JP7076986B2 - トナー及び画像形成方法 - Google Patents

トナー及び画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7076986B2
JP7076986B2 JP2017225388A JP2017225388A JP7076986B2 JP 7076986 B2 JP7076986 B2 JP 7076986B2 JP 2017225388 A JP2017225388 A JP 2017225388A JP 2017225388 A JP2017225388 A JP 2017225388A JP 7076986 B2 JP7076986 B2 JP 7076986B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
fine particles
inorganic fine
particles
particle size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017225388A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019095615A (ja
Inventor
雅之 浜
萌 池田
諒文 松原
仁思 佐野
裕斗 小野▲崎▼
伊知朗 菅野
武 橋本
望 小松
尚邦 小堀
博之 藤川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2017225388A priority Critical patent/JP7076986B2/ja
Publication of JP2019095615A publication Critical patent/JP2019095615A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7076986B2 publication Critical patent/JP7076986B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
複写機およびプリンターが広く普及するに従い、トナーに要求される性能もより高度になっている。近年では、プリントオンデマンド(POD)と呼ばれる、製版工程を経ずに直接印刷するデジタル印刷技術が注目されている。このプリントオンデマンド(POD)は、小ロット印刷、1枚毎に内容を変えた印刷(バリアブル印刷)、分散印刷にも対応していけることから、従来のオフセット印刷に対してアドバンテージがある。トナーを用いた画像形成方法のPOD市場への適用を考えた場合、長期間にわたり高速で且つ、多量に出力する場合であっても高品質な画質のプリント成果物を安定的に得ることが求められる。
そこでこれまで、流動性を維持することを目的に、スペーサー効果を付与できる大粒径粒子を添加した提案が多数なされてきた。特許文献1では、ゾルゲル法により形成された異型状のシリカ粒子を樹脂粒子本体に添加することで、樹脂粒子本体の流動性を維持させる提案がなされている。
また、省エネの観点から、低温でも定着可能なトナーが求められている。これに対して、特許文献2では、トナー粒子に結晶性ポリエステルを添加し、そのシャープメルト性を活かした低温定着トナーが開発されてきている。
特開2012-149169号公報 特開2013-235222号公報
一方、POD市場において、プリントする紙の表面粗さによらないプリント成果物の画質を得ることも求められている。世界各地で製造される様々な紙種で安定した画質の成果物の出力ができれば、これもオフセット印刷やインクジェット印刷に対してアドバンテージを得ることができる。さまざまな紙種がある中で、ラフ紙と呼ばれる表面粗さが粗い紙は低コストで製造が可能な一方、特にベタ画像の品位の一つであるベタ画像均一性が低下しやすい。高品位なベタ画像の均一性を得るためには、トナー材料開発に対して、転写均一性と優れた定着特性が要求される。
上記文献で提案されたような大粒径の粒子が外添されたトナーを使用すると、トナー耐久性が向上しやすくなる一方、紙への定着時においてトナー粒子間および、トナー粒子と紙表面の密着を阻害することが多くなる。特に結晶性ポリエステルを添加したトナーである場合、結晶性ポリエステルの添加によって向上した定着性を阻害し、定着部材へのオフセットが発生し、ベタの均一性が低下してしまう課題が存在する。
本発明の目的は、上記の課題を解決することを目的とする。すなわち、転写性と低温定着性を両立し、優れたベタ均一性を得ることができる電子写真画像形成用のトナーを提供することである。
上記の課題は、下記の構成のトナーにより解決することができる。
すなわち、本発明は、結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子、および、無機微粒子Aを有するトナーであって、
該トナー粒子の表面における該無機微粒子Aの体積基準での粒度分布において、小粒子側からの累積値が16体積%となる粒径をD16とし、累積値が50体積%となる粒径をD50とし、累積値が84体積%となる粒径をD84としたとき、
D50が80nm以上250nm以下であり、
D84/D16で表わされる粒度分布指標Aが、1.70以上3.00以下であることを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は、上記構成のトナーを像担持体に現像する現像工程と、前記トナーを像担持体から転写媒体に転写する転写工程と、前記トナーを転写媒体に定着する定着工程を有することを特徴とする画像形成方法に関する。
本発明によれば、転写性と低温定着性を両立し、低温環境におけるラフ紙を用いた場合であっても優れたベタ均一性の出力画像成果物を得ることができるトナーを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明のトナーは、結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子と無機微粒子Aとを有するトナーであって、トナー粒子表面における前記無機微粒子Aの体積基準での粒度分布において、小粒子側からの累積値が16体積%となる粒径をD16、累積値が50体積%となる粒径をD50、累積値が84体積%となる粒径をD84としたとき、D50が80nm以上250nm以下であり、粒度分布指標Aが1.70以上3.00以下であることを特徴とする。
