JP6791550B2 - トナー - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1及び2に記載の結晶性ポリエステル樹脂は、低速印字時には異常が出にくかったが、その一部の結晶形成が不十分であり、高速印字時に画像のカスレが生じてしまい、十分とは言えなかった。
前記非晶質ポリエステルAが、炭素数3以上5以下の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
前記結晶性ポリエステルCが、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
前記非晶質ポリエステルAのガラス転移点Tg(a)[℃]が下記式(I)を満たし、
前記非晶質ポリエステルAの溶解度パラメータをSP(a)[(cal/cm3)1/2]、前記結晶性ポリエステルCの溶解度パラメータをSP(c)[(cal/cm3)1/2]、前記結晶性ポリエステルCの結晶化温度をTc(c)[℃]としたとき、下記式(II)、及び式(III)を満たす、トナーに関する。
式(I): 50 ≦ Tg(a) ≦ 60
式(II): 1.10 ≦ SP(a) - SP(c) ≦ 1.50
式(III): 5 ≦ Tc(c) - Tg(a) ≦ 17
本発明のトナーは、非晶質ポリエステルAと、結晶性ポリエステルCとを含有する、溶融混練法による粉砕トナーであって、
前記非晶質ポリエステルAが、炭素数3以上5以下の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
前記結晶性ポリエステルCが、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
前記非晶質ポリエステルAのガラス転移点Tg(a)[℃]が下記式(I)を満たし、
前記非晶質ポリエステルAの溶解度パラメータをSP(a)[(cal/cm3)1/2]、前記結晶性ポリエステルCの溶解度パラメータをSP(c)[(cal/cm3)1/2]、前記結晶性ポリエステルCの結晶化温度をTc(c)[℃]としたとき、下記式(II)、及び式(III)を満たす。
式(I): 50 ≦ Tg(a) ≦ 60
式(II): 1.10 ≦ SP(a) - SP(c) ≦ 1.50
式(III): 5≦ Tc(c) - Tg(a) ≦ 17
本発明によれば、低温定着性、耐熱保存性、及びカスレの抑制に優れたトナーが得られる。本発明の効果が得られる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
式(I)の関係を満たすことで、優れた低温定着性、耐熱保存性、及びカスレの抑制を示すトナーが得られる。
式(II)の関係を満たすことで、非晶質ポリエステルAと結晶性ポリエステルCとの相溶を抑制しながら、結晶性ポリエステルCの分散性を高められるので、低温定着性、耐熱保存性、及びカスレの抑制に優れたトナーが得られる。
さらに、式(III)の関係を満たすことで、結着樹脂組成物を溶融混練したとしても、冷却過程で、結晶性ポリエステルCのドメインが形成されやすくなり、結晶性ポリエステルCがトナー中で微分散されるので、低温定着性、耐熱保存性、及びカスレの抑制に優れたトナーが得られる。
式(I)に関して、Tg(a)は、得られるトナーの低温定着性、耐熱保存性、及びカスレの抑制に優れたトナーを得る観点から、50以上であり、好ましくは52以上であり、そして、60以下であり、好ましくは58以下である。
本発明におけるSP値:SP(a)及びSP(c)は、Fedorsらが提案した[POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE, FEBRUARY, 1974, Vol.14, No.2, ROBERT F. FEDORS. (147〜154頁)]に記載の方法によって計算されたものである。
本発明における結晶化温度Tc(c)は、実施例に記載の示差走査熱量測定によって観測される方法により測定される。
なお、トナー中に非晶質ポリエステルが2種類以上含有される場合(但し、非晶質ポリエステルの含有量が10質量部以上のものを対象とする)、少なくとも、最も軟化点の低い非晶質ポリエステルが、非晶質ポリエステルAとして、上記式(I)〜(III)の条件を満足すればよい。
トナー中に結晶性ポリエステルが2種類以上含有される場合(但し、結晶性ポリエステルの含有量が10質量部以上のものを対象とする)、少なくとも、最も軟化点の低い結晶性ポリエステルが、結晶性ポリエステルCとして、上記式(I)〜(III)の条件を満足すればよい。
非晶質ポリエステルAは、炭素数3以上5以下の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である。
なお、本発明において、ジカルボン酸系化合物とは、ジカルボン酸、その無水物及びその炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルエステルを指すが、これらの中では、ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、例えば、好ましくは炭素数4以上30以下、より好ましくは炭素数4以上20以下、更に好ましくは炭素数4以上10以下の3価以上のカルボン酸、又はそれらの酸無水物、炭素数1以上3以下のアルキル基を有するアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)又はそれらの酸無水物等が挙げられ、カスレをより抑制する観点、及び帯電安定性を向上させカブリの発生を抑制する観点から、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)又はその酸無水物が好ましく、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸の無水物(無水トリメリット酸)がより好ましい。
本発明において、結着樹脂の合計量とは、非晶質ポリエステルA、非晶質ポリエステルAH、及び結晶性ポリエステルCの合計量を意味する。
トナーは、耐高温オフセット性の観点から、好ましくは、非晶質ポリエステルAよりも軟化点が高い非晶質ポリエステルAHを更に含有する。
非晶質ポリエステルAHを含有する場合、非晶質ポリエステルAHの溶解度パラメータをSP(ah)[(cal/cm3)1/2]としたとき、下記式(IV)を満たすことが好ましい。
