JP5488398B2 - カーボンナノチューブ分散体、樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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本発明はカーボンナノチューブを高濃度で分散できるカーボンナノチューブ分散体およびそれを用いた樹脂組成物、さらに前記樹脂組成物を用いた成形体に関する。
カーボンナノチューブはその特性からエレクトロニクス(トランジスター素子、配線など)、エネルギー(燃料電池用電極材料、太陽光発電装置、ガス貯蔵など)、電子放出(フラットパネル装置など)、化学(吸着剤、触媒、センサーなど)、複合材料(導電性プラスチック、強化材料、難燃ナノコンポジットなど)など様々な分野での応用が期待されており、その中でも特に導電性用途への応用が特に期待されている。しかし、カーボンナノチューブはアスペクト比が非常に大きく、複雑に絡み合った二次粒子の状態のものが多い。そのため分散の難易度が高く、特にプラスチック中への分散は非常に困難である。
そして、カーボンナノチューブの分散に、顔料の分散で一般的なワックスを用いた分散方法を適用した場合、カーボンナノチューブが低濃度のときは、分散できるが、高濃度のときはワックスがカーボンナノチューブの絡まりの中に保持されてしまい、カーボンナノチューブを樹脂中に分散できなかった。そのため低濃度の分散体しか作成できなかった。
そこで、カーボンナノチューブを樹脂中に分散させる技術としては、カーボンナノチューブをプラズマで処理することにより絡まりをほぐし樹脂へ分散させる方法が知られている(特許文献1参照)。また、カーボンナノチューブを珪素化合物に添加する技術としては、オルガノポリシロキサンに単層の根元成長カーボンナノチューブを分散させ熱伝導率の優れたグリスを作成する方法が知られている(特許文献2参照)。さらにカーボンナノチューブとシリコーン樹脂の混合物を樹脂へ分散させる技術も知られている(特許文献3、4参照)。イオン性液体とカーボンナノチューブを主成分とし導電性を発現させる技術(特許文献5参照)や、マトリックスポリマーと電子導電性繊維状充填剤とイオン性液体を成分とし電子導電性繊維状充填剤の分散性に優れ、かつ、電気抵抗のばらつきが小さくする技術も知られている(特許文献6参照)。
しかしながら、特許文献1記載の技術は樹脂へのプラズマ処理が必要であり生産性が低下する問題がある。また、特許文献2記載の技術は、単層の根元成長カーボンナノチューブを用いており導電材としては不向きであり、この導電材はグリス状であるため樹脂に添加し押出機で加工を行うと樹脂がスクリュー上で滑り、せん断がかかりにくくなることで樹脂の溶融に時間がかかってしまう。これにより樹脂原料の供給が妨げられて、溶融樹脂の流れに脈動が生じ、押出機の運転が不安定になるサージング現象が発生してしまうなどの加工性に問題点がある。また、特許文献3および4記載の技術は、シリコーンオイルは耐熱性に乏しく、また成形体にブリード物が出てくるなどの問題点があった。また、特許文献5記載の技術はイオン性液体自体を重合させる方法で汎用樹脂への展開は難しかった。また、特許文献6記載の技術ではカーボンナノチューブの分散性は不十分で、さらにブリード物がでるなどの問題があった。
また、カーボンナノチューブを配合した樹脂組成物は射出成形をした場合、導電性が出にくい問題がある。射出成形ではどうしても成形体表面に樹脂の存在比率が高い層(スキン層)が形成されてしまう問題がある。一方、カーボンナノチューブの成型物中の高濃度化は、コストアップや加工の難易性が増大するため避けたく、成形条件などによる問題解決が図られている。例えば、金型温度の高温化、成形温度の高温化、射出速度の低速度化などが行われる。しかしながら、成形サイクル長期化、表面光沢の消失、物性が劣化するなどの様々な問題が発生してしまう。また、ポリマーアロイ系をつくり2種の樹脂を海島構造もしくは共連続状態の連続層へカーボンナノチューブを選択的に配合することで低濃度でも導電性の発現をすることができ、射出成形においても高い導電性を発現する技術などが知られている(特許文献7、8)。しかしながら、この方法ではポリマーアロイを形成する2種以上の樹脂が非相溶である必要性があるため物性の低下が著しく、またカーボンナノチューブを如何にして分散させるかについては全く考慮されていない。
特開2003−306607号公報 特開2003−301110号公報 特開2007−154100号公報 特開2007−231219号公報 特開2004−255481号公報 特開2005−220316号公報 特開2005−187811号公報 特開2010−024261号公報
本発明は、カーボンナノチューブ分散体を含む樹脂組成物により、樹脂組成物中にカーボンナノチューブを良好に分散できることで、樹脂組成物の長期保管が可能であり、さらに少ないカーボンナノチューブ量でありながらその成形体に高い導電性を付与し得るカーボナノーチューブ分散体、樹脂組成物および成形体の提供を目的とする。
本発明において、第一の発明は、融点が50〜200℃以下の結晶性ポリエステル樹脂(A)20〜79重量%と、23℃で固体のワックス(B)1〜30重量%と、カーボンナノチューブ20〜50重量%とを含むカーボンナノチューブ分散体であって、
前記結晶性ポリエステル樹脂(A)が、200℃において溶融粘度5〜1000dPa・sであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散体に関する。
