JP2021165858A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿環境下においても、高印字率画像の後端オフセットの発生が抑制された高品位な画像を得ることが可能なトナー。ヒートサイクルの履歴を受けた後でもカブリの抑制された高品位な画像を得ることが可能なトナー。
【解決手段】結着樹脂、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーを、100℃から20℃まで0.5℃/minで降温する過程で得られる第一のDSC曲線において、40℃以上80℃以下に2つ以上の結晶化ピークのピークトップが存在し、該結晶化ピークの最も低温側にあるピークの発熱量をΔH(0.5)とし、該トナーを、同様に100℃/minで降温する過程で得られる第二のDSC曲線の最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量をΔH(100)としたときに、比〔ΔH(100)/ΔH(0.5)〕が2.0以上6.0以下であるトナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法などを利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
近年、複写機やプリンター等の画像形成装置は、使用目的及び使用環境の多様化が進むと共に、更なる高速化、高画質化、高安定化が求められている。また、同時に複写機やプリンターにおいては、装置の小型化や省エネ化が進んでいる。
近年の高画質化、更に省エネ化に対応するためには、各電子写真プロセス工程の最適化が重要となるが、その中でも特に画質に対しては従来から静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程の最適化が重要であり、省エネ化に対しては、低温で十分な定着を行うことが重要となる。
定着性改善の手段として、トナーの結着樹脂に迅速に相溶し、トナー粒子の溶融変形を促す結晶性ポリエステルをトナーに使用することが、近年、幅広く検討されている(特許文献1〜3参照)。低温定着性に効果の高い結晶性ポリエステルは、その融点付近において、結着樹脂に相溶しやすく、定着時に、トナーが迅速に溶融変形しやすくなる。このため、結晶性ポリエステルを用いることで、トナーの低温定着性は向上する。また、ワックスを併用することで、トナーに定着器に対する離型性能を付与することができ、さらなる定着性の向上も期待できる。
しかし、結晶性ポリエステルは、結着樹脂に相溶し易いという特性を持つがために、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステルが存在しやすくなり、トナーの帯電安定性の低下を招きやすい。トナーの帯電安定性が低下すると、現像性が低下することで画像濃度が低下しやすい。さらに、温度の高低が繰り返される(以下、ヒートサイクルとも称する)苛酷な環境で保管されることにより、結着樹脂に相溶している結晶性ポリエステルがトナー粒子表面に染み出しやすくなる。その結果、トナーの表面組成が、ヒートサイクル前後で変動してしまい、例えばカブリ等の性能が大幅に低下してしまう。
この問題に対し、結晶性ポリエステルの結着樹脂へ相溶する量を減らす検討がされている。相溶する量を減らすとは、結晶性ポリエステルの結晶化度が高い状態を達成することを意味する。結晶性ポリエステルを結晶化させる狙いを有するトナーの製造方法に関し、以下のような検討がされている。特許文献4では、冷却速度を制御することにより、結晶性ポリエステルの結晶化度を向上させている。また、特許文献5では、冷却中にアニール処理工程を設け、結晶化度を向上させている。
特開2013−137420号公報 特開2013−15673号公報 特開2011−237801号公報 特開2010−145550号公報 特開2014−211632号公報
しかし、上記特許文献4及び5について、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステルが存在することによる帯電安定性の低下や、様々な物流等を想定した際の、ヒートサイクル環境に対する耐性という観点では、改良の余地がある。
また、更なる高画質化を求める観点で定着工程に着目してみると、使用目的及び使用環境の多様化に伴い顕在化した課題として、高温高湿環境における高印字率画像の後端のオフセットという問題がある。
一般的に、定着工程においては、トナーによる未定着画像が形成された紙が定着器を通過する際(特に通過する部分を以下、定着ニップと呼ぶ)、熱と圧力が与えられることにより、紙に対してトナーが定着される。
低印字率画像より、高印字率画像でオフセットが厳しい理由は、おそらくトナー層に与えられる熱量によるものと思われる。高印字率画像になるほど、定着器からの熱量がより多くのトナーに分散されるために、溶融が不十分なトナーが多くなる傾向にある。すなわち定着不良が起きやすい状態となる。
さらに、紙の後端になるほど、定着ニップ部から与えられる熱量が小さくなる傾向があるため、画像の後端のほうが、定着性が不利になりやすい。
特に、上記のオフセット現象は、高温高湿環境に放置された紙で顕著になる傾向がある。これはおそらく、放置されて水分を多く含んだ紙が定着器を通過する際に、定着ニップ部において、定着器からの熱を受けて、紙から水蒸気が発生することで、紙の上のトナー層が定着フィルム側に押されることによると推測している。
すなわち、高印字率画像の後端で定着不良が起きやすい状態で、高温高湿環境に放置された紙を使用すると、上記のオフセット現象が発生しやすい。
また、従来からトナーの定着性改善のために軟化温度を低く設計する等の改良が行われてきた。しかしながら、そのような設計の場合、熱が十分に付与された部分の熱溶融性は向上するものの、高印字率画像の後端など、与えられる熱量が十分でない場合には、トナーの溶融スピードが追い付かず、高印字率画像の後端オフセットの抑制は困難であった。以上の通り、高温高湿環境下においても、高印字率画像の後端オフセットの発生が抑制され、かつヒートサイクルの履歴を受けた後でもカブリの抑制された高品位な画像を得ることが可能なトナーが求められている。
本発明は、上記課題を解決したトナーを提供する。
より詳しくは、高温高湿環境下においても、高印字率画像の後端オフセットの発生が抑制された高品位な画像を得ることが可能なトナーを提供する。
また、ヒートサイクルの履歴を受けた後でもカブリの抑制された高品位な画像を得ることが可能なトナーを提供する。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記のトナーにより上記課題を解決可能であることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、結着樹脂、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーが、第一のDSC曲線において、40℃以上80℃以下に2つ以上の結晶化ピークのピークトップを有し、該第一のDSC曲線が、示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃まで昇温した後、100℃から20℃まで速度0.5℃/minでトナーを降温する過程で得られるものであり、
該トナーが下記式を満たすことを特徴とするトナー。
2.0≦(ΔH(100)/ΔH(0.5))≦6.0
式中、ΔH(0.5)は、該第一のDSC曲線における2つ以上の結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)を示し、
ΔH(100)は、第二のDSC曲線の40℃以上80℃以下にピークトップが存在する結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)を示し、該第二のDSC曲線が、示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃まで昇温した後、100℃から20℃まで100℃/minで降温する過程で得られるものである。
本発明によれば、高温高湿環境下においても、高印字率画像の後端オフセットの発生が抑制された高品位な画像を得ることが可能なトナーを提供することができる。また、ヒートサイクルの履歴を受けた後でもカブリの抑制された高品位な画像を得ることが可能なトナーを提供することができる。
結晶性ポリエステルのドメインの模式図 画像形成装置の一例を示す模式図
以下、本発明を詳細に説明するが、これらに限定されるわけではない。
本発明は、結着樹脂、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーである。
そして、該トナーを、示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃まで昇温した後、100℃から20℃まで0.5℃/minで降温する過程で得られる第一のDSC曲線において、40℃以上80℃以下に2つ以上の結晶化ピークのピークトップが存在し、
該2つ以上の結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)をΔH(0.5)とし、
該トナーを、示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃まで昇温した後、100℃から20℃まで100℃/minで降温する過程で得られる第二のDSC曲線の40℃以上80℃以下にピークトップが存在する結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)をΔH(100)としたときに、
ΔH(100)とΔH(0.5)との比〔ΔH(100)/ΔH(0.5)〕が2.0以上6.0以下であるトナーである。
まず、後端オフセットは、高温高湿環境における高印字率画像において顕在化する。特に、紙の後端に発生しやすい。
低印字率画像より、高印字率画像でオフセットが厳しい理由は、上述したように、トナー層に与えられる熱量によるものと推測している。高印字率画像になるほど、定着器からの熱量がより多くのトナーに分散されるために、溶融が不十分なトナーが多くなる傾向にある。すなわち定着不良が起きやすい状態となる。
さらに、紙の後端になるほど、定着ニップ部から与えられる熱量が小さくなりやすい。その結果、画像の後端のほうが、定着性が不利になりやすいため、より後端オフセットが発生しやすい。
定着器に水分を多く含んだ紙を通紙した場合、定着ニップ部で定着器からの熱により、水蒸気が発生する。トナーの定着性が十分な場合は、トナー同士が結着するとともに紙の繊維に対して定着するために、高印字率の画像を出力しても良好な画像が得られる。
一方、紙上のトナーの定着性が不十分であると、この水蒸気によってトナーが紙から定着フィルム側に押しつけられることになる。その結果、高印字率画像を出力した場合、点々と白く抜けた、ポツ抜け画像になりやすい。
すなわち、高印字率画像の後端で定着不良が起きやすい状態で、水分を多く含む、高温高湿環境に放置されたような紙を使用すると、紙の後端がポツ抜けした画像となる。
ここで、トナーの示差走査熱量計(DSC)による測定において、上述の挙動を示す場合に、この後端オフセットを抑制することが可能である。
すなわち、上述のような測定過程で得られる第一のDSC曲線において、40℃以上80℃以下に2つ以上の結晶化ピークのピークトップを存在するということは、同温度範囲に結晶化ピークのピークトップを持つ、2種以上の結晶性物質をトナーが含有していることを意味している。40℃以上80℃以下の結晶化ピークのピークトップの数は5以下であることが好ましく、より好ましくは2以上3以下である。
本発明におけるトナーは、その結晶性物質として結晶化しやすい点で結晶性ポリエステルを含有することが重要である。そして、2つ以上の結晶化ピークのうち、最も低温側にある結晶化ピークが、該結晶性ポリエステルに由来することが好ましい。また、ΔH(100)及びΔH(0.5)の両方が、該結晶性ポリエステル由来の結晶化ピークの発熱量であることがより好ましい。
100℃まで昇温させることで、結晶化ピーク温度よりも十分に高い温度となり、トナー中に含有される結晶性物質が、一度完全に非結晶状態となる。100℃という高温状態においては、非結晶状態となった結晶性物質は、トナーを構成する結着樹脂と相溶状態になると考えられる。
次に、0.5℃/minという降温速度は、十分に遅い降温速度と考えられる。結晶化速度の比較的遅い結晶性物質でも、2.0℃/min程度の降温速度であれば、結晶化しやすく、結晶化ピークも大きくなりやすい傾向がある。本発明においては、再現性高く結晶化ピークについて解析するため、十分に遅い0.5℃/minという降温速度で測定した。
一方、100℃/minという降温速度については、十分に速い降温速度と考えられる。結晶化速度の比較的遅い結晶性物質は、50℃/minの降温速度であれば、結晶化ピークの温度付近においても、結晶化しにくく、結晶化ピークも小さくなりやすい。本発明においては、上記同様、再現性高く結晶化ピークについて解析するため、十分に速い100℃/minという降温速度で測定した。
これを前提として、該結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークにおいて、100℃から20℃まで100℃/minで降温したときの発熱量(J/g)をΔH(100)とし、100℃から20℃まで0.5℃/minで降温したときの発熱量(J/g)をΔH(0.5)としたとき、ΔH(100)とΔH(0.5)との比〔ΔH(100)/ΔH(0.5)〕が2.0以上6.0以下であることが重要である。
まず、複数ある結晶化ピークのうち、最も低温側にある結晶化ピークが、速い降温速度のときの方が大きくなるということは、より高温側に結晶化ピークを持つ結晶性物質と相互作用をしていることを示唆する。
特に、ΔH(100)/ΔH(0.5)が2.0以上であるということは、この相互作用が非常に強いと推測される。
