JP2004323825A - 再生樹脂組成物、再生樹脂組成物の製造方法、および成形品の再利用方法 - Google Patents

再生樹脂組成物、再生樹脂組成物の製造方法、および成形品の再利用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム質重合体を含有し、無機充填材を含んでもよい成形品の粉砕物にバージン熱可塑性樹脂、バージン無機充填材とを溶融混練して製造された再生樹脂組成物であって、タップ強度等の成形品加工性、ウエルド強度等の成形品機械特性が良好な再生樹脂組成物を提供する。
【解決手段】成形品100重量%中ゴム質重合体(A−1成分)を2〜10重量%および無機充填材(A−2成分)を0〜15重量%含有してなる熱可塑性樹脂組成物成形品の粉砕物(A成分)とバージン熱可塑性樹脂(B成分)、バージン無機充填材(C成分)とを溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、該再生樹脂組成物100重量%中にゴム質重合体(D−1成分)を0.1〜2重量%および無機充填材(D−2成分)を15〜50重量%含有することを特徴とする再生樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム質重合体を含有し、無機充填材を含んでもよい成形品の粉砕物の再利用法に関する。更に詳しくは、上記成形品の粉砕物にバージン熱可塑性樹脂、バージン無機充填材とを溶融混練して製造された再生樹脂組成物であって、タップ強度等の成形品加工性、ウエルド強度等の成形品機械特性が良好な再生樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂は、優れた成形加工性、機械的特性を有しているため、事務機器(OA機器)分野、電気・電子機器分野、車両分野、機械分野等工業的に広く使用されている。特に近年、これらの分野の製品は、多機能化、軽量化、低価格化によって、使用される熱可塑性樹脂の種類も多岐に渡っている。
一方近年は資源の再利用、環境保護の観点から不用になった製品を回収し再利用する、いわゆるリサイクルの検討が盛んに行われ、熱可塑性樹脂組成物成形品おいても例外ではない。
かかる樹脂のリサイクルに関しては、従来は元々高度な機械的特性や難燃性などの特性を有する樹脂成形品から回収された樹脂を、それらの特性が特に要求されない分野に再使用する方法、再生前の樹脂組成物が本来有する特性とほぼ同等の特性を再生後の樹脂組成物においても達成し、いわゆるクローズドリサイクルを達成することが求められている。これらについて既に各種の提案がなされている。
例えば、特許文献1には回収材とバージン材の量比を特定することで再生品製造時の消費エネルギーを減らす技術が開示されている。また、再生品の物性低下を抑制する目的で、粉砕物をペレット化せずにそのまま使用する技術(特許文献2)、添加剤のマスターバッチを使用する技術(特許文献3)、廃棄プラスチックより高分子の原料プラスチックを使用する技術(特許文献4)、破砕品のカサ密度/真密度の比を特定する技術(特許文献5)が開示されている。
一方、光ディスク粉砕化物を再利用する技術として、光ディスク粉砕化物に芳香族ポリカーボネート樹脂とゴム質の熱可塑性グラフト共重合体を配合した組成物(特許文献6)、更に無機充填材を配合した組成物(特許文献7)が開示されている。これらの組成物は、適度な流動性、良好な外観等を有しいている。
更に、特許文献8には湿熱保持率の優れた成形品の破砕物を再利用すると機械的強度およびリサイクル効率に優れた再生樹脂が得られることを開示している。
しかしながら、これら従来技術は回収材の使用による悪影響を抑制することが主眼であり、すべてバージン材を使用して製造した組成物の物性範囲に留まっている。
また、情報機器分野では不用になった外装成形品を新規な外装成形品にクローズドリサイクルすることを種々検討してきたが、特に近年外装成形品の白色化が進み、わずかな異物や黒点が不良品の発生を高めるため、実効が上がらない。また、情報機器の内部機構部品のクローズドリサイクルも剛性等の低下が考えられ実用的ではない。
ところで、熱可塑性樹脂組成物では、剛性を高める手段として一般に繊維状無機充填材や板状無機充填材を添加する方法が用いられている。殊に情報機器の内部機構部品においては、高い寸法精度が必要とされることから板状無機充填材が主として配合されている。しかしながら、板状無機充填材が主として配合されると、成形品のタップ強度等の成形品加工性の低下、ウエルド強度等の成形品機械特性の低下を招くことが多かった。またかかる強度の低下は概してゴム質重合体を含有すると更に顕著となる。
特開2000−159900号公報 特開2001−26719号公報 特開2002−72419号公報 特開2002−59425号公報 特開2002−265798号公報 特開平8−311326号公報 特開平9−316316号公報 WO01/72900号パンフレット
本発明の課題は、例えば情報機器の外装成形品などの使用済み成形品を有効に再生利用する方法、並びにそれにより製造される良好な特性を有する樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、既にクローズドリサイクル(即ち機械的特性や外観の低下を抑制してリサイクルされた材料を元来の材料に戻す)を主眼とした検討を行ってきた。しかしながら今回かかるクローズドリサイクルの観点を離れて検討を行った。すなわち本発明者らは、成形品の粉砕物を積極的に利用することで新しく付与される効果がないか鋭意検討した。その結果、ゴム質重合体を含有し、無機充填材を含んでもよい成形品の粉砕物の再利用することで成形品加工性の向上、成形品機械特性の向上効果を見出し、本発明を完成するに至った。
かかる特性の向上の理由は明確ではないものの次のように予想される。即ち、ゴム質重合体を含有した成形品の粉砕物は、ゴム質重合体の分散状態が良好で、これをバージン熱可塑性樹脂、バージン無機充填材とを溶融混練することで(特に分散状態が良好なゴム質重合体と無機充填材を組合せることで)、単にバージン材料だけを混練した時に得られる樹脂組成物の特性よりも優れたタップ強度、圧入強度等の成形品加工性、ウエルド強度等の成形品機械特性を得られると考えられる。かかる効果は、特に情報機器の外装成形品の粉砕物を用いて情報機器の内部機構部品を製造する時に発揮される。
本発明は、(1)成形品100重量%中ゴム質重合体(A−1成分)を2〜10重量%および無機充填材(A−2成分)を0〜15重量%含有してなる熱可塑性樹脂組成物成形品の粉砕物(A成分)とバージン熱可塑性樹脂(B成分)、バージン無機充填材(C成分)とを溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、該再生樹脂組成物100重量%中にゴム質重合体(D−1成分)を0.1〜2重量%および無機充填材(D−2成分)を15〜50重量%含有することを特徴とする再生樹脂組成物にかかるものである。
かかる構成(1)によれば、例えば、情報機器の外装成形品などの使用済み成形品を有効に再生利用することが可能となる。情報機器としては例えばコンピューター装置(パソコンおよびノートパソコンなど)、ディスプレー装置(CRT、液晶、プラズマ、および有機ELなど)、プロジェクター装置、並びに出力装置(プリンター、複写機、ファックス、およびこれらの複合機)などの情報事務機器が代表的に例示され、これら製品に使用される部材のリサイクルは重要である。
上記構成(1)としては、例えばPC樹脂およびABS樹脂からなるアロイ樹脂(PC/ABSアロイ)の外装成形品が粉砕され、該粉砕物は、PC樹脂、マイカやタルクなどの無機充填材、並びに任意にAS樹脂およびリン酸エステルに代表される難燃剤などのバージン原料と共に溶融混練され、その結果製造された再生樹脂組成物が例示される。この際、再生樹脂組成物中のゴム質重合体の含有量は所定割合となるよう調整される。
また上記構成(1)としては、例えばHIPS樹脂からなる情報機器の内部部品が粉砕され、該粉砕物は、PPE樹脂、マイカおよびガラス繊維などの無機充填材、並びに任意にポリスチレン樹脂およびリン酸エステルに代表される難燃剤などのバージン原料と共に溶融混練され、その結果製造された再生樹脂組成物が例示される。
本発明は、特定のゴム質重合体を含有する成形品の粉砕物を、比較的多量の無機充填材を含有する材料(以下単に“高剛性材料”と称する場合がある)に再生することが有効であることを見出したものである。かかる高剛性材料には、通常、剛性、強度、および寸法安定性が求められ、更に良好な難燃性が併せて求められる場合が多い。しかしながらかかる材料におけるゴム質重合体の存在は、概して剛性や難燃性を不足させる。かかる不足を補うために無機充填材や難燃剤の配合割合を増加させることは、材料に対して比重の増加や耐熱性の低下をもたらす。したがって高剛性材料においてゴム質重合体を配合することは通常避けられる。一方でかかる高剛性材料にあっては良好なタップ強度やウエルド強度も重要である。本発明の再生樹脂組成物は、特定のゴム質重合体を含有する成形品の粉砕物を混合した高剛性材料によって、ゴム質重合体の欠点が抑制されると共に、良好なタップ強度やウエルド強度を有する。また、上記の理由からバージン熱可塑性樹脂(B成分)としては、ゴム質重合体を含有しない硬質ポリマーのみからなる熱可塑性樹脂が好ましい。
すなわち、本発明の再生樹脂組成物は、無機充填材を比較的多く含み良好な剛性を有し、更にはタップ強度などの成形品加工性およびウエルド強度などの成形品機械特性に優れ、そして情報機器の内部機構部品等に好適である。更にかかる部品に適用することで有効な再生利用が達成される。したがって、上記構成(1)によれば、良質な情報機器の内部機構部品を提供可能な再生樹脂組成物が提供される。
尚、上記において、PCは芳香族ポリカーボネートを表し、ABSはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を表し、ASはアクリロニトリル−スチレン共重合体を表し、HIPSはハイインパクトポリスチレンを表し、PPEはポリフェニレンエーテルを表す。以下これらのポリマーを表記する場合にこれらの符号により称する場合がある。
本発明の好適な態様の1つは、(2)A成分およびD成分中の熱可塑性硬質ポリマーは、該硬質ポリマー100重量%中芳香族ポリカーボネートを50重量%以上含有する上記(1)の再生樹脂組成物である。
本発明のA成分は少なくとも、組成物のマトリックスを構成する硬質ポリマーと、ゴム質重合体からなる。かかる硬質ポリマーとしては、例えばポリスチレン、AS、PCとASとの混合物、並びにPCとポリスチレンとの混合物などがあげられる。一方で、再生樹脂組成物たるD成分はPCを硬質ポリマーの主成分として含有することが、強度、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性および難燃性などの点から有用である。A成分においても同様にPCを硬質ポリマーの主成分として含有した場合、A成分の配合割合を増加させつつ有用なD成分を得ることが可能となる。したがって上記構成(2)によれば、より増量されたA成分を含有することによりリサイクル効率のより向上された再生樹脂組成物が提供され、更に該組成物がより有用であることによって、リサイクルの実効が向上された再生樹脂組成物が提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(3)A成分の割合がD成分100重量%中1〜40重量%である上記(1)または上記(2)のいずれかの再生樹脂組成物である。
本発明の再生樹脂組成物たるD成分は、少なくとも粉砕物(A成分)、バージン熱可塑性樹脂(B成分)、およびバージン無機充填材(C成分)を溶融混練して製造され、その混合割合はゴム質重合体の割合の調整を基本とする。即ちA成分のゴム質重合体の含有量が比較大きい場合には、粉砕物の割合を低めに調整し、ゴム質重合体の含有量が比較的少ない場合には、粉砕物の割合を多めにすることが可能である。しかしながらA成分の混合割合があまりに少ない場合にはリサイクルの効率が低下する。A成分の混合割合があまりに多い場合にはA成分中の硬質ポリマーの劣化並びにA成分中に含有される頻度の高い比較的多量のリン酸エステルの影響を受けやすくなる。かかる観点からA成分の混合割合はD成分100重量%中1〜40重量%であることが好ましい。かかる割合はより好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは15〜25重量%である。したがって、上記構成(3)によれば、その諸特性とリサイクル効率との両立が達成された再生樹脂組成物が提供される。
一方、バージン無機充填材(C成分)の配合量はD成分に必要な無機充填材の割合と、A成分中に含有される無機充填材との割合によって調整することを基本とする。C成分はA成分、B成分、およびC成分の合計100重量%中好ましくは少なくとも9重量%が配合され、より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上が配合される。またC成分の配合割合は、A成分、B成分、およびC成分の合計100重量%中好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは35重量%以下である。
また、バージン熱可塑性樹脂(B成分)の配合割合は、上記A成分およびC成分の配合割合、並びに難燃剤、安定剤、着色剤などの比較的少量の成分の配合割合より決定されるが、好適な態様については後述する。
本発明の好適な態様の1つは、(4)C成分がマイカ、タルク、ワラストナイト、ガラス繊維および炭素繊維から選択される少なくとも1種以上の無機充填材である上記(1)〜(3)のいずれかの再生樹脂組成物である。
