JP5743578B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やプリンター等に用いられるトナーに関する。
電子写真技術を用いた画像形成装置は、オフィスや家庭におけるプリンターや複合機として一般的に用いられているが、最近では、広告やパンフレットなどの商業印刷用途においても用いられるようになってきた。
商業印刷用途においては画像形成装置の印刷速度が生産性に直結し、オフィス用途においても業務効率の観点から、印刷速度が速い高速機の需要が高まってきている。
高速機においては、感光ドラムに対するトナーの供給能が高いことから、トナーと磁性キャリアを組み合わせた二成分系現像剤が好ましく用いられる。二成分系現像剤では、一成分系現像剤と比べて、磁性キャリアからトナーに強いストレスが加わるため、ストレスに対する耐性の高いトナーが要望されている。
また、連続的に長時間印刷を繰り返しても、安定して高画質な画像が得られる耐久性や、様々な温湿度環境下対応においても安定した画像が得られる環境安定性が求められる。
さらに、普通紙だけでなく、光沢紙や厚紙、エンボス加工紙、ラフ紙などの多様なメディアに対応できるメディア対応性なども求められている。
これらのことから、二成分系現像剤として高速機に用いても、十分な現像性、転写性、クリーニング性、定着性を有するトナーが要望されており、かつ耐久性や、環境安定性にも優れることが求められる。
ところで、従来から電子写真用トナーにおいては、トナーの流動性、付着性、帯電性などを調整し、良好な現像性、転写性、クリーニング性を得る目的で、種々の無機微粒子等を外添することが一般に知られている。
しかし、このようなトナーにストレスが加わると、トナー粒子の表面から無機微粒子が遊離する場合があり、遊離した無機微粒子が、帯電ローラーなどの部材を汚染し、帯電ローラーに抵抗ムラが生じ、画像の濃度ムラといった画像欠陥が生じることがある。
また、無機微粒子が脱離したトナー粒子の影響で、トナーの流動性が悪化し、トナーの帯電量分布が広がってしまい、トナーの現像性が損なわれて、非画像部へのカブリが生じることがある。
さらに、トナーの付着性が高くなり、転写工程においてトナーが中間転写体から飛翔し難くなり、紙などのメディアへの転写効率が悪化して、画像濃度が低下することがある。
二成分系現像剤では、現像器内の攪拌により磁性キャリアから強いストレスを受けるため、トナー粒子の表面からの無機微粒子の遊離が起こり易い傾向にあり、特に高速機で、長時間、連続して印刷を行うと、部材汚染にまつわる画像欠陥が顕在化し易い。
このような背景から、従来から無機微粒子の遊離を抑制するため、混合機の混合羽根の回転数を高めたり、混合時間を長くしたりして、トナー粒子の表面と無機微粒子との付着強度を高める検討がなされているが、機械的な混合だけでは不十分な場合があった。
そこで、トナー粒子の表面に無機微粒子を付着させた後、熱風による表面処理により、無機微粒子をトナー粒子の表面に埋没させることで、無機微粒子の遊離を軽減することが提案されている。
特許文献1においては、無機微粒子を母体粒子に付着させた後、熱風による表面処理によって、無機微粒子をトナー粒子の表面に埋没させることで、無機微粒子の遊離を抑える提案がなされている。そして、BET比表面積が80m/g以上の無機微粒子を用いることで、無機微粒子を埋没させ易くなり、無機微粒子の遊離を抑えやすくなることが記載
されている。
また、特許文献2には、平均一次粒径が35nm以上、300nm以下のシリカ粒子と、平均一次粒径が4nm以上、30nm以下のシリカ粒子を添加した後、熱風による表面処理を施し、トナー粒子の表面にシリカ粒子を埋没させたトナーが提案されている。
しかし、特許文献1や特許文献2のように、単に粒径やBET比表面積が特定の範囲にある無機微粒子を、熱風による表面処理によってトナー粒子の表面に埋没させても、トナー粒子の表面と無機微粒子との固着強度が不十分な無機微粒子が存在してしまい、厳しい使用環境下における使用では、無機微粒子の遊離を抑えることが難しかった。
例えば、二成分系現像剤として高速機で用いた場合には、連続出力すると帯電ローラーが汚染されて画像の濃度ムラが発生する課題があった。また、高温高湿環境下における使用において非画像部へカブリが生じたり、転写効率が低下したりすることがあった。
また、高速機に用いる場合には、トナーが定着器を通過する時間が短くなるため、優れた定着性能が要求されるが、特許文献1や特許文献2の技術では、低温定着性や耐ホットオフセット性が不十分となることがあった。
特開2000−330325号公報 特開2007−279239号公報
本発明の目的は、上記の問題点を解消したトナーを提供することである。
すなわち本発明は、二成分現像剤として高速機に用いた場合でも、トナー粒子の表面からの無機微粒子の遊離を抑えられるため、部材汚染による画像欠陥が少なく、現像性、転写性、定着性に優れ、その耐久性、環境安定性にも優れるトナーを提供する。
上記の課題は、下記の構成のトナーにより解決することができる。
すなわち、本出願に係る発明は、
少なくとも結着樹脂、ワックス及び無機微粒子Aを含有するトナー粒子を含有するトナーにおいて、
該トナー粒子の表面には、少なくとも該無機微粒子Aが熱風による表面処理により固着さ
れており、
該無機微粒子Aは、個数平均粒径(D1)が0.060μm以上、0.300μm以下、BET比表面積(BET1)が13.1/g以上、40.0/g以下であり、個数平均粒径(D1)とBET比表面積(BET1)が下記式(1)の関係であることを特徴とするトナー。
0.8≦ BET1(m/g)/(6/(D1(μm)×無機微粒子Aの真密度(g/cm)) ≦ 1.50 ・・・・式(1)
本発明のトナーは、トナー粒子の表面に対して無機微粒子が均一に固着されているため、二成分現像剤として高速機に用いた場合でも、無機微粒子の遊離を抑えることができる。
そのため部材汚染による画像欠陥が少なく、現像性、転写性に優れ、その耐久性、環境安定性にも優れるトナーを提供できる。
またトナー粒子の表面に均一に固着させた無機微粒子による効果によって、トナーの低
温定着性を阻害せずに、優れた耐ホットオフセット性が発現し、定着性にも優れたトナーを提供できる。
本発明の実施例で用いた熱風による表面処理装置の模式図 本発明の実施例と比較例で用いた無機微粒子A(シリカ)の個数平均粒径(D1)とBET比表面積(BET1)の関係を示した図
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、ワックス及び無機微粒子Aを含有するトナー粒子を含有するトナーであり、該トナー粒子の表面には、後述の特徴を有する無機微粒子Aが、熱風による表面処理によって固着されていることを特徴とする。
本発明者らは、高いストレスが加わってもトナー粒子の表面から無機微粒子が遊離し難いトナーを得るため、熱風による表面処理によりトナー粒子の表面に無機微粒子を固着させる技術をより詳細に検討した。
その結果、個数平均粒径(D1)と、BET比表面積(BET1)が特定の範囲にあることに加えて、D1と、BET1と、無機微粒子Aの真密度が、下記の式(1)の関係を満たす無機微粒子Aを用いることで、熱風による表面処理によって、トナー粒子の表面と無機微粒子Aとの固着強度が飛躍的に高められることを見出した。
0.85≦ BET1(m/g)/(6/(D1(μm)×無機微粒子Aの真密度(g/cm)) ≦ 2.00 ・・・・式(1)
該トナーは、二成分系現像剤として用いた場合でも、トナー粒子の表面からの無機微粒子の遊離が抑えられ、帯電ローラー汚染による画像欠陥、高温高湿環境下での非画像部へのカブリが抑えられ、良好な転写性をも示すことがわかった。
さらに、該トナーは、無機微粒子Aがトナー粒子の表面から遊離せず、固着されたまま表面に均一に分散した状態で定着工程に供されることで、優れた耐オフセット性をも示すことがわかった。
これは表面に均一に分散されて固着された無機微粒子Aの効果によって、トナー粒子の表層領域において、該無機微粒子Aによるフィラー効果が発現し、トナー粒子の表層領域が高温でも高い粘弾性を示すためだと考えられる。また、無機微粒子Aによって低温定着性は阻害されないことから、無機微粒子Aによるフィラー効果が発現する領域を、トナー粒子の極表層部分のみに制御できているものと推定している。
ここで、BET1(m/g)/(6/(D1(μm)×無機微粒子Aの真密度(g/cm))をBET比と定義し、以下に該BET比の意味について説明する。
BET比は、無機微粒子AのBET比表面積の実測値(BET1)を、無機微粒子Aが理想的な球形単分散粒子であることを仮定し、個数平均粒径(D1)を用いて算出したBET比表面積の計算値(理論BET比表面積)によって規格化した値である。
理論BET比表面積とは、球形粒子(一粒子)のBET比表面積が、粒径(d1)と、真密度から、下記の式(2)によって求められることを利用して、無機微粒子Aの個数平均粒径(D1)と、無機微粒子Aの真密度から算出したものである、
6/(d1(μm)×球形粒子の真密度(g/cm))・・・式(2)
ここで、球形単分散粒子は、一粒子ではなく、複数の粒子が存在するが、存在する粒子がすべて同一粒子であるため、粒子数はBET比表面積の計算値に影響しない。よって、該理論BET比表面積は、無機微粒子Aが、理想的な球形単分散粒子であると仮定した場合のBET比表面積の計算値であると解釈される。
そのため、BET比の値は、個数平均粒径(D1)によって決まる理論BET比表面積に対する、無機微粒子AのBET比表面積の実際値(BET1)の相対的な大きさを示している。
BET比が1より大きい場合、個数平均粒径がD1である理想的な球形単分散粒子と比べて、無機微粒子AのBET比表面積(BET1)は大きい。よって該無機微粒子Aは完全な球形ではなく、表面に凹凸があるなど、いびつな形状を有しており、球形単分散粒子と比べて大きな比表面積を有するため表面自由エネルギーが高く、凝集し易い性質を有している。
一方で、BET比が1より小さい場合、個数平均粒径がD1である理想的な球形単分散粒子よりも、無機微粒子AのBET比表面積(BET1)は小さく、無機微粒子Aは粒径分布を有するものと考えられる。以下に理由を説明する。
粒径に分布がない単分散粒子である場合には、粒子の形状が球形である場合に、比表面積が最小となるため、BET比は1未満にはならない。しかし無機微粒子Aに粒径分布がある場合には、無機微粒子Aに含まれるそれぞれの粒子のBET比表面積や質量に分布が生じるため、無機微粒子AのバルクとしてのBET比表面積(BET1)が、理論BET比表面積よりも小さくなることがある。
BET比表面積は単位質量当たりの表面積であるため、複数の粒子が存在する場合には、質量が大きい粒子の寄与を大きく受ける。無機微粒子Aが粒径分布を有すると、個数平均粒径(D1)よりも粒径の大きい粒子が含まれ、該粒径の大きい粒子は、質量が大きくBET比表面積が小さい粒子であるため、無機微粒子AのバルクとしてのBET比表面積を小さくするように作用する。そのためBET比が1より小さい場合には、無機微粒子Aに粒径分布を有していると考えられる。
本発明のトナーに用いる無機微粒子Aは、BET比が、0.85以上、2.00以下であることが必要であり、0.87以上、1.50以下であることが好ましい。BET比が該範囲にあることで、強いストレスが加わっても無機微粒子Aの遊離が抑えられるトナーとなる。
無機微粒子AのBET比が2.00を超える場合、無機微粒子Aがもつ表面自由エネルギーが高すぎるため凝集しやすく、母体粒子の表面に無機微粒子Aを混合して付着させる際に、無機微粒子Aの凝集物が形成されてしまう。そのため熱風による表面処理を施しても、該凝集物の中にはトナー粒子の表面に埋没されず、トナー粒子の表面に固着されない無機微粒子Aが存在してしまう。よって、二成分系現像剤として用いた場合に無機微粒子Aの遊離を抑えられず、帯電ローラーが汚染による画像欠陥が発生し、耐オフセット性も悪化する。