第二の発明は、前記ワックス(B)の融点が、50〜160℃であることを特徴とする上記発明のカーボンナノチューブ分散体に関する。
第三の発明は、前記ワックス(B)が、脂肪酸エステルおよび/または脂肪酸アミドであることを特徴とする上記いずれかの発明のカーボンナノチューブ分散体に関する。
第四の発明は、熱可塑樹脂(C)100重量部に対して、上記いずれかの発明のカーボンナノチューブ分散体を0.1〜100重量部含むことを特徴とする樹脂組成物に関する。
第五の発明は、上記発明の樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。
本発明により高分散で高濃度なカーボンナノチューブ分散体を得ることができ、それを用いてなる樹脂組成物ならびに樹脂組成物を用いた成形体において、少量のカーボンナノチューブでありながら良好な導電性を保持した成形体を得ることが出来た。
本発明のカーボンナノチューブ分散体は、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、ワックス(B)と、カーボンナノチューブとを用いることが重要である。
一般的にカーボンブラックの分散にはSP値(溶解パラメーター)が影響すると言われている。しかし、単にカーボンナノチューブをSP値が近いと思われる樹脂、或いはポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂等の樹脂と混錬したのみでは、分散は不可能である。一方、異種樹脂混合系では、カーボンブラックはガラス転移点温度の低い樹脂へ偏在する傾向にある。しかし、低ガラス転移温度の樹脂と、高ガラス転移温度の樹脂と、カーボンナノチューブを混錬しても良好な分散は不可能である。
そこで本発明では、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、ワックス(B)と、カーボンナノチューブを予備分散したカーボンナノチューブ分散体とした上で、そのカーボンナノチューブ分散体と成形体の主要樹脂となる希釈樹脂と溶融混合することで、カーボンナノチューブの良好な分散が実現できた。
本発明では、結晶性ポリエステル樹脂(A)は、融点が50〜200℃かつ200℃における溶融粘度が5〜1000dPa・sであることが重要である。また結晶性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は、−40〜50℃が好ましい。ここで、結晶性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は、希釈樹脂で一般的なポリカーボネート樹脂(120〜160℃)やポリエステル樹脂(50〜90℃)と比較して低い。そのため、例えば、熱可塑樹脂としてポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂を用いて、本発明の樹脂組成物を製造すると、結晶性ポリエステル樹脂(A)と希釈樹脂は、完全に相溶せず部分非相溶になる傾向にある。その結果、カーボンナノチューブは、ガラス転移温度の低い結晶性ポリエステル樹脂(A)部分に偏在する傾向にあることが分かった。
また、本発明のカーボンナノチューブ分散体を用いて得られた樹脂組成物を成形して、成形体を製造する場合、例えば射出成形する場合、結晶性ポリエステル樹脂(A)は、比較的金属への親和性が高く、溶融粘度が低いため、金型付近に偏在しやすい傾向にあることが分かった。そのため、成形後は成形体の表面に結晶性ポリエステル樹脂(A)が偏在しやすい。その結果、結晶性ポリエステル樹脂(A)中に偏在しているカーボンナノチューブが、成形体の表面付近に偏在するため、導電性が非常に向上することを見出した。したがって、本発明の成形体では、カーボンナノチューブを従来よりも比較的少量用いた場合でも高い導電性を実現できる。
本発明において結晶性ポリエステル樹脂(A)とは、上述の通り、融点が50〜200℃かつ200℃における溶融粘度が5〜1000dPa・sであることが重要である。また好ましくは融点が70〜180℃かつ200℃における溶融粘度が5〜500dPa・s、より好ましくは融点が80〜160℃かつ200℃における溶融粘度が5〜300dPa・sである。なお、溶融粘度とはキャピログラフ、フローテスター、回転粘度計のいずれかの装置で測定した値を示す。なお、本発明においてはキャピログラフを用いた。さらに、結晶性ポリエステル樹脂(A)は、数平均分子量は2500〜50000が好ましく、3000〜45000がより好ましい。またガラス転移点温度は−40〜50℃が好ましく、−40〜10℃がより好ましい。また比重は1.00〜1.50が好ましく、1.10〜1.45がより好ましい。
本発明において結晶性ポリエステル樹脂(A)は、例えば、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体との縮合反応により得られるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸の縮合反応より得られるポリエステル、これらのポリエステルの混合物、及び混合物のエステル交換反応物等が挙げられるが、特に限定されず、上記の融点と溶融粘度を満たすものであれば良い。