かかる無機充填材をバージン原料として配合して再生樹脂組成物を製造することにより、得られた再生樹脂組成物は、剛性、強度、および寸法安定性などに優れる。これらの特性が有効に発揮されることにより不必要な無機充填材の配合は抑制され、よって再生樹脂組成物の比重の増加が抑制される。低比重かつ高剛性(高弾性率)である材料は、製品における剛性を高めることが可能であり、かつ固有振動数の向上により制振性にも優れる。一方、かかる無機充填材は、強度や寸法安定性の点において優れる。したがってかかる構成(4)によれば、より良好な再生樹脂組成物が提供され、その結果として有効なリサイクルが達成される。
本発明の好適な態様の1つは、(5)C成分がその100重量%中少なくともマイカおよびワラストナイトから選択される少なくとも1種以上の無機充填材を50重量%以上含有する上記(4)の再生樹脂組成物である。
本発明の再生樹脂組成物においては、好ましくはマイカまたワラストナイトが主として含有される。これらを含有する再生樹脂組成物は高強度、高剛性、並びに低異方性に基く良好な寸法安定性をいずれも有するためである。一方、マイカまたはワラストナイトを含有する樹脂組成物においては、そのタップ強度やウエルド強度の低下は、ガラス繊維などと比較するとより顕著であることから、本発明の効果がより有効に発揮される。よって、C成分としてマイカおよびワラストナイトを50重量%以上含有する無機充填材を使用することは、より有用な再生樹脂組成物を提供可能とする。したがって上記構成(5)によれば、強度、剛性、並びに寸法安定性(低異方性に基く)に優れ、かつ良好なタップ強度やウエルド強度を有する再生樹脂組成物が提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(6)A成分が情報機器の外装成形品の粉砕物である上記(1)〜(5)のいずれかの再生樹脂組成物である。
上記の如く、本発明においては、そのリサイクル対象たるA成分としては、情報機器の外装成形品の粉砕物が好ましい。情報機器の外装成形品の粉砕物は、本発明の条件を満足する適度なゴム質重合体を含有し、一方で強度、耐熱性、難燃性、および寸法安定性において良好な樹脂材料から形成される場合が多いことがその第1の理由である。
情報機器の外装成形品を構成する樹脂材料の多くは、HIPS樹脂、ABS樹脂、PC/ABSアロイ、およびPC/HIPSアロイで構成されている。中でもPC/ABSアロイおよびPC/HIPSアロイが主として使用されている。かつこれらのアロイ材料の殆どはリン酸エステルおよびフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンを用いて難燃化されている。またこれらのアロイには衝撃改質剤としてのコア−シェル型グラフトポリマーが含まれる場合もあるが、ゴム質重合体という点ではABS樹脂およびHIPS樹脂に由来するゴム質重合体と同質である。また情報機器の外装成形品中には、多くの場合に二酸化チタン顔料が含まれる。中にはタルクやワラストナイトなどの無機充填材を更に含む材料もあるが、これらは組成物中において比較的少量であるし、再生樹脂組成物中の好適な無機充填材と同じである。したがって、総じて情報機器の外装成形品を構成する樹脂材料、特にPC/ABSアロイにおいてはその構成が類似している。結果として過度な分別を行うことなく外装成形品はリサイクルされることが可能である。A成分が、情報機器の外装成形品の粉砕物であることが好ましい第2の理由はこの点にある。
したがって上記構成(6)によれば、有用な再生樹脂組成物が提供されると共に、そのリサイクルにおける過度な分別を必要とせず、安定した特性を有する再生樹脂組成物が提供される。
本発明の好適な態様の1つは、(7)D成分が情報機器の内部機構部品用である上記(1)〜(6)のいずれかの再生樹脂組成物である。
上記の如く、本発明によれば、剛性、強度、耐熱性、寸法安定性、および難燃性等に優れ、かつ良好なタップ強度やウエルド強度を有する再生樹脂組成物が提供される。かかる再生樹脂組成物の特性は、情報機器の内部機構部品用途に好ましい。一方で情報機器の外装成形品をリサイクルして情報機器の内部機構部品用の材料を製造することは、同一の製造メーカー内でのリサイクルを可能とする。かかるリサイクルは、リサイクルを前提とした製品の設計を可能とし、またリサイクルされる回収材のより厳密な管理を可能とする。その結果、より効率が高いリサイクルが達成される。したがって上記構成(7)によれば、殊に構成(6)との組合せによって、情報機器の内部機構部品用として好適な再生樹脂組成物が提供されると共に、より効率的なリサイクルが達成される。
本発明の好適な態様は、(8)(A)熱可塑性樹脂組成物の成形品の粉砕物(A成分)1〜40重量部、(B)バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、(C)バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、および(E)その他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部の合計100重量部を溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、
(I)該A成分は、成形品100重量%中、硬質ポリマー(Aα成分)50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物であり、
(II)該D成分は、その100重量%中、硬質ポリマー(Dα成分)40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる、
ことを特徴とする再生樹脂組成物である。
本発明の別の態様は、( 9)(1)熱可塑性樹脂組成物の成形品の粉砕物(A成分)を準備する工程(工程−i)(該A成分は、成形品100重量%中、硬質ポリマー(Aα成分)50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物からなる)
(2)該A成分1〜40重量部、バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、およびその他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部を押出機に供給する工程(工程−ii)、
(3)かかるA成分、B成分、C成分およびE成分を押出機中で溶融混練する工程(工程−iii)および、(4)溶融混練されて得られた樹脂組成物(D成分)を回収する工程(工程−iv)(該D成分はその100重量%中、硬質ポリマー(Dα成分)40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる樹脂組成物である)、
からなる再生樹脂組成物の製造方法である。
本発明の別の態様は、(10)市場で使用されて回収された成形品の再利用方法であって、該成形品は成形品100重量%中、硬質ポリマー(Aα成分)50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物からなり、該成形品からなる粉砕物(A成分)を準備し、該A成分1〜40重量部、バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、およびその他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部を押出機に供給して溶融混練して、樹脂組成物(D成分)をペレットの形態で回収することを特徴とする成形品の再利用方法である(ここでD成分は、その100重量%中、硬質ポリマー(Dα成分)40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる樹脂組成物である)。
本発明の好適な態様の1つは、(11)上記Aα成分、B成分、およびDα成分はいずれもその100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂を50重量%以上含有する、(11a)上記構成(8)の再生樹脂組成物、(11b)上記構成(9)の再生樹脂組成物の製造方法、および(11c)上記構成(10)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(12)上記B成分は、ゴム質重合体を含有しない硬質ポリマーからなる熱可塑性樹脂(Bα成分)である、(12a)上記構成(8)、(11a)の再生樹脂組成物、(12b)上記構成(9)、(11b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(12c)上記構成(10)、(11c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(13)上記Aα成分およびDα成分はいずれも、芳香族ポリカーボネート樹脂並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体またはポリスチレン(より好適には芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体)から実質的になり、その合計100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が60〜95重量%である、(13a)上記構成(8)、(11a)、(12a)の再生樹脂組成物、(13b)上記構成(9)、(11b)、(12b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(1 3c)上記構成(10)、(11c)、(12c)の成形品の再利用方法である。ここで実質的になるとは硬質ポリマーの主成分として構成されることをいい、より好適には硬質ポリマー100重量%中97重量%以上、好ましくは98重量%以上含有されることをいう。他の硬質ポリマーは、例えば顔料のバインダーを構成する他の熱可塑性樹脂として混入する場合があるが、上記の好ましい態様(13)においては、かような熱可塑性樹脂を少量含むことができる。
本発明の好適な態様の1つは、(14)上記Bα成分およびDα成分はいずれも、芳香族ポリカーボネート樹脂並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体またはポリスチレン(より好適には芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体)から実質的になり、その合計100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が60〜95重量%である、(14a)上記構成(8)、(11a)〜(13a)の再生樹脂組成物、(14b)上記構成(9)、(11b)〜(13b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(14c)上記構成(10)、(11c)〜(13c)の成形品の再利用方法である。“実質的になる”の意味は上記態様(13)の場合と同じである。
本発明の好適な態様の1つは、(15)上記Aα成分、Bα成分およびDα成分はいずれも、芳香族ポリカーボネート樹脂並びに芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体またはポリスチレン(より好適には芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体)から実質的になり、その合計100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が60〜95重量%である、(15a)上記構成(8)、(11a)、(12a)の再生樹脂組成物、(15b)上記構成(9)、(11b)、(12b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(15c)上記構成(10)、(11c)、(12c)の成形品の再利用方法である。“実質的になる”の意味は上記態様(13)の場合と同じである。
