JP6565050B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1では、ジペンタエリスリトールを構成成分として持つエステルワックスが使用されている。しかし、保存性の点では、従来のエステルワックスよりも優れるものの、未だ改善の余地があった。特に、低温定着性に優れた電子写真用トナーを得るため、結着樹脂に結晶性樹脂を含有させると、カートリッジ中でトナーを一定期間保存することで、初期に印刷される画質においてムラが観察されるといった保存後初期画質の点で、印刷物上のトナーが他の印刷物に貼りつくといったドキュメントオフセット性の点で、当該電子写真用トナーは課題を有していた。つまり、エステルワックスを用いたとしても、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性の点での両立は困難であった。
本発明は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れる電子写真用トナーの製造方法に関する。
工程1:結晶性樹脂(C)と、構成成分としてジペンタエリスリトール単位を有するエステルワックス(W)と、を含む混合物を溶融混合する工程を含み、
前記結晶性樹脂(C)の融点Cmpと前記エステルワックス(W)の融点Wmpとの差|Cmp−Wmp|が30℃以下であり、
前記溶融混合が、前記融点Cmp以上、且つ、前記融点Wmp以上の温度Ktで行われる、電子写真用トナーの製造方法に関する。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、
工程1:結晶性樹脂(C)と、構成成分としてジペンタエリスリトール単位を有するエステルワックス(W)と、を含む混合物を溶融混合する工程を含む。
本発明の製造方法は、前記結晶性樹脂(C)の融点Cmpと前記エステルワックス(W)の融点Wmpとの差|Cmp−Wmp|が、30℃以下であり、さらに、前記溶融混合が、前記融点Cmp以上、且つ、前記融点Wmp以上の温度Ktで行われる。
本発明の製造方法によれば、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れる電子写真用トナーが得られる。
電子写真用トナーに結晶性樹脂を用いると、ワックスとの共存により、結晶化が阻害され、結着樹脂中でのワックスの分散性が不十分となる場合があり、これに基因して、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性の観点から課題が生じていたものと考えられる。
本発明においては、結晶性樹脂(C)の融点Cmpと、エステルワックス(W)の融点Wmpとの差を所定範囲以下に規定することで、互いに近い融点を有する結晶性樹脂とエステルワックスの組合せを特定している。更に、当該溶融混合を、融点Cmp以上、且つ、融点Wmp以上の温度Ktで行うことで、結晶性樹脂(C)とエステルワックス(W)を溶融させた状態とする。そうすることで、溶融混合後、組成物の温度が低下する過程において、結晶性樹脂(C)とエステルワックス(W)が相互作用し、結晶性樹脂(C)とエステルワックス(W)が同程度の温度において結晶化し、高度な分散性が得られ、結果的に本発明の効果が得られたものと推測される。
工程1では、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れる電子写真用トナーを得る観点から、結晶性樹脂(C)と、構成成分としてジペンタエリスリトール単位を有するエステルワックス(W)と、を含む混合物を溶融混合する。
結晶性樹脂(C)の融点Cmpと前記エステルワックス(W)の融点Wmpとの差|Cmp−Wmp|は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れるトナーを得る観点から、30℃以下である。なお、差|Cmp−Wmp|は、融点Cmpと融点Wmpとの差の絶対値を意味する。
差|Cmp−Wmp|は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れるトナーを得る観点から、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは15℃以下、更に好ましくは10℃以下、更に好ましくは7℃以下、更に好ましくは3℃以下であり、そして、0℃以上である。
CmpとWmpとの差(Cmp−Wmp)は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性を向上させる観点から、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは15℃以下、更に好ましくは10℃以下、更に好ましくは7℃以下、更に好ましくは3℃以下であり、そして、0℃以上である。
溶融混合は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れるトナーを得る観点から、前記融点Cmp以上、且つ、前記融点Wmp以上の温度Ktで行われる。
KtとCmpとの差(Kt−Cmp)は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性を向上させる観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下である。
KtとWmpとの差(Kt−Wmp)は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性を向上させる観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下である。
工程1の混合物は、結晶性樹脂(C)(以下単に「樹脂C」ともいう)を含む結着樹脂を含有する。なお、結着樹脂として、他の樹脂が含有されていてもよく、例えば、後述する非晶質樹脂(A)等が含まれていてもよい。
<結晶性樹脂(C)>
「結晶性樹脂」とは、示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最高ピーク温度(℃)に対する軟化点(℃)の比、すなわち[(軟化点)/(吸熱の最高ピーク温度)]で定義される結晶性指数の値が0.6以上1.4未満、好ましくは0.8以上1.2以下である樹脂をいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば結晶性樹脂の融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークは非晶質樹脂のガラス転移に起因するピークとする。