無機微粒子AのBET比が0.85未満である場合、無機微粒子Aの粒径分布が大きすぎるため、BET比表面積や質量にも大きな分布を有する。そのため、熱風による表面処理を施した際に、トナー粒子の表面に対して、それぞれの無機微粒子Aの埋没度合いや固着強度が不均一となり、固着されない、あるいは固着強度が弱い無機微粒子Aが存在してしまう。よって、二成分系現像剤として用いた場合に無機微粒子Aの遊離を抑えられず、帯電ローラー汚染による画像欠陥が発生し、耐ホットオフセット性も悪化してしまう。
次に、本発明の無機微粒子Aの個数平均粒径(D1)は、0.060μm以上、0.300μm以下であることが必要であり、0.070μm以上、0.250μm以下であることが好ましい。
個数平均粒径(D1)が0.060μm未満の場合、熱風による表面処理によって、トナー粒子の内部に完全に埋め込まれてしまう無機微粒子Aが多くなってしまうため、トナーの流動性が悪化してカブリが発生し、トナーの付着性が高まって転写性が悪化する。
また無機微粒子Aによるフィラー効果が高すぎるため、トナー粒子の表層領域における粘弾性が高くなりすぎてしまって、低温定着性が悪化してしまう。さらにトナー粒子の表層領域における粘弾性が高くなりすぎることで、トナー粒子の表面へのワックスの析出が阻害されてしまい、かえって耐ホットオフセット性が悪化する。
一方で、個数平均粒径(D1)が0.300μmを超える場合、無機微粒子Aがトナー粒子の表面に十分に埋め込まれないため、二成分現像剤として用いる場合に無機微粒子Aの遊離を抑えることができず、帯電ローラー汚染による画像欠陥が発生する。また、個数平均粒径(D1)が0.300μmを超える場合、現像や転写における無機微粒子の遊離が抑えられないことや、粒径の大きい無機微粒子Aにフィラー効果が殆どないことが原因で、トナーの耐ホットオフセット性は殆ど良化しない。
さらに、本発明の無機微粒子Aは、BET比表面積(BET1)が、10.0m/g以上、50.0m/g以下であることが必要であり、20.0m/g以上、35.0m/g以下であることが好ましい。
BET1が10.0m/g未満の場合、熱風による表面処理によってトナー粒子の表面に無機微粒子Aが埋没して固着される面積が小さすぎるため、トナー粒子の表面と無機微粒子Aとの固着強度が不十分となる。そのため、二成分現像剤として用いた場合に無機微粒子Aの遊離を抑えることができず、帯電ローラー汚染による画像欠陥が発生する。さらに、トナー粒子の表面に無機微粒子A固着される面積が小さいため、無機微粒子Aによるフィラー効果は殆ど発現せず、耐ホットオフセット性が悪化する。
一方で、BET1が50.0m/gを超える場合、無機微粒子Aの比表面積が大きすぎるため、トナー粒子の表層領域で生じるフィラー効果が高すぎるため、トナーの低温定着性が悪化する。また定着時にトナー粒子の表面へと析出するワックスを無機微粒子Aがトラップしてしまい、トナー粒子の表面にワックスによる離型層が形成されることを阻害し、耐ホットオフセット性が悪化する。比表面積が大きすぎる無機微粒子Aは、表面自由エネルギーが低いワックスをトラップすることで、系内のエネルギーを下げて安定化するものと推察している。
本発明の無機微粒子Aは、粒径分布の指標である、個数基準の標準偏差(σ1)/個数平均粒径(D1)が、0.45以下であることが好ましい。
個数基準の標準偏差(σ1)/個数平均粒径(D1)が0.45を超える場合、無機微粒子Aの粒径分布やBET比表面積や質量の分布が大きすぎるため、熱風による表面処理を施した際に、トナー粒子の表面に対して、それぞれの無機微粒子Aの埋没度合いや固着強度が不均一となり、固着されない、あるいは固着強度が弱い無機微粒子Aが存在してしまう。そのため、二成分系現像剤として用いた場合に無機微粒子Aの遊離を抑えにくく、帯電ローラー汚染による画像欠陥が発生しやすくなる。さらに、無機微粒子Aが遊離しやすくなるため、耐ホットオフセット性も悪化する傾向にある。
本発明のトナーは、平均円形度が0.960以上、0.980以下であることが好ましい。
平均円形度が0.960未満である場合、線幅が細いラインを印字した場合に中抜けが発生する場合がある。
平均円形度が0.980を超えると、トナーに含まれる真球状のトナー粒子が過度に多くなり、クリーニング性が悪化する場合がある。
本発明の無機微粒子Aは、BET比が式(1)を満たし、個数平均粒径(D1)、BET比表面積(BET1)、が上記の範囲を満たす無機微粒子であれば、特に制限されず、
従来公知の無機微粒子を採用することができる。
BET比が式(1)の範囲にある無機微粒子Aを得るためには、例えば無機微粒子Aの原料や製造工程や製造条件を調整することによって球形に近い無機微粒子Aを得る方法や、無機微粒子Aを表面処理する際に、処理剤、処理量、処理条件を適宜選択することで、表面凹凸の少ない無機微粒子Aを得る方法や、分級処理及び/または解砕処理によって粒径分布の狭い無機微粒子Aを得る方法などが挙げられる。
本発明の無機微粒子Aの真密度は、後述の方法で測定することができるが、無機微粒子Aの真密度の測定が困難である場合には、シリカ微粒子の真密度は2.20g/cm、アルミナ微粒子の真密度は3.95g/cm、ルチル型酸化チタン微粒子の真密度は4.27g/cm、アナターゼ型酸化チタン微粒子の真密度は3.90g/cmの値を用いた。
無機微粒子Aとしては、金属酸化物である、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化錫、酸化亜鉛、などからなる無機微粒子が挙げられる。
また無定形炭素(カーボンブラックなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)からなる無機微粒子が挙げられる。
本発明の無機微粒子Aは、トナー粒子の表面への均一に分散され、均一に固着され易い点で、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、或いはこれらを複合化した金属酸化物からなるグループから選択されることが好ましく、シリカ微粒子が特に好ましい。
シリカ微粒子としては、例えば、湿式法、火炎溶融法及び気相法など任意の方法で製造されたシリカ微粒子が好ましく用いられるが、所望のBET比、D1及びBET1のシリカ微粒子を得やすい点で、湿式法又は火炎溶融法で製造されたシリカ微粒子がより好ましい。
湿式法としては、水が存在する有機溶媒中にアルコキシシランを滴下し、触媒により加水分解、縮合反応させた後、得られたシリカゾル懸濁液から溶媒を除去し、乾燥してゾルゲルシリカを得るゾルゲル法が挙げられる
ゾルゲル法で得られるゾルゲルシリカは、球形で表面凹凸が少なく、粒度分布もシャープなものとなり易いため、所望のBET比、D1及びBET1のシリカ微粒子を得やすいため好ましい。
アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン及びテトラフェノキシシラン等の4官能性シラン化合物が好ましく、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランがより好ましい。
有機溶媒としては、水に溶解するものであれば特に制限されず、アルコール類、セロソルブ類、ケトン類及びエーテル類が用いられるが、シリカゾルの造粒性の観点から、炭素原子数が1〜6のアルコール類を用いることが好ましい。
触媒としては、アンモニア、ジメチルアミン及びジエチルアミン等の塩基性物質が用いられるが、アンモニアを用いることが好ましい。該触媒は予め水に溶解させた後、水が存在する有機溶媒へ添加することが好ましい。
ここで、ゾルゲルシリカ微粒子において、BET比、D1及びBET1を制御する製造方法の一例を記載する。
まず、BET比、D1及びBET1は、ゾルゲル法における、加水分解・縮合反応工程における反応温度、有機溶媒の種類、アルコキシシランの滴下速度、並びに、水、有機溶媒及び触媒の重量比、撹拌速度などによってコントロールすることが可能である。
例えば、反応温度が高いほどD1が小さく、BET1が大きくなる傾向にある。
また例えば、有機溶媒がアルコール類である場合、炭素数が多いほど、D1が大きく、BET1が小さく、BET比が大きくなる傾向にある。これは有機溶媒の極性によってシリカゾルの造粒性が異なるためと推定している。
また例えば、アルコキシシランの供給速度が遅いほど、加水分解及び縮合反応が均一に進行し易くなり、その結果、得られるゾルゲルシリカは球形で表面凹凸が少なくなり、BET比が小さくなる傾向にある。
火炎溶融法としては、常温でガス状または液状である珪素化合物を、予めガス状にした後、水素および/または炭化水素からなる可燃性ガスと、酸素を供給して形成した外炎中において、該珪素化合物を分解・溶融させてシリカ微粒子(溶融シリカ)を得る方法が挙げられる。
該火炎溶融法では、外炎中において、該珪素化合物からシリカ微粒子を生成させると同時に、所望の粒径や形状となるようにシリカ微粒子同士を融着、合一させた後冷却し、バグフィルター等で捕集することができる。
原料として用いる該珪素化合物は、常温でガス状または液状であれば特に制限はなく、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサン、ヘキサメチルジシロキサン及びオクタメチルトリシロキサンなどのシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン及びジメチルジメトキシシランなどのアルコキシシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン及びヘキサメチルジシラザンなどの有機シラン化合物、モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン及びテトラクロロシラン等のハロゲン化珪素、モノシラン及びジシラン等の無機珪素が挙げられる。
中でも、環状シロキサンを用いた場合、粒度分布の狭いシリカ微粒子を得やすい傾向にあるため好ましく、ヘキサメチルシクロトリシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサンを用いることが特に好ましい。
また、二重管構造を有するバーナーを用い、内炎用の供給口にガス状の珪素化合物を供給し、外炎用の供給口に可燃性ガスと酸素の混合ガスを供給することにより、内炎と外炎を形成する方法でシリカ微粒子を得ることが好ましい。
なお内炎用の供給口には必要に応じてガス状の珪素化合物以外に、窒素ガスや酸素ガス等のキャリアガスを導入してもよい。
この製法においては、二重管バーナーの出口における平均ガス供給速度や、外炎用の供給口に供給する可燃性ガスの供給量及び酸素比率などによって、得られるシリカ微粒子のD1、BET1及びBET比をコントロールすることが可能である。
具体的には、二重管バーナーの出口における平均ガス供給速度が大きいほど、珪素化合物が外炎中に滞留する時間が短くなり、その結果、D1が小さくなり、BET1が大きくなる傾向にある。
また、外炎用の供給口に供給する可燃性ガスの供給量が多いほど、D1が大きくなり、BET1が小さくなり、BET比が大きくなり、粒径分布が狭くなる傾向にある。
ここで、外炎の温度が上がって高温雰囲気下で珪素化合物が処理されることで、D1が大きくなり、BET1が小さくなり、粒径分布が狭くなるものと推定される。
また、BET比が大きくなるのは、高温雰囲気下における珪素化合物のシリカへの転換と、シリカ微粒子同士の凝集、融着が競争し、シリカ微粒子の表面に微細な凹凸が形成さ
れ易くなるためと推定される。
