JPH06263975A - ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法

Info

Publication number
JPH06263975A
JPH06263975A JP5526493A JP5526493A JPH06263975A JP H06263975 A JPH06263975 A JP H06263975A JP 5526493 A JP5526493 A JP 5526493A JP 5526493 A JP5526493 A JP 5526493A JP H06263975 A JPH06263975 A JP H06263975A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
additive
molding material
resin powder
polycarbonate resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5526493A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Kadota
康洋 門田
Kazuaki Maruyama
和明 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Original Assignee
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd filed Critical Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Priority to JP5526493A priority Critical patent/JPH06263975A/ja
Publication of JPH06263975A publication Critical patent/JPH06263975A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 直接、成形加工に供することが可能で、その
成形加工によって良好な成形品を得るとこができるポリ
カーボネート樹脂成形材料を形成することにある。 【構成】 PC樹脂粉粒体(1)と、融点がPC樹脂粉
粒体(1)の融点よりも低い粉末状添加剤とが配合され
た配合物を、PC樹脂粉粒体(1)の融点以下の温度環
境下で混合攪拌することにより、PC樹脂粉粒体(1)
を実質的に溶融させない状態で、添加剤を溶融させ、そ
の添加剤をもってPC樹脂粉粒体(1)の外表面全域を
被覆し、コーティング層(2)を形成するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ポリカーボネート樹
脂を成分として含む樹脂成形材料およびその製造方法、
並びに樹脂成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂(以下「PC樹
脂」と称する)は、優れた耐衝撃性、耐熱性、耐湿性、
透明性を有するエンジニアリングプラスチックとして広
く使用されており、例えば、押出成形による建築採光
材、波板、道路の側壁遮蔽板等のほか、射出成形による
電気部品、機械部品等、さらにブロー成形による飲料ボ
トル、タンク等として広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、このようなP
C樹脂成形品の成形材料は、粉末状PC樹脂に、成形性
や成形品の品質を向上させるため、例えば紫外線吸収
剤、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、顔料、フィラー等の粉
末状添加剤が配合されたもので構成されているが、これ
らを単に混合しただけの混合物を、直接、成形加工に供
することは一般に行われることはない。
【0004】すなわち、粉末状添加剤は、粉末状PC樹
脂と比較すると、粒度分布が異なり、嵩比重も大きいた
め、これらの混合物を、直接、押出成形加工等に供しよ
うとすると、混合物のホッパーへの投入時、あるいはホ
ッパーからホッパーへの移送時に、粉末状添加剤が粉末
状PC樹脂から飛散する等して、分級してしまい、混合
状態が不均一となる。このため、ホッパー内部で成形材
料によるブリッジが発生して材料供給が不十分となった
り、押出スクリューの成形材料への食込みが不足して、
時にはスクリューの空回りが発生して、良好な成形加工
を行えなくなるという問題が生じる。さらに成形材料の
混合状態が不均一であると、得られた成形品の成分分布
にも偏りが発生し、成形品の耐熱性、耐衝撃性が劣化し
たり、これらの性質にばらつきが発生したりして、良好
な成形品を得ることができないという問題が生じる。
【0005】しかも、このような不十分な混合により発
生する問題は、添加剤の混入量が多くなるほど、また押
出成形機等の成形加工機の大型化を来すほど、顕著に現
れるので、特に、大量生産によるコストの低減を図る上
で障害となっている。
【0006】そこで、現状では、粉末状PC樹脂と粉末
状添加剤との混合物を、溶融混練してペレット化し、こ
れを成形材料として成形加工に供するようにしている。
【0007】しかしながら、このようなペレット状の成
形材料を得る場合、溶融混練工程において多大なエネル
ギーを必要とし、コストの増大を来すとともに、溶融混
練時にPC樹脂等に熱履歴が加わって、成形品の機械的
強度等の物性を劣化させてしまう等、良好な成形品を得
ることが困難であるという問題があった。
【0008】この発明の第1の目的は、上記従来技術の
問題を解消し、直接、成形加工に供することが可能で、
その成形加工によって良好な成形品を得ることができる
とともに、コストも低減できるポリカーボネート樹脂成
形材料を提供することである。
【0009】この発明の第2の目的は、上記第1の目的
を達成可能なポリカーボネート樹脂成形材料の製造方法
を提供することである。
【0010】この発明の第3の目的は、良好な成形品を
得ることができるとともに、製造コストも低減できるポ
リカーボネート樹脂成形品の製造方法を提供することで
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため、第1の発明のポリカーボネート樹脂成形材料
は、実質的にポリカーボネート樹脂からなるPC樹脂粉
粒体と、前記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全域を被覆
し、かつ融点が前記PC樹脂粉粒体の融点よりも低い添
加剤によって形成されたコーティング層と、を備えてな
ることを要旨とするものである。
【0012】この第1の発明においては、多くの場合、
前記添加剤は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、滑
剤および帯電防止剤の中から、一種または二種以上選択
されたものからなっている。
【0013】また、前記添加剤は融点が230℃以下の
ものであるのが好ましい。
【0014】さらに、前記PC樹脂粉粒体は、その嵩密
度が0.4〜0.75g/mlで、かつ平均粒径が0.
05〜3mmであるのが好ましい。
【0015】上記第2の目的を達成するため、第2の発
明のポリカーボネート樹脂成形材料の製造方法は、実質
的にポリカーボネート樹脂からなるPC樹脂粉粒体と、
融点が前記PC樹脂粉粒体の融点よりも低い粉状ないし
は粒状の添加剤とが配合された配合物を加熱下で混合す
ることにより、前記PC樹脂粉粒体は実質的に溶融させ
ない状態で、前記添加剤を軟化ないしは溶融させて、そ
の添加剤をもって前記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全域
を被覆する工程と、前記PC樹脂粉粒体を被覆する添加
剤層を固化することにより、コーティング層を形成する
工程と、を含んでなることを要旨とするものである。
【0016】この第2の発明においては、前記配合物中
のPC樹脂粉粒体を100重量部としたとき、前記配合
物中の添加剤は0.1〜50重量部に設定されてなるの
が好ましい。
【0017】上記第3の目的を達成するため、第3の発
明のポリカーボネート樹脂成形品の製造方法は、実質的
にポリカーボネート樹脂からなるPC樹脂粉粒体と、前
記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全域を被覆し、かつ融点
が前記PC樹脂粉粒体の融点よりも低い添加剤によって
形成されたコーティング層とを備えてなるPC樹脂成形
材料を、直接、成形加工に供することにより、ポリカー
ボネート樹脂成形品を得ることを要旨とするものであ
る。
【0018】以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】本発明の樹脂成形材料を形成するにあたっ
ては、ポリカーボネート樹脂からなるPC樹脂粉粒体
と、粉状ないしは粒状の添加剤とを準備する。
【0020】<ポリカーボネート樹脂>本発明で使用さ
れるポリカーボネート樹脂(PC樹脂)は、押出成形加
工、射出成形加工、ブロー成形加工、圧縮成形加工等の
成形加工に供される一般的なPC樹脂を使用できる。
【0021】このようなPC樹脂の製造方法は特に限定
されることはないが、一例を挙げると、塩化メチレンな
どの溶媒中において、公知の酸受容体や分子調節剤の存
在下、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート
前駆体とを直接反応させるホスゲン法、二価フェノール
とジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体
とをエステル交換反応させるエステル交換法等を例に挙
げることができる。
【0022】この場合、二価フェノールとして、具体的
には、ビスフェノールAと称される2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、等を挙
げることができるが、これらの二価フェノールの中で
も、特にビスフェノールAが好適に使用される。
【0023】これらの二価フェノールはそれぞれ単独で
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。
【0024】また、本発明では、多官能性芳香族化合物
を二価フェノールおよび/またはカーボネート前駆体と
反応させて成る熱可塑性ランダム分岐PC樹脂等の分岐
PC樹脂、さらに特開平4−226126号公報に開示
される脂肪セグメントを有するコーポリエステルPC樹
脂等のポリエステルPC樹脂等も使用できるさらに、P
C樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上のPC樹脂
のブレンド物を用いてもよい。
【0025】本発明において、PC樹脂の重合度は、粘
土平均分子量で15,000以上50,000以下のも
のが使用され、特に20,000以上35,000以下
のものが好適に使用される。この分子量が15,000
に満たない場合には、得られた成形品の分子量が低く、
充分な衝撃強度を保持できなくなったり、成形加工時の
流動性が高まり、押出成形時、射出成形時、ブロー成形
時等の成形加工時にドローダウンが多発し、成形加工を
良好に行えなくなり、好ましくない。逆に、粘土平均分
子量が35,000を越えると、PC樹脂の粘性が高ま
り、押出成形時、射出成形時、ブロー成形時等の成形加
工時にPC樹脂の機械的負荷が大きくなり、成形加工を
良好に行えなくなり、好ましくない。
【0026】本発明では、前記したPC樹脂からなる粉
状ないしは粒状の粉粒体が使用される。
【0027】このPC樹脂粉粒体の製法としては、例え
ばPC樹脂ペレットを、粉砕機で所定の粒径に粉砕する
方法等を例示することができる。
【0028】その他の粉粒状のPC樹脂の製法として
は、例えば特開平1−249834号公報、特開平2−
45536号公報、特開平4−292628号公報、お
よび特開平4−292628号公報等に開示されたもの
を使用することも可能である。
【0029】また、PC樹脂粉粒体の形態は、一般的に
は球形のものが好適に使用されるが、不定形であって
も、また実質的に多孔質であってもよく、特に限定され
るのものではない。
【0030】PC樹脂粉粒体は、平均粒径が、0.05
mm以上で3mm以下のものが使用でき、その中でも平
均粒径が0.1mm以上で1.8mm以下のものが好適
に使用される。平均粒径が0.05mmに満たないもの
を使用すると、後述する混合時に飛散により均一に混合
できなくなったり、場合によっては粉塵爆発の恐れもあ
り、好ましくない。また、平均粒径が2mmを越える
と、充分に分散させることができず混合が不十分とな
り、良好な成形品を得ることが困難となり、好ましくな
い。
【0031】PC樹脂粉粒体は、嵩密度が、0.4g/
ml以上で0.75g/ml以下のものが使用でき、そ
の中でも0.5g/ml以上で0.70g/ml以下の
ものが好適に使用される。嵩密度が0.4g/mlに満
たないと、運搬時や、投入量等の面で不利になり、さら
に粉粒体内部および粉粒体間の空隙が大きく、混合時の
脱気を充分に行えず、均一な混合を行うのが困難とな
り、好ましくない。また、嵩密度が0.75g/mlを
越えるものは、工業的に製造するのが困難であり、好ま
しくない。
【0032】<添加剤>添加剤は、一般のプラスチック
成形技術分野で使用されるものを使用することができる
が、本発明では、後述するようにPC樹脂粉粒体は実質
的に溶融させないで、添加剤のみを溶融して、その添加
剤によりPC樹脂粉粒体の表面にコーティング層を形成
するものであるため、添加剤の融点は、前記PC樹脂粉
粒体のそれよりも低いものを使用する必要があり、好適
にはその温度差が50℃程度以上のものを使用すること
が望まれる。
【0033】このように添加剤は、その融点がPC樹脂
の融点よりも低いものであれば使用できるが、通常のプ
ラスチック成形技術分野で使用されるPC樹脂の性質を
考慮すれば、融点が230℃以下の添加剤を好適に使用
することができ、その中でも特に180℃以下のものを
使用するのが望ましい。
【0034】上記の条件を満たす添加剤としては、以下
に詳述するように紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、
離型剤としての滑剤、防曇剤を含む帯電防止剤等を例示
することができる。
【0035】<紫外線吸収剤>紫外線吸収剤は、周知の
プラスチック成形技術分野で一般的に使用される紫外線
吸収剤であり、特に限定されることはないが、例えばベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫
外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ヒンダード
アミン系紫外線吸収剤などを例に挙げることができる。
【0036】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の代表
的なものとしては、具体的に、2−(2−ヒドロキシ−
5−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2
−ヒドロキシ−3−5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブ
チル−5−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ジ−t−ブ
チル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチル−フェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ジ
−t−アミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6,−テトラ−
ヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルーフェニ
ル]−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス−
[4−(1,1,3,3,−テトラメチル)−6−(2
N−ベエゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2
−[2−ヒドロキシ−3−5−ビス(α,α,−ジメチ
ルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−(1,1−ジエチルネチル)−6、などを例
示することができる。
【0037】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の代表的な
ものとしては、具体的に、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−
5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−
オクトキシ、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベ
ンゾフェノン、2,2,4,4−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−
2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドレイト
ベンゾフェノン、などを例示することができる。
【0038】サリシレート系紫外線吸収剤の代表的なも
のとしては、具体的に、フェニルサリシレート、4−t
−ブチルフェニルサリシレート、4−t−オクチルフェ
ニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエー
ト、などを例示することができる。
【0039】ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の代表的
なものとしては、具体的に、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバゲート、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペジル)−2−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシペンジル)
−2−N−ブチルマロネート、[4−(4−ヒドロキシ
−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]−
N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニ
ル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−
1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステ
ル、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキ
シレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペジル)、などを例示することができる。
【0040】<酸化防止剤>酸化防止剤は、周知のプラ
スチック成形技術分野で一般的に使用される酸化防止剤
であり、特に限定されることはないが、例えばヒンダー
ドフェノール系安定剤、有機チオエーテル系安定剤、有
機ホスファイト系安定剤、などを例に挙げることができ
る。
【0041】ヒンダードフェノール系安定剤の代表的な
ものとしては、具体的に、n−オクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4
−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,
6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノー
ル、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ)−1,1−ジ−メチルエチル]−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、などを
例示することができる。
【0042】有機チオエーテル系安定剤としては、具体
的に、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジ
ミリスチル−3,3−チオジプロピオネート、ジステア
リル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリ
トールテトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネー
ト)、などを例示することができる。
【0043】有機ホスファイト系安定剤の代表的なもの
としては、具体的に、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステ
アリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テ
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4−4
−ビフェニレンジホスファイト、2,2−エチリデンビ
ス(4,4−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホス
ファイト、サイクロ−ネオペンタン−テトライルビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル−ホスファイト)、
サイクロ−ネオペンタン−テトライルビス(2,6−ジ
−t−ブチル−4−メチルフェニル−ホスファイト)、
などを例示することができる。
【0044】<難燃剤>難燃剤は、周知のプラスチック
成形技術分野で一般的に使用される有機難燃剤であり、
特に限定されることはないが、高分子量の塩素化パラフ
ィン粉末、トリブロモネオペンチルホスフェート粉末等
の塩素系難燃剤、リン系の粉末有機難燃剤、を例に挙げ
ることができ、好適には臭素系化合物を例に挙げること
ができる。
【0045】臭素化合物の代表的なものとしては、具体
的に、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモジフ
ェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ジ
ブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート、テ
トラブロモビスフェノールA(TBA)、テトラビスフ
ェノールA、テトラビスフェノールS、臭素化エポキシ
樹脂、ブロム化スチレン、などを例示することができ
る。
【0046】この場合、テトラビスフェノールAの誘導
体としては、テトラビスフェノールA−ブロモメチルエ
ーテル、テトラビスフェノールA−ブロモエチルエーテ
ル、テトラビスフェノールA−2,3ジブロモプロピル
エーテル、などを例示できる。
【0047】また、テトラビスフェノールSの誘導体と
しては、テトラビスフェノールS−2,3ジプロモプロ
ピルエーテルなどを例示できる。
【0048】臭素化エポキシ樹脂としては、テトラビス
フェノールAとテトラビスフェノールAのジグリシジル
エーテルの反応生成物、テトラビスフェノールAとテト
ラビスフェノールAのエピクロルヒドリンの反応生成
物、およびこれらの反応生成物のうち、末端にエポキシ
基を有する化合物を、トリブロムフェノール、ペンタブ
ロモフェノール等と反応させて得られるエーテル誘導
体、などを例示できる。
【0049】<滑剤>滑剤は、周知のプラスチック成形
技術分野で一般的に使用される滑剤、離型剤であり、特
に限定されることはないが、炭化水素系、脂肪酸系、脂
肪酸アミド系、アルコール系、脂肪酸エステル系、天然
ワックス系のものを例に挙げることができる。
【0050】炭化水素系の代表的なものとして、具体的
には、パラフィンワックスおよびマイクロワックス等の
合成パラフィン、低分子量ポリエチレンワックス等の炭
化水素系ワックス類、などを例示することができる。
【0051】脂肪酸系のものとしては、飽和脂肪酸で炭
素数が10以上で30以下のものであれば使用でき、こ
の範囲の中でも16以上で20以下のものは好適に使用
でき、その代表的なものとして、具体的には、ステアリ
ン酸、パルチミン酸、およびベヘン酸等の高級脂肪酸、
ヒドロキシステアリン酸およびヒドロキシパルチミン酸
等のオキシ脂肪酸、などを例示することができる。
【0052】脂肪酸アミド系の代表的なものとして、具
体的には、ステアリン酸アミド、およびエチレンビスス
テアロアミド等の脂肪酸アミドを例示することができ
る。
【0053】アルコール系の代表的なものとして、具体
的には、ステアリルアルコール、およびセチルアルコー
ル等の脂肪族アルコール類などを例示することができ
る。
【0054】脂肪酸エステル系のものとして、具体的に
は、ステアリリルステアレート等の高級アルコール脂肪
酸エステル、プロピレングリコールモノステアレート、
プロピレングリコールモノパルミテート、およびプロピ
レングリコールモノベヘネート等のモノグリセライド、
グリセリンモノ・ジパルミテート、グリセリンモノ・ジ
ステアレート、およびグリセリンジ・トリステアレート
等のモノ・ジグリセライド、ソルビタンパルミテート、
ソルビタンステアレート、ソルビタントリステアレー
ト、ソルビタンベヘネート、およびソルビタントリベヘ
ネート等のソルビタン脂肪酸エステル、エチレングリコ
ールとモンタン酸とのエステル、およびグリセリンとモ
ンタン酸とのエステル等のモンタン酸のエステル類、ペ
ンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリス
リトールトリステアレート、ソルビトールトリステアレ
ート、およびソルビトールトリベヘネート等の多価アル
コール脂肪酸エステル類、などを例示することができ
る。
【0055】天然ワックス系の代表的なものとして、具
体的には、蜜ロウ、カルナウバックス等天然ワックス
類、などを例示することができる。
【0056】<帯電防止剤>帯電防止剤は、周知のプラ
スチック成形技術分野で一般的に使用される帯電防止剤
であり、特に限定されることはないが、上記のソルビタ
ン脂肪酸エステル類、上記のモノグリセライド類は帯電
防止剤としての作用も果たすので、これらを例示するこ
とができる。
【0057】その他の帯電防止剤としては、高重合度の
ジグリセリンステアレート等のポリグリセリン、ポリオ
キシエチレングリセリンモノステアレート等のエチレン
オキサイド付加物、などを例示することができる。
【0058】<粉末状添加剤>本発明では、上記した添
加剤の粉末ないしは粒状のものが使用される。
【0059】添加剤の粒径は、特に限定されるものでは
ないが、通常は平均粒径が0.05μm以上で2mm以
下のものが使用され、好ましくは、0.1mm以上で1
mm以下のものが使用される。平均粒径が0.05μm
に満たないものは、工業的に製造するのが困難であり、
好ましくはない。また2mmを越えるものは、後述する
混合時に脱気や混合が充分に行えず、好ましくはない。
【0060】なお、粉末状添加剤は、粒径が小さい場
合、その粒子、つまり一次粒子が凝集して粒径の大きい
二次粒子となって存在することがあるが、このような場
合には、二次粒子の粒径が上記規定範囲内に含まれてい
れば、本発明において良好に使用することができる。
【0061】また逆に、二次粒子の粒径が上記規定範囲
を越えるものについては、後に詳述する混合工程におい
て、粉砕されて細かい一次粒子となって、その粒径が上
記規定範囲内に含まれるようなものであれば、本発明に
おいて良好に使用することができる。
【0062】<PC樹脂と添加剤との配合>本発明にお
いて、前記したPC樹脂粉粒体と粉末状の添加剤が配合
された配合物を用いて、PC樹脂成形材料を形成するも
のである。
【0063】配合される添加剤は、必ずしも1種類のも
ので構成されている必要はなく、2種以上のもので構成
されていてもよい。
【0064】粉末状添加剤の配合量は、PC樹脂粉粒体
100重量部に対し、0.1重量部以上で50重量部以
下に設定するのが好ましく、さらに好適には1.0重量
部以上で35重量部以下に設定するのが良い。粉末状添
加剤の配合量が、0.1重量部に満たないと、添加剤が
含有されることによる効果が得られないばかりか、本発