樹脂Cは、ポリエステル、並びに、ポリエステルセグメントを有する複合樹脂を含む。
樹脂Cは、ポリエステル、並びに、ポリエステルセグメント及びスチレン系樹脂セグメントを有する複合樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アルコール成分としては、芳香族ポリオール化合物や脂肪族ポリオール化合物が挙げられるが、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性を向上させる観点から、アルコール成分は、好ましくは、脂肪族ポリオール化合物を含む。
脂肪族ジオールの炭素数は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性を向上させる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
これらの中でも脂肪族ジオールは、好ましくは、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、及び1,12-ドデカンジオールから選ばれる少なくとも1種、より好ましくは、1,10-デカンジオール、及び1,12-ドデカンジオールから選ばれる少なくとも1種である。
カルボン酸成分としては、保存後初期画質の観点から、芳香族ジカルボン酸が好ましい。また、低温定着性の観点からは、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物又はそれらの酸のアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられ、これらの中では、セバシン酸、又はフマル酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
複合樹脂は、好ましくはポリエステルセグメント及びスチレン系樹脂セグメントを有する。
ポリエステルセグメントは、ポリエステルよりなり、当該ポリエステルとしては上述のポリエステルと同様のものが好ましい例として挙げられる。
スチレン系樹脂セグメントは、スチレン系樹脂よりなり、当該スチレン系樹脂としては、スチレン化合物を含む原料モノマーの付加重合物が好ましい。
スチレン化合物としては、例えば、スチレン、又はα−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて単に「スチレン化合物」という)が挙げられる。
複合樹脂は、トナーの低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性を向上させる観点から、ポリエステルセグメントの原料モノマーとスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーに加えて、更にポリエステルセグメントの原料モノマー及びスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーのいずれとも反応し得る、両反応性モノマーを用いて得られる複合樹脂であることが好ましい。したがって、ポリエステルセグメントの原料モノマー及びスチレン系樹脂セグメントの原料モノマーを重合させて複合樹脂を得る際に、重縮合反応及び/又は付加重合反応は、両反応性モノマーの存在下で行うことが好ましい。これにより、複合樹脂は、両反応性モノマー由来の構成単位を介してポリエステルセグメントとスチレン系樹脂セグメントとが結合した複合樹脂となり、ポリエステルセグメントとスチレン系樹脂セグメントとがより微細に、且つ、均一に分散したものとなる。
樹脂Cの融点Cmpは、低温定着性の観点から、好ましくは65℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
本発明のトナーは、結着樹脂として、好ましくは、樹脂Aを含有する。
本発明において、「非晶質樹脂」とは、示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最高ピーク温度(℃)に対する軟化点(℃)の比、すなわち[(軟化点)/(吸熱の最高ピーク温度)]で定義される前記結晶性指数の値が1.4以上、又は0.6未満の樹脂をいう。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。
樹脂Aは、ポリエステル、並びに、ポリエステルセグメントを有する複合樹脂を含む。
樹脂Aは、ポリエステル、並びに、ポリエステルセグメント及びスチレン系樹脂セグメントを有する複合樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
以下、樹脂Aの好適態様として、樹脂Cにおける例示と共通する箇所については説明を省略し、樹脂Aの態様として好ましい態様についてのみ説明する。
樹脂Aのアルコール成分は、好ましくは、芳香族ポリオール化合物を含む。
芳香族ポリオール化合物としては、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):
〔式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる少なくとも1種であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上であり、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。〕で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
樹脂Aのカルボン酸成分は、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは芳香族ジカルボン酸を含み、更に、芳香族ジカルボン酸に加えて、脂肪族ジカルボン酸を含んでいてもよい。
芳香族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは8モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは25モル%以下である。
