JP2888721B2 - ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法

Info

Publication number
JP2888721B2
JP2888721B2 JP7354993A JP7354993A JP2888721B2 JP 2888721 B2 JP2888721 B2 JP 2888721B2 JP 7354993 A JP7354993 A JP 7354993A JP 7354993 A JP7354993 A JP 7354993A JP 2888721 B2 JP2888721 B2 JP 2888721B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flame retardant
resin
molding material
polycarbonate resin
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP7354993A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06287312A (ja
Inventor
康洋 門田
和明 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TSUTSUNAKA PURASUCHITSUKU KOGYO KK
Original Assignee
TSUTSUNAKA PURASUCHITSUKU KOGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TSUTSUNAKA PURASUCHITSUKU KOGYO KK filed Critical TSUTSUNAKA PURASUCHITSUKU KOGYO KK
Priority to JP7354993A priority Critical patent/JP2888721B2/ja
Publication of JPH06287312A publication Critical patent/JPH06287312A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2888721B2 publication Critical patent/JP2888721B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポリカーボネート樹
脂(以下、「PC樹脂」と称する)を主体とした樹脂成
形材料およびその製造方法、並びに樹脂成形品の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】PC樹脂は、優れた耐衝撃性、耐熱性、
耐湿性、透明性を有するエンジニアリングプラスチック
として広く使用されており、例えば、押出成形による建
築採光材、波板、道路の側壁遮蔽板等のほか、射出成形
による電気部品、機械部品等、さらにブロー成形による
飲料ボトル、タンク等として広く使用されている。
【0003】このようなPC樹脂成形品はそれ自体に自
消性を有しており、良好な難燃性を備えるものとして知
られているが、建築材料や電気部品材料等、厳しい温度
条件が課せられるものとして使用される場合には、一
層、難燃性を高める手段が必要となる。
【0004】従来、PC樹脂を難燃化する方法が多数提
案されており、その多くはPC樹脂に固形の難燃剤を添
加した樹脂組成物を成形材料とするものである。例えば
特公昭47−44537号公報に開示されるように、テ
トラブロモビスフェノールAのポリカーボネートオリゴ
マー等の難燃剤を添加する方法、特公昭60−1722
4号公報や、本発明者らが先に出願した特開平4−11
652号公報に開示されるように、有機ハロゲン化ビス
フェノール型エポキシ樹脂等の難燃剤を添加する方法の
ほか、特開昭52−54745号公報、特公昭57−4
3100号公報、特開昭52−65555号公報等に開
示されるように、有機スルホン酸のアルカリ金属塩等の
難燃剤を添加する方法等が開示されている。
【0005】ところが、このような方法に基づくPC樹
脂成形品においても、難燃性に関して、いまだ、改良の
余地は残されている。
【0006】そこで、近年になって、より一層、難燃性
を向上させるため、スルホン酸塩等の固形状の主難燃剤
と、さらに有機ポリシロキサン等の常温で液状の助難燃
剤とを添加したPC樹脂組成物を成形材料とするような
方法が、例えば特公昭60−38419号公報に開示さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法において、PC樹脂成形品を形成する場合、粉末状P
C樹脂と、固形の粉末状主難燃剤と、液状の助難燃剤と
を単に混合しただけの混合物を、直接、成形加工に供す
るようなことは行われない。
【0008】すなわち、粉末状主難燃剤は、粉末状PC
樹脂と比較すると、粒度分布が異なり、嵩比重も大きい
ため、これらの混合物を、直接、押出成形加工等に供し
ようとすると、混合物のホッパーへの投入時、あるいは
ホッパーからホッパーへの移送時に、粉末状主難燃剤が
粉末状PC樹脂から飛散する等して、分級してしまい、
混合状態が不均一となる。このため、ホッパー内部で成
形材料によるブリッジが発生して材料供給が不十分とな
ったり、押出スクリューの成形材料への食込みが不足し
て、時にはスクリューの空回りが発生し、良好な成形加
工を行えなくなるという問題が生じる。さらに成形材料
の混合状態が不均一であると、得られた成形品の成分分
布にも偏りが発生し、成形品の耐熱性、耐衝撃性が劣化
したり、これらの性質にばらつきが発生したりして、良
好な成形品を得ることができないという問題が生じる。
【0009】そこで、現状では、粉末状PC樹脂と粉末
状主難燃剤と液状助難燃剤との混合物を溶融混練してペ
レット化し、これを成形材料として成形加工に供するよ
うにしている。
【0010】しかしながら、このようなペレット状の成
形材料を得る場合、溶融混練工程において多大なエネル
ギーを必要とし、溶融混練時にPC樹脂等に熱履歴が加
わって、成形品の機械的強度等の物性を劣化させてしま
う等、良好な成形品を得ることが困難であるという問題
があった。
【0011】さらに、溶融混練時には多大な熱量が加わ
るため、溶融混練中に液状の助難燃剤は蒸発してしま
う。このため、蒸発減少分を考慮して、余分に助難燃剤
を添加する必要があり、コストの増大を来すという問題
も有していた。
【0012】この発明の第1の目的は、上記従来技術の
問題を解消し、直接、成形加工に供することが可能で、
その成形加工によって難燃性に優れた良好な成形品を得
ることができるとともに、コストも低減できるポリカー
ボネート樹脂成形材料を提供することである。
【0013】この発明の第2の目的は、上記第1の目的
を達成可能なポリカーボネート樹脂成形材料の製造方法
を提供することである。
【0014】この発明の第3の目的は、耐熱性に優れた
良好な成形品を得ることができるとともに、製造コスト
も低減できるポリカーボネート樹脂成形品の製造方法を
提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため、第1の発明のポリカーボネート樹脂成形材料
は、実質的にポリカーボネート樹脂からなるPC樹脂粉
粒体と、前記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全域を被覆
し、かつ融点が前記PC樹脂粉粒体の融点よりも低い主
難燃剤を主成分として形成され、液状の助難燃剤が含有
されたコーティング層と、を備えてなることを要旨とす
るものである。
【0016】この第1の発明においては、前記主難燃剤
は融点が230℃以下であるものが好ましい。
【0017】また、多くの場合、前記主難燃剤は、下記
一般式(I);
【化3】 で表されるハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂に
よって構成されるものからなっている。
【0018】さらに前記助難燃剤は、下記一般式(I
I);
【化4】 で表される有機ポリシロキサンによって構成されるもの
からなっている。
【0019】また、前記PC樹脂粉粒体は、その嵩密度
が0.4〜0.75g/mlで、かつ平均粒径が0.0
5〜3mmであるものが好ましい。
【0020】さらに、前記助難燃剤は、25℃における
粘度が5〜10000センチストークスで、かつ屈折率
が1.38〜1.52のものが好ましい。
【0021】上記第2の目的を達成するため、第2の発
明のポリカーボネート樹脂成形材料の製造方法は、実質
的にポリカーボネート樹脂からなるPC樹脂粉粒体と、
融点が前記PC樹脂粉粒体の融点よりも低い粉状ないし
は粒状の主難燃剤と、液状の助難燃剤とが配合された配
合物を加熱下に混合することにより、前記PC樹脂粉粒
体は実質的に溶融させない状態で、前記主難燃剤を軟化
ないしは溶融させるとともに、その主難燃剤と前記助難
燃剤とを混練して、その混練物をもって前記PC樹脂粉
粒体の外表面ほぼ全域を被覆する工程と、前記PC樹脂
粉粒体を被覆する層を固化して、コーティング層を形成
する工程と、を含んでなることを要旨とするものであ
る。
【0022】この第2の発明においては、前記配合物中
のPC樹脂粉粒体を100重量部としたとき、前記配合
物中の主難燃剤は1〜50重量部、助難燃剤は0.00
5〜2重量部に設定されてなるものが好ましい。
【0023】上記第3の目的を達成するため、第3の発
明のポリカーボネート樹脂成形品の製造方法は、実質的
にポリカーボネート樹脂からなるPC樹脂粉粒体と、前
記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全域を被覆し、かつ融点
が前記PC樹脂粉粒体の融点よりも低い主難燃剤を主成
分として形成され、液状の助難燃剤が含有されたコーテ
ィング層と、を備えてなるPC樹脂成形材料を、直接、
成形加工に供することにより、ポリカーボネート樹脂成
形品を得ることを要旨とするものである。
【0024】以下、本発明について詳細に説明する。
【0025】本発明の樹脂成形材料を形成するにあたっ
ては、PC樹脂粉粒体と、粉状ないしは粒状の主難燃剤
と、液状の助難燃剤と、必要に応じて主難燃剤および助
難燃剤以外の添加剤とを準備する。
【0026】<PC樹脂>本発明で使用されるPC樹脂
は、押出成形加工、射出成形加工、ブロー成形加工、圧
縮成形加工等の成形加工に供される一般的なPC樹脂を
使用できる。
【0027】このようなPC樹脂の製造方法は特に限定
されることはないが、一例を挙げると、塩化メチレンな
どの溶媒中において、公知の酸受容体や分子調節剤の存
在下、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート
前駆体とを直接反応させるホスゲン法、二価フェノール
とジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体
とをエステル交換反応させるエステル交換法等を例に挙
げることができる。
【0028】この場合、二価フェノールとして、具体的
には、ビスフェノールAと称される2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、等を挙
げることができるが、これらの二価フェノールの中で
も、特にビスフェノールAが好適に使用される。
【0029】これらの二価フェノールはそれぞれ単独で
