤、結着剤を形成する原料である重合性単量体、重合開始剤、本発明のトナー用離型剤を含有する離型剤、着色剤、必要に応じて、その他の結着剤など他の添加剤等を、重合性単量体にほとんど溶解しない媒体例えば水の中で混合し、懸濁重合を行い、重合後、固液分離、洗浄、乾燥を行い、分級し、トナー粒子を得る。このトナー粒子に表面処理剤を添加して体積平均粒子径2〜15μmのトナー例えば電子写真用トナーを得ることができる。前記分散安定剤としては無機化合物を用いることができ、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等のリン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機化合物などが挙げられる。また、前記分散安定剤として有機化合物も用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチンなどの水溶性高分子、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤などが挙げられる。この分散安定剤は無機化合物及び有機化合物という種別に関係なく1種または2種以上組み合わせて用いても良い。リン酸カルシウムなどの難水溶性無機化合物の微粒子分散液は複分解法により容易に作成でき、最終的に粒径が細かいトナーを得やすいので好ましい。上記分散安定剤の添加量は重合性単量体に対し0.1〜20質量%であることが好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましい。
湿式トナーに用いられる結着剤は、その結着剤となる樹脂を形成する原料である重合性単量体を重合開始剤とともに重合して得ることができる。また、結着剤として重合性単量体と重合開始剤とを用いることに代えて又はこれらと共に、結着剤として既に例示した各種樹脂又は重合体を採用することもできる。重合性単量体としては、スチレン類、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等のオレフィン類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。なお、前記スチレン類としては、αオレフィン重合体にグラフトさせるスチレン類として既に例示されているものが挙げられる。この重合性単量体は1種または2種以上組み合わせて用いても良い。これら2種以上の重合性単量体を含む重合性単量体組成物の重合に用いられる重合開始剤としては過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、2,2’−アゾビス−イソブチロバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド等のアゾ化合物、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等の光重合開始剤等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また上記重合開始剤と還元剤とを組み合わせてレドックス系ラジカル開始剤として使用しても良い。還元剤としては、Fe2+塩及びNaHSO3等の無機還元剤、アルコール及びポリアミン等の有機還元剤が挙げられる。
本発明の他の湿式トナーを製造する方法のうち乳化凝集法による製造方法の一例を説明する。水系媒体中で結着剤を分散させた結着剤分散体、着色剤を分散させた着色剤分散体、本発明のトナー用離型剤を含有する離型剤を分散させた離型剤分散体を混合し、凝集させ、結着剤を形成する樹脂のガラス転移点以上で加熱し、合一及び溶融し、湿式トナーを得ることができる。水系媒体は水単独でも良いし、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ等のセルソルブ、アセトン、2−ブタノン等のケトン、等の有機溶剤を含むものであってもよい。この場合、本発明のトナー用離型剤を含有する離型剤は予め水分散体として調整して使用することができる。混合する結着剤分散体、着色剤分散体、本発明のトナー用離型剤を含有する離型剤分散体の粒径は、目標とするトナー粒径にもよるが、好ましくは0.05〜1μmであり、さらに好ましくは0.1〜0.4μmである。凝集させる粒子の電荷を予め中和等により調整しておいてもよい。
本発明のトナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で磁性一成分現像用トナーとして、磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分現像用トナー、二成分現像用トナー又はキャリアと混合して二成分現像剤として、特に限定されることなく、いずれの現像法にも用いることができる。
また、本発明のトナーは種々の定着方法、例えばオイルレス又はオイル塗布ヒートロール法、フラッシュ法、オーブン法、圧力定着法などに用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。先ず、トナー用離型剤及びトナーの物性評価方法について説明する。
(1) 重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は既述した方法により測定した。
(2) 示差走査型熱量計による融点の測定は既述した方法により行った。
