JP7379035B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真、静電荷像を顕像化するための画像形成方法に使用されるトナーに関する。
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置は、使用目的及び使用環境の多様化が進むと共に、更なる省エネルギー性が求められている。トナーによる省エネルギー性の改善という観点では、低温定着性の向上がまず挙げられる。
低温定着性を向上させるためには、様々な画像を出力した場合でも、トナーが紙などのメディアに定着する必要がある。ここで特に課題となるのが、メディアに多量のトナーを載せた場合の定着トナーが擦れた際の剥がれである。具体的には、メディアの全面にベタ画像を出力した際、メディアの上端側に載ったトナーの溶融により定着器の熱が奪われてしまうため、メディアの下端側に載ったトナーの溶融が十分に進まずに、トナーが剥がれやすい状態になることである。
このベタ画像の剥がれが発生すると、印刷物を保管した際に、メディアの裏面がトナーで汚れてしまうため、トナー画像の保管性が低下してしまう。特にこの課題は、メディアの凹部のトナーで顕著に起こりやすく、それは凹部のトナーは定着器からの圧力を受ける機会が少ないために、トナーが十分に溶融しないからである。この問題は定着器が温まりにくい低温環境や紙の凹凸が多い厚紙などで顕著に発生する傾向にある。
特許文献1では、低温定着性及び保存性を向上するために、示差走査熱量計において昇温速度を100℃/分及び10℃/分で測定した際の融解熱量ΔHを制御する手法が記載されている。
特許文献2では、低温定着性、現像安定性、印字物保管性を向上するために、炭素数2以上9以下の脂肪族ジオールを用いた結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーが記載されている。
特開2014-026275号公報 特開2016-090628号公報
しかし、上記文献の手法では低温定着性評価におけるハーフトーン画像の擦り性は改善できるが、ベタ画像の擦り性の改善に関しては十分になされておらず、課題解決の余地があることがわかった。
本発明は、ベタ画像の低温定着性に優れるとともに、トナー画像の保管性が改善でき、さらにトナーの耐久性及び保存性も満足できるトナーを提供することにある。
結着樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、
該結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含む酸成分との縮重合物であって、末端に脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び末端に脂肪族モノアルコールが縮合した構造の少なくともいずれかを有し、
該脂肪酸ジオールの炭素数をC1とし、該脂肪族ジカルボン酸の炭素数をC2としたときに、
炭素数C1及び炭素数C2の和が、8以上16以下であり、
炭素数C1が下式(A)を満たし、
(A) 2≦C1≦4
該脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び該脂肪族モノアルコールが縮合した構造の炭素数C3が、6以上14以下であり、
該トナーの示差走査熱量測定において、
25℃から120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し、
100m秒の間、120℃で温度を保持し、25℃まで1000℃/秒の速さで冷却した後に、
120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し、
1度目の昇温におけるガラス転移温度をTg1(℃)とし、2度目の昇温におけるガラス転移温度をTg2(℃)としたとき、
下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナー。
(1) 65℃≦Tg1≦85℃
(2) 25℃≦Tg1-Tg2≦30℃

本発明は、ベタ画像の低温定着性に優れるとともに、トナー画像の保管性が改善でき、さらにトナーの耐久性及び保存性も満足できるトナーを提供することができる。
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
上述の課題である、全面ベタ画像におけるトナーの擦れ性は、メディアの凹部のトナーの溶融が不十分である場合に低下する。凹部のトナーは、定着器の圧力を受けることが少ないため、多くが定着器からの熱でのみ溶融する。メディアが定着器を通過して熱を受ける時間は、印字速度にもよるが50m/秒~200m/秒であることが多い。すなわち、このような非常に短い時間で、トナーが溶融することができれば、上述の課題を解決できると本発明者は考えている。
上述のような現象を測定するためにDSCの条件を検討した結果、下記の測定方法が最も適していることを見出した。
25℃から120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し(第一の昇温過程)、
100m秒(0.100秒)の間、120℃で温度を保持し(高温保持過程)、
25℃まで1000℃/秒の速さで冷却した後に(冷却過程)、
120℃まで1000℃/秒の速さで昇温する(第二の昇温過程)
このようなDSCの測定条件は、トナーが定着器から受ける熱に相当する条件である。具体的には120℃で100m秒の間、熱を受けられるように、高温保持過程の温度と時間を調整した。その熱を受けた際の結晶性ポリエステル樹脂のトナーへの可塑の程度を、第二の昇温過程の測定で得られるガラス転移温度Tg2が示している。
すなわち、Tg1-Tg2が大きくなるということは、加熱が非常に短い時間であっても、結晶性ポリエステル樹脂がトナーを十分に可塑できていることを示す。
ここで、高温保持過程以外の熱を減らすために、高温保持過程以外でトナーが熱を受けすぎないように、昇温速度を1000℃/秒と非常に早く設定した。さらに、結晶性ポリエステル樹脂のトナーへの可塑が、定着器を通過したときに近い状態にするために、冷却速度も1000℃/秒と非常に早く設定した。
これは、120℃で100m秒保持した際に結晶性ポリエステルがトナーを可塑するが、冷却速度が遅いと、結晶性ポリエステルが冷却過程で結晶化してしまう。このため、第二の昇温過程で得られるTg2に対して、高温保持過程の可塑及び冷却過程の結晶化の2つの影響が出てしまい、本来測定したい状態を測定できなくなる可能性が高いためである。
このようなDSCの測定条件と比較した、従来よく測定に使われる測定条件を下記に示す。
25℃から120℃まで10℃/分の速さで昇温し(第一の昇温過程)、
5分の間、120℃で温度を保持し(高温保持過程)、
25℃まで10℃/分の速さで冷却した後に(冷却過程)、
120℃まで10℃/分の速さで昇温する(第二の昇温過程)。
この測定では、高温保持過程が本発明における条件よりも長いため、トナーへの可塑する速さが十分でないトナーの構成であったとしても、結晶性ポリエステル樹脂がトナーを十分に可塑する可能性が高い。
一方、本発明においては、非常に短い高温保持過程であったとしても、結晶性ポリエステルがトナーを可塑することができることを示す。これにより、低温定着性の非常に厳しい評価である、ベタ画像後端部のトナーの擦れ性を改善することができる。
本発明は、結着樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、
該トナーの示差走査熱量測定において、
25℃から120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し、
100m秒の間、120℃で温度を保持し、25℃まで1000℃/秒の速さで冷却した後に、
120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し、
1度目の昇温におけるガラス転移温度をTg1(℃)とし、2度目の昇温におけるガラス転移温度をTg2(℃)としたとき、
下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(1) 65℃≦Tg1≦85℃
(2) 7℃≦Tg1-Tg2≦30℃
式(1)は、第一の昇温過程におけるトナーのガラス転移温度Tg1(℃)が65℃以上85℃以下であることを示す。Tg1は、従来の測定条件である昇温速度10℃/分で測定したTgで得られる結果よりも高い。
Tg1が65℃未満の場合、トナーの保存性を損なう可能性がある。また、Tg1が85℃よりも高い場合、トナーの低温定着性を損なう可能性がある。Tg1は、好ましくは70℃以上80℃以下である。Tg1は、結着樹脂の種類、結晶性ポリエステル樹脂の種類及び量、並びにトナーの製造方法などにより制御できる。
式(2)は、第二の昇温過程におけるトナーのガラス転移温度Tg2と第一の昇温過程におけるトナーのガラス転移温度Tg1の差が、7℃以上30℃以下であることを示す。式(2)を満たす場合、非常に短い高温保持時間であっても、結晶性ポリエステル樹脂がトナーを可塑できることを示す。
これにより、メディアが定着器を通過する非常に短い時間内でトナーが十分に可塑することができる。このため、メディアの凹部のトナーも十分に溶融することができるため、低温定着性の非常に厳しい評価である、ベタ画像後端部のトナーの擦れ性を改善することができる。
Tg1-Tg2が7℃未満の場合、トナーの可塑が不十分であるために、ベタ画像後端部のトナーの擦れ性を改善できない場合がある。Tg1-Tg2が30℃より高い場合、トナーの可塑が非常に速いが、保存性及び耐久性が低下する恐れがある。。
Tg1-Tg2は好ましくは、10℃以上30℃以下である。Tg1-Tg2は、結着樹脂の種類、結晶性ポリエステル樹脂の種類及び量、並びにトナーの製造方法などにより制御できる。
Tg2は、好ましくは30℃以上80℃以下であり、より好ましくは40℃以上75℃以下である。
トナーの好ましい構成を以下に述べる。
本発明では非常に短い高温保持時間であっても結晶性ポリエステル樹脂がトナーを可塑することができる。そのための手段として、熱を受けた際に、結晶性ポリエステル樹脂がトナーの結着樹脂に相溶しやすい構成にする方法が挙げられる。
具体的な手段としては、結晶性ポリエステル樹脂を構成する化合物の選定、結着樹脂を構成する化合物の選定、結晶性ポリエステル樹脂と結着樹脂の溶解度パラメータSP値を近づけること、トナー粒子中における結晶性ポリエステル樹脂の分散性を向上すること、及び結晶性ポリエステルの結晶化度を向上させることなどが挙げられる。これらを組み合わせることにより式(1)及び(2)を満足しうる。
トナーは、結着樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有する。
(着色剤)
トナーには着色剤を用いてもよい。着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料、及び、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、及び、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及び、アリルアミド化合物が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、及び、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、シアン系着色剤、および磁性粉体を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上10質量部以下である。