本発明においてワックス(B)は、23℃で固体であることが重要である。これは、例えば成形体の成形加工時には、150℃〜350℃程度の熱負荷がかかるためワックスが23℃で液状の場合は、耐熱性が不足し分解する恐れがある。そのためワックス(B)は、融点が50〜160℃であることが好ましく、60〜155℃がより好ましい。
本発明においてワックス(B)は、カーボンナノチューブの結晶性ポリエステル樹脂への分散性向上と、カーボンナノチューブ分散体自体の粘度を下げる目的で使用される。一方、結晶性ポリエステル樹脂(A)とカーボンナノチューブのみで分散体を製造すると、カーボンナノチューブの高い吸油性によりカーボンナノチューブ分散体が非常に硬く凝集する傾向にある。そのためワックス(B)なしで、熱可塑樹脂とカーボンナノチューブ分散体を混錬しても、樹脂組成物全体にカーボンナノチューブを分散することは困難である。
一方、ワックス(B)は、結晶性ポリエステル樹脂や希釈樹脂と比較して耐熱性に乏しいため、成形体に多量に用いると機械強度等の物性を低下させる恐れがある。そのため、ワックス(B)は、成形体中に0.1〜5重量%用いることが好ましく、0.1〜3重量%がより好ましい。
ワックス(B)として具体的には、例えば天然ワックスと合成ワックスが挙げられる。
天然ワックスとしては例えばキャリデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろうなどの植物系ワックス、そして蜜蝋、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス、さらにモンタンワックス、オゾケライト、セレシンなどの鉱物系ワックス、またパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックスなどがあげられる。合成ワックスとしては半合成ワックスと全合成ワックスがある。半合成ワックスとは、天然ワックスまたはワックス様材料を、エステル化、アミド化、酸性ワックスの中和等の化学的処理により変性したものである。合成ワックスの例としてはポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリスチレン系ワックスなどの合成炭化水素、そして変性オレフィンワックスなどの変性ワックス、さらにジペンタエリトリトールヘキサステアレート、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドなどの脂肪酸エステル、またステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、モンタン酸エステルワックスなどが挙げられる。耐熱性を考慮すると合成ワックスを用いることが好ましく、脂肪酸エステルまたは脂肪酸アミド用いることがより好ましく、脂肪酸エステルを用いることが更に好ましい。
本発明において、脂肪酸エステルとはアルコールに1つ以上の脂肪酸がエステル結合をしたものを示す。
アルコールとしては1価もしくは多価のアルコールを用いることができる。1価アルコールとしては炭素数が6以上の高級アルコールを用いることが好ましく、炭素数が10以上の高級アルコールを用いることがより好ましい。具体例としてはミスチリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが例示されるが、これらに限定されるものではない。また、多価アルコールとしては2価アルコールおよび3価以上のアルコールがあげられる。2価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールが、3価以上のアルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトールが例示されるが、これらに限定されるものではない。本発明では、グリセリン、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールが好ましく、グリセリン、ジペンタエリトリトールがより好ましい。
また、脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リグノセン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸など飽和脂肪酸、またはオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プラシジン酸、エルカ酸、リシノール酸などの不飽和脂肪酸等が挙げられる。また、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸も挙げられる。本発明では、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸が好ましく、ステアリン酸または12−ヒドロキシステアリン酸のトリグリセライドがより好ましい。市販されている脂肪酸エステルの例としては理研ビタミン社製の「リケマール」等があげられる。
