JP5380947B2 - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Description

本発明は、線膨張係数が小さく、耐衝撃性、特に低温面衝撃強度に優れ、良好な表面外観を有し、流動性および溶融安定性に優れる成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、成形品および車両用外装部品に関するものである。
近年、自動車の燃費向上、地球温暖化防止を目的として車体重量の軽量化が望まれており、自動車外装部品においては、アルミニウムやスチール材から熱可塑性樹脂への代替が検討されている。しかし、熱可塑性樹脂は、アルミニウムやスチール材に比べて、線膨張係数が大きいため、寸法精度に劣ることが課題となっていた。
一方、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とのブレンド物は、機械的性質、耐熱性、耐薬品性などに優れていることから、エンジニアリングプラスチックとして、幅広く用いられている。更に近年では、耐衝撃性や剛性を改良するために、ゴム質重合体や無機充填材を配合する。かかる無機充填材としては、例えば天然鉱物である珪酸塩鉱物の粉砕物や、各種の合成ウイスカーおよび合成珪酸塩無機充填材などが例示される。
しかし線膨張係数が小さい熱可塑性樹脂を得るためには、多量の無機充填材を配合する必要があり、これらの無機充填材のほとんどは塩基性であることから、芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ポリエステル樹脂からなる樹脂マトリックスに配合された場合、成形加工時に、特にカーボネート結合の分解が促進され、芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量の低下による強度低下を誘起する。
これらの課題を解決するために特許文献1では芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、タルクおよび特定の有機リン酸エステルを配合してなる樹脂組成物が提案されている。特許文献2では、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、塩基性無機充填材および特定のホスファイト安定剤を配合してなる樹脂組成物が提案されている。
しかし、特許文献1では特定の有機リン酸エステル、特許文献2では特定のホスファイト安定剤を配合することにより、溶融安定性が改良されているが十分でなく、線膨張係数と溶融安定性を高度に両立する樹脂組成物は得られていない。
特許文献3では、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、特定構造のワラステナイト、ゴム質重合体を配合してなる樹脂組成物が提案されている。しかしながら高フィラー量における溶融安定性の改良方法は示されていない。
特許文献4では、ポリカーボネート樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、グラフト共重合体および有機酸カーボネート樹脂を配合してなり、特定構造を形成する樹脂組成物が提案されている。しかしながら充填材の添加に関する一般記載はあるが、好ましい配合量の記載はなく、それに伴う優れた効果についても記載されていない。
特開平6−49343号公報 特開2004−359913号公報 特開2007−254611号公報 特開2006−249163号公報
本発明の目的は、線膨張係数が小さく、耐衝撃性、特に低温面衝撃強度に優れ、良好な表面外観を有し、流動性および溶融安定性に優れる成形品を与える熱可塑性樹脂組成物、成形品を得ることにある。
本発明者らは前記問題点を解決するために鋭意研究を行なった結果、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とからなるブレンド物に特定の無機充填材を配合し、且つ有機酸を配合した組成物を使用すると、線膨張係数が小さく、耐衝撃性、特に低温面衝撃強度に優れ、良好な表面外観を有し、流動性および溶融安定性に優れる成形品が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)(A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)芳香族ポリエステル樹脂、(C)塩基性無機充填材および(D)有機酸を配合してなる樹脂組成物であって、
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量%として、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂1〜99重量%、(B)芳香族ポリエステル樹脂1〜99重量%であり、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として、(C)塩基性無機充填材が25〜150重量部、(D)有機酸が0.001〜5重量部からなり、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とが構造周期0.001〜1.0μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造を有し、(D)有機酸が無水マレイン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、および酸変性のシロキサンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物
(2)(C)塩基性無機充填材がタルク、マイカ、合成スメクタイト、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(3)更に(E)ゴム質重合体を(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として、1〜50重量部配合してなることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載された熱可塑性樹脂組成物からなる成形品、
を提供するものである。
本発明によれば、線膨張係数が小さく、耐衝撃性、特に低温面衝撃強度に優れ、良好な表面外観を有し、流動性および溶融安定性に優れる組成物を提供することができる。加えて上記の熱可塑性樹脂組成物は、各種成形品として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用される(A)芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン或いは炭酸ジエステル等のカーボネート前駆体と反応させることにより容易に製造される。反応は公知の方法、例えば、ホスゲンを用いる場合は界面法により、又炭酸ジエステルを用いる場合は溶融状で反応させるエステル交換法等が採用される。
上記原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]が代表的である。その他、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用されるが、これらの他にピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル類を混合して使用してもよい。更に、フロログルシン等の多官能性化合物を併用した分岐を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することも出来る。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、ホスゲン、またはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類が挙げられる。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、好ましくは10,000〜50,000であり、より好ましくは15,000〜40,000であり、最も好ましくは18,000〜30,000である。
所望の分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、末端停止剤或いは分子量調節剤を用いる方法や重合反応条件の選択等公知の方法が採用される。
本発明を構成する(B)芳香族ポリエステル樹脂とは、(イ)ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体、(ロ)ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体、(ハ)ラクトンから選択された一種以上を重縮合してなる重合体または共重合体であり、液晶性を示さないポリエステルである。
上記ジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸単位およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
