JP2022178794A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2022178794A
JP2022178794A JP2021085842A JP2021085842A JP2022178794A JP 2022178794 A JP2022178794 A JP 2022178794A JP 2021085842 A JP2021085842 A JP 2021085842A JP 2021085842 A JP2021085842 A JP 2021085842A JP 2022178794 A JP2022178794 A JP 2022178794A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
molecular weight
resin
mass
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021085842A
Other languages
English (en)
Inventor
惇 桑原
Atsushi Kuwahara
雅博 上田
Masahiro Ueda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2021085842A priority Critical patent/JP2022178794A/ja
Publication of JP2022178794A publication Critical patent/JP2022178794A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、表面硬度、耐衝撃性、溶融流動性および射出流動性に優れ、白化等の成形不良が抑えられた成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算分子量の分布が多峰性であり、10,000以上30,000未満の分子量範囲に第1の極大値を有し、30,000以上60,000未満の分子量範囲に第2の極大値を有するポリカーボネート樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、を含む樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物および成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂からなる成形体は、機械強度、耐熱性、電気特性、寸法安定性、難燃性、透明性等に優れることから、各種機器(電気機器、電子機器、OA機器等)の部材(筐体等)、光記録媒体、自動車部品、建築部材等に広く用いられている。
一方で、ポリカーボネート樹脂からなる成形体は、表面硬度が低い傾向があることから、自動車ヘッドランプや電気機器筐体、電子機器筐体、各種シート類等、耐傷つき性が求められる用途への展開が制限されている。そこで、特許文献1では、ポリカーボネート樹脂に表面硬度向上剤として(メタ)アクリル樹脂を配合したポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、上記ポリカーボネート樹脂組成物においては、溶融流動性および射出流動性が不十分であるとともに、ポリカーボネート樹脂と表面硬度向上剤((メタ)アクリル樹脂)との相溶性が不十分であることから、得られる成形体に白化等の成形不良が生じていた。
そこで、特許文献2では、ポリカーボネート樹脂と表面硬度向上剤((メタ)アクリル樹脂)との相溶性を向上させる目的で、ポリカーボネートオリゴマーを配合する方法が提案されている。
特開2010-116501号公報 特開2018-76459号公報
しかしながら、特許文献2に記載されるような樹脂組成物を基に得られる成形体は、耐衝撃性が不十分であるとともに、低分子量成分の揮発によってシルバーストリーク等の外観不良が生じる場合があった。
そこで、本発明は、表面硬度、耐衝撃性、溶融流動性および射出流動性に優れ、白化等の成形不良が抑えられた成形体を得ることができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[1]ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算分子量の分布が多峰性であり、10,000以上30,000未満の分子量範囲に第1の極大値を有し、30,000以上60,000未満の分子量範囲に第2の極大値を有するポリカーボネート樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、を含む樹脂組成物。
[2](メタ)アクリル樹脂(B)がメチルメタクリレートに由来する構成単位を50質量%以上含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記ポリカーボネート樹脂(A)が、粘度平均分子量が8,000以上18,000未満のポリカーボネート樹脂(A-1)と、粘度平均分子量が18,000以上であるポリカーボネート樹脂(A-2)と、を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記ポリカーボネート樹脂(A-1)と前記ポリカーボネート樹脂(A-2)の合計100質量%における前記ポリカーボネート樹脂(A-2)の割合が、50質量%以上95質量%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]前記(メタ)アクリル樹脂(B)が、さらにフェニルメタクリレートに由来する構成単位を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明の樹脂組成物は、表面硬度、耐衝撃性、溶融流動性および射出流動性に優れ、白化等の成形不良が抑えられた成形体を得ることができる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「構成単位」とは、単量体が重合することによって形成された単量体に由来する構成単位、または重合体を処理することによって構成単位の一部が別の構造に変換された構成単位を意味する。