(3) トナー作成に使用した結着剤のガラス転移温度の測定は以下の方法にて行った。
ガラス転移温度は示差走査型熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製:DSC−22)を用いて120℃まで昇温し、その温度で10分間放置した後、降温速度10℃/分で10℃まで冷却し、その温度で10分間放置した後、昇温速度10℃/分で測定した際に、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移温度(Tg)とした。
(4) トナー作成に使用した結着剤の軟化点の測定は以下の方法にて行った。
高下式フローテスター(株式会社島津製作所製:CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度4℃/分で加熱しながら、プランジャーにより0.5MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を作成し、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とした。
(5) 2−ブタノン不溶成分の測定方法
トナー用離型剤の濃度が15質量%となるように2−ブタノン分散液を調整し、1時間25℃の環境下で攪拌した。その後、不溶分を濾過、乾燥し、その質量割合を2−ブタノン不溶成分の質量%とした。
(6) トナーの低温定着性の評価
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度100mm/秒に設定した温度変更可能である定着器を用いて印刷を行い、低温定着性の評価を行った。また、トナーを紙に定着させたときに、トナーが紙に定着し始めるときの最低温度を定着温度とした。乾式トナーは以下の基準で判定した。
○:定着温度が120℃未満で定着開始。低温定着性を良好と判定。
△:定着温度が120℃以上140℃未満で定着開始。
×:定着温度が140℃以上で定着開始。低温定着性不良と判定。
湿式トナーは以下の基準で判定した。
○:定着温度が130℃未満で定着開始。低温定着性を良好と判定。
△:定着温度が130℃以上150℃未満で定着開始。
×:定着温度が150℃以上で定着開始。低温定着性不良と判定。
(7) 乾式トナーの耐ホットオフセット性の評価
低温定着性の評価方法と同一条件で定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて耐ホットオフセット性を判断した。
○:オフセット発生温度が220℃以上。耐ホットオフセット性が良好と判定。
△:オフセット発生温度が200℃以上220℃未満。使用に耐える耐ホットオフセット性であると判定。
×:オフセット発生温度が200℃未満。耐ホットオフセット性に劣ると判定。
(8) 乾式トナー及び湿式トナーの耐ブロッキング性の評価
温度50℃で3日間放置した後のトナー粉体の凝集程度を目視にて判断した。
○:ブロッキングしていない(実用レベル)。
△:一部ブロッキングしている。
×:ブロッキングがひどい。
(9) 離型剤の分散性
トナーを構成する原料が溶融されてなる溶融混練物の薄片を形成し、顕微鏡観察を行い、離型剤の凝集物を目視にて判断した。
○:2μm以上の凝集物が観察されない。
×:2μm以上の凝集物が観察される。
(2) 示差走査型熱量計による融点の測定は既述した方法により行った。
(3) トナー作成に使用した結着剤のガラス転移温度の測定は以下の方法にて行った。
ガラス転移温度は示差走査型熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製:DSC−22)を用いて120℃まで昇温し、その温度で10分間放置した後、降温速度10℃/分で10℃まで冷却し、その温度で10分間放置した後、昇温速度10℃/分で測定した際に、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移温度(Tg)とした。
(4) トナー作成に使用した結着剤の軟化点の測定は以下の方法にて行った。
高下式フローテスター(株式会社島津製作所製:CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度4℃/分で加熱しながら、プランジャーにより0.5MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を作成し、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とした。
(5) 2−ブタノン不溶成分の測定方法
トナー用離型剤の濃度が15質量%となるように2−ブタノン分散液を調整し、1時間25℃の環境下で攪拌した。その後、不溶分を濾過、乾燥し、その質量割合を2−ブタノン不溶成分の質量%とした。
(6) トナーの低温定着性の評価
シリコーンオイルが塗布されていない定着ローラーを有し、ローラー速度100mm/秒に設定した温度変更可能である定着器を用いて印刷を行い、低温定着性の評価を行った。また、トナーを紙に定着させたときに、トナーが紙に定着し始めるときの最低温度を定着温度とした。乾式トナーは以下の基準で判定した。
○:定着温度が120℃未満で定着開始。低温定着性を良好と判定。
△:定着温度が120℃以上140℃未満で定着開始。
×:定着温度が140℃以上で定着開始。低温定着性不良と判定。