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。
【0030】また、本発明では、多官能性芳香族化合物
を二価フェノールおよび/またはカーボネート前駆体と
反応させて成る熱可塑性ランダム分岐PC樹脂等の分岐
PC樹脂、さらに特開平4−226126号公報に開示
される脂肪セグメントを有するコーポリエステルPC樹
脂等のポリエステルPC樹脂等も使用できる。
【0031】さらに、PC樹脂は、単独で用いてもよい
し、2種以上のPC樹脂のブレンド物を用いてもよい。
【0032】本発明において、PC樹脂の重合度は、粘
土平均分子量で15,000以上50,000以下のも
のが使用され、特に20,000以上35,000以下
のものが好適に使用される。この分子量が15,000
に満たない場合には、得られた成形品の分子量が低く、
充分な衝撃強度が得られなくなったり、成形加工時の流
動性が高まり、押出成形時、射出成形時、ブロー成形時
等の成形加工時にドローダウンが多発し、成形加工を良
好に行えなくなり、好ましくない。逆に、粘土平均分子
量が50,000を越えると、PC樹脂の粘性が高ま
り、押出成形時、射出成形時、ブロー成形時等の成形加
工時にPC樹脂の機械的負荷が大きくなり、成形加工を
良好に行えなくなり、好ましくない。
【0033】本発明では、前記したPC樹脂からなる粉
状ないしは粒状の粉粒体が使用される。
【0034】このPC樹脂粉粒体の製法としては、例え
ばPC樹脂ペレットを、粉砕機で所定の粒径に粉砕する
方法等を例示することができる。
【0035】その他の粉粒状のPC樹脂の製法として
は、例えば特開平1−249834号公報、特開平2−
45536号公報、特開平4−292628号公報、お
よび特開平4−292628号公報等に開示されたもの
を使用することも可能である。
【0036】また、PC樹脂粉粒体の形態は、一般的に
は球形のものが好適に使用されるが、不定形であって
も、また実質的に多孔質であってもよく、特に限定され
るのものではない。
【0037】PC樹脂粉粒体は、平均粒径が、0.05
mm以上で3mm以下のものが使用でき、その中でも平
均粒径が0.1mm以上で1.8mm以下のものが好適
に使用される。平均粒径が0.05mmに満たないもの
を使用すると、後述する混合時に飛散により均一に混合
できなくなったり、場合によっては粉塵爆発の恐れもあ
り、好ましくない。また、平均粒径が3mmを越える
と、充分に分散させることができず混合が不十分とな
り、良好な成形品を得ることが困難となり、好ましくな
い。
【0038】PC樹脂粉粒体は、嵩密度が、0.4g/
ml以上で0.75g/ml以下のものを使用でき、そ
の中でも0.50g/ml以上で0.70g/ml以下
のものは好適に使用できる。嵩密度が0.4g/mlに
満たないと、運搬時や、投入量等の面で不利になり、さ
らに粉粒体内部および粉粒体間の空隙が大きく、混合時
の脱気を充分に行えず、均一な混合を行うのが困難とな
り、好ましくない。また、嵩密度が0.75g/mlを
越えるものは、工業的に製造するのが困難であり、好ま
しくない。
【0039】<主難燃剤>主難燃剤は、種々ものを使用
することができるが、本発明では、後述するようにPC
樹脂粉粒体は実質的に溶融させないで、主難燃剤を溶融
するものであるため、主難燃剤の融点は、PC樹脂粉粒
体のそれよりも低いものを使用する必要があり、好適に
はその温度差が50℃程度以上のものを使用することが
望まれる。
【0040】この場合、前記PC樹脂の融点が230℃
程度であることを考慮すれば、230℃以下の融点を有
する主難燃剤を好適に使用することができ、その中でも
特に180℃以下のものを使用するのが望ましい。
【0041】上記の条件を満たす主難燃剤としては、ハ
ロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂、およびそのよ
うなエポキシ樹脂の末端エポキシ基の一部ないしは全部
を封鎖したもの、すなわち、前記一般式(I)で表され
る化合物によって構成されるものを例示することができ
る。
【0042】上記一般式(I)中、「n」は平均重合度
を示しており、その平均重合度が0以上で10以下であ
ることが望ましい。平均重合度が10を越えると、PC
樹脂と配合した場合におけるPC樹脂への相溶性が劣
り、成形品が白濁して、透明性が損なわれたり、物性を
低下させたりするため、好ましくない。
【0043】なお、上式(I)で示される主難燃剤にお
いて、両末端基は必ずしもエポキシ基である必要はな
く、末端が変性されたものでもかまわない。
【0044】この種の主難燃剤は、例えば下に示すよう
な方法によって製造することができる。
【0045】すなわち、ハロゲン化ビスフェノールAと
エピクロルヒドリンとの縮合反応により製造する方法、
ハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルと
ハロゲン化ビスフェノールAとの反応により製造する方
法、末端をエポキシ基とした上記のハロゲン化ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂とトリブロモフェノール、ペンタ
ブロモフェノール、トリクロロフェノール、ジブロモク
レゾール、ジクロロクレゾールなどのハロゲン化フェノ
ール類とを塩基性触媒の存在下で加熱反応させる方法等
が挙げられる。
【0046】このような製造方法においては、反応温度
は、100℃以上で230℃以下が好ましく、特に12
0℃以上で200℃以下が好ましい。
【0047】また、その反応時の触媒としては、例えば
水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリブチ
ルアミン等の第三級アミン、テトラメチルアンモニウム
クロライド等の第四級アンモニウム塩類等を使用するこ
とができる。
【0048】ハロゲン化ビスフェノールAの具体例とし
ては、ジブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフ
ェノールA、ジクロロビスフェノールA、テトラクロロ
ビスフェノールA等がある。
【0049】なお、エポキシ樹脂主難燃剤は、平均重合
度(n)、ハロゲン化ビスフェノールのタイプ、末端基
の変性タイプによって、融点が変化するので、これらを
適切に設定し、融点を前記したように230℃以下、特
に180℃以下に設定することが望まれる。
【0050】参考までに、このような主難燃剤の市販品
としては、大日本インキ化学製のプラサームEP−1
6、EP−100、EC−14、EC−20、およびE
C−30、阪本薬品工業社製のSRT840、およびS
RT1000等を例に挙げることができる。
【0051】一方、主難燃剤をPC樹脂と配合する場合
には、粉末ないしは粒状のものが使用される。
【0052】粉末ないしは粒状の主難燃剤の粒径は、特
に限定されるものではないが、通常は平均粒径が0.0
5μm以上で2mm以下のものが使用され、好ましく
は、0.1mm以上で1mm以下のものが使用される。
平均粒径が0.05μmに満たないものは、工業的に製
造するのが困難であり、好ましくはない。また2mmを
越えるものは、後述する混合時に脱気や混合が充分に行
えず、好ましくはない。
【0053】なお、粉末状主難燃剤は、粒径が小さい場
合、その粒子、つまり一次粒子が凝集して粒径の大きい
二次粒子となって存在することがあるが、このような場
合には、二次粒子の粒径が上記規定範囲内に含まれてい
れば、本発明において良好に使用することができる。
【0054】また逆に、二次粒子の粒径が上記規定範囲
を越えるものについては、後に詳述する混合工程におい
て、粉砕されて細かい一次粒子となって、その粒径が上
記規定範囲内に含まれるようなものであれば、本発明に
おいて良好に使用することができる。
【0055】<助難燃剤>本発明においては、上記主難
燃剤に加えて、液状の助難燃剤が使用される。助難燃剤
としては種々のものを使用することができるが、PC樹
脂に対する相溶性や分散性が良好であること、衝撃強度
や透明性に優れていること、等を考慮すると、有機ポリ
シロキサンからなるものが好適に使用することができ
る。
【0056】有機ポリシロキサンは、前記一般式(II)
で示される構造単位の繰り返しによって構成される重合
体であるが、その重合体の末端あるいは分子鎖中に、エ
ポキシ基、水素基、アルコキシル基あるいはビニル基等
を導入したものも含まれる。
【0057】有機ポリシロキサンは、1.38〜1.5
2の屈折率を有しているが、この中でもPC樹脂の屈折
率(1.56)に近似しているものほど、助難燃剤とし
て好適に使用することができる。
【0058】また、有機ポリシロキサンは、25℃での
粘度が5〜10000センチストークス(cst)のも
のであれば使用することができるが、中でも特に10〜
1000cstのものは好適に使用することができる。
25℃での粘度が5cst未満のものは分子量が低く、
有機ポリシロキサン自体の耐熱性が劣化し、ひいては成
形品自体の耐熱性が劣化して好ましくない。また、10
000cstを越えるものを使用すると、PC樹脂への
分散性が劣化して、成形品の透明性が損なわれるので好
ましくない。
【0059】有機ポリシロキサンの具体例としては、ジ
メチルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロ
キサン、両末端メチルハイドロジエンポリシロキサン、
メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性シリコー
ン、アミノ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコー
ン、エポキシ変性シリコーン、ビニル基変性シリコー
ン、高級脂肪酸変性シリコーン、等が挙げられる。
【0060】このような有機ポリシロキサンの中でも、
25℃での粘度が20〜500cstのメチルフェニル
ポリシロキサンは、屈折率がPC樹脂のそれに近似して
おり、PC樹脂に対する相溶性や分散性も良好であり、
かつ衝撃強度や透明性にも優れているので、助難燃剤と
して特に好適に使用することができる。
【0061】<その他の添加剤>本発明においては、上
記した主難燃剤および助難燃剤のほかに、必要に応じ
て、適当な添加剤を配合してもよい。
【0062】添加剤は、一般のプラスチック成形技術分
野で使用されるものを使用することができるが、本発明
では、後述するようにPC樹脂粉粒体は実質的に溶融さ
せないで、主難燃剤および添加剤を溶融して、PC樹脂
粉粒体の表面にコーティング層を形成するものであるた
め、添加剤は、主難燃剤と同様、融点が、前記PC樹脂
粉粒体の融点よりも低いものを使用する必要があり、好
適にはその温度差が50℃程度以上のものを使用するこ
とが望まれる。この場合にも、上記主難燃剤と同様、融
点が230℃以下、特に180℃以下の添加剤は好適に
使用することができる。
【0063】上記の条件を満たす添加剤としては、以下
に詳述するような紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤と
しての滑剤、防曇剤を含む帯電防止剤等を例示すること
ができる。
【0064】<紫外線吸収剤>紫外線吸収剤は、周知の
プラスチック成形技術分野で一般的に使用される紫外線
吸収剤であり、特に限定されることはないが、例えばベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫
外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ヒンダード