「質量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算分子量の分布が多峰性であり、10,000以上30,000未満の分子量範囲に第1の極大値を有し、30,000以上60,000未満の分子量範囲に第2の極大値を有するポリカーボネート樹脂(A)と、メチルメタクリレートに由来する構成単位を50質量%以上有する(メタ)アクリル樹脂(B)と、を含む。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂(A)は樹脂組成物に含まれる成分である。
ポリカーボネート樹脂(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の分子量分布曲線が多峰性であり、10,000以上30,000未満の分子量範囲に少なくとも第1の極大値と、30,000以上60,000未満の分子量範囲に少なくとも第2の極大値と、を有する。なお、ポリカーボネート樹脂(A)は、第1の極大値及び第2の極大値以外の極大値を有していてもよい。例えば、10,000未満の分子量範囲及び/又は60,000以上の分子量範囲において、1以上の別の極大値を有していてもよい。また、10,000以上30,000未満の分子量範囲において、第1の極大値以外に1以上の別の極大値を有していてもよく、同様に、30,000以上60,000未満の分子量範囲において、第2の極大値以外に1以上の別の極大値を有していてもよい。ポリカーボネート樹脂(A)の分子量の極大値が上記範囲内にあると、得られる成形体の衝撃強度、表面外観、溶融流動性及び射出成形性に優れる傾向にある。
上記のなかでも、ポリカーボネート樹脂(A)は、15,000以上30,000未満の分子量範囲に第1の極大値を有することが好ましく、20,000以上30,000未満の分子量範囲に第1の極大値を有することが特に好ましい。また、ポリカーボネート樹脂(A)は、30,000以上50,000未満の分子量範囲に第2の極大値を有することが好ましく、30,000以上40,000未満の分子量範囲に第2の極大値を有することが特に好ましい。
ここで、GPCの測定方法は以下の通りである。
温度23℃、相対湿度50%の清浄な空気の環境下に置かれたGPC測定装置(東ソー(株)製「HLC8220」)を用い、カラムとして東ソー(株)製「TSKgel SuperMultiporeHZ-H」(内径4.6mm×長さ15cm×2本、排除限界4×10(推定))、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)、標準物質として昭和電工社製Showdex STANDARD SM-105を用い、THF1ml当たり1mgの試料を溶解した溶液を、GPC測定装置に10μL注入し、カラム温度40℃および流量0.35ml/分の条件によりGPC測定を行う。得られた分子量分布曲線より、各峰のピークトップ分子量(Mp)を求め、これを極大値として採用する。
多峰性の分子量分布曲線の各峰が重なり、不分離である場合は、市販のデータ解析ソフトウェア等を用いてピーク分離し、各峰のピークトップ分子量(Mp)を求めることができる。
ポリカーボネート樹脂(A)は、重合過程で上記分子量範囲において、第1の極大値と、第2の極大値と、を有するよう調整して製造してもよく、上記分子量範囲に第1の極大値を有するポリカーボネート樹脂(A-1)と、上記分子量範囲に第2の極大値を有するポリカーボネート樹脂(A-2)と、を混合してポリカーボネート樹脂(A)を製造してもよい。
ポリカーボネート樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(A-2)を混合してポリカーボネート樹脂(A)を製造する場合、ポリカーボネート樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(A-2)の合計量100質量%におけるポリカーボネート樹脂(A-2)の質量比率は、特段の制限はないが、5質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましく、一方、95質量%以下であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂(A-2)の割合が5質量%以上であると、成形体の表面硬度が向上する傾向にある。ポリカーボネート樹脂(A-2)の質量比率が95質量%以下であると、成形体の白化が抑制される傾向にある。
ポリカーボネート樹脂(A-1)の粘度平均分子量は、8,000以上であることが好ましく、8,500以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましく、12,000以上であることが特に好ましく、一方、18,000以下であることが好ましく、17,000以下であることがより好ましく、16,000以下であることがさらに好ましく、15,000以下が特に好ましい。粘度平均分子量が8,000以上であると、成形体の衝撃性に優れ、さらにシルバーストリークが抑制される傾向にある。また、粘度平均分子量が18,000以下であると樹脂組成物の溶融流動性に優れるとともに、成形体の白化が抑制される傾向にある。
ポリカーボネート樹脂(A-2)の粘度平均分子量は、18,000以上であることが好ましく、21,000以上であることがさらに好ましく、一方、ポリカーボネート樹脂(A-2)の粘度平均分子量は、40,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂(A-2)の粘度平均分子量が18,000以上であると、成形体の表面硬度が優れる傾向にある。また、ポリカーボネート樹脂(A-2)の粘度平均分子量が40,000以下であることにより、樹脂組成物の溶融流動性に優れる傾向にある。
また、本発明でいう粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネート樹脂0.7gをジクロロメタン100mLに溶解し、20℃で測定した比粘度(ηsp)から、次式にて求めることができる。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]^2c
[η]=1.23×10^(-4)×(Mv^0.83)
(ここで[η]は極限粘度を示し、c=0.7g/dL)