湿式トナーは以下の基準で判定した。
○:定着温度が130℃未満で定着開始。低温定着性を良好と判定。
△:定着温度が130℃以上150℃未満で定着開始。
×:定着温度が150℃以上で定着開始。低温定着性不良と判定。
(7) 乾式トナーの耐ホットオフセット性の評価
低温定着性の評価方法と同一条件で定着時に定着ローラーにトナーが移行するときの最高温度をオフセット発生温度と定め、以下の基準を用いて耐ホットオフセット性を判断した。
○:オフセット発生温度が220℃以上。耐ホットオフセット性が良好と判定。
△:オフセット発生温度が200℃以上220℃未満。使用に耐える耐ホットオフセット性であると判定。
×:オフセット発生温度が200℃未満。耐ホットオフセット性に劣ると判定。
(8) 乾式トナー及び湿式トナーの耐ブロッキング性の評価
温度50℃で3日間放置した後のトナー粉体の凝集程度を目視にて判断した。
○:ブロッキングしていない(実用レベル)。
△:一部ブロッキングしている。
×:ブロッキングがひどい。
(9) 離型剤の分散性
トナーを構成する原料が溶融されてなる溶融混練物の薄片を形成し、顕微鏡観察を行い、離型剤の凝集物を目視にて判断した。
○:2μm以上の凝集物が観察されない。
×:2μm以上の凝集物が観察される。
(融点58℃のαオレフィン重合体A1の製造)
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、炭素数20、22、24のαオレフィンをそれぞれ43、36、21mol%の割合で混合して成る混合体を400mL入れ、重合温度110℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1μmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを4μmol加え、水素を0.1MPa導入し、120分間重合した。重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、共重合体であるαオレフィン重合体A1 210gを得た。得られたαオレフィン重合体のGPCによる重量平均分子量(Mw)は14,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8、融点は58℃であった。また、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅は8.2℃であった。
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、炭素数20、22、24のαオレフィンをそれぞれ43、36、21mol%の割合で混合して成る混合体を400mL入れ、重合温度110℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’-ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1μmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを4μmol加え、水素を0.1MPa導入し、120分間重合した。重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、共重合体であるαオレフィン重合体A1 210gを得た。得られたαオレフィン重合体のGPCによる重量平均分子量(Mw)は14,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8、融点は58℃であった。また、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅は8.2℃であった。
(融点73℃のαオレフィン重合体A2の製造)
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、炭素数26、28のαオレフィンをそれぞれ62、38mol%の割合で混合して成る混合体を400mL入れ、重合温度130℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1μmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを4μmol加え、水素を0.2MPa導入し、120分間重合した。重合反応終了後、反応物をアセトン/2−ブタノンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、共重合体であるαオレフィン重合体A2 180gを得た。得られたαオレフィン重合体のGPCによる重量平均分子量(Mw)は8,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8、融点は73℃であった。また、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅は6.0℃であった。