アミン系紫外線吸収剤などを例に挙げることができる。
【0065】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の代表
的なものとしては、具体的に、2−(2−ヒドロキシ−
5−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2
−ヒドロキシ−3−5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブ
チル−5−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ジ−t−ブ
チル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチル−フェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ジ
−t−アミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6,−テトラ−
ヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルーフェニ
ル]−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス−
[4−(1,1,3,3,−テトラメチル)−6−(2
N−ベエゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2
−[2−ヒドロキシ−3−5−ビス(α,α,−ジメチ
ルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
フェノール−2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−(1,1−ジエチルネチル)−6、などを例
示することができる。
【0066】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の代表的な
ものとしては、具体的に、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−
5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−
オクトキシ、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベ
ンゾフェノン、2,2,4,4−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−
2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドレイト
ベンゾフェノン、などを例示することができる。
【0067】サリシレート系紫外線吸収剤の代表的なも
のとしては、具体的に、フェニルサリシレート、4−t
−ブチルフェニルサリシレート、4−t−オクチルフェ
ニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエー
ト、などを例示することができる。
【0068】ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の代表的
なものとしては、具体的に、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバゲート、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペジル)−2−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシペンジル)
−2−N−ブチルマロネート、[4−(4−ヒドロキシ
−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]−
N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニ
ル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−
1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステ
ル、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキ
シレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペジル)、などを例示することができる。
【0069】<酸化防止剤>酸化防止剤は、周知のプラ
スチック成形技術分野で一般的に使用される酸化防止剤
であり、特に限定されることはないが、例えばヒンダー
ドフェノール系安定剤、有機チオエーテル系安定剤、有
機ホスファイト系安定剤、などを例に挙げることができ
る。
【0070】ヒンダードフェノール系安定剤の代表的な
ものとしては、具体的に、n−オクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4
−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,
6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノー
ル、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ)−1,1−ジ−メチルエチル]−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、などを
例示することができる。
【0071】有機チオエーテル系安定剤としては、具体
的に、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジ
ミリスチル−3,3−チオジプロピオネート、ジステア
リル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリ
トールテトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネー
ト)、などを例示することができる。
【0072】有機ホスファイト系安定剤の代表的なもの
としては、具体的に、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステ
アリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テ
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4−4
−ビフェニレンジホスファイト、2,2−エチリデンビ
ス(4,4−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホス
ファイト、サイクロ−ネオペンタン−テトライルビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル−ホスファイト)、
サイクロ−ネオペンタン−テトライルビス(2,6−ジ
−t−ブチル−4−メチルフェニル−ホスファイト)、
などを例示することができる。
【0073】<滑剤>滑剤は、周知のプラスチック成形
技術分野で一般的に使用される滑剤、離型剤であり、特
に限定されることはないが、炭化水素系、脂肪酸系、脂
肪酸アミド系、アルコール系、脂肪酸エステル系、天然
ワックス系のものを例に挙げることができる。
【0074】炭化水素系の代表的なものとして、具体的
には、パラフィンワックスおよびマイクロワックス等の
合成パラフィン、低分子量ポリエチレンワックス等の炭
化水素系ワックス類、などを例示することができる。
【0075】脂肪酸系のものとしては、飽和脂肪酸で炭
素数が10以上で30以下のものであれば使用でき、こ
の範囲の中でも16以上で20以下のものは好適に使用
でき、その代表的なものとして、具体的には、ステアリ
ン酸、パルチミン酸、およびベヘン酸等の高級脂肪酸、
ヒドロキシステアリン酸およびヒドロキシパルチミン酸
等のオキシ脂肪酸、などを例示することができる。
【0076】脂肪酸アミド系の代表的なものとして、具
体的には、ステアリン酸アミド、およびエチレンビスス
テアロアミド等の脂肪酸アミドを例示することができ
る。
【0077】アルコール系の代表的なものとして、具体
的には、ステアリルアルコール、およびセチルアルコー
ル等の脂肪族アルコール類などを例示することができ
る。
【0078】脂肪酸エステル系のものとして、具体的に
は、ステアリリルステアレート等の高級アルコール脂肪
酸エステル、プロピレングリコールモノステアレート、
プロピレングリコールモノパルミテート、およびプロピ
レングリコールモノベヘネート等のモノグリセライド、
グリセリンモノ・ジパルミテート、グリセリンモノ・ジ
ステアレート、およびグリセリンジ・トリステアレート
等のモノ・ジグリセライド、ソルビタンパルミテート、
ソルビタンステアレート、ソルビタントリステアレー
ト、ソルビタンベヘネート、およびソルビタントリベヘ
ネート等のソルビタン脂肪酸エステル、エチレングリコ
ールとモンタン酸とのエステル、およびグリセリンとモ
ンタン酸とのエステル等のモンタン酸のエステル類、ペ
ンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリス
リトールトリステアレート、ソルビトールトリステアレ
ート、およびソルビトールトリベヘネート等の多価アル
コール脂肪酸エステル類、などを例示することができ
る。
【0079】天然ワックス系の代表的なものとして、具
体的には、蜜ロウ、カルナウバワックス等の天然ワック
ス類、などを例示することができる。
【0080】<帯電防止剤>帯電防止剤は、周知のプラ
スチック成形技術分野で一般的に使用される帯電防止剤
であり、特に限定されることはないが、上記のソルビタ
ン脂肪酸エステル類、上記のモノグリセライド類は帯電
防止剤としての作用も果たすので、これらを例示するこ
とができる。
【0081】その他の帯電防止剤としては、高重合度の
ジグリセリンステアレート等のポリグリセリン、ポリオ
キシエチレングリセリンモノステアレート等のエチレン
オキサイド付加物、などを例示することができる。
【0082】本発明では、上記した添加剤を配合する場
合に、粉末ないしは粒状のものを使用することとなる。
【0083】添加剤の粒径は、上記主難燃剤と同様で、
平均粒径が0.05μm以上で2mm以下のものが使用
され、好ましくは、0.1mm以上で1mm以下のもの
が使用される。
【0084】また、添加剤は、主難燃剤と同様、一次粒
子および二次粒子のいずれでも、上記の規定範囲内に含
まれるようなものであれば、本発明においては良好に使
用することができる。
【0085】<配合>本発明において、前記したPC樹
脂粉粒体と、粉末状の主難燃剤と、液状の助難燃剤と、
さらに必要に応じて添加剤とが配合された配合物を用い
て、PC樹脂成形材料を形成するものである。
【0086】配合される主難燃剤、助難燃剤、および添
加剤は、それぞれ必ずしも1種類のもので構成されてい
る必要はなく、それぞれ2種以上のもので構成されてい
てもよい。
【0087】主難燃剤の配合量は、助難燃剤や添加剤の
配合量や、所望する難燃性の程度によって種々定められ
ることとなるが、PC樹脂粉粒体100重量部に対し、
1重量部以上で50重量部以下に設定するのが好まし