明の成形材料を得ることができなくなり、好ましくはな
い。また、配合量が、50重量部を越えると、PC樹脂
の含有量が相対的に少なくなるので、PC樹脂の優れた
物性、例えば高い強度、良好な耐衝撃性、良好な耐熱性
を著しく低下させることとなり、好ましくはない。
【0065】<配合物の混合>本発明では、上記配合物
を、加熱混合することにより、PC樹脂粉粒体は実質的
に溶融させない状態で、粉末状添加剤を軟化ないしは溶
融させて、その添加剤をもってPC樹脂粉粒体の外表面
全域を被覆するコーティング層を形成するものである。
【0066】配合物の混合は、PC樹脂の融点よりも低
く、かつ添加剤の融点よりも高い温度環境下で行うこと
が望まれるが、PC樹脂粉粒体を実質的に溶融させなけ
れば、本発明のPC樹脂成形材料を得ることが可能であ
るため、配合物混合時において、短時間であれば、つま
りPC樹脂粉粒体が実質的に溶融しなければ、PC樹脂
の融点よりも高くなっても、本発明において何等支障は
ない。また、PC樹脂粉粒体は実施的に溶融しなければ
所望の成形材料を得ることが可能であるため、配合物混
合時にPC樹脂粉粒体が軟化してもよく、さらにPC樹
脂粉粒体の外表面部のみが部分的に溶融しても本発明に
おいて支障はない。むしろ本発明においては、後に詳述
するように、PC樹脂粉粒体の表面部のみを軟化ないし
は溶融させるようにすれば、その軟化ないしは溶融した
部分と、溶融した添加剤とが相互に融合されて相溶層が
形成され、その相溶層により、添加剤からなるコーティ
ング層をPC樹脂粉粒体に強固に固着することが可能と
なり、好ましいものとなる。
【0067】このように混合を好適に行う場合の温度条
件としては、180℃程度に設定するのが望まれ、その
中でも特に160℃程度に設定するのが良い。
【0068】混合に使用される混合機としては、配合
物、つまり内容物を加熱できるジャケット(外套)を備
え、高速流動可能な攪拌機付混合機であれば好適に使用
できる。
【0069】このような混合機は通常のプラスチック成
形技術分野で使用されているが、参考までに具体例を挙
げておくと、ヘンシェルミキサー(川田製作所製)、ス
ーパーミキサー(三井三池製作所製)等の混合機があ
る。
【0070】そして、実際の混合は以下のようにして行
われる混合機のジャケットを熱水もしくは蒸気であらか
じめ所定の温度に保持しておき、PC樹脂粉粒体および
粉末状添加剤の配合物を混合機内に投入する。
【0071】この場合、配合物の投入順序や、投入タイ
ミングは特に限定されるものではない。
【0072】つづいて、混合機内に投入された配合物に
対し、必要に応じて周速14m/s程度の低速回転で攪
拌を行った後、周速44m/s程度の高速回転で強制的
に攪拌を行って、この攪拌に伴う摩擦熱によって内容物
の温度を次第に上昇させる。
【0073】なお、内容物の温度上昇率は、混合機の容
量に対する配合物の投入量や、混合機の構造、特に攪拌
羽の構造、攪拌時の回転数等によって変化するものであ
り、所定値に定められるものではない。したがって、本
発明においては、内容物の温度上昇率は、さほど重要視
する必要はない。
【0074】前記攪拌によって配合物の温度が上昇し
て、融点の低いものから順に、粉末状添加剤が徐々に軟
化していき、ロウ状ないしは液状となる。
【0075】そしてこのロウ状ないしは液状の添加剤が
PC樹脂粉粒体の外表面全域に行き渡っていく。なお、
この段階では、PC樹脂粉粒体は、軟化せず固形状態を
保っているが、ロウ状ないしは液状の添加剤が、PC樹
脂粉粒体の結合剤としての作用を果たし、PC樹脂粉粒
体を互いに凝集させて飛散を防止することとなる。
【0076】さらに攪拌をつづけて、内容物の温度がP
C樹脂の軟化点まで達すると、PC樹脂粉粒体の表面部
のみが部分的に軟化ないしは溶融し、その表面に粘着性
が生じてくる。
【0077】そして、図1に示すように、表面部のみが
部分的に軟化ないしは溶融したPC樹脂粉粒体(1)の
その表面部と、液状ないしはロウ状となった上記添加剤
とが相互に融合し合って、PC樹脂粉粒体(1)の外表
面全域に、相溶層(3)を介して、添加剤からなるコー
ティング層(2)が形成されることとなる。
【0078】この段階まで攪拌が進むと、混合機内の内
容物、つまり樹脂組成物は、その各粒子が互いに凝集す
ることにより、樹脂組成物全体が弱く凝集し合ったブロ
ック体となり、攪拌に対する動きが緩慢となる。
【0079】つづいて、混合機を周速14m/s程度の
低速回転に切り替えるとともに、ジャケットを冷却し、
これにより樹脂組成物を冷却しながら攪拌する。そし
て、弱く凝集しあった樹脂組成物を粉砕切断して、数百
μm〜数cmの大きさの樹脂組成物、つまり本発明のP
C樹脂成形材料を形成する。
【0080】なお、樹脂組成物を冷却する場合、樹脂組
成物を、別途設置したクーリングミキサーに移送し、上
記と同様に、低速回転で混合攪拌を行なうようにしても
よい。
【0081】ところで、樹脂組成物の高速回転での攪拌
から低速回転での攪拌に切り替える場合の判断基準とし
ては、樹脂組成物の粒子が互いに凝集して、樹脂組成物
全体が弱く凝集しあったブロック体となっているものと
判別できる場合には、低速での攪拌に切り替えることと
なり、また樹脂組成物全体が、いまだブロック凝集体と
なっていないものと判別できる場合には、高速回転での
攪拌を継続することとなる。
【0082】また、この切替時点は、特定点に定められ
ているものではなく、融通性を有している。例えば、配
合される粉末状添加剤の種類や、配合物の全体量によっ
て変化する。このため、上記したような判断基準を目安
にして運転を切り替えるようにすれば、良好なPC樹脂
成形材料を得ることが可能となる。
【0083】もっとも、切替時点の判断を多少誤ったと
しても、本発明の効果が得られないというものではな
い。すなわち、低速回転に切り替えた後、内容物の混合
攪拌が不十分であると認められた場合には、再度内容物
を高速回転で攪拌し、所望の樹脂組成物を形成するよう
にすればよい。逆に、過度に攪拌が行われた場合でも、
従来の溶融混練して得られるペレット状の成形材料と比
較すると、本発明によるPC樹脂成形材料は熱履歴が少
ないため、分子量の低下も少なく、物性がさほど低下す
るようなことはない。
【0084】また、本発明においては、PC樹脂成形材
料に、図1に示すようにPC樹脂と添加剤との相溶層
(3)を、必ずしも形成する必要はない。
【0085】すなわち、PC樹脂粉粒体の表面部のみを
部分的に軟化ないしは溶融させることなく、例えばPC
樹脂粉粒体の軟化点よりも低い温度環境下において、上
記の配合を行うような場合には、相溶層(3)は形成さ
れず、PC樹脂粉粒体に、直接、添加剤からなるコーテ
ィング層が形成されることとなり、そのような場合にお
いても、本発明のPC樹脂成形材料として好適に使用す
ることができるものである。
【0086】<樹脂成形品の製法>上述したようにして
得られた樹脂組成物は、そのまま、PC樹脂成形材料と
して使用することが可能である。すなわち、従来例のよ
うに溶融混練してペレット状に形成するようなペレット
化工程を経ることなく、上記樹脂組成物を、直接、押出
成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形等の従来周知の
成形加工に供して、PC樹脂成形品を得ることとなる。
【0087】例えば、上記の樹脂組成物をPC樹脂成形
材料として用い、押出成形を行って、建築採光材、波
板、道路の側壁遮蔽板等の成形品を形成したり、射出成
形を行って、電気部品、機械部品等の成形品を形成した
り、さらにブロー成形を行って、飲料ボトル、タンク等
の成形品を形成するものである。
【0088】なお、このような成形加工においては、上
記樹脂組成物に、従来周知の配合剤を配合して、成形材
料として用いてもよい。
【0089】例えばPC樹脂以外で高分子物質の配合剤
として、具体的には、ポリエチレン、およびポリプロピ
レン等のポリオレフィン、ポリスチレン、アクリロニト
リル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体、メチルアクリレート−ブタジエ
ン−スチレン共重合体、およびスチレン−無水マイレン
酸共重合体などのスチレン系樹脂、各種アクリレートの
共重合のアクリルゴム、メタアクリル樹脂、ナイロンな
どのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、お
よびポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑ポリエス
テル樹脂、ポリ二フッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、
などを例示することができる。
【0090】また、上記添加剤以外で通常添加される配
合剤としては、上記以外のブロッキング防止剤、有機な
いし無機系着色剤、シリコンオイル、天然ないし合成
油、有機ないし無機系充填剤等の粉末もしくは液状の配
合剤、などを例示することができ、これらの配合剤を必
要に応じて、適当量を配合するようにしてもよい。
【0091】
【実施例】次に、本発明に関連した実施例、その実施例
の効果を導出するために行われた比較例、および従来例
に関連した参考例について説明する。
【0092】まず実施例、比較例および参考例で使用さ
れた原料について説明する。
【0093】
【表1】 表1に示すように、PC樹脂粉粒体としては、(A1
1)〜(A13)の3種類のものを使用した。PC樹脂
粉粒体(A11)としては、芳香族ポリカーボネート樹