また、酸素比率とは、実際の酸素の供給量を、珪素化合物と可燃性ガスがともに完全燃焼するために必要な合計酸素量で除した値である。
例えば、珪素化合物としてオクタメチルシクロテトラシロキサンを1モル、可燃性ガスとして水素を15モルの割合で供給する場合、これらを完全燃焼させるのに必要な酸素量は、前者が16モル、後者が7.5モルである。
このため、両者を完全燃焼させるのに必要な合計酸素量は23.5モルとなる。
すなわち、上述の場合、酸素の供給量が23.5モルの場合、酸素比率が1.0となり、酸素の供給量が47.0モルの場合、酸素比率は2.0となる。
なお内炎用の供給口に、キャリアガスとして酸素ガスを供給する場合、外炎用供給口に供給した酸素量と該酸素キャリアガスの供給量の合計値を、酸素の供給量として扱う。
この酸素比率が高いほど、D1が小さく、BET1が大きくなり、BET比が大きくなり、粒度分布が狭くなる傾向にある。
高酸素比率下においては、珪素化合物の酸化反応が短時間で終了するため、シリカ微粒子の成長や、微粒子同士の凝集及び融着が抑えられ、D1が小さく、BET1が大きくなり、粒径分布が狭くなるものと推定している。
一方、珪素化合物の酸化反応が短時間で終了することで、シリカ微粒子の内層部と外層部で反応履歴に差が生じ、表面に微細凹凸やポーラスが生じやすくなり、BET比が大きくなり易いものと推定している。
気相法としては、四塩化珪素を酸素、水素及び希釈ガス(例えば、窒素、アルゴン及び二酸化炭素など)の混合ガスとともに高温で燃焼させて製造する、ヒュームド法が挙げられる。
ヒュームド法においては、燃焼させるバーナーの温度などによって、得られるシリカ微粒子のD1及びBET1をコントロールすることが可能であり、バーナー温度が高いほどD1が大きく、BET1が小さくなる傾向にある。
ただし燃焼工程におけるシリカ微粒子の融着及び凝集をコントロールし難く、BET比や粒度分布の制御は、他の製法と比べて難しい傾向にある。
そのため、D1やBET1が所望の範囲にあるヒュームドシリカを得た後、分級によって粒度分布をシャープにする方法や、表面処理によって所望のBET比にコントロールすることが好ましい。
また、無機微粒子Aが酸化チタン微粒子である場合、所望のD1、BET1及びBET比を満たす酸化チタン微粒子であれば、特に制限はない。
酸化チタン微粒子の製造方法は特に制限されるものではなく、従来公知の硫酸法及び塩素法が挙げられるが、得られる酸化チタン微粒子の粒径や粒度分布、及び粒子の表面性をコントロールし易い点で、硫酸法で得られた酸化チタン微粒子であることが好ましい。
以下に、酸化チタン微粒子の製造方法として好ましい硫酸法の一態様について説明する。
まず、出発原料としてイルメナイトを用い、必要に応じて乾燥及び粉砕を施した後、硫酸を加えて分解し硫酸チタニル(TiOSO)を含んだ水溶液を得る。
そして該水溶液に、所望の結晶形態を有するチタニアゲルを加えた後、加熱下で加水分解を行い、スラリー状のメタチタン酸〔TiO(OH)〕を生成し、該スラリーのpH調整後、洗浄及びろ過してメタチタン酸を得る。
次いで該メタチタン酸を焼成した後、必要に応じて解砕及び分級を施して、酸化チタン微粒子を得る。
アナターゼ型酸化チタン微粒子を得たい場合は、メタチタン酸を焼成する際に、ルチル転移抑制剤として、リン酸、リン酸塩、カリウム塩等を添加することが好ましい。
ルチル型酸化チタン微粒子を得たい場合は、メタチタン酸を焼成する際に、ルチル転移促進剤として、リチウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩等の塩類や、ルチル微結晶を含んだスラリー等のシードを添加することが好ましい。
本発明に用いる酸化チタン微粒子のD1、BET1及びBET比は、硫化チタニルを加水分解する際の温度、チタニアゲルの添加量、焼成する際の焼成温度や焼成時間、酸化チタンの結晶形態、又は表面処理量などによって制御できる。
具体的には、硫化チタニルを加水分解する際の温度が高く、チタニアゲルの添加量が多いほど、酸化チタン微粒子の前駆体であるメタチタン酸の粒径成長が促進され、得られる酸化チタン微粒子のD1が大きく、BET1が小さくなる傾向にある。
また、酸化チタン微粒子が形成される焼成工程において、焼成温度が高いほど結晶形成が促進され、D1が大きく、BET1が小さく、BET比が小さくなる傾向にある。
また、酸化チタンの結晶形態としては、ルチル型酸化チタンの方が、BET比が小さくなる傾向にあり、これは焼成工程でルチル型転移が起こる際に、結晶表面で原子が再配列し、粒子表面が平滑化し易いためと推定している。
このようにして得た無機微粒子に対して、後述の表面処理剤にて表面処理を施すことで、微粒子の表面凹凸を少なくして、BET1やBET比を小さくすることができ、所望のBET1及びBET比となるように処理剤や処理量を選択することが好ましい。
表面処理剤の処理量について制限はなく、BET1やBET比、又は後述の疏水化度が所望の範囲となるように選択すればよいが、表面処理前の原体粒子100質量部に対して、0.5質量部以上、50質量部以下の範囲で選択することが好ましい。
また、無機微粒子Aがゾルゲルシリカである場合には、粒子の凝集を抑えるために、湿式法で表面処理を施すことが好ましく、表面処理剤の処理量は、処理されるゾルゲルシリカ微粒子のSiO単位1モルに対して、0.05モル以上、1モル以下であることが好ましい。
また、本発明の無機微粒子Aは、表面処理によって表面が疎水化されていることが好ましい。表面が疎水化されていることで、高温高湿環境下における無機微粒子Aの吸湿が抑えられ、トナーの帯電性が高まり、カブリの発生を抑えられるため好ましい。
表面処理としては、シランカップリング処理、オイル処理、フッ素処理、アルミナ被膜を形成する表面処理などを挙げることでき、適宜選択することができる。また複数種の表面処理を選択することも可能であり、それらの処理の順序も任意である。
シランカップリング処理に用いるシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンなどが挙げられる。
シランカップリング剤処理の方法としては、微粉体を撹拌によってクラウド状としたものに、気化したシランカップリング剤を反応させる乾式法、または微粉体を溶媒中に分散させシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法のいずれも採用することが出来る。
オイル処理としては、シリコーンオイル、フッ素オイル、各種変性オイルを用いた処理が挙げられ、具体的には、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルを用いた処理などが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が50〜100mm/sのものであればよく、オイル処理量は、無機微粒子Aの原体100質量部に対して3〜35質量部の範囲で選択することができる。
アルミナ被膜を形成させる方法としては、水溶液中または溶媒中で塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等を添加し、微粒子を浸漬、乾燥する方法、あるいは含水アルミナ、含水アルミナ−シリカ、含水アルミナ−酸化チタン、含水アルミナ−酸化チタン−シリカ、または含水アルミナ−酸化チタン−シリカ−酸化亜鉛を添加し、その水溶液に微粒子を浸漬、乾燥する方法を採用することが出来る。
また、表面処理によって疎水化された無機微粒子Aは、表面処理後の無機微粒子のメタノール滴定試験によって測定された疎水化度(メタノールウェッタビリティー;メタノールに対する濡れ性を示す指標)が60以上92以下であることが好ましい。
本発明のトナーへの無機微粒子Aの添加量は、トナーの流動性、付着性、帯電性を高めるために、母体粒子100質量部に対して、0.5質量部以上添加することが好ましい。より好ましくは1.0質量部以上である。
ただし、あまり無機微粒子Aの添加量が多くなると低温定着性や耐ホットオフセット性が阻害される場合があるため、無機微粒子Aの添加量は、母体粒子100質量部に対して、20.0質量部以下であることが好ましく、15.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、ワックス及び無機微粒子Aを含有するトナー粒子を含有している。
該トナー粒子は少なくとも結着樹脂とワックスを含む母体粒子と、トナー粒子の表面に固着された無機微粒子Aを含むが、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含んでもよい。
本発明の結着樹脂としては、以下のものが挙げられ、一種類または複数種を併用することができる。
ポリエステル、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体の重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択されるモノマーを構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラ
ール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂。
熱風による表面処理において母体粒子が速やかに溶融軟化するほど、無機微粒子Aがトナー粒子の表面に埋没され易く、トナー粒子の表面に対する無機微粒子Aの固着強度を高め易いため好ましい。
この点で、シャープメルト性の高いポリエステル樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂に占めるポリエステル樹脂の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂としては、アルコールモノマーとカルボン酸モノマーが縮重合したものが用いられる。アルコールモノマーとしては以下のものが挙げられる。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
一方、カルボン酸モノマーとしては、以下のものが挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
また、その他のモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
グリセリン、ソルビット、ソルビタン、さらには例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸類。
それらの中でも、特に、下記構造式(1)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として、これらのポリエステルユニット成分で縮重合した樹脂が良好なシャープメルト性を有するので好ましい。
Figure 0005743578

(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
また、熱風による表面処理によって、トナー粒子の表面と無機微粒子Aの固着強度を高めると同時に、無機微粒子Aをトナー粒子の表面に完全に埋没させないために、母体粒子が含有する結着樹脂は、低分子量成分と高分子量成分の両方を含むことが好ましい。
これにより、トナー粒子に熱風による表面処理が施された際、母体粒子が速やかに溶融軟化するとともに、適度な粘弾性を有するため、無機微粒子Aをトナー粒子の表面に適度に埋没させて固着させ易くなるため好ましい。
具体的には、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分中に分子量10000以上の成分を20%以上含むことが好ましく、分子量5000以下の成分を30%以上含むことが好ましい。