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、炭素数26、28のαオレフィンをそれぞれ62、38mol%の割合で混合して成る混合体を400mL入れ、重合温度130℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1μmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを4μmol加え、水素を0.2MPa導入し、120分間重合した。重合反応終了後、反応物をアセトン/2−ブタノンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、共重合体であるαオレフィン重合体A2 180gを得た。得られたαオレフィン重合体のGPCによる重量平均分子量(Mw)は8,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8、融点は73℃であった。また、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅は6.0℃であった。
<実施例1>
攪拌棒、窒素導入管、温度計、ジムロート冷却管付1L四つ口フラスコにαオレフィン重合体A1を120g投入し、窒素を導入しながら190℃に昇温し、溶融した。スチレン40gとジクミルパーオキサイド2gを1時間かけて添加し、添加終了後、190℃で1時間維持した。その後、190℃−7hPaに1時間減圧蒸留してトナー用離型剤R1を得た。
このトナー用離型剤R1の2−ブタノン不溶成分は85質量%、融点(Tm)が52℃、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅が8.3℃、重量平均分子量(Mw)が43,000であった。
攪拌棒、窒素導入管、温度計、ジムロート冷却管付1L四つ口フラスコにαオレフィン重合体A1を120g投入し、窒素を導入しながら190℃に昇温し、溶融した。スチレン40gとジクミルパーオキサイド2gを1時間かけて添加し、添加終了後、190℃で1時間維持した。その後、190℃−7hPaに1時間減圧蒸留してトナー用離型剤R1を得た。
このトナー用離型剤R1の2−ブタノン不溶成分は85質量%、融点(Tm)が52℃、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅が8.3℃、重量平均分子量(Mw)が43,000であった。
<実施例2>
実施例1のαオレフィン重合体A1の代わりにαオレフィン重合体A2を用いた以外は実施例1と同様の方法でトナー用離型剤R2を得た。
このトナー用離型剤R2の2−ブタノン不溶成分は87質量%、融点(Tm)が70℃、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅が6.0℃、重量平均分子量(Mw)が9,000であった。
実施例1のαオレフィン重合体A1の代わりにαオレフィン重合体A2を用いた以外は実施例1と同様の方法でトナー用離型剤R2を得た。
このトナー用離型剤R2の2−ブタノン不溶成分は87質量%、融点(Tm)が70℃、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅が6.0℃、重量平均分子量(Mw)が9,000であった。
<実施例3>
攪拌棒、窒素導入管、温度計、ジムロート冷却管付1L四つ口フラスコにαオレフィン重合体A2を120g投入し、窒素を導入しながら160℃に昇温し、溶融した。スチレン80gとジクミルパーオキサイド4gを1時間かけて添加し、添加終了後、160℃で1時間維持した。その後、190℃−7hPaに1時間減圧蒸留してトナー用離型剤R3を得た。
このトナー用離型剤R3の2−ブタノン不溶成分は74質量%、融点(Tm)が67℃、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅が6.0℃、重量平均分子量(Mw)が20,000であった。
攪拌棒、窒素導入管、温度計、ジムロート冷却管付1L四つ口フラスコにαオレフィン重合体A2を120g投入し、窒素を導入しながら160℃に昇温し、溶融した。スチレン80gとジクミルパーオキサイド4gを1時間かけて添加し、添加終了後、160℃で1時間維持した。その後、190℃−7hPaに1時間減圧蒸留してトナー用離型剤R3を得た。
このトナー用離型剤R3の2−ブタノン不溶成分は74質量%、融点(Tm)が67℃、融点を示すピークは一つ観察され、その半値幅が6.0℃、重量平均分子量(Mw)が20,000であった。
<比較例1>
カルナバワックス(融点85℃)をトナー用離型剤RR1とした。
カルナバワックス(融点85℃)をトナー用離型剤RR1とした。
<比較例2>
30メッシュ以下の微粉に調整したαオレフィン重合体A2 70質量部と低分子量ポリスチレン(Mw3000)30質量部を混合し、トナー用離型剤RR2とした。
30メッシュ以下の微粉に調整したαオレフィン重合体A2 70質量部と低分子量ポリスチレン(Mw3000)30質量部を混合し、トナー用離型剤RR2とした。
<比較例3>
トナー用離型剤R2から抽出した2−ブタノン可溶成分を別途用意した実施例2記載のトナー用離型剤R2に2−ブタノン可溶成分が50質量%となるように添加し、これによって得られたものをトナー用離型剤RR3とした。
トナー用離型剤R2から抽出した2−ブタノン可溶成分を別途用意した実施例2記載のトナー用離型剤R2に2−ブタノン可溶成分が50質量%となるように添加し、これによって得られたものをトナー用離型剤RR3とした。
(トナーの作成)
<実施例4>