また、上記ジオールあるいはそのエステル形成性誘導体としては、炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ダイマージオールなど、あるいは分子量200〜100000の長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど、芳香族ジオキシ化合物すなわち、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど、及びこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
また、上記ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。上記ラクトンとしてはカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどを挙げることができる。
これらの重合体ないしは共重合体の具体例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ビスフェノールA(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレ−ト)、ポリプロピレンナフタレート、ポリプロピレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)テレフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)/ビスフェノールA、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)/ビスフェノールAなどの芳香族ポリエステルや、ポリブチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリプロピレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリエチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリプロピレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/スルホイソフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/スルホイソフタレート/サクシネート)、ポリプロピレン(テレフタレート/スルホイソフタレート/サクシネート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバテート)、ポリプロピレン(テレフタレート/セバテート)、ポリエチレン(テレフタレート/セバテート)、ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリプロピレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコール、ポリプロピレンテレフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコール、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコール、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコール、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリプロピレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレンテレフタレート・ポリ−ε−カプロラクトンなどポリエーテルあるいは脂肪族ポリエステルを芳香族ポリエステルに共重合した共重合体や、ポリエチレンオキサレート、ポリプロピレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリネオペンチルグリコールオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレン(サクシネート/アジペート)、ポリプロピレン(サクシネート/アジペート)、ポリエチレン(サクシネート/アジペート)、ポリヒドロキシ酪酸及びβ−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマーなどのポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル、ポリブチレンサクシネート・カーボネートなどの脂肪族ポリエステルカーボネートが挙げられる。
これらの中で、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主成分として重縮合してなる重合体が好ましく、具体的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)テレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリプロピレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリエチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリプロピレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリプロピレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリエチレン(テレフタレート/サクシネート)を好ましく挙げることができる。上記芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主成分として重縮合してなる重合体中の全ジカルボン酸に対する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体の割合が30モル%以上であることがさらに好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。
また、これらの中では、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールから選ばれる脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主成分として重縮合してなる重合体がさらに好ましく、具体的には、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート・ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリプロピレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレート)・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリエチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリプロピレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリプロピレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート)を挙げることできる。上記テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とブタンジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主成分として重縮合してなる重合体中の全ジカルボン酸に対するテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の割合が30モル%以上であることがさらに好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明における上記(B)芳香族ポリエステル樹脂の具体例のさらなる好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネートを挙げることができ、中でも特に成形性や耐熱性の点で、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種が主成分であることが好ましく、ポリブチレンテレフタレートが主成分であることがより好ましい。
また、(B)熱可塑性ポリエステル樹脂は共重合体でもよく、具体例としてはポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリブチレン(テレフタレート/サクシネート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)などが挙げられ、単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
本発明で用いる(B)芳香族ポリエステル樹脂の粘度は溶融混練が可能であれば特に制限はないが、通常、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度は0.36〜3.0dl/gであることが好ましい。特に0.9〜2.0dl/gの範囲にあるものが成形性の点から好適である。固有粘度が0.36dl/g未満では機械的特性が不良であり、また、固有粘度が3.0dl/gを越えると成形性が不良となる傾向がある。