脂、具体的には粘度平均分子量が2,700の粉末樹脂
(出光石油化学社製、タフロン IV−2700)を使
用し、PC樹脂粉粒体(A12)としては、芳香族ポリ
カーボネート樹脂、具体的には粘度平均分子量2,20
0の粉末樹脂(出光石油化学社製、タフロン IV−2
200)を使用し、PC樹脂粉粒体(A13)として
は、ポリエステルポリカーボネート樹脂、具体的には粘
度平均分子量2600のペレット樹脂(GE社製、レキ
サン SP−1310)を使用した。
【0094】粉末状添加剤としては、(B11)〜(B
5)の12種類のものを使用した。紫外線吸収剤(B1
1)としては、ベンゾトリアゾール系のもの、具体的に
は2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチル−フェニ
ル)ベンゾトリアゾールを使用し、紫外線吸収剤(B1
2)としては、ベンゾフェノン系のもの、具体的には2
−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンを使用し、
紫外線吸収剤(B13)としては、ヒンダードアミン系
のもの、具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメ
ルチル−4−ピペリジル)セバケートを使用した。
【0095】酸化防止剤(B21)としては、フェノー
ル系のもの、具体的には、テトラキス{メチレン−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート}メタンを使用し、酸化防止剤(B2
2)としては、リン系のもの、具体的には、トリス
(2,4−t−ブチルフェニル)ホイファイトを使用
し、酸化防止剤(B23)としては、チオエーテル系の
もの、具体的には、ペンタエリストールテトラキス(β
−ラウリル−チオプロピオネート)を使用した。
【0096】難燃剤(B31)としては、臭素系化合
物、具体的には、テトラブロモビスフェノールA(TB
A)を使用し、難燃剤(B32)としては、臭素化エポ
キシ系のもの、具体的には、テトラブロモビスフェノー
ルAとエピクロリルヒドリンの反応生成物(大日本イン
キ化学工業社製 EP−20)を使用した。
【0097】滑剤(B41)としては、高級アルコール
脂肪酸エステル系のもの、具体的には、ステアリルステ
アレートを使用し、滑剤(B42)としては、モノグリ
セライド系のもの、具体的には、グリセリンモノステア
レートを使用し、滑剤(B43)としては、脂肪酸アミ
ド系のもの、具体的には、エチレンビスステアロアミド
を使用した。
【0098】帯電防止剤(B5)としては、ソルビタン
脂肪酸エステル系のもの、具体的には、ソルビタンステ
アレートを使用した。
【0099】<実施例1> [a.成形材料の製造]下記表2に示される原料を準備
した。
【0100】
【表2】 そして、容量が100リッターのジャケット付スーパー
ミキサー(川田製作所製)のジャケット部に蒸気を通し
て、ジャケット温度を40℃に設定しておき、そのミキ
サーに、上表2の各原料を同時に投入し、その配合物
を、まず回転速度500rpmの低速運転で、3分間混
合した。このとき、配合物は充分に混合されておらず、
飛散した状態であった。
【0101】次に、回転速度1600rpmの高速運転
に切り替えて、強制的に攪拌を行った。この攪拌を継続
していくと、配合物の温度が次第に上昇し、融点の低い
添加剤から徐々に軟化していき、PC樹脂粉粒体が凝集
していき、飛散がなくなってきた。
【0102】さらに同じ条件で攪拌を継続していくと、
配合物(内容物)が流動状態となってきて、PC樹脂粉
粒体の表面に粘着性が認められ、やがて内容物の動きが
緩慢となってきた。
【0103】そして、緩慢となったところで攪拌を停止
させた。
【0104】すると、配合物、つまり樹脂組成物全体
が、弱く凝集してブロック体となっているのが観察され
た。なお、このときの樹脂組成物の温度、つまり最高温
度は150℃であった。
【0105】次に、混合機のジャケット部を冷却水で冷
却しながら、回転速度500rpmの低速運転で攪拌を
行って、樹脂組成物の温度を40℃まで冷却した後、樹
脂組成物を混合機から取り出した。このとき、混合機の
内壁には、樹脂組成物のこびり物や、付着物は認められ
ず、樹脂組成物の取出し作業をスムーズに行うことがで
きた。
【0106】また、混合機から取出された樹脂組成物
は、弱く凝集したブロック体が粉砕切断されており、サ
ラサラした粒状の粒子となっていた。
【0107】この粒状の樹脂組成物は、PC樹脂粉粒体
の外表面全域に、上記添加剤からなるコーティング層が
形成されたものであり、粒状の樹脂組成物を手のひらに
載せて強くこすっても、コーティング層が剥離して手の
ひらに付着するようなことはなく、コーティング層がP
C樹脂粉粒体に強固に固着しているのが確認できた。
【0108】またこの粒状の樹脂組成物を、ポリエチレ
ン製の袋に収容して、激しく振り回したが、ポリエチレ
ン製袋の内面に、微粉粒子が付着するようなことは認め
られず、この点からも、添加剤からなるコーティング層
がPC樹脂粉粒体に強固に固着しているのが確認でき
た。
【0109】[b.成形品の製造]上述のようにして得
られた粒状の樹脂組成物を、樹脂成形材料として用い、
下記のように成形加工を行った。
【0110】すなわち、一軸〜ベント付き、径が50m
m、長さと径の比が32(L/D=32)の押出成形機
に、前記粒状の樹脂組成物を、直接投入して、280℃
の樹脂温度で成形加工を行い、厚さ3mmの板状の成形
品を製造した。
【0111】この成形加工時において、樹脂成形材料の
押出スクリューへの噛み込みや、食い込みは良好に行わ
れ、押出負荷の変動も認められず、しかも脈動も少な
く、安定した状態で成形加工することができた。
【0112】また、得られた成形品を観察したところ、
有害な焼けやブレードの発生等が認められず、さらに透
明性等も良好であった。
【0113】つづいて、得られた成形品のアイゾット強
度(ASTM D256、Vノッチ付き)を測定したと
ころ、50kg−cm/cm以上の衝撃値を有してお
り、高い衝撃強度を備えていることが認められた。
【0114】<実施例2> [a.成形材料の製造]下表3に示される原料を準備し
た。
【0115】
【表3】 上表3の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1と
同様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒状の
樹脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度が190
℃となるように設定した。
【0116】得られた粒状樹脂組成物は、上記実施例1
と同様で、サラサラしており、手のひらに載せて強くこ
すっても、添加剤からなるコーティング層が剥離して手
のひらに付着するようなことはなく、またポリエチレン
製の袋に収容して振り回しても、袋の内面に微粉粒子が
付着するようなこともなく、コーティング層がPC樹脂
粉粒体に強固に固着しているのが確認できた。
【0117】[b.成形品の製造]こうして得られた粒
状樹脂組成物を、スクリュー径26mmの射出成形機
(日精樹脂工業社製)に投入し、射出成形を行って、厚
さ3mmの板状の成形品を製造した。
【0118】この成形加工時において、樹脂成形材料の
押出スクリューへの食い込みは良好に行われ、繰り返し
射出しても可塑化時間のバラツキは認められず安定して
いた。
【0119】また、得られた成形品を観察したところ、
有害な焼けや、気泡や、シルバストリークの発生等は認
められず、さらに透明性等も良好であった。
【0120】つづいて上記実施例1と同様に、得られた
成形品のアイゾット強度を測定したところ、50kg−
cm/cm以上の衝撃値を有しており、高い衝撃強度を
備えていることが認められた。
【0121】<実施例3> [a.成形材料の製造]下表4に示される原料を準備し
た。
【0122】
【表4】 上表4の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1、
2と同様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒
状の樹脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度が1
90℃となるように設定した。
【0123】得られた粒状樹脂組成物は、上記実施例
1、2と同様で、サラサラしており、手のひらに載せて
強くこすっても、添加剤からなるコーティング層が剥離
して手のひらに付着するようなことはなく、またポリエ
チレン製の袋に収容して振り回しても、袋の内面に微粉
粒子が付着するようなこともなく、コーティング層がP
C樹脂粉粒体に強固に固着しているのが確認できた。
【0124】[b−1.押出成形による成形品の製造]
こうして得られた粒状樹脂組成物を樹脂成形材料として
用い、上記実施例1と同様に、押出成形を行って、厚さ
3mmの板状の成形品を製造した。
【0125】この成形加工時において、樹脂成形材料の
押出スクリューへの食い込みは良好に行われ、押出負荷
の変動も認められず、脈動も少なく、安定した成形加工
を行うことができた。
【0126】また、得られた成形品を観察したところ、
有害な焼けやブレードの発生等が認められず、さらに透
明性等も良好であった。
【0127】つづいて、上記実施例1、2と同様にし
て、得られた成形品のアイゾット強度を測定したとこ
ろ、50kg−cm/cm以上の衝撃値を有しており、
