JP6730050B2 - ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物の製造法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、その優れた透明性、耐衝撃性、耐熱性、及び難燃化しやすいといった特徴を活かし、電気・電子機器、自動車、照明機器、アミューズメント製品、シート・フィルム、ボトルといった多くの用途に採用されている。
ポリカーボネート樹脂に意匠性を付与するため、ポリカーボネート樹脂にカーボンブラック、酸化チタン、顔料、有機染料等の着色剤を配合して得られるポリカーボネート樹脂組成物が知られている。中でもカーボンブラックは安価であり、ポリカーボネート樹脂への悪影響も少なく、さらにポリカーボネート樹脂組成物に耐候性を付与できることから、着色剤として有望視されている。
このようなポリカーボネート樹脂組成物の製造方法として、下記特許文献1に記載の方法が知られている。下記特許文献1では、ポリカーボネート樹脂とカーボンブラックとを溶融混練して着色用マスターバッチを得たのち、このマスターバッチとポリカーボネート樹脂とを溶融混練する方法が開示されている。
特開平6−345951号公報
上記特許文献1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法では、カーボンブラックが予め着色用マスターバッチ中に含まれているため、2次凝集等が起こりにくく、このような着色用マスターバッチとポリカーボネート樹脂とを溶融混練して得られるポリカーボネート樹脂組成物を成形して成形品を得ると、その成形品の表面に見られるブツやピンホールは一般には少なくなる。
しかし、最近では、特に自動車内外装品及びOA機器ハウジングなどにおいては、求められる外観に対する要求レベルが高まっており、成形品の外観に対して更なる改善が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、良好な外観を有する成形品を製造することが可能なポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)と、カーボンブラック(B1)と、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)と、滑剤(B3)とを含むポリカーボネート樹脂組成物を製造するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、前記カーボンブラック(B1)と、前記スチレン系熱可塑性樹脂(B2)と、前記滑剤(B3)とを含むマスターバッチ原料を溶融混練し、マスターバッチ(B)を準備するマスターバッチ準備工程と、前記ポリカーボネート樹脂(A)と前記マスターバッチ(B)とを押出機を用いて溶融混練し、溶融混練物を得る溶融混練工程と、前記溶融混練物を前記押出機から押し出す押出工程とを含み、前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が12,000〜40,000であり、前記ポリカーボネート樹脂(A)及び前記マスターバッチ(B)の合計中の前記ポリカーボネート樹脂(A)の配合割合が80〜99.95質量%であり、前記マスターバッチ原料において、前記カーボンブラック(B1)及び前記スチレン系熱可塑性樹脂(B2)の合計中の前記カーボンブラック(B1)の配合割合が5〜60質量%であり、前記滑剤(B3)が脂肪族カルボン酸のエステル化物であり、前記脂肪族カルボン酸のエステル化物が、多価アルコールと、炭素数10〜19の脂肪族カルボン酸とのエステル化物であり、前記マスターバッチ原料が、前記カーボンブラック(B1)及びスチレン系熱可塑性樹脂(B2)の合計100質量部に対して、前記滑剤(B3)を0.01〜30質量部の割合で含むポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、カーボンブラック(B1)の分散不良や凝集によるブツやピンホールの発生が抑制され、良好な外観を有する成形品を製造することが可能なポリカーボネート樹脂組成物を製造することができる。また、脂肪族カルボン酸のエステル化物が、多価アルコールと、炭素数10〜19の脂肪族カルボン酸とのエステル化物以外である場合と比べて、カーボンブラック(B1)の分散性がさらに改善するとともに、成形品の離形時の離形性も改善する。
上記効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、ポリカーボネート樹脂(A)及びマスターバッチ(B)の合計中のポリカーボネート樹脂(A)の配合割合を大きくし、マスターバッチ準備工程において、マスターバッチ原料中のカーボンブラック(B1)の濃度を下げることにより、溶融混練工程においてポリカーボネート樹脂(A)中にカーボンブラック(B1)を分散させる際のカーボンブラック(B1)の局所的な濃度を下げることが出来、結果としてポリカーボネート樹脂(A)中に均一に分散させることができる。また、溶融混練工程において、粘度平均分子量を12,000〜40,000のポリカーボネート樹脂(A)を用いることで、ポリカーボネート樹脂(A)が、その使用可能な温度領域(すなわち溶融温度以上の温度)において、マスターバッチ(B)の混練に十分な溶融樹脂粘度に到達し、マスターバッチ(B)を均一に分散させることが可能となる。これらのことから、ポリカーボネート樹脂(A)とマスターバッチ(B)との親和性が向上し、分散不良や凝集によるブツやピンホールが抑制され、良好な外観を有する成形品を製造することが可能なポリカーボネート樹脂組成物が得られるのではないかと本発明者らは推測している。