(磁性粒子)
黒色の着色剤として磁性粒子を用いてもよい。
磁性粒子を用いる場合は、磁性酸化鉄粒子を含むコア粒子と、コア粒子の表面に設けられた被覆層を有することが好ましい。
磁性酸化鉄粒子を含むコア粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
被覆層は、コア粒子の表面の全域を均一に被覆していてもよいし、コア粒子の表面が一部露出した状態で被覆していてもよい。いずれの被覆態様であっても、被覆層は、最外層であることが好ましく、コア粒子の表面を薄く被覆していることが好ましい。被覆層を形成する元素としては、Si及びAlを含有することが好ましい。
被覆層の形成方法は、特に限定されることなく、公知の方法を用いるとよい。例えば、マグネタイトを含むコア粒子を製造した後、硫酸第一鉄水溶液に、ケイ酸ナトリウムや硫酸アルミニウムなどの、ケイ素源やアルミニウム源を添加する。その後、混合液のpH及び温度を調整しつつ空気を吹き込むことで、コア粒子表面に特定の酸化物を含有する被覆層を形成するとよい。
また、硫酸第一鉄水溶液、ケイ酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムなどの添加量などを
調整することで被覆層の厚みを制御することができる。
また、上述した被覆層を形成しやすく、磁気特性や着色力がより良化するという観点から、磁性粒子は八面体形状であることが好ましい。
磁性粒子の形状を制御する方法は従来公知の方法を採用することができる。磁性粒子を八面体形状にする方法としては、例えばコア粒子の製造において湿式酸化反応時のpHを9以上にすることが挙げられる。
低温定着性の観点から、磁性粒子の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは25質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは30質量部以上90質量部以下である。
(結晶性ポリエステル樹脂)
トナー粒子は結晶性ポリエステル樹脂を有する。
ここで、結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、明確な吸熱ピークを有するポリエステル樹脂と定義する。
結晶性ポリエステル樹脂について述べる。
結晶性ポリエステル樹脂は公知のものを使用できる。例えば、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールの縮重合物が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオール、並びに脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群から選択される少なくとも一の縮重合物であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオール、並びに脂肪族モノカルボン酸の縮重合物であることがより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数2~20の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、炭素数2~20の脂肪族ジオールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール等が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数6~20の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。例えば、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)等が挙げられる。
脂肪族モノアルコールとしては、炭素数6~20の脂肪族モノアルコールが挙げられる。例えば、カプリルアルコール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、マルガリルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデカノール、アラキジルアルコール
結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含む酸成分との縮重合物であることが好ましい。そして、脂肪酸ジオールの炭素数を
C1とし、脂肪族ジカルボン酸の炭素数をC2としたときに、C1及びC2の和が、8以上16以下であることが好ましく、12以上16以下であることがより好ましい。
なお、脂肪酸ジオール及び/又は脂肪族ジカルボン酸が複数用いられている場合、それぞれの炭素数は質量分率による平均値を採用する。
C1及びC2の和が8以上16以下ということは、結晶性ポリエステル樹脂を構成する脂肪酸ジオールと脂肪族ジカルボン酸の炭素数の合計が比較的少ないことを意味する。
このようにC1及びC2の和を上述の範囲のように小さくすることにより、結晶性ポリエステル樹脂に含まれるエステル基の数が増える。エステル基が増えることにより、結晶性ポリエステル樹脂の極性が上がる。その結果、結着樹脂を可塑する速度が非常に早くなるため、本発明の効果を発現しやすくなる。
また、結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含む酸成分との縮重合物であり、脂肪酸ジオールの炭素数をC1とし、脂肪族ジカルボン酸の炭素数をC2としたときに、下記式(A)又は(B)のいずれかを満たすことが好ましい。
(A) 2≦C1≦4
(B) 2≦C2≦4
これは、結晶性ポリエステル樹脂のエステル基とエステル基の間の炭素数が非常に少ないことを意味する。これら2つのエステル基が近くに存在することにより、結晶性ポリステル樹脂の分子中に、2つのエステル基が密接した極性が高い構造が存在する(以下、短鎖構造と呼ぶ)。
定着工程においてトナーが熱を受けた際、この極性が高い短鎖構造が結着樹脂を非常に早く可塑しやすくなるため、本発明の効果を発現しやすくなる。
また、結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含む酸成分との縮重合物であり、末端に脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び末端に脂肪族モノアルコールが縮合した構造の少なくともいずれかを有することが好ましい。
そして脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び脂肪族モノアルコールが縮合した構造の少なくともいずれかの炭素数C3が、6以上14以下であることが好ましく、10以上14以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の末端に脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造又は脂肪族モノアルコールが縮合した構造を持つことにより(以下、これらを末端構造と呼ぶ)、末端構造が結晶性ポリエステル樹脂の結晶核になりやすい。これにより、常温において、トナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂が結晶状態となりやすく、低温定着性と耐久性とのバランスを両立しやすい。
さらに、末端構造の炭素数C3が、6以上14以下であるということは、比較的短い炭化水素構造の末端構造であることを意味する。これにより、定着工程の熱を受けた際に、トナー粒子中で結晶状態である結晶性ポリエステル樹脂の分子のほぐれる速さが早くなるため、定着性と耐久性のバランスを両立しやすい。
結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含む酸成分との縮重合物であり、末端に脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び末端に脂肪族モノアルコールが縮合した構造の少なくともいずれかを有し、
脂肪酸ジオールの炭素数をC1とし、脂肪族ジカルボン酸の炭素数をC2としたときに、下記式(A)又は(B)のいずれかを満たし、
脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び脂肪族モノアルコールが縮合した構造の少な
くともいずれかの炭素数C3が6以上14以下であることが好ましい。
(A) 2≦C1≦4
(B) 2≦C2≦4
結晶性ポリエステル樹脂が上記を満たすことにより、常温では結晶性ポリエステル樹脂がトナー粒子中で結晶化するとともに、定着時には迅速に結着樹脂を可塑することができるようになる。特に、短鎖構造を有することと末端構造の炭素数C3が比較的小さいことにより、結晶性ポリエステル樹脂が常温では結晶化しやすいとともに、熱を受けた際には分子鎖が非常に早くほぐれて、結着樹脂を可塑することができるようになる。これにより、本発明の効果を得やすくなるとともに、耐久性も高度に両立しやすくなる。
結晶性ポリエステル樹脂中の、脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び脂肪族モノアルコールが縮合した構造の含有量の合計が3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、4質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
上記の範囲を満たすことにより、耐久性と定着性を高度に両立しやすくなる。
結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の点で、ジカルボン酸成分のうち、直鎖型脂肪族ジカルボン酸の含有量が80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることがさらに好ましい。
また、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性の点で、ジオール成分のうち、直鎖型脂肪族ジオールの含有量が80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、100mol%であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、好ましくは65℃以上100℃以下である。融点は、使用するカルボン酸成分、アルコール成分の組み合わせで決まるため、上記範囲に入るよう、適宜選択する。
結晶性ポリエステル樹脂の、重量平均分子量は、好ましくは5000~30000であり、より好ましくは7000~25000である。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは8質量部以上30質量部以下であり、さらに好ましくは10質量部以上25質量部以下であり、さらにより好ましくは10質量部以上20質量部以下である。
結晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、酸成分とアルコール成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