本発明の好適な態様の1つは、(16)上記A−1成分およびD−1成分は、いずれもゴム成分からなる重合体に他のポリマー鎖が結合してなる共重合体であり、該共重合体100重量%中ゴム成分からなる重合体の割合が50〜90重量%である、(16a)上記構成(8)、(11a)〜(15a)の再生樹脂組成物、(16b)上記構成(9)、(11b)〜(15b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(16c)上記構成(10)、(11c)〜(15c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(17)上記A成分は、その他成分であるAβ成分としてA成分100重量%中有機リン酸エステル系難燃剤(Aβ−1成分)2〜20重量%含有し、上記D成分はその他成分であるDβ成分としてD成分100重量%中有機リン酸エステル系難燃剤(Dβ−1成分)1.5〜9.5重量%を含有する、(17a)上記構成(8)、(11a)〜(16a)の再生樹脂組成物、(17b)上記構成(9)、(11b)〜(16b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(17c)上記構成(10)、(11c)〜(16c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(18)上記A成分は、その他成分であるAβ成分としてA成分100重量%中フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(Aβ−2成分)0.1〜1重量%を含有し、上記D成分はその他成分であるDβ成分としてD成分100重量%中フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(Dβ−2成分)0.1〜1重量%を含有する、(18a)上記構成(17a)の再生樹脂組成物、(18b)上記構成(17b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(18c)上記構成(17c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(19)上記D成分は、その他成分であるE成分として、A成分、B成分、C成分、およびE成分の合計100重量部当たり、バージンの有機リン酸エステル系難燃剤(E−1成分)0.5〜6重量部を含有し、上記D成分はその他成分であるDβ成分としてD成分100重量%中有機リン酸エステル系難燃剤(Dβ−1成分)1.5〜9.5重量%を含有する、(19a)上記構成(8)、(11a)〜(18a)の再生樹脂組成物、(19b)上記構成(9)、(11b)〜(18b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(19c)上記構成(10)、(11c)〜(18c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(20)上記D成分は、その他成分であるE成分として、A成分、B成分、C成分、およびE成分の合計100重量部当たり、バージンのフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(E−2成分)0.05〜5重量部を含有し、上記D成分はその他成分であるDβ成分としてD成分100重量%中フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(Dβ−2成分)0.1〜1重量%を含有する、(20a)上記構成(19a)の再生樹脂組成物、(20b)上記構成(19b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(20c)上記構成(19c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(21)上記A成分は、その他成分であるAβ成分としてA成分100重量%中有機リン酸エステル系難燃剤(Aβ−1成分)2〜20重量%含有し、上記D成分は、その他成分であるE成分として、A成分、B成分、C成分、およびE成分の合計100重量部当たり、バージンの有機リン酸エステル系難燃剤(E−1成分)0.5〜6重量部を含有し、上記D成分はその他成分であるDβ成分としてD成分100重量%中有機リン酸エステル系難燃剤(Dβ−1成分)1.5〜9.5重量%を含有する、(21a)上記構成(8)、(11a)〜(16a)の再生樹脂組成物、(21b)上記構成(9)、(11b)〜(16b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(21c)上記構成(10)、(11c)〜(16c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(22)上記A成分は、その成形品が市場で使用されて回収された成形品の粉砕物である、(22a)上記構成(8)、(11a)〜(21a)の再生樹脂組成物、(22b)上記構成(9)、(11b)〜(21b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(22c)上記構成(10)、(11c)〜(21c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(23)上記C成分およびD−2成分は、マイカ、タルク、ワラストナイト、ガラス繊維および炭素繊維から選択される少なくとも1種の無機充填材である、(23a)上記構成(8)、(11a)〜(22a)の再生樹脂組成物、(23b)上記構成(9)、(11b)〜(22b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(23c)上記構成(10)、(11c)〜(22c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(24)上記C成分およびD−2成分は、その100重量%中少なくともマイカおよびワラストナイトから選択される少なくとも1種以上の無機充填材を50重量%以上含有する、(24a)上記構成(23a)の再生樹脂組成物、(24b)上記構成(23b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(24c)上記構成(23c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(25)上記A成分は、情報機器の外装成形品の粉砕物である、(25a)上記構成(8)、(11a)〜(24a)の再生樹脂組成物、(25b)上記構成(9)、(11b)〜(24b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(25c)上記構成(10)、(11c)〜(24c)の成形品の再利用方法である。
本発明の好適な態様の1つは、(26)上記D成分は、情報機器の内部機構部品用樹脂組成物である、(26a)上記構成(8)、(11a)〜(25a)の再生樹脂組成物、(26b)上記構成(9)、(11b)〜(25b)の再生樹脂組成物の製造方法、および(26c)上記構成(10)、(11c)〜(25c)の成形品の再利用方法である。
上記構成(9)における本発明の好適な態様の1つは、(27)上記工程−iiは、C成分を押出機途中の供給口より溶融樹脂中に供給してなる上記構成(9)に記載の製造方法であり、(28)上記工程−ivは、溶融混練された樹脂組成物をペレットの形態で回収する工程である上記構成(9)に記載の製造方法である。
更に上記A成分における各成分の組成割合、D成分における各原料成分の配合割合、およびD成分における各成分の組成割合の好ましい態様は次のとおりである。
(粉砕物(A成分)における組成割合)
A成分の組成割合は、A成分100重量%中、好ましくは
(a1);Aα成分:50〜98重量%、A−1成分:2〜10重量%、A−2成分:0〜15重量%、およびAβ成分:0〜25重量%であり、より好ましくは
(a2);Aα成分:65〜90重量%、A−1成分:3〜9重量%、A−2成分:0.1〜12重量%、およびAβ成分:2.5〜22重量%(内Aβ−1成分:2〜20重量%、Aβ−2成分:0.1〜1重量%)であり、更に好ましくは、
(a3);Aα成分:70〜85重量%、A−1成分:3.5〜8重量%、A−2成分:0.3〜7重量%、およびAβ成分:7.5〜18重量%(内Aβ−1成分:7〜17重量%、Aβ−2成分:0.2〜0.8重量%)であり、特に好ましくは、
(a4);Aα成分:70〜85重量%、A−1成分:4〜7.5重量%、A−2成分:0.3〜7重量%、およびAβ成分:10.5〜17.5重量%(内Aβ−1成分:10〜16重量%、Aβ−2成分:0.2〜0.5重量%)である。
(再生樹脂組成物(D成分)における各原料成分の配合割合)
D成分における各原料成分の配合割合は、A成分、B成分、C成分、およびE成分の合計100重量部当たり、好ましくは、
(b1);A成分:1〜40重量部、B成分(好ましくはBα成分):20〜89重量部、C成分:9〜50重量部、およびE成分:0.1〜10重量部(内E−1成分:0.5〜6重量部、E−2成分0.05〜0.5重量部)であり、より好ましくは、
(b2);A成分:5〜35重量部、B成分(好ましくはBα成分):35〜78.5重量部、C成分:15〜40重量部、およびE成分:1.5〜7重量部(内E−1成分:1〜4.5重量部、E−2成分0.1〜0.4重量部)であり、更に好ましくは、
(b3);A成分:10〜30重量部、B成分(好ましくはBα成分):45〜73重量部、C成分:15〜35重量部、およびE成分:2〜6.5重量部(内E−1成分:1.5〜4重量部、E−2成分0.15〜0.35重量部)であり、特に好ましくは、
(b4);A成分:10〜30重量部、B成分(好ましくはBα成分):50〜68重量部、C成分:20〜35重量部、およびE成分:2〜6重量部(内E−1成分:1.5〜3.5重量部、E−2成分0.2〜0.35重量部)である。最も好適には、
(b5);A成分:15〜25重量部、B成分(好ましくはBα成分):50〜63重量部、C成分:20〜35重量部、およびE成分:2〜6重量部(内E−1成分:1.5〜3.5重量部、E−2成分0.2〜0.35重量部)である。
(再生樹脂組成物(D成分)における組成割合)
A成分の組成割合は、A成分100重量%中、好ましくは
(d1);Dα成分:40〜80重量%、D−1成分:0.1〜2重量%、D−2成分:15〜50重量%、およびDβ成分:2〜12重量%(内Dβ−1成分:1.5〜9.5重量%、Dβ−2成分:0.1〜1重量%)であり、より好ましくは、
(d2);Dα成分:50〜80重量%、D−1成分:0.2〜1.5重量%、D−2成分:16〜40重量%、およびDβ成分:3.5〜10重量%(内Dβ−1成分:3〜8重量%、Dβ−2成分:0.2〜0.8重量%)であり、更に好ましくは、
(d3);Dα成分:55〜75重量%、D−1成分:0.3〜1.4重量%、D−2成分:18〜35重量%、およびDβ成分:4.5〜9重量%(内Dβ−1成分:4〜7重量%、Dβ−2成分:0.2〜0.6重量%)であり、特に好ましくは、
(d4);Dα成分:65〜75重量%、D−1成分:0.4〜1.3重量%、D−2成分:20〜30重量%、およびDβ成分:4.5〜9重量%(内Dβ−1成分:4〜7重量%、Dβ−2成分:0.2〜0.6重量%)である。
以下本発明の詳細を説明する。
<A成分について>
本発明にのA成分は、ゴム質重合体(A−1成分)を2〜10重量%および無機充填材(A−2成分)を0〜15重量%含有してなる熱可塑性樹脂組成物成形品の粉砕物である。
かかるA成分の熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも硬質ポリマー(Aα成分)およびゴム質重合体(A−1成分)を含有し、更に無機充填材(顔料(カーボンブラックや二酸化チタンなどに代表される)、強化フィラーを含む)(A−2成分)、並びにAα成分、A−1成分およびA−2成分以外の他の成分(Aβ成分)として他の有機化合物成分(有機難燃剤、有機添加剤等)を含んでなる。ここでA成分100重量%中硬質ポリマーは50〜98重量%、好ましくは60〜98重量%、より好ましくは65〜90重量%、特に好ましくは70〜85重量%の割合で含有される。
本発明において硬質ポリマーとは、非晶性ポリマーにおいては少なくともそのガラス転移温度が40℃以上であるポリマーをいい、少なくとも10℃以下にガラス転移温度を有するA−1成分のゴム質重合体とは明確に区別される。結晶性ポリマーの場合にはその融点が40℃以上であるポリマーをいう。これらのガラス転移温度および融点はJIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求めることが可能である。
A成分における硬質ポリマーとしては、芳香族ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリアリレート(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、並びにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、および環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、MS共重合体、AS共重合体、水添ポリスチレン、およびSMA共重合体などのスチレン系重合体、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル重合体などを挙げることができる。(ここでMS共重合体はメチルメタクリートとスチレンから主としてなる共重合体、AS共重合体はアクリロニトリルとスチレンから主としてなる共重合体、SMA共重合体はスチレンと無水マレイン酸(MA)から主としてなる共重合体を指す。)などを挙げることができ、これらを2種以上用いることもできる。
上記硬質ポリマーのスチレン系重合体は、芳香族ビニル化合物の重合体または共重合体、またこれらと共重合可能な他のビニル単量体とを共重合して得られる重合体をいう。またアクリル重合体とは、該スチレン系重合体以外の重合体であって、かつ(メタ)アクリル酸エステル化合物の重合体または共重合体、またこれらと共重合可能な他のビニル単量体とを共重合して得られる重合体をいう。
本発明において芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。
本発明において芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、シアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物を好ましく挙げることができる。シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。
本発明において(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。尚(メタ)アクリレートの表記はメタクリレートおよびアクリレートのいずれをも含むことを示し、(メタ)アクリル酸エステルの表記はメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルのいずれをも含むことを示す。特に好適な(メタ)アクリル酸エステル化合物としてはメチルメタクリレートを挙げることができる。
本発明においてシアン化ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物が挙げられる。