本発明で用いる(B)芳香族ポリエステル樹脂の融点は、特に制限されるものではないが、耐熱性の点から120℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、特に220℃以上であることが好ましい。上限は350℃である。さらに、成形性および生産性の点で、220℃〜250℃の範囲にあることが好ましい。なお、本発明において、(B)芳香族ポリエステル樹脂の融点は、示差走査熱量計(DSC)により昇温速度20℃/分で測定した値である。
本発明で用いる(B)芳香族ポリエステル樹脂は、m−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定して求めたCOOH末端基量が1〜50eq/t(ポリマー1トン当りの末端基量)の範囲にあるものが耐久性の点から好ましく使用できる。
本発明で用いる(B)芳香族ポリエステル樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の重縮合法や開環重合法などにより製造することができ、バッチ重合および連続重合のいずれでもよく、また、エステル交換反応および直接重合による反応のいずれでも適用することができるが、カルボキシル末端基量を少なくすることができ、かつ、流動性向上効果が大きくなるという点で、連続重合が好ましく、コストの点で、直接重合が好ましい。
本発明における(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の配合量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量%として、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂1〜99重量%、(B)芳香族ポリエステル樹脂1〜99重量%である。(A)芳香族ポリカーボネート樹脂10〜90重量%、(B)芳香族ポリエステル樹脂10〜90重量%がより好ましく、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂40〜80重量%、(B)芳香族ポリエステル樹脂20〜60重量%が最も好ましい。(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の配合量が1重量%未満であると、樹脂組成物の衝撃強度が低下したり、表面外観が低下する傾向にあり、99重量%を超えると流動性が低下したり、樹脂組成物の耐薬品性が低下する。
本発明における(C)塩基性無機充填材は、以下の方法で測定されたpH値が7.5以上である無機充填材をいう。(C)塩基性無機充填材のpH値は好ましくは8〜12の範囲であり、より好ましくは9〜12の範囲である。ここでかかるpH値は、(C)成分1gと水99gとを23℃において混合して懸濁液又は溶液を作成し、密栓状態で10分間振とうした後、pHメーターにより23℃にて測定されるものである。
かかる(C)塩基性無機充填材としては、タルク、ワラストナイト、マイカ(合成マイカ含む)等の珪酸塩化合物、炭酸カルシウム、セピオライト、合成スメクタイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウィスカ等のチタン酸塩化合物などが例示される。得られる熱可塑性樹脂組成物の表面外観が良好で線膨張係数が小さいことから、タルク、ワラステナイト、マイカ、チタン酸カリウムウィスカが好ましく、タルクが特に好ましい。
上記無機充填材としては、任意の形状(粒状、繊維状、針状、板状等)のものが使用できる。また平均粒子径も任意のものが使用できるが、平均粒子径は細かいほど好ましく、なかでも平均粒子径20μm以下のものが好ましく、更に10μm以下のものがより好ましく、特に5μm以下のものは好適である。平均粒子径が20μmを超える場合、得られる熱可塑性樹脂組成物の表面外観が損なわれる場合がある。平均粒子径は、マイクロトラックレーザー回折法により測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。
本発明で使用されるタルクは、前記したマイクロトラックレーザー回折法により測定される平均粒子径が0.1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmである。
本発明で使用されるタルクは、嵩比重が0.1〜0.9のものが好ましく、0.4〜0.8の範囲がより好ましい。嵩比重が0.1より小さくなるとコンパウンド時の生産性が低下し、滞留時間が長くなるため、得られる熱可塑性樹脂組成物の溶融安定性、耐衝撃性が低下することがある。嵩比重が0.9より大きくなると混練時にタルクの分散不良が起こり、表面外観が低下することがある。
タルクを造粒して嵩密度を高くする方法としては、バインダーを使用する方法と、実質的に使用しない方法がある。
バインダーを使用する方法は、通常、バインダーとなる樹脂などが溶解または分散した液体とタルクをスーパーミキサーなどの混合機で均一に混合し、その後乾燥する。その他液体とタルクとの均一混合物を、造粒機を通して造粒し、その後乾燥する。尚、いずれの場合も乾燥を省略する場合がある。バインダーを使用しない方法は、通常脱気圧縮の方法である。かかる方法は、脱気しながらブリケッティングマシーンなどでローラー圧縮する方法を代表例として挙げることができる。一方で特に水などの粉砕助剤を使用して粉砕されたタルクの場合には、転動造粒や凝集造粒の方法が好ましい。更にその後かかるタルクを乾燥処理をして十分に水などの成分をそこから取り除くことが好ましい。かかるタルクの好ましいものとしては、水と粉砕されたタルクの混合物からなるスラリーを、転動造粒などの方法で造粒し、その後乾燥した造粒品を挙げることができる。
好適なタルクの具体的な事例としては、林化成(株)製UPN HS―Tシリーズや、富士タルク工業(株)製LMS200Fを挙げることができる。
本発明で使用されるマイカは、平均粒径が1〜80μmの粉末状のものが好ましい。マイカとは、アルミニウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、鉄等を含んだケイ酸塩鉱物の粉砕物である。マイカには白雲母、金雲母、黒雲母、人造雲母等があり、本発明のマイカとしては何れのマイカも使用できるが、金雲母、黒雲母は白雲母に比べてそれ自体が柔軟であり、また、金雲母、黒雲母は白雲母に比べて主成分中にFeが多く含まれているためそれ自体の色相が黒っぽくなるため、更に人造雲母は天然金雲母のOH基がFに置換されたものであるがそれ自体が高価であり実用的ではない。好ましくは白雲母である。
また、マイカ製造に際しての粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法とマイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法があり、乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるがマイカを薄く細かく粉砕することが困難であるため本発明においては湿式粉砕法により製造されたマイカを使用するのが好ましい。
マイカの平均粒子径としては、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒子径が10〜100μmのものを使用できる。好ましくは平均粒子径が20〜50μmのものである。マイカの平均粒子径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分でなく、100μmを越えても剛性の向上が十分でなく、衝撃特性等の機械的強度の低下も著しく好ましくない。マイカの厚みとしては、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを使用できる。好ましくは厚みが0.03〜0.3μmである。
本発明で使用されるワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカなどの繊維状無機充填材の繊維径は0.1〜100μmが好ましく、0.2〜20μmがより好ましく、0.2〜10mが更に好ましい。0.1μm未満の場合、剛性に対する改良効果が十分でなく、100μmを超える場合、表面外観が損なわれる場合がある。
本発明でワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカなどの繊維状無機充填材のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3〜30であることが好ましい。アスペクト比が3未満の場合、線膨張係数の改良効果が十分でない場合があり、30以上の場合、表面外観が損なわれる場合がある。
