JP2022086769A - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉砕製造性、耐久性、及び高温高湿下での保存性に優れたトナー用結着樹脂組成物、及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーに関すること。【解決手段】ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を60モル%以上含むアルコール成分とカルボン酸成分とからなる原料モノマーを重縮合して得られるポリエステル樹脂とスチレン化合物を含む原料モノマーを付加重合させて得られるスチレン系樹脂が結合した複合樹脂C及び融点が80℃以上160℃以下の炭化水素系ワックスWを含有する、トナー用樹脂組成物であって、前記ポリエステル樹脂の原料モノマーの重縮合反応及び/又はスチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応を前記炭化水素系ワックスWの存在下で行って得られた、トナー用結着樹脂組成物、及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナー用結着樹脂組成物、及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーに関する。
近年、電子写真印刷の高速化及び省エネ化に伴い、低温定着性と分離性に優れたトナーがより一層必要とされている。この要求を満たすために、シャープメルト性と分離性を兼ね備える結晶性材料を多く含むトナーが開発されている。
特許文献1には、水性媒体中で、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を80モル%以上含むアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂(a)からなるセグメント、及びスチレン系化合物由来の構成単位を含有するビニル系樹脂セグメント、を含む複合樹脂を含有する樹脂粒子(X)を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程(1)、得られた凝集粒子(1)に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を80モル%以上含むアルコール成分と多価カルボン酸成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂(b)を含有する樹脂粒子(Y)を凝集させて、凝集粒子(2)を得る工程(2)、及び得られた凝集粒子(2)を融着させる工程(3)を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法が記載されている。当該製造方法により、低温定着性及び耐熱保存性に優れるトナーを得ることが可能と記載されている。
特許文献2には、コアシェル構造を有する静電荷像現像用トナーであって、シェル部に、水酸基及びカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭化水素ワックス(W1)由来の構成部分であるセグメント(s1)、並びにポリエステルセグメント(a1)を有する樹脂(A)を含有し、コア部に、樹脂(B)及びワックス(W2)を含有する、静電荷像現像用トナーについて記載されている。当該トナーによれば、良好な低温定着性、耐ホットオフセット性、帯電性、及び耐熱保存性を有するトナーを提供できると記載されている。
特開2016-14872号公報 特開2017-120345号公報
従来、トナーの低温定着性と耐ホットオフセット性を両立する目的で、ワックスが用いられている。ワックスはポリエステル樹脂と比較すると脆く割れやすいため、粉砕製造性の観点では有利であるが、一方で、トナーの耐久性が悪化するという課題がある。
また、ワックスを多く含有したトナーは、粉砕製造時にワックス部分を起点に割れるため、トナー界面のワックス量が増える。そのため保存性が悪化するという課題を有している。特許文献1や2で開示されているコアシェル構造のトナーでは、こうした課題は顕在化しないが、コアシェル構造のトナー粒子を製造することが難しい粉砕法での製造においては常々問題となっている。
本発明は、粉砕製造性、耐久性、及び高温高湿下での保存性に優れたトナー用結着樹脂組成物、及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーに関する。
本発明は、
〔1〕 ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を60モル%以上含むアルコール成分とカルボン酸成分とからなる原料モノマーを重縮合して得られるポリエステル樹脂とスチレン化合物を含む原料モノマーを付加重合させて得られるスチレン系樹脂が結合した複合樹脂C及び融点が80℃以上160℃以下の炭化水素系ワックスWを含有する、トナー用樹脂組成物であって、前記ポリエステル樹脂の原料モノマーの重縮合反応及び/又はスチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応を前記炭化水素系ワックスWの存在下で行って得られた、トナー用結着樹脂組成物、並びに
〔2〕 結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、静電荷像現像用トナー
に関する。
本発明の結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーは、粉砕製造性、耐久性、及び高温高湿下での保存性のいずれもが良好であるという優れた効果を奏するものである。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とが結合した複合樹脂Cと炭化水素系ワックスWとを含有し、複合樹脂Cが炭化水素系ワックスWの存在下で原料モノマーを重合して得られた、いわゆる「ワックス内添複合樹脂」であり、複合樹脂Cにおけるポリエステル樹脂が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られたものである点、及び炭化水素系ワックスWの融点が80℃以上である点に、大きな特徴を有している。本発明の効果が奏される理由は定かではないが、以下のように推察される。
本発明では、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物をアルコール成分の主成分としてポリエステル樹脂に導入したことで、樹脂の靭性が増したためか、トナーの耐久性が向上した。一般的には、耐久性が向上すると粉砕製造性は悪化するが、本発明では、樹脂成分と比較して脆く割れやすい炭化水素系ワックスを複合樹脂中に内添させることで、トナー製造時に複合樹脂と混合した場合に比べて、炭化水素系ワックスを高分散させることができ、炭化水素系ワックスが粉砕の際に優先的に割れる粉砕助剤となり、耐久性と粉砕製造性を両立できたものと推察される。この際、通常内添するだけでは炭化水素系ワックスの分散性は必ずしも十分ではないところ、複合樹脂を用いることによりワックスを高分散できたものと考えられる。
