JP7139730B2 - 金属酸化物分散体、樹脂組成物および成形体 - Google Patents

金属酸化物分散体、樹脂組成物および成形体 Download PDF

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Description

本発明はナノサイズの金属酸化物を含有する金属酸化物分散体、金属酸化物含有樹脂組成物および該金属酸化物含有樹脂組成物より成形されてなる成形体に関する。
一般に100nmより小さなフィラーはナノフィラーと呼ばれる。ナノフィラーはナノ粒子化することで同じ化学的成分を持っているバルク状態にある物質とは異なった特性を発現しうることが知られている。新たな特性としては粒子の体積が小さくなることで発現した特性、例えば光の波長より小さくなることでバルク時の特性を保持したまま透明な材料を提供できるなど、また粒子の比表面積が増大し表面の活性が増大することで発現した特性、例えば表面原子の比率が内部原子の比率に対して無視できなくなるほど大きくなることで発現する表面プラズモン吸収により特定の光を吸収して金属の種類や粒子の大きさで色が異なって見える現象などがある。その他にもナノ粒子化することで磁区より小さくすることで一旦磁化させれば永久磁石のように磁化がとれなくしたりする技術、ナノフィラーをポリマーに少量分散させることで燃焼発熱量を押さえる技術、ポリマーの相溶化剤としてナノフィラーを用いる技術、ナノフィラーにすることで表面積を増大させバルク時の機能を効率的に発現させる技術など様々である。これらの特性からエレクトロニクス、エネルギー、化学、複合材料など様々な分野での応用が期待されている。
しかし、ナノフィラーが一次粒子まで分散されないとその特性は十分に発揮されない。また、表面活性が高いため凝集しやすく、その分散が非常に困難である。特にプラスチック中への分散は非常に困難である。一般的なマイクロオーダー以上の金属酸化物で用いられている表面処理技術を用いると、その表面積から均一に表面処理がされず分散が不十分だったり、ナノフィラーの表面活性を抑えきれなかったりなどの不具合が生じた。また、一般的な顔料の分散方法であるワックスに分散させる方法をナノフィラーの分散に適用すると、特に、ナノフィラーが高濃度の場合、接触頻度が上がり凝集を起こしワックス中での分散安定性ができなかったり、表面積が上がることでの吸油率上昇による分散不良がおこったりなどの不具合があった。
金属酸化物を樹脂中に分散させる技術としては、これまで、ステアリン酸系化合物を金属酸化物と共に熱可塑性樹脂中に分散させる手法(特許文献1参照)や金属酸化物を樹脂エマルジョン中に分散し分散液としたものを熱可塑性樹脂中に分散させるといった手法(特許文献2、3参照)などが知られている。
しかしながら、近年要求されるナノサイズの金属酸化物を用いる場合、これらの金属酸化物を含有する樹脂組成物は、金属酸化物がナノサイズであるために安定性が悪く、また成形体に十分な赤外遮蔽効果をもたせることが、困難であるのが現状である。
特開2000-234066号公報 特開2004-203999号公報 特開2005-187226号公報
本発明は、ナノサイズの金属酸化物を含有する樹脂組成物であっても安定性、および加工性が良好な樹脂組成物であって、該樹脂組成物を用いて成形することで、高い透明性を保持し、赤外遮蔽効果にも優れた成形体の提供を目的とする。
すなわち本発明は、平均粒子径10~100nmの金属酸化物(A)、23℃で固体のワックス(B)およびガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂(C)を含む金属酸化物分散体に関する。
また、本発明は、前記金属酸化物分散体、および熱可塑性樹脂(D)を含有する樹脂組成物、前記樹脂組成物より成形されてなる成形体に関する。
本発明により、ナノサイズの金属酸化物を用いても、樹脂への分散性に優れ、加工性も良好な樹脂組成物とすることができる。また、該樹脂組成物を用いて形成されてなる成形体は、高い透明性を保持し、赤外遮蔽効果により日射遮蔽効果と温度低下効果を付与することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
《金属酸化物分散体》
本発明の金属酸化物分散体は、平均粒子径10~100nmの金属酸化物(A)、23℃で固体のワックス(B)、ガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂(C)を含む。このような金属酸化物分散体を用いることで、熱可塑性樹脂(D)と混合した場合に、安定性および加工性に優れたものとすることができる。
また、金属酸化物分散体は、必要に応じて他の任意成分を配合できる。他の任意成分は、例えば有機顔料や無機顔料、染料等の着色剤、ノニオン性やカチオン性、アニオン性界面活性剤等の帯電防止剤、脂肪酸アミドや金属石鹸等の滑剤、消泡剤、離型剤、ハロゲン系やリン系、金属酸化物等の難燃剤、フェノール系やリン酸系等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、体質顔料等の充填剤が挙げられる。他の任意成分の選択およびその使用量は、本実施形態の課題を解決できる範囲内であれば特に限定されず使用できる。