樹脂Aとしての複合樹脂は、好ましくはポリエステルセグメント及びスチレン系樹脂セグメントを有する。ポリエステルセグメントは、ポリエステルよりなり、当該ポリエステルとしては樹脂Aのポリエステルと同様のものが好ましい例として挙げられる。
スチレン化合物の含有量は、スチレン系樹脂の原料モノマー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましく75質量%以上であり、低温定着性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは87質量%以下である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、スチレン系樹脂セグメントの原料モノマー中、低温定着性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは13質量%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
樹脂Aのガラス転移温度は、保存後初期画質を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
エステルワックス(W)は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れる電子写真用トナーを得る観点から、構成成分としてジペンタエリスリトール単位を有する。
エステルワックス(W)は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れる電子写真用トナーを得る観点から、好ましくはジペンタエリスリトールの脂肪酸エステルである。
エステルワックス(W)の構成成分として、脂肪酸の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下、更に好ましくは20以下である。
エステルワックス(W)の水酸基価は、実施例に記載の方法により測定される。
工程1の混合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、エステルワックス(W)の他に、離型剤を含有していてもよい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
工程1の混合物は、荷電制御剤を含有していてもよい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、サリチル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
工程1の混合物は、着色剤を含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
工程1の溶融混合は、低温定着性、保存後初期画質、及びドキュメントオフセット性に優れる電子写真用トナーを得る観点、並びに生産性の観点から、溶融混練機を用いた溶融混練が好ましい。
溶融混合温度Ktは、上述の条件を満たせば特に限定されないが、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
溶融混合時間は、用いる混練機のスケールにも拠るが、好ましくは1時間以下、より好ましくは30分以下、更に好ましくは10分以下、更に好ましくは5分以下であり、例えば、1分以上である。
二軸押出機の設定温度(バレル設定温度)は、温度Ktが所定の範囲になるように適宜設定されるが、例えば、好ましくは65℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下である。
工程2では、工程1で得られた溶融混合物を粉砕し、分級する。
本発明の製造方法は、更に下記工程3を含んでいてもよい。
工程3:工程2により分級し得られた粉体と外添剤を混合する工程
〔外添剤〕
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。当該工程に用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等が挙げられる。
<1>電子写真用トナーの製造方法であって、
工程1:結晶性樹脂(C)と、構成成分としてジペンタエリスリトール単位を有するエステルワックス(W)と、を含む混合物を溶融混合する工程を含み、
前記結晶性樹脂(C)の融点Cmpと前記エステルワックス(W)の融点Wmpとの差|Cmp−Wmp|が30℃以下であり、
前記溶融混合が、前記融点Cmp以上、且つ、前記融点Wmp以上の温度Ktで行われる、電子写真用トナーの製造方法。
<3>CmpとWmpとの差(Cmp−Wmp)は、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは15℃以下、更に好ましくは10℃以下、更に好ましくは7℃以下、更に好ましくは3℃以下であり、そして、0℃以上である、<1>又は<2>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<4>KtとCmpとの差(Kt−Cmp)が、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<5>KtとWmpとの差(Kt−Wmp)が、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<6>結晶性樹脂(C)が、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル部位を少なくとも有する樹脂を含有する、<1>〜<5>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<7>結晶性樹脂(C)のアルコール成分が、好ましくは脂肪族ポリオール化合物を含み、より好ましくは脂肪族ジオールを含む、<6>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<8>脂肪族ジオールの炭素数が、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である、<7>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<9>結晶性樹脂