なお、本発明における粒度分布指標Aとは、D84/D16の値を示す。この数値が大きいほど無機微粒子Aの体積粒度分布がブロードであることを示す。
上記本発明のトナーは、低温環境において表面粗さの大きいラフ紙を使用した場合においても、画像形成出力紙のベタ均一性を保つことができ、安定して高品位な画像を出力できる。
本発明において、上記課題を解決するに至った理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。
本発明のトナーは、定着工程で紙繊維に対する付着力を高くすることができる結晶性ポリエステルを含有する。結晶性ポリエステルは、トナー中で結晶として存在するため、定着工程において、結晶の融解温度で一気に融解して比較的低い定着装置の温度でもトナー粘度が十分低下しやすい。このため溶融したトナー中の結晶性ポリエステルが紙繊維の表面になじんで密着し、トナーの紙への付着力が高まる。また、ポリエステルは紙繊維の主成分であるセルロースと極性が近く、親和性が高いのでより付着力が高い。これらの効果によりラフ紙の低温定着時において、定着部材へのオフセットを抑止する効果を発揮できる。
さらに、結晶性ポリエステルはトナーの表面の電気抵抗を下げる効果を有し、トナー表面の帯電サイト間の電荷交換がムラなく行われ易いため、トナーの帯電量分布において、高すぎる帯電量のトナーを低減して帯電量分布をシャープにでき、ムラのない転写を実現する。また、この効果は、特に低温での定着工程においても有効である。すなわち高い帯電のトナー粒子が少ないことで、定着部材へのトナーの静電オフセットが抑止できるため、よりムラのない定着画像を得ることができる。
さらに本発明のトナーは、そのトナー表面に体積平均粒径D50が80nm以上250nm以下の無機微粒子Aを存在させる。
このサイズの粒子がトナー表面に存在すると、トナーと像担持体との付着力を低減できるために転写性を向上し、ラフ紙の凹部にもトナーが電界飛翔して転写されるため、均一なベタ転写性を得ることができる。また、トナーを長期保管した場合のトナー同士の密着凝集を抑止して、トナー帯電分布をシャープに保ち、高い転写均一性を維持することが可能である。
一方、このサイズの粒径はその大きさゆえに、前述した定着工程における結晶性ポリエステルの紙への接触機会を減じ、定着改善効果を発揮できないことがある。
この課題に対して、本発明に用いる無機微粒子Aは、従来の大粒径粒子と比較して粒度分布をブロード化している。
大粒径の無機微粒子Aの粒度分布が適正にブロードであることで、トナー表面において形成される無機微粒子Aの被覆状態は、トナー表面の凹凸高さにおいて高低差が生まれやすい。転写または定着工程において圧力が加わった場合に、トナー層の再配置がおこり、トナー表面の無機微粒子の作る高低差の非凸部(低部)が優先的に紙の繊維表面に接触する。これにより、トナー中の結晶性ポリエステルの紙繊維への接触機会が大きくなり、結晶性ポリエステルの定着改善効果を活かしやすい。また、転写または定着工程において圧力が加わった場合に、トナー表面の無機微粒子層の非凸部(低部)同士が接触した箇所が増え、トナーの定着溶融時においてトナー粒子間の結合力が高くなり、よりオフセットに強いトナー定着溶融層を形成できる。
無機微粒子Aの粒度分布がシャープは場合、定着工程において結晶性ポリエステルの紙への直接関与が失われて定着ベタ均一性効果を発揮しにくくなるか、または保管性が十分でなくなり、転写ベタ均一性効果が得にくくなる。
以上のように、本発明のトナーは、結晶性ポリエステルとブロードな粒度分布を有する無機微粒子Aの存在により、定着画像のベタ均一性がすぐれる。そしてその要因は、像担持体から紙へトナーを転写する工程でムラなく転写される転写均一性と、紙へトナーを定着する工程でムラなく紙へ定着される定着均一性が高度に両立することができたためと考えられる。
本発明においてその目的を達成するに好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
[結着樹脂]
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、下記の重合体を用いることが可能であある。
例えば、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
これらの中で、低温定着性、帯電性の観点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
[ワックス]
本発明のトナーは、ワックスを含有してもよく、本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。前記ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下で使用されることが好ましい。ワックスの含有量がこの範囲にあるとき、高温での耐ホットオフセット性を維持に効率的に発揮することが可能となり易い。
また、トナーの保存性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃以上200℃以下の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上110℃以下であることが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してもよい。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下で使用されることが好ましい。
[荷電制御剤]
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。この荷電制御剤としては、例えばネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10.0質量部以下が好ましい。
[結晶性ポリエステル]
本発明のトナーは結晶性ポリエステルを含有する。
本発明のトナーにおいて、トナー粒子に含まれる結晶性ポリエステルは、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を重縮合反応させることにより得られるものが好ましい。
なお、結晶性樹脂とは、示差走査熱量分析装置による比熱変化測定の可逆比熱変化曲線において、明確な吸熱ピーク(融点)が観測される樹脂を指す。
炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数4以上12以下)の脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールのような直鎖脂肪族、α,ω-ジオールが好ましく例示される。
