JP5417690B2 - 疎水性の熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブを含む疎水性の熱可塑性樹脂組成物に関する。より詳しくは、導電性および強度が高い疎水性の熱可塑性樹脂組成物に関する。
ポリオレフィン系樹脂などの疎水性の熱可塑性樹脂は、軽くて丈夫であり、押出成型あるいは射出成型によって様々な形状に容易に成型できることから、建築材料、自動車部品、電子材料、包装材料などに幅広く使用されている。しかしながら疎水性の熱可塑性樹脂は、絶縁体であるため静電気を帯びやすく、人体への不快感や、電気機器の誤作動、ほこりの吸着による商品価値の低下などのトラブルが発生するため問題になっている。これらの問題を解決するために、カーボンブラック、金属粉末などの導電性フィラーを樹脂に添加することによって高い導電性を得ることが試みられている。
しかし、疎水性の熱可塑性樹脂の導電性を高めるためには、導電性フィラーを多量に添加する必要があるため、疎水性の熱可塑性樹脂の本来の強度、特に衝撃強度が低下する問題、比重が高くなり成型品が重くなる問題、導電性フィラーの分散不良によって熱成型時の吐出量、吐出安定性低下、外観不良などの加工性低下や、成型品中での導電性能のバラツキが多くなる問題、成型品表面からカーボンブラックなどの導電性フィラーが脱離して外観不良を起こす問題が新たに生じる。
これらの問題を解決するため、カーボンナノチューブ(以下「CNT」と略す)を樹脂に添加する方法が試みられている。CNTは、炭素を原料としたグラフェンシートが筒状に丸まった構造を有する。一般的なCNTの直径は1nm以下から数百nm、長さは数百nmから数十μmであり、アスペクト比が高い筒状物質である。また、グラフェンシートにカルボキシル基などを導入したCNTも開発されている。
しかしながら、CNTは分散性が悪いため、CNTを樹脂に添加した場合、少量の添加で高い導電性を得ることは困難である。例えば、CNTが互いにからみ合った凝集体と、合成樹脂とからなる樹脂組成物が提供されているが、CNTは凝集体の状態のため、CNTの量を低減させるのには限界があり、樹脂の強度が低下する問題、比重が高くなり成型品が重くなる問題、加工性低下の問題、成型品中での導電性能のバラツキが多くなる問題は解決できない。
また、特許文献1には、2〜5層の多層CNTと樹脂とをミキサー中で溶融混練する方法によって得られる樹脂組成物が開示されている。特許文献2には、ポリオキシメチレン樹脂と、平均繊維径が1〜100nm、平均アスペクト比が5以上であるCNTとを、溶媒を用いることなく押出機で混練する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法でもCNTと樹脂を混練した場合、CNTを含む樹脂がミキサーや押出機などの装置のスクリューやシリンダ部へ付着してしまい、材料切り替え時の掃除に時間がかかる問題がある。また、押出成型時の目やに発生、吐出不安定、外観不良などの問題も生じる。特許文献1および特許文献2には、これら問題の改善についてなんら開示されていない。
そこで、CNTの凝集を防ぐ為に、CNTを樹脂に直接混練する前に、予めCNTを含有する分散液を調製した後に、これを樹脂に混合し、CNTを分散させることが行われている。CNTを溶媒に分散する方法として、特許文献3には、芳香族系界面活性剤を使用して、CNTを水に分散させる方法が開示されている。しかし、溶媒が水である為、CNT含有水溶液を樹脂に混練した場合、樹脂の物性に悪影響を与えるおそれがある。
また、特許文献4及び5には、ドデシル硫酸ナトリウムや、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤を使用して、水などにCNTを分散させる方法が開示されている。しかしながらこの場合、界面活性剤はいずれも金属塩である為に、樹脂の電子材料分野への用途は困難となってしまう等、CNTを含有する樹脂の使用できる分野が極端に限られてしまう。
特許文献6及び7には、樹脂とCNTを有機溶媒に希釈して混合する技術が開示されている。しかし、これらの技術は特殊な成型機が必要であり、かつ脱溶剤が必要となる欠点がある。また、特許文献7では、樹脂として、導電性ポリマーの使用が前提となっている。
このように、CNTを直接樹脂に添加した場合、及びCNTを水や有機溶媒等の溶媒に添加して得られた分散液を樹脂に混練する場合、いずれの方法でも、作業性が悪くなったり、樹脂組成物の物性が低下したり、工程が煩雑になったり、使用する分野が限定されたり等、様々な問題を生じているのが現状である。
特開2003−306607号公報 特開2005−255734号公報 特開2005−263608号公報 特開2003−238126号公報 特開2005−95806号公報 特表2005−517820号公報 特開2005−105510号公報
本発明は、CNTを含む疎水性の熱可塑性樹脂組成物において、CNTの分散性を向上させることを目的の1つとし、CNTを樹脂に混練する際に溶媒を不要とすることを他の目的とする。言い換えれば、本発明は、導電性や強度を高くすること、混練時の溶媒を不要とすること、混練用装置への付着を少なくすること、使用分野の制限が少ないことのうち少なくとも1つを達成できる疎水性の熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のCNTと特定の界面活性剤とを疎水性の熱可塑性樹脂に加えた樹脂組成物が上記目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明に係る疎水性の熱可塑性樹脂は、A)平均直径60〜200nm、平均アスペクト比5〜250のCNT、B)疎水性の熱可塑性樹脂、C)下記式(1)〜(4)で表される化合物からなる群から選ばれる1又は2以上の界面活性剤を含むことを特徴とする。