本発明の再生対象として好ましい情報機器の外装成形品においては、かかる硬質ポリマーとしてはポリスチレン、AS(アクリロニトリル−スチレン)共重合体、および芳香族ポリカーボネートが主として挙げられる。殊にA成分中の硬質ポリマーとして芳香族ポリカーボネートを含むことが好ましく、該芳香族ポリカーボネートはA成分の硬質ポリマー100重量%中50重量%以上であることが好ましい。殊に好ましいA成分の硬質ポリマー(Aα成分)の態様は、芳香族ポリカーボネート樹脂、並びにAS共重合体に代表される芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体またはポリスチレンからなり、その合計100重量%中芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が60〜95重量%(好ましくは75〜90重量%、より好ましくは80〜88重量%)である樹脂組成物である。ここでより好適な態様は、芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体からなる組成物である。硬質ポリマーの種類については、各種の測定方法によって同定することが可能である。例えば、特開2002−265798号公報に記載された方法が利用できる。
一方、A成分中のゴム質重合体の含有量は、同様に各種の分析手法によって測定することが可能である。好適なA成分においては、その硬質ポリマーはポリスチレン、AS共重合体、および芳香族ポリカーボネートの少なくともいずれかを含む。したがって好適なA成分中のゴム質重合体の含有量は、次のように簡便に算出可能である。かかる硬質ポリマーの良溶媒(例えば塩化メチレンなど)を用いてA成分の溶液残渣の量を求める。該量はゴム質重合体と無機充填材との合計量である。しかしながら塩化メチレンなどの高比重の溶媒を使用することにより通常遠心分離操作をした際、低比重であるゴム質重合体は上層の不溶分となり、高比重である無機充填材などは底に沈殿するため、かかる上層の不溶分を取り除く操作を数回繰り返すことにより、A成分中のゴム質重合体の含有量を知ることができる。また滴下防止剤としてのポリテトラフルオロエチレンも沈殿する。またこのような方法以外にも、溶液残渣量の測定法と灰化残渣量の測定法とを組み合わせる方法や、更に燃焼イオンクロマトグラフィーなどを用いたポリテトラフルオロエチレン含有量の測定法とを組み合わせる方法など、公知の方法の組合せによって、ゴム質重合体の含有量を求めることができる。
本発明でいう「成形品の粉砕物」とは、(i)成形品が製品の一部として市場で使用され、消費者等においてその製品の使用期間が終了し、回収された成形品の粉砕物、並びに(ii)市場に出る前の成形の過程で発生する不良品やスプルー、ランナーなどの成形工程で付随して発生する成形物、および製品化工程での不良品、在庫として不用になった成形品などバージンペレットを少なくとも一度加工した成形物の粉砕物を指す。これら(i)および(ii)を広く成形品の粉砕物として本発明に使用することができる。特に本発明の「成形品の粉砕物」は、(i)と(ii)の合計100重量%中、(i)が70重量%以上であることが本発明の目的に適合し好ましい。特に全量が(i)である成形品の粉砕物が好ましい。また、A成分が情報機器の外装成形品の粉砕物であることが最も好ましい。
粉砕物(A成分)は、通常製品からプラスチック部材を同種部品に仕分けをしながら回収した後、粉砕機を用いて粉砕される。粉砕機としては、例えば圧縮式粉砕機(ロールクラッシャーなど)、衝撃式粉砕機(インパクトクラッシャー、ハンマーミルなど)、切断式またはせん断式粉砕機(カッターミル、往復動式粉砕機、低速回転式粉砕機(二軸せん断粉砕機など)など)、衝撃せん断式粉砕機(シュレッダーなど)、および各種微粉砕機(ボールミル、ディスクミル、ピンミル、ハンマーミル、ターボミル、ジェットミルなど)などを挙げることができる。上記の中でも成形品を直接供給可能で、粉砕効率に優れ、かつ必要とされる粒径に対応するなどの点から切断式またはせん断式粉砕機が好ましい。その中でも低速回転式粉砕機が、靭性の高い外装成形品などにおいても適度なカサ密度を有し好ましい粉砕物が得られやすく好ましい。かかる低速回転式粉砕機としては一軸型、二軸型、三軸型などいずれのタイプも使用可能である。
また粉砕機の回転刃や固定刃の状態を良好に保つことが重要である。回転刃や固定刃などが摩耗していると、靭性の高い材料では破断面の変形が大きくなる傾向がある。かかる変形は不必要にカサ密度を増加させ製造工程上も好ましくない。粉砕物のカサ密度と真密度の比(カサ密度/真密度)は、その下限が好ましくは0.3(特に好ましくは0.38)であり、その上限が好ましくは0.5(特に好ましくは0.49)である。
粉砕物(A成分)の形状や大きさは特に限定されるものではないが、押出機への供給性、取り扱い性などの点から粉砕物の粒径(最大の粒体長径に相当する)は好ましくは1〜30mm、より好ましくは1〜15mm、更に好ましくは1.5〜12mm、特に好ましくは2〜10mmの範囲である。尚、かかる粉砕物の粒径は、標準篩法に準じて測定することが可能である。また、上記粒径の粉砕物は、目的とする粒径に近い目開きのスクリーンを破砕機に設置することにより得られる。
成形品に印刷塗膜、シール、ラベル、化粧塗装膜、導電塗装、導電メッキ、金属蒸着などが施されている場合、A成分としてこれらを除去した粉砕物および除去しない粉砕物のいずれも使用可能である。本発明はこれらの除去が厳格に求められない点においてもリサイクルの実効性を向上させる。
かかる印刷塗膜やメッキなどを除去する場合には、その方法として2本のロール間で圧延する方法、加熱・加圧水、各種溶剤、酸・アルカリ水溶液などに接触させる方法、かかる除去部分を機械的に削り取る方法、超音波を照射する方法、およびブラスト処理する方法などを挙げることができ、これらを組み合わせて使用することも可能である。
A成分の割合はD成分100重量%中1〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは15〜25重量%である。
<A−1成分について>
A−1成分のゴム質重合体とは、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であるゴム成分からなる重合体、並びに該ゴム成分からなる重合体に他のポリマー鎖が結合してなる共重合体をいう。かかる他のポリマー鎖が結合してなる共重合体はより好適なゴム質重合体である。
ゴム成分からなる重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(例えば、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、並びにアクリル・ブタジエンゴム(アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体)など)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(例えば、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体など)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(例えばエチレン・メタクリレート共重合体、およびエチレン・ブチルアクリレート共重合体など)、エチレンと脂肪族ビニルとの共重合体(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体など)、エチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー(例えば、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体など)、アクリルゴム(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、およびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体など)、並びにシリコーン系ゴム(例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とからなるIPN型ゴム;すなわち2つのゴム成分が分離できないように相互に絡み合った構造を有しているゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリイソブチレンゴム成分からなるIPN型ゴムなど)が挙げられる。
かかるゴム成分に結合するポリマー鎖を構成する単量体化合物としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物などが好適に挙げられる。その他の単量体成分としては、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸およびその無水物等を挙げることができる。上記単量体化合物として具体的に例示される化合物は、A成分の硬質ポリマーにおけるスチレン系重合体の場合と同様である。
他のポリマー鎖が結合してなるゴム質重合体においては、該共重合体100重量%中ゴム成分からなる重合体は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60重量%以上であり、更に好ましくは65重量%以上である。また該共重合体100重量%中ゴム成分からなる重合体は好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは85重量%以下であり、更に好ましくは80重量%以下である。
ゴム質重合体において、これらの単量体からなるポリマー鎖は、代表的にはブロック共重合体やグラフト共重合体の構成を有することができ、特にグラフト共重合体の構成を有することが好ましい。またグラフト共重合体においては、ゴム成分からなる重合体のコアに上記単量体からなるポリマー鎖が結合したコア−シェルタイプのグラフト共重合体がより好ましい。またグラフト共重合体は、1段反応によるグラフト反応、および2段以上の多段反応によるグラフト反応のいずれで製造されてもよい。A−1成分がグラフト共重合体の場合、ゴム成分からなる重合体にグラフトされたポリマー鎖の割合(ゴム成分の重量に対するかかるグラフトポリマー鎖の重量の割合)、すなわちグラフト率(重量%)は好ましくは11〜100重量%であり、より好ましくは17〜66重量%であり、更に好ましくは25〜53重量%である。
尚、本発明のゴム質重合体はA成分中に単体で配合される必要はなく、他の硬質ポリマー中に含有される形式で含まれるものであってもよい。例えばABS樹脂がA成分の構成成分の1つとして配合された場合、硬質ポリマーとしてAS共重合体、ゴム質重合体としてABS共重合体を含有する。
A成分の硬質ポリマーが芳香族ポリカーボネートを主成分とするとき、より好適なA−1成分は、芳香族ビニル化合物または(メタ)アクリル酸エステル化合物をその必須の単量体成分として含有する共重合体、殊にその必須のグラフト鎖の単量体成分として含有するグラフト共重合体である。更に好適なA−1成分は、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をそのグラフト鎖の必須の単量体成分として含有するグラフト共重合体、または(メタ)アクリル酸エステル化合物をそのグラフト鎖の必須の単量体成分として含有するグラフト共重合体である。特にいずれのグラフト共重合体もA−1成分として含有されることが好ましい。
A成分の硬質ポリマーがポリフェニレンエーテルを主成分とするとき、より好適なA−1成分は、芳香族ビニル化合物をその必須の単量体成分として含有する共重合体である。
A−1成分たるゴム質重合体としてより具体的には、SB(スチレン−ブタジエン)重合体、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)重合体、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)重合体、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)重合体、MB(メチルメタクリレート−ブタジエン)重合体、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム)重合体、AES(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン)重合体、MA(メチルメタクリレート−アクリルゴム)重合体、MAS(メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン)重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)重合体などを挙げることができる。これらの重合体はいずれもゴム成分からなる重合体のコアに上記単量体からなるポリマー鎖が結合したコア−シェルタイプのグラフト共重合体であることが好ましい。
上記の例示されたゴム質重合体はA成分の硬質ポリマーが芳香族ポリカーボネートである場合にいずれも好適であり、特にSB重合体を除く重合体は好適に利用され、中でもABS共重合体、MBS共重合体、MB共重合体、MA共重合体、MAS共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、およびメチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)重合体が好適である。またA成分の硬質ポリマーがポリフェニレンエーテルである場合には、SB重合体がより好適である。
その他ゴム質重合体としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなど各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
かかるA−1成分の含有量は、A成分100重量%中2〜10重量%であり、3〜9重量%が好ましく、3.5〜8重量%がより好ましく、最も好ましくは4〜7.5重量%である。