上記アルコール成分のうち、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールから選ばれるアルコールである。
本発明において、上記脂肪族ジオール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のアルコ-ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、例えばn-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、ラウリルアルコール、2-エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコール等の1官能性アルコールなどが挙げられる。
一方、炭素数2以上22以下(より好ましくは炭素数6以上14以下)の脂肪族ジカルボン酸としては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
本発明において、上記カルボン酸成分のうち、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上が、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸から選ばれるカルボン酸である。
本発明において、上記炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸以外の多価カルボン酸を用いることもできる。その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなども含まれる。また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステル等の誘導体等も含まれる。
さらに、本発明において、結晶性ポリエステルの特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。1価のカルボン酸としては、例えば安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4-メチル安息香酸、3-メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸が挙げられる。
本発明における結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコ-ル単量体とをエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることで所望の結晶性ポリエステルを得ることができる。
上記エステル化又はエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。触媒の中でも無機錫(II)化合物が好ましい。無機錫(II)化合物を用いたポリエステルは、抵抗を低くでき、トナー表面の大径無機微粒子Aの帯電分布均一化性能が高く、転写均一性をよりよくできる。
エステル化若しくはエステル交換反応又は重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
トナー粒子に含有させる結晶性ポリエステルの量は、0.2質量%以上80.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上30.0質量%以下がより好ましい。
[無機微粒子A]
本発明のトナーは、無機微粒子Aを含有する。本発明における無機微粒子Aとしては、金属酸化物である、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化錫、酸化亜鉛、などからなる無機微粒子が挙げられる。また、無定形炭素(カーボンブラックなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)からなる無機微粒子が挙げられる。また、前記無機微粒子Aは、上記の如き金属酸化物を単独で使用してもよいし、複数で使用してもよい。さらに、複数の金属酸化物を複合化したものであっても良い。
本発明においては、無機微粒子Aが真密度が2.0g/cm3以上のシリカ微粒子であることが好ましい。シリカ微粒子は高抵抗であるため、転写バイアスによる電荷注入を受けにくく、転写工程でトナー帯電量分布がブロード化または低下することが抑止でき、転写での飛び散りを抑止できる。さらに、真比重が2.0g/cm3以上であると電界によるトナー飛翔時の慣性が安定化するためか、転写での飛び散りが抑制される。
シリカの製造方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。珪素化合物をガス状にして火炎中において分解・溶融させる火炎溶融法;四塩化珪素を酸素、水素、希釈ガス(例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素など)の混合ガスとともに高温で燃焼させる気相法(乾式法シリカ又はヒュームドシリカ);水が存在する有機溶媒中で、アルコキシシランを触媒により加水分解、縮合反応させ後、得られたシリカゾル懸濁液から、溶媒除去、乾燥する湿式法(ゾルゲルシリカ)。
さらに、上記の如き製造方法によって得られたシリカ粒子を分級処理及び/または解砕処理によって、所望の個数平均粒径にする方法も用いても良い。
本発明の無機微粒子Aは、より高抵抗であり、湿度の影響を受けにくいことから、気相法または火炎溶融法で製造されたシリカがより好ましい。気相法または火炎溶融法で製造されたシリカを用いる場合、原料ガス供給速度や、可燃性ガスの供給量及び酸素比率などによって一次粒子の体積平均粒径や粒度分布を制御することが可能である。
本発明においては、粒度分布を所望の範囲にするため、特に火炎溶融法が好ましい。火炎溶融法により得られるシリカ粒子の特徴として、形成された粒子同士が、比較的、独立した粒子として存在することができ、且つ、粒度分布がブロードに調整することが可能である。ゾルゲル法により製造されたシリカは、粒度分布が比較的シャープになり易い。
さらに、本発明の無機微粒子Aは、表面処理によって表面が疎水化されていることが好ましい。表面が疎水化されていることで、シリカ粒子の吸湿が抑えられ、トナーの帯電性が高まり、耐久時においても帯電しやすくなり、安定した画像濃度が得られやすい。