上記の分子量分布は、1種類の結着樹脂で達成しても良く、また、2種類以上の樹脂を混ぜることにより達成しても良い。
そのために用いられる結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布のピーク分子量(Mp)が、2,000以上50,000以下であればよく、数平均分子量(Mn)は、1,500以上30,000以下、重量平均分子量(Mw)が、2,000以上1,000,000以下の範囲で選択すればよい。また、
ガラス転移点(Tg)は40℃以上80℃以下で選択すればよい。
また、本発明の母体粒子は、1/2軟化点が90℃以上110℃以下であることが好ましい。
この範囲の1/2軟化点を有することで、トナー粒子に熱風による表面処理が施された際、母体粒子が速やかに溶融軟化するとともに、適度な粘弾性を有するため、無機微粒子Aをトナー粒子の表面に適度に埋没させて固着させ易くなるため好ましい。
本発明のワックスは、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニルエステルワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.3質量部以上、20質量部下であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上、15質量部以下である。
また、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては、45℃以上140℃以下であることが、トナーの保存性とホットオフセット性を両立できる点で好ましい。
本発明のトナー粒子は、必要に応じて母体粒子に着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、トナーに用いられる公知の着色剤であれば、特に限定されない。
当該着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上、20質量部以下であり、最
も好ましくは3質量部以上、18質量部以下である。特に、着色剤の分散性や発色性の観点から、高着色力のブラックトナーにおいては、8質量部以上、15質量部以下であることが好ましい。また、高着色力のマゼンタトナーにおいては、8質量部以上、18質量部以下であることが好ましい。また、高着色力のシアントナーにおいては、6質量部以上、12質量部以下である好ましい。また、高着色力のイエロートナーにおいては、8質量部以上、17質量部以下であることが好ましい。
また、本発明のトナーは、必要に応じて荷電制御剤を含有することが好ましい。
トナーが含有する荷電制御剤としては、特に制限はないが、無色でトナーの摩擦帯電スピードが速く、一定の摩擦帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
具体的には、ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。
次に、本発明のトナーを製造する方法の一態様について説明する。
まず、本発明のトナー粒子に含まれる母体粒子の製造方法について説明する。
母体粒子の製造方法としては、少なくとも結着樹脂及びワックス、必要に応じて、その他の内添物を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕方法;懸濁重合方法を用いて母体粒子を生成する方法;少なくとも結着樹脂とワックスとを溶剤中に溶解/膨潤/分散させた溶液をしかるべき粒径に分散させ、該溶剤を除去することによってトナー粒子を得る懸濁造粒方法;モノマーでは可溶であるが、重合体を形成すると不溶となるモノマーと、水系有機溶媒を用いて母体粒子を生成する分散重合方法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法を用い母体粒子を製造する方法;少なくとも重合体微粒子及びワックス微粒子を凝集して微粒子凝集体を形成する工程と、該微粒子凝集体中の微粒子間の融着を起こさせる熟成工程を経て得られる乳化凝集法がある。
本発明においては、母体粒子の表面が熱風による表面処理で軟化しやすく、トナー粒子の表面における無機微粒子Aとの固着強度が高まり易い点で、粉砕法で得られた母体粒子が好ましい。
次に、その製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂及びワックス、並びに必要に応じて着色剤及び荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。
混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー及びナウターミキサーがある。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が好ましい。
例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、池貝鉄工製PCM混練機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダーが使用できる。
着色剤を含有させる場合には、着色剤の分散を良好にするために、着色剤と結着樹脂とを着色剤のコンテンツを高めた状態で予め混練させたマスターバッチを用いて、さらに上述の混練(希釈混練)をすることができる。
その着色剤マスターバッチを作る方法として、着色剤合成後に、乾燥することなく含水状態(ペースト着色剤)で樹脂と加熱混合後、乾燥ペレット化する方法が挙げられる。
混練装置としては、加熱ニーダー、一軸押し出し機、二軸押出機及びニーダーが挙げられ、特に好ましくは加熱ニーダーが挙げられる。マスターバッチにおける着色剤量は、20質量%以上50質量%以下であることが、希釈時のピグメントショック抑制や分散性を高める上で好ましい。
更に、溶融混練することによって得られる着色された樹脂組成物は、2本ロールで圧延され、冷却工程で水によって冷却される。
ついで、冷却された樹脂組成物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。
その後、必要に応じて慣性分級方式の「エルボージェット」(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式の「ターボプレックス」(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級し、母体粒子を得る。
このようにして得られた母体粒子の表面に無機微粒子Aを付着させる付着工程を経た後、熱風による表面処理を施し、必要に応じて分級機や篩分機を用いて分級し、表面に無機微粒子Aが固着されたトナー粒子を得ることができる。
付着工程において母体粒子の表面に無機微粒子Aを付着させる方法は特に制限されるものではなく、母体粒子と無機微粒子Aとを所定量秤量して配合して混合する。
また本発明の効果を損なわない範囲で、他の無機微粒子や荷電制御剤、流動性付与剤などを同時に配合することもできる。
混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーがあり、それぞれ好ましく用いられる。
母体粒子の表面に無機微粒子Aをより均一に付着させることができる点で、混合装置としてヘンシェルミキサーを用いることがより好ましい。
混合条件としては、混合羽根の回転速度が高いほど、混合時間が長いほど、母体粒子の表面に均一に無機微粒子Aを付着させ易くなるため好ましい。
ただし、混合羽根の回転数が高すぎたり、混合時間が長すぎたりすると、トナーと混合羽根との摩擦熱が高くなり、トナーが昇温して融着してしまうことがある。
よって、混合羽根や、混合機に水冷ジャケットを設けるなどして、混合機を積極的に冷却することが好ましい。
そして、混合羽根の回転数や、混合時間は、混合機内の温度が45℃以下となる範囲に調整することが好ましく、具体的には、混合羽根の最大周速は10.0m/sec以上、150.0m/sec以下であることが好ましく、混合時間は0.5分〜60分の範囲で調整することが好ましい。
また、付着工程は、1段階で行っても、2段階以上の多段階で行ってもよく、それぞれの段階で用いる混合装置、混合条件及び母体粒子の配合等は、同一であっても異なっていても良い。
本発明の熱風による表面処理としては、熱風でトナーの表面を溶融状態にする手段を有し、かつ、熱風で処理されたトナーを冷風で冷却できる手段であれば、どのようなものでもかまわない。
表面処理のための装置としては、例えば、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)などを用いることが可能である。
次に、熱風による表面処理の方法の一態様を、図1を用いて説明する。
本発明では、表面に無機微粒子Aを付着させた母体粒子に、熱風による表面処理が施され、表面に無機微粒子Aが固着された粒子をトナー粒子と呼ぶが、下記の説明では、便宜
上、表面に無機微粒子Aが固着される前の粒子もトナー粒子と表現することがある。
図1は、本発明で用いた表面処理装置の一例を示した断面図である。表面処理の方法としては、具体的には、予め母体粒子の表面に無機微粒子Aを付着させたものを原料とし、該原料を当該表面処理装置に供給する。
そして、トナー粒子供給口(100)から供給されたトナー粒子(114)は、高圧エア供給ノズル(115)から噴射されるインジェクションエアにより加速され、その下方にある気流噴射部材(102)へ向かう。
気流噴射部材(102)からは拡散エアが噴射され、この拡散エアによりトナー粒子が外側方向へ拡散する。この時、インジェクションエアの流量と拡散エアの流量とを調節することにより、トナー粒子の拡散状態をコントロールすることができる。
また、トナー粒子の融着防止を目的として、トナー粒子供給口(100)の外周、表面処理装置外周及び移送配管(116)の外周には冷却ジャケット(106)が設けられている。
尚、該冷却ジャケットには冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を通水することが好ましい。
一方、拡散エアにより拡散したトナー粒子は、熱風供給口(101)から供給された熱風により、トナー粒子の表面が処理される。
この時、熱風の吐出温度は100℃以上、300℃以下であることが好ましく、150℃以上、250℃以下であることがより好ましい。
熱風の温度が100℃未満の場合には、トナー粒子の溶融状態が不十分となり、トナー粒子の表面への無機微粒子Aの埋没が不十分となって、無機微粒子Aを固着できない場合がある。
また、300℃を超える場合にはトナー粒子の溶融状態が進みすぎてしまい、トナー粒子表面における無機微粒子Aの埋没度合いが不均一となったり、トナー粒子の内部に無機微粒子Aが完全に埋没したりしてしまい、得られるトナーの流動性や帯電性が悪化する場合がある。
また、製造工程においてトナー粒子同士の合一が起こりやすくなり、トナー粒子が粗大化したり、装置内壁面へのトナーの融着が酷くなったりする場合がある。
さらに、上記の温度範囲において熱風の吐出温度を調整することで、得られるトナーの平均円形度を0.960以上0.980以下に制御することができる。
高温で処理するほど、得られるトナーの平均円形度は高くなり、低温で処理するほど、得られるトナーの平均円形度は低くなることから、トナー粒子に加えられた熱量が多いほど、トナーの平均円形度は高くなる傾向にある。