式(IV): |SP(ah) - SP(a)| ≦ 1.00
式(IV)に関して、|SP(ah) - SP(a)|は、低温定着性、耐熱保存性、及びカスレの抑制により優れたトナーを得る観点から、好ましくは0.80以下であり、より好ましくは0.70以下である。
なお、SP(ah)の算出方法は、前述のSP(a)と同様である。
非晶質ポリエステルAHの好適例は、以下で特筆しない限り、上述の非晶質ポリエステルAのアルコール成分及びカルボン酸成分等の好適例と同様である。
結晶性ポリエステルCは、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である結晶性ポリエステルである。
脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール等が挙げられ、耐熱保存性及びカスレの抑制を向上させる観点から、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸等が挙げられ、耐熱保存性及びカスレの抑制を向上させる観点から、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、及びテトラデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
非晶質ポリエステルA、非晶質ポリエステルAH、及び結晶性ポリエステルCの総含有量は、低温定着性をより向上させる観点から、トナーの樹脂成分中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、100質量%以下である。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。本発明において、トナー粒子は、黒用トナー、カラー用トナーのいずれであってもよい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステルワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、ポリプロピレンワックスが好ましい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
トナーは、粉砕法による粉砕トナーであり、例えば、結着樹脂及び着色剤、必要に応じて、離型剤、荷電制御剤等の原料を混合機で均一に混合した後、混練機で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
工程1:非晶質ポリエステルA及び結晶性ポリエステルCを含有する結着樹脂を含むトナー用原料混合物を溶融混練する工程
工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕し、分級する工程
二軸押出機の設定温度(バレル設定温度)は、例えば、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下である。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。結晶性ポリエステルにおいては、吸熱の最高ピーク温度を融点とした。
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点とする。
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。観測される発熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を結晶化温度とする。
JIS K0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに、40℃で溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー株式会社製)
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター株式会社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター株式会社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター株式会社製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機「US-1」(株式会社エスエヌディー製、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃に昇温して6時間反応させた。更に210℃に昇温した後、無水トリメリット酸を添加し、常圧(101.3kPa)にて1時間反応させ、更に40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質ポリエステルA1〜A2、A5、AH1を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、220℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、8.0kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステルA3〜A4を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
表2に示す原料モノマー、及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、200℃で8kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステルを得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
表3に示す所定量の結着樹脂100質量部、着色剤「REGAL 330R」(キャボット スペシャリティー ケミカルズ インク社製)5.0質量部、離型剤「NP-055」(三井化学株式会社製、ポリプロピレンワックス、融点:146℃)1.0質量部、及び荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業株式会社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