メカニズムについては定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。
相互作用の強さは、後述するように、異なる結晶性物質の種類や添加量にも影響を受けると考えられる。本発明者らは、ΔH(100)/ΔH(0.5)が2.0以上であることにより、トナー粒子中で、全体的に異なる結晶性物質が微分散しながら、互いに近傍に存在しているために、非常に強い相互作用を発揮しうると考えている。
さらに、最も低温側にある結晶化ピークについて、速い降温速度でのピークの方が大きくなるように制御するには、より高温側に結晶化ピークを持つ結晶性物質に比較して、結晶化度が高くなりやすい結晶性物質を含有させることが好ましい。
この点で低温側に結晶化ピークを持つ結晶性物質としては、結晶化度が高くなりやすい結晶性ポリエステルとすることが好ましい。さらにより高温側の結晶化ピークを持つ結晶性物質としては、結晶性ポリエステルの結晶化を助長する効果を持つ結晶性物質が好ましい。例えば、該高温側の結晶化ピークが、エステルワックスなどのワックスに由来することが好ましい。
上述のようなDSC挙動を示すトナーとすることで、低温側にある結晶化ピークを持つ結晶性物質は、結晶化度が高くなりやすいだけでなく、定着時により低温で周囲の結着樹脂を可塑化する速度を速くすることが可能になる。
上述したように、低温に結晶化ピークを持ち、結晶化度が高くなりやすい結晶性物質が微分散していることにより、トナー粒子全体を迅速に可塑化することが可能となり、結果として、高印字率画像の後端でも、後端オフセットが抑制できると考えられる。
一方で、結晶性ポリエステルがトナー粒子表面に染み出している場合、トナーの帯電安定性が著しく低下してしまい、カブリなどの電子写真特性が低下してしまう。また、トナー粒子表面に染み出していない場合であっても、結晶性ポリエステルが結着樹脂に相溶している場合、温湿度等の影響を強く受ける苛酷環境に放置した場合、結晶性ポリエステルがアニール処理されて結晶化し、トナー粒子表面に染み出してしまう。
この結晶化という現象に着目すると、本発明者らの検討によれば、水系媒体中で結晶性ポリエステルを結晶化させた場合、トナー粒子に結晶性ポリエステルが内包化された状態で結晶化しやすい。一方、空気中で結晶性ポリエステルを結晶化させた場合は、逆に、結晶性ポリエステルがトナー粒子の表面に染み出しながら結晶化する。
このように、どの環境で結晶化するかによって、結晶性ポリエステルの存在が変わる現象は、結晶性ポリエステルとその周囲の環境の親水性・疎水性で説明することができる。結晶性ポリエステルは疎水性である。一方、水系媒体は親水性、空気は疎水性である。つまり、水系媒体中で結晶化させた場合、水と結晶性ポリエステルは親和性が低く、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステルは存在しにくい。逆に、苛酷環境のような空気中で結晶化させた場合、空気と結晶性ポリエステルは親和性が高く、トナー粒子の表面に結晶性ポリエステルが染み出しやすい。
すなわち、上記DSC挙動を満足することにより、常温においては、結晶性ポリエステルの結晶化度を向上させながら内包化し、定着時に、より低温かつ迅速に周囲の結着樹脂を可塑化することが可能となる。
特に、最も低温側に結晶化ピークを持つ結晶性ポリエステルの結晶化度が高くなりやすいことで、例えば、ヒートサイクルを受けて、高温状態で非結晶状態になったとしても、すぐに結晶状態に戻りやすく、その結果、表面に染み出しにくい。すなわち、ヒートサイクルの履歴を受けたとしても、トナーの表面性の変動が少なく、カブリの抑制された高品位な画像が得られやすい。
また、ΔH(100)/ΔH(0.5)が6.0以下であるということは、結晶性ポリエステルやワックスの種類や添加量を選定しやすく好ましい。
ΔH(100)/ΔH(0.5)は、好ましくは2.5以上5.5以下であり、より好ましくは2.5以上5.0以下である。ΔH(0.5)は、結晶性物質の種類や添加量等により制御することができる。
ここで、ΔH(100)が2.5J/g以上15.0J/g以下であることが好ましく、4.0J/g以上13.0J/g以下であることがより好ましい。
ΔH(100)が上記範囲であることにより、後端オフセットの抑制、及びヒートサイクル履歴後のカブリの抑制の点で好ましい。
ΔH(100)は、結晶性物質の含有量及び、複数含有する結晶性物質の種類を適宜選択することなどにより制御することができる。
特に、ΔH(100)が2.5J/g以上であると、結晶性ポリエステルの結晶化度が上がりやすく、相溶成分が増えにくいため、ヒートサイクル履歴後のカブリを抑制できる。
一方、ΔH(0.5)は、0.5J/g以上3.5J/g以下であることが好ましい。
また、DSCを用いて100℃から20℃まで0.5℃/minで降温する過程で得られる該結晶性ポリエステルの結晶化ピーク(Pp)のピーク温度をTp(℃)とし、DSCを用いて100℃から20℃まで0.5℃/minで降温する過程で得られる該ワックスの結晶化ピーク(Pw)のピーク温度をTw(℃)としたとき、該Tpと該Twが下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
5 ≦Tw−Tp≦ 30 (1)
また、好ましくは、Tw≦100であり、40≦Tpである。
上記(1)式を満たすことにより、ワックスが結晶性ポリエステルの造核剤として働きやすい。ワックスと結晶性ポリエステルの結晶化温度が非常に近く、(Tw−Tp)の値が5未満の場合や、逆に非常に離れて、(Tw−Tp)の値が30を超えるような場合には、上記造核作用が働きにくい傾向にある。
Tw−Tpは、好ましくは5以上20以下である。Tw及びTpは、ワックスや結晶性ポリエステルの種類により制御することができる。
本発明においては、結晶性ポリエステル及びワックスを複数、使用することも可能である。その場合、結晶化のピーク温度の最も低いワックスと結晶化ピークの最も低い結晶性ポリエステルが、式(1)を満たすことが好ましい。
本発明に用いるワックスの結晶化のピーク温度Tw(℃)は、50℃以上90℃以下であることがより好ましい。
ワックスとしては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
本発明においては、ワックスがエステルワックスを含有することが好ましい。エステルワックスの有するエステル結合と、結晶性ポリエステルの有するエステル結合の相互作用により、エステルワックスを結晶核として結晶性ポリエステルの結晶成長が進みやすく、結晶性ポリエステルの結晶化度をより高めやすい。
本発明において、該エステルワックスは、2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル化合物、及び2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル化合物のいずれかであることが好ましい。エステルワックス中のエステル結合の数が増えると、結着樹脂とエステルワックスの相溶性が向上し、結晶核の形成数を増やしやすくなる。一方、エステルワックス中のエステル結合の数が減少すると、結晶性ポリエステルとのエステル結合による相互作用の効果が向上し、結晶性ポリエステルの結晶成長が促進される。
エステルワックスがエステル結合を一つ含有する構成としては、炭素数6〜12の脂肪族アルコールと長鎖カルボン酸の縮合物や、炭素数4〜10の脂肪族カルボン酸と長鎖アルコールの縮合物が使用できる。ここで、長鎖カルボン酸や長鎖アルコールは、任意のも
のが使用できるが、本発明の融点を満たし得るようなモノマーを組み合わせることが好ましい。長鎖カルボン酸や長鎖アルコールは、例えば、炭素数18以上34以下のものが好ましい。
脂肪族アルコールの例としては、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。また、脂肪族カルボン酸の例としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸が挙げられる。
ここで、エステルワックスがエステル結合を一つ含有する構成よりも2つ含有する構成の方が、結着樹脂に対する相溶性が高く、結晶核の形成数が増加する傾向にある。その結果、結晶性ポリエステルの結晶成長を促進しやすい。
エステルワックスがエステル結合を2つ含有する構成としては、ジカルボン酸(好ましくは炭素数6以上12以下)とモノアルコール(好ましくは炭素数12以上28以下)との組み合わせ、及びジオール(好ましくは炭素数6以上12以下)とモノカルボン酸(好ましくは炭素数12以上28以下)との組み合わせが好ましい。
ジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、デカン二酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。なお、ここでは直鎖脂肪酸、直鎖アルコールを例示したが、分岐構造を有していても構わない。中でも、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましく、特に1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが本発明の効果を奏しやすいため好ましい。
ジカルボン酸と縮合させるモノアルコールとしては、脂肪族モノアルコールが好ましい。具体的には、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール等が挙げられる。中でも、ドコサノールは定着性や現像性の観点で好ましい。
ジオールと縮合させるモノカルボン酸としては、脂肪族モノカルボン酸が好ましい。具体的には、脂肪酸としてラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等が挙げられる。中でも、ベヘン酸は定着性や現像性の観点で好ましい。
エステルワックスが3個以上のエステル結合を含有する構成としては、グリセリン化合物と1価の脂肪族モノカルボン酸の縮合物が挙げられる。4官能のエステルワックスとしては、ペンタエリスリトールと1価の脂肪族モノカルボン酸の縮合物、ジグリセリンとカルボン酸の縮合物が挙げられる。5官能のエステルワックスとしては、トリグリセリンと1価の脂肪族モノカルボン酸の縮合物が挙げられる。6官能のエステルワックスとしては、ジペンタエリスリトールと1価の脂肪族モノカルボン酸の縮合物、テトラグリセリンと1価の脂肪族モノカルボン酸の縮合物が挙げられる。
4官能以上のエステルワックスの場合は、エステルワックス同士の相互作用が向上しやすく、結果として、結晶性ポリエステルとエステルワックスとの間での相互作用が低下する傾向にある。そのため、結晶性ポリエステルの結晶成長を促しにくい傾向がある。
また、4官能以上のエステルワックスは、結着樹脂に対する相溶性が過度に向上しやすく、トナー表面にワックスが染み出すことで、トナーの帯電安定性が低下し、現像性が低下しやすい傾向がある。
本発明にエステルワックスを使用する場合、組成分布を制御したものを使用することが
、より好ましい。該エステルワックスをGC−MASS又はMALDI TOF MASSで測定した際の組成分布において、含有割合が最も多いエステル化合物の該エステルワックス全量に対する割合(最多成分の割合)が40質量%以上80質量%以下であることが好ましい。これは、エステルワックスが組成分布を有することを意味し、その組成分布の程度を示す。
結晶性ポリエステルを微分散させるためには、エステルワックスの結晶核を多量にトナー粒子内部に形成することが重要である。そのためには、エステルワックスの結晶化度をある程度抑制することが必要である。エステルワックスの組成が分布を有することにより、単一組成のエステルワックスと比較し、エステルワックスの結晶化速度が低下し、結晶核を多量に生成しやすくなり、好ましい。
エステルワックスの組成分布のさらに好ましい範囲は、該エステルワックスをGC−MASS又はMALDI TOF MASSで測定した際の組成分布において、存在割合が最も多いエステル化合物の該エステルワックス全量に対する割合が50質量%以上80質量%以下である。
トナー中に含まれるワックスは総量で、結着樹脂100質量部に対し、2.5質量部以上25.0質量部以下含有されることが好ましく、4.0質量部以上20.0質量部以下であることがより好ましく、6.0質量部以上15.0質量部以下であることがさらに好ましい。
また、エステルワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、3質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
次に、結晶性ポリエステル(CPES)について述べる。
結晶性ポリエステルは、公知のものを使用できるが、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールの縮合物であることが好ましい。さらに、飽和ポリエステルであると一層好ましい。下記に好ましいモノマーを例示する。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
結晶性ポリエステルの結晶性の点で、カルボン酸成分のうち、直鎖型脂肪族ジカルボン酸の含有量が80mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、100mol%であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの結晶性の点で、ポリオール成分のうち、直鎖型脂肪族ジオールの含有量が80mol%以上100mol%以下であることが好ましく、90mol%以上100mol%以下であることがより好ましく、100mol%であることがさらに好ましい。
結晶性ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールの縮合物を90質量%以上100質量%以下有することが好ましい。ここで、ジカルボン酸とジオールの縮合物の比率は上記結晶性ポリエステルの核磁気共鳴分光分析(H−NMR)から得られるスペクトルの積分値から算出することができる。