上記製造方法において、前記カーボンブラック(B1)の吸油量が20〜140ml/100gであることが好ましい。
この場合、カーボンブラック(B1)の吸油量が上記範囲から外れる場合と比べて、カーボンブラック(B1)がスチレン系熱可塑性樹脂(B2)により分散しやすくなる。
上記製造方法において、前記カーボンブラック(B1)の平均粒径が5〜50nmであることが好ましい。
この場合、カーボンブラック(B1)の平均粒径が上記範囲から外れる場合と比べて、カーボンブラック(B1)がスチレン系熱可塑性樹脂(B2)中に、より分散しやすくなる。
上記製造方法において、前記脂肪族カルボン酸のエステル化物が、グリセリントリステアレート及びペンタエリスリトールテトラステアレートからなる群より選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
この場合、滑剤(B3)の分子量が十分に大きくなり、成形時の揮発量が低下する。
上記製造方法において、前記ポリカーボネート樹脂(A)のメルトフローレート(以下、「MFR」と呼ぶ)が前記スチレン系熱可塑性樹脂(B2)のMFRよりも大きいことが好ましい。
この場合、ポリカーボネート樹脂(A)のMFRがスチレン系熱可塑性樹脂(B2)のMFR以下である場合と比べて、マスターバッチ(B)がポリカーボネート樹脂(A)中に、より分散しやすくなる。
上記製造方法において、前記押出工程において、前記押出機の吐出部の温度が330℃以下であることが好ましい。
この場合、押出機の吐出部の温度が330℃より高い場合と比べて、より良好な外観を有する成形品を製造することが可能なポリカーボネート樹脂組成物を製造することができる。
本発明によれば、良好な外観を有する成形品を製造することが可能なポリカーボネート樹脂組成物を製造することができるポリカーボネート樹脂組成物の製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法により製造されるポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート(以下、本明細書において「PC」と呼ぶ)樹脂(A)と、カーボンブラック(B1)と、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)と、滑剤(B3)とを含む。
本発明のPC樹脂組成物の製造方法は、カーボンブラック(B1)と、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)と、滑剤(B3)とを含むマスターバッチ(以下、本明細書において「MB」と呼ぶ)原料を溶融混練し、MBを準備するMB準備工程と、PC樹脂(A)とMBとを、押出機を用いて溶融混練し、溶融混練物を得る溶融混練工程と、溶融混練物を押出機から押し出す押出工程とを含む。ここで、PC樹脂(A)の粘度平均分子量は12,000〜40,000であり、PC樹脂(A)及びMB(B)の合計中のPC樹脂(A)の配合割合は80〜99.95質量%である。
また上記MB準備工程において、カーボンブラック(B1)及びスチレン系熱可塑性樹脂(B2)の合計中のカーボンブラック(B1)の配合割合は5〜60質量%であり、カーボンブラック(B1)及びスチレン系熱可塑性樹脂(B2)の合計100質量部に対する滑剤(B3)の配合割合は0.01〜30質量部である。
本発明の製造方法によれば、良好な外観を有する成形品を製造することが可能なPC樹脂組成物を製造することができる。
以下、上記MB準備工程、溶融混練工程及び押出工程について詳細に説明する。
<MB準備工程>
MB準備工程は、カーボンブラック(B1)、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)及び滑剤(B3)を含むMB原料を溶融混練してMBを準備する工程である。
(B1)カーボンブラック
カーボンブラック(B1)は、PC樹脂組成物に黒色を付与するためのものである。
カーボンブラック(B1)の平均粒径は特に制限されるものではないが、5〜50nmであることが好ましい。この場合、カーボンブラック(B1)の平均粒径が上記範囲を外れる場合に比べて、カーボンブラック(B1)がスチレン系熱可塑性樹脂(B2)に分散しやすくなる。カーボンブラック(B1)の平均粒径は10〜30nmであることがより好ましい。ここで、平均粒径とは、各カーボンブラックの粒径の平均値を言い、粒径とは、走査型電子顕微鏡で1個のカーボンブラック(B1)を観察した場合に、そのカーボンブラック(B1)を横切る直線とカーボンブラック(B1)の輪郭との2つ交点間の距離の最大値を言うものとする。
カーボンブラック(B1)の吸油量は特に制限されるものではないが、吸油量は20〜140ml/100gであることが好ましい。この場合、カーボンブラック(B1)の吸油量が上記範囲を外れる場合に比べて、カーボンブラック(B1)がスチレン系熱可塑性樹脂(B2)に分散しやすくなる。カーボンブラック(B1)の吸油量は40〜100ml/100gであることがより好ましい。
カーボンブラック(B1)のBET比表面積は特に制限されるものではないが、30〜400m/gであることが好ましい。この場合、カーボンブラック(B1)のBET比表面積が上記範囲を外れる場合に比べて、カーボンブラック(B1)が異分子であるスチレン系熱可塑性樹脂(B2)に取り込まれやすくなるので、カーボンブラック(B1)の凝集がより十分に抑制され、PC樹脂組成物が成形品に対してより良好な外観を付与できる。カーボンブラック(B1)のBET比表面積は50〜300m/gであることがより好ましい。