表面処理としては、シランカップリング処理、オイル処理、フッ素処理、アルミナ被膜を形成する表面処理などを挙げることでき、適宜選択することができる。また複数種の表面処理を選択することも可能であり、それらの処理の順序も任意である。
本発明の無機微粒子Aは、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザンまたはジメチルジクロロシランを用いたものがより好ましい。
シランカップリング剤処理の方法としては微粉体を撹拌によってクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式法、または微粉体を溶媒中に分散させシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法のいずれも採用することができる。
オイル処理としては、シリコーンオイル、フッ素オイル、各種変性オイルを用いることができ、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が50mm2/s以上500mm2/s以下のものであればよく、オイル処理量は、該無機微粒子の原体100質量部に対して1質量部以上35質量部以下の範囲で選択することが好ましい。
本発明の無機微粒子Aは、トナー粒子に含まれる結着樹脂100質量部に対して0.5質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.8質量部以上10.0質量部以下、さらに好ましく1.0質量部以上8.0質量部以下である。無機微粒子の含有量が上記範囲にあると、トナー付着力低減とトナー流動性向上のバランスが保たれ、転写均一性を得やすい。
本発明の無機微粒子Aは、1次粒子の個数平均粒径が、50μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは70μm以上180μm以下であり、さらに好ましくは90μm以上150μm以下である。一次粒子の個数平均粒径が上記範囲にあると、トナー粒子表面における体積基準での粒度分布が所望の範囲に調整しやすくなる。
本発明の無機微粒子Aは、略球状から球状が好ましい。無機微粒子の1次粒子の形状係数SF-2が好ましくは119以下であり、より好ましくは116以下であり、特に好ましくは113以下である。無機微粒子が略球状から球状であることで、液架橋力により摩擦の大きくなる高湿環境下でも無機粒子の転がりによるミクロな流動性を維持しやすい。そのため、転写工程または定着工程で圧力を受けた場合に個々のトナー粒子の移動や回転による再配置がおきやすく、トナー層厚みが均されて、高湿環境下でもムラの無いベタ画像を得ることができる。
本発明の無機微粒子Aは、トナー粒子表面における体積基準での粒度分布において小粒子側からの累積値が50体積%となる粒径D50が、80nm以上250nm以下である。好ましくはD50が、80nm以上200nm以下であり、より好ましくは80nm以上160nm以下である。D50が80nm未満の場合、転写工程における付着力低減効果が限定的であり、ラフ紙の転写均一性に対する効果が十分でない。D50が250nmより大きい場合、粒径が大きくなり過ぎ、トナー粒子表面へ均一に付着しにくくなる。その結果、ラフ紙への転写均一性に十分な流動性が得られにくい。
本発明の無機微粒子Aは、適正な粒度分布のブロードであることが本発明の効果を得るうえで必要であり、その指標としては粒度分布指標Aが1.70以上3.00以下であり、好ましくは1.80以上2.40以下である。粒度分布指標Aが上記範囲であると、前述のとおり、転写均一性を維持した上で、結晶性ポリエステルの低温定着性能を活かすことができ、ラフ紙の定着画像のベタ均一性が優れる。
また、本発明の無機微粒子Aは、粒度分布指標Bが1.30以上1.80以下であることが好ましい。なお、本発明における粒度分布指標Bとは、D84/D50の値を示し、粒度分布指標Bが大きくなるほど、大粒径側がよりブロードであることを示す。粒度分布指標Bが上記範囲であると、転写または定着での圧力によるトナー粒子同士が接触した際の外添凸部同士がぶつかってずれてトナー表面同士のかみ合わせ性がより向上し、定着におけるトナー粒子間の結合状態が強固になる。これにより、紙上のトナー載り量が少ない画像、例えばハーフトーン画像の画像均一性が向上する。
また、本発明の無機微粒子Aは、圧密度が1.15g/cm3以上であることが好ましい。なお、本発明における圧密度は、10MPa印加して測定した密度であるが、詳細な測定法は後述する。圧密度が上記範囲であると、転写または定着工程でトナー層が圧力を受けた際にトナー粒子間が密着しやすく、ベタ均一性の効果がより高まる。
本発明のトナーは、トナー粒子表面の前記無機微粒子Aによる被覆率が、24面積%以上60面積%以下であることが好ましい。被覆率が上記範囲である場合、画像形成実機の現像器内でトナーが機械的負荷を長く受けた場合でもトナー表面の無機微粒子Aの偏在が抑えられ、ベタ均一性効果を維持しやすい。
本発明の無機微粒子Aは、粒度分布におけるピークが1つであることが好ましい。無機微粒子Aの粒度分布におけるピークが複数ある場合、トナー粒子表面において無機微粒子Aが均一に付着せずに、偏在して存在する場合があった。
具体的には、より粒径が小さい無機微粒子は、静電的付着力及び、非静電的付着性が強く、粒径の大きな微粒子よりも早くトナー粒子表面に付着していた。その結果、よりスペーサー効果が強い粒径の大きな微粒子は、トナー粒子表面へ粒径の小さな微粒子が付着した上に付着しなければならなくなる。このような場合、トナー粒子上において大粒径微粒子は、不均一に存在することとなり、本発明の効果を減じる要因となる。
[その他外添剤]
本発明では、流動性向上や摩擦帯電量調整のために、その他の外添剤が添加されていてもよい。
当該外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粒子が好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーの如き公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
[キャリア]
本発明のトナーは、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
[製造方法]
本発明のトナー粒子は、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知のトナー製造方法で製造することが可能であり、特に限定されない。