なお、熱可塑性樹脂(D)を含有する場合は、熱可塑性樹脂組成物に該当する。
<金属酸化物(A)>
本発明の金属酸化物(A)は、金属酸化物を核とし、平均粒子径が10~100nmの金属酸化物粒子である。より好ましくは、透明性の観点から、30~80nmである。
この範囲にあることで、本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体は、透明性に優れたものとすることができる。
なお、後述するように、金属酸化物(A)が、無機表面処理が施された金属酸化物である場合には、表面処理後の金属酸化物粒子の平均粒子径が、10~100nmである。
また、平均粒子径は、マイクロトラックを用いて測定することができる。
具体的には、例えば、1,1,2,2-テトラクロロエタン100重量部に対してフェノール100重量部を配合した溶液50mlに、金属酸化物(A)を含有してなる金属酸化物分散体0.5gを溶解することで遊離した金属酸化物(A)を、マイクロトラックMT3300EX(日機装社製)にて粒度分布を測定することで、平均粒子径(MN)が得られる。
金属酸化物形状は特に制限されないが球状、棒状、筒状、環状、板状、板状積層体、中空球状、ポーラス粒子などがあり、特に形状を変えることで新しい機能を発現しない限りは流動性に優れる球状であることが好ましい。
本発明の金属酸化物(A)は、二酸化チタン、過酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化銀、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第一コバルト、四三酸化コバルト、酸化第二コバルト、酸化第一ニッケル、酸化第二ニッケル、酸化トリウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、二酸化マンガン、三酸化マンガン、酸化セシウム、酸化ウラン、酸化トリウム、酸化ゲルマニウム、酸化第一錫、酸化第二錫、一酸化鉛、四三酸化鉛、二酸化鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三酸化ビスマス、酸化インジウム等が挙げられる。また、複合金属酸化物や天然鉱物などの金属酸化物を含む化合物も挙げられる。
これらは単独あるいは混合して使用することができる。
これらの中でも、赤外遮蔽効果に優れる点から、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化セシウム、または酸化タングステンが好ましい。
特に好ましくは、成形体の透明性に優れる点から、酸化インジウム、または酸化アンチモンである。
金属酸化物の製法としては、バルクの粒子を機械粉砕させる方法、高速気流中で衝突させる方法、熱分解法、アトマイズ法、スプレー法、コロイド法、均一沈殿法、アルコキシド法、水熱合成法、マイクロエマルション法、溶媒蒸発法、ゾルゲル法、レーザーアブレーション法、CVD法、PVD法などがあるがどの方法で作成された無機フィラーを使用しても構わない。
また、表面に無機表面処理が施された金属酸化物を用いることもできる。無機表面処理としては、酸化ケイ素などの金属酸化物で被覆する方法や、例えばAl、Mn、Cu、Zn、Zr、Ag、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の金属をドープさせる方法などが挙げられる。無機酸化物による表面処理は数種類のもので1層または何層か被覆しても構わないが、一般的には酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどで1または2層被覆される。特に樹脂での使用を考えると、酸化ケイ素または酸化アルミニウムによる表面処理が好ましい。また、金属をドープさせる方法はナノ粒子表面の活性を落とすのにも優れているが、新たな特性を付与する目的でも用いられる。例えば酸化亜鉛にアルミニウムをドープさせることで導電性を付与することが出来る。
金属酸化物(A)の含有量は、金属酸化物分散体100重量%中、10~90重量%であることが好ましく、40~60重量%であることがより好ましい。上記の範囲内であることで、金属酸化物の分散が容易となり、成形体における良好な外観や赤外遮蔽効果といった性能をより発現させることができる。
本発明の金属酸化物分散体は、このように金属酸化物を高濃度に含有する分散体であっても、23℃で固体のワックス(B)と、ガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂(C)とを含有することで、安定性に優れている。
そして、これを用いて得られる樹脂組成物とすることで、最終的な成形体も、ナノサイズの金属酸化物を、高濃度でありながら良好な分散状態で含有することができ、優れた透明性と赤外遮蔽効果を有することができる。
<23℃で固体のワックス(B)>
ワックス(B)は、23℃で固体のワックスである。
液状ワックスの場合、熱可塑性樹脂の粘度を下げることはできるが、ナノサイズの金属酸化物の粒子を用いた場合には凝集が起こり、分散体の安定性を得ることができない。