そのためトナーの平均円形度によって、トナー粒子の表面における無機微粒子Aの埋没する度合いが異なることが考えられる。しかし、本発明の無機微粒子Aは、BET比や個数平均粒径(D1)、BET1が特定の範囲にあるため、トナーの平均円形度が上記の範囲において、トナー粒子の表面に適度に埋め込まれており、固着強度も高いため好ましい。
熱風により表面が処理されたトナー粒子は、装置上部外周に設けた冷風供給口(103)から供給される冷風により冷却される。この時、装置内の温度分布の制御、トナー粒子の表面状態をコントロールする目的で、装置の本体側面に設けた第二の冷風供給口(104)から冷風を導入することが好ましい。第二の冷風供給口(104)の出口はスリット形状、ルーバー形状、多孔板形状、メッシュ形状等を用いる事ができ、導入方向は中心方向へ水平、装置壁面に沿う方向が、目的に応じて選択可能である。
この時、上記冷風温度は−50℃以上、10℃以下であることが好ましく、−40℃以上、8℃以下であることがより好ましい。また、上記冷風は除湿空気であることが好ましい。具体的には、冷風中の絶対水分量が5g/m以下であることが好ましい。更に好ましくは、3g/m以下である。
これらの冷風温度が−50℃未満の場合には装置内の温度が下がりすぎてしまい、本来
の目的である熱による処理が十分に為されず、トナーの表面を溶融状態にすることができない場合がある。
また、10℃を超える場合には、熱風による表面処理が施されたトナー粒子を十分に冷却できず、トナー粒子同士の合一に起因するトナー粒子の粗大化や、融着が生じる場合がある。
その後、冷却されたトナー粒子は、ブロワーで吸引され、移送配管(116)を通じて、サイクロン等で回収される。
このようにして熱風による表面処理を施した後、必要に応じて分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子の表面に無機微粒子Aが固着されたトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、熱風による表面処理を施した後のいずれかの段階で、無機微粒子Bが更に外添されていることが好ましい。
無機微粒子Bとしては、無機微粒子Aで例示した無機微粒子のうち、目的用途に応じて、一種または複数種を選択して用いることが可能である。
本発明の無機微粒子Aはトナー粒子の表面に固着されており、殆ど遊離することがないが、無機微粒子Bはトナー粒子の表面に付着した状態で、固着はされない。そのため、遊離することで機能を発現する無機微粒子を、無機微粒子Bとしてさらに外添することで、トナーへさらなる機能を付与することができる。
本発明の該無機微粒子Bは、個数平均粒径(D1)が0.060μm以上、0.300μm以下であることが好ましい。これにより、長時間連続的に出力した場合において、定常的に無機微粒子Bを遊離させることができ、その効果を定常的、かつ、持続的に発現できるため好ましい。
該無機微粒子Bをさらに外添する場合、予めトナー粒子の表面に無機微粒子Aが埋没されているため、無機微粒子Bは、無機微粒子Aが固着されていない領域に選択的に付着され、無機微粒子Bの周りには、固着された無機微粒子Aが存在した状態となる。そのため、無機微粒子Bに外力が加わった時に、無機微粒子Aによる拘束を受け、無機微粒子Aが存在しない通常の母体粒子に無機微粒子Bを付着させた場合に比べて、無微微粒子Bは、ストレスを加えた場合に序々に遊離する挙動を示すものと推定している。
無機微粒子Bとしては、クリーニング助剤や研磨剤などが挙げられる。例えば、無機微粒子Bとしてクリーニング助剤を外添した場合には、高速機で連続出力を行っても、クリーニング性の高いトナーとなるため好ましい。クリーニング助剤としては、シリカが好ましく、無機微粒子Aで好ましいと例示した、シリカを外添することが好ましい。
また、無機微粒子Aと無機微粒子Bがともにシリカである場合、それぞれのシリカは同一であっても異なってもよい。
あるいは、無機微粒子Bとして研磨剤を外添することも可能であり、研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)及び金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)が挙げられる。
無機微粒子Bの添加量は特に制限はないが、含有量が少なすぎると所望の機能が発現できず、含有量が多すぎると、無機微粒子Bによる部材汚染が起こる場合がある。
よって、無機微粒子Bの添加量は、無機微粒子Aがトナー粒子の表面に固着されたトナー1質量部に対して、0.05質量部以上、2.00質量部以下の範囲であることが好ましい。
本発明のトナーは、無機微粒子A及び無機微粒子Bの他に、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電量の調整や流動性の補助などのために、他の微粒子を含んでも良い。
例えば、流動性付与剤としては、金属酸化物(シリカ、アルミナ、酸化チタンなど)カーボンブラック、シリカなどが挙げられ、それぞれ、疎水化処理を行ったものが好ましい。荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アル
ミナなど)、カーボンブラックなどが挙げられる。
本発明のトナーは、トナー単独で構成される一成分系の現像剤として使用することも可能であるが、トナーと磁性キャリアを含む二成分系現像剤としても用いることができる。
ここで、磁性キャリアは、特に限定されず、公知の磁性キャリアが使用でき、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、及び、クロム元素から選ばれる元素単独または複合のフェライトで構成されるキャリアが例示できる。
また、磁性体が樹脂中に分散されている磁性体含有樹脂キャリアコアの表面に樹脂成分を含有する磁性体含有樹脂キャリアや、多孔質磁性体(多孔質フェライトを含む)に樹脂が含浸された樹脂含浸キャリアなども、上記磁性キャリアとして挙げられる。
二成分系現像剤において、トナーと磁性キャリアの混合比率は、磁性キャリア100質量部に対してトナーを2質量部以上、35質量部以下とすることが好ましく、4質量部以上、25質量部以下とすることがより好ましい。トナーを上記範囲とすることで、高い画像濃度を達成し、かつ、トナーの飛散を低減することができる。
<無機微粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
無機微粒子の個数平均粒径(D1)の測定は、走査型電子顕微鏡S−4700(日立製作所製)を用いて行う。
撮影倍率は5万倍とし、撮影された写真をさらに2倍に引き伸ばした後、得られたFE−SEM写真像から、無機微粒子の最大径(長軸径)を測定して、当該粒子の粒径とする。ランダムに選択した100個の無機微粒子について粒径を計測し、無機微粒子の個数平均粒径(D1)、個数基準の標準偏差(σ1)を求めた。
<無機微粒子のBET比表面積(BET1)の測定方法>
無機微粒子のBET比表面積(BET1)の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なった。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いた。
測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行い、また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管を接続した。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とした。
BET比表面積は、具体的には以下のようにして算出する。
まず、無機微粒子に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)と無機微粒子の窒素吸着量Va(モル・g−1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g−1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、無機微粒子の表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g−1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1−Pr)=1/(Vm×C)+(C−1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1−Pr)とすると、傾きが(C−1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈できる(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C−1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1−Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引くと、その直線の傾きと切片の値が算出できる。これらの値を用いて上記
の傾きと切片の連立方程式を解くと、VmとCが算出できる。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm)から、下記の式に基づいて、無機微粒子のBET比表面積S(m・g−1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10−18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル−1)である。)
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に0.3gの無機微粒子を入れる。
無機微粒子を入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置
バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続して行なう。尚、真空脱気の際には、無機微粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋との差から無機微粒子の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内の無機微粒子が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、無機微粒子が入った前記試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、前記装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続して行ないながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入して無機微粒子に窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したように無機微粒子のBET比表面積を算出する。
<無機微粒子の真密度の測定>
乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所社製)を用いて測定した。
まず、温度23℃湿度50%RHの環境に24時間放置したサンプル試料を5g秤量し、測定用セル(10cm)に入れ、本体試料室に挿入する。測定は、測定試料サンプル質量を本体に入力し、測定をスタートさせることにより自動測定できる。
自動測定の測定条件は、2.392×10kPaで調整されたヘリウムガスを用い、試料室内にパージした後、試料室内の圧力変化が3.447×10−2kPa/分になる状態を平衡状態とし、平衡状態になるまで繰り返しヘリウムガスをパージする。