Figure 0005417690
(式(1)中、R 、R は、各々独立に、水素原子、炭素数2〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のアシル基、又は−(R −O) −(A O) −R で表される基、R は炭素数1〜10のアルキレン基、A Oはオキシエチレン基、mは1〜35、aは0又は1、R は水素原子、R は炭素数1〜10のアルキレン基、bは0又は1、A Oはオキシエチレン基、nは1〜35、R は水素原子を表す。)
Figure 0005417690
(式(2)中、R 、R 、R は、各々独立に、水素原子、炭素数2〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のアシル基、又は−(R 13 −O) −(A O) −R 14 で示される基、R 10 、R 11 は、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基、cは0又は1、A Oはオキシエチレン基、sは1〜35、R 12 は水素原子、R 13 は炭素数1〜10のアルキレン基、dは0又は1、A Oはオキシエチレン基、rは1〜35、R 14 は水素原子を表す。)
Figure 0005417690
(式(3)中、R 15 、R 16 、R 17 、R 18 は、各々独立に、水素原子、又は炭素数6〜22のアシル基、tは0又は1であり、R 15 、R 16 、R 17 、R 18 のうちの1つが炭素数6〜22のアシル基を表す。)
Figure 0005417690
(式(4)中、R 19 、R 20 、R 22 、R 24 は、各々独立に、水素原子、又は炭素数6〜22のアシル基、R 21 、R 23 は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は−O−R 25 で表される基、R 25 は、水素原子又は炭素数6〜22のアシル基、vは0又は1であり、R 19 、R 20 、R 22 、R 24 のうち1つが炭素数6〜22のアシル基を表す。)
本発明により、導電性や強度が高い、混練時に溶媒が不要である、混練用装置への付着が少ない、使用分野の制限が少ないという利点のうち少なくとも1つの利点が得られる。言い換えれば、本発明に係る疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、CNTの凝集が少なく、均一に安定的にCNTが樹脂中に分散しており、導電性に優れ、強度が高く、成型加工性及び離型性に優れる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る疎水性の熱可塑性樹脂は、A)平均直径60〜200nm、平均アスペクト比5〜250のCNT、B)疎水性の熱可塑性樹脂、C)後述する式(1)〜(4)に表される化合物からなる群から選ばれる1又は2以上の界面活性剤を含む。まず、A)CNTについて説明する。
A)カーボンナノチューブ(CNT)
本発明で使用するCNTは、グラフェンシートが円筒状に巻かれたもので、この円筒が単層のものでも複数の層からなるものでも構わない。またグラフェンシートがカップ状に積み重なったものでも構わない。すなわち本発明では、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カップスタック型カーボンナノチューブを用いることができる。この中でも、多層カーボンナノチューブを用いることが好ましい。
本発明で使用するCNTは、平均直径が60〜200nm、平均アスペクト比が5〜250であり、好ましくは平均直径が80〜150nm、平均アスペクト比が50〜150、より好ましくは平均直径が80〜120nm、平均アスペクト比が80〜120である。
CNTの平均直径および平均アスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることができる。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)測定を行い、その画像からCNTの直径および長手方向の長さを測定することができる。
CNTは、通常、化学気相成長法(CVD法)、レーザー蒸発法、アーク放電法などによって製造される。本発明で使用されるCNTは、その製造方法が限定されず、いずれの方法で得られたものでも良い。CNTは各メーカーにより製造されており、その種類、製造法、純度、直径、長さなどの異なるものが提供されている。これらのCNTはそのまま使用しても良いが、不純物として、触媒として使用した金属が含まれているので、用途に応じて精製工程を行っても良い。
CNTの溶剤や樹脂への分散性を向上させる為に、CNTを塩酸、硫酸、硝酸などで酸処理して、CNT表面にカルボキシル基などの官能基を生成する方法が用いられることがある。また、CNTを製造される過程で、表面にカルボキシル基や水酸基などの官能基が生成してしまう場合もある。このような官能基を含有するCNTは、表面の濡れ性が付与される等の理由により、樹脂等への分散性が向上する場合があるが、CNT中の化学結合が切断されてしまう為、CNTが本来有している強度や導電性を損なうおそれがある。本発明に使用するCNTは、強度や導電性が高いという特性を生かす為、表面を酸処理していない、もしくは製造時に官能基の生成が少ないものが好ましい。官能基としては、主にカルボキシル基が挙げられるが、この基がCNT中に少ないものほど、CNTが本来有している強度や導電性が高い傾向にある。CNT中の官能基(カルボキシル基)の割合を酸含有率と定義すると、本発明で用いるCNTの酸含有率は10質量%以下が好ましい。より好ましくは5質量%以下である。10質量%より大きい場合、樹脂に対する分散性は向上するが、疎水性の熱可塑性樹脂組成物の導電性や強度の低下を引き起こしてしまう場合がある。