前記脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪族モノカルボン酸アミド;N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド等のN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスカルボン酸アミド;N,N’−エチレン−ビス−オレイルアミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミドなどのN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミドを含む脂肪族カルボン酸アミド、あるいは水酸基をさらに有するヒドロキシ脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらの化合物が有するアミド基は1個でも2個以上でもよい。市販されているアマイドワックスの例としては花王社製の「カオーワックス」等があげられる。
本発明においてカーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて円筒状にした形状を有しており、そのグラファイト層が1層で巻いた構造を持つ単層カーボンナノチューブ、2層またはそれ以上で巻いた多層カーボンナノチューブでも、これらが混在するものであっても良いが、コスト面および強度面から多層カーボンナノチューブであることが好ましい。また、カーボンナノチューブの側壁がグラファイト構造ではなく、アモルファス構造をもったカーボンナノチューブを用いても構わない。さらに、形状としては針状、コイル状、チューブ状、カップ状の形態などいずれの形態を有するものであってもよい。具体的には、グラファイトウィスカー、フィラメンタスカーボン、グラファイトファイバー、極細炭素チューブ、カーボンチューブ、カーボンフィブリル、カーボンマイクロチューブ、カーボンナノファイバー、カップスタック型ナノチューブなどを挙げることができる。これらの形態として1種または2種以上を組み合わせた形態において使用することができる。
本発明のカーボンナノチューブは、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、化学気相成長法(CVD)、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。特にCVD法は、通常、400〜1000℃の高温下において、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、珪酸塩、珪藻土、アルミナシリカ、シリカチタニア、およびゼオライトなどの担体に鉄やニッケルなどの金属触媒を担持した触媒微粒子と、原料の炭素含有ガスとを接触させることにより、カーボンナノチューブを安価に、かつ大量に生産することができる方法であり、本発明に使用するカーボンナノチューブとしても好ましい。
本発明においてカーボンナノチューブの大きさは、特に限定されるものではなく、例えば、繊維径として0.5〜300nm、繊維長として0.01〜100μmなどを具体的に挙げることができる。また繊維径が1〜150nm、繊維長が1〜50μmの範囲が好ましく、繊維径が1〜50nm、繊維長が1〜30μmの範囲がより好ましい。
本発明においてカーボンナノチューブは二次粒子で存在するのが一般的である。そのため、二次粒子形状は特に限定されるものではなく、例えば一般的な一次粒子であるカーボンナノチューブが複雑に絡み合っている状態でもよく、ほぐれ易くカーボンナノチューブを直線状にしたものの集合体であっても良い。
本発明においてカーボンナノチューブは、表面処理を行ったものや、カルボキシル基などの官能基を付与させたカーボンナノチューブ誘導体であってもよい。また、金属原子やフラーレン等を内包させたカーボンナノカプセル等も用いることが出来る。
本発明のカーボンナノチューブ分散体は、100重量%中に結晶性ポリエステル樹脂(A)を20〜79重量%、ワックス(B)を1〜30重量%、カーボンナノチューブを20〜50重量%含むことが好ましい。カーボンナノチューブが20重量%未満の場合は、成形体での導電性が不足する恐れが有る。また、50重量%を超えるとカーボンナノチューブ分散体の粘度が上昇し、成形体で分散不良が生じる恐れがある。
本発明においてカーボンナノチューブ分散体の製造は、結晶性ポリエステル樹脂(A)と、ワックス(B)と、カーボンナノチューブを所定量配合し、混合や溶融混合することで分散を行い、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状のカーボンナノチューブ分散体を得ることができる。
混合装置は、例えばディスパー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー、乳鉢、インターナルミキサー、ニーダー、バンバリーミキサー、二軸混練機、サンドミル、ボールミル、ロールミル等があるが、1つの装置で混合しても、2つ以上の装置で混合をしても良く、また混合後に粉砕機で粉砕をしても構わない。これらの中でも特に二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールミルが好ましく、ロールミルがより好ましい。ロールミルにはロールが二本のものと三本のものが主であるが、特に分散性を上げるにはせん断力の大きい三本ロールミルがより好ましい。高いせん断力によりカーボンナノチューブの絡み合った隙間に樹脂を押し込み、せん断から開放された際の圧縮された樹脂の復元力によりカーボンナノチューブの絡みを解すことができる。こういった観点からも本発明で用いられる結晶性ポリエステル樹脂(A)はガラス転移点温度が低く、弾性のある樹脂であることが好ましい。これらの工程によりペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状のカーボンナノチューブ分散体を得ることができる。