触媒としてはチタン触媒を用いると望ましく、キレート型チタン触媒であると更に望ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、本発明において望ましい分子量分布のポリエステルが得られるためである。
(結着樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂は、一般的に低融点ワックス等と比較すると分子量が大きく、
一度溶融すると再結晶化するまでに要する時間が長い場合が多い。トナー中において再結晶化しきれなかった結晶性ポリエステル樹脂はトナーのガラス転移温度(Tg)の低下を引き起こすため、耐熱保存性を視野に入れると、結晶性ポリエステル樹脂が速やかに結晶化することが好ましい。
そのため、結着樹脂が下記に示すような樹脂組成物を含有することが好ましい。
結着樹脂は、好ましくは非晶性ポリエステル樹脂を含有し、より好ましくは非晶性ポリエステル樹脂である。
結着樹脂中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは80質量%~100質量%であり、さらに好ましくは90質量%~100質量%である。
さらに、非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂組成物を含有することが好ましく、ポリエステル樹脂組成物であることがより好ましい。
そして、ポリエステル樹脂組成物が、
i)炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールが末端に縮合した構造及び炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸が末端に縮合した構造の少なくとも一方、並びに炭素数の平均値27以上50以下の脂肪族炭化水素を含有し、
ii)前記脂肪族炭化水素、前記長鎖アルキルモノアルコールが縮合した構造、及び前記長鎖アルキルモノカルボン酸が縮合した構造の合計の含有割合が、ポリエステル樹脂組成物中の、2.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
樹脂組成物を上記構成とすることで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度が向上し、耐熱保存性が良好なトナーを得ることができる。その理由について、以下のように考察している。
上述したように結晶性ポリエステル樹脂は、結晶化するまでに要する時間が長い。ポリエステル樹脂組成物中の長鎖アルキルモノアルコールが縮合した構造(アルコール残基)及び長鎖アルキルモノカルボン酸が縮合した構造(カルボン酸残基)は、結晶性ポリエステル樹脂に配向しやすい(以下これらの残基を長鎖アルキル成分ともいう)。
ポリエステル樹脂組成物にこのような部位を設けることで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度を促進できると考えている。その結果、トナーのガラス転移温度(Tg)を向上させることができ、耐熱保存性が良好になると考えられる。
ここで、長鎖アルキルモノアルコールのアルコール残基及び長鎖アルキルモノカルボン酸のカルボン酸残基の少なくとも一方の残基を末端に有するポリエステル樹脂とは、これらの長鎖アルキル成分がメインバインダー成分であるポリエステル樹脂に反応し組み込まれている樹脂を表している。
一方、ポリエステル樹脂組成物が上記平均炭素数の脂肪族炭化水素を含むことは、例えば、ポリエステル樹脂組成物が、長鎖アルキル成分をアルコール変性又は酸変性した際の、未変性成分も含有していることを表す。
上記ポリエステル樹脂組成物は、長鎖アルキル成分が組み込まれたポリエステル樹脂と、(例えば長鎖アルキル成分の未変性品である)脂肪族炭化水素成分を有することを意味する。
長鎖アルキル成分の炭素数の平均値は以下の方法で求める。
長鎖アルキル成分の炭素数分布は、ガスクロマトグラフィー(GC)により、以下のようにして測定する。サンプル10mgを精秤し、サンプルビンに入れる。このサンプルビンに精秤した10gのヘキサンを加えてフタをした後、ホットプレートで150℃に加温して混合する。
その後、長鎖アルキル成分が析出してこないようすばやくガスクロマトグラフィーの注
入口へこのサンプルを注入して、下記測定装置及び測定条件で分析を行う。横軸を炭素数、縦軸をシグナルの強度とするチャートを得る。
次いで、得られたチャートにおいて、検出された全ピークのトータルの面積に対する各炭素数成分のピークの面積の割合を算出し、これを各炭化水素化合物の存在比率(面積%)とする。そして、横軸に炭素数、縦軸に炭化水素化合物の存在比率(面積%)を取り、炭素数分布チャートを作成する。そして、炭素数分布チャートのピークトップの炭素数を、炭素数の平均値とする。
測定装置及び測定条件は、下記の通りである。
GC:HP社 6890GC
カラム:ULTRA ALLOY-1 P/N:UA1-30m-0.5F(フロンティア・ラボ社製)
キャリアーガス:He
オーブン:(1)温度100℃で5分ホールド、(2)30℃/分で温度360℃まで昇温、(3)温度360℃で60分ホールド
注入口:温度300℃
初期圧力:10.523 psi
スプリット比:50:1
カラム流量:1mL/min
また、ポリエステル樹脂組成物中の、炭素数の平均値27以上50以下の脂肪族炭化水素、炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールが縮合した構造(アルコール残基)、及び炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸が縮合した構造(カルボン酸残基)の合計の含有割合が、2.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3.5質量%以上9.0質量%以下である。
長鎖アルキル成分の割合を上記範囲とすることで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化速度が制御しやすくなり、Tg1を適切な範囲に制御することができ、保存性が良好なトナーを得ることができる。
また、ポリエステル樹脂組成物は、示差走査熱量測定(DSC)にて得られる温度-吸熱量曲線において、ポリエステル樹脂組成物の吸熱ピークのピークトップ温度が、60.0℃以上90.0℃以下であることが好ましい。
また、吸熱ピークの吸熱量(ΔH)が、0.10J/g以上1.90J/g以下であることが好ましく、0.20J/g以上1.00J/g以下であることがより好ましい。
トナーの低温定着性と保存性を両立させるためには、トナー中で結晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることが好ましい。そのためには、ポリエステル樹脂組成物中で長鎖アルキル成分が均一に分散していることが好ましく、ポリエステル樹脂成分と結合せず、遊離した成分、すなわち未変性の脂肪族炭化水素の量を適正化させることが好ましい。
ポリエステル樹脂組成物中の、炭素数の平均値27以上50以下の脂肪族炭化水素の含有量は、好ましくは0.02質量%~0.5質量%であり、より好ましくは0.04質量%~0.3質量%である。
炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコール、及び炭素数の平均値が27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸は、工業的には原料となる脂肪族炭化水素をアルコール又は酸変性することで得られる。
脂肪族炭化水素は、飽和炭化水素及び不飽和炭化水素を含み、例えば、アルカン、アルケン、アルキンや、シクロヘキサンなどの環状の炭化水素が挙げられるが、飽和炭化水素(アルカン)であることが好ましい。
例えば、アルコール変性品に関しては、炭素数が27以上50以下の脂肪族炭化水素を、硼酸、無水硼酸、又はメタ硼酸のような触媒の存在下に分子状酸素含有ガスで液相酸化することによりアルコールに転化できることが知られている。使用される触媒添加量は、原料脂肪族炭化水素1molに対して0.01mol~0.5molが好ましい。
反応系に吹き込む分子状酸素含有ガスとしては、酸素、空気又はそれらを不活性ガスで希釈した広範囲のものが使用可能であるが、酸素濃度3%~20%が好ましい。また、反応温度は、100℃以上200℃以下が好ましい。
また、ポリエステル樹脂組成物は、炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールが末端に縮合した構造及び炭素数の平均値27以上50以下の脂肪族炭化水素を含有することが好ましい。長鎖アルキルモノアルコールは、2級アルコールを含有することが好ましく、2級アルコールを主成分として含有することがより好ましい。なお、2級アルコールを主成分とするとは、長鎖アルキルモノアルコール中の50質量%以上が2級アルコールであることを示す。
長鎖アルキルモノアルコールとして、2級アルコールを主成分として用いることで、長鎖アルキル成分が折りたたみ構造を取り易くなる。その結果、立体障害等が抑制され、長鎖アルキル成分がポリエステル樹脂組成物中でより均一に存在し易くなり、より保存安定性が向上する。
また、ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル部位及びビニル重合体部位を有するハイブリッド樹脂を含有することが好ましい。この場合、長鎖アルキル成分は、ハイブリッド樹脂のポリエステル部位の末端に縮合したものであることが好ましい。
すなわち、好ましくは、ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル部位及びビニル重合体部位を有するハイブリッド樹脂、及び炭素数の平均値27以上50以下の脂肪族炭化水素を含有し、該ハイブリッド樹脂は、炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールがポリエステル部位の末端に縮合した構造及び炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸がポリエステル部位の末端に縮合した構造の少なくとも一方を有する。
より好ましくは、ポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル部位及びビニル重合体部位を有するハイブリッド樹脂、及び炭素数の平均値27以上50以下の脂肪族炭化水素からなり、該ハイブリッド樹脂は、炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノアルコールがポリエステル部位の末端に縮合した構造及び炭素数の平均値27以上50以下の長鎖アルキルモノカルボン酸がポリエステル部位の末端に縮合した構造の少なくとも一方を有する。
溶融特性の優れるポリエステル部位と、帯電特性に優れ、軟化点が高いビニル重合体部位とを有するハイブリッド樹脂を含有することで、樹脂組成物の軟化点を高くしつつ、帯電安定性と低温定着性に優れる樹脂組成物が得られる。その結果、低温定着性及び高湿環境下における画像濃度の安定性がより高まる。
ハイブリット樹脂は、ポリエステル部位とビニル重合体部位との質量比(ポリエステル部位:ビニル重合体部位)が、80:20~98:2であることが好ましく、85:15~97:3であることがより好ましい。