(C)のカルボン酸成分が、好ましくは芳香族ジカルボン酸を含む、<6>〜<8>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<10>結晶性樹脂(C)のカルボン酸成分が、好ましくは脂肪族ジカルボン酸を含む、<6>〜<9>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<11>脂肪族ジカルボン酸の炭素数が、好ましくは2以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは9以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは26以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である、<10>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<12>結晶性樹脂(C)が、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分との重縮合物であるエステル部位を少なくとも有する樹脂である、<6>〜<11>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<13>結晶性樹脂(C)が、前記ポリエステル部分よりなるポリエステルセグメント及びスチレン系樹脂セグメントを有する、<6>〜<12>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<14>混合物中の結晶性樹脂(C)の含有量が、樹脂C及び樹脂Aの合計量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である、<1>〜<13>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<15>混合物中の結晶性樹脂(C)の含有量が、混合物全量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である、<1>〜<14>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<17>非晶質樹脂(A)が、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られるポリエステル部位を少なくとも有する、<16>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<18>非晶質樹脂(A)が、ポリエステル、並びに、ポリエステルセグメント及びスチレン系樹脂セグメントを有する複合樹脂から選ばれる少なくとも1種である、<16>又は<17>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
<19>混合物中の非晶質樹脂(A)の含有量が、樹脂C及び樹脂Aの合計量に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下、更に好ましくは96質量%以下である、<16>〜<18>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<20>混合物中の非晶質樹脂(A)の含有量が、混合物全量に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは93質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である、<16>〜<19>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<22>エステルワックス(W)が、好ましくはジペンタエリスリトールの脂肪酸エステルである、<1>〜<21>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<23>エステルワックス(W)の構成成分として、脂肪酸が、好ましくは直鎖脂肪酸である、<1>〜<22>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<24>エステルワックス(W)の構成成分として、脂肪酸の炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上、更に好ましくは14以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下、更に好ましくは20以下である、<1>〜<23>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<25>エステルワックス(W)の構成成分として脂肪酸を含み、前記脂肪酸が、好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸から選ばれる少なくとも1種を含み、より好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸から選ばれる少なくとも1種を含み、更に好ましくは、ステアリン酸を含む、<1>〜<24>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<26>エステルワックス(W)の融点Wmpが、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下である、<1>〜<25>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<27>エステルワックス(W)の水酸基価が、好ましくは0.01mgKOH/g以上、より好ましくは0.05mgKOH/g以上、更に好ましくは0.1mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは3mgKOH/g以下、より好ましくは2mgKOH/g以下、更に好ましくは1mgKOH/g以下、更に好ましくは0.5mgKOH/g以下である、<1>〜<26>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<28>混合物中のエステルワックス(W)の含有量が、結晶性樹脂(C)及