ポリカーボネート樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(A-2)とのブレンド体は、フレークやペレット状態の各樹脂材料をスーパーミキサー等で混合する方法や、塩化メチレンのような良溶媒に各樹脂材料を溶解させ、その樹脂溶液同士をブレンド・撹拌した後、脱気押出または析出・乾燥等にて前記良溶媒を除去する方法等により、作製することが可能である。
ポリカーボネート樹脂(A)は、主鎖に炭酸エステル結合(-O-C(O)-O-)を有する高分子化合物であればよく、特に制限はない。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応によって製造される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。具体的には、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法によって反応させて製造されたものが挙げられ、より具体的には、2価フェノールとホスゲンとを反応させて製造されたもの、2価フェノールとジフェニルカーボネート等とをエステル交換法によって反応させて製造されたものが挙げられる。
2価フェノールとしては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールC〕、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、およびこれらのハロゲン置換体等が挙げられる。これらの他に、2価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等が挙げられる。
2価フェノールとしては、コストの点から、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。
2価フェノールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げられ、具体的には、ホスゲン、2価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)は、分岐構造を有していてもよい。ポリカーボネート樹脂(A)に分岐構造を導入するための分岐剤としては、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸、イサチンビス(o-クレゾール)等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部とを有する共重合体であってもよく、この共重合体を含むポリカーボネート樹脂であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)は、エステル前駆体、すなわちテレフタル酸等の2官能性カルボン酸またはそのエステル形成誘導体等の存在下で、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるポリエステル-ポリカーボネート樹脂であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の製造の際には、分子量の調節のために、フェノール、p-t-ブチルフェノール、p-t-オクチルフェノール、p-クミルフェノール等を用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(A-2)を混合してポリカーボネート樹脂(A)を製造する場合、ポリカーボネート樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(A-2)は、それぞれ同じ構成成分を有するポリカーボネート樹脂であってもよいし、異なる構成成分を有するポリカーボネート樹脂であってもよい。ポリカーボネート樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(A-2)を混合してポリカーボネート樹脂(A)を製造する場合、上記のなかでも、ポリカーボネート樹脂(A-1)が芳香族ポリカーボネートであり、ポリカーボネート樹脂(A-2)は芳香族ポリカーボネートまたはポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部とを有する共重合体である組み合わせが好ましい。
本実施形態において、10,000以上30,000未満の分子量範囲に第1の極大値を有するポリカーボネート樹脂成分は、30,000以上60,000未満の分子量範囲に第2の極大値を有するポリカーボネート樹脂成分および(メタ)アクリル樹脂(B)の双方に相溶であるため、相容化剤として作用する。このため、成形体の白化の程度が改良する。同様に、ポリカーボネート樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(A-2)を混合してポリカーボネート樹脂(A)を製造する場合のポリカーボネート樹脂(A-2)は、ポリカーボネート樹脂(A-1)および(メタ)アクリル樹脂(B)の双方に相溶であるため、相容化剤として作用する。このため、成形体の白化の程度が改良する。
<(メタ)アクリル樹脂(B)>
本実施形態に係る樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(B)を含む。