く、さらに好適には3重量部以上で30重量部以下に設
定するのが良い。
【0088】主難燃剤の配合量が、1重量部に満たない
と、充分な難燃効果は得られず、好ましくない。また5
0重量部を越えると、配合量に見合うだけの難燃効果が
得られないばかりか、PC樹脂の含有量が相対的に少な
くなるので、PC樹脂の優れた物性、例えば高い強度、
良好な耐衝撃性、良好な耐熱性を著しく低下させること
となり、好ましくはない。
【0089】助難燃剤の配合量は、主難燃剤および添加
剤の配合量、および主難燃剤の構成成分によって種々定
めらることとなるが、PC樹脂100重量部に対し、
0.005以上で2重量部以下に設定するのが好まし
く、さらに好適には、0.01以上で1重量部以下に設
定するのが良い。
【0090】0.005重量部に満たないと、助難燃剤
としての作用が果たされず、好ましくない。また、2重
量部を越えると、配合量に見合うだけの難燃効果が得ら
れないばかりか、所望の成形材料を形成することができ
なくなってしまう。
【0091】添加剤の配合量は、必要に応じて適宜定め
られるが、PC樹脂100重量部に対し、5重量部以下
に設定するのが好ましく、特に添加剤と主難燃剤と助難
燃剤との総合計が50重量部以下に設定されるのが良
い。
【0092】<配合物の混合>本発明では、上記配合物
を、加熱混合することにより、PC樹脂粉粒体は実質的
に溶融させない状態で、主難燃剤および添加剤を軟化な
いしは溶融させて、それらと助難燃剤とを混練させ、そ
の混練物をもってPC樹脂粉粒体の外表面全域を被覆す
るコーティング層を形成するものである。
【0093】配合物の混合は、PC樹脂の融点よりも低
く、かつ主難燃剤および添加剤の融点よりも高い温度環
境下で行うことが望まれるが、PC樹脂粉粒体を実質的
に溶融させなければ、本発明のPC樹脂成形材料を得る
ことが可能であるため、配合物混合時において、PC樹
脂粉粒体が実質的に溶融しない程度の短時間であれば、
PC樹脂の融点よりも高くなっても、本発明において何
等支障はない。
【0094】また、PC樹脂粉粒体は実施的に溶融しな
ければ所望の成形材料を得ることが可能であるため、配
合物混合時にPC樹脂粉粒体は軟化してもよく、さらに
PC樹脂粉粒体の外表面部のみが部分的に溶融しても本
発明において支障はない。むしろ本発明においては、後
に詳述するように、PC樹脂粉粒体の表面部のみを軟化
ないしは溶融させるようにすれば、その軟化ないしは溶
融した部分と、溶融混練した主難燃剤、助難燃剤および
添加剤とが相互に融合されて相溶層が形成され、その相
溶層により、主難燃剤等からなるコーティング層をPC
樹脂粉粒体に強固に固着することが可能となり、好まし
いものとなる。
【0095】配合物の混合を好適に行う場合の温度条件
としては、180℃程度に設定するのが望まれ、その中
でも特に160℃程度に設定するのが良い。
【0096】混合に使用される混合機としては、配合
物、つまり内容物を加熱できるジャケット(外套)を備
え、高速流動可能な攪拌機付混合機であれば好適に使用
できる。
【0097】混合機は通常のプラスチック成形技術分野
で使用されているが、参考までに具体例を挙げておく
と、ヘンシェルミキサー(川田製作所製)、スーパーミ
キサー(三井三池製作所製)等の混合機がある。
【0098】そして、実際の混合は以下のようにして行
われる 混合機のジャケットを熱水もしくは蒸気であらかじめ所
定の温度に保持しておき、上記の配合物をそれぞれ混合
機内に投入する。
【0099】この場合、配合物の投入順序や、投入タイ
ミングは特に限定されるものではない。
【0100】つづいて、混合機内に投入された配合物に
対し、必要に応じて周速14m/s程度の低速回転で攪
拌を行った後、周速44m/s程度の高速回転で強制的
に攪拌を行って、この攪拌に伴う摩擦熱によって内容物
の温度を次第に上昇させる。
【0101】なお、内容物の温度上昇率は、混合機の容
量に対する配合物の投入量や、混合機の構造、特に攪拌
羽の構造、攪拌時の回転数等によって変化するものであ
り、所定値に定められるものではない。したがって、内
容物の温度上昇率は、さほど重要視する必要はない。
【0102】前記攪拌によって配合物の温度が上昇して
いくと、融点の低いものから順に、主難燃剤および添加
剤が徐々に軟化していき、ロウ状ないしは液状となる。
【0103】そしてこのロウ状ないしは液状の主難燃剤
および添加剤と、液状の助難燃剤とが相互に混練され
て、この混練物がPC樹脂粉粒体の外表面全域に行き渡
っていく。
【0104】この段階では、PC樹脂粉粒体は、軟化せ
ず固形状態を保っているが、前記ロウ状ないしは液状の
混練物が、PC樹脂粉粒体の結合剤としての作用を果た
し、PC樹脂粉粒体を互いに凝集させて飛散を防止する
こととなる。
【0105】さらに攪拌をつづけて、内容物の温度がP
C樹脂の軟化点付近まで達すると、PC樹脂粉粒体の表
面部のみが部分的に軟化ないしは溶融し、その表面に粘
着性が生じてくる。
【0106】そして、図1に示すように、表面部のみが
部分的に軟化ないしは溶融したPC樹脂粉粒体(1)の
その表面部と、液状ないしはロウ状となった前記混練物
とが相互に融合し合って相溶層(3)が形成され、その
相溶層(3)を介してPC樹脂粉粒体(1)の外表面全
域に、主難燃剤、助難燃剤および添加剤からなるコーテ
ィング層(2)が形成される。
【0107】この段階まで攪拌が進むと、混合機内の内
容物、つまり樹脂組成物は、その各粒子が互いに凝集す
ることにより、樹脂組成物全体が弱く凝集し合ったブロ
ック体となり、攪拌に対する動きが緩慢となる。
【0108】つづいて、混合機を周速14m/s程度の
低速回転に切り替えるとともに、ジャケットを冷却し、
これにより樹脂組成物を冷却しながら攪拌する。そし
て、弱く凝集しあった樹脂組成物を粉砕切断して、数百
μm〜数cmの大きさの樹脂組成物、つまり本発明のP
C樹脂成形材料を形成する。
【0109】なお、樹脂組成物を冷却する場合、樹脂組
成物を、別途設置したクーリングミキサーに移送し、上
記と同様に、低速回転で混合攪拌を行なうようにしても
よい。
【0110】ところで、樹脂組成物の高速回転での攪拌
から低速回転での攪拌に切り替える場合の判断基準とし
ては、樹脂組成物の粒子が互いに凝集して、樹脂組成物
全体が弱く凝集しあったブロック体となっているものと
判別できる場合には、低速での攪拌に切り替えることと
なり、また樹脂組成物全体が、いまだブロック凝集体と
なっていないものと判別できる場合には、高速回転での
攪拌を継続することとなる。
【0111】また、この切替時点は、特定点に定められ
ているものではなく、融通性を有している。例えば、配
合物の種類や、配合物の全体量によって変化する。この
ため、上記したような判断基準を目安にして運転を切り
替えるようにすれば、良好なPC樹脂成形材料を得るこ
とが可能となる。
【0112】もっとも、切替時点の判断を多少誤ったと
しても、本発明の効果が得られないというものではな
い。すなわち、低速回転に切り替えた後、内容物の混合
攪拌が不十分であると認められた場合には、再度内容物
を高速回転で攪拌し、所望の樹脂組成物を形成するよう
にすればよい。逆に、過度に攪拌が行われた場合でも、
従来の溶融混練して得られるペレット状の成形材料と比
較すると、本発明によるPC樹脂成形材料は熱履歴が少
ないため、分子量の低下も少なく、物性がさほど低下す
るようなことはない。
【0113】また、本発明においては、PC樹脂成形材
料に、図1に示すようにPC樹脂粉粒体(1)とコーテ
ィング層(2)と間に、相溶層(3)を、必ずしも形成
する必要はない。
【0114】すなわち、PC樹脂粉粒体の表面部のみを
部分的に軟化ないしは溶融させることなく、例えばPC
樹脂粉粒体の軟化点よりも低い温度環境下において、上
記の配合を行うような場合には、相溶層(3)は形成さ
れず、PC樹脂粉粒体に、直接、難燃剤、助難燃剤およ
び添加剤からなるコーティング層が形成されることとな
り、そのような場合においても、本発明のPC樹脂成形
材料として好適に使用することができるものである。
【0115】<樹脂成形品の製法>上述したようにして
得られた樹脂組成物は、そのまま、PC樹脂成形材料と
して使用することが可能である。すなわち、従来例のよ
うに溶融混練してペレット状に形成するようなペレット
化工程を経ることなく、上記樹脂組成物を、直接、押出
成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形等の従来周知の
成形加工に供して、PC樹脂成形品を得ることとなる。
【0116】例えば、上記の樹脂組成物をPC樹脂成形
材料として用い、押出成形を行って、建築採光材、波
板、道路の側壁遮蔽板等の成形品を形成したり、射出成
形を行って、電気部品、機械部品等の成形品を形成した
り、さらにブロー成形を行って、飲料ボトル、タンク等
の成形品を形成するものである。
【0117】なお、このような成形加工においては、上
記樹脂組成物に、従来周知の配合剤を配合して、成形材
料として用いてもよい。
【0118】例えばPC樹脂以外で高分子物質の配合剤
として、具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロ
ピレン(PP)、ポリエチレンおよびポリプロピレンの
変性オレフィン樹脂、ポリスチレン(PS)、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体(AN)、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、および
メチルアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体
(MBS)などのスチレン系樹脂、各種のアクリル酸エ
ステル系グラフト弾性重合体成分、メチルメタクリレー
ト(MMA)、およびメチルメタクリレート−スチレン
共重合体(MS)などのアクリル系樹脂、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフ
タレート(PBT)などのポリエステル系樹脂、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹
脂、などを例示することができる。
【0119】また、上記添加剤以外で通常添加される配
合剤としては、上記以外のブロッキング防止剤、有機な
いし無機系着色剤、シリコンオイル、天然ないし合成
油、有機ないし無機系充填剤等の粉末もしくは液状の配
合剤、などを例示することができ、これらの配合剤を必
要に応じて、適当量を配合するようにしてもよい。
【0120】
【実施例】次に、本発明に関連した実施例、その実施例
の効果を導出するために行われた比較例、および従来例
に関連した参考例について説明する。
【0121】まず実施例、比較例および参考例で使用さ
れた原料について説明する。
【0122】
【表1】 表1に示すように、PC樹脂粉粒体としては、(A1)
〜(A4)の4種類のものを使用した。PC樹脂粉粒体
(A1)としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、具体
的には粘度平均分子量が26,500の粉末樹脂(三菱
化成社製、ノバレレックス7027PUX)を使用し、
PC樹脂粉粒体(A2)としては、芳香族ポリカーボネ
ート樹脂、具体的には粘度平均分子量22,000の粉
末樹脂(出光石油化学社製、タフロン IV−220
0)を使用し、PC樹脂粉粒体(A3)としては、芳香
族ポリカーボネート樹脂、具体的には粘度平均分子量3