本発明に用いられる結晶性ポリエステルの結晶化のピーク温度Tp(℃)は、45℃以
上65℃以下であることが好ましい。
本発明に用いられる結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分をエステル化反応、又はエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させることによって得ることができる。
エステル化又はエステル交換反応の時には、必要に応じて硫酸、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等の通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いることができる。また、重合に関しては、通常の重合触媒、例えば、ターシャリーブチルチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の公知のものを使用することができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に選択すればよい。
前記触媒としてはチタン触媒を用いると望ましく、キレート型チタン触媒であると更に望ましい。これはチタン触媒の反応性が適当であり、本発明において望ましい分子量分布のポリエステルが得られるためである。
結晶性ポリエステルは重量平均分子量(Mw)が4000以上40000以下であることが好ましく、10000以上30000以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステルの結晶化度を高く保持しつつ、定着工程においては速やかに結晶性ポリエステルによる可塑効果を得ることができるためである。
重量平均分子量(Mw)が40000以下であると、結晶性ポリエステル自体の溶解性が下がりにくく、トナー製造性が向上し、現像性向上や定着性向上に伴う後端オフセット抑制の効果が得られやすい。
一方、重量平均分子量(Mw)が4000以上の場合には、トナー表面に結晶性ポリエステルが染み出しにくく、トナーの帯電安定性が良好になる。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、結晶性ポリエステルの種々の製造条件によって制御可能である。
また、結晶性ポリエステルの酸価は、トナー内への分散性を考えた場合に低く制御しておくことが好ましい。好ましい範囲は、0.5mgKOH/g以上8.0mgKOH/g以下である。より好ましくは、1.0mgKOH/g以上5.0mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは1.0mgKOH/g以上3.5mgKOH/g以下である。
本発明に使用する結晶性ポリエステルは、結晶性ポリエステル部位と、ビニルポリマー部位を有するブロックポリマーであってもよい。ブロックポリマーの定義としては、線状に連結した複数のブロックで構成されたポリマー(高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集)とあり、本発明もその定義に従う。
結晶性ポリエステル及びエステルワックスの構造及び含有量は下記のような特定方法があるため、例として述べる。まず、トナーをテトラヒドロフランによって抽出して、大部分の樹脂成分を除去する。 ここで、磁性体や外添剤等、樹脂分以外のものは比重差を利
用して遠心分離で除去しておく。残った樹脂分は、結晶性ポリエステルとエステルワックス等の離型剤の混合物であるため、分取型LCにより結晶性ポリエステル及び離型剤を、それぞれを単離し、核磁気共鳴分光分析(H−NMR)等の構造解析することで、構造を特定する。
また、トナー内の含有量に関して以下のようにする。例えば、結晶性ポリエステルの含有量を得るには、 トナーと分取後の結晶性ポリエステルそれぞれの核磁気共鳴分光分析
結果を見比べ、 結晶性ポリエステル特有のピークの面積比を取ることで得られる。 エステルワックスに関しても同様で、核磁気共鳴分光分析結果のピーク面積比によって含有量
を得ることができる。
上記、エステルワックスは、以下の(i)又は(ii)の条件:
(i)該エステルワックス中の、アルコール成分に由来する部分構造のうち、下記式(1)に示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
(ii)該エステルワックス中の、酸成分に由来する部分構造のうち、下記式(2)に示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
を満たし、
該結晶性ポリエステルは、以下の(iii)又は(iv)の条件:
(iii)該結晶性ポリエステル中の、アルコール成分に由来する部分構造のうち、下記式(1)に示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
(iv)該結晶性ポリエステル中の、酸成分に由来する部分構造のうち、下記式(2)に示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
を満たすことが好ましい。
Figure 2021165858
ここで、式1の炭化水素鎖の左端には、水素又は酸素が結合しているものとする。また、式2の炭化水素鎖の左端には、水素又はカルボニル基が結合しているものとする。
上記の部分構造の割合は質量基準の割合を指す。例えば、式(1)に該当するエステルワックスを95質量%、式(1)及び(2)に該当しないエステルワックスを5質量%併用した場合、式(1)の部分構造の割合は95質量%となる。
本発明者らが鋭意検討した結果、ある程度結晶性ポリエステルを含むトナーにおいて、特定の結晶性ポリエステルと特定のエステルワックスを、特定の配合比で組み合わせることで、トナー内の結晶性ポリエステルの微分散化及び結晶化が促進できることを見出した。微分散化と結晶化を同時に達成することにより、上述の後端オフセットの抑制及びヒートサイクルの履歴を受けた後のカブリの抑制を両立させやすい。
次に、結晶性ポリエステルの微分散化及び結晶化に関して本発明者らの考えを述べる。従来から、結晶性ポリエステルを結晶化させることに関して種々の検討が行われており、結晶核剤やワックスを併用する等の技術が開示されている。本発明者らの検討によると両者の分子構造の中に特定の類似構造を持たせることが好ましい。具体的には、以下の様な構造である。
まず、結晶性ポリエステルは、ある程度長い炭化水素鎖を主鎖として有するものが好ましい。前記式1及び2における、x及びy値によって主鎖の長さが決まる。これらが下限以上であると結晶性が向上し、例えば水系媒体中でトナーを製造する場合、トナー内への内包化が促進されるため、好ましい。一方、上限以下であると結晶性ポリエステルの溶解性が良好になり、トナー製造性向上や定着性向上に伴い、後端オフセット抑制の効果が得られやすい。xとyはどちらかが式(1)又は(2)の範囲を満たせばよいが、xとyの両方が満たすことが好ましい。具体的には、xが6〜12であり、且つyが4〜10であることが好ましい。また、x、yに関してはその和も定着性や耐久性に対して影響がある。具体的には、x+yが14〜20であることが好ましい。
次に、本発明で用いることのできるエステルワックスは上記構造を満たすことが好ましい。また、エステルワックスの示差走査熱量測定における吸熱ピークのピークトップ温度(融点)が、65℃以上85℃以下であることが好ましく、68℃以上80℃以下がより好ましい。
融点に関しては、該範囲の下限以上で保存性が良好になり、上限以下で定着性が良好になる。一方、構造に関しては、結晶性ポリエステルと類似構造を持たせることが好ましい。このことについて、分散の促進と結晶化促進それぞれについて本発明者らの考えを述べる。
まず、分散の促進についてであるが、類似又は共通構造があるということは、部分的に溶解性パラメータが非常に近いことになる。一般に、溶解性パラメータが近いもの同士は、親和性が高いとされるため、類似構造を持つエステルワックスと結晶性ポリエステルはその構造部分において親和しやすいと考えられる。上記融点の範囲に該当するエステルワックスの特徴として、例えばスチレンアクリル樹脂に対する相溶性を比較すると、炭化水素系ワックスに比べて高くなる傾向がある。相溶とは分子レベルで結着樹脂中に混ざり、分散していることを意味しており、このエステルワックスの特性が結晶性ポリエステルの分散を飛躍的に促進したと考えている。
次に、結晶化促進に関して、結晶性ポリエステルが結晶化する際のことを考える。ある程度分子鎖の長い結晶性ポリエステルは、分子鎖が折りたたまれ、主鎖部分が並ぶ形で結晶化することが知られている。そのため、本発明者らは、エステルワックスにも主鎖に似た構造があることで結晶化の起点となり、結晶化が大幅に促進されたと考えている。
上述のように結晶性ポリエステル、エステルワックス両者の構造を調整した上で、結晶性ポリエステル添加量と、両者の添加量比を調整することが好ましい。具体的には、本発明のトナーは、結着樹脂100質量部に対し、該結晶性ポリエステルを3質量部以上15質量部以下含有することが好ましく、5質量部以上12質量部以下含有することがより好ましい。また、該ワックス(好ましくはエステルワックス)と該結晶性ポリエステルの質量比率(ワックス/結晶性ポリエステル)が1/3〜3/1であることが好ましく、2/3〜2/1であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの添加量に関しては、3質量部以上であると後端オフセットの抑制が十分になり、15質量部以下であると現像性が良好になる。一方、ワックス(好ましくはエステルワックス)と結晶性ポリエステルの質量比率が1:3以上であると、ワックスの分散促進効果が得らやすく、後端オフセットを抑制できる。一方、3:1以下であると、ワックス同士の相互作用の比率が高くなりすぎず、ワックス自体の結晶化が抑制でき、本発明の効果が得られやすい。
なお、トナーの帯電安定性の観点から、結晶性ポリエステルとワックスの総量は、結着樹脂100質量部に対し、好ましくは5質量部以上30質量部以下、より好ましくは10質量部以上25質量部以下である。
また、上述のように、ワックスがエステル結合を持つ場合、ワックス及び結晶性ポリエステルのエステル結合同士の相互作用により、エステルワックスを結晶核として結晶性ポリエステルの結晶成長が進みやすく、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めやすい。
一方、エステル結合を持たない、パラフィンワックス等の場合には、本発明の効果を得るためには、例えば結晶性ポリエステルに対して、より多くのワックスを添加することが好ましい、また、結晶性ポリエステル自体も多量に添加することが好ましい。
本発明においては、結晶性ポリエステル及びワックス(好ましくはエステルワックス)については複数を併用することも可能であるが、上記の結晶性ポリエステルの添加量、及び、ワックスと結晶性ポリエステルの添加量比は、複数種の合計添加量で考える。
また、結晶化の観点でもう一度結晶性ポリエステルの構造に着目すると、酸モノマー由来構造とアルコールモノマー由来構造同士も類似構造であると、結晶性ポリエステルの結晶化度が高まりやすく、好ましい。具体的には、上記式(1)(2)におけるxとyの差が10以下であることが好ましく、更に好ましくは8以下である。これは、上述したような分子鎖が折りたたまれて結晶化する際に、主鎖同士の親和性が高い構成の方が有利であるためと考えている。
本発明に用いられる着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料、及び、無機顔料が挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、及び、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び、66。
マゼンタ系着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及び、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、及びC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及び、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191、及び、194。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、並びに、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、シアン系着色剤、及び磁性体を用いて黒色に調色されたものなどが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及び、トナー粒子中の分散性の点から選択される。
本発明のトナーに着色剤として磁性体を用いる場合、磁性体は、四三酸化鉄やγ−酸化鉄などの磁性酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m/gであることが好ましく、3〜28m/gであることがより好ましい。また、モース硬度が5〜7のものが好ましい。磁性体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、鱗片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。磁性粉体を用いる場合は、結着樹脂100質量部に対し、好ましくは20質量部以上200質量部以下、より好ましくは40質量部以上150質量部以下である。
磁性体は、個数平均粒径が0.10〜0.40μmであることが好ましい。一般に磁性体の粒径は小さい方が着色力は上がるものの磁性体が凝集しやすくなるため、トナー中での磁性体の均一分散性の観点から上記範囲が好ましい。
また、個数平均粒径が0.10μm以上であると、磁性体自身が赤味を帯びた黒となり