本発明のカーボンナノチューブ分散体は、本発明の樹脂組成物を製造する際の予備分散体として用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑樹脂(C)とカーボンナノチューブ分散体とを含むものである。そして、樹脂組成物は、熱可塑樹脂(C)100重量部に対して、カーボンナノチューブ分散体を0.1〜100重量部含むことが好ましい。
熱可塑樹脂(C)は、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリスチレン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・EPDM・スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、メタクリル樹脂、エチレン・メチルメタクリレートコポリマー樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ4フッ化エチレン樹脂、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、4フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、ポリ3フッ化塩化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン12、ナイロン6,T、ナイロン9,T、芳香族ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリフロロアルコキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、生分解樹脂、バイオマス樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂2種以上を共重合またはブレンドしたものであっても良い。本発明においては結晶性ポリエステル樹脂との親和性が高いポリカーボネート樹脂またはポリエステル樹脂を使用することが好ましく、結晶性ポリエステル樹脂を完全に相溶はしないものの比較的親和性が高いポリカーボネート樹脂を用いることがより好ましい。
本発明においてポリカーボネート樹脂は、二価フェノールより誘導される粘度平均分子量14,000〜100,000、好ましくは18,000〜40,000の芳香族ポリカーボネート樹脂であり、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応させて製造される。二価フェノールの代表的な例としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAという)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロムフェニル)プロパン、2,2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン等があげられる。好ましい二価フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物であり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。但し、本発明で用いられる結晶性ポリエステル樹脂よりガラス転移点が低い樹脂は含まれない。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、ジアリールカーボネート、ハロホルメート等があげられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメートなどがあげられる。ポリカーボネート樹脂を製造するに当り、二価フェノールを単独で、又は二種以上を使用することができる。また、適当な分子量調節剤、分岐剤、反応を促進するための触媒等も使用でき、得られたポリカーボネート樹脂の二種以上を混合しても差支えない。
本発明においてポリエステル樹脂は、特に限定されないが、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体との縮合反応により得られるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸の縮合反応より得られるポリエステル、これらのポリエステルの混合物、及び混合物のエステル交換反応物等があげられる。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートと、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートを含む芳香族ポリエステル樹脂;アジピン酸と1,4−ブタンジオールとのポリエステル等の脂肪族ポリエステル樹脂;ジオール成分の一部をポリエチレングリコール等のアルキレングリコールに置換したポリエーテルエステル樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の生分解性脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の生分解性脂肪族芳香族コポリエステルが挙げられる。これらは単独でも複数種を併用することもできる。