0,000の粉末樹脂(出光石油化学社製、タフロン
IV−3000)を使用し、PC樹脂粉粒体(A4)と
しては、ポリエステルポリカーボネート樹脂、具体的に
は粘度平均分子量26,000のペレット樹脂の粉砕品
(GE社製、レキサンSP−1310)を使用した。
【0123】主難燃剤としては、実施例で使用されるも
の(B1)〜(B4)と、比較例で使用されるもの(比
B1)および(比B2)との計6種類のものを使用し
た。
【0124】このうち、主難燃剤(B1)としては、下
記一般式(I−1)で示され、臭素含有率が58%で、
同式中のnは0.5である末端変性のハロゲン化ビス
フェノール型エポキシ樹脂を使用した。
【0125】
【化5】 主難燃剤(B2)としては、上記一般式(I−1)で示
され、臭素含有率が55%で、同式中のnは4.5で
ある末端変性のハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹
脂を使用した。
【0126】主難燃剤(B3)としては、下記一般式
(I−2)で示され、臭素含有率が50%で、同式中の
は1.6であるの末端エポキシ基のハロゲン化ビス
フェノール型エポキシ樹脂を使用した。
【0127】
【化6】 主難燃剤(B4)としては、上記一般式(I−2)で示
され、臭素含有率が52%で、同式中のnは5.2で
ある末端エポキシ基のハロゲン化ビスフェノール型エポ
キシ樹脂を使用した。
【0128】主難燃剤(比B1)としては、上記一般式
(I−1)で示され、臭素含有率が53%で、同式中の
は11.2である末端変性のハロゲン化ビスフェノ
ール型エポキシ樹脂を使用した。
【0129】主難燃剤(比B2)としては、上記一般式
(I−2)で示され、臭素含有率が52%で、同式中の
は15である末端エポキシ基のハロゲン化ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂を使用した。
【0130】助難燃剤としては、実施例で使用されるも
の(C1)〜(C3)と、比較例で使用されるもの(比
C1)との計3種類のものを使用した。
【0131】このうち、助難燃剤(C1)としては、下
記一般式(II−1)で示され、屈折率が1.490で、
25℃における粘度が22cstである有機ポリシロキ
サン、すなわちメチルフェニルポリシロキサンを使用し
た。
【0132】
【化7】 助難燃剤(C2)としては、下記一般式(II−2)で示
され、屈折率が1.404で、25℃における粘度が1
000cstである有機ポリシロキサン、すなわちジメ
チルポリシロキサンを使用した。
【0133】
【化8】 助難燃剤(比C1)としては、上記一般式(II−2)で
示され、屈折率が1.404で、25℃における粘度が
60000cstである有機ポリシロキサンすなわちジ
メチルポリシロキサンを使用した。
【0134】他の添加剤としては、紫外線吸収剤(D
1)、酸化防止剤(D2)および滑剤(D3)を使用し
た。このうち、紫外線吸収剤(D1)としては、ベンゾ
トリアゾール系のもの、具体的には2−(2−ヒドロキ
シ−5−t−オクチル−フェニル)ベンゾトリアゾール
を使用し、酸化防止剤(D2)としては、リン系のも
の、具体的には、トリス(2,4−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイトを使用した。
【0135】滑剤(D3)としては、グリセリンモノス
テアレートを使用した。
【0136】<実施例1> [a.成形材料の製造]下記の原料を準備した。
【0137】 PC樹脂粉末(A1) …25kg(100重量部) 粉末状の主難燃剤(B1)…1.5kg(6重量部) 液状の助難燃剤(C1) …12.5g(0.05重量
部) そして、容量が100リッターのジャケット付スーパー
ミキサー(川田製作所製)のジャケット部に温水を通し
て、ジャケット温度を40℃に設定しておき、そのミキ
サーに、上記の各原料を同時に投入し、その配合物を、
まず回転速度500rpmの低速運転で、3分間混合し
た。このとき、配合物は充分に混合されておらず、飛散
した状態であった。
【0138】次に、回転速度1600rpmの高速運転
に切り替えて、強制的に攪拌を行った。この攪拌を継続
していくと、配合物の温度が次第に上昇し、主難燃剤が
徐々に軟化して、PC樹脂粉粒体が凝集していき、飛散
がなくなり流動状態となってきた。
【0139】さらに同じ条件で攪拌を継続していくと、
配合物(内容物)の動きが緩慢となって、弱く凝集した
ブロック体が部分的に形成され、やがて、内容物全体が
ブロック状に形成されてきた。このとき内容物全体が粘
着性表面であることを観察できた。
【0140】さらに攪拌を継続すると、今度はブロック
状態がくずれて、徐々に流動性が増してきた。
【0141】そして、しばらくすると、内容物の動きが
一定になった。その時の内容物の温度(最高温度)は、
165℃に達しており、また攪拌開始からこの時点まで
の所用時間は約11分であった。
【0142】次に、混合機のジャケット部を冷却水で冷
却しながら、回転速度500rpmの低速運転で攪拌を
行って、樹脂組成物の温度を40℃まで冷却した後、樹
脂組成物を混合機から取り出した。このとき、混合機の
内壁には、樹脂組成物のこびり物や、付着物は認められ
なかった。
【0143】また、混合機から取出された樹脂組成物
は、弱く凝集したブロック体が粉砕切断されており、サ
ラサラした粒状の粒子となっていた。
【0144】この粒状の樹脂組成物は、主難燃剤からな
るコーティング層がPC樹脂粉粒体の外表面全域に形成
され、コーティング層中に助難燃剤が含有されたもので
あり、その粒状の樹脂組成物を手のひらに載せて強くこ
すっても、コーティング層が剥離して手のひらに付着す
るようなことはなく、コーティング層がPC樹脂粉粒体
に強固に固着しているのが確認できた。
【0145】またこの粒状の樹脂組成物を、ポリエチレ
ン製の袋に収容して、激しく振り回したが、ポリエチレ
ン製袋の内面に、微粉粒子が付着するようなことは認め
られず、この点からも、添加剤からなるコーティング層
がPC樹脂粉粒体に強固に固着しているのが確認でき
た。
【0146】[b.成形品の製造]上述のようにして得
られた粒状の樹脂組成物を、樹脂成形材料として用い、
下記のように成形加工を行った。
【0147】すなわち、一軸〜ベント付き、径が50m
m、長さと径の比が32(L/D=32)の押出成形機
に、前記粒状の樹脂組成物を、直接投入して、280℃
の樹脂温度で成形加工を行い、厚さ1.5mmと3mm
の板状の成形品をそれぞれ製造した。
【0148】この成形加工時において、樹脂成形材料の
押出スクリューへの噛み込みや、食い込みは良好に行わ
れ、押出負荷の変動も認められず、しかも脈動も少な
く、安定した状態で成形加工することができた。
【0149】また、得られた成形品を観察したところ、
有害な焼けやブレードの発生等が認められず、さらに透
明性、分散性等も良好であった。
【0150】つづいて、成形品のうち、3mm板のアイ
ゾット強度(ASTM D256、Vノッチ付き)を測
定したところ、50kg−cm/cm以上の衝撃値を有
しており、高い衝撃強度を備えていることが認められ
た。
【0151】また、1.5mm板から規定サイズのサン
プルを5個採取し、UL94(Under writers Labolato
ris,Inc.の難燃基準)に基づいて、難燃性に関する評価
を行った。5個のサンプルは、いずれも燃焼時間が10
秒以下で、判定評価はV−0となり、良好な難燃性を備
えるものであった。
【0152】<実施例2> [a.成形材料の製造]下記の原料を準備した。
【0153】PC樹脂粉末(A2) …25kg
(100重量部) 粉末状の主難燃剤(B2) …2kg(8重量部) 液状の助難燃剤(C2) …50g(0.2重量
部) 粉末状の紫外線吸収剤(D1)…75g(0.3重量
部) 上記の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1と同
様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒状の樹
脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度は180℃
に、またその温度までの所用時間は約13分に設定され
るように攪拌を行った。
【0154】混合機から樹脂組成物を取り出した際、混
合機の内壁には、樹脂組成物のこびり物や、付着物は認
められなかった。
【0155】また、得られた粒状樹脂組成物は、上記実
施例1と同様で、サラサラしており、手のひらに載せて
強くこすっても、主難燃剤、助難燃剤および紫外線吸収
剤からなるコーティング層が剥離して手のひらに付着す
るようなことはなく、さらにポリエチレン製の袋に収容
して振り回しても、袋の内面に微粉粒子が付着するよう
なこともなく、コーティング層がPC樹脂粉粒体に強固
に固着しているのが確認できた。
【0156】[b.成形品の製造]こうして得られた粒
状樹脂組成物を、熱風オーブンを用いて120℃で4時
間乾燥した後、射出成形機(日精樹脂工業社製 PS−
40E機)に、直接投入し、成形温度250℃で射出成
形を行って、厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品を
それぞれ製造した。
【0157】この成形加工時において、樹脂成形材料の
押出スクリューへの食い込みは良好に行われ、繰り返し
射出しても可塑化時間のバラツキは認められず安定して
いた。
【0158】また、得られた成形品の外観を観察したと
ころ、有害な焼けや、気泡や、シルバストリークの発生
等は認められず、さらに透明性、分散性等も良好であっ
た。
【0159】つづいて上記実施例1と同様に、3mm板
のアイゾット強度を測定したところ、50kg−cm/
cm以上の衝撃値を有しており、高い衝撃強度を備えて
いることが認められた。
【0160】また、1.5mm板から規定サイズのサン
プルを5個採取し、UL94に基づいて、難燃性に関す
る評価を行った。5個のサンプルは、いずれも燃焼時間
が10秒以下で、判定評価はV−0となり、良好な難燃
性を備えるものであった。
【0161】<実施例3> [a.成形材料の製造]下記の原料を準備した。
【0162】PC樹脂(A4)を粉砕したもの…25k
g(100重量部) 粉末状の主難燃剤(B3) …750g(3重量
部) 液状の助難燃剤(C1) …250g(1.0重
量部) 粉末状の酸化防止剤(D2) …50g(0.2重量
部) 粉末状の滑剤(D3) …50g(0.2重量
部) 上記の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1と同
様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒状の樹
脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度は160℃
に、またその温度までの所用時間は約10分に設定され
るように攪拌を行った。
【0163】混合機から樹脂組成物を取り出した際、混
合機の内壁には、樹脂組成物のこびり物や、付着物は認
められなかった。
【0164】また、得られた粒状樹脂組成物は、上記実
施例と同様で、サラサラしており、手のひらに載せて強
くこすっても、またポリエチレン製の袋に収容して振り
回しても、コーティング層が剥離するようなことはな
く、コーティング層がPC樹脂粉粒体に強固に固着して
いるのが確認できた。
【0165】[b−1.押出成形による成形品の製造]
こうして得られた粒状樹脂組成物を樹脂成形材料として
