JP2010122425A - ポリエステル樹脂用トナーワックス組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリエステル樹脂を主成分とする粉砕法トナーに使用するトナーワックスに関する。より詳しくは、ポリエステル樹脂からのブリードアウトを抑制して保存安定性を向上し、良好な低温定着性を付与するトナーワックス組成物に関する。
電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を有する複写機に用いるトナーには、粉砕法トナーや懸濁重合法、乳化重合法等のケミカル法トナーを挙げることができる。その中でも粉砕法トナーは、多くの設備を必要とせず容易に製造できること、溶剤等を使用しないことから環境への負荷が低い点で広範囲に使用されている。粉砕法トナーは、主成分となる熱可塑性樹脂中に着色剤(カーボンブラック、磁性粉、顔料等)、荷電制御剤、離型剤及びその他添加剤を乾式混合後、エクストルーダー等により溶融混練し、冷却固化後、粉砕および分級して得られる。さらに必要に応じて、流動性付与剤、帯電制御剤、クリーニング助剤、転写助剤等の外添剤をトナー表層に付着または固着させ、篩分により、粗大粉を除去して製造される。
トナー粒子は、定着工程において熱ロールにより加熱を受けて溶融することにより粘着性を示し、且つ加圧ロールにより圧力を受けることにより記録媒体表面に定着して画像が形成される。トナーワックスの機能としては、定着手段によってトナー像が記録媒体に定着される際に、トナー像を構成するトナーが定着ロールに付着することを防止し、トナー像の記録媒体への定着性を向上させる効果を有する。
従来、粉砕法トナー用熱可塑性樹脂は、主としてスチレン−アクリル樹脂が用いられていたが、近年の複写機の高機能化、省エネルギー化により、低温定着化、高画質化を達成するためにポリエステル系樹脂を使用するようになってきている。ポリエステル樹脂は、紙との親和性が高く、比較的分子量分布が広いために低温定着性が有利であり、且つ顔料の分散性が良好であり耐久性が優れていることを特徴としている。
従来、粉砕法トナー用熱可塑性樹脂は、主としてスチレン−アクリル樹脂が用いられていたが、近年の複写機の高機能化、省エネルギー化により、低温定着化、高画質化を達成するためにポリエステル系樹脂を使用するようになってきている。ポリエステル樹脂は、紙との親和性が高く、比較的分子量分布が広いために低温定着性が有利であり、且つ顔料の分散性が良好であり耐久性が優れていることを特徴としている。
一方、粉砕法トナーには、融点の高いパラフィン系の炭化水素ワックス等が使用されていたが、複写機の高機能化に伴い、種々の低融点のワックスを使用してトナー特性を改善する試みが行われている。具体的には、カルナウバワックス及びライスワックス等が挙げられる。しかし、複写機の省エネルギー化を達成するために、スチレン−アクリル樹脂と比較して低いガラス転移点温度を有し、トナーの低温定着化に効果的であるポリエステル樹脂にカルナウバワックス及びライスワックス等を使用した場合、55℃以下において融解する成分がワックス中に存在するため、保存条件下ならびに使用環境下においてトナー表面が一部軟化し、トナーのブロッキングが発生してしまうという問題がある。さらに、カルナウバワックス及びライスワックス等を内添したトナーは、ワックスに含有する樹脂分や着色成分等により、色再現性を悪化させる原因となるため、高画質化、フルカラー化の要求に十分対応できない場合がある。
そこで、カルナウバワックスやライスワックスの代替として、品質が均一であり、極性、融点、溶融粘度及び硬度等のトナーワックスに求められる物性を分子設計により制御することができる合成のエステルワックスが注目されている。特許文献1や特許文献2には、単官能直鎖脂肪酸と単官能直鎖アルコールまたは二官能直鎖アルコールから合成されるエステルワックスが提案されている。これらのエステルワックスでは、着色成分は残存しないために高い色再現性が維持され、保存安定性を向上し、且つ低温で定着できることは達成できるが、定着温度幅が狭くなる傾向にある。一方、特許文献3や特許文献4には、ポリオールアルコールと単官能直鎖脂肪酸から合成されるエステルワックスが提案されている。これらのエステルワックスでは、高い色再現性、低温定着性および耐オフセット性を向上させることはできるが、エステルワックスとポリエステル樹脂との相溶性、親和性が低いために、樹脂中での良好な微分散性を得られにくく、保存条件ならびに使用環境によって、エステルワックスがトナー粒子表層にブリードアウトするという現象を起こし、保存安定性を悪化させてしまう場合がある。また、特許文献5では、エステルワックスと炭化水素系ワックスの併用が提案されているが、トナーの保存安定性及び低温定着性を両立させることはできない。