これに対し、ワックス(B)を用いることにより、ナノサイズの金属酸化物であっても、分散安定性が良好な金属分散体とすることができる。
ワックス(B)は、金属酸化物(A)との親和性の観点から、酸価が1~50mgKOH/gであることが好ましく、酸価1~30mgKOH/gであることがより好ましい。
また、滴点は、100℃以下であることが好ましく、滴点60~90℃であることがより好ましい。ワックスと金属酸化物の親和性が良くなることで分散性が良好となり、赤外遮蔽効果や透明性もより優れたものとすることができる。
ワックス(B)として具体的には、例えば天然ワックスと合成ワックスが挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばキャリデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろうなどの植物系ワックス、そして蜜蝋、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス、さらにモンタンワックス、オゾケライト、セレシンなどの鉱物系ワックス、またパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックスなどがあげられる。
合成ワックスには、半合成ワックスと全合成ワックスがある。半合成ワックスとは、天然ワックスまたはワックス様材料を、エステル化、アミド化、酸性ワックスの中和等の化学的処理により変性したものである。合成ワックスの例としてはポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリスチレン系ワックスなどの合成炭化水素、そして変性オレフィンワックスなどの変性ワックス、さらにジペンタエリトリトールヘキサステアレート、12-ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドなどの脂肪酸エステル、またステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、モンタン酸エステルワックスなどが挙げられる。
これらは単独あるいは混合して使用することができる。
これらの中でも、金属酸化物(A)の濡れ性を考慮すると天然ワックスを用いることが好ましく、天然ワックスの中でも鉱物系ワックスであることがより好ましく、さらに鉱物系ワックスの中でも、モンタンワックスを用いることがとくに好ましい。
金属酸化物(A)との濡れ性が良くなることで、金属酸化物分散体を熱可塑性樹脂(D)と混合してなる樹脂組成物の分散性がより良好となる。また樹脂組成物を用いて成形される成形体の透明性がより優れたものとなり、外観を向上させることができる。
ワックス(B)の含有量は、金属酸化物分散体100重量%中、0.1~30重量%であることが好ましく、6~15重量%であることがより好ましい。
また、ワックス(B)の配合量1重量部に対する金属酸化物(A)の配合量は、5重量部以上であることで、金属酸化物(A)の表面をワックスにより十分に覆うことができ、安定に分散することが出来るために好ましい。またワックス(B)の配合量が6重量部以上である場合、透明性がより優れた成形体を得ることが出来るためにより好ましい。
ワックス(B)の含有量がこの範囲にあることで、引張破壊点伸び率を評価した場合に、伸び率の低下が少なく、衝撃を加えた際に割れやヒビが出来にくくなる結果であった。
ワックス(B)は、熱可塑性樹脂と比較して耐熱性に乏しいため、成形体に多量に用いると機械強度等の物性を低下させる場合があるため、金属酸化物分散体中の含有量は、30重量%以下であることが好ましい。
<ガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂(C)>
ポリエステル樹脂(C)は、ガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂である。
好ましくはTgが10℃~75℃、より好ましくは40℃~75℃である。上記の範囲内にあることでワックス(B)との相溶性が良好となり、透明性に優れる。またワックス(B)と熱可塑性樹脂(D)の界面剥離を抑制することで成形体の強度が保持できると考えられる。
また、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計を用い、JIS K7121に従い求めることができる。
ポリエステル樹脂(C)は、金属酸化物(A)の熱可塑性樹脂(D)への分散性向上とワックス(B)の熱可塑性樹脂(D)への相溶性向上を目的として使用される。一方、金属酸化物(A)とワックス(B)と熱可塑性樹脂(D)のみで樹脂組成物を製造すると、ワックス(B)と熱可塑性樹脂(D)の相溶性が不十分であり、金属酸化物(A)とポリエステル樹脂(C)と熱可塑性樹脂(D)のみで樹脂組成物を製造すると金属酸化物の濡れが不十分であることから分散が悪いため、安定な樹脂組成物を形成することが困難である。