MB(B)においては、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)及びカーボンブラック(B1)の合計中のカーボンブラック(B1)の配合割合は特に制限されるものではないが、5〜60質量%である。この場合、カーボンブラック(B1)の配合割合が5質量%未満である場合に比べて、カーボンブラック(B1)の分散効率が上がる。またカーボンブラック(B1)の配合割合が60質量%を超える場合に比べて、溶融混練時の溶融粘度を制御できる。
カーボンブラック(B1)の配合割合は好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5質量%である。
(B2)スチレン系熱可塑性樹脂
スチレン系熱可塑性樹脂(B2)は、スチレン単位を含有する熱可塑性樹脂であればよく、具体的には、スチレン系単量体の単独重合体、又は、スチレン系単量体とこのスチレン系単量体と共重合可能な他のビニル単量体およびゴム成分からなる群より選ばれる1種以上との共重合体で構成される。ここで、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)成分中のゴム成分の含有量は50質量%未満である。ゴム成分の含有量は好ましくは45質量%未満である。
上記スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。特にスチレンが好ましい。さらにこれらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
上記スチレン系単量体と共重合可能な他のビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアクリル酸アリールエステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物が挙げられる。
上記スチレン系単量体と共重合可能なゴム成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸アルキルエステルまたは/およびメタクリル酸アルキルエステルとブタジエンの共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体等のジエン系共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪族ビニルとの共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体等のエチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できないように相互に絡み合った構造を有している複合ゴム(以下、「IPN型ゴム」と呼ぶ)等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性樹脂(B2)としては、例えばポリスチレン(AS樹脂)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS樹脂)、水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(水添SBS樹脂)、水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(水添SIS樹脂)、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体(MAS樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)、スチレン−IPN型ゴム共重合体等の樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。
これらの中でもポリスチレン(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)及びメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS樹脂)からなる群より選択される1種または2種以上を混合して使用することが好ましく、中でもABS樹脂、AS樹脂が最も好ましい。
(B3)滑剤
滑剤(B3)は、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)に対するカーボンブラック(B1)の分散性を向上させることができるものであれば特に限定されず、滑剤(B3)としては、高級炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪族アミド、金属石鹸、脂肪族カルボン酸のエステル化物などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
中でも、脂肪族カルボン酸のエステル化物が好ましい。この場合、脂肪族カルボン酸のエステル化物以外の滑剤を用いる場合と比べて、比較的安価で、低毒性であり、尚且つ十分なカーボンブラック(B1)の分散性向上効果も得られる。脂肪族カルボン酸のエステル化物は、アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルであればよいが、多価アルコールと、炭素数10〜19の脂肪族カルボン酸のエステル化物であることが好ましい。この場合、脂肪族カルボン酸のエステル化物が、多価アルコールと、炭素数10〜19の脂肪族カルボン酸とのエステル化物以外である場合と比べて、カーボンブラック(B)の分散性がさらに改善するとともに、成形品の離形時の離形性も改善する。