高い衝撃強度を備えていることが認められた。
【0128】[b−2.射出成形による成形品の製造]
この実施例3で得られた粒状樹脂組成物を樹脂成形材料
として用い、上記実施例2と同様に、射出成形を行っ
て、厚さ3mmの板状の成形品を製造した。
【0129】このときの成形加工においても、上記実施
例2と同様で良好に行うことができ、しかもえられた成
形品も、上記各実施例と同様で良好なものであった。
【0130】また、アイゾット強度も、50kg−cm
/cm以上となり、高い衝撃強度を備えていることが認
められた。
【0131】<実施例4> [a.成形材料の製造]下表5に示される原料を準備し
た。
【0132】
【表5】 上表5の各原料からなる配合物に対し、上記実施例1と
同様な条件で混合攪拌を行い、実施例1と同様な粒状の
樹脂組成物を得た。ただし、攪拌時の最高温度が180
℃となるように設定した。
【0133】得られた粒状樹脂組成物は、上記各実施例
と同様で、サラサラしており、手のひらに載せて強くこ
すっても、添加剤からなるコーティング層が剥離して手
のひらに付着するようなことはなく、またポリエチレン
製の袋に収容して振り回しても、袋の内周面に微粉粒子
が付着するようなこともなく、添加剤からなるコーティ
ング層がPC樹脂粒状体に強固に固着しているのが確認
できた。
【0134】[b.成形品の製造]こうして得られた粒
状樹脂組成物をマスターバッチとして樹脂成形材料を形
成した。具体的には、この実施例4で得られた粒状樹脂
組成物2kgと、上表1に示すPC樹脂粉末(A11)
10kgとを、通常行われている方法に準じてタンブラ
ーで混合し、その混合物を樹脂成形材料とした。
【0135】この樹脂成形材料の組成は、PC樹脂を1
00重量部としたとき、添加剤は5.55重量部とな
る。この5.55重量部の添加剤のうち、紫外線吸収剤
(B11)は0.15重量部、酸化防止剤(B21)は
0.4重量部、難燃剤(B32)は5重量部となる。
【0136】そして、この樹脂成形材料を用いて、上記
実施例1と同様に、押出成形を行って、厚さ3mmの板
状の成形品を製造した。ただし、樹脂温度は260℃に
設定した。
【0137】この成形加工時、樹脂成形材料の押出スク
リューへの食い込みは良好に行われ、押出負荷の変動も
認められず、しかも脈動も少なく、安定した成形加工を
行うことができた。
【0138】また、得られた成形品は、有害な焼けやブ
レードの発生等が認められず、さらに透明性等も良好で
あった。
【0139】さらに成形品のアイゾット強度は50kg
−cm/cm以上となり、高い衝撃強度を備えているこ
とが認められた。
【0140】このように本願に関連した樹脂組成物をマ
スターバッチとし、周知のPC樹脂を混入した混合物
を、ペレット工程を経ることなく、そのまま樹脂成形材
料として用いても、良好に成形加工を行えるとともに、
良好な成形品を得ることができるのを確認できた。
【0141】<実施例5> [a.成形材料の製造]下表6に示される原料を準備し
た。
【0142】
【表6】 上表6の各原料からなる配合物に対し、上記実施例4と
同様な条件で混合攪拌を行い、実施例4と同様な粒状の
樹脂組成物を得た。
【0143】得られた粒状樹脂組成物は、上記各実施例
と同様で、サラサラしており、手のひらに載せて強くこ
すっても、添加剤からなるコーティング層が剥離して手
のひらに付着するようなことはなく、またポリエチレン
製の袋に収容して振り回しても、袋の内面に微粉粒子が
付着するようなこともなく、コーティング層がPC樹脂
粒状体に強固に固着しているのを確認できた。
【0144】[b.成形品の製造]こうして得られた粒
状樹脂組成物をマスターバッチとして樹脂成形材料を形
成した。具体的には、この実施例で得られた粒状樹脂組
成物6kgと、上表1に示すペレット状PC樹脂(A1
3)12kgと、ペレット状高密度ポリエチレン(融点
140℃)0.6kgを、通常行われている方法に準じ
てタンブラーで混合し、その混合物を樹脂成形材料とし
た。
【0145】この樹脂成形材料の組成は、PC樹脂(A
11)を100重量部としたとき、PC樹脂(A13)
は200重量部となり、PC樹脂(A11)にPC樹脂
(A13)を加えたものを100重量部としたとき、ポ
リエチレンは3.33重量部で、添加剤は4.43重量
部となる。さらに、この4.43重量部の添加剤のう
ち、紫外線吸収剤(B11)は0.3重量部、酸化防止
剤(B21)は0.4重量部、酸化防止剤(B22)は
0.4重量部、難燃剤(B31)は3.33重量部とな
る。
【0146】そして、この樹脂成形材料を用いて、上記
実施例1と同様に、押出成形を行い、厚さ3mmの板状
の成形品を製造した。ただし、樹脂温度は255℃に設
定した。
【0147】この成形加工時、樹脂成形材料の押出スク
リューへの食い込みは良好に行われ、押出負荷の変動も
認められず、しかも脈動も少なく、安定した成形加工を
行うことができた。
【0148】また、得られた成形品は、有害な焼けやブ
レードの発生等が認められず、良好なものであった。
【0149】さらに成形品のアイゾット強度も30kg
−cm/cm以上の衝撃値を有しており、高い衝撃強度
を備えていることが認められた。
【0150】このように本願に関連した樹脂組成物をマ
スターバッチとし、PC樹脂以外の高分子物質を混入し
た混合物を、ペレット工程を経ることなく、そのまま樹
脂成形材料として用いても、良好に成形加工を行えると
ともに、良好な成形品を得ることができるのを確認でき
た。
【0151】<比較例1、2、3> [a.成形材料の製造]上記の表2ないし表4に示すよ
うに、実施例1、2、3と同様な組成および同様な配合
量からなる配合物を、それぞれ実施例1と同様の混合機
を用いて混合し、比較例1、2、3の混合物を得た。こ
のときの混合条件は、ジャケット温度を60℃、回転速
度を500rpm、混合時間を3分間に設定した。
【0152】比較例1、2、3のいずれにおいても、混
合中、内容物に流動性は認められなかった。
【0153】また、得られた混合物は、いずれもサラサ
ラしておらず、手のひらに載せてこすると手のひらに添
加剤の微粉粒子が多数付着した。さらにポリエチレン製
の袋に収容して振り回すと、袋の内面に微粉粒子が多数
付着した。この点から、添加剤とPC樹脂粉粒体とが分
離しているのが判った。
【0154】[b−1.押出成形]比較例1、3の混合
物をそれぞれ樹脂成形材料として、上記実施例1と同様
に、押出成形を行い、厚さ3mmの板状の成形品の製造
を試みた。
【0155】比較例1、3のいずれの成形加工時におい
ても、樹脂成形材料の押出スクリューへの食い込みが不
十分となって、押出負荷が変動して、脈動が激しくな
り、3mm板の成形品を安定して得ることができなかっ
た。
【0156】また、比較例1、3の成形加工において部
分的に得られた厚さ3mmの板状の成形品を、実施例
1、3と同様にして、アイゾット強度を測定したとこ
ろ、いずれも、25kg−cm/cm以下の衝撃値しか
有しておらず、衝撃強度が低いものであることが認めら
れた。
【0157】[b−2.射出成形]比較例2、3の混合
物をそれぞれ樹脂成形材料として用い、上記実施例2、
3と同様に、射出成形を行って、厚さ3mmの板状の成
形品の製造を試みた。
【0158】比較例2、3のいずれの成形加工時におい
ても、樹脂成形材料の押出スクリューへの食い込みが不
十分となって、成形材料が成形機内部で滞留し、その滞
留部で成形材料に分解が発生した。その結果、黄色に変
色し、美観上好ましくない成形品しか得ることができな
かった。
【0159】<比較例4、5> [a.成形材料の製造]上記の表5および表6に示すよ
うに、実施例4、5と同様な組成および同様な配合量か
らなる配合物を、それぞれ比較例1〜3と同様にして混
合し、比較例4、5の混合物を得た。
【0160】得られた混合物は、いずれもサラサラして
おらず、手のひらに載せてこすると手のひらに添加剤の
微粉粒子が多数付着した。さらにポリエチレン製の袋に
収容して振り回すと、袋の内面に微粉粒子が多数付着し
た。
【0161】[b.成形加工]比較例4の混合物をマス
ターバッチとし、実施例4と同様に、PC樹脂粉末(A
11)を混入して、樹脂成形材料を形成した。
【0162】そして、この樹脂成形材料を用いて、実施
例4と同様な押出成形を試みたが、分離した添加剤が先
に溶解し、押出スクリューへの食い込みが不十分となっ
て、全く成形加工することができなかった。
【0163】比較例5の混合物をマスターバッチとし、
実施例5と同様に、ペレット状PC樹脂(A13)およ
びペレット状高密度ポリエチレン(融点140℃)を混
入して、樹脂成形材料とした。
【0164】そして、この樹脂成形材料を用いて、実施
例5と同様な押出成形を試みたが、上記比較例4と同様
な理由で、全く成形加工することができなかった。
【0165】これらの比較例から判断すると、本発明と
同様な組成を有している配合物であっても、単に混合し
ただけでは、良好な成形材料とは成り得ないことが判
る。
【0166】<比較例6> [a.成形材料の製造]上記の表5に示すように、実施
例4と同様な組成からなる配合物を、実施例4と同様な
条件で混合した。ただし、この配合物中のPC樹脂粉粒
体(A11)の配合量は実施例4と同様で、添加剤の配
合量はそれぞれ2倍とし、100重量部のPC樹脂粉粒
体(A11)に対し、添加剤の配合量を66.6重量部
とした。
【0167】この混合において、低速運転から高速運転
に切り替えたとき、添加剤の飛散はなくなってきたが、
内容物が流動状態とならず、内容物の上部のみが凝集し
てブロック体となり、内容物の下部において攪拌羽が空