また、前記のように、本発明の結着樹脂組成物は、ワックス部分を起点に粉砕されるため、粉砕物の表面に存在するワックス量が増加する。その結果、ワックスの耐熱性がトナーの耐熱保存性に大きく影響するが、本発明では融点が80℃以上の高融点ワックスを用いているため、高温高湿条件下においても高い保存性が発現されたものと推察される。
複合樹脂Cは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分とからなる原料モノマーを重縮合して得られるポリエステル樹脂とスチレン化合物を含む原料モノマーを付加重合させて得られるスチレン系樹脂が結合した樹脂である。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物は、式(I):
Figure 2022086769000001
(式中、x及びyはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、5以下、好ましくは4以下である)
で表される化合物が好ましい。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の含有量は、耐久性の観点から、アルコール成分中、60モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸系化合物、脂肪族ジカルボン酸系化合物、3価以上のカルボン酸系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、保存性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含有していることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、低温定着性の観点から、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは85モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数2~20のアルケニル基で置換されていてもよいコハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられ、これらの中では、トリメリット酸系化合物が好ましい。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、耐久性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは60モル%以下、より好ましくは40モル%以下である。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂におけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.15以下である。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて得られる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、錫化合物が好ましい。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
スチレン系樹脂は、少なくとも、スチレン、又はα-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて「スチレン化合物」という)を含む原料モノマーの付加重合物である。
スチレン化合物、好ましくはスチレンの含有量は、スチレン系樹脂の原料モノマー中、低温定着性及び保存性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
また、スチレン系樹脂は、原料モノマーとしてアルキル基の炭素数が7以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含んでもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。なお、本明細書において、「(イソ)」は、この基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両者を示す。
スチレン系樹脂の原料モノマーとしての(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは7以上、より好ましくは8以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数をいう。
スチレン系樹脂の原料モノマーには、スチレン化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の原料モノマー、例えば、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が含まれていてもよい。
スチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、重合禁止剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、スチレン系樹脂の原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
複合樹脂におけるポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の質量比(ポリエステル樹脂/スチレン系樹脂)は、低温定着性の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは70/30以上、さらに好ましくは80/20以上であり、そして、粉砕性の観点から、好ましくは98/2以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは90/10以下である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂の質量は、用いられるポリエステル樹脂の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル樹脂の原料モノマー量に含める。また、スチレン系樹脂の量は、スチレン系樹脂の原料モノマーと重合開始剤の合計量である。
複合樹脂は、ポリエステル樹脂の原料モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを介して共有結合により化学的に結合した樹脂であることがより好ましい。
