JP2022077739A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化・高速化した画像形成装置本体において、両面印刷モードで排紙トレイに紙を積載させるような使用環境下における印刷画像の色むら抑制及び低温定着性を両立可能なトナー。【解決手段】結着樹脂及び特定の構造のエステルワックスAを含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記トナーを120℃で5分放置後、60℃で5分放置した後にX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、2θが5.45°以上5.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP1とし、該P1の積分強度をS1とし、2θが21.45°以上21.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP2とし、該P2の積分強度をS2とした場合、下記式(2)及び(3)の関係を満たすことを特徴とするトナー。S1/S2≦0.25 ・・・(2)S2≧1000 ・・・(3)【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法のような画像形成装置に使用されるトナーに関する。
近年、複写機やプリンターなどの電子写真画像形成装置においては、より高速化、高画質化、省エネルギー化が求められている。また資源保護の世界的な時流により両面印刷モードを優先的に使用するユーザーも増加しており、ユーザーの多種多様な使用環境にも安定的な性能を発現する必要がある。
本体サイズは省スペースの観点から小型化が求められている。本体の小型化にはデッドスペースをなくすための各構成部品の最適な配置と必要最小限の構成点数にする必要があり、そのため冷却ファンや風路などは削減の対象となりやすい。そのような場合、本体内の熱が冷めにくい構成となり、さらにプリントスピードが高速化することによってトナーがプリントされた用紙は定着時の熱が冷めないまま次々に排紙トレイに積み重ねられることになる。
トナーに対しては、種々の性能のより一層の向上が求められており、特に高速化、省エネルギー化の観点から、より一層の低温定着性の向上が要求されている。低温定着性に優れたトナーを得るために、可塑剤をトナーに用いる検討がなされている。熱によって溶融し液体化した可塑剤が結着樹脂と相溶することで、トナー溶融時の粘度が下がり、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。
例えば特許文献1及び2では、可塑剤として結着樹脂と相溶性の高い特定のエステルワックスを用いることで、結着樹脂を溶融しやすくしたトナーが提案されている。この技術によって低温定着化を大幅に改善することができる。
国際公開第2013/047296号 特開2019-086642号公報
しかしながら、上記文献のトナーは、前述したような小型化・高速化した本体において、両面印刷モードで排紙トレイに紙を積載させるような使用環境下では、ベタ画像を印刷した際にページ内の色味の均一性が低くなる色むらといった課題が生じることがわかった。そのため、低温定着性と色むら抑制(ページ内の色味の均一性)の両立には不十分である。
本開示は、小型化・高速化した画像形成装置本体において、両面印刷モードで排紙トレイに紙を積載させるような使用環境下における印刷画像の色むら抑制(ページ内の色味の均一性)及び低温定着性を両立可能なトナーを提供する。
本開示は、結着樹脂及び下記式(1)で示されるエステルワックスAを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記トナーを120℃で5分放置後、60℃で5分放置した後にX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、
2θが5.45°以上5.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP1とし、該P1の積分強度をS1とし、
2θが21.45°以上21.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP2
とし、該P2の積分強度をS2とした場合、
下記式(2)及び(3)の関係を満たすトナーに関する。
S1/S2≦0.25 ・・・(2)
S2≧1000 ・・・(3)
下記式(1)中、Rはエチレン基を示し、R及びRは炭素数11~25の直鎖アルキル基を示し、R及びRは互いに独立である。
Figure 2022077739000001
本開示により、小型化・高速化した画像形成装置本体において、両面印刷モードで排紙トレイに紙を積載させるような使用環境下における印刷画像の色むら抑制(ページ内の色味の均一性)及び低温定着性を両立可能なトナーを提供することができる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
上述の通り、トナーの低温定着性を向上させるためには、上記特許文献のように、結着樹脂と相溶性の高い特定のエステルワックスをトナー内部に含有することが有効である。
しかしながら、両面印刷モードで排紙トレイに紙を積載させるような使用環境下では、ページ内の色味変動が生じる場合があることが本発明者らの検討で明らかになった。特に、小型化・高速化した画像形成装置本体のように、冷却条件が弱い場合に顕在化しやすい。
両面印刷モードでは、排紙トレイ上の紙束中に残った熱によって画像表面にエステルワックスが移行しやすい。そして画像表面近傍に移行したエステルワックスが排紙トレイ上の紙束中の熱によって結晶成長し、配向した結晶を形成する。エステルワックスの結晶層は可視光に対応した面間隔の結晶を形成しやすい。そのため、低温定着性の向上を目的にエステルワックスを用いた場合、可視光によって画像表面で干渉色が生じることで色むらになりやすい。
本発明者らは、特定の手法で画像上のワックスの結晶状態を捉えることができる測定手法を見出すことに成功した。また、画像表面近傍におけるエステルワックスの結晶構造を特定の状態に制御することにより、両面印刷モードで排紙トレイに紙を積載させるような使用環境下においても色味変動を抑制できることを見出し、下記トナーに至った。
すなわち、本開示は、結着樹脂及び下記式(1)で示されるエステルワックスAを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記トナーを120℃で5分放置後、60℃で5分放置した後にX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、
2θが5.45°以上5.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP1とし、該P1の積分強度をS1とし、
2θが21.45°以上21.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP2
とし、該P2の積分強度をS2とした場合、
下記式(2)及び(3)の関係を満たすトナーに関する。
S1/S2≦0.25 ・・・(2)
S2≧1000 ・・・(3)
下記式(1)中、Rはエチレン基を示し、R及びRは炭素数11~25の直鎖アルキル基を示し、R及びRは互いに独立である。
Figure 2022077739000002
〇S1値とS2値について〇
小型化・高速化した画像形成装置本体で、両面印刷モードで連続プリントを実施し、排紙トレイに紙を積載した場合、紙束の中心付近の温度は60℃以上に達する。また積載した紙の量の影響を受け、その熱はなかなか冷めず、印刷されたトナーは5分以上温められた状態となることが明らかとなった。
このような状態では、エステルワックスAは瞬時に結晶化せず、結着樹脂に相溶したエステルワックスAは配向しながら徐々に画像表面近傍に移行すると考えられる。また排紙トレイ上の紙束の蓄熱によってエステルワックスAの結晶成長が促進されるため、結晶子サイズが粗大化し、可視光の干渉色を引き起こしやすい状態となることで、色むらがより生じやすくなる。一般的な可塑剤の結晶化温度である60℃程度が、結晶成長を促進させるため、色むらの最も生じやすい条件である。
X線回折装置によって得られる回折スペクトルについては後述するが、この方法によりエステルワックスAの結晶子サイズとその結晶量を捉えることができる。
トナーを120℃で5分放置後、60℃で5分放置した後のX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、2θが5.45°以上5.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP1としたとき、S1はP1の積分強度である。
S1は、エステルワックスAに由来し、かつ、粗大化して可視光の干渉色を呈する結晶量を示している。120℃で5分放置する条件は、定着工程の熱履歴を表している。また、60℃で5分放置する条件は、排紙トレイ上の紙束の蓄熱を表し、溶融後のエステルワックスAの結晶成長が促進する条件であることから、色むらに対して最も厳しい条件である。
色むらの抑制の観点から、S1は800以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、好ましくは150以上である。
上記式(2)は、トナーが、120℃で5分放置後、60℃で5分放置された後に、エステルワックスAに由来する全結晶成分のうち、配向した粗大結晶が25%以下であることを示している。
また、上記回折スペクトルにおいて、2θが21.45°以上21.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP2としたとき、S2はP2の積分強度である。S2は、エステルワックスAに由来する全結晶成分の量を示している。
上記式(3)は、トナーが、120℃で5分放置後、60℃で5分放置された後に、エステルワックスAに由来する結晶構造が低温定着性を達成するのに必要量存在することを示している。
S1/S2を0.25以下に制御することで、印刷画像表面で可視光の干渉を招く配向した粗大結晶の量を抑制することができるので、色むらの発生を抑制することができる。S1/S2は0.20以下であることがより好ましい。
下限は特に制限されないが、S1/S2は、0.05以上であることが好ましい。
S1/S2は、エステルワックスAのSP値や、エステルワックスAの分子量、架橋剤の分子量により制御することができる。
S2は、エステルワックスAや離型剤により制御することができる。
S2を1000以上に制御することで、良好な低温定着性を達成することができる。S2は2500以上であることが好ましく、3000以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、S2は、5000以下であることが好ましく、4000以下であることがより好ましい。