び非晶質樹脂(A)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、更に好ましくは12質量部以下、更に好ましくは7質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である、<1>〜<27>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<29>混合物中のエステルワックス(W)の含有量が、混合物全量に対して、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である、<1>〜<28>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<30>工程1の溶融混合に混練機を用いる、<1>〜<29>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<31>溶融混合温度Ktが、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である、<1>〜<30>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<32>工程2:工程1で得られた溶融混合物を粉砕し、分級する工程を更に有する、<1>〜<31>のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
<33>工程3:工程2により分級し得られた粉体と外添剤を混合する工程を更に有する、<32>に記載の電子写真用トナーの製造方法。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し測定する。
吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間静止させた。その後、昇温速度50℃/分で測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側に現れるピークの温度を樹脂の吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とする。
樹脂の酸価及び水酸基価はJIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
エステルワックスの酸価はJOCS 2.3.1の方法に基づき、水酸基価はJOCS 2.3.6.2の方法に基づき、それぞれ測定する。
外添剤の平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は以下の方法で測定した。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔低温定着性〕
未定着画像を取れる様に改造した、プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)にトナーを充填し、2cm角のベタ画像の未定着画像を印刷した。「OKI MICROLINE 3010」(株式会社沖データ製)を改造した外部定着装置を使用して、定着ロールの回転速度150mm/secにて、定着ロールの温度を100℃から230℃まで5℃ずつ上昇させながら、各温度でこの未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。各定着温度で得られた画像にメンディングテープ(住友スリーエム株式会社製)を付着させた後、500gの円筒(直径3cm)上の重石を載せることにより、十分にテープを定着画像に付着させた。その後、ゆっくりとメンディングテープを定着画像より剥がした。テープ貼付前及び剥離後の定着画像の画像濃度を画像濃度測定器「Gretag SPM50」(GretagMacbeth社製)を用いて測定し、貼付前・剥離後の画像濃度比率([剥離後の画像濃度/貼付前の画像濃度]×100)が最初に85%を超える温度を最低定着温度とし、低温定着性の指標とした。値が小さいほど低温定着性に優れる。具体的には、140℃以下が好ましく、135℃以下がより好ましい。
プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)用カートリッジにトナーを充填し、温度40℃相対湿度50%の環境下で48時間保存した。室温に戻した後、プリンターにカートリッジを装填し、10cm×20cm角のベタ画像を10枚印刷した。ブレードニップ部に由来する濃度ムラが存在するか目視で確認を行い、下記評価基準にて保存後初期画質の指標とした。
A:濃度ムラ発生枚数が0〜2枚
B:濃度ムラ発生枚数が3〜7枚
C:濃度ムラ発生枚数が8〜10枚
プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)にトナーを充填し、コート紙に2cm角のベタ画像を9点印刷した。白紙のコート紙を印刷サンプル上に重ね、温度50℃相対湿度80%環境下で120時間保存した。室温に戻した後、白紙のコート紙をサンプル上から剥がした時、白紙のコート紙にトナーが貼りつくか目視で確認を行い、下記評価基準にてドキュメントオフセット性の指標とした。
A:白紙コート紙への貼り付きが画像9点中、0〜2点
B:白紙コート紙への貼り付きが画像9点中、3〜6点
C:白紙コート紙への貼り付きが画像9点中、7〜9点
製造例A1, A2, A4〔樹脂A-1, A-2, A-4〕
表1に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル成分の原料モノマー、エステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて12時間反応を行った後、8.3kPaにて1時間反応させた。その後、160℃に降温し、スチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びジクミルパーオキサイドを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去を行った。
さらに、210℃にて、無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させ非晶質複合樹脂A-1, A-2, A-4を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