ここでいう酸含有率は、CNT中に含まれるカルボン酸の割合をいう。酸含有率を測定する具体的方法としては、以下が例示され得る。
0.005(mol/l)の水酸化ナトリウム水溶液200g及びCNT1.0gを500mlのガラスビーカーに入れ、室温にて、直径8mm、長さ25mmの円柱状撹拌子(スターラー)で250rpmの回転速度で、24時間、攪拌する。CNTを分散させた水酸化ナトリウム水溶液を5Aのろ紙にてろ過し、得られたろ液の内のXg(Xは、1〜100g)について、フェノールフタレインを指示薬として、0.005(mol/l)フタル酸水素カリウム{CH(COOK)(COOH)}水溶液にて滴定を行う(Aml)。またブランクとして、CNTを入れていない0.005(mol/l)の水酸化ナトリウム水溶液Xgの滴定を、0.005(mol/l)フタル酸水素カリウム水溶液にて行う(Bml)。
酸含有率は、下記の式で算出される。
酸含有率(%)={(B−A)×200}/X×{5.0×10−3×45}/1000×100
=(B−A)/X×4.5
A=CNTを分散させた水酸化ナトリウム水溶液のろ液Xgを滴定するのに使用した0.005(mol/l)フタル酸水素カリウム水溶液の量(ml)
B=水酸化ナトリウム水溶液Xgを滴定するのに使用した0.005(mol/l)フタル酸水素カリウム水溶液の量(ml)
X=滴定に使用したCNTを分散させた水酸化ナトリウム水溶液のろ液及び水酸化ナトリウム水溶液の重量(g)
B)疎水性の熱可塑性樹脂
本発明で使用する疎水性の熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば、一般に市販されている疎水性の熱可塑性樹脂を使用することができる。具体例を挙げれば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂(PVC) 、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、分子内に弾性を有するブタジエンやイソプレンなどの軟質セグメントと塑性変形を防止するオレフィン系またはスチレン系樹脂などの硬質セグメントとからなる熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは一種単独でも二種以上併用してもいずれでもよい。好ましくは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂であり、これらの樹脂を用いて得られる本発明の樹脂組成物は、導電性が特に高い。また、本発明で使用されるさらに好ましい疎水性の熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン及びABS樹脂である。
C)界面活性剤
本発明に使用する界面活性剤は、以下の式(1)〜(4)で表される化合物からなる群から選ばれる1又は2以上の界面活性剤である。
Figure 0005417690
式(1)中、R、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数2〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のアシル基、又は−(R−O)−(AO)−Rで表される基である。
炭素数2〜24のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−イコサニル基、n−テトラコサニル基などが挙げられる。炭素数2〜24のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、n−イコセニル基、テトラコセニル基などが挙げられる。炭素数2〜24のアシル基は、飽和又は不飽和のいずれでも良く、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、エチルヘキサノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イコサノイル基、ヘキサコサノイル基、ブテノイル基、ペンテノイル基、ヘキセノイル基、デセノイル基、ドデセノイル基、テトラデセノイル基、ヘキサデセノイル基、オクタデセノイル基、イコセノイル基、ヘキサコセノイル基などが挙げられる。
−(R−O)−(AO)−Rで表される基のRは炭素数1〜10のアルキレン基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基などが挙げられる。好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、具体的にはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、より好ましくはオキシエチレン基である。bは0又は1である。nは1〜35であり、好ましくは2〜15であり、より好ましくは2〜10である。
Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基、又は炭素数1〜10のアシル基(飽和および不飽和)である。炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アシル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、デセニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、エチルヘキサノイル基、デカノイル基などが挙げられる。Rは、好ましくは、水素原子である。