以上の通り、トナーを120℃で5分放置後、60℃で5分放置した後において、上記式(2)及び(3)を同時に満たすように制御することで、低温定着性と色むら抑制を高度に両立したトナーを提供することが可能である。
〇エステルワックスA〇
トナーは、エステルワックスAを含有するトナー粒子を含有する。エステルワックスAは定着時に結着樹脂を可塑する効果が高く、良好な低温定着性を達成するために必要である。エステルワックスAは、式(1)に示されるジエステル化合物である。
Figure 2022077739000003
上記一般式(1)中、Rはエチレン基(-CH-CH-)を示す。
上記一般式(1)中、R及びRは炭素数11~25の直鎖アルキル基を示し、且つ、これらR及びRは互いに独立である。したがって、R及びRは同じアルキル基であってもよいし、互いに異なるアルキル基であってもよい。
及びRは、低温定着性の観点から、好ましくは炭素数13~23の直鎖アルキル基、より好ましくは炭素数15~21の直鎖アルキル基である。
上記一般式(1)で示されるジエステル化合物として、具体的には、エチレングリコールジステアレート(R=-C-、R=R=-C1735)、エチレングリコールアラキデートステアレート(R=-C-、R=-C1939、R=-C1735)、エチレングリコールステアレートパルミテート(R=-C-、R=-C1735、R=-C1531)、エチレングリコールジミリステート(R=-C-、R=R=-C1327)、エチレングリコールジペンタデカネート(R=-C-、R=R=-C1429)、エチレングリコールジパルミテート(R=-C-、R=R=-C1531)、エチレングリコールジマルガレート(R=-C-、R=R=-C1633)、エチレングリコールジノナデカネート(R=-C-、R=R=-C1837)、エチレングリコールジアラキデート(R=-C-、R=R=-C1939)、エチレングリコールジベヘネート(R=-C-、R=R=-C2143)等が挙げられる。
これらのジエステル化合物の中でも、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジベヘネートがより好ましい。
トナーにおいて、エステルワックスAの含有量は、結着樹脂100.00質量部に対し、好ましくは1.00質量部以上30.00質量部以下であり、より好ましくは15.00質量部以上25.00質量部以下であり、さらに好ましくは18.00質量部以上23.00質量部以下である。
また、エステルワックスAのSP値は、好ましくは8.50以上10.00以下であり、より好ましくは8.70以上9.00以下である。エステルワックスAのSP値が8.50以上であることで、定着時にトナーの粘度が低下し、より優れた低温定着性を得ることができる。また、10.00以下であることで、トナーの耐熱保存性が向上する。
エステルワックスAの融点は6.00℃以上100.0℃以下であることが好ましく、65.0℃以上90.0℃以下であることがより好ましい。エステルワックスAの融点が60.0℃以上であることで、可塑性の高いワックスであっても、ワックスの表面露出を抑制することができる。また100.0℃以下であることで、十分な低温定着性を得ることができる。
なお、SP値は一般的に用いられているFedorsの方法[Poly.Eng.Sci.,14(2)147 (1974)]により、樹脂、疎水化処理剤を構成するモノマ
ーの種類と比率から算出する。
SP値は、モノマーの種類と量によって制御することができる。SP値を大きくするためには、例えば、SP値の大きいモノマーを使用すればよい。一方、SP値を小さくするためには、例えば、SP値の小さいモノマーを使用すればよい。SP値の単位は、(cal/cm1/2である。
〇エステルワックスB〇
トナー粒子は、さらにエステルワックスA以外のエステルワックスBを含有することが好ましい。
エステルワックスBは、定着時に結着樹脂に相溶したエステルワックスAが、排紙トレイ上の紙束の蓄熱を受けて配向し結晶化する際に、静電的相互作用によってエステルワックスAの結晶面に作用し、結晶成長を抑制する働きをする。そのため、印刷画像表面での可視光の干渉を抑制し、より色むらを抑えることができる。
エステルワックスBは、特に限定されることなく、公知のワックスを用いることができる。
例えば、1官能エステルワックスの他、2官能エステルワックスをはじめ、3官能や4官能、6官能、8官能などの多官能エステルワックスを用いることもできる。具体的には、アルコール成分としてはラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの1官能のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどの2官能のアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどの多官能アルコールとパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの脂肪族モノカルボン酸とのエステル化物;などが挙げられる。
エステルワックスBは2官能以上8官能以下であることが好ましく、より好ましくは2官能以上6官能以下である。2官能以上とすることで、エステルワックスBの立体障害が大きくなり、エステルワックスAの結晶成長をより抑制することができる。また8官能以下とすることで、優れた耐熱保存性を得られる。
エステルワックスにおけるX官能とは、一分子中にエステル結合をX個有することを意味する。
また、エステルワックスBの含有量は、結着樹脂100.00質量部に対して、好ましくは1.00質量部以上10.00質量部以下であり、より好ましくは2.00質量部以
上8.00質量部以下であり、さらに好ましくは3.00質量部以上7.00質量部以下である。
また、エステルワックスBのSP値は、8.50以上10.00以下であることが好ましく、より好ましくは8.70以上9.50以下である。
エステルワックスBの融点は60.0℃以上100.0℃以下であることが好ましく、65.0℃以上90.0℃以下であることがより好ましい。
エステルワックスBの重量平均分子量(Mw)は500以上3000以下であることが好ましく、850以上2300であることがより好ましい。500以上とすることで、色むらをより抑制することができる。また3000以下とすることで、低温定着性をより向上させることができる。
〇エステルワックスAとエステルワックスBの関係〇
エステルワックスAのSP値(cal/cm1/2とエステルワックスBのSP値の差の絶対値をΔSP1としたとき、ΔSP1が0.30以下であることが好ましく、より好ましくは0.20以下である。
ΔSP1を0.30以下とすることで、エステルワックスBがエステルワックスAの結晶成長抑制に作用し、色むらをより抑制することができる。下限は特に制限されないが、ΔSP1は、好ましくは0.00以上であり、より好ましくは0.02以上である。
〇結着樹脂〇
結着樹脂は、特に限定されるものではなく、トナー用の公知の樹脂を用いることができる。結着樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレンアクリル系樹脂及びビニル樹脂が挙げられる。
ビニル樹脂の製造に使用可能なモノマーとしては、以下のモノマーが挙げられる。
脂肪族ビニル炭化水素:
アルケン類、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα-オレフィン;
アルカジエン類、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,6-ヘキサジエン及び1,7-オクタジエン。
脂環式ビニル炭化水素:モノ-又はジ-シクロアルケン及びアルカジエン類、例えば、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン;
テルペン類、例えば、ピネン、リモネン、インデン。
芳香族ビニル炭化水素:
スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えば、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン;及びビニルナフタレン。
カルボキシ基含有ビニル系モノマー及びその金属塩:
炭素数3以上30以下の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1以上27以下)エステル。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸のカルボキシ基含有ビニル系モノマー。
ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸
ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4-ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチルα-エトキシアクリレート、炭素数1以上22以下のアルキル基(直鎖若しくは分岐)を有するアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、エイコシルアクリレート、エイコシルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、ベヘニルメタクリレートなど)、ジアルキルフマレート(フマル酸ジアルキルエステル、2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(マレイン酸ジアルキルエステル、2個のアルキル基は、炭素数2以上8以下の、直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリアリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン)、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー(ポリエチレングリコール(分子量300)モノアクリレート、ポリエチレングリコール(分子量300)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノメタクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(エチレンオキサイドを以下EOと略記する)10モル付加物アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物メタクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物アクリレート、ラウリルアルコールEO30モル付加物メタクリレート)、ポリアクリレート類及びポリメタクリレート類(多価アルコール類のポリアクリレート及びポリメタクリレート:エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート)。
カルボキシ基含有ビニルエステル:
例えば、炭素数3以上20以下のアルキル鎖を有するカルボキシアルキルアクリレート、炭素数3以上20以下のアルキル鎖を有するカルボキシアルキルメタクリレート。
これらの中でも、結着樹脂は、スチレンアクリル系樹脂を含むことが好ましい。
定着性と機械的強度の観点から、結着樹脂のピーク分子量(Mp)は、10000以上35000以下であることが好ましく、12000以上30000以下であることがより好ましい。
結着樹脂にスチレンアクリル系樹脂を用いる場合、スチレンアクリル系樹脂の含有割合が、結着樹脂中50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、80質量%以上99質量%以下であることがより好ましい。
結着樹脂は、ポリエステル樹脂、例えば、非晶性ポリエステル樹脂を含有してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の製造に使用可能なモノマーとしては、従来公知の2価又は3価以上のカルボン酸と、2価又は3価以上のアルコールとが挙げられる。これらモノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。
カルボン酸として、
蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1
,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸などの2価のカルボン酸、並びに、これらの無水物及びこれらの低級アルキルエステル。
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸、並びに、これらの低級アルキルエステル及びこれらの無水物。
また、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、これらの無水物、及びこれらの低級アルキルエステル。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコールとして、
アルキレンジオール(1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール及び1,20-イコサンジオール);
アルキレンエーテルグリコール(トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール);
脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物、ビスフェノール類(ビスフェノールA)のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物。
アルキレンジオール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は、直鎖であっても分岐であってもよい。分岐構造のアルキレンジオールも好ましく用いることができる。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いることもできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、以下の化合物を挙げることができる。
2-ブテン-1,4-ジオール、3-ヘキセン-1,6-ジオール及び4-オクテン-1,8-ジオール。
また、3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸などの1価の酸や、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールなどの1価のアルコールも使用することができる。
中でも、ビスフェノール類のアルコールを用いた非晶性ポリエステルが好ましい。
例えば、トナー粒子が、下記構造式(9)に示されるモノマーユニットを有する非晶性ポリエステルを含有することが好ましい。
Figure 2022077739000004
構造式(9)中、s+tは1以上の整数(好ましくは、2以上の整数、また、好ましくは4以下の整数)であり、R、R、R及びR10はそれぞれ独立してH又はCHを表す。
〇テトラヒドロフランTHF不溶分〇
トナーに含まれる樹脂中のTHF不溶分の含有割合が、20質量%以上80質量%以下であることが好ましい。20質量%以上であることで、高温でもより高い弾性を有し、高温での過度なトナーの融け広がりによる定着ムラ抑制により優れる。一方で80質量%以下であることで、過度な弾性による低温定着阻害の抑制により優れる。より好ましくは20質量%以上60質量%以下である。
THF不溶分の含有割合は、架橋剤の分子量や架橋剤の添加部数により制御できる。
〇貯蔵弾性率〇
トナーの粉体動的粘弾性測定において、20℃/minで昇温した際に得られる貯蔵弾性率をE’とした場合、100℃のときのトナーの貯蔵弾性率E’(100)が4.0×10Pa以上6.5×10Pa以下であることが好ましい。
E’(100)を4.0×10Pa以上とすることで高温時におけるトナーの過度な融け広がりを十分に抑制でき耐ホットオフセット性が向上する。E’(100)を6.5×10Pa以下とすることで、定着時に必要なトナーの融け広がりを阻害しないためより優れた低温定着性を得ることができる。
E’(100)は、より好ましくは4.5×10Pa以上6.0×10Pa以下である。E’(100)は、エステルワックスAの添加部数や架橋剤の分子量、架橋剤の添加部数により制御できる。
〇架橋剤〇
結着樹脂は、架橋剤に由来するモノマーユニットを有することが好ましい。すなわち、結着樹脂は架橋剤により架橋された構造を有することが好ましい。モノマーユニットとは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
架橋構造の導入は、少なくとも2つ(好ましくは2つ)の不飽和二重結合及びアルキレングリコール構造を有する架橋剤を用いて導入する方法や、多官能モノマーを用いて導入することが可能であり、それらを併用して行ってもよい。
少なくとも2つ(好ましくは2つ)の不飽和二重結合及びアルキレングリコール構造を有する架橋剤を用いて架橋構造を導入する場合、スチレンアクリル系樹脂が、下記構造式(6)に示される架橋剤に由来するモノマーユニット(架橋剤により架橋された構造)を有することが好ましい。
Figure 2022077739000005
構造式(6)中、m+nは2以上の整数(好ましくは、4以上の整数、より好ましくは7以上の整数、また、好ましくは25以下の整数、より好ましくは12以下の整数)であり、R11及びR14は独立してH又はCHを表し、R12及びR13は独立して炭素数2以上12以下(好ましくは3以上8以下)の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基を表
す。
結着樹脂が、上記構造式(6)に示される架橋剤に由来するモノマーユニットを有するスチレンアクリル系樹脂を含有する場合、架橋剤に由来するエーテル構造により、高温高湿環境下においてトナー粒子表面へのエステルワックスAの染みだしを抑制することができる。その結果、色むらをより抑制することができる。
上記構造式(6)を満たす架橋剤を以下に例示する。
ポリエチレングリコール#200ジアクリレート(A200)、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(A400)、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(A600)、ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート(A1000);
ジプロピレングリコールジアクリレート(APG100)、トリプロピレングリコールジアクリレート(APG200)、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート(APG400)、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート(APG700)、ポリテトラプロピレングリコール#650ジアクリレート(A-PTMG-65)。
また、スチレンアクリル系樹脂が、下記構造式(8)に示される架橋剤に由来するモノマーユニット(架橋剤により架橋された構造)を有することがより好ましい。
Figure 2022077739000006
構造式(8)中、p+qは2以上の整数(好ましくは、4以上の整数、より好ましくは7以上の整数、また、好ましくは12以下の整数)であり、R15及びR16は独立してH又はCHを表す。
結着樹脂が、上記構造式(8)に示される架橋剤に由来するモノマーユニットを有するスチレンアクリル系樹脂を含有する場合、エーテル構造を有する架橋剤の中でも、特に水との親和性を低くすることが可能となる。その結果、高湿環境下のようなトナーが水分を吸着しやすい環境においても、帯電性が損なわれず、カブリの発生を抑制することができる。
構造式(6)に示される架橋剤に由来するモノマーユニット及び、構造式(8)に示される架橋剤に由来するモノマーユニットは、好ましくは下記式(6A)及び(8A)で示される。式中R11、R12、R13、R14、R15、R16、m、n、p及びqに関しては上記と同様である。
Figure 2022077739000007
構造式(6)に示される架橋剤以外としては、下記に示す架橋剤を用いてもよい。
多官能モノマーを用いて架橋構造を導入する場合、ビニル系の多官能モノマーが好ましい。ビニル系の多官能モノマーとしては、2官能モノマー:ポリアルキレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、両末端アクリル変性シリコーン、及び両末端メタクリル変性シリコーン;3官能モノマー:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート;4官能モノマー:テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種の多官能モノマーが挙げられる。
これらのうち、2官能モノマーが好ましい。
トナーにおいて、架橋剤の添加量は、結着樹脂を生成する重合性単量体または結着樹脂100質量部に対し0.01質量部以上5.00部以下であることが好ましく、0.40質量部以上3.00質量部以下であることがより好ましい。
また、スチレンアクリル系樹脂中の構造式(6)(好ましくは構造式(8))で示される架橋剤に由来するモノマーユニットの含有量は、0.01質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.40質量%以上3.00質量%以下であることがより好ましく、0.50質量%以上2.00質量%以下であることがさらに好ましい。
架橋剤の分子量は、架橋反応性と架橋構造の柔軟性の観点から、200以上2000以下であることが好ましく、300以上900以下であることがより好ましい。
〇架橋剤とエステルワックスBの分子量の関係〇