<A−2成分について>
A−2成分の無機充填材には、熱可塑性樹脂組成物の剛性や強度の向上などを目的として配合される強化フィラー並びに熱可塑性樹脂組成物の着色などを目的として配合される無機顔料などが代表的に例示される。強化フィラーとしてはガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭素繊維、カーボンフレーク、カーボンビーズ、タルク、クレイ、ワラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム、各種無機のウイスカー、金属繊維、金属フレーク、金属コートガラス繊維、金属コートガラスフレーク、および金属コート炭素繊維などを挙げることができる。中でもマイカ、タルク、ワラストナイト、ガラス繊維および炭素繊維から選択される少なくとも1種以上が好ましく、再溶融混練においても形状変化の少ないマイカ、タルクおよびワラストナイトから選択される少なくとも1種以上がより好ましい。更にタルクは特に好適である。一方、着色剤として配合される無機充填材の代表例としては二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、および酸化鉄などが例示され、二酸化チタンは最も好適に使用される。
かかるA−2成分の含有量は、A成分100重量%中0〜15重量%であり、0.1〜12重量%が好ましく、0.3〜7重量%がより好ましい。多くの成形品が着色剤を含有することが多いため、A−2成分の割合は0重量%になることは稀である。しかしながら強化フィラーは実質的に含有されない粉砕物が最も好ましい。これはD成分の組成の自由度が高くなるからである。
<A成分中のその他成分について>
A成分には、上記A成分の硬質ポリマー、A−1成分およびA−2成分以外に、通常熱可塑性樹脂組成物に含まれる各種の添加剤を含有してもよい。その成分は特に限定するものではないが、例えば有機リン化合物等の難燃剤などの他、滴下防止剤、滑剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤などを挙げることができる。
中でも好適には、有機リン化合物等の難燃剤および滴下防止剤を挙げることができる。これらは本発明の再生対象として好ましい情報機器の外装成形品において配合されることが多い一方、再生樹脂組成物(D成分)においても良好な難燃性を付与することに貢献するためである。
上記有機リン化合物は、好ましくは有機リン酸エステル化合物である。かかる有機リン酸エステルの詳細については後述する。有機リン酸エステルの含有量は、A成分100重量%中好ましくは2〜20重量%であり、より好ましくは7〜17重量%であり、更に好ましくは10〜16重量%である。かかる好ましい範囲のリン酸エステル含有量は、バージン原料として配合されるリン酸エステル量を低減し(場合によっては不要とし)、並びに高いリサイクル率においてD成分の耐熱性を保持する。
上記滴下防止剤は、好ましくはフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1000万、より好ましく200万〜900万である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。滴下防止剤の含有量は、A成分100重量%中好ましくは0.1〜1重量%であり、より好ましくは0.2〜0.8重量%、更に好ましくは0.2〜0.5重量%である。
上記有機リン化合物および滴下防止剤のA成分中の含有割合については、各種の方法により求めることが可能であるが、例えば特開2002−265798号公報に記載された方法が利用できる。
<B成分について>
本発明のバージン熱可塑性樹脂(B成分)は、本発明の再生樹脂組成物を構成する未だ使用されてない熱可塑性樹脂成分である。したがって、一度市場において使用され回収された成形物の粉砕物、あるいは成形時に付随して発生した成形物の粉砕物である本発明のA成分中の硬質ポリマーやゴム質重合体とは明確に区別される。
バージン熱可塑性樹脂は通常自社で生産した樹脂、並びに市場から入手される樹脂などであり、その形態は粉状、もしくはペレット状、チップ状または球状に造粒されたものが通常使用される。ここでペレット状とは円形状または楕円形状の断面を持つ円柱状の粒体であり、その断面の長径は1〜4mm、長さは2〜6mmが好ましい。また、一部が既に各種の添加剤を混合された状態のものも使用可能である。
B成分として使用される熱可塑性樹脂としては、ゴム質重合体を含有しない硬質ポリマーからなる熱可塑性樹脂、並びにゴム質重合体と硬質ポリマーからなる熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。上記の如く高剛性材料においては、ゴム質重合体の含有は通常好ましくない場合が多いことから、より好ましいB成分はゴム質重合体を含有しない硬質ポリマーからなる熱可塑性樹脂(Bα成分)である。B成分の熱可塑性樹脂における硬質ポリマーおよびゴム質重合体は、1種であっても2種以上の組合せであってもよい。B成分が2種以上の成分の組合せである場合、B成分は各々の成分を独立にA成分と混合すること、並びに2種以上の成分を混合した後B成分として混合することのいずれも選択できる。
B成分における硬質ポリマーとしては上記A成分のそれと同様の硬質ポリマーが例示される。またB成分におけるゴム質重合体としては上記A−1成分のそれと同様のゴム質重合体が例示される。尚、熱可塑性樹脂は通常微量の安定剤等を含んでいることが多く、本発明のB成分においてもかかる安定剤等の成分を含有する熱可塑性樹脂を使用できる。すなわちB成分は実質的には硬質ポリマー、または硬質ポリマーとゴム質重合体との混合物より構成されるが、安定剤等の各種微量成分を含んでよいものである。
本発明のバージン熱可塑性樹脂(B成分)は、A成分の硬質ポリマーと高い相溶性を有するものが好ましい。したがってA成分と同種の樹脂であることが好ましい。またA成分の硬質ポリマーが2種以上の混合物である場合は、B成分も同様の硬質ポリマーの組合せから構成されるか、または主成分の硬質ポリマーと同様であることが好ましい。
かかる具体例としては、A成分がPC/ABSアロイの場合には、B成分としてはPC樹脂、またはPC樹脂およびAS共重合体樹脂の組合せよりなることが好ましい。A成分がPC/HIPSアロイの場合には、B成分としてはPC樹脂、またはPC樹脂およびポリスチレン樹脂の組合せよりなることが好ましい。更にA成分がHIPS樹脂の場合には、B成分がPPE樹脂、またはPPE樹脂およびポリスチレン樹脂の組合せよりなることが好ましい。
上記の点からバージン熱可塑性樹脂(B成分)は、好ましくは主成分として芳香族ポリカーボネートおよびポリフェニレンエーテル樹脂からなるものであり、より好ましくは主成分として芳香族ポリカーボネートからなるものである。特にA成分が芳香族ポリカーボネートを主成分とする(A成分中に50重量%以上含有される)とき、B成分はその100重量%中芳香族ポリカーボネートを50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは70重量%以上、最も好ましくは75重量%以上である。
尚、本発明の芳香族ポリカーボネートの詳細は下記のとおりである。
本発明の芳香族ポリカーボネートは、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ポリカーボネートであり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでも耐衝撃性の点からビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
前記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法によって芳香族ポリカーボネートを製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。また本発明の芳香族ポリカーボネートは三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート、二官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート、並びにかかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネートを含む。また、得られたポリカーボネートの2種以上を混合した混合物であってもよい。
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが使用できる。
分岐芳香族ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
芳香族ポリカーボネートは、上述した各種二価フェノールの異なる芳香族ポリカーボネート、分岐成分を含有する芳香族ポリカーボネート、各種のポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体など各種の芳香族ポリカーボネートの2種以上を混合したものであってもよい。さらに下記に示す製造法の異なる芳香族ポリカーボネート、末端停止剤の異なる芳香族ポリカーボネートなど各種についても2種以上を混合したものが使用できる。
芳香族ポリカーボネートの重合反応において界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールなどの単官能フェノール類を用いるのが好ましい。さらに単官能フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を1.33×10〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物などの触媒を用いることができる。さらにアルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−8〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−7〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。
溶融エステル交換法による反応ではフェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
さらに溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また重合後の芳香族ポリカーボネートに対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などのホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェートなどのアンモニウム塩なとが好ましく挙げられる。
芳香族ポリカーボネートの分子量は特定されないが、分子量が10,000未満であると成形品として十分な強度が得られ難く、50,000を超えると成形加工性が低下する。したがって、粘度平均分子量で表して10,000〜50,000のものが好ましく、14,000〜30,000のものがより好ましく、更に好ましくは14,000〜24,000である。また、芳香族ポリカーボネートの2種以上を混合しても差し支えない。この場合粘度平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリカーボネートとを混合することも当然に可能である。
特に粘度平均分子量が50,000を超える芳香族ポリカーボネートとの混合物はエントロピー弾性が高く、ジェッティングなどに代表されるレオロジー挙動による成形品の外観不良が生じくい特徴がある。かかる外観不良が生ずる場合には、適切な態様である。更にガスインジェクション成形などにおいてもガス注入量が安定し、また発泡成形においては発泡セルが安定し、微細かつ均質なセルが形成されやすいことから有利である。
より好ましくは粘度平均分子量が80,000以上の芳香族ポリカーボネートとの混合物であり、更に好ましくは100,000以上の粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネートとの混合物である。すなわちGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)などの測定法において2ピーク以上の分子量分布を観察できるものが好ましく使用できる。
本発明でいう粘度平均分子量はまず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
本発明の芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体は、100重量%の該共重合体中、好ましくは15〜35重量%のシアン化ビニル化合物構成単位と、85〜65重量%の芳香族ビニル化合物構成単位を有する。また反応で使用する開始剤、連鎖移動剤等は必要に応じて、従来公知の各種のものが使用可能である。かかるAS共重合体樹脂は塊状重合、溶液重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、および乳化重合などのいずれの方法で製造されたものでもよいが、好ましくは塊状重合によるものである。かかるAS樹脂のGPC測定による標準ポリスチレン換算による重量平均分子量は、好ましくは30,000〜200,000の範囲であり、より好ましくは60,000〜140,000の範囲であり、更に好ましくは90,000〜120,000の範囲である。本発明のポリスチレン樹脂においても、かかる重量平均分子量を有するものが好適に使用される。ポリスチレンの立体規則性は特に制限されず、一般的なアタクティックポリマーの他、シンジオタクティックやアイソタクティックのポリマーを使用することもできる。
<C成分について>