以上のように従来の粉砕法トナーに用いるエステルワックスにおいては、高機能化、省エネルギー化を達成するポリエステル樹脂に対して保存安定性、低温定着性を両立するエステルワックスが求められていた。
特開平8−6285号公報
特開平8−297376号公報
特開2000−56505号公報
特開平7−98511号公報
特開平8−50367号公報
本発明は、低温領域における記録媒体に対する定着性に優れ、トナー粒子表層へのブリードアウトを低減して、保存時のトナー粒子同士のブロッキングを抑制できるトナーワックスを提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の脂肪酸エステルの組合せからなるトナーワックス組成物が、トナーの保存安定性および低温定着性を改善し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
式(1)で表される脂肪酸エステル(A)と式(2)で表される脂肪酸エステル(B)からなり、(A)と(B)とを重量比が30:70〜70:30で混合したポリエステル樹脂用トナーワックス組成物
すなわち本発明は、
式(1)で表される脂肪酸エステル(A)と式(2)で表される脂肪酸エステル(B)からなり、(A)と(B)とを重量比が30:70〜70:30で混合したポリエステル樹脂用トナーワックス組成物
本発明のポリエステル樹脂用トナーワックス組成物は、トナー粒子同士のブロッキングを抑制する、優れた保存安定性を付与し、高温保存時に、ポリエステル樹脂表層へのブリードアウトを防ぐことができる。
以下に更に詳細に発明の説明をする。
<脂肪酸エステル(A)>
本発明における脂肪酸エステル(A)は、直鎖飽和脂肪酸と直鎖飽和アルコールとのエステルであり、式(1)で表される。式(1)中のR1は、炭素数14〜26の直鎖飽和アルキル基であり、好ましくは、炭素数16〜22の直鎖飽和アルキル基、より好ましくは、炭素数18〜22の直鎖飽和アルキル基である。式(1)中のR2は、炭素数13〜25の直鎖飽和アルキル基であり、好ましくは、炭素数15〜21の直鎖飽和アルキル基、より好ましくは、炭素数17〜21の直鎖飽和アルキル基である。
<脂肪酸エステル(A)>
本発明における脂肪酸エステル(A)は、直鎖飽和脂肪酸と直鎖飽和アルコールとのエステルであり、式(1)で表される。式(1)中のR1は、炭素数14〜26の直鎖飽和アルキル基であり、好ましくは、炭素数16〜22の直鎖飽和アルキル基、より好ましくは、炭素数18〜22の直鎖飽和アルキル基である。式(1)中のR2は、炭素数13〜25の直鎖飽和アルキル基であり、好ましくは、炭素数15〜21の直鎖飽和アルキル基、より好ましくは、炭素数17〜21の直鎖飽和アルキル基である。
R1の炭素数が14未満であると、脂肪酸エステルとした場合、低温定着性は改良できるものの融解温度が低くなってしまい、トナーの保存安定性が悪化することがある。また、炭素数が26を超えると脂肪酸エステルの融解温度が高く、低温定着性が悪化し好ましくない。
R2の炭素数が13未満であると、脂肪酸エステルとした場合、低温定着性は改良できるものの融解温度が低くなってしまい、トナーの保存安定性が悪化することがある。また、炭素数が25を超えると脂肪酸エステルの融解温度が高く、低温定着性が悪化し好ましくない。
R2の炭素数が13未満であると、脂肪酸エステルとした場合、低温定着性は改良できるものの融解温度が低くなってしまい、トナーの保存安定性が悪化することがある。また、炭素数が25を超えると脂肪酸エステルの融解温度が高く、低温定着性が悪化し好ましくない。
脂肪酸エステル(A)の酸価は、5.0mgKOH/g以下、好ましくは、1.0mgKOH/g以下、水酸基価は、10.0mgKOH/g以下、好ましくは、4.0mgKOH/g以下、色相(Gardner)は、6以下、好ましくは、3以下、透明融点は、60.0〜80.0℃、好ましくは、65.0〜75.0℃である。
<脂肪酸エステル(B)>
本発明における脂肪酸エステル(B)は、直鎖飽和脂肪酸とネオペンチルポリオールとのエステルであり、式(2)で表される。
式(2)中のR3は、炭素数2〜8価のネオペンチルポリオール残基であり、ネオペンチルポリオールからヒドロキシル基を除いたものをいう。ネオペンチルポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。式(2)中のR4は炭素数14〜26の直鎖飽和アルキル基であり、好ましくは、炭素数16〜22の直鎖飽和アルキル基、より好ましくは、炭素数18〜22の直鎖飽和アルキル基である。
本発明における脂肪酸エステル(B)は、直鎖飽和脂肪酸とネオペンチルポリオールとのエステルであり、式(2)で表される。