本発明の金属酸化物分散体は、ポリエステル樹脂のTgが低いことにより、低温域での流動性が高くなる部分が多くなり、より低温域に滴点を有するワックス(B)との相溶性が良好となる。また、本発明の樹脂組成物を製造する際、ポリエステル樹脂(C)は比較的金属への親和性が高いため、金属酸化物(B)と熱可塑性樹脂(D)の界面に偏在しやすい傾向にある。このことから、凝集した金属酸化物(A)がワックス(B)により解砕されたものが、ポリエステル樹脂(C)によりコーティングされていることで、再凝集を防ぐ効果があると考えられる。
ポリエステル樹脂(C)は、金属酸化物(A)および熱可塑性樹脂(D)との親和性の観点から、酸価が1~20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは酸価が3~20mgKOH/gであり、酸価6~15mgKOH/gがとくに好ましい。上記の範囲内にあることで、金属酸化物(A)の分散安定性を向上させる効果が得られると共に、熱可塑性樹脂(D)の分解を抑制し固有粘度(IV)を保持することで成形性がより良好となる。
ポリエステル樹脂(C)は、例えば、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体との縮合反応により得られるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸の縮合反応より得られるポリエステル、これらのポリエステルの混合物、及び混合物のエステル交換反応物等が挙げられるが、特に限定されず、上記のTgを満たすものであれば良い。
ポリエステル樹脂(C)の含有量は、金属酸化物分散体100重量%中、1~80重量%であることが好ましく、20~60重量%がより好ましい。上記の範囲にあることで、金属酸化物(A)を安定的に分散でき、成形体強度の低下を抑制することが可能である。
<金属酸化物分散体の製造方法>
金属酸化物分散体の製造方法は、金属酸化物(A)、ワックス(B)、ポリエステル樹脂(C)とを混合や溶融混合することで金属酸化物(A)を分散して製造することができる。
金属酸化物分散体は、例えば、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状として得ることができ、ペレット状が好ましい。
混合装置は、例えばヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を挙げることができる。本発明では均一な分散体を作製する観点から、回分式混練機を用いることが好ましい。
《樹脂組成物》
本発明の樹脂組成物は、金属酸化物粒子(A)と、熱可塑性樹脂(D)を含有する成形体を形成するための樹脂組成物であって、金属酸化物粒子分散液と、熱可塑性樹脂(D)を含有する。
樹脂組成物は、例えば、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状として得ることができ、ペレット状が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、金属酸化物粒子(A)を比較的高濃度に含有し、成形時に被成形樹脂(ベース樹脂)で希釈されるマスターバッチであっても良いし、金属酸化物分散体の濃度が比較的低く、被成形樹脂で希釈せずにそのままの組成で成形に供されるコンパウンドであっても良い。
このとき、具体的には、マスターバッチは、固有粘度の観点から熱可塑性樹脂(D)80重量%に対して、金属酸化物粒子(A)を0.05~30重量%配合することが好ましい。より好ましくは5~15重量%である。
この範囲にあることで、成形性がより良好となる。
金属酸化物粒子分散液と熱可塑性樹脂(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物であるコンパウンドを用いて、そのまま成形体を形成する場合、加工性と熱可塑性樹脂(D)の物性の点から、熱可塑性樹脂(D)80重量%に対して、金属酸化物粒子(A)を0.01~5重量%配合することが好ましい。より好ましくは0.05~1重量%である。
<熱可塑性樹脂(D)>
熱可塑性樹脂(D)は、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン・コポリマー(COC)、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。なかでもポリエステル樹脂、またはポリカーボネート樹脂が好ましい。ただし、熱可塑性樹脂(D)は、ガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂である場合は除く。
熱可塑性樹脂(D)の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アイオノマー樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、エチレンアクリル酸エチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・塩素化ポリスチレン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル・EPDM・スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、メタクリル樹脂、エチレン・メチルメタクリレートコポリマー樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ4フッ化エチレン樹脂、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂、4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、4フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂、ポリ3フッ化塩化エチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ナイロン4,6、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン12、ナイロン6,T、ナイロン9,T、芳香族ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン樹脂、ポリフロロアルコキシ樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、生分解樹脂、バイオマス樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂2種以上を共重合またはブレンドしたものであっても良い。
これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、非晶性コポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂もしくはポリカーボネート樹脂を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。
本発明においてポリエステル系樹脂は、特に限定されないが、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体との縮合反応により得られるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸の縮合反応より得られるポリエステル、これらのポリエステルの混合物、及び混合物のエステル交換反応物等があげられる。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートと、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートを含む芳香族ポリエステル樹脂;アジピン酸と1 , 4 - ブタンジオールとのポリエステル等の脂肪族ポリエステル樹脂;ジオール成分の一部をポリエチレングリコール等のアルキレングリコールに置換したポリエーテルエステル樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2-オキセタノン)等の生分解性脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の生分解性脂肪族芳香族コポリエステルが挙げられる。これらは単独でも複数種を併用することもできる。但し、本発明で用いられるポリエステル樹脂(C)に相当するものは含まず、また、本発明で用いられるポリエステル樹脂(C)よりガラス転移点が低い樹脂も含まない。本発明においてはポリアルキレンテレフタレートを用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。
本発明においてポリカーボネート樹脂は、二価フェノールより誘導される粘度平均分子量14,000~100,000、好ましくは18,000~40,000の芳香族ポリカーボネート樹脂であり、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法で反応させて製造される。二価フェノールの代表的な例としては2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAという)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロムフェニル)プロパン、2,2-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフォン等があげられる。好ましい二価フェノールはビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物であり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、ジアリールカーボネート、ハロホルメート等があげられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメートなどがあげられる。ポリカーボネート樹脂を製造するに当り、二価フェノールを単独で、又は二種以上を使用することができる。また、適当な分子量調節剤、分岐剤、反応を促進するための触媒等も使用でき、得られたポリカーボネート樹脂の二種以上を混合しても差支えない。