エステルワックスBの分子量をM1とし、架橋剤の分子量をM2とした場合、M2/M1が0.10以上であることが好ましく、0.23以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは1.00以下であり、より好ましくは0.60以下である。
M2/M1を0.10以上とすることで、排紙トレイ上の紙束の蓄熱を受けた際に、立体障害を有するエステルワックスBの運動性が架橋剤によって阻害されないので、エステ
ルワックスAに効果的に作用することができる。その結果、粗大結晶の形成を十分に抑制することができるので、色むらをより抑制することができる。
〇着色剤〇
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。着色剤としては顔料、染料、磁性体が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。
顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。
顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66など、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。
顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48;2、48;3、48;4、49、50、51、52、53、54、55、57、57;1、58、60、63、64、68、81、81;1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254など、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、52、58、63、81、82、83、84、100、109、111、121、122など、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27など、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40など、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を併用して用いることができる。
着色剤(磁性体以外の場合)の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、2質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子は、着色剤として磁性体を含有してもよい。
磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトなどの磁性酸化鉄;鉄、コ
バルト、ニッケルのような金属、又はこれらの金属とアルミニウム、銅、マグネシウム、スズ、亜鉛、ベリリウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びそれらの混合物などが挙げられる。
磁性体の一次粒子の個数平均粒径は、0.50μm以下であることが好ましく、0.05μm以上0.30μm以下であることがより好ましい。
トナー粒子中に存在する磁性体の一次粒子の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。
具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させて硬化物を得る。得られた硬化物をミクロトームにより薄片状のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万~4万倍の拡大倍率の画像を撮影し、画像中の100個の磁性体の一次粒子の投影面積を測定する。そして、投影面積に等しい円の相当径を磁性体の一次粒子の粒子径とし、100個の平均値を磁性体の一次粒子の個数平均粒径とする。
磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、25質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
なお、トナー中の磁性体の含有量は、パーキンエルマー社製熱分析装置TGA Q5000IRを用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱し、100℃~750℃の減量質量を、トナーから磁性体を除いた成分の質量とし、残存質量を磁性体量とする。
磁性体は、例えば、下記の方法で製造することができる。
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウムなどのアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。混合液のpHを5から10に維持し、空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、撹拌条件を選択することにより、磁性体の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて混合液のpHは酸性側に移行していくが、混合液のpHは5未満にしない方がよい。このようにして得られた磁性体を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性体を得ることができる。
また、磁性体は必要に応じて公知の表面処理を行ってもよい。
磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、下記式(I)で示されるものである。
SiY (I)
式(I)中、Rは(好ましくは炭素数1~3の)アルコキシ基を示し、mは1~3の整数を示し、Yは(好ましくは炭素数2~20の)アルキル基、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などの官能基を示し、nは1~3の整数を示す。ただし、m+n=4である。
式(I)で示されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、β-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニ
ルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n-ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n-ヘキサデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
この中で、高い疎水性を磁性体に付与するという観点では、下記式(II)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を用いることが好ましい。
2p+1-Si-(OC2q+1 (II)
式(II)中、pは2~20の整数を示し、qは1~3の整数を示す。
上記式におけるpが2以上であると、磁性体に疎水性を十分に付与することができる。pが20以下であると、疎水性が十分であり、さらに磁性体同士の合一が抑制できる。さらに、qが3以下であると、シランカップリング剤の反応性が良好で疎水化が十分に行われやすい。
このため、式中のpが2~20の整数(より好ましくは、3~15の整数)を示し、qが1~3の整数(より好ましくは、1又は2)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用することが好ましい。
上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、又は複数を併用して処理することが可能である。複数を併用する場合、それぞれのカップリング剤で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
用いるカップリング剤の総処理量は磁性体100質量部に対して0.9質量部以上3.0質量部以下であることが好ましく、磁性体の表面積、カップリング剤の反応性などに応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
〇荷電制御剤〇
トナー粒子は、荷電制御剤を含有してもよい。なお、トナーは、負帯電性トナーであることが好ましい。
負帯電用の荷電制御剤としては、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸又は芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物などが例示される。
市販品の具体例として、Spilon Black TRH、T-77、T-95(保土谷化学工業(株))、BONTRON(登録商標)S-34、S-44、S-54、E-84、E-88、E-89(オリエント化学工業(株))が挙げられる。
荷電制御剤は単独、又は二種以上組み合わせて用いることが可能である。
荷電制御剤の含有量は、帯電量の観点から、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
〇外添剤〇
トナー粒子は、必要に応じて、トナーの流動性向上及び/又は帯電性向上のために、外添剤を混合し、トナーとしてもよい。
外添剤の混合には、公知の装置、例えば、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)を用いるとよい。
外添剤としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子及びアルミナ微粒子などの無機微粒子が挙げられる。シリカ微粒子としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された、いわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスなどから製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。
しかし、表面及びシリカ微粒子の内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2-などの製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。
また、乾式シリカにおいては、製造工程において、例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、それらも包含する。
無機微粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。無機微粒子の含有量は、蛍光X線分析計を用い、標準試料から作成した検量線から定量するとよい。
外添剤としては、一次粒子の個数平均粒径が、4nm以上80nm以下の無機微粒子が例示でき、6nm以上40nm以下の無機微粒子が好適に例示できる。