上記範囲にすることで、ハイブリッド樹脂が有するメリットを得つつ、環境に依らず安定的な低温定着性を発揮する。
ハイブリット樹脂に含有される、ビニル重合体部位は、スチレンに由来するモノマーユニットと、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルに由来するモノマーユニットとを含有し、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルに由来するモノマーユニットの合計の含有割合が、ビニル重合体部位を形成する全モノマーユニット中、80mol%以上95mol%以下であることが好ましく、85mol%以上93mol%以下で
あることがより好ましい。
上記範囲にすることで、低温定着性を良化させることができる。この理由は、樹脂組成物中にガラス転移温度の低いアクリル酸系モノマー及び/又はメタクリル酸系モノマーに由来するユニットを組み込むことで、樹脂組成物中の架橋成分の軟化点を下げることなく、低温定着性を改善することができるためだと考えている。
ポリエステル樹脂又はポリエステル部位を構成するモノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
アルコール成分としては、以下のような2価のアルコールが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記(I)式で表されるビスフェノール及びその誘導体、並びに下記(II)式で表されるジオール類。
Figure 0007379035000001

(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつx+yの平均値は0以上10以下である。)
Figure 0007379035000002
酸成分としては、以下のような2価のカルボン酸が挙げられる。
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上18以下のアルキル基若しくは炭素数6以上18以下のアルケニル基で置換されたこはく酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物。
3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルなどが挙げられる。上記のうち、環境変動による安定性も高い芳香族系化合物が好ましく、例えば1,2,4-ベンゼントリカルボン酸及びその無水物が好ましい。
3価以上の多価アルコールとしては、1,2,3-プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
ビニル重合体部位を構成するビニル系モノマーとしては、以下の化合物が挙げられる。
スチレン;o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、p-クロルスチレン、3,4-ジクロルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンのようなスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのような不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンのような不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルのようなハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロルエチル、アクリル酸フェニルのようなアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンのようなビニルケトン類;N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンのようなN-ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸又はメタクリル酸誘導体。
さらに、以下のものが挙げられる。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸のような不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物のような不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルのような不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸のような不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸のようなα,β-不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物のようなα,β-不飽和酸無水物、前記α,β-不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルのようなカルボキシ基を有するモノマー。
さらに、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4-(1-ヒドロキシ-1-メチルブチル)スチレン、4-(1-ヒドロキシ-1-メチルヘキシル)スチレンのようなヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
ハイブリッド樹脂のビニル重合体部位は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有してもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
芳香族ジビニル化合物(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン);アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジ
オールジアクリレート、1,6-へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの);エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類(例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレー卜をメタクリレートに代えたもの);芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で緒ばれたジアクリレート化合物類[ポリオキシエチレン(2)-2,2-ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)-2,2-ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの];ポリエステル型ジアクリレート化合物類(日本化薬社製「MANDA」)。
多官能の架橋剤としては、以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
これらの架橋剤の添加量は、架橋剤以外のモノマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10.00質量部以下であり、より好ましくは0.03質量部以上5.00質量部以下である。
これらの架橋剤のうち、ポリエステルを含む樹脂組成物に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
ビニル重合体部位の重合に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(カーバモイルアゾ)-イソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、2,2-アゾビス(2-メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ-オキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドのようなケトンパーオキサイド類、2,2-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ブタン、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ジ-イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエイト、tert-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエイト、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ-
tert-ブチルパーオキシイソフタレート、tert-ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert-アミルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ-tert-ブチルパーオキシアゼレート。
ビニル重合体部位とポリエステル部位をハイブリット化する方法としては、特に限定されることなないが、例えば以下の方法が挙げられる。ビニル重合体部位及び/又はポリエステル部位中に、両成分と反応し得るモノマー成分を含有させる方法。エステル由来の構成単位を含むビニル重合体部位にポリエステル部位をエステル交換反応させる方法。
後述する極性を持つ絡まりの強い成分の量を制御しやすいという観点から、エステル交換反応させる方法がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂中のポリエステル樹脂組成物の含有割合が80質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、90質量%~100質量%である。
これは、トナー粒子中にポリエステル樹脂組成物が存在している領域が非常に多いことを意味する。これにより、結晶性ポリエステル樹脂がトナー中に結晶化した状態で高度に分散しやすくなるため、Tg1及びTg2を特定の範囲に制御しやすくなる。
(トナーのその他の構成材料)
トナーに離型性を与えるために、トナー粒子が離型剤(ワックス)を含むことが好ましい。
ワックスの具体例としては、以下のものが挙げられる。
酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N-ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N-ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
より具体的には、以下のものが挙げられる。ビスコール(登録商標)330-P、550-P、660-P、TS-200(三洋化成工業株式会社);ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学株式会社);サゾール H1、H2、C80、C105、C77(サゾール社);HNP-1、HNP-3、HNP-9、HNP-10、HNP-11、HNP-12(日本精蝋株式会社)、ユニリン(登録商標)350、425、550、700、ユニシッド(登録商標)350、425、550、700(東洋ペトロライト社);木ろう、蜜ろ