用い、上記実施例1と同様に、樹脂温度250℃で押出
成形を行って、厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品
をそれぞれ製造した。
【0166】この成形加工時において、樹脂成形材料の
押出スクリューへの食い込みは良好に行われ、押出負荷
の変動も認められず、脈動も少なく、安定した成形加工
を行うことができた。
【0167】また、得られた成形品の外観を観察したと
ころ、有害な焼けやブレードの発生等が認められず、さ
らに透明性、分散性等も良好であった。
【0168】つづいて、上記実施例1と同様にして、3
mm板のアイゾット強度を測定したところ、50kg−
cm/cm以上の衝撃値を有しており、高い衝撃強度を
備えていることが認められた。
【0169】また、1.5mm板を用いて、UL94の
評価を行ったところ、いずれのサンプルも燃焼時間が3
0秒以下で、判定評価がV−1となり、良好な難燃性を
備えるものであった。
【0170】[b−2.射出成形による成形品の製造]
この実施例3で得られた粒状樹脂組成物を樹脂成形材料
として用い、上記実施例2と同様に、成形温度250℃
で射出成形を行って、厚さ1.5mmと3mmの板状の
成形品をそれぞれ製造した。
【0171】このときの成形加工においても、上記実施
例2と同様で良好に行うことができ、しかも得られた成
形品も、上記各実施例と同様で良好なものであった。
【0172】また、3mm板のアイゾット強度も、50
kg−cm/cm以上となり、高い衝撃強度を備えてい
ることが認められた。
【0173】さらに1.5mm板を用いて、UL94の
評価を行ったところ、いずれのサンプルも燃焼時間が3
0秒以下で、判定評価はV−1となり、良好な難燃性を
備えるものであった。
【0174】<実施例4> [a.成形材料の製造]下記の原料を準備した。
【0175】PC樹脂粉末(A3) …25kg
(100重量部) 粉末状の主難燃剤(B1) …3kg(12重量部) 液状の助難燃剤(C2) …450g(1.8重量
部) 粉末状の紫外線吸収剤(D1)…75g(0.3重量
部) 粉末状の酸化防止剤(D2) …75g(0.3重量
部) 上記の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1と同
様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒状の樹
脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度は160℃
に、またその温度までの所用時間は約12分に設定され
るように攪拌を行った。
【0176】混合機から樹脂組成物を取り出した際、混
合機の内壁には、樹脂組成物のこびり物や、付着物は認
められなかった。
【0177】また、得られた粒状樹脂組成物は、上記実
施例と同様で、サラサラしており、手のひらに載せて強
くこすっても、またポリエチレン製の袋に収容して振り
回しても、コーティング層が剥離するようなことはな
く、コーティング層がPC樹脂粉粒体に強固に固着して
いるのが確認できた。
【0178】[b.成形品の製造]こうして得られた粒
状樹脂組成物を樹脂成形材料として用い、上記実施例1
と同様に、樹脂温度270℃で押出成形を行って、厚さ
1.5mmと3mmの板状の成形品をそれぞれ製造し
た。
【0179】この成形加工時においても、上記実施例1
と同様で良好に行うことができ、しかも得られた成形品
も、上記各実施例と同様、良好なものであった。
【0180】また、3mm板のアイゾット強度も、50
kg−cm/cm以上となり、高い衝撃強度を備えてい
ることが認められた。
【0181】さらに1.5mm板を用いて、UL94の
評価を行ったところ、いずれのサンプルも燃焼時間が1
0秒以下で、判定評価はV−0となり、良好な難燃性を
備えるものであった。
【0182】<実施例5>下記の原料を準備した。
【0183】 PC樹脂粉末(A1) …25kg(100重量部) 粉末状の主難燃剤(B4)…375g(1.5重量部) 液状の助難燃剤(C1) …1.25g(0.005重
量部) 上記の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1と同
様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒状の樹
脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度は180℃
に、またその温度までの所用時間は約12分に設定され
るように攪拌を行った。
【0184】混合機から樹脂組成物を取り出した際、混
合機の内壁には、樹脂組成物のこびり物や、付着物は認
められなかった。
【0185】また、得られた粒状樹脂組成物は、上記実
施例と同様で、サラサラしており、手のひらに載せて強
くこすっても、またポリエチレン製の袋に収容して振り
回しても、コーティング層が剥離するようなことはな
く、コーティング層がPC樹脂粉粒体に強固に固着して
いるのが確認できた。
【0186】[b.成形品の製造]こうして得られた粒
状樹脂組成物を樹脂成形材料として用い、上記実施例1
と同様に、樹脂温度280℃で押出成形を行って、厚さ
1.5mmと3mmの板状の成形品をそれぞれ製造し
た。
【0187】この成形加工時においても、上記実施例1
と同様で良好に行うことができ、しかも得られた成形品
も、上記各実施例と同様、良好なものであった。
【0188】また、3mm板のアイゾット強度も、50
kg−cm/cm以上となり、高い衝撃強度を備えてい
ることが認められた。
【0189】さらに1.5mm板を用いて、UL94の
評価を行ったところ、いずれのサンプルも燃焼時間が3
0秒以下で、判定評価はV−2であった。
【0190】上記実施例1〜5から判るように、本願に
関連する樹脂成形材料では、直接、成形加工に供するこ
とが可能で、しかもその成形加工によって耐熱性に優れ
た良好な成形品を得ることができるものである。
【0191】<実施例6>下記の原料を準備した。
【0192】PC樹脂粉末(A3) …25kg
(100重量部) 粉末状の主難燃剤(B1) …4.5kg(18重量
部) 液状の助難燃剤(C1) …37.5g(0.15
重量部) 粉末状の紫外線防止剤(D1)…225g(0.9重量
部) 粉末状の酸化防止剤(D2) …225g(0.9重量
部) 上記の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1と同
様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒状の樹
脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度は170℃
に、またその温度までの所用時間は約12分に設定され
るように攪拌を行った。
【0193】また、得られた粒状樹脂組成物は、上記各
実施例と同様で、良好なものであった。
【0194】[b−1.押出成形による成形品の製造]
こうして得られた粒状樹脂組成物をマスターバッチとし
て樹脂成形材料を形成した。具体的には、この実施例6
で得られた粒状樹脂組成物20kgと上表1に示す粉末
状のPC樹脂(A1)10kgとを通常行われている方
法に準じて予備混合し、その予備混合物を樹脂成形材料
とした。
【0195】そして、この樹脂成形材料を用いて、上記
実施例1と同様に、樹脂温度280℃で押出成形を行っ
て、厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品をそれぞれ
製造した。
【0196】この成形加工時においても、上記各実施例
と同様で良好に行うことができ、しかも得られた成形品
も、上記各実施例と同様、良好なものであった。
【0197】また、3mm板のアイゾット強度も、50
kg−cm/cm以上となり、高い衝撃強度を備えてい
ることが認められた。
【0198】さらに1.5mm板を用いて、UL94に
よる評価を行ったところ、いずれののサンプルも燃焼時
間が10秒以下で、判定評価はV−0となり、良好な難
燃性を備えるものであった。
【0199】[b−2.射出成形による成形品の製造]
前記粒状樹脂組成物をマスターバッチとする予備混合物
を樹脂成形材料として用い、上記実施例2と同様に、成
形温度280℃で射出成形を行って、厚さ1.5mmと
3mmの板状の成形品をそれぞれ製造した。
【0200】このときの成形加工においても、上記実施
例と同様で良好に行うことができ、しかも得られた成形
品も、上記各実施例と同様で良好なものであった。
【0201】また、3mm板のアイゾット強度も、50
kg−cm/cm以上となり、高い衝撃強度を備えてい
ることが認められた。
【0202】さらに1.5mm板のUL94よる評価
は、いずれのサンプルも10秒以下で、判定評価がV−
0となり、良好な難燃性を備えるものであった。
【0203】このように本願に関連した樹脂組成物をマ
スターバッチとし、周知のPC樹脂を混入した混合物
を、ペレット化工程を経ることなく、そのまま樹脂成形
材料として用いても、良好に成形加工を行えるととも
に、良好な成形品を得ることができるのを確認できた。
【0204】<実施例7>下記の原料を準備した。
【0205】PC樹脂粉末(A3) …25kg
(100重量部) 粉末状の主難燃剤(B2) …7.5kg(30重量
部) 液状の助難燃剤(C1) …62.5g(0.25
重量部) 粉末状の紫外線防止剤(D1)…375g(1.5重量
部) 粉末状の酸化防止剤(D2) …375g(1.5重量
部) 粉末状の滑剤(D3) …75g(0.3重量
部) 上記の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1と同
様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒状の樹
脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度は185℃
に、またその温度までの所用時間は約13分に設定され
るように攪拌を行った。
【0206】また、得られた粒状樹脂組成物は、上記各
実施例と同様で、良好なものであった。
【0207】[b.成形品の製造]こうして得られた粒
状樹脂組成物をマスターバッチとして樹脂成形材料を形
成した。具体的には、この実施例7で得られた粒状樹脂
組成物8kgと、上表1に示す粉末状のPC樹脂(A
1)20kgと、アクリル酸エステル系グラフト弾性体
粉末(呉羽化学工業社製)6kgとを通常行われている
方法に準じて予備混合し、その予備混合物を樹脂成形材
料とした。
【0208】そして、この樹脂成形材料を用いて、上記
実施例1と同様に、樹脂温度265℃で押出成形を行っ
て、厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品をそれぞれ
製造した。
【0209】この成形加工時においても、上記各実施例
と同様で良好に行うことができ、しかも得られた成形品
の外観も、上記各実施例と同様、良好なものであった。
【0210】また、3mm板のアイゾット強度も、40
kg−cm/cm以上となり、充分な衝撃強度を備えて
いることが認められた。
【0211】このように本願に関連した樹脂組成物をマ
スターバッチとし、PC樹脂以外の高分子物質を混入し
た混合物を、ペレット化工程を経ることなく、そのまま
樹脂成形材料として用いても、良好に成形加工を行える
とともに、良好な成形品を得ることができるのを確認で
きた。