無機微粒子は、疎水化処理が施された場合、トナーの帯電性及び環境安定性をより向上させることができる。疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。処理剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により拡大撮影されたトナーの画像を用いて算出するとよい。
〇離型剤〇
トナー粒子は、離型性の観点から、上記エステルワックス以外に、離型用ワックスを含有してもよい。
離型用ワックスとしては、公知のワックスが挙げられる。
具体例としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどの石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスなど天然ワックス及びその誘導体、エステルワックスなどがある。
ここで、誘導体とは酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
離型用ワックスは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型用ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上25.0質量部以下であることがより好ましい。
〇トナー特性〇
トナーのガラス転移温度(Tg)は、45.0℃以上65.0℃以下であることが好ましく、50.0℃以上65.0℃以下であることがより好ましい。
ガラス転移温度が上記範囲にある場合、保存安定性及び低温定着性を高度に両立させることができる。ガラス転移温度は、結着樹脂の組成及び分子量などにより制御することができる。
トナーの重量平均粒径(D4)は、3.0μm以上8.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以上7.0μm以下であることがより好ましい。
トナーの重量平均粒径(D4)を上記範囲とすることで、トナーのハンドリング性を良好にしつつ、ドットの再現性を十分に満足させることができる。
また、トナーの、重量平均粒径(D4)の個数平均粒径(D1)に対する比(D4/D1)は、1.25未満であることが好ましい。
〇製造方法〇
トナー粒子の製造方法は、特に限定されず、乾式製法(例えば、混練粉砕法など)、湿式製法(例えば、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法など)のいずれを用いてもよい。これらの中でも、懸濁重合法を用いることが好ましい。
懸濁重合法では、例えば、結着樹脂を形成しうる重合性単量体、及びエステルワックスA、並びに、必要に応じて、エステルワックスB、離型剤、磁性体、重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤及びその他の添加剤を、均一に分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に、適当な攪拌器を用いて、得られた重合性単量体組成物を分散・造粒し、重合開始剤を用いて重合反応を行い、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
懸濁重合法によるトナー粒子の製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30時間以下であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下の添加量で用いることが好ましい。そうすると、分子量5,000以上50,000以下の間に極大を有する重合体を得ることができ、トナー粒子に好ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。
重合性単量体を重合する工程において、重合温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定するとよい。
その後、50℃以上90℃以下程度の反応温度から冷却し、重合反応工程を終了させる冷却工程がある。
重合性単量体の重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することによりトナー粒子が得られる。このトナー粒子に、外添剤を混合してトナー粒子の表面に付着させることで、トナーを得てもよい。また、製造工程に分級工程を入れ、トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉をカットすることも可能である。
〇開始剤〇
具体的な重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(セカンダリーブチル)パーオキシジカーボネートなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。この中でも、t-ブチルパーオキシピバレートが好ましい。
〇分散安定剤〇
重合性単量体組成物が分散される水系媒体は分散安定剤を含有してもよい。
分散安定剤としては、公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れにくく、洗浄も容易でトナーに悪影響を与えにくいため、好ましく使用できる。
こうした無機分散剤の例としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、ヒドロキシアパタイトなどのリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機化合物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100.0質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下使用することが好ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。さらに、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用してもよいが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることが
できる。
例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速攪拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性のリン酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。このとき、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生しにくくなるので好ましい。
界面活性剤としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムなどが挙げられる。
以下に、各物性値の測定方法を記載する。
<スペクトルの積分強度S1、S2>
(X線回折)
X線回折測定は、測定装置「RINT-TTRII」(株式会社リガク社製)と、装置付属の制御ソフト及び解析ソフトを用いる。測定条件は以下の通りである。
X線:Cu/50kV/300mA
ゴニオメータ:ロータ水平ゴニオメータ(TTR-2)
アタッチメント:標準試料ホルダー
発散スリット:解放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
カウンタ:シンチレーションカウンタ
走査モード:連続
スキャンスピード:4.0000°/min
サンプリング幅:0.0200°
走査軸:2θ/deg
走査範囲:3.0000°~35.0000°
(磁性体の除去)
磁性トナーを測定するに当たっては、測定前に下記操作を行う。
テトラヒドロフラン(THF)20mLに磁性トナー1.5gを加え、60℃で湯せんする。その後、ネオジム磁石を用いて磁性体を拘束し、THF可溶成分のみを採取する。その後乾固させることで測定サンプルを得る。
(測定及び積分強度の算出)
トナー15mgをXRD測定用試料板の上、1cm×1cmの範囲に均一に敷き詰める。試料板を120℃に加熱したホットプレート上に5分間放置後、60℃に加熱した別のホットプレート上に5分放置する。その後、室温の金属板の上に試料板を移動させ、試料を室温に冷やす。試料板を装置にセットして測定を開始する。
CuKα特性X線において、回折角(2θ)3°~35°の範囲で測定を行う。得られたスペクトルから2θが5.45°以上5.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP1とし、P1の積分強度をS1とする。また、2θが21.45°以上21.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP2とし、P2の積分強度をS2とする。
積分強度S1及びS2の取得においては、装置付属のソフトウェアを用いて行う。条件及び順序は下記の通りである。
1.平滑化:加重平均
パラメータ:自動
2.BG除去:Sonneveld‐Visser法
3.Kα2除去
4.積分強度計算
<質量分析によるワックスの分子量測定>
・トナーからワックスの分離
トナーのままでも測定可能であるが、分離操作を行った方がより好ましい。
トナーに対して貧溶媒であるエタノールにトナーを分散させ、ワックスの融点を超える温度まで昇温させる。この時必要に応じて加圧してもよい。この操作により融点を超えたワックスはエタノールに中に溶融・抽出されている。加温、さらに加圧している場合は加圧したまま固液分離することにより、トナーからワックスを分離できる。次いで、抽出液を乾燥・固化することによりワックスを得る。
・熱分解GCMSによるワックスの同定と分子量測定
質量分析装置:ThermoFisherScinetific社 ISQ
GC装置:ThermoFisherScinetific社 FocusGC
イオン源温度:250℃
イオン化方法:EI
質量範囲: 50-1000 m/z
カラム:HP-5MS[30m]
熱分解装置:日本分析工業社 JPS-700
590℃のパイロホイルに抽出操作により分離したワックス少量と水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)1μLを加える。サンプルに対し上記条件で熱分解GCMS測定を実施し、エステル化合物由来のアルコール成分、カルボン酸成分のそれぞれについてのピークを得る。メチル化剤であるTMAHの作用によりアルコール成分、カルボン酸成分はメチル化物として検出される。
得られたピークを解析し、エステルワックスの構造を同定することにより分子量を得ることができる。
また、炭化水素ワックスは、炭化水素の分解パターンによる分布を持ったピークが現れる。このピークの確認と解析により、炭化水素ワックスの同定をすることができる。