両反応性モノマーは、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシ基、より好ましくはカルボキシ基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましく、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸からなる群より選ばれた少なくとも1種がさらに好ましい。但し、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸系化合物は、ポリエステル樹脂の原料モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、ポリエステル樹脂の原料モノマーである。
両反応性モノマーの使用量は、低温定着性の観点から、ポリエステル樹脂のアルコール成分の合計100モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは2モル以上であり、そして、スチレン系樹脂とポリエステル樹脂との分散性を高め、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは30モル以下、より好ましくは20モル以下、さらに好ましくは10モル以下である。
また、両反応性モノマーの使用量は、低温定着性の観点から、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、スチレン系樹脂とポリエステル樹脂との分散性を高め、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。ここで、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計に重合開始剤は含める。
本発明の結着樹脂組成物は、複合樹脂Cを製造する際に、ポリエステル樹脂の原料モノマーの重縮合反応及び/又はスチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応を炭化水素系ワックスWの存在下で行って得られる。
炭化水素系ワックスWとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられ、これらの中では、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスが好ましく、フィッシャートロプシュワックスがより好ましい。
炭化水素系ワックスWは、複合樹脂Cの原料モノマーと反応する官能基を有していないことが好ましい。
炭化水素系ワックスWの融点は、80℃以上であり、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは95℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、160℃以下であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは115℃以下である。
炭化水素系ワックスWの含有量は、結着樹脂組成物中、粉砕製造性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、そして、耐久性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
本発明の結着樹脂組成物は、具体的には、以下の方法により製造することが好ましく、ポリエステル樹脂の原料モノマーの重縮合反応を炭化水素系ワックスWの存在下で行うことが好ましい。両反応性モノマーを用いる場合、両反応性モノマーは、トナーの耐久性を向上させる観点、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を向上させる観点から、スチレン系樹脂の原料モノマーとともに付加重合反応に用いることが好ましい。
(i) 炭化水素系ワックスWの存在下でのポリエステル樹脂の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)の後に、スチレン系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)を行う方法
この方法では、ポリエステル樹脂の原料モノマーとともに炭化水素系ワックスWを投入し、重縮合反応に適した反応温度条件下で工程(A)を行い、反応温度を低下させ、付加重合反応に適した温度条件下で工程(B)を行う。スチレン系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーは、付加重合反応に適した温度で反応系内に添加することが好ましい。両反応性モノマーは付加重合反応をすると共にポリエステル樹脂とも反応する。
工程(B)の後に、再度反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上のポリエステル樹脂の原料モノマー等を重合系に添加し、工程(A)の重縮合反応や両反応性モノマーとの反応をさらに進めることができる。
(ii) スチレン系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)の後に、炭化水素系ワックスWの存在下でポリエステル樹脂の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)を行う方法
この方法では、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(B)を行い、反応温度を上昇させ、重縮合反応に適した温度条件下で、炭化水素系ワックスWを添加し、工程(A)の重縮合反応を行う。両反応性モノマーは付加重合反応と共に重縮合反応にも関与する。
ポリエステル樹脂の原料モノマー及び炭化水素系ワックスWは、付加重合反応時に反応系内に存在してもよく、重縮合反応に適した温度条件下で反応系内に添加してもよい。前者の場合は、重縮合反応に適した温度でエステル化触媒を添加することで重縮合反応の進行を調節できる。
(iii) ポリエステル樹脂の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)とスチレン系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを、炭化水素系ワックスWの存在下で並行して進行する条件で反応を行う方法
この方法では、ポリエステル樹脂の原料モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーとともに炭化水素系ワックスWを投入し、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(A)と工程(B)とを並行して行い、反応温度を上昇させ、重縮合反応に適した温度条件下で、必要に応じて架橋剤となる3価以上のポリエステル樹脂の原料モノマーを重合系に添加し、工程(A)の重縮合反応をさらに行うことが好ましい。その際、重縮合反応に適した温度条件下では、重合禁止剤を添加して重縮合反応だけを進めることもできる。両反応性モノマーは付加重合反応と共に重縮合反応にも関与する。
上記(iii)の方法において、工程(A)と工程(B)を並行して進行する条件で反応を行う際には、ポリエステル樹脂の原料モノマーを含有した混合物中に、スチレン系樹脂の原料モノマーを含有した混合物を滴下して反応させることもできる。
