JP6973850B2 - 電子写真用正帯電性トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
トナー用結着樹脂として、ポリエステルは定着性と耐久性に優れるが、スチレンアクリル樹脂等に比べて負帯電性が強いため、正帯電性トナーの結着樹脂として使用する場合は帯電性の向上が必要である。そこで、ポリエステルの正帯電性を向上させる手段として、ポリエステルの酸価を低くする方法や荷電制御剤として正帯電性が良好な荷電制御樹脂(CCR)を添加する技術が知られている。
本発明が解決しようとする課題は、カブリの発生を抑制し、良好な正帯電性を有する電子写真用正帯電性トナーの製造方法を提供することである。
少なくとも結着樹脂と離型剤と荷電制御樹脂とを含有する電子写真用正帯電性トナーの製造方法であって、
離型剤がジペンタエリスリトール単位を構成成分として有するエステルワックス(W)を含有し、
結着樹脂と離型剤と荷電制御樹脂とをエステルワックス(W)の融点以上の温度で溶融混練する工程を含む、電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
樹脂が結晶性であるか非晶質であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最高ピーク温度(℃))で定義される。「結晶性樹脂」とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。「非晶質樹脂」とは、結晶性指数が0.6未満又は1.4を超えるものである。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、示差走査熱量測定により観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
明細書中、ポリエステル樹脂のカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸の炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「体積中位粒径D50」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径D50は、レーザー回折型粒径測定機等により測定できる。
本発明に用いられる結着樹脂は、低温定着性及び帯電性の観点から、ポリエステル樹脂又はスチレンアクリル樹脂であることが好ましい。また、結着樹脂は、低温定着性の観点から、非晶質樹脂A(以下、単に「樹脂A」ともいう)及び結晶性樹脂C(以下、単に「樹脂C」ともいう)の少なくとも1つを含有することが好ましい。
スチレンアクリル樹脂の原料モノマーとしては、スチレン化合物及びアルキル(メタ)アクリレートを含む公知のラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。
樹脂Aとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとを有する複合樹脂等の非晶質ポリエステル系樹脂が挙げられる。
(アルコール成分)
アルコール成分としては、例えば、芳香族ポリオール化合物、脂肪族ポリオール化合物が挙げられる。これらの中でも、芳香族ポリオール化合物が好ましい。
〔式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる少なくとも1種であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上であり、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。〕
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
カルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸がより好ましく、テレフタル酸が更に好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
芳香族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは90モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましく、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸がより好ましく、ドデセニルコハク酸が更に好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
3価以上のカルボン酸としては、好ましくは3価のカルボン酸であり、より好ましくはトリメリット酸である。
3価以上のカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは8モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する。
ポリエステル樹脂セグメントは、ポリエステル樹脂よりなり、当該ポリエステル樹脂としては上述のポリエステル樹脂の例示と同様のものが好ましい例として挙げられる。
付加重合樹脂セグメントとしては、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物が好ましい。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、又はα−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて単に「スチレン系化合物」という)が挙げられる。
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントと付加重合樹脂セグメントとを連結する両反応性モノマー由来の単位を有することが好ましい。例えば、当該複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマー及び付加重合樹脂セグメントの原料モノマーを重合させて複合樹脂を得る際に、重縮合反応又は付加重合反応を、両反応性モノマーの存在下で行うことで得られる。
両反応性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が挙げられる。これらの中でも、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸がより好ましい。ただし、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸は、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、ポリエステル樹脂セグメントの原料モノマーである。
樹脂Aの軟化点は、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
結着樹脂は、樹脂Aに加えて、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは結晶性樹脂Cを含む。
樹脂Cとしては、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する複合樹脂等の結晶性ポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの中でも、カブリの発生を抑制する観点から、ポリエステル樹脂セグメント及び付加重合樹脂セグメントを有する複合樹脂が好ましい。
以下、樹脂Cの好適態様として、樹脂Aにおける例示と共通する箇所については説明を省略し、樹脂Cの態様として好ましい態様についてのみ説明する。
アルコール成分は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは、脂肪族ポリオール化合物である。
脂肪族ジオールの炭素数は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
α,ω−脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは100モル%である。
カルボン酸成分は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは、脂肪族ジカルボン酸である。
脂肪族ジカルボン酸としては、セバシン酸、フマル酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは80モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
樹脂Cの融点は、カブリの発生を抑制する観点から、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