式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基である。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基などが挙げられる。好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
式(1)中、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、具体的にはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、より好ましくはオキシエチレン基である。
式(1)中、aは0又は1である。mは1〜35であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは、1〜10である。
式(1)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアシル基(飽和および不飽和)である。炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アシル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、デセニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、エチルヘキサノイル基、デカノイル基などが挙げられる。Rは、好ましくは水素原子である。
式(1)中のR、Rは同時にアシル基でない方が好ましい。また、R、Rのいずれか一方がアシル基であり、他の一方が−(R−O)−(AO)−Rで表される基であり、さらにa及びbが0、m及びnが1、R及びRが水素である場合には、R、Rのいずれかのアシル基は、炭素数16〜22であり、且つ二重結合を有するものが好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例としては、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−オレイルアミン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−ステアリルアミン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−ココアルキルアミン、オレイン酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジ(ポリオキシプロピレン)ジエタノールアミド等が挙げられる。
Figure 0005417690
式(2)中、R、R、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数2〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のアシル基、又は−(R13−O)−(AO)−R14で示される基である。
炭素数2〜24のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−イコサニル基、n−テトラコサニル基などが挙げられる。炭素数2〜24のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、n−イコセニル基、テトラコセニル基などが挙げられる。炭素数2〜24のアシル基は、飽和又は不飽和のいずれでも良く、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、エチルヘキサノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イコサノイル基、ヘキサコサノイル基、ブテノイル基、ペンテノイル基、ヘキセノイル基、デセノイル基、ドデセノイル基、テトラデセノイル基、ヘキサデセノイル基、オクタデセノイル基、イコセノイル基、ヘキサコセノイル基などが挙げられる。
−(R13−O)−(AO)−R14で表される基のR13は炭素数1〜10のアルキレン基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基などが挙げられる。好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、具体的にはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、より好ましくはオキシエチレン基である。dは0又は1である。rは1〜35であり、好ましくは2〜15であり、より好ましくは2〜10である。
R14は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基、又は炭素数1〜10のアシル基(飽和および不飽和)である。炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アシル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、デセニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、エチルヘキサノイル基、デカノイル基などが挙げられる。R14は、好ましくは水素原子である。
式(2)中、R、R、Rは同一であっても異なっていても良いが、いずれか一つの基が炭素数2〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、又は炭素数2〜24のアシル基であり、残りの2つの基が水素原子又は−(R13−O)−(AO)−R14で表される基であるのが好ましい。また、R、R、Rが同時にアシル基でない方が好ましい。