上記(i)~(iii)の方法は、同一容器内で行うことが好ましい。
本発明の結着樹脂組成物の軟化点は、耐久性及び耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上であり、そして、粉砕製造性及び低温定着性の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。
本発明の結着樹脂組成物のガラス転移温度は、保存性の観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上、さらに好ましくは57℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは65℃以下、より好ましくは63℃以下である。
さらに、結着樹脂及び着色剤を含有し、結着樹脂が本発明の結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)を提供する。
本発明の結着樹脂組成物の含有量は、結着樹脂中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
結着樹脂は、本発明の結着樹脂組成物以外の樹脂を含有していてもよく、他の樹脂としては、例えば、低温定着性の観点から、本発明の結着樹脂組成物よりも軟化点が低いポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂P)等が挙げられる。
本発明の結着樹脂組成物とポリエステル樹脂Pの軟化点の差は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。
また、ポリエステル樹脂Pの軟化点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
ポリエステル樹脂Pのアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
ポリエステル樹脂Pのカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸、これらの酸の無水物及び炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
ポリエステル樹脂Pは、アルコール成分とカルボン酸成分を、エステル触媒等の存在下で、常法により重縮合させて得られる。
ポリエステル樹脂Pのガラス転移温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
結着樹脂がポリエステル樹脂Pを含有する場合、ポリエステル樹脂Pと本発明の結着樹脂組成物との質量比(ポリエステル樹脂P/結着樹脂組成物)は、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下、さらに好ましくは60/40以下である。
また、結着樹脂の含有量は、トナー中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%未満、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
なお、結着樹脂が2種以上の樹脂を含有する場合、それらの樹脂の混合物を結着樹脂として用いてもよく、トナーを製造する際に、それらの樹脂を直接原料の混合に供してもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂及び着色剤以外に、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を含有していてもよい。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤は、すでに結着樹脂組成物にワックスが含まれているため、含有していないか、含有する場合は、本発明の効果を損なわない程度に少量であることが好ましい。離型剤を含有する場合、その含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」、「ボントロンN-79」(以上、オリヱント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
トナーの製造方法としては、溶融混練法、乳化転相法、重合法、乳化凝集法等の方法が知られているが、本発明のトナーは、原料の混練物を粉砕する際の粉砕製造性が良好であることから、溶融混練法により製造することで、本発明の効果が顕著に発揮される。従って、本発明のトナーは、結着樹脂及び着色剤を含む原料の溶融混練物を粉砕する工程を含む方法により得られた粉砕トナーであることが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーは、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定することができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔ワックスの融点〕
示差走査熱量計「DSC Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最大ピーク温度をワックスの融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
表1、2に示す、無水トリメリット酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及び炭化水素ワックスを、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温を行い、表1、2に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持して付加重合させた後、200℃まで1時間かけて昇温し、さらに8kPaの減圧下で1時間反応させた。その後、235℃まで30分かけて昇温を行い、235℃にて5時間重縮合後、8kPaの減圧下で1時間反応させた。その後、220℃に冷却し、表1、2に示す無水トリメリット酸を加えて1時間反応させた後、8kPaで架橋反応を所定の軟化点に達するまで行い、炭化水素ワックス含有複合樹脂(樹脂A~J)を得た。
樹脂製造例2
表2に示す、無水トリメリット酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及び炭化水素ワックスを、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行い、235℃にて5時間重縮合後、8kPaの減圧下で1時間反応させた。その後、220℃に冷却し、表2に示す無水トリメリット酸を加えて1時間反応させた後、8kPaで架橋反応を所定の軟化点に達するまで行い、炭化水素ワックス含有ポリエステル樹脂(樹脂K)を得た。
樹脂製造例3
樹脂製造例1において、炭化水素ワックスを添加しなかったこと以外は、樹脂製造例1と同様にして、複合樹脂(樹脂L)を得た。
樹脂製造例4