本発明に用いられる離型剤は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、ジペンタエリスリトール単位を構成成分として有するエステルワックス(W)を含有する。
エステルワックス(W)は、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れるトナーを得る観点から、構成成分としてジペンタエリスリトール単位を有する。
エステルワックス(W)は、好ましくはジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物である。
トナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、エステルワックス(W)の他に、他の離型剤(エステルワックス(W)以外の離型剤)を含有していてもよい。
他の離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、エステルワックス(W)以外の脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明に用いられる荷電制御樹脂としては、スチレンアクリル樹脂、ポリアミン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中で、粉砕時に粉砕圧を低減し、微粉量の発生を抑制し、粉砕分級収率を向上させる観点から、スチレンアクリル樹脂が好ましく、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体がより好ましい。
(式中、R2は水素原子又はメチル基を示す。)
(式中、R3は水素原子又はメチル基、R4は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
(式中、R5は水素原子又はメチル基であり、R6、R7及びR8は炭素数1〜4のアルキル基である。)
式(III)において、トナーの帯電性を向上させる観点から、R3は水素原子が好ましく、R4はブチル基が好ましい。
また、式(IV)において、トナーの帯電性を向上させる観点から、R5はメチル基が好ましく、R6、R7及びR8はエチル基が好ましい。
溶媒としては、トルエン、キシレン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶媒、及びこれらとメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールとの混合溶媒が挙げられる。
本発明の方法により得られるトナーは、荷電制御剤を更に含有していてもよい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれも用いることができる。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−09」、「ボントロンN−11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP−51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP−B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ−2001」、「PLZ−8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA−701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
本発明の方法により得られるトナーは、着色剤を更に含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾイエロー等が用いることができ、本発明の方法により得られるトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
本発明の方法は、結着樹脂と離型剤と荷電制御樹脂とをエステルワックス(W)の融点以上の温度で溶融混練する工程を含む。エステルワックス(W)の融点以上の温度で溶融混練することで、結着樹脂のマトリックス中に離型剤及び荷電制御樹脂を細かく均一に分散させることができる。その結果として得られるトナーは、良好な正帯電性を有し、カブリの発生を抑制し、転写性に優れる。
二軸押出機の設定温度は、押出し機の構造上、材料の溶融特性に影響されず、意図した温度にて溶融混練することが容易である。本発明において、二軸押出機の設定温度(バレル設定温度)は、エステルワックス(W)の融点以上の温度である。離型剤、荷電制御樹脂、着色剤、荷電制御剤等の結着樹脂中での分散性を向上させる観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及びトナーの生産性を向上させる観点から、例えば、好ましくは65℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下である。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミル等が挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、衝突板式ジェットミルを用いることがより好ましい。
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し測定した。
吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間保持させた。その後、昇温速度50℃/分で測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側に現れるピークの温度を樹脂の吸熱の最高ピーク温度とした。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とした。
樹脂の酸価は、JIS K0070の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみ、JIS K0070規定のエタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
荷電制御樹脂の重量平均分子量は、以下のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに、40℃で溶解させた。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC−25JP」(東洋濾紙株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(「A−500」(5.0×102)、「A−1000」(1.01×103)、「A−2500」(2.63×103)、「A−5000」(5.97×103)、「F−1」(1.02×104)、「F−2」(1.81×104)、「F−4」(3.97×104)、「F−10」(9.64×104)、「F−20」(1.90×105)、「F−40」(4.27×105)、「F−80」(7.06×105)、「F−128」(1.09×106);いずれも東ソー株式会社製。括弧内は分子量を示す。)を標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「TSKgel GMHXL」及び「TSKgel G3000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とした。
外添剤の平均粒径は、個数平均粒径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とした。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は以下の方法で測定した。
測定機:「コールターマルチサイザーII」(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:「コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19」(ベックマンコールター社製)
電解液:「アイソトンII」(ベックマンコールター社製)
分散液:「エマルゲン109P」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させた。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製した。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求めた。
製造例A1〜A3〔樹脂A1〜A3〕