ここで繊維径は電子顕微鏡で無機充填材を観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。繊維径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところで繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置を使用して、画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上600本以下で行う。
前記(C)塩基性無機充填材は2種以上を併用することができ、また予め表面処理をすることもできる。表面処理としては例えば、シランカップリング剤、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、およびポリアルキレングリコールなどの各種処理剤での化学的処理のほか、メカノフュージョン法、高速気流中衝撃法などの物理的な表面処理も可能である。
本発明における(C)塩基性無機充填材の配合量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として、(C)塩基性無機充填材が20〜200重量部である。好ましくは25〜150重量部であり、より好ましくは40〜120重量部である。20重量部より少なくなると線膨張係数の向上が十分でなく、200重量部より多くなると、面衝撃強度、表面外観などが損なわれる。
本発明における(D)有機酸には種々のタイプのものを使用することができ、例えば、炭素数6〜30の脂肪酸が挙げられ、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、無水マレイン酸、酸変性のシロキサンなどが代表的な化合物として例示される。とりわけ無水マレイン酸、カプリン酸が好適に用いられる。
(D)有機酸の配合量は、添加効果と流動性の点から、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として0.001〜5重量部であり、0.005〜2重量部であることが好ましく、0.05〜1重量部であることがより好ましい。(D)有機酸の配合量が0.001重量部未満であると溶融安定性の向上効果が発現せず、5重量部を超えると流動性、耐衝撃性が低下する。
このように(C)塩基性無機充填材と(D)有機酸とを所定量添加することにより、溶融安定性が向上し、耐衝撃性および外観に優れた成形品を得ることができる。有機酸が塩基性無機充填材中のアルカリ成分を中和し、芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ポリエステル樹脂の加水分解を抑制することによるものと考えられる。
本発明においては熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる目的で、(E)ゴム質重合体を配合することができる。
ここで(E)ゴム質重合体とは、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であるゴム成分と、該ゴム成分と共重合可能な単量体成分とを共重合した重合体をいう。ゴム成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、並びにアクリル・ブタジエンゴム(アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体)など)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アクリルゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙げられる。
本発明における(E)ゴム質重合体に用いるゴム成分は、溶融安定性と線膨張係数が優れることからシリコーン系ゴム、アクリルゴムが好ましく、シリコーン系ゴムが最も好ましい。
かかるゴム成分に共重合される単量体成分としては、スチレン系単量体、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物などが好適に挙げられる。その他の単量体成分としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物等を挙げることができる。
より具体的には、SB(スチレン−ブタジエン)重合体、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)重合体、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)重合体、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)重合体、MB(メチルメタクリレート−ブタジエン)重合体、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム)重合体、AES(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン)重合体、MA(メチルメタクリレート−アクリルゴム)重合体、MAS(メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン)重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)重合体などを挙げることができる。
その他のゴム質重合体としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなど各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
上記ゴム質重合体中、ゴム成分の割合は5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは50〜85重量%である。同様に熱可塑性エラストマーの場合ソフトセグメントの割合は5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは50〜85重量%である。
本発明における(E)ゴム質重合体の配合量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として1〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部、更に好ましくは3〜15重量部である。ゴム質重合体の配合量が50重量部を越えると、線膨張係数が大きくなることがある。
本発明においては、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とが構造周期0.01〜1.0μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造を有することが好ましい。
かかる構造周期をもつ樹脂組成物を得るためには、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂が、一旦相溶解し、後述のスピノーダル分解によって構造形成せしめることが好ましい。さらにこの構造形成の実現のためには、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とが、後述の部分相溶系や、剪断場依存型相溶解・相分解する系や、反応誘発型相分解する系であることが好ましい。
一般に、2成分の樹脂からなるポリマーアロイには、相溶系、非相溶系および半相溶系がある。相溶系は、平衡状態である非剪断下において、ガラス転移温度以上、熱分解温度以下の実用的な温度の全領域において相溶な系である。非相溶系は、相溶系とは逆に、全領域で非相溶となる系である。半相溶系は、ある特定の温度および組成の領域で相溶し、別の領域で非相溶となる系である。さらにこの半相溶系には、その相分離状態の条件によってスピノーダル分解によって相分離するものと、核生成と成長によって相分離するものがある。
さらに3成分以上からなるポリマーアロイの場合は、3成分以上のいずれもが相溶する系、3成分以上のいずれもが非相溶である系、2成分以上のある相溶した相と、残りの1成分以上の相が非相溶な系、2成分が部分相溶系で、残りの成分がこの2成分からなる部分相溶系に分配される系などがある。 本発明においては、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂以外の3成分以上からなるポリマーアロイの場合、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂以外の3成分目が、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の少なくともいずれかに分配される系であることが好ましい。この場合ポリマーアロイの構造は、2成分からなる非相溶系の構造と同等になる。以下2成分の樹脂からなるポリマーアロイで代表して説明する。
スピノーダル分解による相分離とは、異なる2成分の樹脂組成および温度に対する相図においてスピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のことを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノーダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指す。