にくく、特にハーフトーン画像において赤味が目立たなくなり、高品位な画像が得られやすい。一方、個数平均粒径が0.40μm以下であると、トナーの着色力が良好になり、懸濁重合法(後述)において均一分散させやすい。
なお、磁性体の個数平均粒径は、走査透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、走査透過型電子顕微鏡(STEM)において1万倍〜4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性体粒子径を測定する。そして、磁性体の投影面積に等しい円の相当径を基に、個数平均粒径の算出を行う。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
本発明のトナーに用いられる磁性体は、例えば下記の方法で製造することができる。第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5〜10に維持しながら空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5未満にしない方が好ましい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性体を得ることができる。
また、本発明において水系媒体中でトナーを製造する場合、磁性体表面を疎水化処理することが非常に好ましい。乾式にて表面処理をする場合、洗浄・ろ過・乾燥した磁性体にカップリング剤処理を行う。湿式にて表面処理を行う場合、酸化反応終了後、乾燥させたものを再分散させる、又は酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄体を乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させ、カップリング処理を行う。本発明においては、乾式法及び湿式法どちらも適宜選択できる。
本発明における磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤またはシラン化合物であり、一般式(I)で示されるものである。
SiY (I)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基などの官能基を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
一般式(I)で示されるシランカップリング剤またはシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラ
ン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。本発明においては、一般式(I)のYがアルキル基であるものが好ましく用いることができる。中でも好ましいのは、炭素数3以上6以下のアルキル基であり、特に好ましくは3又は4である。
上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、又は複数の種類を併用して処理することが可能である。複数の種類を併用する場合、それぞれのカップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
用いるカップリング剤の総処理量は磁性体100質量部に対して0.9質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが重要である。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂を用いることができ、これらは単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。この中でも特にスチレン−アクリル酸ブチルに代表されるスチレンアクリル系樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
本発明において、該結着樹脂はスチレンアクリル系樹脂を主成分とすることが好ましい。スチレンアクリル系樹脂は結晶性ポリエステルと相溶しにくいため、結晶性ポリエステルの結晶化度を高め易い。結着樹脂に対するスチレンアクリル系樹脂の好ましい含有量としては、80質量%以上100質量%以下である。
上記スチレンアクリル系樹脂を形成する重合性単量体としては、以下のものが例示できる。
スチレン系重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンのようなスチレン系重合性単量体が挙げられる。
アクリル系重合性単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体が挙げられる。
メタクリル系重合性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシル
メタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体が挙げられる。
なお、スチレンアクリル系樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、結着樹脂はその他公知の樹脂を組み合わせて使用することもできる。
本発明のトナーは、トナーの帯電性を環境によらず安定に保つために、荷電制御剤を用いてもよい。
負荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
正荷電性の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤が挙げられる。
これらを単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
中でも、樹脂系帯電制御剤以外の荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウム又はジルコニウムのものが好ましい。特に好ましい制御剤は、サリチル酸アルミニウム化合物である。
樹脂系帯電制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基、サリチル酸部位、安息香酸部位を有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。荷電制御剤の好ましい配合量は、重合性単量体100.0質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上10.0質量部以下である。
本発明によって製造されるトナーの重量平均粒径(D4)は3.0μm以上12.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.0μm以上10.0μm以下である。重量平均粒径(D4)が3.0μm以上12.0μm以下であると良好な流動性が得られ、潜像に忠実に現像することができる。
さらに、本発明のトナーは、走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察される該トナーの断面において、結晶性ポリエステルが複数のドメインを形成していることが好ましい。該ドメインの個数平均の長径が、50nm以上300nm以下であることが好ましく、50nm以上250nm以下であることがより好ましい。また、該トナー断面における該ドメインの個数が、好ましくは8個以上500個以下であり、より好ましくは10個以上300個以下である。
トナーの断面を、ルテニウム染色処理を行い、STEMで観察することによって、結晶性ポリエステルのラメラを観察することが可能である。このラメラを構成する一つの形状をドメインと呼ぶ。即ち、本発明においては、比較的小さい複数の結晶性ポリエステルの
ドメインが、トナー中に形成されていることが好ましい。
このようにドメインがトナー内部に存在している状態を、「ドメインが分散している」と呼ぶ。トナーが定着器の熱を受けることによって、結晶性ポリエステルの融点を超えた時に、トナー内部に分散しているドメインが瞬時に軟化するが、ドメインが分散していることで、トナー全体が軟化しやすくなり、定着性が大幅に向上する。
本発明のトナーは、該ドメインの個数平均の長径が、好ましくは50nm以上300nm以下である。図1は、結晶性ポリエステルのドメインの模式図である。ドメインの個数平均径が、この範囲にあることで、結晶性ポリエステルが瞬時に溶融した際、トナーの溶融変形量が大きくなり、定着性を向上することができる。その結果、後端オフセットの抑制に効果を発揮しやすい。
該ドメインの個数平均の長径が、50nm以上であると、定着性が向上し、ホットオフセットを抑制でき、定着可能温度幅が広くなる。一方、300nm以下であると、定着性が良好になり、後端オフセットを抑制しやすい。該ドメインの個数平均の長径は、結晶性ポリエステルとワックスの種類及び含有量、さらにはトナー製造工程における冷却速度の調整等により制御することができる。
本発明のトナーは、該トナー断面における該ドメインの個数が、好ましくは8個以上500個以下である。該ドメインの個数が500個以下であると、定着性が向上し、後端オフセットを抑制しつつ、ホットオフセットを抑制し、定着可能温度幅を広くすることができる。一方、8個以上であると、定着性が良好になり、後端オフセットを抑制しやすい。該トナー断面における該ドメインの個数は、結晶性ポリエステルとワックスの種類及び含有量、さらにはトナー製造工程における冷却速度の調整等により制御することができる。
エステルワックスの中でも、2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル化合物、及び2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル化合物のいずれかを用いることが好ましい。このような2官能のエステルワックスは、本発明において好ましく用いられる懸濁重合法において、結晶性ポリエステルの造核剤として作用しやすい。その結果、トナー内部の結晶性ポリエステルのドメインを結晶化させやすくなり、そのドメインを所望の範囲に制御しやすくなる。具体的には、結晶性ポリエステルのドメインの個数平均の長径を50nm以上300nm以下という比較的小さな範囲に制御しやすくなり、また、ドメインの個数を8個以上500以下という比較的多い範囲に制御しやすくなる。
本発明のトナーは、公知のいずれの方法によっても製造することが可能である。まず、粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び結晶性ポリエステル、並びに場合により、荷電制御剤等のトナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練してトナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることができる。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。また、更に熱をかけて粉砕したり、補助的に機械的衝撃を加える処理を行ったりすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いてもよい。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法が挙げられる。また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置も使用可能である。これらの装置は、高速回転する羽根によりトナ
ーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法である。
本発明のトナーは、上述のように粉砕法によって製造することも可能であるが、結晶性ポリエステルやワックス等の結晶性物質の存在状態を制御する観点から、水系媒体中でトナーを製造することが好ましい。特に、懸濁重合法は結晶性ポリエステルを微分散状態とすることや結晶化促進に関して制御がしやすく、好ましい。
以下に、懸濁重合法について述べる。
懸濁重合法とは、結着樹脂を構成する重合性単量体、ワックス、結晶性ポリエステル及び着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を、分散剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となるために画質の向上が期待できる。
重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、上述のスチレン系重合性単量体;上述のアクリル系重合性単量体、上述のメタクリル系重合性単量体;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンを単独で、又は他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5〜30時間であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して0.5〜20質量部の添加量で用いて重合反応を行うと、分子量5,000〜50,000の間に極大を有する重合体を得ることができ、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
具体的な重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明のトナーを重合法により製造する際は、架橋剤を添加してもよく、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量部である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
本発明のトナーを重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー組成物等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹
拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤を添加する時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えてもよいし、水系媒体中に懸濁する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行なえばよい。
本発明のトナーを製造する場合には、分散剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いため、好ましい。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を使用することが好ましい。また、上記分散剤は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。更に、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用してもよいが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。例えば、燐酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
上記重合性単量体を重合する工程において、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定される。この温度範囲で重合を行なうと、内部に封じられるべきエステルワックスが相分離により析出して内包化しやすくなる。
上記重合性単量体の重合を終了して着色粒子を得た後、着色粒子が水系媒体に分散した状態で、結晶性ポリエステル及び離型剤の融点を超える温度まで、昇温させてもよい。重合温度が上述の融点を超えている場合、この操作は必要ない。
その後の冷却工程における冷却速度に関して、重合法だけでなくトナー製造方法全般について本発明における好ましい範囲を述べる。
結晶性物質、特に結晶性ポリエステルを結晶化させる目的でトナーの製造方法に関して着目する。
例えば粉砕法や懸濁重合、乳化重合によってトナーを製造する場合、一度結晶性ポリエステルやワックスが融解するような温度まで昇温し、その後常温まで冷却する工程を含むことが好ましい。冷却工程について考えると、昇温によって液化した結晶性ポリエステルは温度が下がるにつれて分子運動が鈍くなり、結晶化温度付近に到達すると結晶化が始まる。更に冷却すると結晶化が進み、常温では完全に固化する。本発明者らの検討によると、冷却速度によって結晶性物質の結晶化度が異なることが分かった。
具体的には、結晶性ポリエステルやワックスが融解する十分に高い温度(例えば100℃)からトナーのガラス転移温度以下まで5.0℃/分以上の速度で冷却すると、含有される結晶性物質の結晶化度が高まる傾向であった。詳細は不明であるが、上述の冷却条件とすることで、高温側に結晶化ピークを持つ結晶性物質の結晶化が抑えられ、より低温側に結晶化ピークを持つ結晶性物質の結晶核が多くできるためと考えられる。
本発明においては、低温側に結晶化ピークを持つ結晶性物質としては結晶化度が高くなりやすい結晶性ポリエステルを用いることが好ましい。すなわち、このとき、冷却速度の制御によって、高温側に結晶化ピークを持つ別の結晶性物質により、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めることができると考えている。
より具体的には、冷却速度が十分に速い状態というのは、上述したように、5.0℃/分よりも十分に速い速度で冷却した場合であり、例えば、20.0℃/分以上50.0℃/分以下程度とする。逆に、冷却速度が十分に遅い状態というのは、5.0℃/分よりも十分に遅い速度で冷却した場合であり、例えば、0.5℃/分以上2.0℃/分以下程度とする。本発明においては、冷却速度は、20.0℃/分以上50.0℃/分以下が好ましい。
なお、重合性単量体組成物の重合終了後、結晶性物質の結晶化ピーク温度の±3℃付近の温度においてアニール処理を行うことも、結晶性物質の結晶化度を高める点で好ましい。保持する時間の好ましい範囲は、100分以上300分以下である。
100分より十分長時間保持することにより、結晶性物質の結晶化度を高めやすく好ましい。一方、100分より短すぎると(例えば30分未満)、結晶性物質の結晶化度が十分に高まらない場合がある。
得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、後述するような無機微粉体を必要に応じて混合して該トナー粒子の表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。また、製造工程(無機微粉体の混合前)に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
本発明のトナーは上述したような製造方法によって得たトナー粒子に対して、必要に応じて流動化剤等の添加剤を混合し、トナーとする。混合方法に関しては、公知の手法を用いることができ、例えばヘンシェルミキサーは好適に用いることのできる装置である。
本発明のトナーは、流動化剤として個数平均1次粒径が、好ましくは4〜80nm、より好ましくは6〜40nmの無機微粉体がトナー粒子に添加されることが好ましい。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい。無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真を用いて行う。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。シリカ微粉体としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。しかし、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。
個数平均1次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。添加量が0.1質量部以上であると、その効果が十分に得られ、3.0質量部以下であると定着性が良好になる。無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
本発明において無機微粉体は疎水化処理された物であることが、トナーの環境安定性を向上させることができるため好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、帯電量が不均一になり易く、トナー飛散が起こり易くなる。無機微粉体の疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばフッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末などの滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤;又は逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤の表面を疎水化処理して用いることも可能である。
次に、本発明のトナーを好適に用いることのできる画像形成装置の一例を図2に沿って具体的に説明する。図2において、100は感光ドラムであり、その周囲に一次帯電ローラー117、現像スリーブ102を有する現像器140、転写帯電ローラー114、クリーナー116、レジスタローラー124等が設けられている。感光ドラム100は一次帯電ローラー117によって例えば−600Vに帯電される(印加電圧は例えば交流電圧1.85kVpp、直流電圧−620Vdc)。そして、レーザー発生装置121によりレーザー光123を感光体100に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。感光ドラム100上の静電潜像は現像器140によって一成分トナーで現像されてトナー画像を得、トナー画像は転写材を介して感光体に当接された転写帯電ローラー114により転写材上へ転写される。トナー画像を載せた転写材は搬送ベルト125等により定着器126へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーはクリーナー116によりクリーニングされる。
なお、ここでは磁性一成分ジャンピング現像の画像形成装置を示したが、ジャンピング現像又は接触現像のいずれの方法に用いられるものであってもよい。
次に、本発明のトナーに係る各物性の測定方法に関して記載する。
<トナー中の結晶性物質に由来する結晶化ピーク温度の測定>
まず、結晶性ポリエステルやワックスの単体でも結晶化ピークを求めることが可能であるため、その手法から記載する。
結晶性ポリエステル又はワックスの結晶化のピーク温度及び発熱曲線は、例えばパーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000などの示差走査熱量計(DSC)を用いることができる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空のパンをセットし測定する。結晶性ポリエステル又はワックスを1.00mg秤量し、パンに入れる。測定条件としては、
・測定モード:Standard
・昇温条件:10℃/minで、20℃から100℃へ昇温する。
・降温条件:0.5℃/minで、100℃から20℃へ降温する。
得られた結果をもとに、温度―Heat Flowのグラフを作成し、降温時の結果より、結晶
性ポリエステル又はワックスの発熱曲線を得る。発熱曲線において、発熱のピークトップを結晶化のピーク温度Tp(℃)又はTw(℃)とする。
トナーからも、結晶性ポリエステル又はワックスの結晶化のピーク温度及び発熱曲線を得ることが可能である。得るための手順としては、トナーから結晶性ポリエステル又はワックスを前述のテトラヒドロフランを用いた方法で単離し、それぞれをDSCにより分析する。
これにより、上記、Tp(℃)又はTw(℃)と同じ値を得ることが可能である。
さらに、トナー4mgを秤量し、上記と同様の条件で測定を行う。すなわち、100℃まで昇温した後、0.5℃/minで降温する条件で第一のDSC曲線を得る。該第一のDSC曲線において、40℃以上80℃以下に2つ以上の結晶化ピークのピークトップが存在することを確認する。そしてそれら結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)をΔH(0.5)とする。
次に、トナー4mgを秤量し、降温条件を100℃から20℃まで100℃/minで降温すること以外は上記測定条件と同様にして第二のDSC曲線を得る。該第二のDSC曲線において、40℃以上80℃以下に存在するピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)をΔH(100)とする。なお、結晶化ピークの発熱量ΔH(0.5)およびΔH(100)に関して、それぞれの結晶化ピークの裾が、40℃以下または80℃以上にも存在する場合は、40℃以下または80℃以上にも存在する結晶化ピークの裾も結晶化ピークの発熱量に加えて算出する。
<ワックスの融点>
ワックスの融点はDSCにて測定した際の、吸熱ピークのピークトップ温度として求めることができる。測定はASTM D 3417−99に準じて行う。これらの測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000を用いることができる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定する。
<トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<エステルワックスの分子量及び組成分布測定>
エステルワックスの組成分布は、まずGPCにより分子量分布を測定し、その領域をGC(ガスクロマトグラフィー)又はMALDI TOF MASSにて測定することで得る。エステルワックスのGPCは下記条件で測定する。
(GPC測定条件)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温度 :135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速 :1.0m1/min
試料 :0.15%の試料を0.4ml注入
上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
GPCにより得られたピークを解析し、エステルワックスの分子量分布の最大値と最小値を算出する。下記のようにGCやMALDI TOFF MASSで分析する際、このGPCで得られた最大値と最小値に挟まれた領域を、「エステルワックスの分子量分布の範囲」と見なす。本発明のエステルワックスは、GC,MALDI TOF MASSいずれによっても測定できるが、ガス化が困難な場合はMALDI,マトリックスとピークが重なってしまう場合はGC、といったように適宜選択する。両方の測定方法を述べる。
(GC測定条件)
エステルワックスの組成分布をガスクロマトグラフィー(GC)で測定する場合の具体
的な条件を述べる。ガスクロマトグラフィー(GC)として、GC−17A(島津製作所製)を用いる。試料10mgをトルエン1mlに加え、80℃の恒温層にて20分加熱・溶解する。次いで、この溶解液1μLをオンカラムインジェクターを備えたGC装置に注入する。カラムは、0.5mm径×10m長のUltra Alloy−1(HT)を用
いる。カラムは初め40℃から40℃/minの昇温スピードで200℃迄昇温させ、更に15℃/minで350℃迄昇温させ、次に7℃/minの昇温スピードで450℃迄昇温させる。キャリアガスは、Heガスを50kPaの圧力条件で流す。