多価アルコールとしては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。中でもグリセリン及びペンタエリスリトールが好ましい。
炭素数10〜19の脂肪族カルボン酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸などが挙げられる。中でもステアリン酸が好ましい。
多価アルコールと、炭素数10〜19の脂肪族カルボン酸のエステル化物は部分エステル化物でもフルエステル化物でもよいが、フルエステル化物がより好ましい。このような脂肪族カルボン酸のフルエステル化物としては、例えばペンタエリスリトールテトラステアレート、グリセリントリステアレート、及び、プロピレングリコールジステアレートなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。中でも、脂肪族カルボン酸のフルエステル化物としては、ペンタエリスリトールテトラステアレート、グリセリントリステアレート又はこれらの混合物が好ましい。この場合、滑剤(C)の分子量が十分に大きくなり、成形時の揮発量が低下する。
滑剤(B3)は、上記MB原料中でカーボンブラック(B1)及びスチレン系熱可塑性樹脂(B2)の合計100質量部に対して0.01〜30質量部の割合で含まれている。この場合、滑剤(B3)の配合割合が0.01質量部未満である場合に比べて、カーボンブラック(B1)の分散性が向上する。また滑剤(B3)の配合割合が30質量部を超える場合に比べて、高い混練効率を確保できる。カーボンブラック(B1)及びスチレン系熱可塑性樹脂(B2)の合計100質量部に対する滑剤(B3)の配合割合は、0.100〜10.000質量部であることが好ましく、0.300〜1.000質量部であることがより好ましい。
(MBの製造方法)
MB(B)は、カーボンブラック(B1)、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)及び滑剤(B3)を含むMB原料を溶融混練し、溶融混練により得られる溶融混練物を押し出してから冷却し、ペレタイザーを用いてペレット化することにより得ることができる。
溶融混練は、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー、加圧ニーダーなどによって行うことができる。このうち、押出機を使用しない方法でMBを製造する際には、冷却後に粉砕機にかけることによって、微粉砕物として取り扱う。
MB(B)を溶融混練する際の温度は、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)が溶融し得る温度であればよく、特に制限されるものではないが、通常230〜285℃であり、好ましくは240〜280℃である。
なお、溶融混練を行う前に、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)及びカーボンブラック(B1)を、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合してもよい。
<溶融混練工程>
溶融混練工程は、MB準備工程で得られたMB(B)と、PC樹脂(A)とを押出機を用いて溶融混練し、溶融混練物を得る工程である。
(A)PC樹脂
上記樹脂成分を構成するPC樹脂(A)としては、芳香族PC樹脂、脂肪族PC樹脂、芳香族−脂肪族PC樹脂が挙げられる。PC樹脂(A)としては、芳香族PC樹脂が好ましい。
芳香族PC樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン又は炭酸のジエステルとを重合させることによって得られる。芳香族PC樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等の従来法によることができる。
本発明に使用される芳香族PC樹脂の原料の一つである芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的なものとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
上記芳香族PC樹脂を製造する場合、上記芳香族ジヒドロキシ化合物に、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量添加してもよい。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物のなかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましい。上記芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
分岐した芳香族PC樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどを前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよく、その使用量は、該芳香族ジヒドロキシ化合物を基準(100モル%)として0.01〜10モル%となる量であり、好ましくは0.1〜2モル%となる量である。