う、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(株式会社セラリカNODA)。
ワックスの融点は、低温定着性の観点から、65.0℃以上100.0℃以下であることが好ましい。さらに、ワックスの融点と結晶性ポリエステル樹脂の融点の差が0℃以上25℃以下であることが好ましく、1℃以上20℃以下であることがより好ましい。
ワックスは結晶性ポリエステル樹脂と比較して常温ではトナー粒子中において結晶化しやすい。これらの融点の差を近くすることにより、ワックスの結晶化に伴って結晶性ポリエステル樹脂の結晶化も促進されるため、Tg1を特定の範囲に制御しやすくなる。
トナーの摩擦帯電性を安定化させるために、トナーは電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤の含有量は、その種類や他のトナーの構成材料の物性によっても異なるが、一般に、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
電荷制御剤は、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナーを負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩;芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノールなどのフェノール誘導体。
トナーを正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体;ホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物など);高級脂肪酸の金属塩。
これらの中でもニグロシン系化合物、四級アンモニウム塩などが好ましい。
また、電荷制御樹脂も用いることができ、上述の電荷制御剤と併用することもできる。
電荷制御剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Spilon Black TRH、T-77、T-95、TN-105(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)S-34、/秒-44、E-84、E-88(オリエント化学工業株式会社);TP-302、TP-415(保土谷化学工業株式会社);BONTRON(登録商標)N-01、N-04、N-07、P-51(オリエント化学工業株式会社);コピーブルーPR(クラリアント社)。
トナーは、帯電安定性、耐久現像性、流動性、耐久性向上のために、シリカ微粒子などを外添剤として有していてもよい。
シリカ微粒子は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上であるこ
とが好ましく、50m2/g以上400m2/g以下であることがより好ましい。また、シリカ微粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上8.00質量部以下であることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下であることがより好ましい。
シリカ微粒子のBET比表面積は、例えば、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅ア
イオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粒子の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
シリカ微粒子は、必要に応じ、摩擦帯電性コントロールの目的で未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物のような処理剤で、或いは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
さらにトナーには、必要に応じて他の外添剤を添加してもよい。このような外添剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラ定着時の離型剤、滑剤、研磨剤などの働きをする樹脂微粒子や無機微粒子が挙げられる。
滑剤としては、ポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末が挙げられ、中でもチタン酸ストロンチウム粉末が好ましい。
トナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイトなどのキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性体が分散されたバインダー型のキャリアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。被覆材に用いられる樹脂としては、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン-アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂が挙げられる。
その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は複数を併用して用いることができる。
(トナーの製造方法)
トナーの製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の製造方法を採用することができる。以下、溶融混練工程及び粉砕工程を経てトナーを製造する方法を具体的に例示するがこれに限定されるものではない。
例えば、結着樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂並びに、必要に応じて着色剤、離型剤、電荷制御剤及びその他の添加剤などを、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する(混合工程)。得られた混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する(溶融混練工程)。
得られた溶融混練物を冷却固化した後、粉砕機を用いて粉砕(粉砕工程)し、分級機を用いて分級(分級工程)を行い、トナー粒子を得る。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得る。
混合機としては、以下のものが挙げられる。FMミキサ(日本コークス工業株式会社);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
熱混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Bus/秒社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二
軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);M秒式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);ID/秒型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
また、粗粒子をふるい分けるために、以下の篩い装置を用いてもよい。
ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
Tg1を特定の範囲に制御しやすくするために、アニール工程を行ってもよい。アニール工程とは、結晶性ポリエステル樹脂等の結晶性材料をトナー粒子中で結晶化させる工程である。
特に、結着樹脂を可塑しやすい結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合は、常温での結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を十分に進めるため、アニール工程により結晶化させることで、Tg1を特定の範囲に制御しやすくなる。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
<ガラス転移温度Tg1及びTg2の測定>
ガラス転移温度Tg1(℃)及びガラス転移温度Tg2(℃)は、示差走査熱量分析装置「Flash DSC1 STARe System」(METTLER TOLEDO社製)を用いて測定する。
<測定手順>
トナーを事前に温度補正を行った専用のチップセンサーに載せる。チップセンサーの温度コントロールは下記の通りとする。
25℃で10秒間維持した後、昇温速度1000℃/秒で120℃まで昇温する(第一の昇温過程)。120℃で100m秒間維持(高温保持過程)した後、冷却速度1000℃/秒で25℃まで冷却する(冷却過程)。25℃で100m秒間維持した後、昇温速度1000℃/秒で120℃まで昇温する(第二の昇温過程)。
以上の温度コントロールのうち、第一の昇温過程で得られる吸熱量を示す昇温カーブからガラス転移温度Tg1(℃)を算出する。
また、第二の昇温過程で得られる吸熱量を示す昇温カーブからガラス転移温度Tg2(℃)を算出する。
<ガラス転移温度Tg3及びTg4の測定>
ガラス転移温度Tg3及びTg4は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用い、ASTM D3418-82に準じて測定する。具体的には、トナー約5.0mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、下記条件で測定する。
まず、対象試料(結晶性ポリエステル樹脂あるいはトナー)約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。
次いで、窒素雰囲気下、25℃から昇温速度10℃/minにて120℃まで加熱する。120℃で5分間温度を維持した後、120℃から降温速度10℃/minにて25℃まで冷却させ、さらに昇温速度10℃/minにて120℃まで加熱し、DSC曲線を計測する。
得られたDSC曲線のうち、一回目の昇温におけるガラス転移温度をTg3(℃)とし、2回目の昇温におけるガラス転移温度をTg4(℃)とする。
<トナーからのC1,C2及びC3の測定>
結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などの公知の分析方法により確認することができる。また、トナーから結晶性ポリエステル樹脂を単離する手法についても、公知の手法を使用することができる。
具体的には次のように単離作業を行う。まず、トナーに対する貧溶媒であるエタノールにトナーを分散させ、結晶性ポリエステル樹脂の融点を超える温度まで、昇温する。この時、必要に応じて、加圧してもよい。この時点で、融点を超えた結晶性ポリエステル樹脂が溶融している。その後、固液分離することにより、トナーから、結晶性ポリエステル樹脂を採取できる。
以下実施例にもとづいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、これによって本発明がなんら限定されるものではない。なお、以下の処方において部は、特に断りのない限り質量基準である。
<長鎖アルキルモノマー(W-1)の製造例>