また、式(2)で表される界面活性剤を含む熱可塑性樹脂組成物の強度の観点から、R、R、Rは、好ましくは炭素数12〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくは炭素数16〜22のアルキル基又はアルケニル基である。
式(2)中、R10は炭素数1〜10のアルキレン基である。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基などが挙げられる。好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基であり、より好ましくはプロピレン基である。
式(2)中、R11は炭素数1〜10のアルキレン基である。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基などが挙げられる。好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
式(2)中、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、具体的にはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、より好ましくはオキシエチレン基である。
式(2)中、cは0又は1である。sは1〜35であり、好ましくは2〜15であり、より好ましくは、2〜10である。
式(2)中、R12は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアシル基(飽和および不飽和)である。炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アシル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、エチルヘキセニル基、デセニル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、エチルヘキサノイル基、デカノイル基などが挙げられる。R12は、好ましくは水素原子である。
式(2)で表される化合物の具体例としては、N−オレイル−N−ポリオキシエチレン−N’,N’−ジ(ポリオキシエチレン)プロピレンジアミン等が挙げられる。
Figure 0005417690
式(3)中、R15、R16、R17、R18は、各々独立に、水素原子、又は炭素数6〜22のアシル基であるが、R15、R16、R17、R18のうちの1つが炭素数6〜22のアシル基を表す。炭素数6〜22のアシル基は、飽和又は不飽和のいずれでも良く、例えばヘキサノイル基、エチルヘキサノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イコサノイル基、ヘキサコサノイル基、ブテノイル基、ペンテノイル基、ヘキセノイル基、デセノイル基、ドデセノイル基、テトラデセノイル基、ヘキサデセノイル基、オクタデセノイル基、イコセノイル基、ヘキサコセノイル基などが挙げられる。好ましくは炭素数16〜22の飽和又は不飽和のアシル基であり、例えばオクタデカノイル基、オクタデセノイル基(オレオイル基)が挙げられる。tは0又は1である。
式(3)で表される化合物の具体例としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンジオレート等が挙げられる。
Figure 0005417690
式(4)中、R19、R20、R22、R24は、各々独立に、水素原子、又は炭素数6〜22のアシル基であるが、R19、R20、R22、R24のうち1つが炭素数6〜22のアシル基である。R21、R23は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は−O−R25で表される基であり、R25は、水素原子又は炭素数6〜22のアシル基、vは0又は1である。炭素数6〜22のアシル基は、飽和又は不飽和のいずれでも良く、例えばヘキサノイル基、エチルヘキサノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イコサノイル基、ヘキサコサノイル基、ブテノイル基、ペンテノイル基、ヘキセノイル基、デセノイル基、ドデセノイル基、テトラデセノイル基、ヘキサデセノイル基、オクタデセノイル基、イコセノイル基、ヘキサコセノイル基などが挙げられる。好ましくは、炭素数12〜22の飽和又は不飽和のアシル基である。また、vは好ましくは0である。
式(4)で表される化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールジステアレート、ジペンタエリスリトールジステアレート等が挙げられる。
本発明で使用する、式(1)、(2)に示したいずれか1つ又は複数の界面活性剤の加重平均HLBは5〜15であり、式(3)、(4)に示したいずれか1つ又は複数の界面活性剤の加重平均HLBは2〜8であるのが好ましい。式(1)、(2)の界面活性剤の加重平均HLBが15を超える場合、また式(3)、(4)の界面活性剤の加重平均HLBが8を超える場合、疎水性の熱可塑性樹脂組成物の強度が低下する。式(1)、(2)の界面活性剤の加重平均HLBが5未満となる場合、また式(3)、(4)の界面活性剤の加重平均HLBが2未満となる場合は、疎水性の熱可塑性樹脂の導電性が低下する場合がある。式(1)、(2)に示したいずれか1つ又は複数の界面活性剤の加重平均HLBが7〜12、式(3)、(4)に示したいずれか1つ又は複数の界面活性剤の加重平均HLBが3〜6の範囲の場合、疎水性の熱可塑性樹脂の強度と導電性がともに高くなり、より好ましい。