上記のごとき製造方法で製造されたトナー粒子に必要に応じ選択された外部添加剤を加えて混合(外添)してもよい。例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機微粉体や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂粒子などがあげられる。これらの無機微粉体や樹脂粒子は、帯電性制御、流動性助やクリーニング助剤等の外添剤として機能する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、本発明に関わる各物性の測定方法について記載する。
<形状係数SF-2の測定方法>
透過型電子顕微鏡H-7500(日立製作所製)を用い、加速電圧100kVにて観察し、無機微粒子の断面の拡大写真を撮影する。拡大写真の倍率は1000倍とし、一視野に無機微粒子が100~200個存在する画像を任意に5つ選ぶ。任意に選んだ5つの画像に存在する全ての無機微粒子について以下の方法によって、形状係数SF-2を求める。形状係数を示すSF-2は、上記画像をインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(LuzexIII)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値を形状係数SF-2と定義する。形状係数SF-2は、粒子の円さの度合を示す。
形状係数SF-2=100×L2/(4×AREA×π)
(式中、Lは粒子の周囲長を示し、AREAは粒子の投影面積を示す。)
<トナー粒子表面における無機微粒子の粒度の測定方法、及び粒度分布指標の算出>
本発明においてトナー粒子表面における無機微粒子の体積基準での無機微粒子の粒度は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面画像を、画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)により解析して算出する。
トナー1粒子あたり、トナー表面における無機微粒子100個を上記SEM装置にて観察する。得られた画像から円相当径の累積頻度において、小粒子側からの累積値が16体積%となる粒径をD16、累積値が50体積%となる粒径をD50、累積値が84体積%となる粒径をD84とする。同様の操作を10個のトナー粒子に対して行い、その平均値を求めた。求められた値より粒度分布指標A:D84/D16、粒度分布指標B:D84/D50をそれぞれ算出した。なお、本発明における無機微粒子Aの粒度測定は、転写性向上に効果のある50nm以上の粒子のみカウントした。
<トナー粒子表面における無機微粒子Aの被覆率の測定方法>
前記無機微粒子粒度測定に用いたSEM画像を、画像解析ソフトImageJに取り込んで2値化を行い、50nm以上の粒子についてトナー表面における無機微粒子Aの面積比率を求めた。
<無機微粒子Aの真密度の測定方法>
無機微粒子の真密度の測定は、乾式自動密度計アキュピックII1340(島津製作所(株)社製)を用いて測定した。この際、10cm3の試料容器を用い、試料前処理としてはヘリウムガスパージを最高圧19.5psig(134.4kPa)で10回行う。この後、容器内圧力が平衡に達したか否かの圧力平衡判定値として、試料室内の圧力の振れが0.0050psig/minを目安とし、この値以下であれば平衡状態とみなして測定を開始し、真密度を自動測定する。測定は5回行い、その平均値を求めて真密度(g/cm3)とする。
<無機微粒子の圧密度の測定方法>
無機微粒子の圧密度の測定は、断面積381mm2の長方形の錠剤成型器を用いた。成型部に無機微粒子を1.50g投入し、プレス機を用いて10MPaの圧力を10秒間を加えた。圧力開放した直後にサンプルの厚さをマイクロメータを用いて測定した。同様に3回測定を行い、平均値をサンプルの厚さとして圧密度を算出した。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出する。測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
以下、製造例及び実施例により本発明を説明する。以下の説明において、部数は質量部基準である。
<結着樹脂(ポリエステル樹脂)の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:多価アルコール総モル数に対して100.0mol%
・テレフタル酸:多価カルボン酸総モル数に対して80.0mol%
・無水トリメリット酸:多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を投入した。そして、モノマー総量100部に対して、触媒として2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒)ジオクチル酸錫を1.5部添加した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、そのまま反応させASTM D36-86に従って測定した軟化点が122℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた。得られたポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は112℃、ガラス転移温度(Tg)は63℃であった。
<結晶性ポリエステルの製造例>
・1,6-ヘキサンジオール:
34.5部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させ、結晶性ポリエステルを得た。得られた結晶性ポリエステルは明確な吸熱ピークを有していた。
<無機微粒子(シリカ)1~12の製造例>
無機微粒子1の製造には、燃焼炉は、内炎と外炎が形成できる二重管構造の炭化水素-酸素混合型バーナーを用いた。バーナー中心部にスラリー噴射用の二流体ノズルが接地され、原料の珪素化合物が導入される。二流体ノズルの周囲から炭化水素-酸素の可燃性ガスが噴射され、還元雰囲気である内炎及び外炎を形成する。可燃性ガスと酸素の量及び流量の制御により、雰囲気と温度、火炎の長さ等が調整される。火炎中において珪素化合物からシリカ微粒子が形成され、さらに所望の粒径になるまで融着させる。その後、冷却後、バグフィルター等により捕集することによって得られる。