かかるスピノーダル曲線とは、組成および温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相における自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度(φ)で二回偏微分したもの(∂2ΔGmix/∂φ2)が0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内側では、∂2ΔGmix/∂φ2<0の不安定状態であり、外側では∂2ΔGmix/∂φ2>0である。
またかかるバイノーダル曲線とは、組成および温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域の境界の曲線のことである。
ここで本発明における相溶する場合とは、分子レベルで均一に混合している状態のことであり、具体的には異なる2成分の樹脂を主成分とする相がいずれも0.001μm以上の相構造を形成していない場合を指し、また、非相溶の場合とは、相溶状態でない場合のことであり、すなわち異なる2成分の樹脂を主成分とする相が互いに0.001μm以上の相構造を形成している状態のことを指す。相溶するか否かは、例えばPolymer Alloys and Blends,Leszek A Utracki, hanserPublishers,Munich Viema New York,P64に記載の様に、電子顕微鏡、示差走査熱量計(DSC)、その他種々の方法によって判断することができる。
詳細な理論によると、スピノーダル分解では、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度を、不安定領域の温度まで急速にした場合、系は共存組成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成する。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノーダル分解の初期過程と呼ぶ。
さらに上述のスピノーダル分解の初期過程における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関係がある。
Λm〜[│Ts−T│/Ts]−1/2(ここでTsはスピノーダル曲線上の温度)
スピノーダル分解では、この様な初期過程を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な2相に分離するまで進行するが、本発明で規定する構造を得るには、この最終的に巨視的な2相に分離する前の所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよい。
また中期過程から後期過程にかける波長の増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
本発明でいう、両相連続構造とは、混合する樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に記載されている。
また、本発明にいう分散構造とは、片方の樹脂成分が主成分であるマトリックスの中に、もう片方の樹脂成分が主成分である粒子が点在している、いわゆる海島構造のことをさす。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、構造周期0.001〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造に構造制御されたものである必要がある。構造周期0.001〜0.5μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜0.5μmの範囲の分散構造に制御することが好ましく、さらには、構造周期0.005〜0.2μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.005〜0.2μmの範囲の分散構造に制御することがより好ましい。構造周期0.001μm未満、あるいは粒子間距離0.001μm未満の場合、耐熱性などの特性が低下することがあり、構造周期1μmを超える場合、または粒子間距離1μmを超える場合においては、落球衝撃強度が低下し、線膨張係数が大きくなることがある。
一方、上述の準安定領域での相分離である核生成と成長では、その初期から海島構造である分散構造が形成されてしまい、それが成長するため、本発明の様な規則正しく並んだ構造周期0.001〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造を形成させることは困難である。
上記スピノーダル分解を実現させるためには、各熱可塑性樹脂を相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とすることが必要である。
まずこの2成分以上からなる樹脂で相溶状態を実現する方法としては、共通溶媒に溶解後、この溶液から噴霧乾燥、凍結乾燥、非溶媒物質中の凝固、溶媒蒸発によるフィルム生成等の方法により得られる溶媒キャスト法や、部分相溶系を、相溶条件下で溶融混練による溶融混練法が挙げられる。中でも溶媒を用いないドライプロセスである溶融混練による相溶化が、実用上好ましく用いられる。
溶融混練により相溶化させるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ましい。また、樹脂の組み合わせによっては射出成形機の可塑化工程で相溶化できる場合もある。相溶化のための温度は、部分相溶系の樹脂が相溶する条件である必要がある。
次に上記溶融混練により相溶状態とした樹脂組成物をスピノーダル曲線の内側の不安定状態として、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とするための温度、その他の条件は、樹脂の組み合わせによっても異なり一概にはいえないが、相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより設定することができる。
スピノーダル分解による構造生成物を固定化する方法としては、急冷等による短時間で相分離相の一方または両方の成分の構造固定や、一方が熱硬化する成分である場合、熱硬化性成分の相が反応によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定や、さらに一方が結晶性樹脂である場合、結晶性樹脂相を結晶化によって自由に運動できなくなることを利用した構造固定が挙げられる。
本発明において(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とを上記スピノーダル分解により相分離させて本発明の熱可塑性樹脂組成物とするには、前述したように部分相溶系や、剪断場依存型相溶解・相分解する系や、反応誘発型相分解する系である樹脂を組み合わせることが好ましい。
一般に部分相溶系には、同一組成において低温側で相溶しやすくなる低温相溶型相図を有するものや、逆に高温側で相溶しやすくなる高温相溶型相図を有するものが知られている。この低温相溶型相図における相溶と非相溶の分岐温度で最も低い温度を、下限臨界共溶温度(lower critical solution temperature略してLCST)と呼び、高温相溶型相図における相溶と非相溶の分岐温度で最も高い温度を、上限臨界共溶温度(upper critoical solution temperature略してUCST)と呼ぶ。
部分相溶系を用いて相溶状態となった2成分以上の樹脂は、低温相溶型相図の場合、LCST以上の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすることで、また高温相溶型相図の場合、UCST以下の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすることでスピノーダル分解を行わせることができる。
またこの部分相溶系によるスピノーダル分解の他に、非相溶系においても溶融混練によってスピノーダル分解を誘発すること、例えば溶融混練時等の剪断下で一旦相溶し、非剪断下で再度不安定状態となり相分解するいわゆる剪断場依存型相溶解・相分解によってもスピノーダル分解による相分離が可能であり、この場合においても、部分相溶系の場合と同じくスピノーダル分解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。さらにこの剪断場依存型相溶解・相分解は、スピノーダル曲線が剪断場により変化し、不安定状態領域が拡大するため、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温度変化による方法に比べて、その同じ温度変化幅においても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、その結果、上述の関係式におけるスピノーダル分解の初期過程における構造周期を小さくすることが容易となるためより好ましく用いられる。かかる溶融混練時の剪断下により相溶化させるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ましい。また、樹脂の組み合わせによっては射出成形機の可塑化工程で相溶化できる場合もある。この場合における相溶化のための温度、初期過程を形成させるための熱処理温度、および初期過程から構造発展させる熱処理温度や、その他の条件は、樹脂の組み合わせによっても異なり一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基づき、簡単な予備実験をすることにより条件を設定することができる。また上記射出成形機の可塑化工程での相溶化を確実に実現させる方法として、予め2軸押出機で溶融混練し相溶化させ、吐出後氷水中などで急冷し相溶化状態で構造を固定させたものを用いて射出成形する方法などが好ましい例として挙げられる。