A−2成分と同様なものを使用してもよいが、別種のものも使用できる。中でもマイカ、タルク、ワラストナイト、ガラス繊維および炭素繊維から選択される少なくとも1種以上が好ましい。更に再溶融混練においても形状変化の少ないマイカ、タルクおよびワラストナイトから選択される少なくとも1種以上を含有することがより好ましい。更に好適なC成分は、その100重量%中少なくともマイカおよびワラストナイトから選択される少なくとも1種以上の無機充填材を50重量%以上含有する。特に好適なC成分はその100重量%中少なくともマイカを50重量%以上含有する。
更にC成分は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。またC成分は目的とする再生樹脂組成物の特性に対して次のような態様であることが好ましい。即ち再生樹脂組成物の曲げ弾性率(ISO178規格に基づく。以下同じ)が7,000MPa以上、好ましくは8,000MPa以上、より好ましくは10,000MPa以上である場合、好ましいC成分はガラス繊維および/または炭素繊維(仮に“フィラー1”とする)と、マイカ、タルク、およびワラストナイトから選択される少なくとも1種の無機充填材(仮に“フィラー2”とする)との組合せである。かかるフィラー1とフィラー2との重量比(フィラー1/フィラー2)は、好ましくは10/90〜75/25の範囲、より好ましくは10/90〜55/45の範囲、更に好ましくは25/75〜50/50の範囲である。他方、再生樹脂組成物の曲げ弾性率が8,000MPa以下、好ましくは7,000MPa以下の場合には、マイカ並びにタルクおよび/またはワラストナイトの組合せ、またはワラストナイトであることが好ましい。マイカ並びにタルクおよび/またはワラストナイトの組合せにおいては、両者の合計100重量%としたとき、マイカは好適には40重量%以上(より好適には50重量%以上、更に好適には55重量%以上)かつ90重量%以下(より好適には80重量以下、更に好適には75重量%以下)含有される。
本発明で使用できるマイカの平均粒子径は走査型電子顕微鏡により観察し、1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出される数平均粒子径である。その数平均粒子径は10〜500μmが好ましく、より好ましくは30〜400μm、更に好ましくは30〜200μm、最も好ましくは35〜80μmである。数平均粒子径が10μm未満となると衝撃強度が低下する場合がある。更に本発明の再生樹脂組成物において好適な硬質ポリマーである芳香族ポリカーボネートの熱安定性も低下も悪化する場合がある。また500μmを超えると、衝撃強度は向上するが外観が悪化しやすい。外観の悪化は紙が通る部品などにおける滑り性を低下させるため、好ましくない場合がある。
マイカの厚みとしては、電子顕微鏡観察により実測した厚みが0.01〜10μmのものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、より好適な再生樹脂組成物が提供される。
また、マイカの粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法と、マイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水などの粉砕助剤を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法がある。本発明のマイカはいずれの粉砕法において製造されたものも使用できるが、乾式粉砕法の方が低コストで一般的である。一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であるがコストがかかる。マイカは、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよく、更に各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
本発明で使用できるタルクとは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常SiOを56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、HO約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFeが0.03〜1.2重量%、Alが0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、KOが0.2重量%以下、NaOが0.2重量%以下などを含有しており、比重は約2.7、モース硬度は1である。
本発明のタルクの平均粒子径は0.5〜30μmが好ましい。該平均粒子径はJIS M8016に従って測定したアンドレアゼンピペット法により測定した粒度分布から求めた積重率50%時の粒子径である。タルクの粒子径は2〜30μmがより好ましく、5〜20μmが更に好ましく、10〜20μmが最も好ましい。0.5〜30μmの範囲のタルクは再生樹脂組成物に剛性および低異方性に加えて、良好な表面外観および難燃性を付与する。
またタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、及び容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。更に粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。
更にタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
また、本発明で使用できるワラストナイトは、実質的に化学式CaSiOで表され、通常SiOが約50重量%以上、CaOが約47重量%、その他Fe、Al等を含んでいる。ワラストナイトは、ワラストナイト原石を粉砕、分級した白色針状粉末で、モース硬度は約4.5である。使用するワラストナイトの平均繊維径は0.5〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmが最も好ましい。該平均繊維径は走査型電子顕微鏡により観察し、0.1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出されるものである。
本発明のバージン無機充填材とは、未だ使用されてない本発明の再生樹脂組成物を構成する無機充填材成分である。したがって、一度市場において使用され回収された、あるいは成形時に付随して発生した成形物の粉砕物に含有される本発明のA−2成分とは明確に区別されるものである。
<D成分について>
本発明のD成分は、ゴム質重合体(A−1成分)を2〜10重量%および無機充填材(A−2成分)を0〜15重量%含有してなる熱可塑性樹脂組成物成形品の粉砕物(A成分)とバージン熱可塑性樹脂(B成分)、バージン無機充填材(C成分)とを溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、該再生樹脂組成物100重量%中にゴム質重合体(D−1成分)を0.1〜2重量%および無機充填材(D−2成分)を15〜50重量%含有することを特徴とする再生樹脂組成物である。
D成分中の硬質ポリマーは、C成分中の硬質ポリマーおよびA成分中の硬質ポリマーよりなる。D成分中の硬質ポリマーは、上記A成分で例示されたと同様のものが使用できる。本発明のD成分は、殊に硬質ポリマーの主成分として芳香族ポリカーボネートおよびポリフェニレンエーテルからなるものが好ましく、より好ましくは硬質ポリマーの主成分として芳香族ポリカーボネートからなるものである。特にD成分が芳香族ポリカーボネートを硬質ポリマーの主成分とする(D成分の硬質ポリマー中に50重量%以上含有される)ことが好ましい。更に好適には、D成分の硬質ポリマーはその100重量%中芳香族ポリカーボネートを60重量%以上含有し、最も好ましくは75〜90重量%の範囲で含有する。
更にD成分における硬質ポリマーの割合は、好ましくはD成分100重量%中35重量%以上であり、より好ましくは40〜80重量%であり、更に好ましくは65〜75重量%である。
より好適なD成分の硬質ポリマーとしては、PCおよびAS共重合体からなる組成物、PCおよびポリスチレンからなる組成物、並びにPPEとポリスチレンからなる組成物が例示される。
したがって本発明によれば、より好適には下記の発明が提供される。
再生樹脂組成物−(i):芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体からなる硬質ポリマー中に、ゴム質重合体(A−1成分)を2〜10重量%および無機充填材(A−2成分)を0〜15重量%含有してなる熱可塑性樹脂組成物成形品の粉砕物(A成分)、バージン熱可塑性樹脂(B成分)として芳香族ポリカーボネート、または芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体からなる樹脂、並びにバージン無機充填材(C成分)とを溶融混練して製造された、該硬質ポリマーが実質的に芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体からなる再生樹脂組成物(D成分)であって、該再生樹脂組成物100重量%中にゴム質重合体(D−1成分)を0.1〜2重量%および無機充填材(D−2成分)を15〜50重量%含有することを特徴とする再生樹脂組成物。更に好適には、
(A)熱可塑性樹脂組成物の成形品の粉砕物(A成分)1〜40重量部、(B)バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、(C)バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、および(E)その他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部の合計100重量部を溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、
(I)該A成分は、成形品100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体からなる硬質ポリマー50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物であり、
(II)該B成分は、芳香族ポリカーボネート、または芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体から実質的になる樹脂であり、
(III)該D成分は、その100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体から実質的になる硬質ポリマー40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる、
ことを特徴とする再生樹脂組成物である。
再生樹脂組成物−(ii):芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ビニル化合物の重合体からなる硬質ポリマー中に、ゴム質重合体(A−1成分)を2〜10重量%および無機充填材(A−2成分)を0〜15重量%含有してなる熱可塑性樹脂組成物成形品の粉砕物(A成分)、バージン熱可塑性樹脂(B成分)として芳香族ポリカーボネート、または芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ビニル化合物の重合体からなる樹脂、並びにバージン無機充填材(C成分)とを溶融混練して製造された、該硬質ポリマーが実質的に芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ビニル化合物の重合体からなる再生樹脂組成物(D成分)であって、該再生樹脂組成物100重量%中にゴム質重合体(D−1成分)を0.1〜2重量%および無機充填材(D−2成分)を15〜50重量%含有することを特徴とする再生樹脂組成物。更に好適には、
(A)熱可塑性樹脂組成物の成形品の粉砕物(A成分)1〜40重量部、(B)バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、(C)バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、および(E)その他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部の合計100重量部を溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、
(I)該A成分は、成形品100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ビニル化合物の重合体から実質的になる硬質ポリマー50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物であり、
(II)該B成分は、芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ビニル化合物の重合体から実質的になる樹脂であり、
(III)該D成分は、その100重量%中、芳香族ポリカーボネート樹脂および芳香族ビニル化合物の重合体から硬質ポリマー40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる、
ことを特徴とする再生樹脂組成物である。