表2に示す、ポリエステル樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った。その後、235℃にて6時間重縮合後、8kPaの減圧下で所定の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステル樹脂(樹脂M)を得た。
Figure 2022086769000002
Figure 2022086769000003
使用した炭化水素ワックスの詳細は以下の通り。
HNP-9:日本精蝋社製、パラフィンワックス、融点(mp) 75℃
FNP-0090:日本精蝋社製、フィッシャートロプシュワックス、融点(mp) 90℃
H-105:サゾール社製、フィッシャートロプシュワックス、融点(mp) 105℃
NP-056:三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点(mp) 125℃
実施例1~8及び比較例1~3
表3に示す結着樹脂100質量部、正帯電性荷電制御剤「ボントロン N-79」(オリヱント化学工業(株)製)2質量部、及び着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)6質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで十分に予備混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min(周速度0.3m/min)、ロール内の加熱温度100℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。スクリューの回転速度は200r/min(周速度0.3m/min)、ロール内の加熱設定温度は100℃であり、混練物の温度は160℃、混練物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。
混練物を冷却後、ハンマーミル(ホソカワミクロン社製)を用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を衝突板式ジェットミル粉砕機IDS-2型(日本ニューマチック社製)にて、供給量を4.0kg/hで微粉砕を行い、目的の体積中位粒径(D50)を6.5μmに設定して、粉砕圧を調整してトナー粒子を得た。その際の粉砕圧(単位:MPa)を表3に示す。なお、粉砕圧が低い方が良好な粉砕製造性を示す。
得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ「NAX-50」(日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:30nm)1質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
比較例4
実施例1において、予備混合時に炭化水素ワックスとして「H-105」(サゾールワックス社製)6質量部を添加した以外は、実施例1と同様に行い、トナーを得た。
試験例1〔高温高湿下での保存性〕
トナー4gを、温度50℃、相対湿度85%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後では凝集が認められる。
C:48時間以内で既に凝集が認められる。
試験例2〔耐久性〕
現像ローラとステンレス製の規制ブレードを搭載した非磁性一成分正帯電用現像装置「HL-L2360DN」(ブラザー工業(株)製)にトナー120gを実装し、A4用紙に1%相当の印字率で500枚印字した。500枚印字後に全面ベタ画像を1枚印字し、全面ベタ画像上の、現像ブレードにトナーが固着することに由来するスジの発生有無を目視で確認した。スジの発生が認められた時点で印刷を中止し、スジの発生がない場合は前記評価を繰り返し合計10,000枚に達するまでスジ発生の有無を確認した。スジの発生が認められた枚数を表3に示す。表中、「>10,000」は、10,000枚までスジの発生がみられなかったことがを示す。スジの発生により印刷を中止するまでの枚数が多いほど、トナーの耐久性に優れる。スジの発生が認められた枚数は、5,000枚以上が好ましく、7,000枚以上がより好ましい。
Figure 2022086769000004
以上の結果より、実施例1~8のトナーは、耐久性と粉砕製造性がいずれも良好であり、さらに、高温高湿下での保存性にも優れている。これに対し、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の導入量が少ない複合樹脂を含む比較例1のトナーは、耐久性が不十分であり、炭化水素ワックスの融点が低い比較例2のトナーは、高温高湿下での保存性に欠ける。また、複合樹脂ではなく、ポリエステル樹脂を含む比較例3のトナーは、特に粉砕製造性の悪化が著しく、炭化水素ワックスを複合樹脂に内添せず、着色剤等とともに複合樹脂と混合した比較例4のトナーは、耐久性に優れるものの、粉砕製造性及び高温高湿下での保存性に欠ける。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる静電荷像現像用トナーに好適に用いられるものである。

Claims (6)

  1. ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を60モル%以上含むアルコール成分とカルボン酸成分とからなる原料モノマーを重縮合して得られるポリエステル樹脂とスチレン化合物を含む原料モノマーを付加重合させて得られるスチレン系樹脂が結合した複合樹脂C及び融点が80℃以上160℃以下の炭化水素系ワックスWを含有する、トナー用樹脂組成物であって、前記ポリエステル樹脂の原料モノマーの重縮合反応及び/又はスチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応を前記炭化水素系ワックスWの存在下で行って得られた、トナー用結着樹脂組成物。
  2. 炭化水素系ワックスの含有量が、結着樹脂組成物中、5質量%以上30質量%以下である、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
  3. 軟化点が90℃以上150℃以下である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
  4. ガラス転移温度が45℃以上65℃以下である、請求項1~3いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  5. 結着樹脂及び着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂が請求項1~4いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、静電荷像現像用トナー。
  6. 結着樹脂及び着色剤を含む原料の溶融混練物を粉砕する工程を含む方法により得られた粉砕トナーである、請求項5記載の静電荷像現像用トナー。
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