また、本発明を構成する熱可塑性樹脂組成物に、さらにポリマーアロイを構成する成分を含むブロックコポリマーやグラフトコポリマーやランダムコポリマーなどのコポリマーである第3成分を添加することは、相分解した相間における界面の自由エネルギーを低下させるため、両相連続構造における構造周期や、分散構造における分散粒子間距離の制御を容易にするため好ましく用いられる。この場合通常、かかるコポリマーなどの第3成分は、それを除く2成分の樹脂からなるポリマーアロイの各相に分配されるため、2成分の樹脂からなるポリマーアロイ同様に取り扱うことができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とが、構造周期0.001〜1.0μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造であることが好ましく、その測定法としてはヨウ素染色法によりポリカーボネート成分を染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて1万倍に拡大して観察し、構造の観察が可能な箇所を任意で100箇所選び出し、それぞれの構造周期または粒子間距離を測定した上で、平均値を計算して得られる。
スピノーダル分解を実現させるためには、2成分以上の樹脂を、一旦相溶状態とした後、スピノーダル曲線の内側の不安定状態とすることが必要である。一般的な半相溶系におけるスピノーダル分解においては、相溶条件下で溶融混練後、非相溶域に温度ジャンプさせることによって、スピノーダル分解を生じさせ得る。一方、上記剪断場依存型スピノーダル分解においては、非相溶系において、溶融混練時の剪断速度100〜10000sec−1の範囲の剪断下で相溶化しているため、非剪断下とすることのみでスピノーダル分解を生じさせ得る。
本発明の(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とを配合してなるポリマーアロイは、上記剪断場依存型スピノーダル分解に属し、溶融混練時の剪断速度100〜10000sec−1の範囲の剪断下で相溶化するため、非剪断下とすることのみでスピノーダル分解を生じさせ得る。なお、上記において剪断速度は、例えば平行円盤型剪断賦与装置を用いる場合、所定の温度に加熱し溶融状態とした樹脂を平行円盤間に投入し、中心からの距離(r)、平行円盤間の間隔(h)、回転の角速度(ω)から、ω×r/hとして求めることが可能である。
かかるポリマーアロイの具体的な製造方法としては、上記剪断場依存型スピノーダル分解を利用する方法が好ましい例として挙げられ、溶融混練時の相溶化を実現させる方法として、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とを、2軸押出機のニーディングゾーンにおいて、高剪断応力下で溶融混練する方法が好ましい方法として挙げられる。
かかる2軸押出機を用いる場合、ニーディングブロックを多用したスクリューアレンジにしたり、樹脂温度を下げたり、スクリュー回転数を高くしたり、使用ポリマーの粘度を上げることによってより高剪断応力状態を形成することにより、適宜調節することができる。
本発明においては、酸化防止剤を配合することができる。
酸化防止剤の例としては、フェノール系化合物、リン系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系化合物が挙げられる。
フェノール系化合物としては、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2、2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−ジ−t−ブチルフェノール)、4、4’−チオビス(3−メチル−t−ブチルフェノール)、1、1、3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−トが好ましく、特に好ましくはペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
フェノール系化合物は1種類、又は2種類以上を同時に用いる事が出来る。フェノール系化合物の配合量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜1重量部が好ましい。
リン系化合物としては、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、ビス(3−メチル−1,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイトがあり、好ましくはビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、ビス(3−メチル−1,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトで、特にビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイトが好ましい。
リン系化合物は1種類、又は2種類以上を同時に用いる事が出来る。リン系化合物の配合量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜1重量部が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、滑剤、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、流動改質剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤などの添加剤、他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を添加することができる。
離型剤の例としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、蜜ろう、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の石油系ワックス、ひまし油及びその誘導体、脂肪酸及びその誘導体等の油脂系ワックスが挙げられる。
安定剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾール系化合物、ならびに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物、モノまたはジステアリルホスフェート、トリメチルホスフェートなどのリン酸エステルなどを挙げることができる。
これらの各種添加剤は、2種以上を組み合わせることによって相乗的な効果が得られることがあるので、併用して使用してもよい。
なお、例えば酸化防止剤として例示した添加剤は、安定剤や紫外線吸収剤として作用することもある。また、安定剤として例示したものについても酸化防止作用や紫外線吸収作用のあるものがある。すなわち前記分類は便宜的なものであり、作用を限定したものではない。
紫外線吸収剤の例としては、例えば2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどに代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤、また2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物に代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
またビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]}、ポリメチルプロピル3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサンなどに代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができ、かかる光安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐候性などの点においてより良好な性能を発揮する。