回りして、内容物の攪拌が部分的にしか行われなかっ
た。
【0168】また、この混合によって得られた樹脂組成
物は、添加剤のみが部分的に凝縮することにより形成さ
れたアメ色状の塊が多く点在していた。この塊部分は、
手で振れると簡単に潰れてしまい、PC樹脂粉粒体から
分離しているものであった。つまり、添加剤は、PC樹
脂粉粒体の表面を被覆することなく、分離して凝縮され
ていた。
【0169】[b.成形加工]この比較例6で得られた
樹脂組成物をマスターバッチとし、実施例4と同様に、
PC樹脂粒状体(A11)を混入して樹脂成形材料とし
た。
【0170】そして、この樹脂成形材料を用いて、実施
例4と同様な押出成形を試みたが、押出スクリューへの
食い込みが不十分となって、全く成形加工することがで
きなかった。
【0171】この比較例から判断すると、本発明の製法
にしたがっていても、添加剤の配合量が規定量以上の樹
脂成形材料を用いて、成形加工を行うと、良好な成形品
を得るのが困難となることが判る。
【0172】<比較例7>PC樹脂粉粒体(A11)に
変えて、平均粒径3.5mmのペレット状のPC樹脂
(三菱化成製ノバレックス7027)を用いた以外は、
実施例1と同様な組成および同様な配合量からなる配合
物を用いて、実施例4と同様な条件で混合した。
【0173】この混合において、低速運転から高速運転
に切り替えたとき、添加剤の飛散はなくならず、添加剤
のみが凝縮して混合機の内壁に付着する等、充分に混合
させることができなかった。
【0174】また、この混合物を用いて、実施例4と同
様な押出成形を試みたが、押出スクリューへの食い込み
が不十分となって、全く成形加工することができなかっ
た。
【0175】この比較例から判断すると、本発明の製法
にしたがっていても、PC樹脂粉粒体の粒径が規定以上
の樹脂成形材料を用いて、成形加工を行うと、良好な成
形品を得るのが困難となることが判った。
【0176】<参考例>上記の表5に示すように、実施
例4と同様な組成および配合量からなる配合物を混合
し、この混合物を二軸のスクリュータイプ押出機を用い
て、260℃の温度で溶融混練し、その混練物をペレッ
ト化して、ペレット状の樹脂組成物を得た。
【0177】このペレット状の樹脂組成物をマスターバ
ッチとし、実施例4と同様に、PC樹脂粉粒体(A1
1)を混入して、樹脂成形材料を形成した。
【0178】この樹脂成形材料を用いて、実施例4と同
様に押出成形を行って、厚さ3mmの板状の成形品を製
造した。
【0179】このときの成形加工は、実施例4と同様
で、良好に行うことができた。
【0180】また、得られた成形品も、その外観は、実
施例4と同様で、良好なものであった。
【0181】しかしながら、この参考例の成形品は、実
施例4の成形品よりも、強度等の物性で劣っていた。す
なわち、参考例の成形品はアイゾット強度が15〜50
kg−cm/cm程度で、粘度平均分子量は25,80
0となっていた。これに対し、実施例4の成形品は、ア
イゾット強度が50kg−cm/cm以上で、粘度平均
分子量も26,300となっており、強度等の物性に優
れているのが判る。
【0182】<結論>本発明に関連した実施例では、成
形材料を、ペレット化工程を経ることなく、直接、成形
加工に供することが可能であり、その成形加工も良好に
行える上、成形品の強度等の物性も優れていた。なお物
性が優れている理由としては、参考例のようにペレット
化を図るための溶融混練工程がない分、熱履歴が少ない
ためであると考えられる。
【0183】また本実施例では、多大なエネルギーが必
要なペレット化工程を必要としないので、エネルギーを
節約できて、コストの低減も期待することができるもの
と思われる。
【0184】
【発明の効果】以上のように、第1の発明のポリカーボ
ネート樹脂成形材料によれば、実質的にポリカーボネー
ト樹脂からなるPC樹脂粉粒体と、そのPC樹脂粉粒体
の表面に形成された添加剤のコーティング層とを備える
ため、直接、成形加工に供することが可能で、その成形
加工によって良好な成形品を得ることができるととも
に、コストも低減できるという第1の効果が得られる。
【0185】第2の発明のポリカーボネート樹脂成形材
料の製造方法によれば、上記第1の発明のポリカーボネ
ート樹脂成形材料の製造プロセスを特定しているため、
上記第1の効果を得ることができる成形材料を製造でき
るという第2の効果が得られる。
【0186】第3の発明のポリカーボネート樹脂成形品
の製造方法によれば、第1の発明のポリカーボネート樹
脂成形材料を成形加工に供する方法を特定しているた
め、上記第1の効果とほぼ同様な効果、つまり良好な成
形品を得ることができるとともに、コストも低減できる
という第3の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のポリカーボネート樹脂成形材料の一
例を模式化して示す断面図である。
【符号の説明】
1…PC樹脂粉粒体 2…コーティング層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】PC樹脂粉粒体は、平均粒径が、0.05
mm以上で3mm以下のものが使用でき、その中でも平
均粒径が0.1mm以上で1.8mm以下のものが好適
に使用される。平均粒径が0.05mmに満たないもの
を使用すると、後述する混合時に飛散により均一に混合
できなくなったり、場合によっては粉塵爆発の恐れもあ
り、好ましくない。また、平均粒径がmmを越える
と、充分に分散させることができず混合が不十分とな
り、良好な成形品を得ることが困難となり、好ましくな
い。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の代表
的なものとしては、具体的に、2−(2−ヒドロキシ−
5−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2
−ヒドロキシ−3−5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブ
チル−5−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ジ−t−ブ
チル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2
−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチル−フェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−5−ジ
−t−アミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6,−テトラ−
ヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルーフェニ
ル]−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス−
[4−(1,1,3,3,−テトラメチル)−6−(2
N−ベエゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2
−[2−ヒドロキシ−3−5−ビス(α,α,−ジメチ
ルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
フェノール−2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−(1,1−ジエチルネチル)−6、などを例
示することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】臭素化合物の代表的なものとしては、具体
的に、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモジフ
ェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ジ
ブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート、テ
トラブロモビスフェノールA(TBA)、テトラビスフ
ェノールA、テトラビスフェノールS、臭素化エポキシ
樹脂の誘導体、ブロム化スチレン、などを例示すること
ができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】天然ワックス系の代表的なものとして、具
体的には、蜜ロウ、カルナウバックス等天然ワックス
類、などを例示することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正内容】
【0093】
【表1】 表1に示すように、PC樹脂粉粒体としては、(A1
1)〜(A13)の3種類のものを使用した。PC樹脂
粉粒体(A11)としては、芳香族ポリカーボネート樹
脂、具体的には粘度平均分子量が27,000の粉末樹
脂(出光石油化学社製、タフロン IV−2700)を
使用し、PC樹脂粉粒体(A12)としては、芳香族ポ
リカーボネート樹脂、具体的には粘度平均分子量22,
000の粉末樹脂(出光石油化学社製、タフロン IV
−2200)を使用し、PC樹脂粉粒体(A13)とし
ては、ポリエステルポリカーボネート樹脂、具体的には
粘度平均分子量26,000のペレット樹脂の粉砕品
(GE社製、レキサン SP−1310)を使用した。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にポリカーボネート樹脂(以下