結着剤(ポリエステル、ガラス転移温度57.9℃、軟化点117.4℃、Mw4.8万) 89質量部、トナー用離型剤R1 7質量部、カーボンブラック 4質量部、電荷調整剤(T−77、保土谷化学株式会社製) 2質量部をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練した。冷却した溶融混練物をスピードミルで粗粉砕後、ジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を分級機にて厳密に分級して体積平均粒子径10μm以下のトナー粒子を得た。次いで、得られたトナー粒子100質量部に対し、コロイダルシリカ(アエロゾルR972、日本アエロジル株式会社製)1質量部を混合機にて混合し、トナーT1を得た。
<実施例4>
結着剤(ポリエステル、ガラス転移温度57.9℃、軟化点117.4℃、Mw4.8万) 89質量部、トナー用離型剤R1 7質量部、カーボンブラック 4質量部、電荷調整剤(T−77、保土谷化学株式会社製) 2質量部をブレンダーにて混合し、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練した。冷却した溶融混練物をスピードミルで粗粉砕後、ジェットミルで微粉砕し、得られた微粉砕物を分級機にて厳密に分級して体積平均粒子径10μm以下のトナー粒子を得た。次いで、得られたトナー粒子100質量部に対し、コロイダルシリカ(アエロゾルR972、日本アエロジル株式会社製)1質量部を混合機にて混合し、トナーT1を得た。
<実施例5>
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤R2を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーT2を得た。
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤R2を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーT2を得た。
<実施例6>
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤R3を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーT3を得た。
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤R3を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーT3を得た。
<実施例7>
実施例4における結着剤の量を86質量部、トナー用離型剤の量を10質量部とした以外は実施例4と同様の方法でトナーT4を得た。
実施例4における結着剤の量を86質量部、トナー用離型剤の量を10質量部とした以外は実施例4と同様の方法でトナーT4を得た。
<比較例4>
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤RR1を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーTR1を得た。
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤RR1を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーTR1を得た。
<比較例5>
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すαオレフィン重合体A2をトナー用離型剤として用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーTR2を得た。
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すαオレフィン重合体A2をトナー用離型剤として用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーTR2を得た。
<比較例6>
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤RR2を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーTR3を得た。
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤RR2を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーTR3を得た。
<比較例7>
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤RR3を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーTR4を得た。
実施例4のトナー用離型剤R1の代わりに表1に示すトナー用離型剤RR3を用いた以外は実施例4と同様の方法でトナーTR4を得た。