但し、本発明で用いられる結晶性ポリエステル樹脂(A)に相当するものは含まず、また、本発明で用いられる結晶性ポリエステル樹脂(A)よりガラス転移点が低い樹脂も含まない。本発明においてはポリアルキレンテレフタレートを用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて耐酸化安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤、結晶造核剤、樹脂充填材等を用いることができる。
本発明において樹脂組成物の製造は、熱可塑樹脂(C)とカーボンナノチューブ分散体とを混合や溶融混合することで分散を行い、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状の樹脂組成物を得ることができる。
混合装置は、例えばヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー,ロールミル,スーパーミキサー,ヘンシェルミキサー,シュギミキサー,バーティカルグラニュレーター,ハイスピードミキサー,ファーマトリックス,ボールミル,スチールミル,サンドミル,振動ミル,アトライター,バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を挙げることができる。本発明では、二軸押出機を用いるのが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、カーボンナノチューブ分散体を比較的高濃度に含有し、成形時に被成形樹脂(ベース樹脂)で希釈されるマスターバッチであっても良いし、カーボンナノチューブ分散体の濃度が比較的低く、被成形樹脂で希釈せずにそのままの組成で成形に供されるコンパウンドであっても良い。
本発明の成形体は、カーボンナノチューブ分散体をそのまま成形せずに、樹脂組成物を経由したのち製造することが好ましい。
本発明の成形体は、樹脂組成物と必要に応じて、さらに被成形樹脂[熱可塑性樹脂(C)]を配合し、50℃〜350℃に設定した成形機にて溶融混合後に成形体の形状を形成し冷却することで得ることができる。成形体の形状は、板状、棒状、繊維、チューブ、パイプ、ボトル、フィルムなどを得ることができる。
また、成形方法は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファー成形、フィルム成形、カレンダー成形、紡糸等を用いることができる。
次に、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例で用いた結晶性ポリエステル樹脂、ワックス、カーボンナノチューブおよび熱可塑性樹脂を以下に示す。実施例における各原料の配合比は表1に示す。また表1の配合比は、重量部の比率である。
結晶性ポリエステル樹脂(A−1):バイロンGM−415(東洋紡社製、融点:113℃、溶融粘度:150dPa・s/200℃)
結晶性ポリエステル樹脂(A−2):バイロンGA−6300(東洋紡社製、融点:100℃、溶融粘度:500dPa・s/200℃)
結晶性ポリエステル樹脂(A−3):バイロンGM−920(東洋紡社製、融点:107℃、溶融粘度:1000dPa・s/200℃)
結晶性ポリエステル樹脂(A−4):アロンメルトPES120L(東亞合成社製、融点:114℃、溶融粘度:300dPa・s/190℃)
結晶性ポリエステル樹脂(A−5):バイロンGA−5310(東洋紡社製、融点:110℃、溶融粘度:1600dPa・s/200℃)
非結晶性ポリエステル樹脂:バイロン200(東洋紡社製、ガラス転移点:67℃)
ワックス(B−1):K3ワックス500(川研ファインケミカル社製、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、融点:85〜87℃)
ワックス(B−2):
リケスターSL−02(理研ビタミン社製、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、融点:63〜69℃)
ワックス(B−3):アルフローH−50S(日油社製、エチレンビスステアリン酸アミド、融点:140〜145℃)
ワックス(B−4):Licowax OP(クラリアント社製、モンタン酸エステルワックス、融点:74〜76℃)
ワックス(B−5):リケマールPL−004(理研ビタミン社製、グリセリンジアセトモノラウレート、23℃で淡黄色液体)
カーボンナノチューブ:平均繊維径が10〜15nm、平均繊維長が3μm のCVD法により作成された多層カーボンナノチューブ(昭和電工社製、VGCF−X)
熱可塑性樹脂(C−1):ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロンS3000)
熱可塑性樹脂(C−2):ポリエチレンテレフタレート樹脂(三井化学社製、ミツイPET SA−135)
熱可塑性樹脂(C−3):ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバデュラン5010R5)
<実施例1>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