再生樹脂組成物−(iii):芳香族ビニル化合物の重合体からなる硬質ポリマー中に、ゴム質重合体(A−1成分)を2〜10重量%および無機充填材(A−2成分)を0〜15重量%含有してなる熱可塑性樹脂組成物成形品の粉砕物(A成分)、バージン熱可塑性樹脂(B成分)としてポリフェニレンエーテル樹脂、またはポリフェニレンエーテル樹脂および芳香族ビニル化合物の重合体からなる樹脂、並びにバージン無機充填材(C成分)とを溶融混練して製造された、該硬質ポリマーが実質的にポリフェニレンエーテルおよび芳香族ビニル化合物の重合体からなる再生樹脂組成物(D成分)であって、該再生樹脂組成物100重量%中にゴム質重合体(D−1成分)を0.1〜2重量%および無機充填材(D−2成分)を15〜50重量%含有することを特徴とする再生樹脂組成物。更に好適には、
(A)熱可塑性樹脂組成物の成形品の粉砕物(A成分)1〜40重量部、(B)バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、(C)バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、および(E)その他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部の合計100重量部を溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、
(I)該A成分は、成形品100重量%中、芳香族ビニル化合物の重合体からなる硬質ポリマー50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物であり、
(II)該B成分は、ポリフェレンエーテル樹脂、またはポリフェニレンエーテル樹脂および芳香族ビニル化合物の重合体から実質的になる樹脂であり、
(III)該D成分は、その100重量%中、ポリフェレンエーテル樹脂および芳香族ビニル化合物の重合体から実質的になる硬質ポリマー40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる、
ことを特徴とする再生樹脂組成物である。
上記、再生樹脂組成物−(i)においては、芳香族ポリカーボネートはD成分100重量%中好ましくは30〜80重量%(より好ましくは40〜70重量%、更に好ましくは50〜65重量%)含有される。更に再生樹脂組成物−(i)の硬質ポリマーにおける芳香族ポリカーボネートと芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物との共重合体との割合は、両者の合計100重量%中芳香族ポリカーボネートが好ましくは60〜95重量%(より好ましくは75〜90重量%、更に好ましくは80〜88重量%)である。
上記、再生樹脂組成物−(ii)においては、芳香族ポリカーボネートはD成分100重量%中好ましくは30〜80重量%(より好ましくは40〜70重量%、更に好ましくは50〜65重量%)含有される。更に再生樹脂組成物−(ii)の硬質ポリマーにおける芳香族ポリカーボネートと芳香族ビニル化合物の重合体との割合は、両者の合計100重量%中芳香族ポリカーボネートが好ましくは60〜95重量%(より好ましくは75〜90重量%、更に好ましくは80〜88重量%)である。
更に、再生樹脂組成物−(iii)においては、ポリフェニレンエーテルはD成分100重量%中好ましくは20〜60重量%(より好ましくは25〜55重量%、更に好ましくは30〜50重量%)含有される。更に再生樹脂組成物−(iii)の硬質ポリマーにおけるポリフェニレンエーテルと芳香族ビニル化合物の重合体との割合は、両者の合計100重量%中ポリフェニレンエーテルが好ましくは40〜85重量%(より好ましくは45〜80重量%、更に好ましくは50〜75重量%)である。
D成分の用途は、上記再生樹脂組成物より形成された光学ユニットなどの精密な機構部品が搭載される情報機器の内部機構部品、特にシャーシ成形品が好ましい。かかる情報機器としては、プリンター(殊にレーザービーム方式のもの)、複写機、ファクシミリ、スキャナーおよびこれらの複合機、プロジェクター装置などを挙げることができる。また上記D成分は、その他用途として精密なセンサーを搭載する家庭用ロボットなどのシャーシにも適用できる。
<D−1成分について>
本発明の再生樹脂組成物(D成分)中に含有されるゴム質重合体(D−1成分)は、上記A−1成分から由来するものおよび再生樹脂組成物にするときに、必要に応じて新たに加えられたゴム質重合体の合計である。
上記においてD−1成分の含有量は、D成分100重量%中0.1〜2重量%であり、0.2〜1.5重量%が好ましく、0.3〜1.4重量%がより好ましく、最も好ましくは0.4〜1.3重量%である。
好適なD−1成分は、次のとおりである。上記再生樹脂組成物−(i)および−(ii)においては、A成分におけるA−1成分の場合と同様、芳香族ビニル化合物または(メタ)アクリル酸エステル化合物をその必須の単量体成分として含有する共重合体、殊にその必須のグラフト鎖の単量体成分として含有するグラフト共重合体である。更に好適なD−1成分は、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニル化合物をそのグラフト鎖の必須の単量体成分として含有するグラフト共重合体、または(メタ)アクリル酸エステル化合物をそのグラフト鎖の必須の単量体成分として含有するグラフト共重合体である。特にいずれのグラフト共重合体もD−1成分として含有されることが好ましい。かかる好適なD−1成分としては具体的には、好ましいA−1成分と同様の重合体が例示される。
上記再生樹脂組成物−(iii)においては、A成分におけるA−1成分の場合と同様、芳香族ビニル化合物または(メタ)アクリル酸エステル化合物をその必須の単量体成分として含有する共重合体である。
<D−2成分について>
このD−2成分は、上記A−2成分から由来するものおよび上記C成分から由来するものの合計である。
かかるD−2成分の含有量は、D成分100重量%中15〜50重量%であり、16〜40重量%が好ましく、18〜35重量%がより好ましく、最も好ましくは20〜30重量%である。
好適なD−2成分の態様はC成分の内容と同様に次の通りである。即ち再生樹脂組成物(D成分)の曲げ弾性率が7,000MPa以上、好ましくは8,000MPa以上、より好ましくは10,000MPa以上である場合、好ましいD−2成分はガラス繊維および/または炭素繊維(仮に“D2−1”とする)と、マイカ、タルク、およびワラストナイトから選択される少なくとも1種の無機充填材(仮に“D2−2”とする)との組合せである。かかるD2−1とD2−2との重量比(D2−1/D2−2)は、好ましくは10/90〜75/25の範囲、より好ましくは10/90〜55/45の範囲、更に好ましくは25/75〜50/50の範囲である。他方、再生樹脂組成物の曲げ弾性率が8,000MPa以下、好ましくは7,000MPa以下の場合には、マイカ並びにタルクおよび/またはワラストナイトの組合せ、またはワラストナイトであることが好ましい。マイカ並びにタルクおよび/またはワラストナイトの組合せにおいては、両者の合計100重量%としたとき、マイカは好適には40重量%以上(より好適には50重量%以上、更に好適には55重量%以上)かつ90重量%以下(より好適には80重量以下、更に好適には75重量%以下)含有される。
<D成分中のその他成分(Dβ成分)について>
D成分には上記D成分の硬質ポリマー、D−1成分およびD−2成分以外に、通常熱可塑性樹脂組成物に含まれる各種の添加剤を含有してもよく、D成分中のその他成分(Dβ成分)として、上記A成分中のその他成分と同様なものが使用できる。
次に、代表的な添加剤についてその詳細を述べる。
本発明で使用できる好適な難燃剤として、有機リン酸エステル系難燃剤について説明する。有機リン酸エステル系難燃剤は、本発明の再生対象として好ましい情報機器の外装成形品において配合されることが多い一方、本発明の再生樹脂組成物に対して次の利点を付与することから、D成分中に含まれることが好ましい。すなわち、その改良された流動性によって複雑な成形品の成形が可能となり、低下する成形温度によってハイサイクル成形が可能となり、増加する弾性率および比較的低い比重は成形品の剛性や制振性の向上が可能となる。
有機リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、特に下記一般式(1)で表される1種または2種以上のリン酸エステル化合物を挙げることができる。
Figure 2004323825
(但し上記式中のXは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイドから誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ独立して0または1であり、nは0〜5の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合は0〜5の平均値であり、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくは置換していないフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−クミルフェノールから誘導されるものである。)
更に好ましいものとしては、上記式中のXが、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、およびジヒドロキシジフェニルから誘導されるものが挙げられ、j、k、l、mはそれぞれ1であり、nは1〜3の整数であり、またはn数の異なるリン酸エステルのブレンドの場合はその平均値であり、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して1個以上のハロゲン原子を置換したもしくはより好適には置換していないフェノール、クレゾール、キシレノールから誘導されるものである。
かかる有機リン酸エステル系難燃剤の中でも、ホスフェート化合物としてはトリフェニルホスフェート、ホスフェートオリゴマーとしてはレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が耐加水分解性などにも優れるため好ましく使用できる。更に好ましいのは、耐熱性などの点からレゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)である。これらは耐熱性も良好であるため、繰り返しのリサイクル処理を行ってもそれらが熱劣化したり、揮発するなどの弊害がないためである。
有機リン酸エステル系難燃剤は、D成分100重量%中好ましくは1.5〜9.5重量%、より好ましくは3〜8重量%、更に好ましくは4〜7重量%含有される。
D成分には、滴下防止剤が含有されることが再生樹脂組成物の難燃性向上の点から好ましい。滴下防止剤としてはフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン、シリコーン樹脂などが挙げられ、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは上記のとおりである。
滴下防止剤の含有量は、D成分100重量%中好ましくは0.1〜1重量%であり、より好ましくは0.2〜0.8重量%、更に好ましくは0.2〜0.6重量%である。
安定剤としては、各種ホスフェート化合物、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物などのリン化合物からなる安定剤が使用されることが多く、D成分はこれらを含むものであってもよい。その他酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが含まれるものであってよい。
また離型剤としては、オレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、ステアリン酸モノエステルおよびトリエステル等の一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、モンタン酸ワックス等のパラフィンワックス、蜜蝋などが挙げられ、ステアリン酸モノエステルおよびトリエステル、モンタン酸ワックスが好ましい。
本発明の再生樹脂組成物は、上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、更にその際、C成分はサイドフィーダー等により第2供給口より、溶融混練された他の成分中に供給することが好ましい。かくして得られた組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、または回転成形等の既知の方法で容易に成形することができ、特に射出成形により精密機器等の高精度シャーシを成形することが可能である。その際さらに高精度を達成するため、射出圧縮成形、断熱金型による成形等を組合わせることが可能であり、また軽量化および低歪み化のためガスアシスト成形等を組合わせて使用することも可能である。
以上本発明によれば、タップ強度等の成形品加工性、ウエルド強度等の成形品機械特性が良好な再生樹脂組成物が提供される。
本発明の再生樹脂組成物は、不用になった成形品をリサイクル可能な原料として有効に使用することができる。さらにはゴム質重合体を含有する成形品の粉砕物を使用して、タップ強度等の成形品加工性、ウエルド強度等の成形品機械特性が良い再生樹脂組成物を得ることが可能であり、環境保護、資源の再利用の観点からも非常に有用であり、その奏する工業的効果は格別なものである。更に本発明の再生樹脂組成物の製造方法は、使用済みの成形品を特定割合でバージン原料と溶融混練することにより、タップ強度やウエルド強度などにおいて良好な剛性および寸法精度に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供するものであり、、環境保護、資源の再利用の観点からも非常に有用である。また本発明の成形品の再利用方法は、使用済み成形品の再利用方法の選択肢を拡大すると共に、同一製品における再利用が可能となることから製品設計においてかかる点を十分に考慮した効率の高い再利用を可能とする方法を提供する。したがって、その奏する工業的効果は格別なものである。