エステル交換法による重合においては、ホスゲンの代わりに炭酸ジエステルがモノマーとして使用される。炭酸ジエステルの代表的な例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表される置換ジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート(DPC)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
また、上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで炭酸ジエステルの一部を置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
エステル交換法により芳香族PC樹脂を製造する際には、通常、触媒が使用される。触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が使用される。中でもアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が特に好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。エステル交換法では、上記触媒をp−トルエンスルホン酸エステル等で失活させることが一般的である。
芳香族PC樹脂として好ましいものは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるPC樹脂又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるPC共重合体が挙げられる。また、難燃性等を付与する目的で、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させることができる。芳香族PC樹脂は、原料の異なる2種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよく、分岐構造を0.5モル%まで含有していてもよい。
PC樹脂(A)の粘度平均分子量は、12,000〜40,000である。ここで、粘度平均分子量とは、溶媒としてメチレンクロライドを用い、20℃の温度で測定した溶液粘度より換算した値を言う。PC樹脂(A)は、粘度平均分子量の異なる2種以上のPC樹脂を混合してもよく、粘度平均分子量が上記好適範囲外であるPC樹脂を混合し、上記粘度平均分子量の範囲内としてもよい。PC樹脂(A)の粘度平均分子量は、より好ましくは15,500〜22,500であり、さらに好ましくは16,000〜22,000である。この場合、PC樹脂(A)が、その使用可能な温度領域(すなわち溶融温度以上の温度)において、MB(B)との混練に十分な溶融樹脂粘度に到達し、MB(B)を均一に分散させることが可能となる。
PC樹脂(A)は、PC樹脂(A)及びMB(B)の合計中に80〜99.95質量%の割合で配合される。この場合、PC樹脂(A)及びMB(B)の合計中のPC樹脂(A)配合割合が80質量%未満である場合に比べて、PC樹脂(A)としての物性のバランスを維持することができる。またPC樹脂(A)及びMB(B)の合計中のPC樹脂(A)配合割合が80〜99.95質量%であると、PC樹脂(A)及びMB(B)の合計中のPC樹脂(A)配合割合が99.95質量%を超える場合に比べて、カーボンブラック(B1)の分散性を確保することができる。PC樹脂(A)及びMB(B)の合計中のPC樹脂(A)配合割合は85.0〜99.95質量%であることが好ましく、88.0〜99.95質量%であることがより好ましい。
PC樹脂(A)のMFRは、MB(B)中のスチレン系熱可塑性樹脂(B2)のMFRよりも大きくてもよいし、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)のMFR以下であってもよいが、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)のMFRよりも大きいことが好ましい。この場合、ポリカーボネート樹脂(A)のMFRがスチレン系熱可塑性樹脂(B2)のMFR以下である場合と比べて、MB(B)がPC樹脂(A)中に、より分散しやすくなる。ここで、MFRは、ある一定温度での溶融プラスチックの流動性の尺度であり、単位はg/10分で表される。ここで、PC樹脂(A)のMFRは、280℃、160kgfの条件下で測定される値を言い、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)のMFRは200℃、5kgfの条件下で測定される値を言う。
(押出機)
MB(B)とPC樹脂(A)とを溶融混練する場合には押出機が用いられる。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機のいずれも使用可能であるが、単軸押出機が好ましい。この場合、二軸押出機を用いる場合と比べ、PC樹脂(A)の剪断応力によるMB(B)中のカーボンブラック(B2)の破砕が起こりにくく、より良好な外観を有する成形品を製造することが可能なPC樹脂組成物を得ることができる。
単軸押出機のスクリューとしては、例えばダルメージ型スクリュー、ダムフライトスクリュー及びフルフライト型スクリューが挙げられる。中でも、単軸押出機のスクリューは、フルフライトスクリューであることが好ましい。フルフライト型スクリューは、棒状のスクリュー本体部と、スクリュー本体部に設けられ、スクリュー本体部の一端から他端にわたってら旋状に設けられているフライトとで構成されるスクリューである。ここで、スクリュー本体部は、材料供給部、可塑化部及び計量部を有し、材料供給部、可塑化部及び計量部におけるフライトのら旋のピッチは互いに異なっている。