難燃剤の例としては、ハロゲン系、リン酸エステル系、金属塩系、赤リン、シリコン系、金属水和物系などであり、難燃助剤としては、三酸化アンチモンに代表されるアンチモン化合物、酸化ジルコニウム、酸化モリブデンなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂の例としては、例えばポリエチレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリエステル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、本発明のポリエステル樹脂成形体を構成するポリエステル樹脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂を配合する際に同時に添加する方法や、予め芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂を溶融混練した後に添加する方法や、始めに芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂のいずれか片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法等が挙げられる。
本発明の熱樹脂可塑性樹脂組成物はこれら配合成分が均一に分散されていることが好ましく、その配合方法は任意の方法を用いることができる。代表例として、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロールなど、公知の溶融混合機を用いて、200〜350℃の温度で溶融混練する方法を挙げることができる。各成分は、予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい。なお、各成分に付着している水分は少ない方がよく、予め事前乾燥しておくことが望ましいが、必ずしも全ての成分を乾燥させる必要がある訳ではない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する好ましい方法は、高剪断を付与することのできる二軸押出機内で、シリンダー温度150〜300℃、好ましくは180〜250℃において、(A)〜(D)およびその他の添加物を配合した原料を該押出機に供給し、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂を一旦相溶化させ、剪断場依存型スピノーダル分解を利用し溶融混練する方法である。
そこで上述特異的な相分離構造を実用的な成形加工条件下で安定して得るために、各成分を溶融混練することにより得られるが、溶融混練を樹脂圧力1.5〜10MPaで行うことが好ましい。
本発明の製造方法における樹脂圧力とは、溶融混練装置に取り付けた樹脂圧力計で測定した値であり、ゲージ圧を樹脂圧力とする。
上記溶融混練時の樹脂圧力とは、一貫して1.5MPa以上が必要ではなく、少なくとも1ヵ所以上樹脂圧力が1.5MPa以上となる領域が存在すれば良く、押出機を用いて溶融混練する際には、通常最も樹脂圧力が高くなる箇所、例えば逆フルフライトやニーディングブロックによる樹脂滞留箇所で樹脂圧力が2MPa以上となるようにすることが好ましい。
溶融混練時の樹脂圧力は1.5MPa以上であれば機械的性能が許す限り特に制限はないが、好ましくは2〜10MPaの範囲で用いられ、特に2〜5MPaの範囲であれば、両相連続構造がより安定して得られやすく、樹脂の劣化が小さいため好ましく用いられる。
溶融混練時の樹脂圧力を調整する方法としては、特に制限はないが、例えば(イ)溶融混練温度の低下による樹脂粘度の向上、(ロ)目的の樹脂圧力になるような分子量のポリマーを選択する、(ハ)逆フルフライト、ニーディングブロック導入などのスクリューアレンジ変更による樹脂滞留、(ニ)原料供給速度の向上、ダイス部へのメッシュ導入によるバレル内のポリマー充満率を上げる、(ホ)スクリュー回転数を上げる、(ヘ)任意の添加剤を混合することによる樹脂粘度の向上、(ト)炭酸ガス導入などの超臨界状態などが挙げられる。
芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂を一旦相溶化させ、それを押出機から吐出後直ぐに冷却することによって、芳香族ポリカーボネート樹脂相と芳香族ポリエステル樹脂相が相溶化した状態で構造が固定されたペレットか、あるいはスピノーダル分解の初期状態である構造周期が0.4μm以下の両相連続構造のペレットを製造した後、このペレットを射出成形し、その射出成形の過程においてスピノーダル分解をさらに進行させ、構造周期が0.001〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの範囲の分散構造を有するポリエステル樹脂成形品を形成せしめる方法である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は通常上記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の熱可塑性樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより中空成形品とすることも可能である。
かくして得られた本発明の熱可塑性樹脂組成物は、幅広い分野に使用することが可能であり、各種電子・電気機器、OA機器、車輌部品、機械部品、その他農業資材、搬送容器、包装容器、および雑貨などの各種用途にも有用である。特に耐熱性、剛性、および耐衝撃性との両立、並びに成形品寿命に対する要求が厳しい車輌内装用部品および車輌外装用部品に適したものである。
車輌内装用部品としては、例えばセンターパネル、インストルメンタルパネル、ダッシュボード、コンソールボックス、インナードアハンドル、リアボード、インナーピラーカバー、インナードアカバー、インナードアポケット、シートバックカバー、インナールーフカバー、ラゲッジフロアボード、カーナビゲーション・カーテレビジョンなどのディスプレーハウジングなどが挙げられる。
車輌外装用部品としては、例えば、アウタードアハンドル、フェンダーパネル、ドアパネル、スポイラー、ガーニッシュ、ピラーカバー、フロントグリル、リアボディパネル、モーターバイクのカウル、トラックの荷台カバーなどが挙げられる。
以下に実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例および比較例の評価方法を次に示す。なお特に断りがない限り、「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。
(1)流動性、溶融安定性
二軸押出機にて溶融混練し得られたペレットを、東洋精機製メルトインデクサーに6g投入し、JIS K7210により280℃、滞留5分、荷重2160gにて測定した組成物のメルトフローレートをM(g/10min)、260℃、滞留10分、荷重2160gにて測定した組成物のメルトフローレートをM’(g/10min)として、M’/Mの値を求めた。M’/Mが2.0以上であると、成形時に該組成物が劣化して溶融粘度が低下し、成形品の機械強度、特に靭性の低下や、外観の悪化を招くとともに、安定した成形性が確保できなくなる。
(2)落球衝撃試験
シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、住友重機械社製SG75H−MIVを使用し、80mm×80mm×3mmの角板を作製した。(縦)85mm×(横)85mm×(高さ)50mmの受け台付き落球試験装置を用い、受け台上に−30℃に調温した厚み3mmの角板を設置し、その中心部に所定の高さより500gの剛球を落下し、割れや亀裂発生の有無を確認した。10枚について試験を行った後、高さを10cm変更して同様の試験を行い、5枚以上の角板が破壊した高さを求めた。なお、高さ150cmにおいても5枚以上の角板が破壊しなかったサンプルの破壊高さについては、>150cmとした。
(3)表面外観
上記で作製した厚み3mmの角板について、表面粗さ測定装置(ACCRTECH社製)を用いてRa(中心線平均粗さ、μm)を測定することにより表面外観の評価を行った。
(4)線膨張係数
上記で作製した厚さ約3mmの角板の中心部分を用いて、樹脂の流動方向にサンプル約7mm×7mmに切り取り、紙ヤスリで表面を研磨した。測定はセイコー電子(株)製のSSC−5200およびTMA−120Cを用いて行い、測定条件は、窒素雰囲気下、−30℃で10分間保持した後、−30℃から80℃の範囲を昇温速度5℃/分で昇温し、−30〜80℃の範囲の線膨張係数を算出した。
(5)構造周期または粒子間距離の測定
上記で作成した角板から、厚み100μmの切片を切り出し、ヨウ素染色法によりポリカーボネートを染色後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて1万倍に拡大して観察を行い、構造の観察が可能な箇所を任意で100箇所選び出し、それぞれの構造周期を測定した上で、平均値を計算した。
[製造例1]ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体(E−1)の製造
ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックスの製造