原料の珪素化合物として、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いて、無機微粒子を製造し、得られた無機微粒子100部に、ヘキサメチルジシラザン4部で表面処理し、無機微粒子1を得た。
さらに無機微粒子1と同様にして、バーナーによる火炎の大きさと温度と流量を調整し、粒度分布、形状係数、真密度の異なる無機微粒子2~21を得た。得られた無機微粒子1~21の物性を表1に示す。
Figure 0007076986000001
<トナー1~24の製造例>
(トナー粒子1の製造)
・非晶性ポリエステル樹脂 93.0部
・結晶性ポリエステル 7.0部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.1部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 5.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部
前記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM75J型、三井三池化工機(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s-1とした。得られたトナー粒子1は、重量平均粒径(D4)が6.4μmであった。
得られたトナー粒子1は、示差走査熱量分析によるDSC曲線において、74℃に結晶性ポリエステル由来の吸熱ピークを有し、90℃にワックス成分由来の吸熱ピークを有していた。
(トナー1~24の製造)
得られたトナー粒子1の100.0部に、ヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次平均粒子径15nmの疎水性シリカ微粒子1.0部、及び無機微粒子1~21を1.8~6.0部添加し、ヘンシェルミキサー(FM75J型、三井三池化工機(株)製)で混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1~24を得た。
<トナー25の製造例>
(トナー粒子2の製造)
・非晶性ポリエステル樹脂 100.0部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.1部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 5.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部
前記処方にて、その他はトナー粒子1と同様にしてトナー粒子2を得た。得られたトナー粒子2は、重量平均粒径(D4)が6.4μmであり、示差走査熱量分析によるDSC曲線において、90℃にワックス成分由来の吸熱ピークを有していた。
(トナー25の製造)
得られたトナー粒子2の100.0部に、ヘキサメチルジシラザン20.0質量%で表面処理した一次平均粒子径15nmの疎水性シリカ微粒子1.0部、及び無機微粒子5を3.7部添加し、ヘンシェルミキサー(FM75J型、三井三池化工機(株)製)で混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー25を得た。
得られたトナーを表2に示す。
Figure 0007076986000002
前記トナー1~25とシリコーン樹脂で表面被覆した磁性フェライトキャリア粒子(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)で0.5s-1、5分間で混合し、二成分系現像剤1~25を得た。二成分系現像剤1~25を用いて後述する評価を行った結果を表3に示す。
[評価]
評価する画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C10000VP改造機を用いた。この画像形成装置は、像担持体として静電潜像を形成させる感光体を有し、感光体の静電潜像を二成分現像器によりトナー像として現像する現像工程を有する。さらに、現像されたトナー像を中間転写体に転写し、その後に中間転写体のトナー像を転写媒体である紙に転写する転写工程を有し、紙上のトナー像を熱により定着する定着工程を有する。この画像形成装置のシアンステーションの現像器に、二成分系現像剤1~25を投入し、評価を行った。
低温低湿環境下(10℃、15%RH)、及び低温高湿環境下(10℃/85%RH)での1000枚及び10万枚の耐久画像出力試験後に、以下の方法で評価を行った。耐久画像は、画像の印字比率は5%とし、初期の画像濃度が1.50となるように現像バイアスを調整した。評価紙は、コピー用古紙再生紙GF-R100W(A4、坪量67g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
<評価1>低温低湿ベタ画像濃度均一性の評価
ベタ画像濃度均一性の評価は、コピー古紙再生紙GF-R100Wにベタ画像を出力後、2cm角の画像をデジタルマイクロスコープにて取り込み、取り込んだ画像をImageJにて8bitグレースケール変換を行った後、濃度ヒストグラムを計測し、その標準偏差を求めた。その標準偏差の値に応じ以下の評価基準にてランク付けを行った。
A:標準偏差2.0未満(非常に優れている、肉眼では不均一性を認識できない)
B:標準偏差2.0以上3.0未満(かなり優れている)
C:標準偏差3.0以上4.0未満(優れている)
D:標準偏差4.0以上6.0未満(少し優れている)
E:標準偏差6.0以上(従来技術レベル、遠目で不均一性を感じる)
<評価2>ハーフトーン画像濃度均一性の評価
ハーフトーン画像濃度均一性の評価は、コピー古紙再生紙GF-R100Wに画像濃度0.80のハーフトーン画像を出力後、2cm角の画像をデジタルマイクロスコープにて取り込み、取り込んだ画像をImageJにて8bitグレースケール変換を行った後、濃度ヒストグラムを計測し、その標準偏差を求めた。その標準偏差の値に応じ以下の評価基準にてランク付けを行った。
A:標準偏差2.5未満(非常に優れている、肉眼では不均一性をほぼ認識できない)
B:標準偏差2.5以上3.5未満(かなり優れている)
C:標準偏差3.5以上4.5未満(優れている)
D:標準偏差4.5以上6.5未満(少し優れている)
E:標準偏差6.5以上(従来技術レベル、遠目で不均一性を感じる)
<評価3>転写時飛び散りの評価>