この場合、例えばダルメージ若しくはダムフライトスクリュー等を有する単軸押出機を用いる場合と比べ、PC樹脂(A)の剪断応力によるカーボンブラック(B2)の破砕が起こりにくく、より良好な外観を有する成形品を製造することが可能なPC樹脂組成物を得ることができる。
PC樹脂組成物を製造する際の単軸押出機のバレル温度は、PC樹脂(A)及びスチレン系熱可塑性樹脂(B1)が溶融する温度であればよく、特に制限されるものではないが、通常260〜320℃であり、好ましくは270〜300℃である。スクリューの回転数は特に制限されるものではないが、通常100〜400rpm、好ましくは150〜300rpmである。
単軸押出機により押し出される押出物は、例えば水槽等で冷却することが好ましい。また押出物は通常、ペレタイザー等を用いてペレット化される。
<押出工程>
押出工程は、溶融混練物を押出機から押し出す工程である。
上記押出機の吐出部の温度はPC樹脂(A)およびMBを溶融させることが可能な温度であれば特に制限されるものではないが、330℃以下であることが好ましい。この場合、押出機の吐出部の温度が330℃より高い場合と比べて、より良好な外観を有する成形品を製造することが可能なPC樹脂組成物が得られる。
押出機の吐出部の温度は好ましくは320℃以下であり、より好ましくは310℃以下である。但し、押出機の吐出部の温度は好ましくは280℃以上であることが好ましい。
<用途>
本発明の製造方法により得られるPC樹脂組成物は、例えば自動車内外装品(ドアハンドル、ヘッドランプエスカッション、フェンダー、ルーフレール、アンテナカバー及びピラーなど)及びOA機器ハウジング(複写機ハウジング;ラップトップ、タブレット及びスマートフォンの筐体)などに適用可能である。
以下、実施例によって本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において用いた材料は次の通りである。
(A)PC樹脂
1)A−1
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロンS3000N」
(粘度平均分子量:21,000、MFR:15.0g/10分)
2)A−2
三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーピロンH4000N」
(粘度平均分子量:15,000、MFR:63.0g/10分)
(B)MB
(B1)カーボンブラック
(B1−1)三菱化学社製、商品名「#850」
(平均粒径:17nm、吸油量:77ml/100g、BET比表面積:220m/g)
(B1−2)三菱化学社製、商品名「#30」
(平均粒径:30nm、吸油量:104ml/100g、BET比表面積:74m/g)
(B1−3)三菱化学社製、商品名「#650B」
(平均粒径:22nm、吸油量:114ml/100g、BET比表面積:124m/g)
(B2)スチレン系熱可塑性樹脂
DIC社製、商品名「CR−3500」、MFR:8.0g/10分
(B3)滑剤
ペンタエリスリトールテトラステアレート
コグニス・オレオケミカルズジャパン社製、商品名「ロキシオールVPG 861」
(実施例1)
カーボンブラック(B1)42.1質量部、分散樹脂としてのスチレン系熱可塑性樹脂(B2)57.9質量部、及び滑剤(B3)5.26質量部を計量し、温度を200℃以上に設定した加圧ニーダーで溶融混練した。そして、加圧ニーダーから取り出した混練物を冷却した後、粉砕し、微粉状のマスターバッチであるMB−1を得た(表1参照)。
続いて、表2に示す配合割合(単位は質量部)となるようにPC樹脂(A)及びMB(B)を配合し、タンブラーミキサーで均一に混合し、混合物を得た。その後、この混合物を、フルフライトスクリュー及びベントを備えた単軸押出機(製品名「VS−40」、いすず化工機社製)に供給し、スクリュー回転数70rpm、吐出量10kg/時間、バレル温度280℃の条件で溶融混練し、押出ノズル先端からストランド状に押出し、押出物を得た。このとき、押出機の吐出部の温度は305℃とした。そして、押出物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてカットすることにより、PC樹脂組成物のペレットを作製した。
(実施例2)
表2に示す配合割合(単位は質量部)となるようにPC樹脂(A)及びMB(B)を配合したこと以外は実施例1と同様にしてPC樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例3)
押出機の吐出部の温度を305℃から319℃に変更したこと以外は実施例1と同様にしてPC樹脂組成物のペレットを作成した。
(比較例1)
分散樹脂として、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)の代わりにPC樹脂(A−2)を用いたこと以外はMB−1と同様にしてMB(B)を準備した。これをMB−2とした(表1参照)。
続いて、表2に示す配合割合(単位は質量部)となるようにPC樹脂(A)及びMB(B)を配合したこと以外は実施例1と同様にしてPC樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例2)
カーボンブラック(B1−1)の代わりにカーボンブラック(B1−2)を用いたこと以外はMB−2と同様にしてMB(B)を準備した。これをMB−3とした(表1参照)。