・直接導入法によるワックスの同定と分子量測定
質量分析装置:ThermoFisherScinetific社 ISQ
イオン源温度:250℃ 電子エネルギー:70eV
質量範囲: 50-1000 m/z(CI)
Reagent Gas:メタン(CI)
イオン化方法:ThermoFisherScinetific社 Direct Exposure Probe DEP
0 mA(10 sec)-10 mA/sec-1000 mA(10sec)
抽出操作により分離したワックスをDEPユニットのフィラメント部分に直接載せて測定する。得られたクロマトグラムの0.5分~1分付近の主成分ピークのマススペクトルの分子イオンを確認し、エステルワックスを同定し分子量を得る。
また、炭化水素ワックスは14m/z刻みの分布を持った特徴的なマススペクトルを持つため、それにより確認することができる。
・MALDI-TOFMSによるエステルワックスの同定と分子量測定
抽出操作により分離したワックスを2mg精秤し、クロロホルム2mlを加えて溶解させてサンプル溶液を作製する。次に、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)20mgを精秤し、クロロホルム1mlを添加して溶解させてマトリックス溶液を調製する。また、トリフルオロ酢酸NA(NATFA)3mgを精秤した後、アセトンを1ml添加し
て溶解させてイオン化助剤溶液を調製する。
このようにして調製したサンプル溶液25μl、マトリックス溶液50μl、イオン化助剤溶液5μlを混合して、MALDI分析用のサンプルプレート上に滴下させ、乾燥させることで測定サンプルとする。サンプルを下記条件で測定し、マススペクトルを得る。得られたマススペクトルからエステルワックスを同定し分子量を得る。
装置:Bruker社 Flextreme
条件:Tof検出モード Reflectモード
測定範囲: 100-2000 m/z
レーザー強度: 60%
積算回数: 3000
<結着樹脂の組成分析>
・結着樹脂の分離方法
トナー100mgをクロロホルム3mlに溶解する。次いで、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えば、マイショリディスクH-25-2(東ソー社製)を使用)を取り付けたシリンジで吸引ろ過することで不溶分を除去する。
分取HPLC(装置:日本分析工業社製 LC-9130 NEXT 分取カラム[60cm] 排除限界:20000、70000、2本連結)に可溶分を導入しクロロホルム溶離液を送液する。得られるクロマトグラフの表示でピークが確認できたら、単分散ポリスチレン標準試料で分子量2000以上となるリテンションタイムを分取する。得られた文画の溶液を乾燥・固化し結着樹脂を得る。
・核磁気共鳴分光法(NMR)による組成比及び質量比の測定
トナー20mgに重クロロホルム1mLを加え、溶解した結着樹脂のプロトンのNMRスペクトルを測定する。得られたNMRスペクトルから各モノマーのモル比及び質量比を算出し、架橋剤などを特定することができる。
たとえば、スチレンアクリル共重合体の場合はスチレンモノマーに由来する6.5ppm付近のピークと3.5~4.0ppm付近のアクリルモノマーに由来するピークをもとに組成比と質量比を算出することができる。
また、例えばトナーの結着樹脂として一般的に知られているポリエステル樹脂を含有する場合にはポリエステル樹脂を構成する各モノマーに由来するピークとスチレンアクリル共重合体に由来するピークも併せてモル比及び質量比を算出し、スチレンに由来するモノマーユニットの含有量を求める。
NMR装置:JEOL RESONANCE ECX500
観測核:プロトン 測定モード:シングルパルス
<トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数25000にて行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの
総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180°ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の、液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散については、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「算術径」が重量平均粒径(D4)、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「算術径」を個数平均粒径(D1)とする。
<SP値>
溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorsの式(2)を用いて求める。
下記Δei、及び、Δviの値は、「コーティングの基礎科学、54~57頁、1986年(槇書店)」の表3-9に記載された、原子及び原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)を参考にする。
なお、SP値の単位は、(cal/cm1/2であるが、1(cal/cm1/2=2.046×10(J/m1/2によって(J/m1/2の単位に換算することができる。
δi=(Ev/V)1/2=(Δei/Δvi)1/2 式(2)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子又は原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子又は原子団のモル体積
<最大吸熱ピークのピーク温度(又は、融点)の測定方法>
トナー又はワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量計(DSC) Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミニウム製の空パンを用いる。そのときの最大吸熱ピークのピーク温度を求める。また、ワックスなどについては、該最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
<ガラス転移温度(Tg)の測定方法>
トナー又は樹脂などのガラス転移温度は、最大吸熱ピークのピーク温度の示差走査熱量測定によって得られた昇温時のリバーシングヒートフロー曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインを延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、リバーシングヒートフロー曲線におけるガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(℃)である。
<樹脂などの重量平均分子量(Mw)、ピーク分子量(Mp)の測定方法>
樹脂及びその他の材料の重量平均分子量(Mw)、ピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
(1)測定試料の作製
試料とテトラヒドロフラン(THF)とを5.0mg/mLの濃度で混合し、室温にて5~6時間放置した後、充分に振とうし、THFと試料を、試料の合一体がなくなるまで良く混ぜる。さらに、室温にて12時間以上静置する。この時、試料とTHFの混合開始時点から、静置終了の時点までの時間が72時間以上となるようにし、試料のテトラヒドロフラン(THF)可溶分を得る。
その後、耐溶剤性メンブランフィルター(ポアサイズ0.45~0.50μm、マイショリディスクH-25-2[東ソー社製])でろ過して試料溶液を得る。
(2)試料の測定
得られた試料溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置 LC-GPC 150C(ウォーターズ社製)
カラム:Shodex GPC KF-801、802、803、804、805、806、807(昭和電工社製)の7連
移動相:THF
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
試料注入量:100μL
検出器:RI(屈折率)検出器
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure ChemicalCo.製又は東洋ソーダ工業社製の、分子量が6.0×10、2.1×10、4.0×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2.0×10、4.48×10のものを用いる。
<外添剤の除去>
1)非磁性トナーの場合
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液31gと、6mLのコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー1gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーいわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にて1分当たり350往復の条件で30分間振盪する。振盪後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)にて、58.33S-1、30分間の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはトナーが存在し、下層の水溶液側には外添剤が存在する。上層のトナーを採取してろ過し、40℃に温めたイオン交換水2Lで通水洗浄し、洗浄したトナーを取り出す。
2)磁性トナーの場合
イオン交換水100mLに、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)を6mL入れ分散媒を作製する。この分散媒に、トナー5gを添加し、超音波分散機(アズワン(株)VS-150)で5分間分散させる。その後、いわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、1分当たり350往復の条件で20分間振盪する。
その後、ネオジム磁石を用いてトナーを拘束し採取する。このトナーを40℃に温めたイオン交換水2Lで通水洗浄し、洗浄したトナーを取り出す。
<テトラヒドロフラン(THF)不溶分の測定方法>
トナー1.5gを精秤し、予め精秤した円筒濾紙(商品名:No.86R、サイズ28×100mm、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)200mLを用いて20時間抽出し、その際に溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。
抽出終了後、円筒ろ紙を取り出して風乾した後、40℃で8時間真空乾燥し、抽出残分を含む円筒濾紙の質量を秤量し、円筒濾紙の質量を差し引くことにより、抽出残分の質量W1(g)を算出する。