(メタ)アクリル樹脂(B)は、(メタ)アクリル樹脂(B)100質量%における(メタ)アクリレートに由来する構成単位が50質量%以上の樹脂を意味する。なかでも、(メタ)アクリル樹脂(B)は、メチルメタクリレートに由来する構成単位(b1)を、(メタ)アクリル樹脂(B)の構成単位の合計100質量%中、50質量%以上含むことが好ましい。メチルメタクリレートに由来する構成単位(b1)の含有率は、成形体の表面硬度が向上することから、50~100質量%であることが好ましく、60~95質量%であることがより好ましく、70~90質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(B)は、フェニルメタクリレートに由来する構成単位(b2)を有してもよい。フェニルメタクリレートに由来する構成単位(b2)の含有率は、成形体の光学特性に優れる傾向にあることから、(メタ)アクリル樹脂(B)の構成単位の合計100質量%中、0~50質量%であることが好ましく、5~40質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(B)は、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート以外の他の単量体に由来する構成単位(b3)を有してもよい。他の単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニルアクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート単量体;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、o-エチルスチレン、p-クロロスチレン、o-クロロスチレン、2,4-ジクロロスチレン、p-メトキシスチレン、o-メトキシスチレン、2,4-ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸;N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体を挙げることができる。これらの他の単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。他の単量体としては、成形体の耐熱性に優れる観点から、メチルアクリレートが好ましい。
他の単量体に由来する構成単位(b3)の含有率は、成形体の耐熱性が向上することから、(メタ)アクリル樹脂(B)の構成単位の合計100質量%中、0~50質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、1~5質量%であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(B)の質量平均分子量は3,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがさらに好ましく、一方、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることがさらに好ましい。質量平均分子量が3,000以上であると、成形体の表面硬度が向上する傾向にある。質量平均分子量が100,000以下であると、加工性が向上する傾向にある。
(メタ)アクリル樹脂(B)の製造方法として、公知の懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等を挙げることができる。回収方法が容易なことから、懸濁重合および乳化重合が好ましい。
<樹脂組成物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)および(メタ)アクリル樹脂(B)を含む。本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じてポリカーボネート樹脂(A)および(メタ)アクリル樹脂(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。
(メタ)アクリル樹脂(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、10質量部以上であることが特に好ましく、一方、150質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル樹脂(B)の含有量が0.1質量部以上であれば、成形体の表面硬度が優れる傾向にある。(メタ)アクリル樹脂(B)の含有量が150質量部以下であれば、成形体の耐熱性が優れる傾向にある。
(他の成分)
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、求核剤、難燃化剤等)、各種フィラー(ガラス、マイカ、ゴム粒子等)等を含んでいてもよい。これらは公知の添加剤、フィラー等を使用することができる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、(メタ)アクリル樹脂(B)と、必要に応じて他の成分を溶融混練することによって製造することができる。溶融混練装置としては、例えば、バンバリーミキサ、ニーダ、ロール、ニーダールーダ、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等が挙げられる。
<成形体>
本実施形態に係る樹脂組成物を成形することにより成形体を得ることができる。
成形方法としては、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の公知の方法が挙げられる。なかでも、成形方法としては、所望の形状に成形できる点から、射出成形法、押出成形法が好ましい。
以下に本発明を実施例により説明する。実施例において、「部」は「質量部」を示す。
重合体の各構成単位の割合および質量平均分子量の求め方、ならびに成形体の評価方法は、下記のとおりである。
(構成単位の割合)
重合体の各構成単位の割合は、単量体の仕込み量から計算した。
(質量平均分子量)
テトラヒドロフラン(THF)に溶解した重合体について、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって溶出曲線を測定し、標準ポリスチレンによる検量線を基に重合体の質量平均分子量を算出した。
[原料]
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ポリカーボネート樹脂(A-1)
LC1500PURE:出光興産(株)製、タフロンLC1500PURE、粘度平均分子量=14,000、GPC分子量ピーク=26,000
AL-071:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ユーピロンAL-071、粘度平均分子量=5,000、GPC分子量ピーク=7,000
(2)ポリカーボネート樹脂(A-2)
S-3000:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、製品名:ユーピロンS-3000、粘度平均分子量=21,000、GPC分子量ピーク=36,000