樹脂組成物100重量%中の配合量は、固有粘度の観点から、金属酸化物分散体1~40重量%、熱可塑性樹脂(D)60~99重量%であることが好ましい。より好ましくは、金属酸化物分散体10~30重量%、熱可塑性樹脂(D)70~90重量%である。金属酸化物分散体中に金属酸化物粒子を良好な分散状態で高濃度に含有することができるため、樹脂組成物中の金属酸化物粒子も高濃度にすることが出来る。
本発明の樹脂組成物における、金属酸化物(A)、ワックス(B)、ポリエステル樹脂(C)、熱可塑性樹脂(D)それぞれの含有量は、樹脂組成物100重量%中、金属酸化物(A)は、1~30重量%であることが好ましく、5~15重量%であることがより好ましい。
ワックス(B)は、0.1~10重量%であることが好ましく、0.1~5重量%であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂(C)は、1~20重量%であることが好ましく、5~15重量%であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂(D)は、40~97重量%であることが好ましく、65~95重量%であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて耐酸化安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤、結晶造核剤、樹脂充填材等を用いることができる。
<樹脂組成物の製造方法>
樹脂組成物の製造方法は、金属酸化物分散体と、熱可塑性樹脂(D)とを混合や溶融混合することで製造することができる。
樹脂組成物は、例えば、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状として得ることができ、ペレット状が好ましい。
混合装置は、例えばヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合しニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を挙げることができる。
これらの中でも、二軸押出機を用いるのが好ましい。
《成形体》
本発明の成形体は、前述した金属酸化物(A)を含有する樹脂組成物より形成される。
本発明の成形体は、樹脂組成物を、押出成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、トランスファー成形、フィルム成形、カレンダー成形、紡糸成形等のいずれかの成形方法で成形することにより得られるものである。
本発明において、ナノサイズの金属酸化物粒子(A)を高分散させた金属酸化物分散体を使用することで、樹脂組成物の安定性に優れ、従来よりも赤外遮蔽効果に優れる成形体を得ることができるため、赤外カットフィルター等の光学材、農業用フィルム等多くの要とに好適に使用できる。また、ナノサイズの金属酸化物粒子を高分散させたことにより引張り破壊点強度も向上した成形体が得られる。
次に、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、金属酸化物の平均粒子径、ワックスの滴点、ワックスもしくは樹脂の酸価、および樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定は、次の方法で行なった。
<平均粒子径の測定>
金属酸化物粉末を少量ビーカーにとり、0.02%ヘキサメタリン酸ソーダ溶液(50mL)を添加し、超音波分散を2分間実施して分散スラリーを作製し(装置:(株)日本精機製作所製ホモジナイザ、TIPφ20、OUTPUT:8、TUNING:5)、得られたスラリーの一部をレーザー回折粒度分布測定機(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300)を用いて粒度を測定した。この測定で得られた凝集粒度体積基準分布図から平均粒子径(D50)を求めた。
<酸価の測定>
三角フラスコ中に試料、約1gを精密に量り採り、蒸留水/ジオキサン(重量比:蒸留水/ジオキサン=1/9)混合液50mlを加えて溶解する。上記試料溶液に対して、電位差測定装置(京都電子工業株式会社製、装置名「電位差自動滴定装置 AT-710M」)を用いて、0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液(力価a)で滴定を行い、滴定終点までに必要な水酸化カリウム・エタノール溶液の量(b(mL))を測定した。乾燥状態の樹脂の値として、酸価(mgKOH/g)を次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の消費量(ml)
F:0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の力価
<滴点の測定>
滴点の測定は、ウベローデ(Ubbelohde)滴点計器を用いて、DIN 51801/2(℃)に従って求めた。
<Tgの測定方法>
JIS K7121に従い、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、DSC220)を用いて測定した。ポリエステル樹脂約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、昇温速度20℃/分で室温から300℃まで昇温した。得られたDSCデータより、補外ガラス転移開始温度を採用した。