式(2)中のR3は、炭素数2〜8価のネオペンチルポリオール残基であり、ネオペンチルポリオールからヒドロキシル基を除いたものをいう。ネオペンチルポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。式(2)中のR4は炭素数14〜26の直鎖飽和アルキル基であり、好ましくは、炭素数16〜22の直鎖飽和アルキル基、より好ましくは、炭素数18〜22の直鎖飽和アルキル基である。
R4の炭素数が13未満であると、脂肪酸エステルとした場合、融解温度が低くなってしまい、トナーの保存安定性が悪化して好ましくはない。また、炭素数が25を超えると脂肪酸エステルの融解温度が高くなり、定着温度領域が狭くなり好ましくはない。
脂肪酸エステル(B)の酸価は、5.0mgKOH/g以下、好ましくは、1.0mgKOH/g以下、水酸基価は、10.0mgKOH/g以下、好ましくは、4.0mgKOH/g以下、色相(Gardner)は、6以下、好ましくは、3以下、透明融点は、60.0〜95.0℃、好ましくは、65.0〜85.0℃である。
脂肪酸エステル(A)および脂肪酸エステル(B)の製造方法としては、酸化反応による合成法、脂肪酸及びその誘導体からの合成、脂肪酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応、エステル交換反応等の製造方法が挙げられる。反応の際には、触媒を使用しても良く、触媒としては、酸性またはアルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物が挙げられる。反応する際には、脂肪酸とアルコールとの同量のモル比の反応、あるいは1成分を大過剰に添加し反応させる。その後、再結晶法、蒸留法、溶剤抽出法などにより高純度化させてもよい。
<ポリエステル樹脂用トナーワックス組成物>
本発明のポリエステル樹脂用トナーワックス組成物は、脂肪酸エステル(A)と脂肪酸エステル(B)とを重量比30:70〜70:30で混合したものである。各成分の混合比を超えた場合、十分な保存安定性および低温定着性が得られない。
本発明のポリエステル樹脂用トナーワックス組成物は、脂肪酸エステル(A)と脂肪酸エステル(B)とを重量比30:70〜70:30で混合したものである。各成分の混合比を超えた場合、十分な保存安定性および低温定着性が得られない。
本発明のトナーワックス組成物を得るには、脂肪酸エステル(A)および脂肪酸エステル(B)をそれぞれ合成して混合してもよく、一括で合成してもよい。混合する場合、好ましくは、それぞれ合成した脂肪酸エステル(A)と脂肪酸エステル(B)とを透明融点以上の温度で加熱溶解して均一に混合後、冷却固化して粉砕または造粒して製造する。
トナーワックス組成物の酸価は、5.0mgKOH/g以下、好ましくは、1.0mgKOH/g以下、水酸基価は、10.0mgKOH/g以下、好ましくは、4.0mgKOH/g以下、色相(Gardner)は、6以下、好ましくは、3以下、透明融点は、60.0〜80.0℃、好ましくは、60.0〜75.0℃である。
トナーワックス組成物の使用量としては、ポリエステル樹脂に対して1〜10重量%であり、好ましくは、2〜6重量%である。
また、粉砕法トナーに用いるポリエステル樹脂は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物等のポリオールとマレイン酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、n−オクチルコハク酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸から合成されたものである。
本発明のトナーワックス組成物には、着色剤、赤外線吸収剤、帯電制御剤を含んでもよい。
以下に本発明のトナーワックス組成物の製造例、およびそれを用いたトナーの製造方法およびトナーの評価結果を示すことで本発明を具体的に説明する。また、表中の「部」は重量部を表す。
(1)トナーワックス組成物の製造および評価
(実施例1)
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコにアルコールとしてベヘニルアルコール100g(0.319mol)(a−4)、ペンタエリスリトール20g(0.143mol)(c−2)、および脂肪酸としてベヘン酸305g(0.937mol)(b−3,d−3)を加え、窒素気流下、220℃でエステル化反応を行った。得られたエステル化粗生成物は390.5gであり、酸価が6.5mgKOH/gであった。このエステル粗生成物にトルエン20.5gおよび2−プロパノール39.1gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。ついで、用いたエステル化粗生成物100重量部に対して40重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離、除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を留去し、濾過を行い、融点68.5℃、酸価0.1mgKOH/g、水酸基価1.1mgKOH/g、色相(Gardner)が3のトナーワックス組成物を363.2g得た。脱酸に供したエステル化粗成生物に対する収率は93.0%であった。