(製造例1)
分散剤(1)の合成:
撹拌機、冷却管および温度計を備えた容量1200Lの反応容器内に、17質量%の水酸化カリウム水溶液61.6部、メチルメタクリレート19.1部および脱イオン水19.3部を仕込んだ。反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、さらに4時間撹拌した。この後、反応装置内の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
撹拌機、冷却管および温度計を備えた容量1050Lの反応容器内に、脱イオン水900部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム水溶液10部およびメチルメタクリレート12部を入れて撹拌し、反応容器内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業社製、V-50)0.08部を添加し、さらに60℃に昇温した。昇温後、メチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤(1)を得た。
(製造例2)
(メタ)アクリル樹脂(B-1)の製造:
撹拌機、冷却管および温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水200部、硫酸ナトリウム0.3部および製造例1で製造した分散剤(1)(固形分10質量%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレート78.5部、フェニルメタクリレート20部、メチルアクリレート1.5部、1-オクタンチオール2部、重合開始剤としてAMBN(日油(株)製、2,2-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、商品名)0.3部を加え、水性分散液とした。次いで、重合装置内を十分に窒素置換し、水性分散液を75℃に昇温してから3時間保持した後に85℃に昇温して1.5時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、(メタ)アクリル樹脂(B-1)の水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、75℃で18時間乾燥して、(メタ)アクリル樹脂(B-1)を得た。
(メタ)アクリル樹脂(B-1)の質量平均分子量は14,000であった。
(実施例1~3、比較例1~2)
ポリカーボネート樹脂(A-1)、ポリカーボネート(A-2)および(メタ)アクリル樹脂(B)を表1に示す割合でポリエチレン製の袋に入れ、ポリエチレン製の袋を手でよく振ってハンドブレンドした後、混合物を、二軸押出機(池貝社製、PCM30)を用いて250℃で溶融混練し、押出されたストランドをカットし、各樹脂組成物のペレットを得た。
得られた各樹脂組成物ペレットを80℃で10時間乾燥させたのち、下記の条件で射出成形し、評価用の試験片を作製し、下記の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
射出成形機 :住友重機械工業(株)製、SE100DU(製品名)
シリンダー温度:280℃、金型温度:90℃
試験片A:長さ100mm×幅50mm×厚み2mm
試験片B:長さ80mm×幅10mm×厚み4mm
(鉛筆硬度)
JIS K5600-5-4に準拠し、試験片Aの鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度が高いほど、耐傷つき性に優れると言え、好ましい。
(成形外観(白化))
試験片Aを目視で確認し、白化が見られなかった場合を○、白化が見られた場合を×とした。白化が見られない方が好ましい。
(耐衝撃性評価)
試験片Bに対して、ISO 179-1に準拠したTYPE Aのノッチを刻み、23℃および40℃においてシャルピー衝撃強度を測定した。数値が高いほど、耐衝撃性が良好と言え、好ましい。
(溶融流動性)
前記の二軸押出機による混練で得られた各樹脂組成物ペレットを、80℃で10時間乾燥させたのち、メルトインデクサー(立山科学工業社製、L227-42(L220タイプ))を用いて、JIS K 7210に準拠し、測定温度300℃、荷重1.2kgの条件で、メルトマスフローレート値(MFR値)を測定した。
MFR値が大きいほど、溶融流動性に優れると言え、好ましい。
(射出流動性)
前記の二軸押出機による混練で得られた各樹脂組成物ペレットを、80℃で10時間乾燥させたのち、下記の条件で15回射出成形し、そのスパイラルフロー長さの平均値(SFL値)を算出した。SFL値が大きいほど、射出流動性に優れると言え、好ましい。
射出成形機 :住友重機械工業(株)製、SE100DU(商品名)
シリンダー温度:300℃、金型温度:90℃、射出速度:32mm/sec、射出圧:72MPa、成形品厚み:2mm、成形品幅:10mm
Figure 2022178794000001
比較例1は、ポリカーボネート樹脂(A)の分子量分布曲線が単峰性であり、GPCの分子量極大値を10,000以上30,000未満の範囲を有さなかったため、溶融流動性および射出流動性が低位であり、成形体の白化部位のヘーズも大きかった。
比較例2は、ポリカーボネート樹脂(A)の分子量分布曲線は多峰性であったが、分子量極大値を10,000以上30,000未満の範囲に有さなかったため、衝撃強度が低位であった。

Claims (6)

  1. ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算分子量の分布が多峰性であり、10,000以上30,000未満の分子量範囲に第1の極大値を有し、30,000以上60,000未満の分子量範囲に第2の極大値を有するポリカーボネート樹脂(A)と、
    (メタ)アクリル樹脂(B)と、を含む樹脂組成物。