【0212】<比較例1> [a.成形材料の製造]助難燃剤(C1)を配合しない
以外は、上記実施例1と同様な組成および同様な配合量
からなる配合物を、実施例1と同様な条件で混合して、
樹脂組成物を得た。
【0213】この樹脂組成物は、実施例1と同様で良好
なものであった。
【0214】[b.成形加工]こうして得られた樹脂組
成物を用いて、上記実施例1と同様な条件で、押出成形
を行って、厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品をそ
れぞれ製造した。
【0215】この成形加工時は、上記各実施例と同様で
良好に行うことができ、しかも得られた成形品の外観
も、上記各実施例と同様、良好なものであった。
【0216】また、3mm板のアイゾット強度は、50
kg−cm/cm以上となり、高い衝撃強度を備えてい
ることが認められたが、1.5mm板を用いて、UL9
4の評価を行ったところ、いずれのサンプルも燃焼時間
が30秒以内で、判定評価はV−1となった。
【0217】この比較例から判断すると、助難燃剤が配
合されないものでは、成形品に充分な難燃性が認められ
ないものとなることが判る。
【0218】<比較例2> [a.成形材料の製造]主難燃剤(B1)に変えて、主
難燃剤(比B1)を使用した以外は、上記実施例1と同
様な組成および同様な配合量からなる配合物を、実施例
1と同様に混合して、樹脂組成物を得た。ただし、攪拌
時の最高温度は200℃に、またその温度までの所用時
間は約15分に設定されるように攪拌を行った。
【0219】得られた樹脂組成は、実施例1と同様で良
好なものであった。
【0220】[b.成形加工]この樹脂組成物を用い
て、上記実施例1と同様な条件で、押出成形を行って、
厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品をそれぞれ製造
した。
【0221】成形加工中においては、上記各実施例と同
様で良好に行うことができたが、成形品の外観を観察し
たところ、白濁が認められ透明性、分散性等に劣ってい
るものであった。ただし、有害な焼けやブリードの発生
は認められなかった。
【0222】また1.5mm板のUL94の評価におい
ては、いずれのサンプルも判定評価がV−0となり、優
れた難燃性を有していることが確認できたものの、3m
m板のアイゾット強度は、10〜35kg−cm/cm
以下となり、衝撃強度の面で劣っていることが認められ
た。
【0223】この比較例から判断すると、主難燃剤(比
B1)は、前記一般式(I−1)中の分子量nが10
を越えているため、PC樹脂(A1)との相溶性が劣
り、その結果、成形品に有害な白濁等が発生するものと
考えられる。さらに相溶性が劣っているため、衝撃強度
も低下するものと考えられる。
【0224】<比較例3> [a.成形材料の製造]主難燃剤(B1)に変えて、主
難燃剤(比B2)を使用した以外は、上記実施例1と同
様な組成および同様な配合量からなる配合物を、実施例
1と同様に混合して、樹脂組成物を得た。ただし、攪拌
時の最高温度は200℃に、またその温度までの所用時
間は約15分に設定されるように攪拌を行った。
【0225】得られた樹脂組成は、実施例1と同様で良
好なものであった。
【0226】[b.成形加工]この樹脂組成物を用い
て、上記実施例1と同様な条件で、押出成形を行って、
厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品をそれぞれ製造
した。
【0227】この成形品は、上記比較例2と同様で、白
濁が認められ透明性、分散性等に劣っているものであっ
た。
【0228】また1.5mm板のUL94の評価におい
ては、V−0と良好な難燃性を有しているものの、3m
m板のアイゾット強度は、比較例2と同様で、10〜3
5kg−cm/cm以下となり、衝撃強度の面で劣って
いることが認められた。
【0229】この比較例3においても、上記比較例2と
同様で、主難燃剤(比B2)は、前記一般式(I−2)
中の分子量nが10を越えて、PC樹脂との相溶性が
劣っているため、有害な白濁等が発生したり、衝撃強度
が低下するものと考えられる。
【0230】<比較例4> [a.成形材料の製造]助難燃剤(C1)に変えて、助
難燃剤(比C1)を使用した以外は、上記実施例1と同
様な組成および同様な配合量からなる配合物を、実施例
1と同様な条件で混合して、樹脂組成物を得た。
【0231】得られた樹脂組成物は、実施例1と同様で
良好なものであった。
【0232】[b.成形加工]この樹脂組成物を用い
て、上記実施例1と同様な条件で、押出成形を行って、
厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品をそれぞれ製造
した。
【0233】成形加工中においては、上記実施例1と同
様で良好に行うことができたが、成形品の外観を観察し
たところ、白濁が認められ透明性、分散性等に劣ってい
るものであった。ただし、有害な焼けやブリードの発生
は認められなかった。
【0234】また3mm板のアイゾット強度は、50k
g−cm/cm以上となり、さらに1.5mm板のUL
94の評価においても、判定評価がV−0となり、衝撃
強度および難燃性ともに、優れているものであることが
認められた。
【0235】この比較例から判断すると、助難燃剤(比
C1)は、前記一般式(II−1)中の分子量m、m
が大きいため、粘度が高く、PC樹脂(A1)との相溶
性が劣り、上記したように成形品に有害な白濁が発生
し、良好な透明性が得られないと考えられる。
【0236】<比較例5>上記実施例1と同様な組成お
よび同様な配合量からなる配合物を、実施例1と同様に
混合した。ただし、攪拌時の最高温度は60℃に、また
その温度までの所用時間は約3分に設定されるように攪
拌を行った。
【0237】この混合においては、内容物の飛散が激し
く、主難燃剤が部分的に濃縮されてPC樹脂から分離し
ているのが認められた。
【0238】この混合物を用いて、上記実施例1と同様
に、押出成形を試みたが、押出スクリューへの食い込み
が不十分となり、しかも押出負荷も大きく変動して、良
好な成形品を得ることができなかった。
【0239】この比較例から判断すると、攪拌時の温度
が60℃と主難燃剤の融点よりも低いものであると、主
難燃剤が軟化ないしは溶融せず、コーティング層を形成
できないため、良好な成形材料が得られないものと考え
られる。
【0240】<比較例6>実施例1と同様な組成からな
る配合物を、実施例1と同様な条件で混合した。ただ
し、主難燃剤(B1)の配合量は15kgと10倍に
し、100重量部のPC樹脂(A1)に対し、主難燃剤
(B1)の配合量を60重量部とした。
【0241】この混合において、低速運転から高速運転
に切り替えたとき、主難燃剤の飛散はなくなってきた
が、攪拌を継続しても内容物が流動状態とならず、混合
機の周壁内面に、濃縮して固まった主難燃剤が分離して
付着し、攪拌羽が空回りして内容物の攪拌を良好に行う
ことができなかった。
【0242】この混合物を用いて、実施例1と同様に、
押出成形を試みたが、押出スクリューへの食い込みが不
十分となり、しかも押出負荷も大きく変動し、成形品の
一部に有害な焼けが発生する等、良好な成形品を得るこ
とができなかった。
【0243】この比較例から判断すると、本発明の製法
にしたがっていても、主難燃剤の配合量が規定量以上の
樹脂成形材料を用いて、成形加工を行うと、良好な成形
品を得ることが困難となることが判る。
【0244】<比較例7>PC樹脂(A1)に変えて、
平均粒径3.5mmのペレット状のPC樹脂(A4)を
用いた以外は、実施例1と同様な組成および同様な配合
量からなる配合物を混合した。ただし、攪拌時の最高温
度は165℃に、またその温度までの所用時間は約15
分に設定されるように攪拌を行った。
【0245】この混合においては、終始、PC樹脂と難
燃剤とは分離したまま状態で、融点の低い主難燃剤が軟
化して固化し、その固化物が混合機の周壁内面に付着し
てしまい、ペレット状のPC樹脂(A4)に、主難燃剤
等からなるコーティング層が形成されるようなことはな
かった。
【0246】この混合物を用いて、実施例1と同様に、
押出成形を試みたが、押出スクリューへの食い込みが不
十分となり、しかも押出負荷も大きく変動し、成形品の
一部に有害な焼けが発生する等、良好な成形品を得るこ
とができなかった。
【0247】この比較例から判断すると、PC樹脂の粒
径が規定以上のものであると、本発明の製法にしたがっ
も、良好な成形材料を得ることが困難となることが判
る。
【0248】<総合評価>上記各実施例および各比較例
の配合組成、成形材料の製法、成形品の製法、および成
形品の性能を、下記表2、表3にまとめて示す。
【0249】
【表2】
【表3】 上表から判るように、本発明に関連した実施例では、成
形材料を、ペレット化工程を経ることなく、直接、成形
加工に供することが可能であり、その成形加工も良好に
行える上、成形品も良好なものが得られているのに対
し、本発明の条件を満たさない比較例では、成形加工性
や、成形品の性能等に欠点が発生することが判る。
【0250】<参考例1>実施例1と同様な組成および
配合量からなる配合物を混合し、この混合物を、二軸の
スクリュータイプ押出機を用いて、280℃の温度で溶
融混練してペレット化を図り、ペレット状の樹脂組成物
を得た。
【0251】このペレット状の樹脂組成物を成形材料と
して用い、実施例1と同様の条件で、押出成形を行っ
て、厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品をそれぞれ
製造した。
【0252】<参考例2>上表1に示すPC樹脂(A
1)のみを用い、実施例1と同様の条件で、押出成形を
行って、厚さ1.5mmと3mmの板状の成形品をそれ
ぞれ製造した。
【0253】<実施例1と参考例2、3との比較>参考
例1、2のそれぞれの成形品の外観を観察するととも
に、各3mm板のアイゾット強度、各PC樹脂の分子量
を測定し、さらに1.5mm板のUL94の評価を行な
った。その結果を、上記実施例1のものと合わせて下記
表4に示す。
【0254】
【表4】 なお、PC樹脂の分子量(M)は、PC樹脂が0.7g
/dl含有された塩化メチレン溶液を用いて、PC樹脂
の比粘度ηspを測定し、その比粘度ηspを下式 (II
I)(IV)に代入することにより、測定した。
【0255】 ηsp/c={η}+0.45×{η}・c … (III) {η}=1.23×10−4・M …(IV) (上式中、cは0.7である) 上表に示すように、実施例のものは、参考例のものと比
較すると、強度、難燃性および外観においては差異は認
められないが、分子量の低下を来さない点で優れてい
る。この理由としては、実施例のものでは、参考例のよ
うにペレット化を図るための溶融混練工程がない分、熱
履歴が少ないためであると考えられる。
【0256】なお、本実施例では、ペレット化工程を必
要としないので、成形材料を形成するまでに付与される
熱量を低減させることができる。このため、液状の助難
燃剤が、熱付与によって蒸発減少してしまうのを極力抑
制でき、液状の助難燃剤の配合量を必要最小限に止める
ことができ、コストの低減を図ることができるものと考
えられる。
【0257】
【発明の効果】以上のように、第1の発明のポリカーボ
ネート樹脂成形材料によれば、実質的にポリカーボネー
ト樹脂からなるPC樹脂粉粒体と、そのPC樹脂粉粒体
の表面を被覆し、かつ主難燃剤を主成分として形成さ
れ、液状の助難燃剤が含有されたコーティング層とを備