ここで、ガス化成分をマススペクトロメーター(質量分析計)に導入し、GCにて得られる複数のピークの分子量を得ることで、上述した「エステルワックスの分子量分布の範囲」に入るピーク群を見出す。それらピーク群を解析し、ピーク面積の総和を算出する。また、GCで得たピークのうち、ピーク面積が最大のピークをエステルワックスの最多成分に由来するピークとし、全ピーク面積の総和に対して最多成分のピーク面積比を取ることで、エステルワックスの組成分布における最多成分の割合を得る。
化合物の同定は、別途構造が既知のエステルワックスを注入し同一の流出時間同士を比較することや、ガス化成分をマススペクトロメーターに導入し、スペクトル解析する事により行う事ができる。
(MALDI TOF MASS測定条件)
エステルワックスの組成分布をMALDI TOF MASSにて測定する場合について述べる。選択するマトリックスは材料種によって最適なものを選び、マトリックスのピークと材料由来のピークが重ならないように配慮した。
MALDI TOF MASSで得られたピークのうち、上述した「エステルワックスの分子量分布の範囲」に入るピークを見出し、各ピーク強度の総和を算出する。それらピークの中で強度が最大のものを最多成分に由来するピークとする。エステルワックスの組成分布における最多成分の割合は、上記ピーク強度の和に対する、最多成分由来のピーク強度の比、で算出する。
化合物の同定は、別途構造が既知のエステルワックスをMALDI TOF MASSで得られたスペクトルを解析する事で行うことができる。
<結晶性ポリエステル、非晶性飽和ポリエステル樹脂及びトナーの分子量の測定方法>
結晶性ポリエステル、非晶性飽和ポリエステル樹脂及びトナーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で結晶性ポリエステル又はトナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量 :0.020ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<結晶性ポリエステルの酸価測定方法>
本発明における結晶性ポリエステルの酸価は、以下の操作により求められる。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。極性樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定した。具体的には、以下の手順に従って測定した。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得た。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶解し、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとした。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得た。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管した。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求めた。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いた。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性ポリエステルの試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン:エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解した。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定した。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとした。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン:エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行った。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出した。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
<非晶性飽和ポリエステル樹脂及びトナーのガラス転移温度の測定方法>
非晶性飽和ポリエステル樹脂及びトナーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
測定試料として、非晶性飽和ポリエステル樹脂又はトナー3.0mgを精密に秤量する。
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/min、常温常湿下で測定を行う。
この昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、ガラス転移温度(Tg)とする。
<走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるルテニウム染色処理されたトナー断面の観察方法>
トナーの走査透過型電子顕微鏡(STEM)による断面観察は以下のようにして実施することができる。
本発明のトナーは、トナー断面をルテニウム染色することによって観察を行う。本発明のトナーに含有される結晶性樹脂は、結着樹脂のような非晶樹脂よりもルテニウムで染色
されやすいため、コントラストが明瞭になり、観察が容易となる。染色の強弱によって、ルテニウム原子の量が異なるため、強く染色される部分は、これらの原子が多く存在し、電子線が透過せずに、観察像上では黒くなり、弱く染色される部分は、電子線が透過されやすく、観察像上では白くなる。
まず、カバーガラス(松波硝子社、角カバーグラス 正方形 No.1)上にトナーを一層となるように散布し、オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。次に、PTFE製のチューブ
(Φ1.5mm×Φ3mm×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填し、チューブの上に
前記カバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。超音波ウルトラミクロトーム(Leica
社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(重量平均粒径(D4)が8.0μmの場合は4.0μm)の長さだけ切削して、トナーの断面を出す。次に、膜厚250nmとなるように切削し、トナー断面の薄片サンプルを作製した。このよう
な手法で切削することで、トナー中心部の断面を得ることができる。
得られた薄片サンプルを真空電子染色装置(filgen社、VSC4R1H)を用いて、RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色し、走査透過型電子顕微鏡(JEOL社、JEM2800)を用いてSTEM観
察を行った。
STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024pixelにて、画像を取得した。また、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Gammmaを1.00に調整して、画像を取得した。
<結晶性ポリエステル及び離型剤のドメインの同定>
トナーの断面のSTEM画像をもとに、結晶性ポリエステル及び離型剤のドメインの同定を、以下の手順により行う。
結晶性ポリエステル及び離型剤を原材料として入手できる場合、それらの結晶構造を、上述の走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるルテニウム染色処理されたトナー断面
の観察方法と同様にして、観察し、原材料それぞれの結晶のラメラ構造の画像を得る。それらと、トナーの断面におけるドメインのラメラ構造を比較し、ラメラの層間隔が誤差10%以下であった場合、トナーの断面におけるドメインを形成している原材料を特定することができる。
<結晶性ポリエステル樹脂のドメインの長径の個数平均径の測定>
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂のドメインの個数平均径とは、STEM画像をもとに、結晶性ポリエステル樹脂のドメインの長径から求められる個数平均径を意味する。
走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるルテニウム染色処理されたトナー断面の観
察により得られたSTEM画像をもとに、結晶性ポリエステル樹脂のドメインの長径の個数平均径を計測する。その際、100個のトナーの断面を観察する。全てのドメインを計測し、個数平均径を算出する。得られた個数平均径を、結晶性ポリエステル樹脂のドメインの長径の個数平均径とする。
<結晶性ポリエステル樹脂のドメインの個数の測定>
上述の結晶性ポリエステルのドメインの長径の個数平均径の測定と同様にして、トナー断面当りに含まれる結晶性ポリエスエルのドメインの個数を計測する。これを100個のトナーの断面について行い、一つのトナー断面当りのドメインの個数を、結晶性ポリエステルのドメインの個数とする。
以下、本発明を製造例及び実施例により更に具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は特に断りのない限り質量部を示す。
以下にエステルワックスの製造例について説明する。本発明では、エステル化合物を製造し、それらを所定の配合率で溶融混合することで、エステルワックスを得た。
<エステル化合物の製造例>
ジムロート、Dean−Stark水分離器、温度計を装着した反応装置にベンゼン300モル部、アルコールモノマーとしてドコサノール(ベヘニルアルコール)200モル部、酸モノマーとしてデカン二酸(セバシン酸)100モル部を仕込んだ。さらにp−トルエンスルホン酸10モル部を加え十分撹拌し溶解後、6時間還流せしめた後、水分離器のバルブを開け、共沸留去を行った。共沸留去後炭酸水素ナトリウムで十分洗浄後、乾燥しベンゼンを留去した。得られた生成物を再結晶後、洗浄し精製してエステル化合物S−22を得た。
同様に、ドコサノールをそれぞれ別種のアルコールに変更し、エステル化合物を得た。ドコサノールをエイコサノールに変更してS−20を、テトラコサノールに変更してS−24、1−ヘキサデカノールに変更してS−16を、1−オクタコサノールに変更してS−28を得た。
さらに、表1のようにアルコールモノマー及び酸モノマーを変更することで、H−20,H−22,H−24といった表1記載のエステル化合物を得た。
Figure 2021165858
<エステルワックス1の製造例>
S−20,S−22,S−24を表2に記載の割合で溶融混合し、冷却した後に解砕し、エステルワックス1を得た。表2にGC−MASSで測定した組成割合(エステルワックスにおける最多成分の含有量も記載)、エステルワックスの融点も合せて示す。
<エステルワックス2〜6の製造例>
エステル化合物を表2に記載の割合で溶融混合し、冷却した後に解砕し、エステルワッ
クス2〜6を得た。表2にGC−MASSで測定した組成割合、エステルワックスの融点も合せて示す。
Figure 2021165858
<エステルワックス7>
ベヘン酸とステアリルアルコールによる1官能エステル化合物(融点66℃)をエステルワックス7として使用した。
<エステルワックス8>
ベヘン酸とジペンタエリスリトールによる6官能エステル化合物(融点83℃)をエステルワックス8として使用した。
<エステルワックス9>
ミリスチン酸とジペンタエリスリトールによる6官能エステル化合物(融点60℃)をエステルワックス9として使用した。
<パラフィンワックス1〜4>
表3に示すような市販のパラフィンワックスを使用した。
Figure 2021165858
<結晶性ポリエステル1の製造>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、カルボン酸モノマーとしてセバシン酸230.0部及びアルコールモノマーとして1,10−デカンジオール242.1部を投入した。撹拌しながら140℃に昇温し、窒素雰囲気下で140℃に加熱して常圧下で水を留去しながら8時間反応させた。次いで、ジオクチル酸スズをモノマー総量100部に対して1部加えた後、200℃まで10℃/時間で昇温しつつ反応させた。更に、200℃に到達してから2時間反応させた後、反応槽内を5kPa以下に減圧して200℃で3時間反応させて結晶性ポリエステル1を得た。得られた結晶性ポリエステル1の重量平均分子量(Mw)は20100、酸価は2.2mgKOH/gであった。
<結晶性ポリエステル2〜7の製造例>
結晶性ポリエステル1の製造において、アルコールモノマーと酸モノマーを表4のように変更し、反応時間及び温度を所望の物性になるように調整したこと以外は同様にして、結晶性ポリエステル2〜7を得た。得られた結晶性ポリエステルの物性及び構造を表4に付記した。
Figure 2021165858
<磁性酸化鉄の製造例>
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸鉄第一水溶液50リットルに、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55リットルを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この水溶液を85℃に保ち、20L/minで空気を吹き込みながら酸化反応を行い、コア粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過・洗浄した後、コア粒子を水中に再度分散させ、リスラリーした。このリスラリー液に、コア粒子100部あたり珪素換算で0.