得られたトナーワックス組成物の、酸価、水酸基価、透明融点、色相を下記により測定した。結果を表5に示す。
(1)トナーワックス組成物の製造および評価
(実施例1)
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコにアルコールとしてベヘニルアルコール100g(0.319mol)(a−4)、ペンタエリスリトール20g(0.143mol)(c−2)、および脂肪酸としてベヘン酸305g(0.937mol)(b−3,d−3)を加え、窒素気流下、220℃でエステル化反応を行った。得られたエステル化粗生成物は390.5gであり、酸価が6.5mgKOH/gであった。このエステル粗生成物にトルエン20.5gおよび2−プロパノール39.1gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。ついで、用いたエステル化粗生成物100重量部に対して40重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離、除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を留去し、濾過を行い、融点68.5℃、酸価0.1mgKOH/g、水酸基価1.1mgKOH/g、色相(Gardner)が3のトナーワックス組成物を363.2g得た。脱酸に供したエステル化粗成生物に対する収率は93.0%であった。
得られたトナーワックス組成物の、酸価、水酸基価、透明融点、色相を下記により測定した。結果を表5に示す。
<測定方法>
酸価:JOCS 2.3.1−1996に準拠し、測定した。
水酸基価:JOCS 2.3.6.2−1996に準拠し、測定した。
色相(Gardner、溶融時):JOCS 2.2.1.3−1996に準拠し、測定した。
透明融点:JIS K−0064に準拠し、測定した。
酸価:JOCS 2.3.1−1996に準拠し、測定した。
水酸基価:JOCS 2.3.6.2−1996に準拠し、測定した。
色相(Gardner、溶融時):JOCS 2.2.1.3−1996に準拠し、測定した。
透明融点:JIS K−0064に準拠し、測定した。
(実施例2)
脂肪酸エステル(A)
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコにアルコールとしてベヘニルアルコール100g(0.319mol)(a−4)、カルボン酸としてステアリン酸87.6g(0.319mol)(b−2)を加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル化粗生成物は179.5gであり、酸価が5.2mgKOH/gであった。このエステル粗生成物にトルエン17.9gおよび2−プロパノール17.9gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。ついで、用いたエステル化粗生成物100重量部に対して40重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を流去し、濾過を行い、脂肪酸エステルを165.1g得た。脱酸に供したエステル化粗成生物に対する収率は92.0%であった。
脂肪酸エステル(A)
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコにアルコールとしてベヘニルアルコール100g(0.319mol)(a−4)、カルボン酸としてステアリン酸87.6g(0.319mol)(b−2)を加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル化粗生成物は179.5gであり、酸価が5.2mgKOH/gであった。このエステル粗生成物にトルエン17.9gおよび2−プロパノール17.9gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。ついで、用いたエステル化粗生成物100重量部に対して40重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を流去し、濾過を行い、脂肪酸エステルを165.1g得た。脱酸に供したエステル化粗成生物に対する収率は92.0%であった。