表1は乾式法である混練粉砕法により作製した乾式トナーの評価結果である。トナー用離型剤R1〜R3を含有するトナー(実施例4〜7)は、スチレン変性を行うことによりトナーに使用される汎用の離型剤であるRR1を含有するトナー(比較例4)より耐ホットオフセット性が改善し、αオレフィン重合体であるA2を含有するトナー(比較例5)より耐ホットオフセット性および離型剤分散性が向上した。また、スチレン類の重合体であるポリスチレンをαオレフィン重合体A2と混合したRR2を含有するトナー(比較例6)に比べ耐ブロッキング性、離型剤分散性が向上し、混合するより変性する方がトナー用離型剤として有利である事を示した。比較例7では2−ブタノン可溶成分を混合し、2−ブタノン可溶成分が多い場合を示した。この場合、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性、離型剤分散性が悪化し、本発明のトナー用離型剤の如く、2−ブタノン可溶成分が少ない方がトナー性能に優れる事を示した。
<実施例8>
1Lセパラブルフラスコにイオン交換水336.6質量部、Na3PO4 5.2質量部を添加し、70℃に調整した。TK−ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用い、10,000rpmで攪拌しながらCaCl2 3.0質量部を少しずつ添加し,分散安定剤としてのCa3(PO4)2を含む水分散体を調製した。室温に冷却後、別途、結着剤成分であるスチレン 71.8質量部、n−ブチルアクリレート 18.0質量部、ジビニルベンゼン 0.2質量部、および顔料としてピグメントレッド122 3.0質量部、電荷調整剤(ボントロンE−88、オリエント化学工業株式会社製) 1.5質量部、トナー用離型剤R1 7.0質量部、2,2’−アゾビス−イソブチロバレロニトリル 5.2質量部を混合したものを、10,000rpmに維持しながら添加し、さらに15分攪拌した。TK−ホモミキサーを外し、攪拌棒、窒素導入管、温度計、ジムロート冷却管を付けた上蓋をセットし、窒素置換した。70℃に昇温して10時間反応し、さらに90℃にて5時間反応させた。反応終了後、冷却し、塩酸でpH1に調整した。その後、濾過、洗浄、乾燥、分級し、体積平均粒径5μmの粉末を得た。分級後の粉末重量100質量部に対し1質量部のコロイダルシリカ(アエロゾルR972、日本アエロジル株式会社製)を混合機にて混合し、トナーT5を得た。
1Lセパラブルフラスコにイオン交換水336.6質量部、Na3PO4 5.2質量部を添加し、70℃に調整した。TK−ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用い、10,000rpmで攪拌しながらCaCl2 3.0質量部を少しずつ添加し,分散安定剤としてのCa3(PO4)2を含む水分散体を調製した。室温に冷却後、別途、結着剤成分であるスチレン 71.8質量部、n−ブチルアクリレート 18.0質量部、ジビニルベンゼン 0.2質量部、および顔料としてピグメントレッド122 3.0質量部、電荷調整剤(ボントロンE−88、オリエント化学工業株式会社製) 1.5質量部、トナー用離型剤R1 7.0質量部、2,2’−アゾビス−イソブチロバレロニトリル 5.2質量部を混合したものを、10,000rpmに維持しながら添加し、さらに15分攪拌した。TK−ホモミキサーを外し、攪拌棒、窒素導入管、温度計、ジムロート冷却管を付けた上蓋をセットし、窒素置換した。70℃に昇温して10時間反応し、さらに90℃にて5時間反応させた。反応終了後、冷却し、塩酸でpH1に調整した。その後、濾過、洗浄、乾燥、分級し、体積平均粒径5μmの粉末を得た。分級後の粉末重量100質量部に対し1質量部のコロイダルシリカ(アエロゾルR972、日本アエロジル株式会社製)を混合機にて混合し、トナーT5を得た。
<比較例8>
実施例8のトナー用離型剤R1の代わりに表2に示すαオレフィン重合体A1をトナー用離型剤として用いた以外は実施例8と同様の方法でトナーTR5を得た。分級後の体積平均粒径は5μmだった。
実施例8のトナー用離型剤R1の代わりに表2に示すαオレフィン重合体A1をトナー用離型剤として用いた以外は実施例8と同様の方法でトナーTR5を得た。分級後の体積平均粒径は5μmだった。
表2は湿式法である懸濁重合法により作製した湿式トナーの評価結果である。本発明のトナー用離型剤を用いた実施例8のトナーはαオレフィン重合体A1を含有するトナー(比較例8)より離型剤分散性が向上した。本発明のトナー用離型剤は乾式トナーだけでなく、湿式トナーにも適用できる事を示した。
Claims (3)
- 下記(a),(b)の条件を満たすαオレフィン重合体に、スチレン類をグラフトして得られるトナー用離型剤であって、25℃で濃度15質量%にて2−ブタノンに分散させた場合、2−ブタノン不溶成分が70質量%以上であるトナー用離型剤。
(a) αオレフィン単量体の炭素数が16以上36以下の範囲であり、これらの少なくとも1種の単量体を用いた重合体。
(b) 示差走査型熱量計(DSC)を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である重合体。 - トナー用離型剤が示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が30℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つ観測され、かつ該ピークの半値幅が20℃以内であることを特徴とする請求項1記載のトナー用離型剤。
- 結着剤の固形分に対して、請求項1又は2に記載のトナー用離型剤を0.1〜40質量%含有してなるトナー。
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