続いて、表2に示す配合割合(単位は質量部)となるようにPC樹脂(A)及びMB(B)を配合し、押出機の吐出部の温度を305℃から302℃に変更したこと以外は実施例1と同様にしてPC樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例3)
カーボンブラック(B1−1)の代わりにカーボンブラック(B1−3)を用いたこと以外はMB−2と同様にしてMB(B)を準備した。これをMB−4とした(表1参照)。
続いて、表2に示す配合割合(単位は質量部)となるようにPC樹脂(A)及びMB(B)を配合し、押出機の吐出部の温度を305℃から304℃に変更したこと以外は実施例1と同様にしてPC樹脂組成物のペレットを得た。
<外観の評価>
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたPC樹脂組成物について外観の評価を行った。具体的には、以下のようにして外観の評価を行った。
まず実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたPC樹脂組成物のペレットを、120℃で5時間以上乾燥した。その後、PC樹脂組成物ペレットを、射出成形機(名機製作所製「M150AII−SJ型」)に投入し、この射出成形機において280℃に設定したシリンダー内に20分間保持した後、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、厚さ1.0mmの部分と、厚さ2.0mmの部分と、厚さ3.0mmの部分とを有する3段プレートを射出成形した。こうして得られた3段プレートについて、目視にて表面のブツ及びピンホールの有無を確認した。結果を表2に示す。表2の「A」〜「D」の評価基準は以下の通りとした。なお、合格基準は以下の通りとした。

(評価基準)
A:ブツ及びピンホールが2個以下
B:ブツ及びピンホールが2個より多く5個以下
C:ブツ及びピンホールが5個より多く10個以下
D:ブツ及びピンホールが10個より多い

(合格基準)
基準がA〜Cであること

Figure 0006730050
Figure 0006730050
表2に示す結果より、実施例1〜3は、外観の点で合格基準を満足することがわかった。これに対し、比較例1〜3は、外観の点で合格基準を満足しないことがわかった。
以上より、本発明のPC樹脂組成物の製造方法によれば、良好な外観を有する成形品を製造することが可能なPC樹脂組成物を得ることができることが確認された。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)と、カーボンブラック(B1)と、スチレン系熱可塑性樹脂(B2)と、滑剤(B3)とを含むポリカーボネート樹脂組成物を製造するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
    前記カーボンブラック(B1)と、前記スチレン系熱可塑性樹脂(B2)と、前記滑剤(B3)とを含むマスターバッチ原料を溶融混練し、マスターバッチ(B)を準備するマスターバッチ準備工程と、
    前記ポリカーボネート樹脂(A)と前記マスターバッチ(B)とを押出機を用いて溶融混練し、溶融混練物を得る溶融混練工程と、
    前記溶融混練物を前記押出機から押し出す押出工程とを含み、
    前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が12,000〜40,000であり、
    前記ポリカーボネート樹脂(A)及び前記マスターバッチ(B)の合計中の前記ポリカーボネート樹脂(A)の配合割合が80〜99.95質量%であり、
    前記マスターバッチ原料において、前記カーボンブラック(B1)及び前記スチレン系熱可塑性樹脂(B2)の合計中の前記カーボンブラック(B1)の配合割合が5〜60質量%であり、
    前記滑剤(B3)が脂肪族カルボン酸のエステル化物であり、前記脂肪族カルボン酸のエステル化物が、多価アルコールと、炭素数10〜19の脂肪族カルボン酸とのエステル化物であり、
    前記マスターバッチ原料が、前記カーボンブラック(B1)及びスチレン系熱可塑性樹脂(B2)の合計100質量部に対して、前記滑剤(B3)を0.01〜30質量部の割合で含むポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記カーボンブラック(B1)の吸油量が20〜140ml/100gである請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記カーボンブラック(B1)の平均粒径が5〜50nmである請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記脂肪族カルボン酸のエステル化物が、グリセリントリステアレート及びペンタエリスリトールテトラステアレートからなる群より選ばれる少なくとも1種からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂(A)のメルトフローレートが前記スチレン系熱可塑性樹脂(B2)のメルトフローレートよりも大きい請求項1〜のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記押出工程において、前記押出機の吐出部の温度が330℃以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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