20質量%となる珪酸ソーダを添加し、スラリー液のpHを6.0に調整し、撹拌することで珪素リッチな表面を有する磁性酸化鉄粒子を得た。得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過、洗浄、更にイオン交換水にてリスラリーを行った。このリスラリー液(固形分50g/L)に500g(磁性酸化鉄に対して10質量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入し、2時間撹拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュでろ過して除去し、フィルタープレスにてろ過・洗浄し、乾燥・解砕して個数平均径が0.23μmの磁性酸化鉄を得た。
<シラン化合物の製造例>
iso−ブチルトリメトキシシラン30部をイオン交換水70部に撹拌しながら滴下した。その後、この水溶液をpH5.5、温度55℃に保持し、ディスパー翼を用いて、周速0.46m/sで120分間分散させて加水分解を行った。その後、水溶液のpHを7.0とし、10℃に冷却して加水分解反応を停止させた。こうしてシラン化合物を含有する水溶液を得た。
<磁性体の製造例>
磁性酸化鉄の100部をハイスピードミキサー(深江パウテック社製 LFS−2型)に入れ、回転数2000rpmで撹拌しながら、シラン化合物を含有する水溶液8.0部を2分間かけて滴下した。その後5分間混合・撹拌した。次いで、シラン化合物の固着性を高めるために、40℃で1時間乾燥し、水分を減少させた後に、混合物を110℃で3時間乾燥し、シラン化合物の縮合反応を進行させた。その後、解砕し、目開き100μmの篩を通して磁性体を得た。
<非磁性トナー用の着色剤>
非磁性トナー用の着色剤としては、市販のカーボンブラックを着色剤として用いた。用いたカーボンブラックの性状を下記に示す。(平均一次粒径:31nm、DBP吸油量:40ml/100g、仕事関数:4.71eV)
<トナー1の製造例>
イオン交換水720部に0.1モル/L−NaPO水溶液450部を投入して60℃に加温した後、1.0モル/L−CaCl水溶液67.7部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 79.0部
・n−ブチルアクリレート 21.0部
・ジビニルベンゼン 0.6部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.5部
・磁性体 90.0部
・非晶性飽和ポリエステル樹脂 5.0部
(ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物とテレフタル酸との縮合反応により得られる非晶性飽和ポリエステル樹脂;Mw=9500、酸価=2.2mgKOH/g、ガラス転移温度=68℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合して単量体組成物を得た。この単量体組成物を63℃に加温し、そこに表4記載の結晶性ポリエステル1を10.0部、表2記載のエステルワックス1を10.0部添加混合し、溶解した。
上記水系媒体中に上記単量体組成物を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ重合開始剤t−ブチルパーオキシピバレート9.0部を投入し、70℃に昇温して4時間反応させた。反応終了後、懸濁液を100℃まで昇温させ、2時間保持した。
その後、冷却工程として、懸濁液に氷を投入し、40℃/分の速度で懸濁液を100℃
から50℃まで冷却した後、常温まで放冷した。その後、懸濁液に塩酸を加えて十分洗浄することで分散安定剤を溶解させ、濾過・乾燥してトナー粒子1を得た。なお、トナー粒子1のガラス転移温度は54℃であった。トナー粒子1では、結着樹脂であるスチレンアクリル樹脂を100部含有している。
100部のトナー粒子1と、BET値が300m/gで(一次粒径8nm)の乾式シリカ微粉体にヘキサメチルジシラザン処理を行った疎水性シリカ微粉体0.8部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合してトナー1を得た。
トナー1の重量平均粒径(D4)は7.8μmであった。トナー1の物性を、表6に示す。
<トナー2〜23及び25〜32、比較用トナー1〜5の製造例>
トナー1の製造において、着色剤、結晶性ポリエステル及びワックスの種類及び部数、冷却工程を表5に記載の通りに変更した以外は同様にして、トナー2〜23及び25〜32、比較用トナー1〜5を得た。処方及び製法を表5に示す。
なお、いずれのトナーもガラス転移温度も50〜60℃の範囲であり、重量平均粒径(D4)は6.0〜9.0μmであった。
なお、表5中の「冷却速度」について詳述する。
「40℃/分」という条件は、トナー1の製造例にあるように、冷却工程において、40℃/分の速度で懸濁液を100℃から50℃まで冷却した後、常温まで放冷することを示す。
「アニール3時間」という条件は、冷却工程において、100℃から0.5℃/分の速度で55℃まで降温し、55℃(CPESの結晶化ピーク位置±3℃が好ましい)において、3時間保持し、その後常温まで放冷することを示す。
「アニール20分」は、冷却工程において、100℃から0.5℃/分の速度で55℃まで降温し、55℃において、20分間保持し、その後常温まで放冷することを示す。
「0.5℃/分」という条件は、冷却工程において、0.5℃/分の速度で懸濁液を100℃から50℃まで冷却した後、常温まで放冷することを示す。
<トナー24の製造例>
・アクリル樹脂(星光PMC社製VS−1057、) 100.0部
・モノアゾ染料の鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 1.5部
・磁性体 90.0部
・エステルワックス6 5.0部
・結晶性ポリエステル7 5.0部
上記原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、130℃、200rpmに設定した二軸混練押し出し機によって混練した。得られた混練物を常温まで急速に冷却したが、このときの冷却速度は20℃/秒以上であった。カッターミルで粗粉砕した後、得られた
粗粉砕物を、ターボミルT−250(ターボ工業社製)を用いて、排気温度が50℃になるようエアー温度を調整して微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、トナー粒子24を得た。処方及び製法を表5に示す。
トナー製造例1と同様に、100部のトナー粒子24と、疎水性シリカ微粉体0.8部とを混合してトナー24を得た。
トナー24の重量平均粒径(D4)は8.0μmであった。トナー24の物性を、表6に示す。
Figure 2021165858
Figure 2021165858
<実施例1>
(評価1.初期現像性)
画像形成装置として、LBP−6300(キヤノン製)を用いた。
カートリッジには、現像スリーブとして、直径14mm径のスリーブから直径10mm径のスリーブに変更した改造カートリッジを用いた。
小径の現像スリーブを搭載したカートリッジを用いると、現像スリーブから感光体へのトナーの現像機会が低減することで現像性、特に画像濃度について厳しく評価することができる。
この改造カートリッジを用いて、トナー1を使用し、高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)にて、100枚の画出し試験を行ったのち、ベタ黒を1枚出力し、その画像濃度を測定した。
高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)で評価することによって、トナーの帯電安
定性が低下した場合の画像濃度について、厳しく評価することが可能となる。
上記、トナー1の評価結果においては、画像濃度が高く良好な画像を得ることができた。評価結果を表7に示す。なお、表中、( )内の数値は、画像濃度を示す。
画像濃度についての判断基準を以下に述べる。
<画像濃度>
画像濃度はベタ黒画像部を形成し、このベタ黒画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。
100枚の画出し後1枚目における、ベタ黒画像の反射濃度の判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.45以上)
B:良好(1.40以上1.45未満)
C:普通(1.35以上1.40未満)
D:悪い(1.35未満)
(評価2.後端オフセット)
画像形成装置として、評価1で使用した改造機を用い、さらに定着器の温調を下げ、200℃とした。カートリッジとして同様に評価1で使用した改造カートリッジを用いた。高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)において、評価間には定着器を取り外し、定着器を、扇風機などを使用して十分に冷やした状態で以下の評価を実施した。評価後に定着器を十分に冷やしておくことで、画像出力後に上昇した定着ニップ部の温度が冷やされることで、トナーの定着性を厳しく、さらに再現良く評価することが可能である。
後端オフセットを評価するに際して、90g/mの放置紙(上記高温高湿環境下に48時間以上放置した紙)を使用した。比較的重い紙を使用することで定着性をさらに厳しく評価することが可能となり、放置した紙を使用することで、後端オフセットを厳しく評価することが可能である。
トナー1を用いて、定着器が十分に冷えた状態で、上記放置紙にベタ黒画像を出力した。この際、紙上のトナーの載り量を9g/mとなるように調節した。トナー1の評価結果においては、ポツ抜け画像のない良好なベタ黒画像が得られた。後端オフセットについての判断基準を以下に述べる。
<後端オフセット>
後端オフセットは上記の手順で出力したベタ黒画像についてポツ抜けのレベルを目視で評価した。後端オフセットの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(ポツ抜けが全くない)
B:良好(よく見るとポツ抜けが若干見られる)
C:普通(ポツ抜けが見られるが目立たない)
D:悪い(ポツ抜けが目立つ)
(評価3.ヒートサイクル後カブリ)
上記の改造カートリッジを、温度45℃湿度90%RHの環境試験箱に入れ、12時間後に温度25℃湿度60%RHの環境試験箱に移動した。その後、さらに12時間後に、温度45℃湿度90%RHの環境試験箱に入れた。この操作を30回繰り返した後に、温度32.5℃湿度80%RHの環境において、評価1で使用した画像形成装置に組み込み、ベタ白を2枚プリントし、2枚目のカブリを以下の方法により測定した。
カブリの評価基準を以下に示す。
<ヒートサイクル後カブリ>
上記の手順で出力したベタ白画像について、カブリのレベルを目視で評価した。判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(カブリが全く目立たない)
B:良好(よく見るとカブリが若干見られる)
C:普通(カブリが見られるが目立たない)
D:悪い(カブリが非常に目立つ)
<実施例2〜32、比較例1〜5>
実施例1にて、トナー1をトナー2〜32及び比較用トナー1〜5に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。なお、実施例11においては、画像形成装置を非磁性トナーが出力できるように改造したうえで評価を実施した。これらの評価結果を表7に示す。
Figure 2021165858
100 感光ドラム(像担持体、被帯電体)、102 現像スリーブ(トナー担持体)、114 転写帯電ローラー(転写部材)、116 クリーナー、117 一次帯電ローラー(接触帯電部材)、121 レーザー発生装置(潜像形成手段、露光装置)、124レ
ジスタローラー、125 搬送ベルト、126 定着器、140 現像器、141 撹拌部材
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記のトナーにより上記課題を解決可能であることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、結着樹脂、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該トナーが、第一のDSC曲線において、40℃以上80℃以下に2つ以上の結晶化ピークのピークトップを有し、該第一のDSC曲線が、示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃まで昇温した後、100℃から20℃まで速度0.5℃/minでトナーを降温する過程で得られるものであり、
該トナーが下記式(11)を満たし、
.0≦(ΔH(100)/ΔH(0.5))≦6.0 ・・・(11)
(11)中、
ΔH(0.5)は、該第一のDSC曲線における2つ以上の結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)を示し、