平衡状態時の本体試料室の圧力を測定し、その状態に達したときの圧力変化により試料サンプル体積が算出できる(ボイルの法則)。
試料サンプルの体積が算出し、以下の式で試料サンプルの真密度を計算した。
真密度(g/cm)=試料サンプル質量(g)/試料サンプル体積(cm
この自動測定により5回繰り返した測定値の平均値を無機微粒子の真密度(g/cm)とした。
<トナーの平均円形度の算出方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローセルに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200乃至1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.2ml加える。更に測定試料を0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上、40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば、「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。該手順に従い調製した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈したもの)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われ、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の
測定及び解析条件で測定を行う。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
測定及び解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250.0ml丸底ビーカーに該電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに該電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。(4)該(2)のビーカーを該超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)該(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10.0mgを少量ずつ該電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続して行なう。超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上、40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した該(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した該(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)装置に付属の専用ソフトにて測定データの解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<樹脂、トナーのピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布の測定方法>
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料(樹脂またはトナー)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、
806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :10.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10.0ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度、樹脂のガラス転移温度Tg>
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、ワックスを10.0mg精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、ワックスの最大吸熱ピークとする。
また、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度測定と同様に、樹脂を10.0mg精秤し測定する。温度40℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化前と比熱変化後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度Tgとする。
<1/2軟化点の測定方法>
サンプルの軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Smi
nとの差の1/2を求め、算出値をXとする(X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、「NT−100H」、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10.0mPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:10.0mm
ダイの長さ:10.0mm
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の配合における部数は特に説明が無い場合は質量部である。
<結着樹脂の製造例>
〔結着樹脂1〕
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 22.6質量部無水トリメリット酸 1.8質量部ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
75.6質量部チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.2質量部
その後、200℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら8時間反応させ、その後、10.0mmHgに減圧し1時間反応させ、樹脂1を合成した。
GPCで求めた樹脂1の分子量は、重量平均分子量(Mw)5900、数平均分子量(Mn)2400であり、ピーク分子量(Mp)2700、ガラス転移点は53℃、1/2軟化点は92℃であった。
〔結着樹脂2〕
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 17.2質量部ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
76.6質量部チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.2質量部
その後、220℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら10時間反応させた。
その後、無水トリメリット酸4.0質量部を加え、180℃に加熱し、2時間反応させ樹脂2を合成した。
GPCで求めた樹脂2の分子量は、重量平均分子量(Mw)43000、数平均分子量(Mn)4500、ピーク分子量(Mp)11000、ガラス転移点は60℃、1/2軟化点は120℃であった。
<無機微粒子の製造例>
(ゾルゲルシリカ微粒子)
〔シリカ1〕
撹拌機、滴下ロート及び温度計を有するガラス製反応器に、アルコール溶媒としてメタノールを693.0g、水を46.0g、及び28質量%のアンモニア水を55.3g添加して、メタノール、水及びアンモニアの混合溶液を作成した。
得られた混合溶液を反応温度35℃に調整し、反応温度を保ちながら撹拌し、テトラメトキシシランを1293.0g(8.5モル)、及び、5.4質量%のアンモニア水を464.5g同時に滴下開始した。
このとき、テトラメトキシシランの滴下時間を8時間として滴下した。なお、アンモニア水はテトラメトキシシランよりも1時間早く滴下が終了するように滴下速度を調整した。
テトラメトキシシランの滴下が終了後、1時間撹拌を続けて加水分解を行い、ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール−水分散液を得た。
次いで、該分散液を75℃に加熱してメタノールを1320g留去し、その後、1320gの水を加えた。そして、該分散液を90℃に加熱してメタノールを532.4g留去することにより、ゾルゲルシリカ微粒子の水性分散液を得た。
該水性分散液にメチルイソブチルケトンを1584g添加した後、90~110℃に加
熱し、15時間かけてメタノールと水の混合物を1474g留去した。
得られたゾルゲルシリカ微粒子のメチルイソブチルケトン分散液を25℃まで冷却した後、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザンを322g(2.0モル、SiO単位1モルに対して0.24モル)添加し、110℃に加熱して、5時間反応させることにより、ゾルゲルシリカ微粒子に表面処理を施した。
この分散液から溶媒を80℃で減圧留去することにより、シリカ1を得た。得られたシリカ1の物性を表1に示す。
Figure 0005743578
〔シリカ2〜4、7〜10、12、20、23、32、37、38及び40〕
シリカ1の製造例において、表1に示すように、反応温度、滴下時間、アルコール溶媒及び表面処理剤の添加量を変更した以外はシリカ1の製造例と同様にして、シリカ2〜3、7〜10、12、20、23、32、37、38及び40を作成した。
また、100質量部のシリカ7に対して、25℃における粘度が70mm/sであるジメチルシリコーンオイルを4.0質量%添加し、オイル処理による表面処理を施し、シリカ4とした。
(溶融シリカ微粒子)
〔シリカ5〕
バーナーの中心部に内炎用供給口を有し、バーナーの外周部に外炎用供給口を有する、
二重管構造のバーナーを用いた。
まず、加熱して予め気化させた珪素化合物(オクタメチルシクロテトラシロキサン)を内炎用供給口に導入し着火して内炎を形成した。次いで、外炎用供給口に水素と酸素の混合気体を導き着火して外炎を形成した。
水素の供給量は、珪素化合物1モルに対して15モルとなるように調整した。
酸素の供給量は、酸素比率が1.5となるように調整した(このとき、珪素化合物1モルに対して酸素35.25モルが供給される)。
ここで、酸素比率とは、実際の酸素の供給量を、珪素化合物と水素がともに完全燃焼するために必要な合計酸素量で除した値である。
従って、オクタメチルシクロテトラシロキサン1モル、水素15モルの完全燃焼に必要な酸素量は、前者が16モル、後者が7.5モルであるから、両者が完全燃焼に必要な合計酸素量は23.5モルである。そのため酸素比率1.5相当の酸素の供給量は、珪素化合物1モルに対して、35.25モルとなる。
次いで、バーナー出口における平均ガス供給速度が1.5Nm/secとなるように、珪素化合物、水素及び酸素のモル比を維持しながらそれぞれの供給量を調整し、外炎を通過してきた溶融シリカ微粒子を冷却した後、バグフィルターで捕集した。
得られた溶融シリカ微粒子100質量部に対して、ヘキサメチルジシラザンを7質量%添加して表面処理したものをシリカ5とした。得られたシリカ5の物性を表2に示す。