    「PC樹脂」と称する)からなるPC樹脂粉粒体と、 前記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全域を被覆し、かつ融
    点が前記PC樹脂粉粒体の融点よりも低い添加剤によっ
    て形成されたコーティング層と、 を備えてなることを特徴とするポリカーボネート樹脂成
    形材料。
  2. 【請求項2】 前記添加剤は、紫外線吸収剤、酸化防止
    剤、難燃剤、滑剤および帯電防止剤の中から、一種また
    は二種以上選択されたものからなる請求項(1)に記載
    のポリカーボネート樹脂成形材料。
  3. 【請求項3】 前記添加剤は融点が230℃以下のもの
    からなる請求項(1)または(2)に記載のポリカーボ
    ネート樹脂成形材料。
  4. 【請求項4】 前記PC樹脂粉粒体は、その嵩密度が
    0.4〜0.75g/mlで、かつ平均粒径が0.05
    〜3mmである請求項(1)ないし(3)のいずれかに
    記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  5. 【請求項5】 実質的にポリカーボネート樹脂からなる
    PC樹脂粉粒体と、融点が前記PC樹脂粉粒体の融点よ
    りも低い粉状ないしは粒状の添加剤とが配合された配合
    物を加熱下に混合することにより、前記PC樹脂粉粒体
    は実質的に溶融させない状態で、前記添加剤を軟化ない
    しは溶融させて、その添加剤をもって前記PC樹脂粉粒
    体の外表面ほぼ全域を被覆する工程と、 前記PC樹脂粉粒体を被覆する添加剤層を固化して、コ
    ーティング層を形成する工程と、 を含んでなることを特徴とするポリカーボネート樹脂成
    形材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記配合物中のPC樹脂粉粒体を100
    重量部としたとき、前記配合物中の添加剤は0.1〜5
    0重量部に設定されてなる請求項(5)に記載のポリカ
    ーボネート樹脂成形材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 実質的にポリカーボネート樹脂からなる
    PC樹脂粉粒体と、前記PC樹脂粉粒体の外表面ほぼ全
    域を被覆し、かつ融点が前記PC樹脂粉粒体の融点より
    も低い添加剤によって形成されたコーティング層とを備
    えてなるPC樹脂成形材料を、直接、成形加工に供する
    ことにより、ポリカーボネート樹脂成形品を得ることを
    特徴とするポリカーボネート樹脂成形品の製造方法。
JP5526493A 1993-03-16 1993-03-16 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法 Pending JPH06263975A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5526493A JPH06263975A (ja) 1993-03-16 1993-03-16 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5526493A JPH06263975A (ja) 1993-03-16 1993-03-16 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06263975A true JPH06263975A (ja) 1994-09-20

Family

ID=12993746

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5526493A Pending JPH06263975A (ja) 1993-03-16 1993-03-16 ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06263975A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1215234A1 (de) * 2000-12-12 2002-06-19 SàœD-West-Chemie Gmbh Verfahren zur Herstellung härtbarer Formmassen für den Einsatz in Kommutatoren und Schleifringkörpern
JP2011137129A (ja) * 2009-09-18 2011-07-14 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及びそれからなる成形品
JP2011140615A (ja) * 2009-12-07 2011-07-21 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及びそれからなる成形品

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1215234A1 (de) * 2000-12-12 2002-06-19 SàœD-West-Chemie Gmbh Verfahren zur Herstellung härtbarer Formmassen für den Einsatz in Kommutatoren und Schleifringkörpern
JP2011137129A (ja) * 2009-09-18 2011-07-14 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及びそれからなる成形品
JP2011140615A (ja) * 2009-12-07 2011-07-21 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及びそれからなる成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100995718B1 (ko) 할로겐-프리 방염성 폴리카보네이트 조성물
TWI540157B (zh) 用以改善碳黑分散性之方法
JPS5891736A (ja) 充填剤の顆粒化方法
CN100558802C (zh) 具有改进的脱模性能、包含芳香聚碳酸酯和/或聚酯的热塑性组合物
JPH0662837B2 (ja) 難燃性ポリブチレンテレフタレート組成物
ES2585386T3 (es) Uso de mezclas para la preparación de composiciones termoplásticas modificadas contra el impacto
JP2003511506A (ja) 熱可塑性ポリマー配合物の連続製造方法および装置ならびにそれらの使用
JP2888721B2 (ja) ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法
JPH06263975A (ja) ポリカーボネート樹脂成形材料およびその製造方法、並びにポリカーボネート樹脂成形品の製造方法
JP5380947B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物および成形品
US4487886A (en) Process for the production of an object from an ABS-polymer composition
JP2019006866A (ja) ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び成形体
JP3478445B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP2004359913A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物およびその製造方法
JPH0684465B2 (ja) 改良着色ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法
JPS61261349A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3101157B2 (ja) ポリカーボネート成形材料ペレットの製造方法
WO2023074796A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物ペレット及びその製造方法
JP2023066411A (ja) 熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造方法
JPH07304942A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
JP6713202B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びこれを用いた成形品
CN118159596A (zh) 热塑性树脂组合物球粒及其生产方法
JP2001323150A (ja) 導電性樹脂組成物
JPH0768445B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP6730050B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法