未定着画像を取れるように改造した、プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)にトナーを充填し、2cm角のベタ画像の未定着画像を印刷した。「OKI MICROLINE 3010」(株式会社沖データ製)を改造した外部定着装置を使用して、定着ロールの回転速度180mm/secにて、定着ロールの温度を100℃から230℃まで5℃ずつ上昇させながら、各温度でこの未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。各定着温度で得られた画像を、400gの荷重をかけた砂消しゴム「ER-502R」(株式会社ライオン事務器製)で5往復擦り、擦り前後の画像濃度を画像濃度測定器「Gretag SPM50」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、擦り前後の画像濃度比率(%)([擦り後の画像濃度/擦り前の画像濃度]×100)が最初に85%を超える温度を最低定着温度とし、低温定着性の指標とした。値が小さいほど低温定着性に優れる。結果を表3に示す。
20ml容のポリプロピレン製の容器に、5gのトナーを入れた。トナーの入った容器を、60℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽に入れ、ポリビンの蓋をあけた状態で、3時間保存した。放置後のトナーの凝集度を測定し、耐熱保存性の指標とした。この数値が小さいほど、耐熱保存性に優れる。結果を表3に示す。
(凝集度)
凝集度は、パウダーテスタ(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定する。
150μm、75μm、45μmの目開きの篩を重ね、一番上にトナーを5g載せ、1mmの振動幅で60秒間振動させる。振動後、篩い上に残ったトナー量を測定し、下記の計算式を用いて凝集度の計算を行う。
非磁性一成分現像装置「MicroLine5400」(株式会社沖データ製)にトナー50gを実装し、25℃、相対湿度50%の環境下でA4サイズの黒ベタ画像を印刷した。次に印字率1%で500枚印字を行った後、再度A4サイズの黒ベタ画像を印刷した。なお、印字媒体にJ紙(富士ゼロックス株式会社製)を用いた。初期の黒ベタ画像の下部から5cmの中央部分の画像濃度(ID1)と500枚印字後の下部から5cmの中央部分の画像濃度(ID2)を「Gretag SPM50」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の画像濃度の差を確認した。画像濃度の差が0.4を超えた場合はその印字枚数を供給カスレ抑制の評価結果とし、0.4を超えない場合は500枚ずつ印字を行い、同様に評価した。印字枚数が多いほど供給カスレの抑制に優れる。結果を表3に示す。
これに対し、結晶性ポリエステルを用いていない比較例1では、低温定着性に欠ける。
比較例2及び比較例3から、非晶質ポリエステルAのガラス転移点と結晶性ポリエステルCの結晶化温度の差(Tc(c)-Tg(a))が所定の範囲となることで、低温定着性及び耐熱保存性が向上するものの、これら比較例2,3では、ガラス転移点の低い非晶質ポリエステルを用いたことから、耐熱保存性とカスレの抑制が不十分である。
ガラス転移点の高い非晶質ポリエステルを用いた比較例4では、低温定着性に欠ける。
非晶質ポリエステルAと結晶性ポリエステルCのSP値の差(SP(a) - SP(c))の大きい比較例5では、カスレの抑制が不十分である。
SP値の差(SP(a) - SP(c))の小さい比較例6では、耐熱保存性とカスレの抑制が不十分である。
非晶質ポリエステルAのガラス転移点と結晶性ポリエステルCの結晶化温度の差(Tc(c) - Tg(a))の小さい(マイナスの値をとる)比較例7では、耐熱保存性とカスレの抑制が不十分である。
Claims (7)
- 非晶質ポリエステルAと、結晶性ポリエステルCとを含有する、溶融混練法による粉砕トナーであって、
前記非晶質ポリエステルAが、炭素数3以上5以下の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
前記結晶性ポリエステルCが、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であり、
前記非晶質ポリエステルAのガラス転移点Tg(a)[℃]が下記式(I)を満たし、
前記非晶質ポリエステルAの溶解度パラメータをSP(a)[(cal/cm3)1/2]、前記結晶性ポリエステルCの溶解度パラメータをSP(c)[(cal/cm3)1/2]、前記結晶性ポリエステルCの結晶化温度をTc(c)[℃]としたとき、下記式(II)、及び式(III)を満たす、トナー。
式(I): 50 ≦ Tg(a) ≦ 60
式(II): 1.10 ≦ SP(a) - SP(c) ≦ 1.50
式(III): 5 ≦ Tc(c) - Tg(a) ≦ 17 - 非晶質ポリエステルAのアルコール成分が、1,2-プロパンジオールを含む、請求項1に記載のトナー。
- Tc(c)が57℃以上である、請求項1又は2に記載のトナー。
- 非晶質ポリエステルAよりも、軟化点が10℃以上高い非晶質ポリエステルAHを更に含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のトナー。
- 非晶質ポリエステルAが、カルボン酸成分として炭素数8以上20以下のアルキル基で置換されたコハク酸及び炭素数8以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のコハク酸系化合物を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のトナー。
- 非晶質ポリエステルAの数平均分子量が、4,000以上10,000以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のトナー。
- 結晶性ポリエステルCが、アルコール成分として、α,ω-脂肪族ジオールを含有する、請求項1〜6のいずれかに記載のトナー。
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