続いて、樹脂組成物に使用した材料を以下に列挙する。
<金属酸化物>
(A-1):酸化インジウム錫(ITO、CIKナノテック社製、ITO-R、平均粒子径40nm)
(A-2):アンチモンドープ酸化錫(ATO、石原産業社製、SN-100P、平均粒子径64nm)
(A-3):セシウムドープ酸化タングステン(CWO、住友金属鉱山社製、YMDS-874、平均粒子径40nm)
Figure 0007139730000001
<ワックス>
(B-1):モンタンワックス(クラリアント社製、Licowax E、酸価:17mgKOH/g、滴点:81℃、23℃で固体)
(B-2):モンタンワックス(クラリアント社製、Licolub WE40、酸価:25mgKOH/g、滴点:79℃、23℃で固体)
(B-3):モンタンワックス(クラリアント社製、Licolub WM31、酸価:12mgKOH/g、滴点:74℃、23℃で固体)
(B-4):ポリオレフィンワックス(クラリアント社製、Licowax PED522、酸価:22mgKOH/g、滴点:98℃、23℃で固体)
(B-5):流動パラフィン(出光興産社製、ダフニーオイルCP 酸価:0mgKOH/g、滴点:-15℃、23℃で液体)
Figure 0007139730000002
<ポリエステル樹脂(C)>
(C-1)ポリエステル樹脂(三菱ケミカル社製、ダイアクロンER535、酸価:7mgKOH/g、Tg:60℃)
(C-2)ポリエステル樹脂(三菱ケミカル社製、ダイアクロンER502、酸価:12mgKOH/g、Tg:57℃)
(C-3)ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロン296、酸価:6mgKOH/g、Tg:71℃)
(C-4)ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロンGK360、酸価:5mgKOH/g、Tg:56℃)
(C-5)ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロンGK810、酸価:5mgKOH/g、Tg:46℃)
Figure 0007139730000003
<熱可塑性樹脂(D)>
(D-1)ポリエステル樹脂(三井化学社製、SA135、Tg:79℃、固有粘度η(a):0.83)
(D-2)ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロンS3000、固有粘度η(a):0.60)
(D-3)ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロンGK880、酸価:4mgKOH/g、Tg:84℃)
<実施例1>
[金属酸化物分散体の製造]
金属酸化物(A-1)が50重量%、ワックス(B-1)が10重量%、ポリエステル樹脂(C-1)が40重量%となるように、それぞれをスーパーミキサー(サンテック社製)に投入し、温度20℃、時間5分の条件で撹拌した後、温度100℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)にて溶融混練し、粉砕機(ホーライ社製)にて粉砕し粉体状の金属酸化物分散体(E-1)を得た。
[樹脂組成物の製造]
続いて、得られた金属酸化物分散体(E-1)が20重量%、熱可塑性樹脂(D-1)が80重量%となるように、スーパーミキサー(サンテック社製)に投入し、温度20℃、時間5分の条件で撹拌した後、温度280℃に設定した二軸押出機(日本プラコン社製)にて溶融混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
[成形体の製造]
得られた樹脂組成物と、熱可塑性樹脂(D-1)を成形後の金属酸化物の濃度が0.3重量%もしくは1.0重量%となるように混合し、280℃に設定した単層Tダイフィルム成形機(東洋精機社製)に投入して押出成形を行い、厚さ100μmのフィルム状成形体を得た。
<実施例2~13、比較例1~5>
実施例1の組成、および配合量(重量部)を表4~6に記載したように変更した以外は、実施例1と同様に行うことで、金属酸化物分散体、およびペレット状の樹脂組成物を作製し、実施例1と同様に成形体を成形した。
Figure 0007139730000004
Figure 0007139730000005
Figure 0007139730000006
[評価方法]
得られた樹脂組成物について、「分散性」および「固有粘度」を評価した。また得られた樹脂組成物を使用して成形した成形体について「赤外遮蔽効果」および「透明性」を評価した。その結果を表7に示す。
<分散性>
先端に目開き17μmの金網を装着したスクリュー径が20mmの300℃に設定した単軸押出機を用い、50g相当量の金属酸化物が金網を通過するように実施例1~10、12、13で得られた樹脂組成物では500g、実施例11で得られた樹脂組成物では250g、比較例1で得られた樹脂組成物では125g、比較例2~5で得られた樹脂組成物では500gをそれぞれ押し出した。樹脂組成物中の金属酸化物の分散が不十分の場合は押出に伴って、上記金網が目詰まりをきたす。そこで、押出初期における上記金網にかかる圧力と、50g相当量の金属酸化物を含有する樹脂組成物を押し出した時の上記金網にかかる圧力との差(押出機先端部の圧力上昇値)を求め、樹脂組成物中の金属酸化物の分散状態を評価した。