〔シリカ6、11、13〜19、21、25及び33〜36〕
表2に示すように、平均ガス供給速度、水素の供給量、酸素比率及び表面処理量を変更した以外はシリカ5と同様にして、シリカ6、11、13〜19、21、25及び33〜36を得た。
Figure 0005743578
(ヒュームドシリカ微粒子)
〔シリカ22〕
四塩化珪素、酸素及び水素の混合気体をバーナーに導き、バーナー温度1100℃で焼成した後冷却し、バクフィルターで捕集した。
得られたヒュームドシリカ微粒子を中気相中で分散させ、ヒュームドシリカ微粒子100質量部に対して、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン10質量部を噴霧し、粒子の合一が起こらないように十分に撹拌しながら反応させた。
次いで、25℃における粘度が70mm/sであるジメチルシリコーンオイルを10質量%添加し、粒子の合一が生じないように十分に撹拌しながら反応させた。
乾燥した後、130℃で2時間加熱処理を行い、分級によって所望の粒度分布に調整し、シリカ22を得た。シリカ22の物性を表3に示す。
Figure 0005743578
〔シリカ24〕
シリカ22において、ジメチルシリコーンオイルによる表面処理を行わなかった以外はシリカ22の製造例と同様にして、シリカ24を得た。
〔シリカ26〕
シリカ24において、分級によって粒度調整を行わなかった以外は、シリカ24と同様にしてシリカ26を得た。
〔シリカ27〜31、39〕
シリカ26において、バーナー温度を変更した以外はシリカ26と同様にして、シリカ27〜31及び39を得た。
(酸化チタン微粒子)
〔チタニア1〕
TiO相当分を50質量%含有しているイルメナイト鉱石を、150℃で3時間乾燥した後、硫酸を添加して溶解させ、TiOSOの水溶液を得た。
得られた水溶液を濃縮した後、ルチル結晶を有するチタニアゾルをシードとして10質量部添加した後、170℃で加水分解を行い、不純物を含有するTiO(OH)のスラリーを得た。
このスラリーをpH5〜6で繰り返し洗浄を行い、硫酸、FeSO及び不純物を十分に除去することで、高純度のメタチタン酸〔TiO(OH)〕のスラリーを得た。
このスラリーを濾過した後、炭酸リチウム(LiCO)を0.5質量部添加し、240℃で4時間焼成した後、ジェットミルによる解砕処理を繰り返し行い、ルチル型結晶を有する酸化チタン微粒子を得た。
得られた酸化チタン微粒子をエタノール中に分散させて撹拌しながら、酸化チタン微粒子100質量部に対して、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシランを5質量部滴下混合して反応させた。
乾燥した後、170℃で3時間加熱処理し、酸化チタンの凝集体が無くなるまでジェットミルで繰り返し解砕処理を行い、チタニア1を得た。チタニア1の物性を表4に示す。
Figure 0005743578
〔チタニア2〕
チタニア1において、チタニアゾルとして、アナターゼ型チタニアゾルを8質量部添加したこと、150℃で加水分解を行ったこと、炭酸リチウムの代わりにリン酸二水素カリウム(KHPO)を用いたこと、及び表面処理剤であるイソブチルトリメトキシシラ
ンを30質量部滴下混合させたこと以外はチタニア1と同様にして、チタニア2を得た。チタニア2の物性を表4に示す。
〔トナーの製造例1〕
樹脂1 70.0質量部樹脂2 30.0質量部フィッシャー・トロプシュワックス(DSC最大吸熱ピーク78℃) 6.0質量部C.I.プグメントブルー15:3 4.5質量部3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.3質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(「FM−75型」、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(「PCM−30型」、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(「エルボージェットラボEJ−L3」、日鉄鉱業社製)で分級して微粉及び粗粉を同時に分級除去し、母体粒子Aを得た。
母体粒子Aの1/2軟化点は101℃であり、GPCで求めた母体粒子のMw1,8000、Mnが3,100、Mpが4,700であり、分子量が10,000以上の成分が21%、分子量が5000以下の成分が43%であった。またガラス転移点は54℃であった。
母体粒子A 100.0質量部シリカ1 3.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(「FM−75型」、三井三池化工機(株)製)に投入し、回転羽根の周速を50.0m/secとし、混合時間5分で混合することにより、母体粒子Aの表面に、無機微粒子Aとしてシリカ1を付着させた母体粒子1を得た。
このようにして得られた母体粒子1を、図1に示す熱風による表面処理装置により処理を行った。
表面改質時の条件として、原料供給速度が3.0kg/hr、熱風流量が4.8m/min、熱風の吐出温度が220℃、冷風温度が3℃、冷風流量が3.5m/min、絶対水分量が3g/mで表面処理を行った。
次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(「エルボージェットラボEJ−L3」、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子1を得た。
得られたトナー粒子1 100.0質量部に、無機微粒子Bとして、シリカ1を0.3質量部添加し、ヘンシェルミキサー(「FM−75型」、三井三池化工機(株)製)で、回転羽根の周速を40m/secとし、混合時間5分で混合することにより、トナー1を得た。
得られたトナー1の重量平均粒径(D4)は6.1μmであり、平均円形度は0.969であった。
<磁性キャリアの製造例>
体積基準の50%粒径(D50)が31μmのマグネタイト粒子100質量部に、シリコーン樹脂(「KR271」、信越化学社製)1質量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン0.5質量部、トルエン98.5質量部の混合液を、添加し、さらに溶液減圧ニーダーで撹拌混合しながら75℃、5時間減圧乾燥を行い、溶剤を除去した。その後、145℃で2時間焼き付け処理して、篩振とう機(「300MM−2型」、筒井理化学機械:75μm開口)で篩い、磁性キャリアを得た。磁性キャリアのD50は34μmであった。
〔トナーの製造例2乃至30、33乃至47〕
トナーの製造例1において、母体粒子A 100.0質量部に対して添加する、無機微
粒子Aの添加量や、種類を、表5のように変更した以外は、トナーの製造例1と同様にして、トナー2乃至30、およびトナー33乃至47を得た。
〔トナーの製造例31〕
トナーの製造例1において、無機微粒子Bとして、シリカ1を0.3質量部添加しなかった以外は、トナー製造例1と同様にして、トナー31を得た。
〔トナーの製造例32〕
トナーの製造例1において、無機微粒子Aを添加せずに熱風による表面処理を施したこと、および無機微粒子Bとしてシリカ1を3.3質量部添加した以外は、トナー製造例1と同様にして、トナー32を得た。
Figure 0005743578
〔実施例1乃至31及び比較例1乃至16〕
上述のように作製したトナーと磁性キャリアを表6のように組み合わせで二成分系現像剤を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア100質量部に対して、トナー9質量部の配合割合とし、V型混合機で5分間混合した。
なお、実施例14〜30を、それぞれ参考例14〜30とする。
Figure 0005743578
<二成分系現像剤の評価>
実施例及び比較例の二成分系現像剤について、下記の評価項目で評価を行った。
実施例1乃至30、比較例1乃至16の評価に用いる画像形成装置としては、カラー複写機「imageRUNNER ADVANCE C7065」(キヤノン製)の改造機を用いた。
また、実施例31については、クリーナーレス現像システムであるカラー複写機「imageRUNNER IRC5185N」(キヤノン製)の改造機を用いた。
いずれの画像形成装置も、プロセススピード300mm/sec、現像器のスリーブに印加する電圧によって現像コントラスト(Vcont)を変更してFFH画像(ベタ部)へのトナーの紙上への載り量を調整できるように改造したものを用いた。FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。各評価項目で別途の改造を加えた箇所については、各項目の説明にて記載する。なお、上記二成分系現像剤は、画像形成装置のシアン用現像器に入れて評価を行い、実施例31についてはクリーナーレス現像システムである画像形成装置を用いたため、クリーニング性の評価は行わなかった。
評価結果を表7及び表8に示す。
(1)帯電ローラー汚染性
温度23℃/湿度50%RH(以下「N/N環境」と記載する)の環境にて、評価紙は、カラー複写機・プリンタ用普通紙 「CS−814(A4、81.4g/m)」(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いて評価を行った。
出力するパターン画像として、紙の通紙方向に対して平行方向に、2mm幅の帯状のベタ部と18mm幅の帯状の白地部が、繰り替えし配置された、パターン画像1を用いた。このとき、パターン画像1におけるベタ部におけるトナーの紙上への載り量を0.40m
g/cm2とした。
該パターン画像1を100枚出力した時点と、100,000枚出力した時点において、一端出力を停止した後、紙上の全面がベタ部であるパターン画像2を出力した(ベタ部におけるトナーの紙上への載り量は0.40mg/cm2)。
該全面ベタ画像について、X−Riteカラー反射濃度計(「500シリーズ」、X−Rite社製)を使用して、画像濃度をランダムに20箇所測定して、該画像濃度の最大値と最小値の差(画像濃度差)を用いて、100枚出力した時点と、100,000枚出力した時点における帯電ローラーの汚染性の評価を行った。
A:画像濃度差が0.04未満(非常に良好)
B:画像濃度差が0.04以上、0.07未満(良好)
C:画像濃度差が0.07以上、0.10未満(本発明において許容レベル)
D:画像濃度差が0.10以上(本発明において許容できないレベル)
(2)耐ホットオフセット性
帯電ローラー汚染性の評価と同様にして、パターン画像1を100枚出力した時点と、100,000枚出力した時点において、一端出力を停止した。そして、それぞれの時点で帯電ローラーを新品のものに交換した。
その後、N/N環境にて、紙の余白を4mmとし、先端部分に10.0mm幅の帯状のベタ部が配置され、それ以外の部分は白地部であるパターン画像3を未定着の状態で出力し、15枚の未定着画像を得た。パターン画像3におけるベタ部へのトナーの載り量は0.20mg/cm2とした。
該未定着画像について、外部定着器を用い、N/N環境下にて、定着温度を140℃から200℃まで5℃間隔で変更し、各定着温度における定着画像を得た。
外部定着器としては、フルカラー複写機「imagePress C1+」(キヤノン製)を、定着温度を自由に設定でき、プロセススピードが300mm/secになるように改造したものを用いた。
画出し前の評価紙について反射率をリフレクトメータ(「REFLECTOMETER
MODEL TC−6DS」、東京電色株式会社製)によって測定し、5箇所測定した平均値をD(%)とした。また各定着温度における定着画像の白地部についてリフレクトメータで反射率を測定し、最大値をD(%)とした。