製造例A3〔樹脂A-3〕
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃に昇温して6時間反応させた。さらに210℃に昇温した後、無水トリメリット酸を添加し、常圧(101.3kPa)にて1時間反応させ、さらに40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質ポリエステル樹脂A-3を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
製造例C1, C2, C4〔樹脂C-1, C-2, C-4〕
表3に示すポリエステル成分の原料モノマー、及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで加熱し、6時間反応させた。その後、表3に示すスチレン系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去を行った。さらに、200℃まで8時間かけて昇温、8.3kPaにて2時間反応させて、結晶性樹脂C-1, C-2, C-4を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
表3に示す原料モノマー、及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、200℃で8kPaにて1時間反応させて、結晶性樹脂C-3を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
表3に示す原料モノマー、エステル化触媒、及び重合禁止剤を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、200℃で8kPaにて1時間反応させて、結晶性樹脂C-5を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
製造例W1〜W3〔ワックスW-1〜W-3〕
アルコール成分として、ジペンタエリスリトール254g(1.0mol)、モノカルボン酸成分として、ステアリン酸1707g(6.0mol)を5L容の4つ口フラスコに入れ、窒素気流下、生成水を留去しながら、220℃で10時間反応した。生成物の酸価は7.2mgKOH/gであった。
トルエン500gおよび2-プロパノール330g、10質量%水酸化カリウム水溶液267gを加え、70℃で1時間撹拌し、30分間静置後、水層部を除去した。イオン交換水を用い、70℃でpHが7になるまで洗浄した。得られたワックス含有溶液から減圧下で溶媒を留去し、ろ過、固化、粉砕を経て、ワックスW-1を得た。
モノカルボン酸成分を表4に記載の成分に代えた以外は、製造例W1と同様にして、ワックスW-2又はW-3を得た。
以上、得られたワックスの水酸基価を測定し表4に示した。
以下の表4に、製造例で得られたワックス及び実施例で使用した市販品のワックスに関する情報を記載した。
実施例1〜12,14,15,17及び比較例1,2
表5に示す所定量の結着樹脂100質量部及び離型剤と、荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業株式会社製)1.0質量部、及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業株式会社製、フタロシアニンブルー(P.B.15:3))3.0質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて1分間混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
溶融混練におけるバレル設定温度を90℃にした以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
溶融混練におけるバレル設定温度を70℃にした以外は実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
(水系分散体Aの製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた3L容の容器に、樹脂A-1 150g、酢酸エチル75gを仕込み、70℃にて2時間かけて溶解させた。得られた溶液に、20質量%アンモニア水溶液(pKa:9.3)を、樹脂の酸価に対して中和度100モル%になるように添加し、30分撹拌して、混合物を得た。70℃に保持したまま、280r/分(周速88m/分)で撹拌しながら、イオン交換水675gを77分かけて添加し、転相乳化して、樹脂粒子の粗製分散体を得た。継続して70℃に保持したまま、酢酸エチルを減圧下で留去して、樹脂粒子の水系分散体を得た。
その後、280r/分(周速88m/分)の撹拌を行いながら水系分散体を30℃に冷却した後、アニオン性界面活性剤「エマールE27C」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、花王株式会社製、固形分28質量%)を16.7g混合し、完全に溶解させた。その後、水系分散体の固形分濃度を測定し、イオン交換水を加えることにより、水系分散体の固形分濃度を20質量%に調整した。得られた水系分散体中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は203nmであった。
1L容のビーカーで、結晶性樹脂C-1 30gとクロロホルム270gを25℃で撹拌混合して結晶性樹脂Cを溶解させ、ネオペレックスG-15(花王株式会社製)を100g添加した後、「T.K.ロボミックス」(プライミックス株式会社製)で、回転数8000r/minで30分間攪拌を行い、乳化液を調製した。得られた乳化液から減圧下でクロロホルムを留去し、水系分散体Cを得た。水系分散体C中の粒子の体積中位粒径(D50)は287nmであり、固形分濃度は23質量%であった。
銅フタロシアニン「ECB-301」(大日精化工業株式会社製)50g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン150」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王株式会社製)5g及びイオン交換水200gを混合し、ホモジナイザーを用いて10分間分散させて、着色剤粒子を含有する着色剤分散液を得た。着色剤粒子の体積中位粒径(D50)は120nmであり、固形分濃度は22質量%であった。