炭素数の平均値が35の鎖状飽和炭化水素1200部をガラス製の円筒型反応容器に入れ、硼酸38.5部を温度140℃で添加した。その後、直ちに空気50容量%と窒素50容量%の酸素濃度約10容量%の混合ガスを毎分20Lの割合で吹き込み、200℃で3.0時間反応させた。反応後、反応液に温水を加え、95℃で2時間加水分解を行い、静置後上層の反応物(変性品)を得た。
得られた変性品20部をn-ヘキサン100部に加え、精製して未変性成分の一部を溶解除去して長鎖アルキルモノマー(W-1)を得た。長鎖アルキルモノマー(W-1)は、変性率98質量%であり、すなわち2質量%の脂肪族炭化水素を含んでいた。物性を表1に示す。
Figure 0007379035000003

表1中、W-2(※)は、ユニリン700(東洋ペトロライト社製)である。
<非晶性ポリエステル樹脂(A-1)の製造例>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 50.0mol部・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.3mol付加)50.0mol部・テレフタル酸 74.0mol部
上記ポリエステル構成モノマー85.1部に加えて、長鎖アルキルモノマー(W-1)を非晶性ポリエステル樹脂全体に対して5.0質量%になるように添加した。得られた混合物を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着して窒素雰囲気下にて160℃で撹拌した。
そこに、ビニル重合体部位を構成するビニル系重合モノマー(スチレン:10.0mol部、ブチルアクリレート:90.0mol部)10部と重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.7部を混合したものを滴下ロートから4時間かけて滴下した。
その後、160℃で5時間反応した後、200℃まで昇温して、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネートを0.15部、及び没食子酸を0.01部添加した後、230℃で6時間重縮合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、tert-ブチルカテコール0.01部、及び無水トリメリット酸4.9部を投入し、所望の粘度となるように反応時間を調節した。
反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して非晶性ポリエステル樹脂(A-1)を得た。物性を表2に示す。
<非晶性ポリエステル樹脂(A-2)~(A-6)の製造例>
表2に記載の長鎖アルキルモノマーの種類と添加量を変更し、非晶性ポリエステル樹脂(A-1)の製造例と同様にして、非晶性ポリエステル樹脂(A-2)~(A-6)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(A-6)は、長鎖アルキルモノマーを添加しなかった。得られた非晶性ポリエステル樹脂(A-2)~(A-6)の物性を表2に示す。
Figure 0007379035000004

表中、長鎖アルキルモノマーの含有量は、すなわち、非晶性ポリエステル樹脂中の、脂肪族炭化水素の含有量及び長鎖アルキルモノアルコールが縮合した構造の含有量の合計の含有量を示す。
<結晶性ポリエステル樹脂(C-1)の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、表3に示す使用量のモノマー(アルコールモノマー:酸モノマー(モル比)=100:100)を入れ、さらにラウリン酸を表3の含有量(質量%)になるように入れた後、触媒としてジオクチル酸錫をモノマー総量100部に対して1部添加し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら6時間反応させた。
次いで、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させ、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂(C―1)を得た。物性を表3に示す。
<結晶性ポリエステル樹脂(C―2~C―14)の製造例>
モノマーを表3に記載の様に変更し、それ以外は、結晶性ポリエステル樹脂(C―1)と同様にして結晶性ポリエステル樹脂(C―2~C―14)を得た。物性を表3に示す。
Figure 0007379035000005
表中、「含有量」は、末端モノマーの量、すなわち、結晶性ポリエステル樹脂中の脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び脂肪族アルコールが縮合した構造の含有量の合計の含有量(質量%)である。
<磁性粒子の製造例>
(1)コア粒子の製造
Fe2+濃度が1.60mol/Lの硫酸第一鉄水溶液92Lと、3.50mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液88Lを加えて混合撹拌した。この溶液のpHは6.5であった。この溶液を温度89℃、pH9~12に維持しながら、20L/minの空気を吹き込み、酸化反応を起こさせてコア粒子を生成させた。水酸化第一鉄が完全に消費された時点で、空気の吹き込みを停止し、酸化反応を終了させた。得られたマグネタイトからなるコア粒子は八面体形状を有するものであった。
(2)被覆層の形成
0.70mol/Lのケイ酸ナトリウム水溶液2.50Lと0.90mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2.00Lを混合した後、水1.00Lを加え、5.00Lの水溶液とし、13500gのコア粒子を含む上記反応後のスラリーにpH7~9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。
続いて、1.50mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液0.70Lと0.90mol/Lの硫酸第一鉄水溶液2.00Lを混合した後、水1.00Lを加え、5.00Lの水溶液とし、コア粒子を含む上記反応後のスラリーにpH7~9を維持しながら添加した。その後、スラリー中のFe2+が残存しなくなるまで10L/minの空気を吹き込んだ。
スラリーの温度は89℃に維持した。30分間、混合撹拌後にスラリーを濾過して、洗浄、乾燥させて、磁性粒子を得た。
磁性粒子の形状は八面体であり、磁性粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)は110nmであった。
<トナー1の製造例>
・非晶性ポリエステル樹脂(A-1) 100.0部
・結晶性ポリエステル樹脂(C-1) 12.0部
・磁性粒子 40.0部
・ワックス1(表4に記載) 2.0部
・電荷制御剤(T-77、保土谷化学工業社製) 2.0部
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業(株)製)で前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM-30型))によって、設定温度80℃で溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、結晶性ポリエステル樹脂を結晶化させるために50℃で20時間、アニール処理を行った。その後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T-250)で粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.0μmの負帯電性のトナー粒子を得た。
トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粒子[BET比表面積150m2/g、シ
リカ微粒子100部に対しヘキサメチルジシラザン(HMDS)30部及びジメチルシリコンオイル10部で疎水化処理したもの]1.0部をFMミキサ(日本コークス工業(株)製FM-75型)で外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。得られたトナー1の物性を表5に示す。
<トナー2~18及び比較トナー1~5の製造>
非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、ワックス、アニール工程を表5及び表6に記載の通りに変更した以外は同様にして、トナー2~18、比較トナー1~5を
製造した。物性を表5及び表6に示す。
<比較トナー6の製造>
(処理磁性体の製造)
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.00~1.10当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で0.15質量%となる量のP、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiOを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.90~1.20当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水スラリーを少量採取し、含水量を計っておいた。
次に、この含水スラリーを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを約4.8に調整した。そして、撹拌しながらn-ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100部に対し1.6部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。
その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を行った。生成した疎水性磁性体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.21μmの処理磁性体を得た。
(非晶性ポリエステルの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、原料モノマーを、下記に示すように調整し、入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100部に対して1.5部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。
210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、非晶性ポリエステルを得た。得られた非晶質ポリエステルのピーク分子量は10100であった。
・ビスフェノールA(プロピレンオキシド2モル付加物) 90.0部
・長鎖アルキルモノマーW-1 10.0部
・テレフタル酸 74.0部
・無水トリメリット酸 4.0部
・アジピン酸 22.0部
(トナーの製造)
イオン交換水720部に0.1モル/L-NaPO水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/L-CaCl水溶液67.7部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 75.0部