えるため、直接、成形加工に供することが可能で、その
成形加工によって難燃性に優れた良好な成形品を得るこ
とができるとともに、コストも低減できるという第1の
効果が得られる。
【0258】第2の発明のポリカーボネート樹脂成形材
料の製造方法によれば、上記第1の発明のポリカーボネ
ート樹脂成形材料の製造プロセスを特定しているため、
上記第1の効果を得ることができる成形材料を製造でき
るという第2の効果が得られる。
【0259】第3の発明のポリカーボネート樹脂成形品
の製造方法によれば、第1の発明のポリカーボネート樹
脂成形材料を成形加工に供する方法を特定しているた
め、上記第1の効果とほぼ同様な効果、つまり耐熱性に
優れた良好な成形品を得ることができるとともに、コス
トも低減できるという第3の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のポリカーボネート樹脂成形材料の一
例を模式化して示す断面図である。
【符号の説明】
1…PC樹脂粉粒体 2…コーティング層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 63:00 83:04) B29K 69:00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にポリカーボネート樹脂(以下、
    「PC樹脂」と称する)からなるPC樹脂粉粒体と、 前記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全域を被覆し、かつ融
    点が前記PC樹脂粉粒体の融点よりも低い主難燃剤を主
    成分として形成され、液状の助難燃剤が含有されたコー
    ティング層と、 を備えてなることを特徴とするポリカーボネート樹脂成
    形材料。
  2. 【請求項2】 前記主難燃剤は融点が230℃以下のも
    のからなる請求項(1)に記載のポリカーボネート樹脂
    成形材料。
  3. 【請求項3】 前記主難燃剤は、下記一般式(I); 【化1】 で表されるハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂に
    よって構成されてなる請求項(1)または(2)に記載
    のポリカーボネート樹脂成形材料。
  4. 【請求項4】 前記助難燃剤は、下記一般式(II); 【化2】 で表される有機ポリシロキサンによって構成されてなる
    請求項(1)ないし(3)のうちいずれか1に記載のポ
    リカーボネート樹脂成形材料。
  5. 【請求項5】 前記PC樹脂粉粒体は、嵩密度が0.4
    〜0.75g/mlで、かつ平均粒径が0.05〜3m
    mのものからなる請求項(1)ないし(4)のうちいず
    れか1に記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  6. 【請求項6】 前記助難燃剤は、25℃における粘度が
    5〜10000センチストークスで、かつ屈折率が1.
    38〜1.52のものからなる請求項(1)ないし
    (5)のうちいずれか1に記載のポリカーボネート樹脂
    成形材料。
  7. 【請求項7】 実質的にポリカーボネート樹脂からなる
    PC樹脂粉粒体と、融点が前記PC樹脂粉粒体の融点よ
    りも低い粉状ないしは粒状の主難燃剤と、液状の助難燃
    剤とが配合された配合物を加熱下に混合することによ
    り、前記PC樹脂粉粒体は実質的に溶融させない状態
    で、前記主難燃剤を軟化ないしは溶融させるとともに、
    その主難燃剤と前記助難燃剤とを混練して、その混練物
    をもって前記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全域を被覆す
    る工程と、 前記PC樹脂粉粒体を被覆する層を固化して、コーティ
    ング層を形成する工程と、 を含んでなることを特徴とするポリカーボネート樹脂成
    形材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記配合物中のPC樹脂粉粒体を100
    重量部としたとき、前記配合物中の主難燃剤は1〜50
    重量部、助難燃剤は0.005〜2重量部に設定されて
    なる請求項(7)に記載のポリカーボネート樹脂成形材
    料の製造方法。
  9. 【請求項9】 実質的にポリカーボネート樹脂からなる
    PC樹脂粉粒体と、前記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全
    域を被覆し、かつ融点が前記PC樹脂粉粒体の融点より
    も低い主難燃剤を主成分として形成され、液状の助難燃
    剤が含有されたコーティング層と、を備えてなるPC樹
    脂成形材料を、直接、成形加工に供することにより、ポ
    リカーボネート樹脂成形品を得ることを特徴とするポリ
    カーボネート樹脂成形品の製造方法。
JP7354993A 1993-03-31 1993-03-31 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 Expired - Lifetime JP2888721B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7354993A JP2888721B2 (ja) 1993-03-31 1993-03-31 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7354993A JP2888721B2 (ja) 1993-03-31 1993-03-31 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06287312A JPH06287312A (ja) 1994-10-11
JP2888721B2 true JP2888721B2 (ja) 1999-05-10

Family

ID=13521434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7354993A Expired - Lifetime JP2888721B2 (ja) 1993-03-31 1993-03-31 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2888721B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2758824B1 (fr) * 1997-01-24 1999-05-14 Hubert Boussey Procede de preparation d'additifs pour matieres plastiques
JP4723058B2 (ja) * 2000-07-27 2011-07-13 帝人化成株式会社 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物
JP2002338701A (ja) * 2001-05-18 2002-11-27 Teijin Chem Ltd 光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク基板
JP5107523B2 (ja) * 2006-02-24 2012-12-26 三菱樹脂株式会社 導電性フィルム
JP5240752B2 (ja) * 2007-06-29 2013-07-17 住化スタイロンポリカーボネート株式会社 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06287312A (ja) 1994-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100995718B1 (ko) 할로겐-프리 방염성 폴리카보네이트 조성물
JP3002394B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた自動車外装部材
CN1890320A (zh) 浅色聚碳酸酯组合物及其制备方法
WO2014110455A1 (en) Polycarbonate blend compositions containing recycle for improvement in surface aesthetics
JP2013001801A (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
WO2005083004A1 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP2888721B2 (ja) ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法
WO2013068929A1 (en) Clean polycarbonate material for use in hard disk drive and semiconductor applications
JP2004035662A (ja) 熱可塑性樹脂および成形品
WO2001021699A1 (en) Thermoplastic article having a metallic flake appearance
JP4248906B2 (ja) 難燃化された芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物
JPH11140296A (ja) ポリカーボネート成形組成物
JP2002309076A (ja) ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物
JP2019006866A (ja) ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形体
JP3458927B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品
CN111527149B (zh) 热塑性树脂组合物和由其形成的模制产品
JPH06263975A (ja) ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法
JP2004359913A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法
DE60105789T2 (de) Flammhemmendes kunststoff-formteil
JP3478445B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP7500566B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP2023066411A (ja) 熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法
JP2008001913A (ja) 難燃性樹脂組成物
WO2023074796A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物ペレット及びその製造方法
JP2023066410A (ja) 熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法