HLBとは親水疎水性バランス(Hydrophile−Lypophile Balance )のことを指し、加重平均HLBは、甲田善生編," 有機概念図−基礎と応用−" 三共出版株式会社(1984)に記載された方法により、以下の式で算出される。
HLB=(Σ(無機性)/Σ(有機性))×10
尚、無機性は界面活性剤の親水性に、有機性は界面活性剤の疎水性に一致する。例を挙げれば、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−オレイルアミン(エチレンオキサイド平均付加モル数5)の場合、この界面活性剤のHLBは、以下の様にして算出される。
Σ(無機性)=452、Σ(有機性)=530、HLB=(Σ(無機性)/Σ(有機性))×10=8.5
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、B)疎水性の熱可塑性樹脂に対するA)CNTの添加量は、CNTの配合量や種類等によって適宜定めることができる。例えば、B)疎水性の熱可塑性樹脂100質量部に対し、A)CNTを0.01〜20質量部添加することにより、導電性および強度が十分に高い疎水性の熱可塑性樹脂組成物が得られる。好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜5質量部である。B)疎水性の熱可塑性樹脂100質量部に対し、A)CNTの添加量が0.01質量部未満の場合、十分に導電性および強度が得られないことがある。また、20質量部より多くなると、添加した量に見合った強度が得られないおそれがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、A)CNTに対する、C)界面活性剤の添加量は、C)界面活性剤の配合量や種類等によって適宜定めることができる。例えば、A)CNT100質量部に対し、C)界面活性剤を0.1〜1000質量部添加することで、A)CNTを十分に分散させる効果が得られる。好ましくは5〜500質量部であり、より好ましくは20〜200質量部である。A)CNT100質量部に対し、C)界面活性剤の添加量が0.1質量部未満の場合、A)CNTに対する界面活性剤の量が不十分である為、A)CNTが樹脂中で充分に分散しきれない場合がある。また、1000質量部より多くなると、添加した量に見合った分散効果が得られない場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を調製する方法は、特に限定されないが、例えば、A)CNTおよびC)界面活性剤をB)疎水性の熱可塑性樹脂に添加し、ミキサーなどで溶融混練した後、押し出し機などで成形することにより、導電性及び強度が高く、混練時に装置への樹脂付着の少ない疎水性の熱可塑性樹脂組成物を得ることが可能になる。なお、本明細書における混練とは、A)CNTおよびC)界面活性剤を、B)熱可塑性樹脂の溶融温度以上で、B)熱可塑性樹脂と混合することを言う。
より詳しく説明すると、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、A)CNT、B)熱可塑性樹脂およびC)界面活性剤を一軸あるいは二軸押出機、カレンダー成形機に投入し、混練、成形を行うことによって、シート状、棒状、異型成形品やペレット状のコンパウンドやマスターバッチなどの形態で調製することができる。また、混練、成形を行う前に、ミキサー型混合機、例えばスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサーなどに、A)CNT、B)熱可塑性樹脂およびC)界面活性剤を所定の割合で混合し、軟化温度以下で混合することもできる。このとき、C)界面活性剤の分散性を向上する目的で、C)界面活性剤の融点以上で混合するか、あるいはC)界面活性剤に溶剤が含まれる場合は、熱成形時に溶剤のガス化による成形不良を防止する目的で、加熱混合によって溶剤除去することが好ましい。こうして得られたA)CNT、B)熱可塑性樹脂およびC)界面活性剤の混合物を、一軸あるいは二軸押出機、カレンダー成形機に投入し、混練、成形を行うことによって、シート状、棒状、異型成形品やペレット状のコンパウンドやマスターバッチなどの形態で、本発明の疎水性の熱可塑性樹脂組成物を調整することができる。以上のようにして調製された本発明の疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、さらにシートをプレス成形、あるいはコンパウンド、マスターバッチを射出成形することなどによって加工することができる。
本発明の疎水性の熱可塑性樹脂組成物を調製する際には、必要に応じて、添加剤を使用しても良い。添加剤としては、具体的には、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、導電性および強度が高く、成形加工性及び離型性に優れているという特性を生かして、建築用構造材;フェンダー、バンパー、ホイールカバーなどの自動車用外装部品への静電塗装材料;半導体、電子部品等の工業用包装材料;OHP用フィルム、スライドフィルム等の記録材料等の帯電防止フィルム;オーディオテープ、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気記録用テープの帯電防止用材料;携帯電話やノートパソコンなどの電子機器の電磁波シールド用材料など、幅広い用途に利用可能となる。
以下、実施例1〜17および比較例1〜12を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、表1中、AOはアルキレンオキサイド、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを表す。