そして、D(%)とD(%)の差が2%を超えない、最も高い定着温度を定着上限温度とし、下記の基準にて耐ホットオフセット性を評価した。
A:定着上限温度が190℃以上(非常に良好)
B:定着上限温度が175℃以上、190℃未満(良好)
C:定着上限温度が160℃以上、175℃未満(本発明において許容レベル)
D:定着上限温度が160℃未満(本発明において許容できないレベル)
(3)低温定着性
帯電ローラー汚染性の評価と同様にして、パターン画像1を100枚出力した時点と、100,000枚出力した時点において、一端出力を停止した。そして、それぞれ時点で帯電ローラーを新品のものに交換した。
その後、N/N環境にて、紙の余白を4mmとし、先端部分に20mm幅の帯状のベタ部が配置され、それ以外の部分は白地部であるパターン画像4を未定着の状態で出力し、15枚の未定着画像を得た。パターン画像4におけるベタ部へのトナーの載り量は0.50mg/cm2とした。
該未定着画像について、外部定着器を用い、N/N環境下にて、定着温度を100℃から160℃まで5℃間隔で変更し、各定着温度における定着画像を得た。
外部定着器としては、フルカラー複写機「imagePress C1+」(キヤノン製)を、定着温度を自由に設定でき、プロセススピードが300mm/secになるように改造したものを用いた。
得られた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたレンズクリーニングワイパー(ダスパー、小津産業株式会社製)で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度をX−Riteカラー反射濃度計にて測定し、濃度低下率が10%以下になる点を定着下限温度とし、下記の評価基準に従って評価した。
A:定着下限温度が120℃未満 (非常に良好)
B:定着下限温度が120℃以上、130℃未満(良好)
C:定着下限温度が130℃以上、140℃未満(本発明において許容レベル)
D:定着下限温度が140℃以上 (本発明において許容できないレベル)
(4)クリーニング性
クリーニング性の評価には、クリーニングブレードの感光ドラムに対する線圧が1.3倍になるように改造した画像形成装置を用いた。
温度32℃/湿度80%RHの環境(以下「H/H環境」と記載する)にて、評価紙は、カラー複写機・プリンタ用普通紙 「CS−814(A4、81.4g/m)」(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いて評価を行った。
紙上の全面がベタ部であり、ベタ部における紙面上のトナーの載量が0.05mg/cmであるパターン画像5を100枚出力した時点と、100,000枚出力した時点において、一端出力を停止した。そして、それぞれの時点で帯電ローラーを新品のものに交換した。
その後、紙上の全面がベタ部であり、ベタ部におけるトナーの紙上への載り量が0.20mg/cm2であるパターン画像6を出力した。
得られた全面ベタの定着画像について、クリーニング不良による画像欠陥を目視評価し、下記の基準でクリーニング性の評価を行った。
A:クリーニング不良による画像欠陥は見られない。(非常に良好)
B:長さが1mm未満のクリーニング不良が存在する。(良好)
C:長さが2mm未満のクリーニング不良が存在する。(本発明において許容レベル)
D:長さが2mm以上のクリーニング不良が存在している。(本発明において許容できないレベル)
(5)非画像部へのカブリ
H/H環境下にて、評価紙は、カラー複写機・プリンタ用普通紙 「CS−814(A4、81.4g/m)」(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いて評価を行った。
紙上の全面がベタ部であり、ベタ部における紙面上のトナーの載量が0.05mg/cmであるパターン画像5を100枚出力した時点と、100,000枚出力した時点において、一端出力を停止した。そして、それぞれの時点で帯電ローラーを新品のものに交換したのち、紙上の全面が白地部(00H)である画像を出力した。
画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータによって測定した。
また100枚出力した時点、100,000枚出力した時点の、白地部(00H)の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDs(100枚出力時、および100,000枚出力時)より、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ(%) = Dr(%)−Ds(%)
A:0.5%未満 (非常に良好)
B:0.5%以上、1.0%未満 (良好)
C:1.0%以上、2.0%未満 (本発明において許容レベル)
D:2.0%以上 (本発明では許容できないレベル)
(6)転写性
H/H環境下にて、評価紙は、「GF−500(A4、坪量64.0g/m2)」(キ
ヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いて評価を行った。
ベタ部における紙面上のトナーの載量を0.40mg/cmとし、紙上の全面がベタ部であるパターン画像2を100枚出力した時点と、100,000枚出力した時点において、一端出力を停止した。そして、それぞれ時点で帯電ローラーを新品のものに交換した。
その後、100枚出力した時点、100,000枚出力した時点のそれぞれにおいて、再度出力するに際し、ドラム上のトナー量と転写紙上のトナー量を測定し、その重量変化から、転写効率を求めた(ドラム上トナー量が全量紙上に転写された場合を転写効率100%とする)。
A:転写効率が95%以上(非常に良好)
B:転写効率が90%以上、95%未満(良好)
C:転写効率が80%以上90%未満(本発明における許容レベル)
D:転写効率が80%未満(本発明において許容できない)
Figure 0005743578
Figure 0005743578
本発明のトナーは、無機微粒子Aとして、個数平均粒径(D1)が0.060μm以上、0.300μm以下であり、BET比表面積(BET1)が10.0m/g以上、50.0m/g以下であり、個数平均粒径(D1)とBET比表面積(BET1)が下記式(1)の関係である無機微粒子Aを用いている。

0.85≦ BET1(m/g)/(6/(D1(μm)×無機微粒子Aの真密度(g
/cm)) ≦ 2.00 ・・・・式(1)
該式(1)は、下記の式(3)のように変形することができる。
5.10/(D1(μm)×無機微粒子Aの真密度(g/cm))≦ BET1(m/g)≦ 12.00/(D1(μm)×無機微粒子Aの真密度(g/cm)) ・・・・式(3)
すなわち本発明の式(1)を満たす無機微粒子AのBET1(m/g)とD1(μm)は、無機微粒子Aの真密度(g/cm)が一定である場合、D1(μm)と反比例の関係にある曲線に囲まれた領域に存在することになる。
図2には、無機微粒子Aとしてシリカ微粒子(真密度2.20g/cm)を用いた実施例と比較例について、BET1とD1の関係を図示した。
曲線1はBET比が0.85である曲線を示しており、曲線2はBET比が2.00である曲線を示しているため、式(1)の要件を満たす無機微粒子Aとは、曲線1の上側、曲線2の下側に位置するBET1とD1を有する無機微粒子である。
図2からわかるように、実施例に用いた無機微粒子Aは、式(1)の下限を示す曲線1と、式(1)の上限を示す曲線2に囲まれた領域に存在しており、かつD1が0.060μm以上、0.300μm以下であり、BET1が10.0m/g以上、50.0m/g以下である領域に存在している。
そのため、実施例のトナーはいずれも、トナーに強いストレスが加わる二成分系現像剤として用いた場合にも、帯電ローラーの汚染が抑えられ、耐ホットオフセット性、低温定着性、クリーニング性に優れ、高温高湿環境下のカブリも少なく、転写効率も高いトナーであった。
比較例1のトナーは、熱風による表面処理により、無機微粒子Aをトナー粒子の表面に固着させていないため、無機微粒子Aの遊離が抑えられず、帯電ローラーの汚染、耐ホットオフセット性、クリーニング性が許容できるレベルになかった。また高温高湿環境下の非画像部へのカブリや、転写効率も許容範囲にないものであった。
曲線1の下側に存在する無機微粒子Aを用いた比較例2乃至7は、実施例と比較して、無機微粒子Aの遊離を抑えることができず、特に100,000枚印刷時の評価において、帯電ローラーの汚染が酷く、画像欠陥が多く発生した。そして、無機微粒子Aが遊離してしまうことで、耐ホットオフセット性が悪化し、クリーニング性、非画像部へのカブリ、転写効率も悪化し、いずれも本発明において許容範囲にないものであった。さらにBET1が10.0m/g未満である、比較例6乃至7は、比較例2乃至5よりもさらに無機微粒子の遊離が酷く、許容できるものではなかった。
曲線2の上側に存在する無機微粒子Aを用いた、比較例8乃至13は、実施例と比較して、無機微粒子Aの遊離を抑えることができず、特に100,000枚印刷時の評価において、帯電ローラーの汚染が酷く、画像欠陥が多く発生した。そして、無機微粒子Aが遊離してしまうことで、耐ホットオフセット性が悪化し、クリーニング性、非画像部へのカブリ、転写効率も悪化し、いずれも本発明において許容範囲にないものであった。さらにBET1が50.0m/gを超える比較例13は、比較例8乃至12よりも低温定着性が悪化し、許容できるものではなかった。
比較例14は無機微粒子Aの遊離は問題になるレベルにはないが、BET1が50.0m/gを超えているため、低温定着性や耐ホットオフセット性が悪く、許容できるレベルになかった。
比較例15は無機微粒子Aの遊離は問題となるレベルにはないが、D1が0.060μ
m未満であるため、低温定着性や耐ホットオフセット性が悪く、特に高温高湿環境下における非画像部へのカブリや転写効率が低く、許容できるレベルになかった。
比較例16は無機微粒子AのD1が0.300μmを超えているため、無微微粒子Aが遊離し易く、特に100,000枚印刷時の評価において、帯電ローラーの汚染が酷く、画像欠陥が多く発生した。そして、無機微粒子Aが遊離してしまうことで、耐ホットオフセット性が悪化し、クリーニング性、非画像部へのカブリ、転写効率も悪化し、いずれも本発明において許容範囲にないものであった。

Claims (3)

  1. 少なくとも結着樹脂、ワックス及び無機微粒子Aを含有するトナー粒子を含有するトナーにおいて、
    該トナー粒子の表面には、少なくとも該無機微粒子Aが熱風による表面処理により固着されており、
    該無機微粒子Aは、個数平均粒径(D1)が0.060μm以上、0.300μm以下、BET比表面積(BET1)が13.1/g以上、40.0/g以下であり、個数平均粒径(D1)とBET比表面積(BET1)が下記式(1)の関係であることを特徴とするトナー。
    0.8≦ BET1(m/g)/(6/((D1(μm)×無機微粒子Aの真密度(g/cm)) ≦ 1.50 ・・・・式(1)
  2. 該トナーは、無機微粒子Bが該トナー粒子に更に外添されており、該無機微粒子Bは、個数平均粒径(D1)が0.060μm以上、0.300μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該無機微粒子Aが、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、及びこれらを複合化した金属酸化物からなるグループから選択される請求項1又は2に記載のトナー。
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