  2. (メタ)アクリル樹脂(B)がメチルメタクリレートに由来する構成単位を50質量%以上含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂(A)が、粘度平均分子量が8,000以上18,000未満のポリカーボネート樹脂(A-1)と、粘度平均分子量が18,000以上であるポリカーボネート樹脂(A-2)と、を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂(A-1)と前記ポリカーボネート樹脂(A-2)の合計100質量%における前記ポリカーボネート樹脂(A-2)の割合が、50質量%以上95質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(メタ)アクリル樹脂(B)が、さらにフェニルメタクリレートに由来する構成単位を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
JP2021085842A 2021-05-21 2021-05-21 ポリカーボネート樹脂組成物および成形体 Pending JP2022178794A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021085842A JP2022178794A (ja) 2021-05-21 2021-05-21 ポリカーボネート樹脂組成物および成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021085842A JP2022178794A (ja) 2021-05-21 2021-05-21 ポリカーボネート樹脂組成物および成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022178794A true JP2022178794A (ja) 2022-12-02

Family

ID=84239290

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021085842A Pending JP2022178794A (ja) 2021-05-21 2021-05-21 ポリカーボネート樹脂組成物および成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022178794A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5620035B1 (ja) レーザーダイレクトストラクチャリング用樹脂組成物、樹脂成形品、およびメッキ層付樹脂成形品の製造方法
JP3516908B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品
EP2253668B1 (en) Fluidity improver for aromatic polycarbonate resin, process for producing the fluidity improver for aromatic polycarbonate resin, aromatic polycarbonate resin composition, and molded product
JP6565652B2 (ja) (メタ)アクリル系共重合体、樹脂組成物及びその成形体
JP2010116501A (ja) 表面硬度向上剤、熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
KR20050085454A (ko) 고 유동성 엔지니어링 열가소성 조성물 및 이로부터 제조된제품
JP2011137158A (ja) 優れた耐スクラッチ性及び衝撃強度を有するポリカーボネート樹脂組成物
US10066038B2 (en) Polycarbonate-based thermoplastic resin composition and product using same
JP6373201B2 (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成型して得られたトイレ装置用樹脂成型体
JP7220792B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品
JP5107163B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、及びこれを用いた射出成形品
CN112341778A (zh) 聚碳酸酯树脂组合物及使用其生产的汽车模制品
JP6166147B2 (ja) 樹脂組成物およびその製造方法
KR101440732B1 (ko) 폴리카보네이트계 열가소성 수지 조성물 및 이를 이용한 제품
JP2022178794A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物および成形体
US10941290B2 (en) Polycarbonate resin composition and molded product using the same
JP2018076459A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物および成形体
KR102395473B1 (ko) 감소된 광택 및 우수한 내화학성을 갖는 조성물 및 열가소성 성형 배합물
JP5880307B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品
JP2019199602A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂成形体
JP2019210376A (ja) Pc/abs樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂成形体
JP6246643B2 (ja) 表面硬度向上剤、熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
KR20140086738A (ko) 수지 조성물 및 이를 포함한 성형품
JP5534289B2 (ja) エンジニアリングプラスチック用溶融張力向上剤、熱可塑性樹脂組成物及び成形体
JP2016129962A (ja) 成形体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240126