〔実施例1〕
〔疎水性の熱可塑性樹脂組成物の調製〕
B)疎水性の熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン(プライムポリマー(株)製、プライムポリプロJ-704U)を50g、A)CNTとして、平均直径100nm、平均長さ10μm、平均アスペクト比100の多層カーボンナノチューブ(MWNT、昭和電工(株)製、VGCF-S、酸含有率1.5%)を1g、C)界面活性剤として、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−オレイルアミン(EO付加モル数5)を1g、ラボプラストミルミキサー(システムユニット形式:30C150、測定ヘッド形式:シリンダホッバVHD75型、(株)東洋精機製作所製)に仕込み、200℃、攪拌速度80rpm(予熱1分、混練5分)で混練した。その後、ラボプラストミルミキサーから疎水性の熱可塑性樹脂組成物を剥がし、これを200℃で、プレス成型(予熱50kg/cm、1分、ガス抜き4回、加圧100kg/cm、1分)して、100×100×3mmのシート状の樹脂プレートを作成した。
〔表面固有抵抗の測定〕
実施例1で調製した100×100×3mmのシート状の樹脂プレートを、表面固有抵抗値が10Ω以上の場合は、表面固有抵抗計(三菱油化(株)製、Hiresta HT−210)にて、印加電圧500V/10秒、測定雰囲気23℃/50%RHの条件下で測定を行った。表面固有抵抗値が10Ω未満の場合は、表面固有抵抗計(三菱化学(株)製 Loresta −GP MCP−T600)にて、印加電圧90V/10秒、測定雰囲気23℃/50%RHの条件下で測定を行った。表面固有抵抗値は、試験片の単位表面積当たりの固有抵抗値を10回測定した際の平均値とした。測定結果を表1に示した。
〔アイゾット衝撃強度の測定〕
実施例1で調製した100×100×3mmのシート状の樹脂プレートを64×12×3mmの短冊に切削加工し、ハンマー荷重5kgで、角度45°、測定雰囲気23℃/50%RHにて、アイゾット衝撃試験機((株)東洋精機製作所製)を用いて測定を行った(JIS K7110−1984に準じる)。
衝撃強度は、ハンマー荷重5kgで衝撃を加えた時の、試験片の単位断面積当たりの吸収エネルギーで表した。測定結果を表1に示した。
〔離型性評価〕
実施例1での調製途上において、疎水性の熱可塑性樹脂組成物をラボプラストミルミキサーから剥がす際の離形性を以下の方法で評価した。評価結果を表1に示した。
離型性評価基準=ラボプラストミルで混練した後、評価用サンプルを取り出す際にローターあるいはミキサー壁面に材料がこびりついているかどうかを目視にて評価した。
◎:ラボプラストミルを分解すると材料が自然に剥がれる。ローター、ミキサー壁面への付着全くなし。
○:自然には剥がれないが、手で取ると簡単に取り出し可能である。ローター、ミキサー壁面への付着全くなし。
△:ローター、ミキサー壁面の面積の半分程度に材料が付着している。真鍮ブラシでこすると容易に取れる。
×:全体的に、材料がみっちりこびりつき、真鍮ブラシで長時間(約10分)の掃除が必要である。
〔実施例2〜13〕
界面活性剤として、表1に示したものを用いて、実施例1と同様の配合量および方法で、樹脂プレートを作成し、評価を行った。
〔比較例1〕
界面活性剤及びCNTを添加せずに、ポリプロピレンのみで、実施例1と同様の方法で、樹脂プレートを作成し、評価を行った。
〔比較例2〕
界面活性剤を添加せずに、MWNT1gをポリプロピレン50gに仕込み、実施例1と同様の方法で、樹脂プレートを作成し、評価を行った。
〔比較例3〕
界面活性剤として、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−オレイルアミン(EO付加モル数5)1gをポリプロピレン50gに仕込み、実施例1と同様の方法で、樹脂プレートを作成し、評価を行った。
〔比較例4〜8〕
表1に示した界面活性剤を使用して、実施例1と同様の配合量および方法で、樹脂プレートを作成し、評価を行った。なお、比較例8では、A)CNTとして、平均直径1nm、平均長さ1μm、平均アスペクト比1000の単層カーボンナノチューブ(SWNT)を用いた。
〔実施例14,15〕
表1に示した界面活性剤1.2g、MWNT1.2gをABS樹脂{三菱レイヨン株式会社製、AP-50/R-40(3/2質量部)}60gに仕込み、230℃、攪拌速度40rpm(予熱1分、混練5分)で混練後、実施例1と同様の方法で、樹脂プレートを作成し、評価を行った。
〔比較例9,10〕
表1に示した配合で、実施例14及び15と同様の方法で、樹脂プレートを作成し、評価を行った。
〔実施例16、17〕
表1に示した界面活性剤1g、MWNT1gをポリスチレン樹脂(東洋スチレン株式会社製、トーヨースチロールG-200)50gに仕込み、200℃、攪拌速度40rpm(予熱1分、混練5分)で混練後、実施例1と同様にして、樹脂プレートを作成し、評価を行った。
〔比較例11,12〕
表1に示した配合で、実施例16及び17と同様の方法で、樹脂プレートを作成し、評価を行った。
実施例1〜17の樹脂プレートは、いずれも衝撃強度が高く、混練時に溶媒が不要であり、表面固有抵抗値が低く、離型性に優れる。したがって、A)CNT、B)疎水性の熱可塑性樹脂、C)式(1)〜(4)で表される化合物からなる群から選ばれる1又は2以上の界面活性剤を含む、本発明の疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、導電性や強度が高く、樹脂混練時に溶媒が不要であり、樹脂混練時の装置への樹脂の付着が少なく、使用分野の制限が少ないことが判る。