次に、樹脂成分以外の成分の含有量W2(g)を以下の手順で求める。予め秤量した30mLの磁性るつぼに1.5gのトナーを精秤する。磁性るつぼを電気炉に入れ約900℃で約3時間加熱し、電気炉中で放冷し、常温下でデシケーター中に1時間以上放冷し、焼却残灰分を含むるつぼの質量を秤量し、るつぼの質量を差し引くことにより焼却残灰分W2(g)を算出する。
これらの値から(W1-W2)/(1.5-W2)により樹脂由来のTHF不溶分を求める。
<トナーの粉体動的粘弾性の測定方法>
動的粘弾性測定装置DMA8000(パーキンエルマー社製)を用いて測定を行う。
測定治具:マテリアルポケット(P/N:N533-0322)
トナー80mgをマテリアルポケットに挟み、シングルカンチレバーに取り付け、トルクレンチでねじを締めて固定する。
測定は専用ソフト「DMA Control Software」(パーキンエルマー社製)を用いる。測定条件は、以下の条件で行う。
オーブン:Stnadard Air Stnadard Air Oven
測定タイプ:温度スキャン
DMA条件:シングル周波数/ひずみ(G)
周波数:1Hz
ひずみ:0.05mm
開始温度:25℃
終了温度:180℃
走査速度:20℃/min
変形モード:シングルカンチレバー(B)
断面:直方体(R)
試験片サイズ(長さ):17.5mm
試験片サイズ(幅):7.5mm
試験片サイズ(厚さ):1.5mm
走査速度20℃/minで測定した時の100℃における貯蔵弾性率E’[Pa]をE’(100)としている。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。実施例及び比較例中で使用する「部」は特に断りのない限り質量基準である。
<エステルワックスA1の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応槽中に、ステアリン酸100部と、エチレングリコール10部とを加え、窒素気流下、180℃で反応水を留去しつつ、15時間常圧で反応させた。
この反応によって得られたエステル化粗生成物100部に対して、トルエン20部と、エタノール4部とを加え、攪拌後30分間静置した後、エステル相から分離した水相(下層)を除去することによって、前記エステル化粗生成物を水洗した。水相のpHが7になるまで、上記水洗を4回繰り返した。その後、170℃、5kPaの減圧条件下で、水洗されたエステル相から溶媒を留去し、エステルワックスA1を得た。
<エステルワックスA2の製造例>
エステルワックスA1の製造例において、酸モノマーをステアリン酸からベヘン酸に変更した以外は同様にしてエステルワックスA2を得た。
<エステルワックスA3の製造例>
エステルワックスA1の製造例において、酸モノマーをステアリン酸からパルミチン酸に変更した以外は同様にしてエステルワックスA3を得た。
Figure 2022077739000008
表中、Mwは分子量を示し、SPはSP値を示す。
<エステルワックスB1の製造例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した反応槽中に、ステアリン酸100部と、ペンタエリスリトール10部とを加え、窒素気流下、180℃で反応水を留去しつ
つ、15時間常圧で反応させた。
この反応によって得られたエステル化粗生成物100部に対して、トルエン20部と、エタノール4部とを加え、攪拌後30分間静置した後、エステル相から分離した水相(下層)を除去することによって、前記エステル化粗生成物を水洗した。水相のpHが7になるまで、上記水洗を4回繰り返した。その後、170℃、5kPaの減圧条件下で、水洗されたエステル相から溶媒を留去し、エステルワックスB1を得た。
<エステルワックスB2の製造例>
エステルワックスB1の製造例において、酸モノマーをステアリン酸からベヘン酸に変更した以外は同様にしてエステルワックスB2を得た。
<エステルワックスB3の製造例>
エステルワックスB1の製造例において、酸モノマーをステアリン酸からパルミチン酸に変更した以外は同様にしてエステルワックスB3を得た。
<エステルワックスB4の製造例>
エステルワックスB1の製造例において、アルコールモノマーをペンタエリスリトールからジペンタエリスリトールに変更した以外は同様にしてエステルワックスB4を得た。
<エステルワックスB5の製造例>
エステルワックスB1の製造例において、アルコールモノマーをペンタエリスリトールからジペンタエリスリトールに変更し、酸モノマーをステアリン酸からベヘン酸に変更した以外は同様にしてエステルワックスB5を得た。
<エステルワックスB6の製造例>
エステルワックスB1の製造例において、アルコールモノマーをペンタエリスリトールからトリペンタエリスリトールに変更した以外は同様にしてエステルワックスB6を得た。
<エステルワックスB7の製造例>
エステルワックスB1の製造例において、アルコールモノマーをペンタエリスリトールからグリセリンに変更した以外は同様にして、エステルワックスB7を得た。
<エステルワックスB8の製造例>
エステルワックスB1の製造例において、アルコールモノマーをペンタエリスリトールからベヘニルアルコールに、酸モノマーをステアリン酸からセバシン酸に変更した以外は同様にして、エステルワックスB8を得た。
<エステルワックスB9の製造例>
エステルワックスB1の製造例において、アルコールモノマーをペンタエリスリトールからベヘニルアルコールに変更した以外は同様にして、エステルワックスB9を得た。
Figure 2022077739000009
<磁性体C1の製造例>
Fe2+を2.0mol/L含有する硫酸鉄第一水溶液50リットルに、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液55リットルを混合撹拌し、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液を得た。この水溶液を85℃に保ち、20L/minで空気を吹き込みながら酸化反応を行い、コア粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーをフィルタープレスにてろ過及び洗浄した後、コア粒子を水中に再度分散させた。得られたリスラリー液に、コア粒子100部当たり、珪素換算で0.20質量%となる珪酸ソーダを添加し、スラリー液のpHを6.0に調整し、撹拌することで珪素リッチな表面を有する磁性酸化鉄粒子を得た。シランカップリング剤として、n-C13Si(OCHを磁性酸化鉄100部に対し1.5部添加し、十分攪拌した。
得られたスラリー液をフィルタープレスにてろ過、洗浄、さらにイオン交換水にてリスラリーを行った。このリスラリー液(固形分50部/L)に500部(磁性酸化鉄に対して10質量%)のイオン交換樹脂SK110(三菱化学製)を投入し、2時間撹拌してイオン交換を行った。その後、イオン交換樹脂をメッシュでろ過して除去し、フィルタープレスにてろ過及び洗浄し、乾燥及び解砕して、一次粒子の個数平均粒径が0.21μmの磁性体C1を得た。
<ポリエステル樹脂P1の製造例>
・テレフタル酸 30.0部
・トリメリット酸 5.0部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2モル)付加物 160.0部
・ジブチルスズオキシド 0.1部
上記材料を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した。その後、140℃から220℃に約12時間かけて昇温させながら縮重合反応させた後、210℃~240℃の範囲で減圧しながら重縮合反応を進行させ、ポリエステル樹脂P1を得た。
ポリエステル樹脂P1の数平均分子量(Mn)は21200、重量平均分子量(Mw)は84500、ガラス転移温度(Tg)は79.5℃であった。
<架橋剤>
架橋剤として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、エチレングリコールジメタクリレート(1G)、ジビニルベンゼン(DVB)、構造式(6)において表3に示す構造を有する架橋剤を準備した。いずれも新中村化学工業の架橋剤を用いた。
Figure 2022077739000010
表中、R11、R12、R13、R14、m、nは構造式(6)中の構造を表す。
以下にトナーの製造例を示す。トナー1~30を実施例として、トナー31~36を比較例として製造した。
<トナー粒子1の製造例>
イオン交換水720部に0.1mol/L-NaPO水溶液450部を投入し温度60℃に加温した後、1.0mol/L-CaCl水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 75.00部
・n-ブチルアクリレート 25.00部
・架橋剤L1 1.70部
・ポリエステル樹脂P1 4.00部
・負荷電制御剤 T-77(保土谷化学工業製) 1.00部
・磁性体C1 65.00部
上記材料をアトライター(日本コークス工業(株))を用いて均一に分散混合した。
得られた単量体組成物を温度60℃に加温し、そこに以下の材料を混合及び溶解し、重合性単量体組成物1とした。
・エステルワックスA1 20.00部
・エステルワックスB1 6.00部
・離型剤 5.00部
(炭化水素ワックス(HNP-51:日本精蝋(株)製))
・重合開始剤 9.00部
(t-ブチルパーオキシピバレート(25%トルエン溶液))
水系媒体中に重合性単量体組成物1を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下においてT.K.ホモミクサー(特殊機化工業(株))にて回転数12,000rpmで15分間攪拌し、造粒した。
その後、パドル攪拌翼で攪拌し、反応温度70℃にて300分間重合反応を行った。
その後、得られた懸濁液を毎分3℃で室温まで冷却し、塩酸を加えて分散安定剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の処方を表4に示す。
<トナー1の製造例>
100部のトナー粒子1に、一次粒子の個数平均粒径が115nmのゾルゲルシリカ微粒子を0.3部添加し、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用い混合した。その後、さらに一次粒子の個数平均粒径が12nmのシリカ微粒子にヘキサメチルジシラザンで処理をした後にシリコーンオイルで処理し、処理後のBET比表面積値が120m/gの疎水性シリカ微粒子0.9部を添加し、同様にFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用い混合し、トナー1を得た。得られたトナー1についての物性を表5に示す。
<トナー2~29、32~39の製造例>
トナー粒子1及びトナー1の製造例において、表4に記載の材料の種類、部数を変更した以外は同様にして、トナー2~29、32~39を得た。得られたトナーの物性を表5に示す。
<トナー30の製造例>