脂肪酸エステル(B)
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコにアルコールとしてペンタエリスリトール18g(0.129mol)(c−2)、カルボン酸としてべヘン酸175.2g(0.515mol)(d−4)を加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル化粗生成物は181.5gであり、酸価が6.7mgKOH/gであった。このエステル粗生成物にトルエン54.5gおよび2−プロパノール36.3gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。ついで、用いたエステル化粗生成物100重量部に対して40重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を流去し、濾過を行い、脂肪酸エステルを164.3g得た。脱酸に供したエステル化粗成生物に対する収率は90.5%であった。
温度計、窒素導入管、攪拌羽および冷却管を取り付けた4つ口フラスコにアルコールとしてペンタエリスリトール18g(0.129mol)(c−2)、カルボン酸としてべヘン酸175.2g(0.515mol)(d−4)を加え、窒素気流下、220℃で反応させた。得られたエステル化粗生成物は181.5gであり、酸価が6.7mgKOH/gであった。このエステル粗生成物にトルエン54.5gおよび2−プロパノール36.3gを入れ、エステル化粗生成物の残存酸価の2.0倍当量に相当する量の水酸化カリウムを含む10%水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置して水層部を除去して脱酸工程を終了した。ついで、用いたエステル化粗生成物100重量部に対して40重量部のイオン交換水を入れて、70℃で30分間攪拌した後、30分間静置して水層部を分離・除去した。排水のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。残ったエステル層を180℃、1kPaの減圧条件下で溶媒を流去し、濾過を行い、脂肪酸エステルを164.3g得た。脱酸に供したエステル化粗成生物に対する収率は90.5%であった。
得られた脂肪酸エステル(A)を40.0g、脂肪酸エステル(B)を60.0gとり、90℃で加熱溶解して、均一になるように混合し、冷却・固化後粉砕してトナーワックスを得た。
得られたトナーワックス組成物の、酸価、水酸基価、透明融点、色相を実施例1と同様に測定した。結果を表5に示す。
得られたトナーワックス組成物の、酸価、水酸基価、透明融点、色相を実施例1と同様に測定した。結果を表5に示す。
(実施例3〜7)
表1〜表4に示す脂肪酸およびアルコールを用いて、実施例1、2と同様にして脂肪酸エステルの合成を行い、トナーワックス組成物を得た。実施例1と同様にして、測定を行った。結果を表5に示す。
表1〜表4に示す脂肪酸およびアルコールを用いて、実施例1、2と同様にして脂肪酸エステルの合成を行い、トナーワックス組成物を得た。実施例1と同様にして、測定を行った。結果を表5に示す。
(比較例1〜7)表1〜表4に示すカルボン酸およびアルコールを用いて、実施例1、2と同様にして脂肪酸エステルの合成を行い、トナーワックス組成物を得た。実施例1と同様にして、測定を行った。結果を表5に示す。
(2)トナーの製造および評価
ポリエステル樹脂(軟化点65℃)95部、実施例1で得られた脂肪酸エステル3部、カーボンブラック10部、およびニグロシン染料3部を高速攪拌して溶融混合した。室温まで冷却した後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、続いてエアージェットミル方式による微粉砕機を用いて微粉砕した。得られた微粉砕品を風力分級機により分級し、平均粒子径9μmとした。本粒子100部に対して、流動化剤として酸化チタン微粉末(平均粒径0.02μm)1部を添加混合して、1成分系磁性トナー「T−1」を得た。以下、上記と同様の操作により、実施例2から実施例7で得られた脂肪酸エステルを、表6で示す添加量で、各々1成分系磁性トナー「T−2」、「T−3」、「T−4」、「T−5」、「T−6」、「T−7」、「T−8」および「T−9」を得た。
得られたトナーについて、下記試験法により保存安定性、定着性を調べた。結果を表6に示す。