転写飛び散りの評価は、連続通紙後、2ドット縦ライン画像を作成してA4紙に出力し、その画像を評価に用いた。紙上の2ドットのライン幅をデジタルマイクロスコープVHX-500(レンズワイドレンジズームレンズVH-Z100・キーエンス社製)を用いて計測し、転写前のライン幅(感光体上の転写前のライン幅)からの変化率を求めた。転写によるライン幅の変化率に応じ以下の基準でランク付けを行って、転写飛び散りの評価を行った。
A:ライン幅の変化率が3%未満
B:ライン幅の変化率が3%以上6%未満
C:ライン幅の変化率が6%以上10%未満
D:ライン幅の変化率が10%以上15%未満
E:ライン幅の変化率が20%以上
<評価4>低温高湿環境ベタ画像濃度均一性の評価
ベタ画像濃度均一性の評価は、コピー古紙再生紙GF-R100Wにベタ画像を出力後、2cm角の画像をデジタルマイクロスコープにて取り込み、取り込んだ画像をImageJにて8bitグレースケール変換を行った後、濃度ヒストグラムを計測し、その標準偏差を求めた。その標準偏差の値に応じ以下の評価基準にてランク付けを行った。
A:標準偏差2.0未満(非常に優れている、肉眼では不均一性を認識できない)
B:標準偏差2.0以上3.0未満(かなり優れている)
C:標準偏差3.0以上4.0未満(優れている)
D:標準偏差4.0以上6.0未満(少し優れている)
E:標準偏差6.0以上(従来技術レベル、遠目で不均一性を感じる)
<評価5>低温低湿環境耐久時のベタ画像濃度均一性の評価
低温低湿環境耐久時のベタ画像濃度均一性の評価は、10万枚の画像出力耐久後、コピー古紙再生紙GF-R100Wにベタ画像を出力し、2cm角の画像をデジタルマイクロスコープにて取り込み、取り込んだ画像をImageJにて8bitグレースケール変換を行った後、濃度ヒストグラムを計測し、その標準偏差を求めた。その標準偏差の値に応じ以下の評価基準にてランク付けを行った。
A:標準偏差2.0未満(非常に優れている、肉眼では不均一性を認識できない)
B:標準偏差2.0以上3.0未満(かなり優れている)
C:標準偏差3.0以上4.0未満(優れている)
D:標準偏差4.0以上6.0未満(少し優れている)
E:標準偏差6.0以上(従来技術レベル、遠目で不均一性を感じる)
Figure 0007076986000003
以上で示したように、本発明のトナーを用いて画像形成を行うと低温環境で表面凹凸の大きいラフ紙を使用した場合でも、高品質な画像を出力できる。

Claims (8)

  1. 結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子、および、無機微粒子Aを有するトナーであって、
    該トナー粒子の表面における該無機微粒子Aの体積基準での粒度分布において、小粒子側からの累積値が16体積%となる粒径をD16とし、累積値が50体積%となる粒径をD50とし、累積値が84体積%となる粒径をD84としたとき、
    D50が80nm以上250nm以下であり、
    D84/D16で表わされる粒度分布指標Aが、1.70以上3.00以下であることを特徴とするトナー。
  2. D84/D50で表わされる粒度分布指標Bが1.30以上1.80以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記無機微粒子Aは、真密度が2.0g/cm3以上のシリカ微粒子である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記無機微粒子Aの1次粒子の形状係数SF-2が119以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記無機微粒子Aの1次粒子の形状係数SF-2が116以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記無機微粒子Aによるトナー粒子表面の被覆率が24面積%以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のトナーを像担持体に現像する現像工程と、前記トナーを像担持体から転写媒体に転写する転写工程と、前記トナーを転写媒体に定着する定着工程を有することを特徴とする画像形成方法。
  8. 前記転写媒体がラフ紙もしくは古紙再生紙である請求項7に記載の画像形成方法。
JP2017225388A 2017-11-24 2017-11-24 トナー及び画像形成方法 Active JP7076986B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017225388A JP7076986B2 (ja) 2017-11-24 2017-11-24 トナー及び画像形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017225388A JP7076986B2 (ja) 2017-11-24 2017-11-24 トナー及び画像形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019095615A JP2019095615A (ja) 2019-06-20
JP7076986B2 true JP7076986B2 (ja) 2022-05-30

Family

ID=66971531

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017225388A Active JP7076986B2 (ja) 2017-11-24 2017-11-24 トナー及び画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7076986B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102338021B1 (ko) * 2016-11-01 2021-12-10 도레이 카부시키가이샤 터치 패널, 터치 패널의 제조 방법

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004102236A (ja) 2002-07-15 2004-04-02 Ricoh Co Ltd 電子写真トナー用外添剤、電子写真用トナー、電子写真用現像剤、および画像形成方法
JP2004212789A (ja) 2003-01-07 2004-07-29 Ricoh Co Ltd 電子写真トナー用外添剤、電子写真用トナー、電子写真用現像剤、画像形成方法および画像形成装置