イオン交換水720部に0.1mol/L-NaPO水溶液450部を投入し温度60℃に加温した後、1.0mol/L-CaCl水溶液67.7部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 75.00部
・n-ブチルアクリレート 25.00部
・架橋剤L1 1.70部
上記処方をアトライター(日本コークス工業(株))を用いて均一に分散混合した。
得られた単量体組成物を温度60℃に加温し、そこに以下の材料を混合及び溶解し、重合性単量体組成物30とした。
・重合開始剤 9.00部
(t-ブチルパーオキシピバレート(25%トルエン溶液))
水系媒体中に重合性単量体組成物30を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12,000rpmで15分間攪拌し、造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌し、反応温度70℃にて300分間重合反応を行った。
その後、得られた懸濁液を毎分3℃で室温まで冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して樹脂粒子1を得た。
・樹脂粒子1 100.00部
・エステルワックスA1 20.00部
・エステルワックスB1 6.00部
・磁性体C1 65.00部
・ポリエステル樹脂P1 4.00部
・負荷電制御剤T-77(保土谷化学工業製) 1.00部
・離型剤 5.00部
(炭化水素ワックス(HNP-51:日本精蝋(株)製))
上記材料をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM-30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。
得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、トナー粒子29を得た。得られたトナー粒子30を用い、トナー1の製造例と同様にしてトナー30を得た。物性を表5に示す。
<トナー31の製造例>
・スチレン 60.00部
・カーボンブラック 6.00部
(BET比表面積=80m/g、吸油量=120mL/100g)
上記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5時間分散させて、顔料分散液を得た。
・スチレン 15.00部
・n-ブチルアクリレート 25.00部
・ポリエステル樹脂P1 4.00部
・エステルワックスA1 20.00部
・エステルワックスB1 6.00部
・架橋剤L1 0.50部
・離型剤 5.00部
(炭化水素ワックス(HNP-51:日本精蝋(株)製))
上記材料を混合し、顔料分散液に加えた。得られた混合物を60℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmで攪拌し、均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
一方、高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中に、0.10mol/L-NaPO水溶液850.0部及び10%塩酸8.0部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、70℃に加温した。
ここに、1.0mol/L-CaCl水溶液68.0部を添加し、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を調製した。
該水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入後、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加し、12000回転/分の回転数を維持しつつ10分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌翼に撹拌機を変え、還流しながら70℃で5時間反応させた後、液温85℃とし、さらに2時間反応させた。
重合反応終了後、得られたスラリーを冷却し、一部を抜き取り、粒度分布を測定した。
さらに、スラリーに塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。その後、スラリーの3倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級してトナー粒子31を得た。得られたトナー粒子31を用い、トナー1の製造例と同様にしてトナー31を得た。物性を表5に示す。
Figure 2022077739000011
表中、結晶性ポリエステルは1,12-ドデカンジオールとセバシン酸の重合物であり、Hi-Mic1090は日本精蝋株式会社製のマイクロクリスタリンワックスである。
Figure 2022077739000012
表中、THF不溶分は、トナーに含まれる樹脂中のTHF不溶分の含有割合(質量%)である。
<実施例1~31及び比較例1~8>
画像形成装置として、HP製プリンタ(LaserJet Prom203dw)のプロセススピードを1.5倍とし、定着ニップの圧力がデフォルト設定の80%となるように改造して使用した。
得られたトナー1~39について評価結果を表6に示す。なお、各評価における評価方法及び評価基準は以下の通りである。
[低温定着性]
低温定着性の評価は、常温常湿環境(温度25.0℃、相対湿度60%)で行った。
画像形成装置中の定着器の定着温度を任意に設定できるように改造した。この装置を用いて、定着器の温度180℃以上280℃以下の範囲で5℃おきに温調して、ラフ紙であるFOX RIVER BOND紙(110g/m)を用い、印字比率100%のベタ黒画像を出力した。このときベタ画像部の画像中に白抜け部分が存在するか否かを目視で評価し、白抜け部分が発生しない最も低い温度をもって、低温定着性の評価とした。
A:210℃未満
B:210℃以上220℃未満
C:220℃以上230℃未満
D:230℃以上
[耐ホットオフセット性]
上記低温定着試験において、以下の基準に従って耐ホットオフセット性の試験を行った。ホットオフセットが発生しない最高温度から上記最低定着温度を引いた値(以下、Wともいう)を用い、以下の評価基準で判断した。
A:Wが50℃以上
B:Wが40℃又は45℃
C:Wが30℃又は35℃
D:Wが25℃以下
[色味(ベタ画像の色むら)]
上述の低温定着性評価で得られた最低定着温度を定着温度に設定し、両面印刷モードでベタ画像を連続で200枚印刷した。排紙部分から排紙された紙束は積載された状態で30分以上放置し、室温まで冷却した。
その後、紙束の1枚目から10枚ごとのベタ画像に対して、紙の上端部、中央部、下端の計9点におけるL空間(CIE1976)の座標b値を、測色計(スペクトロリノ、サカタインクスエンジニアリング社製)を用いて測定した。各ベタ画像における座標b値の最大値と最小値の差分をΔb値とし、評価画像の最大のΔb値をもって、ベタ画像の色むらの評価とした。
A:Δb値が1.0未満
B:Δb値が1.0以上2.0未満
C:Δb値が2.0以上3.0未満
D:Δb値が3.0以上
Figure 2022077739000013

Claims (12)

  1. 結着樹脂及び下記式(1)で示されるエステルワックスAを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記トナーを120℃で5分放置後、60℃で5分放置した後にX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、
    2θが5.45°以上5.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP1とし、該P1の積分強度をS1とし、
    2θが21.45°以上21.95°以下の範囲に最大ピークを有するスペクトルをP2とし、該P2の積分強度をS2とした場合、
    下記式(2)及び(3)の関係を満たすことを特徴とするトナー。
    S1/S2≦0.25 ・・・(2)
    S2≧1000 ・・・(3)
    Figure 2022077739000014

    (上記式(1)中、Rはエチレン基を示し、R及びRは炭素数11~25の直鎖アルキル基を示し、R及びRは互いに独立である。)
  2. 前記トナー粒子は、さらに前記エステルワックスA以外のエステルワックスBを含有する請求項1に記載のトナー。
  3. 前記エステルワックスBは、2官能以上8官能以下のエステルワックスである請求項2に記載のトナー。
  4. 前記エステルワックスAのSP値(cal/cm1/2と、前記エステルワックスBのSP値(cal/cm1/2の差の絶対値をΔSP1としたとき、
    該ΔSP1が0.30以下である請求項2又は3に記載のトナー。
  5. 前記トナーに含まれる樹脂中のテトラヒドロフランTHF不溶分の含有割合が、20質量%以上80質量%以下である請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記トナーの粉体動的粘弾性測定において、20℃/minで昇温した際に得られる貯蔵弾性率をE’とした場合、100℃のときのトナーの貯蔵弾性率E’(100)が4.0×10Pa以上6.5×10Pa以下である請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記結着樹脂が、架橋剤により架橋された構造を有する請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記トナー粒子は、さらに前記エステルワックスA以外のエステルワックスBを含有し、
    該エステルワックスBの分子量をM1とし、前記架橋剤の分子量をM2とした場合、M2/M1が0.10以上である請求項7に記載のトナー。
  9. 前記架橋剤が、少なくとも2つの不飽和二重結合及びアルキレングリコール構造を有する架橋剤である請求項7又は8に記載のトナー。
  10. 前記架橋剤が、下記構造式(6)に示される請求項7~9のいずれか一項に記載のトナー。
    Figure 2022077739000015
    (構造式(6)中、m+nは2以上の整数であり、R11及びR14は独立してH又はCHを表し、R12及びR13は独立して炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基を表す。)
  11. 前記架橋剤が、下記構造式(8)に示される請求項7~9のいずれか一項に記載のトナー。
    Figure 2022077739000016
    (構造式(8)中、p+qは2以上の整数であり、R15及びR16は独立してH又はCHを表す。)
  12. 前記結着樹脂が、スチレンアクリル系樹脂を含む請求項1~11のいずれか一項に記載のトナー。
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