特に、B)疎水性の熱可塑性樹脂として、PP等のポリオレフィン系樹脂やABS樹脂を用いた場合には、少なくとも強度に関して効果がより顕著となる。
一方、比較例2、10、及び12に示した様に、C)界面活性剤を用いず、A)CNTのみを含む疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の疎水性の熱可塑性樹脂組成物と比べ、導電性が低い。
比較例3に示した様に、C)界面活性剤のみを用い、A)CNTを含まない疎水性の熱可塑性樹脂組成物の強度は、その樹脂が本来持つ強度よりも低い。また、C)界面活性剤のみを用い、A)CNTを含まない疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の疎水性の熱可塑性樹脂と比べ、導電性が低く、樹脂混練時の装置への樹脂の付着が多い。
比較例4に示した様に、本発明で規定するC)界面活性剤に代えて、非イオン性界面活性剤の代表的なものである、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いて調製した疎水性の熱可塑性樹脂組成物の強度は、その樹脂が本来持つ強度よりも低い。
同様に、比較例5に示した様に、本発明で規定するC)界面活性剤に代えて、非イオン性界面活性剤の代表的なものである、ポリオキシアルキレンアルキルエステルを用いて調製した疎水性の熱可塑性樹脂組成物の強度は、その樹脂が本来持つ強度よりも低く、導電性も低い。
また、比較例6に示した様に、本発明で規定するC)界面活性剤に代えて、非イオン性界面活性剤の代表的なものである、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルを用いて調製した疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、その樹脂が本来持つ強度よりも強度が低く、導電性も低い。
比較例7に示した様に、本発明で規定するC)界面活性剤以外の界面活性剤を用いて調製した疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、本発明で規定するC)界面活性剤を用いて調製した疎水性の熱可塑性樹脂組成物よりも導電性が低く、樹脂樹脂混練時の装置の樹脂への付着が多い。
比較例8に示した様に、本発明で規定する平均直径および平均アスペクト比を有するA)CNT以外のCNTで調製した疎水性の熱可塑性樹脂組成物は、本発明で規定するA)CNTを用いて調製した疎水性の熱可塑性樹脂組成物よりも導電性及び強度が低い。
Figure 0005417690

Claims (2)

  1. A)平均直径60〜200nm、平均アスペクト比5〜250のカーボンナノチューブ、B)疎水性の熱可塑性樹脂、C)下記式(1)〜(4)で表される化合物からなる群から選ばれる1又は2以上の界面活性剤を含む、疎水性の熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 0005417690
    (式(1)中、R、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数2〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のアシル基、又は−(R−O)−(AO)−Rで表される基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、AOはオキシエチレン基、mは1〜35、aは0又は1、R は水素原子、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、bは0又は1、AOはオキシエチレン基、nは1〜35、Rは水素原子を表す。)
    Figure 0005417690
    (式(2)中、R、R、Rは、各々独立に、水素原子、炭素数2〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のアシル基、又は−(R13−O)−(AO)−R14で示される基、R10、R11は、各々独立に、炭素数1〜10のアルキレン基、cは0又は1、AOはオキシエチレン基、sは1〜35、R12は水素原子、R13は炭素数1〜10のアルキレン基、dは0又は1、AOはオキシエチレン基、rは1〜35、R14 は水素原子を表す。)
    Figure 0005417690
    (式(3)中、R15、R16、R17、R18は、各々独立に、水素原子、又は炭素数6〜22のアシル基、tは0又は1であり、R15、R16、R17、R18のうちの1つが炭素数6〜22のアシル基を表す。)
    Figure 0005417690
    (式(4)中、R19、R20、R22、R24は、各々独立に、水素原子、又は炭素数6〜22のアシル基、R21、R23は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は−O−R25で表される基、R25は、水素原子又は炭素数6〜22のアシル基、vは0又は1であり、R19、R20、R22、R24のうち1つが炭素数6〜22のアシル基を表す。)
  2. B)疎水性の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、及び/又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂である請求項1に記載の疎水性の熱可塑性樹脂組成物。
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