JP2006251220A (ja) 2005-03-09 2006-09-21 Nippon Zeon Co Ltd 負帯電性トナー
JP2010243664A (ja) 2009-04-02 2010-10-28 Ricoh Co Ltd トナー、並びにそれを用いた現像剤、及び画像形成方法
JP2012149190A (ja) 2011-01-20 2012-08-09 Fuji Xerox Co Ltd 樹脂粒子及びその製造方法
JP2012189876A (ja) 2011-03-11 2012-10-04 Ricoh Co Ltd 画像形成装置および静電荷像現像用トナー
JP2017003901A (ja) 2015-06-15 2017-01-05 キヤノン株式会社 トナー
JP2018106166A (ja) 2016-12-22 2018-07-05 株式会社リコー トナー、現像剤、現像剤収容ユニット及び画像形成装置
JP2017003915A5 (ja) 2015-06-15 2018-07-26

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6541453B2 (ja) * 2015-06-15 2019-07-10 キヤノン株式会社 トナー

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004102236A (ja) 2002-07-15 2004-04-02 Ricoh Co Ltd 電子写真トナー用外添剤、電子写真用トナー、電子写真用現像剤、および画像形成方法
JP2004212789A (ja) 2003-01-07 2004-07-29 Ricoh Co Ltd 電子写真トナー用外添剤、電子写真用トナー、電子写真用現像剤、画像形成方法および画像形成装置
JP2006251220A (ja) 2005-03-09 2006-09-21 Nippon Zeon Co Ltd 負帯電性トナー
JP2010243664A (ja) 2009-04-02 2010-10-28 Ricoh Co Ltd トナー、並びにそれを用いた現像剤、及び画像形成方法
JP2012149190A (ja) 2011-01-20 2012-08-09 Fuji Xerox Co Ltd 樹脂粒子及びその製造方法
JP2012189876A (ja) 2011-03-11 2012-10-04 Ricoh Co Ltd 画像形成装置および静電荷像現像用トナー
JP2017003901A (ja) 2015-06-15 2017-01-05 キヤノン株式会社 トナー
JP2017003915A5 (ja) 2015-06-15 2018-07-26
JP2018106166A (ja) 2016-12-22 2018-07-05 株式会社リコー トナー、現像剤、現像剤収容ユニット及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019095615A (ja) 2019-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104914687B (zh) 白色调色剂,图像形成方法,以及图像形成装置
JP4525506B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、及び画像形成方法
JP4197516B2 (ja) トナーと二成分現像剤及び画像形成方法
JP4811480B2 (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2017003916A (ja) トナー
JPWO2005116779A1 (ja) トナー及びトナーの製造方法
JP2012189771A (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
JP6484050B2 (ja) トナー及び二成分現像剤
JP5262516B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP7076986B2 (ja) トナー及び画像形成方法
JP6448319B2 (ja) トナー及び二成分現像剤
JPH0728273A (ja) 静電荷像現像剤組成物
JP7070097B2 (ja) 電子写真用トナー、トナー収容ユニット、及び画像形成装置
JP4506600B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、画像形成方法、及び静電荷現像用トナーの製造方法
US9885968B2 (en) Toner
JP7069906B2 (ja) 静電荷像現像用トナー及び2成分現像剤
JP6371619B2 (ja) トナー及び二成分現像剤
CN111630457A (zh) 调色剂、调色剂存储单元和图像形成设备
JP7451166B2 (ja) トナー
US20220390873A1 (en) Two-component developer for electrostatic charge image development, electrophotographic image forming method and electrophotographic image forming apparatus
JP7087500B2 (ja) 静電潜像現像用トナー及び静電潜像現像用二成分現像剤
JP7073897B2 (ja) 静電荷像現像用二成分現像剤
JP2018045093A (ja) トナー、ならびにそれを用いた二成分現像剤、現像装置及び画像形成装置
JPH06266156A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2005250443A (ja) ポリエステル系粉砕トナーおよびトナー用バインダー樹脂

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210921

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220419

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220518

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7076986

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151