結晶性ポリエステル樹脂(A−1)と、ワックス(B−1)と、カーボンナノチューブを混ぜ、150℃に加熱した3本ロールにて練肉(パス回数:6回)した後、それを2mmのメッシュスクリーンを取り付けたカッターミルで粉砕して粉体状のカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
熱可塑性樹脂(C−1)を、除湿乾燥機で乾燥後、これに上記カーボンナノチューブ分散体を所定量加えスーパーミキサーにて攪拌羽を回転速度約300rpmで4分間、攪拌・混合した。これを250℃に設定した二軸押出機で溶融混練しペレット状の樹脂組成物を作成した後、280℃に設定した射出成形機(東芝機械(株)製IS−100F型)を用い厚さ2mmで10cm角の平板状の成形体を作成した。
<実施例2〜7、10〜12>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
結晶性ポリエステル、ワックスおよびカーボンナノチューブの配合比や種類を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を得た。
<実施例8>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
結晶性ポリエステル、ワックスおよびカーボンナノチューブの配合比や種類を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
熱可塑性樹脂(C−2)を、除湿乾燥機で乾燥後、これに上記カーボンナノチューブ分散体を所定量加えスーパーミキサーにて攪拌羽を回転速度約300rpmで4分間、攪拌・混合した。これを280℃に設定した二軸押出機で溶融混練しペレット状の樹脂組成物を作成した後、280℃に設定した射出成形機(東芝機械(株)製IS−100F型)を用い厚さ2mmで10cm角の平板状の成形体を作成した。
<実施例9>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
結晶性ポリエステル、ワックスおよびカーボンナノチューブの配合比や種類を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
熱可塑性樹脂(C−3)を、除湿乾燥機で乾燥後、これに上記カーボンナノチューブ分散体を所定量加えスーパーミキサーにて攪拌羽を回転速度約300rpmで4分間、攪拌・混合した。これを250℃に設定した二軸押出機で溶融混練しペレット状の樹脂組成物を作成した後、250℃に設定した射出成形機(東芝機械(株)製IS−100F型)を用い厚さ2mmで10cm角の平板状の成形体を作成した。
<実施例13、14>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
結晶性ポリエステル、ワックスおよびカーボンナノチューブの配合比や種類を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
実施例12、13は実施例1と同様の方法で樹脂組成物を作成した後、280℃に設定したTダイ成形機にて厚さ100μmのフィルムを作成した。
<比較例1>
カーボンナノチューブ4重量部、熱可塑性樹脂(C−1)96重量部をスーパーミキサーにて攪拌羽回転速度約300rpmで4分間、攪拌・混合した。これを250℃に設定した二軸押出機で溶融混練しペレット状の樹脂組成物を作成した後、280℃に設定した射出成形機(東芝機械(株)製IS−100F型)を用い厚さ2mmで10cm角の平板状の成形体を作成した。
<比較例2>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
非結晶性ポリエステル樹脂と、ワックス(B−1)と、カーボンナノチューブを混ぜ、150℃に加熱した3本ロールにて練肉(パス回数:6回)した後、それを2mmのメッシュスクリーンを取り付けたカッターミルで粉砕して粉体状のカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を得た。
<比較例3〜7>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
結晶性ポリエステル、ワックスおよびカーボンナノチューブの配合比や種類を表2の通りに変更した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を得た。
<比較例8>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
結晶性ポリエステル樹脂(A−1)と、カーボンナノチューブを混ぜ、150℃に加熱した3本ロールにて練肉(パス回数:6回)した後、それを2mmのメッシュスクリーンを取り付けたカッターミルで粉砕して粉体状のカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を得た。
<比較例9>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
ワックス(B−1)と、カーボンナノチューブを混ぜ、150℃に加熱した3本ロールにて練肉(パス回数:6回)した後、それを2mmのメッシュスクリーンを取り付けたカッターミルで粉砕して粉体状のカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
実施例1と同様の方法で樹脂組成物および成形体を得た。