表1に示す無水トリメリット酸以外の重縮合系樹脂の原料モノマー、エステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて12時間反応を行った後、8.3kPaにて1時間反応させた。その後、160℃に降温し、付加重合系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びジクミルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。さらに、210℃にて、無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質複合樹脂A1〜A3を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
製造例A4〜A5〔樹脂A4〜A5〕
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃に昇温して6時間反応させた。さらに、210℃に昇温した後、無水トリメリット酸を添加し、常圧(101.3kPa)にて1時間反応させ、さらに40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質樹脂A4〜A5を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
製造例C1、C3〔樹脂C1、C3〕
表3に示す重縮合系樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで加熱し、6時間反応させた。その後、表3に示す付加重合系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、8.3kPaにて1時間付加重合系樹脂の原料モノマーの除去を行った。さらに、200℃まで8時間かけて昇温、8.3kPaにて2時間反応させて、結晶性樹脂C1、C3を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
表3に示す原料モノマー、エステル化触媒及び重合禁止剤を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、200℃で8kPaにて1時間反応させて、結晶性樹脂C2を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
製造例D1〔樹脂D1〕
メタノール250g、トルエン200g、スチレン500g、アクリル酸ブチル40g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル60g及びアゾビスジメチルバレロニトリル12gの混合物を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下にてマントルヒーター中で、常圧で70℃にて10時間重合させ、得られた反応溶液を冷却し、トルエン150g、エタノール100g、p−トルエンスルホン酸メチル71gを添加し、常圧で70℃にて5時間撹拌して4級化反応を行った。その後、反応溶液を100℃に加熱し、減圧(8.3kPa)下で溶媒を留去した後、ジェットミルで粉砕し、荷電制御樹脂(重量平均分子量:15000、軟化点:114℃)を得た。
製造例W1〜W3〔ワックスW1〜W3〕
アルコール成分としてジペンタエリスリトール254g(1.0mol)、モノカルボン酸成分としてステアリン酸1707g(6.0mol)を、5リットル容の4つ口フラスコに入れ、窒素気流下、生成水を留去しながら、220℃で10時間反応した。生成物の酸価は7.2mgKOH/gであった。生成物に、トルエン500g、2−プロパノール330g及び10質量%水酸化カリウム水溶液267gを加え、70℃で1時間撹拌し、30分間静置後、水層部を除去した。イオン交換水を用い、70℃でpHが7になるまで洗浄した。得られたワックス含有溶液から減圧下で溶媒を留去し、ろ過、固化、粉砕を経て、ワックスW1を得た。
また、モノカルボン酸成分を表4に記載の成分に代えた以外は、製造例W1と同様にして、ワックスW2又はW3を得た。
実施例1〜19及び比較例1〜3
表5に示す所定量の結着樹脂(非晶質樹脂及び結晶性樹脂)、離型剤(ワックス)及び荷電制御樹脂と、荷電制御剤「ボントロンN−04」(オリヱント化学工業株式会社製)1.0質量部及び着色剤「REGAL 330R」(キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製)6.0質量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合した後、同方向回転二軸押出機「PCM−30」(株式会社池貝製、軸の直径:2.9cm、軸の断面積:7.06cm2)を使用して溶融混練した。なお、同方向回転二軸押出機の運転条件は、バレル設定温度120℃、軸回転数200r/min(軸の回転の周速:0.30m/sec)、混合物供給速度10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量:1.42kg/h・cm2)とした。
得られたトナーについて以下の評価を行った。結果を表5に示す。
クリーナーレス現像システムを具備するプリンター「HL−2040」(ブラザー工業株式会社製)にトナーを充填し、温度30℃、湿度85%の条件下で、1ページ20秒間欠の条件で印字率1%の画像を2000枚印字した。500枚毎に白ベタ画像を印刷し、その印刷途中で電源を切断した。その後、感光体表面のトナーを「Scotch(登録商標)メンディングテープ 810」(住友スリーエム株式会社製、幅:18mm)にて付着させ、画像濃度測定器「GRETAG SPM50」(GRETAG社製)にて着色濃度の測定を行い、トナーを付着させる前のテープ自身の着色濃度との差を求め、500枚目から2000枚目までの4回の測定値の平均を求めた。値が小さいほど、カブリが抑制されていることを示す。
プリンター「HL−2040」(ブラザー工業株式会社製)用トナーカートリッジにトナーを実装し、温度30℃、湿度50%の条件下で24時間放置した後、プリンター「HL−2040」(ブラザー工業株式会社製)にて黒ベタ画像をはがき用紙に印字し、はがき上のトナー質量(T0)を計量した。その後、70r/min(36ppm相当)で0.5時間の空回し運転を行った後、黒ベタ画像をはがき用紙に印字し、はがき上のトナー質量(TP)を計量した。TP/T0×100で求められた値を転写効率とし、転写効率が65%以下になるまで0.5時間の空回しと転写効率の測定を継続した。転写効率65%以上を維持できる時間(合計空回し時間)を転写カスレの評価結果とした。転写効率65%以上を維持できる時間が長いほど、転写カスレが少なく転写性に優れることを示す。
Claims (8)
- 少なくとも結着樹脂と離型剤と荷電制御樹脂とを含有する電子写真用正帯電性トナーの製造方法であって、
離型剤がジペンタエリスリトール単位を構成成分として有するエステルワックス(W)を含有し、
荷電制御樹脂に対する離型剤の質量比(離型剤/荷電制御樹脂)が、0.05以上1以下であり、
荷電制御樹脂が、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系共重合体を含有し、
結着樹脂と離型剤と荷電制御樹脂とをエステルワックス(W)の融点以上の温度で溶融混練する工程を含む、電子写真用正帯電性トナーの製造方法。 - エステルワックス(W)が、ジペンタエリスリトールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル縮合物である、請求項1に記載の電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
- 脂肪族モノカルボン酸が炭素数8以上30以下の直鎖脂肪族モノカルボン酸である、請求項2に記載の電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
- エステルワックス(W)の融点が60℃以上150℃以下である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
- トナー中のエステルワックス(W)の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.3質量部以上30質量部以下である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
- 結着樹脂が、ポリエステル樹脂又はスチレンアクリル樹脂である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
- 結着樹脂が、非晶質樹脂及び結晶性樹脂の少なくとも1つを含有する、請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
- トナー中の荷電制御樹脂の含有量が、結着樹脂100質量部に対して3質量部以上30質量部以下である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の電子写真用正帯電性トナーの製造方法。
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