荷電制御剤としてサリチル酸系化合物「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業株式会社製)50g、非イオン性界面活性剤として「エマルゲン150」(花王株式会社製)5g及びイオン交換水200gを混合し、ガラスビーズを使用し、サンドグラインダーを用いて10分間分散させて、荷電制御剤粒子を含有する荷電制御剤分散液を得た。荷電制御剤粒子の体積中位粒径(D50)は400nmであり、固形分濃度は22質量%であった。
1L容のビーカーで、脱イオン水200gにポリカルボン酸ナトリウム水溶液としてアクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液(花王株式会社製、商品名:ポイズ521、有効濃度40質量%)3.8gを溶解させた後、これに離型剤W-1(後述の記載参照)を50g添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させて攪拌しながら、超音波ホモジナイザー(日本精機株式会社製、商品名:US-600T)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却し、ここにイオン交換水を加え、離型剤固形分20質量%に調整し、離型剤粒子分散液を得た。
離型剤粒子分散液中の離型剤粒子の体積中位粒径(D50)は423nmであった。
水系分散体Aを315.0g、水系分散体Cを42.0g、着色剤分散液9.5g、離型剤分散液8.8g、荷電制御剤分散液3.2g及び脱イオン水60gを3L容の容器に入れ、アンカー型の撹拌機で100r/分(周速31m/分)の撹拌下、20℃で0.1質量%塩化カルシウム水溶液150gを30分かけて滴下した。その後、撹拌しながら50℃まで昇温した。体積中位粒径(D50)が8.0μmに達した後、凝集停止剤としてアニオン性界面活性剤「エマールE27C」(花王株式会社製、固形分28質量%)4.2gを脱イオン水37gで希釈した希釈液を添加して、凝集体Xを得た。次いで75℃まで昇温し、75℃になった時点から1時間75℃を保持した後、加熱を終了した。これにより融着粒子を形成させた後、20℃まで徐冷し、150メッシュ(目開き150μm)の金網でろ過した後、吸引ろ過を行い、洗浄、乾燥を経てトナー粒子を得た。
実施例1と同様にして外添処理を行い、トナーを得た。
Claims (11)
- 電子写真用トナーの製造方法であって、
工程1:結晶性樹脂(C)と、構成成分としてジペンタエリスリトール単位を有するエステルワックス(W)と、を含む混合物を溶融混合する工程を含み、
前記結晶性樹脂(C)の融点Cmpと前記エステルワックス(W)の融点Wmpとの差|Cmp−Wmp|が30℃以下であり、
前記溶融混合が、前記融点Cmp以上、且つ、前記融点Wmp以上の温度Ktで行われ、
K t とC mp との差(K t −C mp )が、25℃以上50℃以下であり、
前記混合物中の結晶性樹脂(C)の含有量が、混合物全量に対して、1質量%以上12質量%以下であり、
前記混合物が、非晶質樹脂(A)を更に含み、
前記非晶質樹脂(A)が、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合させて得られるポリエステルセグメント及びスチレン系樹脂セグメントを有する複合樹脂であり、
前記混合物中のエステルワックス(W)の含有量が、結晶性樹脂(C)及び前記非晶質樹脂(A)の合計量100質量部に対して、3質量部以上7質量部以下である、電子写真用トナーの製造方法。 - K t とWmpとの差(Kt−Wmp)が25℃以上50℃以下である、請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- CmpとWmpとの差(Cmp−Wmp)が、0℃以上10℃以下である、請求項1又は2記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 結晶性樹脂(C)が、脂肪族ポリオール化合物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるエステル部位を少なくとも有する樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 結晶性樹脂(C)が、炭素数9以上14以下の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と、炭素数9以上14以下の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分との重縮合物であるエステル部位を少なくとも有する樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- エステルワックス(W)が、ジペンタエリスリトールの直鎖脂肪酸エステルである、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- エステルワックス(W)の水酸基価が、0.01mgKOH/g以上3mgKOH/g以下である、請求項6に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記混合物中の結晶性樹脂(C)の含有量が、結晶性樹脂(C)及び非晶質樹脂(A)の合計量に対して、1質量%以上12質量%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 工程1の溶融混合が溶融混練機を用いた溶融混練である、請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 工程2:工程1で得られた溶融混合物を粉砕し、分級する工程を更に含む、請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 工程3:工程2により分級し得られた粉体と外添剤を混合する工程を更に含む、請求項10に記載の電子写真用トナーの製造方法。
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