<比較例10>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
比較例8と同様の方法でカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
実施例13、14と同様の方法で樹脂組成物および成形体を得た。
<比較例11>
(カーボンナノチューブ分散体の製造)
比較例9と同様の方法でカーボンナノチューブ分散体を得た。
(樹脂組成物および成形体の製造)
実施例13、14と同様の方法で樹脂組成物および成形体を得た。
[物性評価]
得られた樹脂組成物について「分散性」、「熱分解特性」および「ブロッキング性」を評価した。また得られた成形体について「導電性」を評価した。評価法を以下に示す。得られた評価結果を表1、表2に示す。
<分散性評価>
先端に1450メッシュの金網を装着したスクリュー径が20mmの300℃に設定した単軸押出機を用い、50g相当量のカーボンナノチューブが金網を通過するように実施例1〜12で得られた樹脂組成物では1250g、実施例13〜14で得られた樹脂組成物では2500g、比較例1〜9で得られた樹脂組成物では1250gを、比較例10〜11で得られた樹脂組成物では2500gをそれぞれ押し出した。
樹脂組成物中のカーボンナノチューブの分散が不十分の場合は押出に伴って、上記金網が目詰まりをきたす。そこで、押出初期における上記金網にかかる圧力と、50g相当量のカーボンナノチューブを含有する樹脂組成物を押し出した時の上記金網にかかる圧力との差(押出機先端部の圧力上昇値)を求め、樹脂組成物中の顔料の分散状態を評価した。
<熱分解特性>
成形時における成形体の熱分解の有無を目視で評価した。
○:熱分解せず成形体ができる
×:熱分解により成形表面にフラッシュ、ボイド発生や樹脂発泡により成形ができない等。
<ブロッキング性>
得られたペレット状の樹脂組成物を100mlビーカー中に高さ3cm以上積み上げて、120℃オーブンに2時間静置してペレット同士のブロッキングの有無を評価した。
○:ペレット同士が接着していない。
×:ペレット同士が接着し塊になっている。
<導電性>
成形体の表面抵抗率をSIMCO社製の表面抵抗測定器(TRUSTAT ST−3)を用いて測定した。
表1および表2の結果より、カーボンナノチューブ分散体を使わずに樹脂組成物を作成している比較例1と比較し、実施例では分散性が大幅に向上した。導電性も大きく向上した。
比較例2のように非結晶性ポリエステル樹脂を用いると、カーボンナノチューブが分散せず、その結果導電性も低下する。実施例1〜4は結晶性ポリエステル樹脂を用いることで分散性を大幅に改善し、導電性の改善が見られる。
23℃で固体のワックスの代わりに、23℃で液体のワックスを用いてカーボンナノチューブ分散体を作成すると、比較例3のように樹脂が分解し成形ができなくなってしまう。
比較例4のように23℃で固体のワックスがカーボンナノチューブ分散体中に30重量%を超えて配合されると、樹脂が分解し、成形体が得られない。逆に23℃で固形のワックスを使用しないで結晶性ポリエステル樹脂とカーボンナノチューブのみでカーボンナノチューブ分散体により樹脂組成物を作成している比較例8、10ではカーボンナノチューブの分散が不十分であるため導電性が得られない。これに対して実施例では、ワックスをカーボンナノチューブ分散体中に1〜30重量%で配合しているため分散性が良好であるため導電性も良好である。
比較例5のようにカーボンナノチューブの濃度が50重量%を超えるとカーボンナノチューブ分散体の粘度が高くなりすぎてしまうため、分散しない。逆に比較例7のように20重量%を下回るとブロッキングを起こしてしまう。
比較例6のように結晶性ポリエステル樹脂の200℃における溶融粘度が1000dPa・sより大きくなると分散性は低下してしまう。実施例1〜4では結晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度が1000dPa・s以下であるため良好な分散性、導電性が得られている。
23℃で固形のワックスとカーボンナノチューブのみでカーボンナノチューブ分散体を作成すると、比較例9、11のように樹脂が分解し成形ができなくなってしまう。

Claims (5)

  1. 融点が50〜200℃以下の結晶性ポリエステル樹脂(A)20〜79重量%と、23℃で固体のワックス(B)1〜30重量%と、カーボンナノチューブ20〜50重量%とを含むカーボンナノチューブ分散体であって、
    前記結晶性ポリエステル樹脂(A)が、200℃において溶融粘度5〜1000dPa・sであることを特徴とするカーボンナノチューブ分散体。
  2. ワックス(B)の融点が、50〜160℃であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ分散体。
  3. ワックス(B)が、脂肪酸エステルおよび/または脂肪酸アミドであることを特徴とする請求項1または2記載のカーボンナノチューブ分散体。
  4. 熱可塑性樹脂(C)100重量部に対して、請求項1〜3いずれか記載のカーボンナノチューブ分散体を0.1〜100重量部含むことを特徴とする樹脂組成物。
  5. 請求項4記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。

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