ポリエステル樹脂(軟化点65℃)95部、実施例1で得られた脂肪酸エステル3部、カーボンブラック10部、およびニグロシン染料3部を高速攪拌して溶融混合した。室温まで冷却した後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、続いてエアージェットミル方式による微粉砕機を用いて微粉砕した。得られた微粉砕品を風力分級機により分級し、平均粒子径9μmとした。本粒子100部に対して、流動化剤として酸化チタン微粉末(平均粒径0.02μm)1部を添加混合して、1成分系磁性トナー「T−1」を得た。以下、上記と同様の操作により、実施例2から実施例7で得られた脂肪酸エステルを、表6で示す添加量で、各々1成分系磁性トナー「T−2」、「T−3」、「T−4」、「T−5」、「T−6」、「T−7」、「T−8」および「T−9」を得た。
得られたトナーについて、下記試験法により保存安定性、定着性を調べた。結果を表6に示す。
<トナーの保存安定性試験法>
トナーを密閉容器に入れ、55℃の恒温槽で24時間静置した後、トナーを取り出して60メッシュフィルターを用いて一定の振動を加えてトナーを通過させた。このとき、トナーのフィルター通過後の重量比率(%)がトナー総重量の95%以上の場合を、トナーの保存安定性が「良」、95%未満の場合を「不良」であるとした。また、試験後の試料の一部について表面状態を電子顕微鏡で観察し、表面状態に変化がみられない場合は「良」、変化がみられた場合は「不良」とした。
トナーを密閉容器に入れ、55℃の恒温槽で24時間静置した後、トナーを取り出して60メッシュフィルターを用いて一定の振動を加えてトナーを通過させた。このとき、トナーのフィルター通過後の重量比率(%)がトナー総重量の95%以上の場合を、トナーの保存安定性が「良」、95%未満の場合を「不良」であるとした。また、試験後の試料の一部について表面状態を電子顕微鏡で観察し、表面状態に変化がみられない場合は「良」、変化がみられた場合は「不良」とした。
<定着性試験法>
市販のモノクロ複写機(キヤノン製LBP404G)を用いて、画像出しを行った。このときのトナーの定着を以下のように評価した。粘着テープ(スコッチメンディングテープ;住友3M社製)を複写画像の表面に貼り、直径5cmで重量が500gのおもりを乗せ、1分間放置した。放置後、テープを一定速度で剥がし、テープへの付着状態を目視で観察して定着性を評価した。表3における定着性は、テープへの付着物がなく、定着性の良いものを「○」、テープへの付着物が多く、定着性の悪いものを「×」とした。
市販のモノクロ複写機(キヤノン製LBP404G)を用いて、画像出しを行った。このときのトナーの定着を以下のように評価した。粘着テープ(スコッチメンディングテープ;住友3M社製)を複写画像の表面に貼り、直径5cmで重量が500gのおもりを乗せ、1分間放置した。放置後、テープを一定速度で剥がし、テープへの付着状態を目視で観察して定着性を評価した。表3における定着性は、テープへの付着物がなく、定着性の良いものを「○」、テープへの付着物が多く、定着性の悪いものを「×」とした。
実施例1で得られた脂肪酸エステルの代わりに、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5、比較例6および比較例7で得られた脂肪酸エステルを使用し、実施例1と同様の操作を行い、各々表3に記載のトナー「T−10」、「T−11」、「T−12」、「T−13」、「T−14」、「T−15」および「T−16」を得た。得られたトナーについて実施例1と同様に試験を行った。その結果を表6に示す。
表6に示すトナー「T−1」〜「T−9」では保存安定性、定着性が優れていた。
一方、比較例において、(B)成分の脂肪酸エステルの配合比率を過剰にしたトナー「T−10」〜「T−11」では、保存安定性が劣る結果となり、(A)成分の脂肪酸エステルの配合比率を過剰にしたトナー「T−12」〜「T−13」では、保存安定性が良好であるものの定着性が劣る結果となった。また、(A)成分の主成分アルキル鎖と(B)成分の主成分アルキル鎖の差が大きい場合、混合脂肪酸エステルの低融点化が起こり、保存安定性が悪くなる傾向が見られた。パラフィン系ワックスとの混合では、それぞれ保存安定性が悪い傾向が見られた。
一方、比較例において、(B)成分の脂肪酸エステルの配合比率を過剰にしたトナー「T−10」〜「T−11」では、保存安定性が劣る結果となり、(A)成分の脂肪酸エステルの配合比率を過剰にしたトナー「T−12」〜「T−13」では、保存安定性が良好であるものの定着性が劣る結果となった。また、(A)成分の主成分アルキル鎖と(B)成分の主成分アルキル鎖の差が大きい場合、混合脂肪酸エステルの低融点化が起こり、保存安定性が悪くなる傾向が見られた。パラフィン系ワックスとの混合では、それぞれ保存安定性が悪い傾向が見られた。
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