数値が小さいほど、分散性が良好であることを示す。以下の基準で分散性を評価した。好ましくは5.0MPa以下であり、より好ましくは1.0MPa以下である。なお評価基準△および○が実用レベルである。

○:1.0MPa未満。良好。
△:1.0MPa以上5.0MPa未満。実用可能。
×:5.0MPa以上。実用不可。
<固有粘度>
各樹脂組成物について、フェノール:テトラクロロエタン=50:50(質量比)の混合溶媒に溶解し、濃度0.5g/dlの溶液を調整しウベローデ粘度計を用いて測定を行った。固有粘度が高い程樹脂の分解が抑制され樹脂組成物の安定性が良好であることを表し、0.5以上である場合、とくに優れているといえる。
<赤外遮蔽効果>
得られたフィルム状成形体の下部に温度を検知するターゲットサンプルを配置し、フィルム状成形体の上部から赤外線ランプを照射し、30分後のターゲットサンプルの温度を測定した。30分後のターゲットサンプルの温度が低いほど赤外遮蔽効果が大きいことを表す。成形体中の金属酸化物濃度としては0.3重量%と1.0重量%の場合をそれぞれ評価した。また、フィルム状成形体の実用域としては、赤外線ランプを照射し、30分後のターゲットサンプルの温度が80℃以下である。
<透明性>
BYK Gardner社製の測定器「HAZE-GARD PLUS」を用いて、得られたフィルム状成形体のHAZEを測定した。成形体中の金属酸化物濃度としては0.3重量%を評価した。
数値が小さいほど、成形体の透明性が良好であることを示す。以下の基準で透明性を評価した。好ましくは10%未満であり、より好ましくは6%未満である。なお評価基準○および△が実用レベルである。

○:6%未満。良好。
△:6%以上10%未満。実用可能。
×:10%以上。実用不可。
<引張破壊点伸び率>
フィルム状成形体を2号ダンベル型に打抜いて試験片とした。引張り速度100mm/分の条件で、JIS K-7127に準じて、引張破壊点伸び率を測定した。試験前の試験片を伸び率100%とした。伸び率の低下が少ないほど、衝撃を加えた際に割れやヒビが出来にくくなる。実用可能域としては、70%以上である。
Figure 0007139730000007
の結果から、平均粒子径10~100nmの金属酸化物(A)、23℃で固体のワックス(B)およびガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂(C)を含む金属酸化物分散体を用いることで、樹脂組成物の分散性と固有粘度、及び樹脂組成物を使用した成形体の赤外遮蔽効果、透明性において良好な結果が得られることが確認できた。また、予想外の効果として成形体の引張破壊点強度も向上する結果が得られた。
また、金属酸化物含有量が、0.3重量%と1.0重量%である成形体の結果から、本発明の金属酸化物分散体を用いると、成形体の金属酸化物含有量が、0.3重量%といった低い含有量であっても、十分な赤外遮蔽効果を示していることが確認できた。
このように、ナノサイズの金属酸化物を用いても、樹脂への分散性に優れ、加工性も良好な樹脂組成物が得られ、該樹脂組成物を用いて形成されてなる成形体は、高い透明性を保持し、赤外遮蔽効果により日射遮蔽効果と温度低下効果を付与することができるものであった。

Claims (9)

  1. 平均粒子径10~100nmの金属酸化物(A)、23℃で固体のワックス(B)およびガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂(C)を含み、
    前記23℃で固体のワックス(B)は、酸価が1~30mgKOH/gであり、
    金属酸化物(A)の含有率は、金属酸化物分散体100重量%中、10~90重量%である、
    金属酸化物分散体。
  2. 前記金属酸化物(A)の金属は、錫、インジウム、アンチモン、セシウム、およびタングステンからなる群より選ばれるいずれか一種以上である、請求項1記載の金属酸化物分散体。
  3. 前記23℃で固体のワックス(B)は、滴点が100℃以下である、請求項1または2記載の金属酸化物分散体。
  4. 前記23℃で固体のワックス(B)は、モンタンワックスである、請求項1~3いずれか1項記載の金属酸化物分散体。
  5. 前記ガラス転移温度(Tg)が75℃以下であるポリエステル樹脂(C)は、酸価が1~20mgKOH/gである、請求項1~4いずれか1項記載の金属酸化物分散体。
  6. 請求項1~5いずれか1項記載の金属酸化物分散体、および熱可塑性樹脂(D)を含有する樹脂組成物。
  7. 前記金属酸化物分散体の含有量は1~40重量%であり、前記熱可塑性樹脂(D)の含有量は60~99重量である、請求項6記載の樹脂組成物。
  8. ペレット状である、請求項6または7記載の樹脂組成物。
  9. 請求項6~8いずれか1項記載の樹脂組成物より成形されてなる成形体。
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