・n-ブチルアクリレート 25.0部
・非晶性ポリエステル15.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T-77:保土谷化学社製) 1.5部
・処理磁性体 65.0部
上記処方をアトライタ(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して単量体組
成物を得た。この単量体組成物を63℃に加温し、そこに、結晶性ポリエステル樹脂(C-10)を5.0部、ワックス5(パラフィンワックス(融点78℃))15部を添加混合し、溶解した。その後重合開始剤tert-ブチルパーオキシピバレート5.0部を溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体組成物を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で4時間反応させた。反応終了後、ここで得られた水系媒体中には、着色粒子が分散しており、着色粒子表面には無機分散剤として、リン酸カルシウムが付着していることを確認した。
この時点で、水系媒体に、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に濾過・乾燥して着色粒子を分析した。その結果、結着樹脂のガラス転移温度Tgは55℃であった。
続いて、着色粒子が分散した水系媒体を100℃まで昇温させ、120分保持した。その後、水系媒体に5℃水を投入し、100℃/分の冷却速度で100℃から50℃に冷却した。続いて、水系媒体を50℃で120分、保持を行った。
その後、水系媒体に、塩酸を加えてリン酸カルシウムを洗浄して除去した後に濾過・乾燥してトナー粒子を得た。
トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粒子[BET比表面積150m2/g、シ
リカ微粒子100部に対しヘキサメチルジシラザン(HMD/秒)30部及びジメチルシリコンオイル10部で疎水化処理したもの]1.0部をFMミキサ(日本コークス工業(株)製FM-75型)で外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、比較トナー6を得た。得られた比較トナー6の物性を表5に示す。
<比較トナー7の製造>
(樹脂B1)
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、下記に示す配合量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100質量部に対して1.5質量部添加した。
テレフタル酸 89.0部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 44.0部
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 38.0部
エチレングリコール 18.0部
次いで窒素雰囲気下において常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の昇温速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。
210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、樹脂B1を得た。
(トナー)
結晶性ポリエステル樹脂C-11 :20.0質量部
樹脂B1 :80.0質量部
カーボンブラック :5.0質量部
ワックス1 :5.0質量部
3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 :0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、日本コークス株式会社製)で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工(株)製PCM-30型))にて回転数3.3s-1、混練樹脂温度が樹脂Bの軟化点+10℃となるように混練機バレルの温度を調整して混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T-250)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)が7.1μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100部に、イソブチルトリメトキシシラン15質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径50nmの酸化チタン微粒子1.0部、及びヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径16nmの疎水性シリカ微粒子0.8部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス株式会社製FM-75型)で混合して、比較トナー7を得た。得られた比較トナー7の物性を表6に示す。
<比較トナー8の製造>
(樹脂AH)
下記に示すアジピン酸及び無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分、アルコール成分、2―エチルヘキサン酸錫(II)45g及び没食子酸5gを、窒素導入管、100℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れた。窒素雰囲気下、180℃で1時間保温した後に180℃から230℃まで10℃/hで昇温し、その後230℃で6時間重縮合反応させた。230℃8.0kPaで1時間反応させた後、さらにアジピン酸及び無水トリメリット酸を210℃で反応させ、非晶性ポリエステルである樹脂AHを得た。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 2625g
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 1625g
・1,4-ブタンジオール 1125g
・テレフタル酸 2490g
・アジピン酸 219g
・無水トリメリット酸 960g
(樹脂AL)
下記に示すアジピン酸及び無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分、アルコール成分、2-エチルヘキサン酸錫(II)45g及び没食子酸5gを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れた。窒素雰囲気下、マントルヒーター中で、235℃で6時間重縮合させた後、200℃まで冷却した。その後、アジピン酸及び無水トリメリット酸を添加した後、210℃に昇温し、重縮合反応を行い、非晶性ポリエステルである樹脂ALを得た。
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 2625g
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(2.0mol付加) 1625g
・1,4-ブタンジオール 1125g
・テレフタル酸 2905g
・アジピン酸 146g
・無水トリメリット酸 336g
下記に示す樹脂を混合した結着樹脂100部、着色剤「ECB-301」(大日精化社製、C.I.ピグメントブルー15:3)5部、負帯電性荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット社製)1部及び離型剤「NP-105」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:140℃)2部を、ヘンシェルミキサーにてよく攪拌した。その後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。
ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱温度は120℃であり、混合物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ジェットミルで体積中位粒径(D50)6.5μmのトナー粒子を得た。
・樹脂AH :60部
・樹脂AL :30部
・結晶性ポリエステル樹脂C-12 :10部
得られたトナー粒子100部に、外添剤「アエロジル R-972」(疎水性シリカ、
日本アエロジル社製、疎水化処理剤:ジメチルジクロロシランDMDS、平均粒子径:16nm)1.0部及び「SI-Y」(疎水性シリカ、日本アエロジル社製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、個数平均粒子径:40nm)1.0部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添剤処理を行い、体積中位粒径(D50)6.5μmの比較トナー8を得た。物性を表6に示す。
<比較トナー9の製造>
(結晶性ポリエステル樹脂の分散液作製)
金属製2L容器に[結晶性ポリエステル樹脂C-13]を100g、酢酸エチル400gを入れ、75℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で27℃/分の速度で急冷した。これにガラスビーズ(3mmφ)500mlを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間粉砕を行い、[結晶性ポリエステル分散液]を得た。
(非晶性ポリエステル樹脂Dの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、イソフタル酸100部、テレフタル酸108部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れた。これを、常圧、230℃で10時間反応させ、さらに10~15mmHgの減圧で5時間反応させた後、反応容器に無水トリメリット酸30部を入れ、180℃、常圧で3時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂Dを得た。非晶性ポリエステル樹脂Dは、数平均分子量1800、重量平均分子量5500、Tg50℃、酸価20mgKOH/gであった。
(ポリエステルプレポリマー(結着樹脂前駆体)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れた。これを、常圧、230℃で8時間反応させ、さらに10~15mmHgの減圧で5時間反応させて[中間体ポリエステル]を得た。
[中間体ポリエステル]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価51mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー]を得た。[プレポリマー]の遊離イソシアネート量は、1.53質量%であった。
(ケチミンの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物]を得た。
(マスターバッチ(MB)の合成)