シロキサン系架橋剤(テトラエトキシシラン)2.0部、ビニル重合性官能基含有シロキサン(γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン)0.5部、およびジメチルシロキサン系環状体(ヘキサメチルシクロトリシロキサン約5%、オクタメチルシクロテトラシロキサン約75%、デカメチルシクロヘキサシロキサン約20%の混合物)97.5部を混合し、シロキサン混合物100部を得た。乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.7部溶解した蒸留水200部に、上記シロキサン混合物100部を加えたものを、特殊機化(株)製のインラインミキサーで予備乳化した後、ホモジナイザーで強制乳化し、プレエマルジョンを得た。ホモジナイザーの圧力は20MPaであった。ついで、あらかじめ酸触媒としてアルキルベンゼンスルホン酸0.7部を仕込んだセパラブルフラスコに、上記プレエマルジョンを仕込み、80℃に昇温し、その温度を5時間保持し、その後20℃まで冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.2に調整して重合反応を完結し、ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックスを得た。
ポリオルガノシロキサン系グラフト共重合体(E−1)の製造
ポリオルガノシロキサン(S−1)ラテックスを、固形分が20部となるように採取し、攪拌機を備えたセパラブルフラスコに入れ、セパラブルフラスコ内の蒸留水量が195部となるように蒸留水を追加し、ついで、アリルメタクリレート1.0%を含むn−ブチルアクリレート60部およびtert−ブチルヒドロペルオキシド0.48部の混合液を仕込み、10分間攪拌し、この混合液をポリオルガノシロキサン(S−1)に含浸させた。さらに、ポリオキシエチレンエーテル硫酸塩を0.4部追加し、さらに10分間撹拌した後、窒素置換を行い、セパラブルフラスコ内を50℃に昇温し、硫酸第一鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット0.26部および蒸留水5部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開始させ、その後内温70℃で2時間保持し、重合を完了して複合ゴムのラテックスを得た。このラテックスを一部採取し、複合ゴムの粒子径分布を測定したところ重量平均粒子径は180nmであった。
この複合ゴムのラテックスに、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.06部およびビニル系単量体混合物(メチルメタクリレート:n−ブチルアクリレート=95:5重量比)20部を、70℃にて60分間にわたり滴下し、その後70℃で4時間保持し、複合ゴムへのビニル系単量体のグラフト重合を完了した。ビニル系単量体の重合率は、99.1%であった。得られたグラフト共重合体のラテックスを、酢酸カルシウム5部を溶解した熱水200部中に滴下し、グラフト共重合体を凝固、分離し、洗浄した後、75℃で8時間乾燥し、グラフト共重合体粗生成物(E−1)の粉体を得た。
[製造例2]ブタジエン系グラフト共重合体(E−2)の製造
耐圧オートクレーブ中に、脱イオン水150重量部、1,3−ブタジエン95重量部、スチレン5重量部、t−ドデシルメルカプタン0.5重量部、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド0.4重量部、ピロリン酸ソーダ1.5重量部、硫酸第一鉄0.02重量部、デキストローズ1.0重量部、及びオレイン酸カリウム1.0重量部を仕込み、撹拌しながら50℃で48時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合ラテックスを製造した。このゴムラテックスの重量平均粒子径は、80nmであった。
このブタジエン系ゴム重合ラテックス70重量部(固形分として)をフラスコに仕込み、窒素置換した後、NaHCO3 1.2重量部を10%の水溶液にして添加し、30分間撹拌した。この液に、オレイン酸カリウム1重量部を7%水溶液として添加し、安定化した。その後、ロンガリット0.6重量部を添加し、液温を70℃に保持して、メチルメタアクリレート29重量部、ブチルアクリレート1重量部およびクメンハイドロパーオキサイト0.2重量部の混合液をブタジエン系ゴム重合ラテックスにグラフト重合させた。
得られたグラフト共重合体ラテックスにジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を0.5重量部添加した後、0.2%の硫酸水溶液を添加して、グラフト共重合体を凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後、凝固物を温水で洗浄し、さらに乾燥してブタジエン系グラフト共重合体(E−2)粉末を得た。
以下に実施例および比較例に使用した配合組成物を示す。
(A−1)芳香族ポリカーボネート樹脂(PC);商品名「タフロンA2600」、出光興産(株)製、粘度均分子量26、000
(B−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT);商品名「トレコン1200T」、東レ(株)製、固有粘度1.26、融点228℃
(C−1)タルク;商品名「LMS200F」、富士タルク工業(株)製、嵩比重0.4〜0.6
(C−2)タルク;商品名「LMS300」、富士タルク工業(株)製、嵩比重0.10
(C−3)マイカ;商品名「A−21」、(株)山口雲母工業所製
(D−1)無水マレイン酸;商品名「CRYSTAL MAN AB」、日油(株)製
(D−2)ステアリン酸、商品名「ルナックS−98」、花王(株)製
(D−3)ラウリン酸、商品名「ルナックL−98」、花王(株)製
(E−1)〜(E−2)上記製造例1〜2で製造したグラフト共重合体
(E−3)MBS樹脂;MBS樹脂;商品名「EXL2602」、ローム・アンド・ハース製。
実施例1〜1、比較例1〜5
表1〜2に示す組成になるように原料を配合し、ドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃、スクリュー回転数を300rpmに設定した、3ヶ所のニーディングブロック部を有するTEX30α二軸押出機(日本製鋼所製)でダイ部の樹脂圧力が2〜3MPaとなるよう溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化した。得られた各ペレットは、110℃の熱風乾燥機で8時間乾燥した後、前記の評価方法で成形し、評価を行った。
比較例6
シリンダー温度を280℃、スクリュー回転数を300rpmに設定したニーディングブロック部を有しないPCM30押出機を用いた以外は、実施例1と同様の方法により溶融混練し、ペレットを作製した。この時の樹脂圧力は0.2MPaであった。その後実施例1と同様の方法で評価を行った。
Figure 0005380947
Figure 0005380947
実施例1〜1の熱可塑性樹脂組成物は線膨張係数が小さく、低温面衝撃強度に優れ、良好な表面外観を有し、流動性および溶融安定性に優れている。一方比較例1〜の熱可塑性樹脂組成物は、線膨張係数、耐衝撃性、低温面衝撃強度、表面外観、流動性および溶融安定性のいずれかが劣っていることが分かる。

Claims (4)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂、(B)芳香族ポリエステル樹脂、(C)塩基性無機充填材および(D)有機酸を配合してなる樹脂組成物であって、
    (A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量%として、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂1〜99重量%、(B)芳香族ポリエステル樹脂1〜99重量%であり、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として、(C)塩基性無機充填材が25〜150重量部、(D)有機酸が0.001〜5重量部からなり、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂とが構造周期0.001〜1.0μmの両相連続構造、または粒子間距離0.001〜1μmの分散構造を有し、(D)有機酸が無水マレイン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、および酸変性のシロキサンから選択される少なくとも1種であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. (C)塩基性無機充填材がタルク、マイカ、合成スメクタイト、ワラストナイトおよびチタン酸カリウムウィスカから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 更に(E)ゴム質重合体を(A)芳香族ポリカーボネート樹脂と(B)芳香族ポリエステル樹脂の合計を100重量部として、1〜50重量部配合してなることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載された熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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