ΔH(100)は、第二のDSC曲線の40℃以上80℃以下にピークトップが存在する結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)を示し、該第二のDSC曲線が、示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃まで昇温した後、100℃から20℃まで100℃/minで降温する過程で得られるものであり、
該ワックスが、エステルワックスを含有し、
該エステルワックスの示差走査熱量測定における吸熱ピークのピークトップ温度が、65℃以上85℃以下であり、
該エステルワックスが、以下の(i)又は(ii)の条件を満たし、
(i)該エステルワックス中の、アルコール成分に由来する部分構造のうち、下記式(1)で示される部分構造の割合が、90質量%以上100質量%以下である、
(ii)該エステルワックス中の、酸成分に由来する部分構造のうち、下記式(2)で示される部分構造の割合が、90質量%以上100質量%以下である、
該結晶性ポリエステルが、以下の(iii)又は(iv)の条件を満たす
(iii)該結晶性ポリエステル中の、アルコール成分に由来する部分構造のうち、下記式(1)で示される部分構造の割合が、90質量%以上100質量%以下である、
(iv)該結晶性ポリエステル中の、酸成分に由来する部分構造のうち、下記式(2)で示される部分構造の割合が、90質量%以上100質量%以下である、
Figure 2021165858

(式(1)の炭化水素鎖C 2x の左端には、水素又は酸素が結合し、式(2)の炭化水素鎖C 2y の左端には、水素又はカルボニル基が結合する。)
ことを特徴とするトナー。
また、DSCを用いて100℃から20℃まで0.5℃/minで降温する過程で得られる該結晶性ポリエステルの結晶化ピーク(Pp)のピーク温度をTp(℃)とし、DSCを用いて100℃から20℃まで0.5℃/minで降温する過程で得られる該ワックスの結晶化ピーク(Pw)のピーク温度をTw(℃)としたとき、該Tpと該Twが下記式(12)の関係を満たすことが好ましい。
5≦Tw−Tp≦3・・・(12)
また、好ましくは、Tw≦100であり、40≦Tpである。
記式(12)を満たすことにより、ワックスが結晶性ポリエステルの造核剤として働きやすい。ワックスと結晶性ポリエステルの結晶化温度が非常に近く、(Tw−Tp)の値が5未満の場合や、逆に非常に離れて、(Tw−Tp)の値が30を超えるような場合には、上記造核作用が働きにくい傾向にある。
Tw−Tpは、好ましくは5以上20以下である。Tw及びTpは、ワックスや結晶性ポリエステルの種類により制御することができる。
本発明においては、結晶性ポリエステル及びワックスを複数、使用することも可能である。その場合、結晶化のピーク温度の最も低いワックスと結晶化ピークの最も低い結晶性ポリエステルが、式(12)を満たすことが好ましい。
本発明においては、ワックスがエステルワックスを含有することが好ましい。エステルワックスの有するエステル結合と、結晶性ポリエステルの有するエステル結合の相互作用により、エステルワックスを結晶核として結晶性ポリエステルの結晶成長が進みやすく、結晶性ポリエステルの結晶化度をより高めやすい。
本発明において、該エステルワックスは、2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル化合物、又は2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル化合物であることが好ましい。エステルワックス中のエステル結合の数が増えると、結着樹脂とエステルワックスの相溶性が向上し、結晶核の形成数を増やしやすくなる。一方、エステルワックス中のエステル結合の数が減少すると、結晶性ポリエステルとのエステル結合による相互作用の効果が向上し、結晶性ポリエステルの結晶成長が促進される。
上記、エステルワックスは、以下の(i)又は(ii)の条件を満たし、
(i)該エステルワックス中の、アルコール成分に由来する部分構造のうち、下記式(1)示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
(ii)該エステルワックス中の、酸成分に由来する部分構造のうち、下記式(2)示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である
該結晶性ポリエステルは、以下の(iii)又は(iv)の条件を満たす
(iii)該結晶性ポリエステル中の、アルコール成分に由来する部分構造のうち、下記式(1)示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
(iv)該結晶性ポリエステル中の、酸成分に由来する部分構造のうち、下記式(2)示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である
とが好ましい。
ここで、式の炭化水素鎖 2x の左端には、水素又は酸素が結合しているものとする。また、式の炭化水素鎖 2y の左端には、水素又はカルボニル基が結合しているものとする。
上記の部分構造の割合は質量基準の割合を指す。例えば、式(1)に該当するエステルワックスを95質量%、式(1)及び(2)に該当しないエステルワックスを5質量%併用した場合、式(1)の部分構造の割合は95質量%となる。
本発明者らが鋭意検討した結果、ある程度結晶性ポリエステルを含むトナーにおいて、特定の結晶性ポリエステルと特定のエステルワックスを、特定の配合比で組み合わせることで、トナー内の結晶性ポリエステルの微分散化及び結晶化が促進できることを見出した。微分散化と結晶化を同時に達成することにより、上述の後端オフセットの抑制及びヒートサイクルの履歴を受けた後のカブリの抑制を両立させやすい。
エステルワックスの中でも、2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル化合物、又は2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル化合物を用いることが好ましい。このような2官能のエステルワックスは、本発明において好ましく用いられる懸濁重合法において、結晶性ポリエステルの造核剤として作用しやすい。その結果、トナー内部の結晶性ポリエステルのドメインを結晶化させやすくなり、そのドメインを所望の範囲に制御しやすくなる。具体的には、結晶性ポリエステルのドメインの個数平均の長径を50nm以上300nm以下という比較的小さな範囲に制御しやすくなり、また、ドメインの個数を8個以上500以下という比較的多い範囲に制御しやすくなる。
Figure 2021165858
<実施例2〜32、比較例1〜5>
実施例1にて、トナー1をトナー2〜32及び比較用トナー1〜5に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。なお、実施例11においては、画像形成装置を非磁性トナーが出力できるように改造したうえで評価を実施した。これらの評価結果を表7に示す。また、実施例22〜27,30〜32は、それぞれ参考例22〜27,30〜32とする。
<実施例2〜32、比較例1〜5>
実施例1にて、トナー1をトナー2〜32及び比較用トナー1〜5に変更したこと以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。なお、実施例11においては、画像形成装置を非磁性トナーが出力できるように改造したうえで評価を実施した。これらの評価結果を表7に示す。また、実施例21〜27,30〜32は、それぞれ参考例21〜27,30〜32とする。

Claims (10)

  1. 結着樹脂、着色剤、ワックス及び結晶性ポリエステルを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該トナーが、第一のDSC曲線において、40℃以上80℃以下に2つ以上の結晶化ピークのピークトップを有し、該第一のDSC曲線が、示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃まで昇温した後、100℃から20℃まで速度0.5℃/minでトナーを降温する過程で得られるものであり、
    該トナーが下記式を満たすことを特徴とするトナー。
    2.0≦(ΔH(100)/ΔH(0.5))≦6.0
    (式中、ΔH(0.5)は、該第一のDSC曲線における2つ以上の結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)を示し、
    ΔH(100)は、第二のDSC曲線の40℃以上80℃以下にピークトップが存在する結晶化ピークのうち、最も低温側にある該結晶化ピークの発熱量(J/g)を示し、該第二のDSC曲線が、示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃まで昇温した後、100℃から20℃まで100℃/minで降温する過程で得られるものである。)
  2. 該ΔH(100)が、2.5J/g以上15.0J/g以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 該結晶性ポリエステルと該ワックスが下記式(1)を満たす請求項1又は2に記載のトナー。
    5 ≦Tw−Tp≦ 30 (1)
    (式(1)中、
    Tw(℃)は示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃から20℃まで速度0.5℃/minで降温する過程で測定される該ワックスの結晶化ピーク(Pw)のピーク温度であり、
    Tp(℃)は示差走査熱量計(DSC)を用いて100℃から20℃まで速度0.5℃/minで降温する過程で測定される該結晶性ポリエステルの結晶化ピーク(Pp)のピーク温度である。)
  4. 該ワックスはエステルワックスを含有し、
    該エステルワックスの示差走査熱量測定における吸熱ピークのピークトップ温度が65℃以上85℃以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 該エステルワックスは、2価のアルコールと脂肪族モノカルボン酸のエステル化合物、及び2価のカルボン酸と脂肪族モノアルコールのエステル化合物のいずれかである請求項4に記載のトナー。
  6. 該エステルワックスは、以下の(i)又は(ii)の条件:
    (i)該エステルワックス中の、アルコール成分に由来する部分構造のうち、下記式(1)に示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
    (ii)該エステルワックス中の、酸成分に由来する部分構造のうち、下記式(2)に示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
    を満たし、
    該結晶性ポリエステルは、以下の(iii)又は(iv)の条件:
    (iii)該結晶性ポリエステル中の、アルコール成分に由来する部分構造のうち、下記式(1)に示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
    (iv)該結晶性ポリエステル中の、酸成分に由来する部分構造のうち、下記式(2)に示される部分構造の割合が90質量%以上100質量%以下である、
    を満たす請求項4又は5に記載のトナー。
    Figure 2021165858

    (式1の炭化水素鎖の左端には、水素又は酸素が結合し、式2の炭化水素鎖の左端には、水素又はカルボニル基が結合する。)
  7. 該エステルワックスがエステル化合物を含有し、
    該エステルワックスのGC−MASS又はMALDI TOF MASSで測定した際の組成分布において、含有割合が最も多い該エステル化合物の該エステルワックス全量に対する含有割合が40質量%以上80質量%以下である請求項4〜6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 該トナーは該結着樹脂100質量部に対し該結晶性ポリエステルを3質量部以上15質量部以下含有し、
    該ワックスと該結晶性ポリエステルの質量比率(ワックス/結晶性ポリエステル)が1/3〜3/1である請求項1〜7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察される該トナーの断面において、
    該結晶性ポリエステルのドメインが存在し、
    該ドメインの個数平均の長径が、50nm以上300nm以下であり、
    該ドメインの個数が、8個以上500個以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載のトナー。
  10. 前記ΔH(100)及びΔH(0.5)が、前記結晶性ポリエステル由来の結晶化ピークの発熱量である請求項1〜9のいずれか一項に記載のトナー。
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