水1200部、カーボンブラック(Printex35デクサ製)〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕540部、非晶性ポリエステル樹脂D:1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を、2本ロールを用いて150℃で30分混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕し、[マスターバッチ]を得た。
(油相の作成)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、非晶性ポリエステル樹脂D:378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E-84:オリエント化学工業)22部
、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液]を得た。
[原料溶解液]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[非晶性ポリエステル樹脂D]の65%酢酸エチル溶液1042.3部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液]を得た。[顔料・WAX分散液]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
(有機微粒子エマルションの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30:三洋化成工業製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。
さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液]をLA-920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
(水相の調整)
水990部、[微粒子分散液]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON-7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相]とした。
(乳化・脱溶剤)
[顔料・WAX分散液]664部、[プレポリマー]を109.4部、[結晶性ポリエステル分散液]を73.9部、[ケチミン化合物]4.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー]を得た。
(洗浄・乾燥)
[分散スラリー]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過する。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する。
という(1)~(4)の操作を2回行い[濾過ケーキ]を得た。
[濾過ケーキ]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100部に、外添剤「アエロジル R-972」(疎水性シリカ、
日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)1.0部及び「SI-Y」(疎水性シリカ、日本アエロジル社製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、個数平均粒子径:40nm)1.0部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添剤処理を行い、体積中位粒径(D50)6.5μmの比較トナー9を得た。比較トナー9の物性を表6に示す。
Figure 0007379035000006

融点の単位は℃である。
Figure 0007379035000007
Figure 0007379035000008
<実施例1>
HP LaserJet Enterprise M609dnを、プリンターの将来的な更なる高速化を考慮して、プロセススピードを410mm/秒に改造して使用した。トナー1の評価を行った結果を、表7に示す。
<低温定着性1;ベタ画像のポツ抜け評価>
擦り濃度低下率は、上記評価機の定着器を外部に取り出し、定着器の温度を任意に設定可能にし、プロセススピードを410mm/秒となるように改造した外部定着器を用いた。
上記装置を用い、低温低湿環境下(温度15℃、湿度10%RH)において、単位面積当たりのトナー載り量を1.0mg/cmに設定した未定着画像を、190℃に温調した上記定着器に通した。評価紙は低温定着性に不利である凹凸のある厚紙であるFOX RIVER BOND紙(110g/m2)を用いた。得られたベタ定着画像のうち、ト
ナーが抜けて白くみえる箇所をポツ抜け発生箇所と定義して、ポツ抜けの個数を数えた。ポツ抜け個数が少ないほど、定着性が良好であることを示す。
<低温定着性2;ベタ画像の擦り性評価>
低温定着性1の定着画像を、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけたシルボン
紙で摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価した。画像濃度低下率が小さい定着性が良好であることを示す。画像濃度は、反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定した。
<耐久後の画像濃度>
上記改造機を用いて評価を行った。カートリッジのトナーを空にした後、トナー1をカートリッジに700g充填した。
印字率が1.5%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、25000枚の画出し試験を実施した。評価は高温高湿環境(温度32.5℃、湿度85%RH)で行った。評価紙はPB PAPER(キヤノンマーケティングジャパン社製、坪量66g/cm、レター)を用いた。
25001枚目において、先端余白5mm、左右余白5mmで、左、右、中央の3箇所、さらにこれを長手方向に30mm間隔で3箇所、合計で9個に5mm×5mmのベタ黒パッチ画像を有するチェック画像を出力した。
このチェック画像の9箇所のベタ黒パッチ画像部分の画像濃度を測定し、平均値を求めた。画像濃度は反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して測定した。得られた画像濃度が高いほど耐久性が良好であることを示す。
<保存性>
カートリッジのトナーを空にした後、トナー1を700g充填した。まず駆動側を下として、300回タッピングを行い、トナーを圧密充填させた状態とした。その後、カートリッジを、駆動側を下とした状態で、苛酷環境下(温度40℃、湿度95%RH)に90日間放置することで、厳しい状態で苛酷保存性の評価を行った。
カートリッジを取り出した後、上記改造機を用いて、高温高湿環境(温度32.5℃、湿度85%RH)にて画出し試験を実施し、苛酷保存性の評価を行った。
画出し試験は、まず印字率が2.0%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンが一旦停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、20000枚の画出しを行った。その後、同環境にてチェック画像を出力した。
チェック画像としては、200mm×280mmのハーフトーン画像(ドット印字率23%)を出力し、チェック画像に縦スジが発生しているかどうかを目視にて観察し、下記の基準から評価を行った。
A:スジは発生していない。
B:1mm未満のスジが1本以上5本以下発生し、1mm以上のスジは発生していない。C:1mm未満のスジが6本以上発生し、1mm以上のスジは発生していない。
D:1mm以上のスジが発生している。
<実施例2~18>
トナー2~18を評価した結果を表7に示す。なお、以下、実施例15~18は、それぞれ参考例15~18とする。
Figure 0007379035000009

表7及び8中、低温定着性1の数値は、ポツ抜けの個数であり、低温定着性2の数値は、画像濃度の低下率(%)である。
<比較例1~9>
比較トナー1~9を評価した結果を表8に示す。
Figure 0007379035000010

Claims (7)

  1. 結着樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂を含有し、
    該結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含む酸成分との縮重合物であって、末端に脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び末端に脂肪族モノアルコールが縮合した構造の少なくともいずれかを有し、
    該脂肪酸ジオールの炭素数をC1とし、該脂肪族ジカルボン酸の炭素数をC2としたときに、
    炭素数C1及び炭素数C2の和が、8以上16以下であり、
    炭素数C1が下式(A)を満たし、
    (A) 2≦C1≦4
    該脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び該脂肪族モノアルコールが縮合した構造の炭素数C3が、6以上14以下であり、
    該トナーの示差走査熱量測定において、
    25℃から120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し、
    100m秒の間、120℃で温度を保持し、25℃まで1000℃/秒の速さで冷却した後に、
    120℃まで1000℃/秒の速さで昇温し、
    1度目の昇温におけるガラス転移温度をTg1(℃)とし、2度目の昇温におけるガラス転移温度をTg2(℃)としたとき、
    下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とするトナー。
    (1) 65℃≦Tg1≦85℃
    (2) 25℃≦Tg1-Tg2≦30℃
  2. 前記結晶性ポリエステル樹脂中の、前記脂肪族モノカルボン酸が縮合した構造及び前記脂肪族モノアルコールが縮合した構造の含有量の合計が、3質量%以上20質量%以下である請求項に記載のトナー。
  3. 前記ポリエステル樹脂組成物は、炭素数の平均値27以上50以下の前記長鎖アルキルモノアルコールが末端に縮合した構造及び炭素数の平均値27以上50以下の前記脂肪族炭化水素を含有する請求項又はに記載のトナー。
  4. 前記長鎖アルキルモノアルコールが、2級アルコールを含有する請求項のいずれか一項に記載のトナー。
  5. トナー粒子が、ワックスを含有し、
    該ワックスの融点と前記結晶性ポリエステル樹脂の融点の差が、0℃以上25℃以下である請求項1~のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 炭素数C1及び炭素数C2の和が、12以上16以下である請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記トナー粒子が、磁性粒子を含有しており、
    該磁性粒子の含有量が、結着樹脂100質量部に対して、25質量部以上100質量部以下である請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
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