本発明者らが現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の各種特性の測定は、以下の方法によった。原料は以下の原料を用いた。
(I−1)実施例および比較例の樹脂組成物における評価項目
(1)曲げ弾性率:成形機のシリンダー内で強制的に滞留させることなく、連続成形して得られた試験片をISO178にて測定した。
(2)難燃性:UL規格94Vに準拠した燃焼試験を実施し、その平均の合計燃焼時間とドリップの有無を観察した。試験は10本の試験片で行い、平均の合計燃焼時間は各試験片の合計燃焼時間の平均値を求め、ドリップの有無は10本中1本でもあればドリップ有りとの評価とした。試験片は、厚み2.0mmであり、成形後23℃、相対湿度50%の雰囲気下で5日間保管した試験片を使用した。
(3)ウエルド強度保持率:ASTM D638に記載のTYPE I(厚み3.2mm)の引張強度測定用試験片を用いて、試験片の長さ方向の両端にゲートを有し、中央にウエルドが形成される試験片を射出成形法により作成し、かかる試験片のASTM D−638に準拠した引張強度を測定した。一方、かかる試験片を作成する金型を用い、一方のゲートを塞ぐことにより同一形状であってウエルドのない成形品を同時に得た。ウエルドのない成形品の引張強度に対するウエルド成形品の引張強度の割合をウエルド強度保持率(%)として算出した。
(4)タップ強度:図1に示すセルフタップ強度評価用の成形品を用いて、タップ強度を評価した。評価はネジ径:3mm(M3)およびネジ長:8mmであるBタイトネジを使用して行った。ボス側の寸法は、ボス外径(符号11):8mm、ボス内径(符号12):2.4mmであった。成形品のボス内径が全て一定であることはピンゲージを用いて確認した。手動のトルクドライバーを用いて締め付けトルク(Tf:ネジを締め付けていく際の定常トルク)および破壊トルク(Tb:ボスが破壊するまで締め付けた際の最大のトルク)を測定した。尚、かかる締め付けトルク(Tf)に対する破壊トルク(Tb)の比(Tb/Tf)が高いほど、製造工程中のボス割れの生ずる確率が低減される。かかる比は特に2.5以上が好ましい。ボスの破壊は、いずれもネジバカであった。
(I−2)参考例の樹脂組成物における評価項目
(1)成形品粉砕物中のゴム質重合体の重量割合の測定:下記の熱処理が終了した成形品の粉砕物の一部を採取して、凍結粉砕機によって微粉状にした。かかる微粉から特定量をサンプリングし、かかるサンプルの重量を電子天秤を用いて測定した。かかるサンプルを30倍量の塩化メチレンに入れ24時間振とう機を用いて、溶解分を十分に溶解した。その後高速遠心分離機(15,000rpm)を用いて、溶液と未溶解物を十分に分離した後、上澄みの不溶分を採取した。かかる採取した不溶分に更に塩化メチレンを加えて再度高速遠心分離機で分離を行った後、溶液を除去した。かかる作業を繰り返して計5回、上澄みの不溶分の採取を行った後、5回目の不溶分に対してアセトンを加え、再度高速遠心分離を行った。これにより前記不溶分は沈殿物として得られ、デカンテーションによって液を除去した。その後かかる不溶分の入った容器を60℃の真空乾燥機中で6時間乾燥し、容器全体の重量を前記電子天秤を用いて測定し、その重量増分からゴム質重合体の重量割合を算出し表1に示した。尚、表1記載の無機充填材(A−2成分)の合計量は、仕込み組成から算出した。
[参考例1〜5]
表1に示す組成で、表1記載の各成分をサイドフィーダー付きベント付二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX−30XSST)で溶融混練しペレットを得た。押出条件は、シリンダー温度:250℃、ダイス温度:230℃、スクリュー回転数:180rpm、ベント吸引度:3000Pa、および吐出量20kg/hとした。ダイスから吐出したストランドを水冷した後、ペレタイザーに導入してペレットを得た。
参考例3以外は、FR−1を除く全ての原料成分をポリエチレン袋中に入れて均一に混合した。かかる袋中の原料の容積は袋の容積の約1/4程度であり、袋に空気を入れて十分に膨らませた状態で袋の口を密封し、袋を主として縦方向に回転させることにより袋中の原料を均一に混合した。必要量をかかる混合を繰り返すことにより得た。均一に混合された混合物を押出機のスクリュー根元部に相当する第1供給口より押出機に供給した。押出機への供給量を計量器((株)クボタ製CWF)により精密に計測した。FR−1は、80℃に加熱した状態で液注装置(富士テクノ工業(株)製HYM−JS−08)を用いてシリンダー途中の第2供給口(第1供給口と第3供給口との間に位置)から、各々所定の割合になるよう押出機に供給した。
参考例3の場合には、FR−1、ABS−2およびWSN−1を除く各成分を同様に均一に混合した後、かかる混合物を第1供給口より供給した。残りのABS−1およびWSN−1をシリンダ途中の第2供給口からサイドフィーダーを用いて供給した。これらの供給量は同様に計量器を用いて精密に計測した。
スクリュー構成はサイドフィーダー位置以前に第1段のニーディングゾーン(送りのニーディングディスク×2、送りのローター×1、戻しのローター×1および戻しニーディングディスク×1から構成される)を、サイドフィーダー位置以後に第2段のニーディングゾーン(送りのローター×1、および戻しのローター×1から構成される)を設けてあった。
上記で得られたペレットは、80℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)製;SG−150U)により、シリンダー温度260℃、および金型温度60℃で、図2に示されるノートパソコンのハウジングを模した成形品を少なくとも100個成形した。かかる成形品を65℃で500時間熱風循環式乾燥機で処理した後、直径8mmの小孔を多数有する金属製スクリーンを設置した粉砕機((株)朋来鉄工所製SB−210)にて、70kg/hの処理能力で粉砕し、V型ブレンダーにて均一にブレンドし各成形品の粉砕物を得た。
Figure 2004323825
尚、上記参考例に用いた原材料は下記の通りである。
PC−1:粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボネートパウダー(帝人化成(株)製:パンライトL−1225WP)
ABS−1:連続塊状重合法(三井東圧法)で製造されたABS樹脂(硬質ポリマーとしてアクリロニトリル−スチレン共重合体、およびゴム質重合体としてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とを含む混合物、日本エイアンドエル(株)製:サンタックUT−61)
ABS−2:連続塊状重合法(東レ法)で製造されたABS樹脂(硬質ポリマーとしてアクリロニトリル−スチレン共重合体、およびゴム質重合体としてアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とを含む混合物、東レ(株)製:トヨラック700−314)
AS−1:アクリロニトリル−スチレン共重合体(第一毛織(株)製:HF5670)
FR−1:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル(大八化学工業(株)製:CR−741)
MBS−1:衝撃改質剤(硬質ポリマーとして少量のメチルメタクリレート−スチレン共重合体、およびゴム質重合体としてコアがブタジエン重合体からなるゴム成分からなり、ブタジエン重合体70重量%であり、シェルがメチルメタクリレート−スチレン共重合体30%であるメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体とを含む混合物、三菱レイヨン(株)製:メタブレンC−223A)
AE−1:衝撃改質剤(硬質ポリマーとして少量のメチルメタクリレート重合体、およびゴム質重合体としてコアがブチルアクリレート重合体からなるゴム成分からなり、ブチルアクリレート重合体80重量%であり、シェルがメチルメタクリレート20重量%であるメチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体とを含む混合物、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製:パラロイドKM336P)
WSN−1:主として強化材としての無機充填材(ウォラストナイト、清水工業(株)製:H−1250F)
PTFE−M:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製:ポリフロン MPA FA−500)2重量部と前記PC−1:98重量部とをスーパーミキサーを用いて混合したマスター添加剤
ML:飽和脂肪酸エステル系離型剤(理研ビタミン(株)製リケマールSL−900)
ST−M:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製:TMP)5重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製:Irganox1076)15重量部、および前記PC−1:80重量部とをスーパーミキサーを用いて混合したマスター添加剤
DC:酸変性ワックス(三菱化学(株)製ダイヤカルナPA30M、無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合ワックス。無水マレイン酸の割合として約1meq/g、GPC法により測定され標準ポリスチレン換算で算出された重量平均分子量約8,400)
COL−M:前記PC−1:49.78重量部、酸化チタン(Tioxide社製:R−TC30)50重量部、カーボンブラック(三菱化学(株)製:カーボンブラック#970)0.17重量部、黄色染料(有本化学工業(株)製:プラストイエローY−8050)0.01重量部、および赤色染料(有本化学工業(株)製:プラストレッドR−8370)0.04重量部をスーパーミキサーを用いて混合した着色剤マスター
[実施例1〜8、比較例1〜6]
表2および表3に示す組成で、表2および表3記載の各成分をサイドフィーダー付きベント付二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX−30XSST)で溶融混練しペレットを得た。押出条件、およびスクリュー構成は参考例の場合と同様とした。更に原料の供給方法は、実施例1、2、4、および7においては、FR−1以外の全ての成分を参考例の場合と同様の方法でポリエチレン袋に入れて均一に混合し、第1供給口より供給して押出をした。FR−1は参考例と同様に液注装置を用いて第2供給口より供給した。
実施例3、5、6および8においては、FR−1以外の成分のうち、各粉砕物、強化材(WSN−1、GF−1、またはCF−1)およびAS−1はサイドフィーダーを用いて第3供給口より供給した以外は実施例1と同様にして原料を押出機に供給した。得られたペレットを80℃で6時間熱風乾燥機を用いて乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製;SG−150U)によりシリンダー温度260℃、および金型温度60℃で、前記(1)〜(4)の評価方法に用いる試験片を成形した。
Figure 2004323825
Figure 2004323825
尚、上記実施例および比較例に用いた原材料のうち、前記参考例において記載のないものは下記の通りである。
MICA−1:平均粒子径約40μmマスコバイト[(株)クラレ製「クラライトマイカ300D、モース硬度:3」
TALC−1:タルク(積重率50%粒子径が15.2μmであり、JIS M8016に従って測定されたハンター白色度が90.2%、およびpHが9.8のタルク、勝光山鉱業所(株)製:ビクトリライト SG−A)
GF−1:ガラス繊維(繊維径13μm、繊維カット長3mmのガラス繊維、日本電気硝子(株)製:マイクログラインドチョップドストランド T−511)
CF−1:炭素繊維(繊維径7μm、カット長6mmの炭素繊維、東邦テナックス(株)製ベスファイト HTA−C6−UA L1)
WAX−1:モンタン酸エステル(クラリアントジャパン(株)製:WAX−Eパウダー)
CB:カーボンブラックマスター[カーボンブラック40%含有スチレン系樹脂マスター、越谷化成(株)製:904S]
上記表2および表3の比較から明らかなように、本発明の所定量のゴム質重合体を含有する成形品粉砕物を利用することにより、良好なウエルド強度やタップ強度を有する高剛性かつ難燃性の再生樹脂組成物が得られることがわかる。かかる特性は、該樹脂組成物が特定量以上の無機充填材を含有する場合に効果的であり、また驚くべきことにバージンのゴム質重合体では得られない特性であることがわかる。
[1−A]は実施例において使用した、セルフタップ強度評価用のボス成形品の形状を示す上面図である。[1−B]は実施例において使用した、セルフタップ強度評価用のボス成形品の形状を示す正面図である。 実施例において使用したノートパソコンのハウジングを模した成形品の表側斜視概要図である(縦178mm×横245mm×縁の高さ10mm、厚み1.2mm、裏面にピンゲート0.8mmφ5箇所あり)。
符号の説明
1 ボス成形品本体
2 ボス成形品台座下側
3 ボス成形品台座上側(円板形状)
4 ゲート(1箇所、厚み1mm、幅2mm)
5 ボス孔(入口部面取りC0.5)
6 ボス部
7 台座下側幅(34mm)
8 台座下側の角面取り幅(5mm)
9 台座下側の角面取り幅(5mm)
10 台座下側長さ(34mm)
11 ボス外径(8mm)
12 ボス内径(2.4mm)
13 ボスの抜きテーパー(3°)
14 台座の厚み(8mm)
15 台座上側の厚み(5mm)
16 ボス長さ(30mm)
17 ボス孔長さ(10mm)
21 ノートパソコンのハウジングを模した成形品本体
22 艶消し表面部
23 鏡面部

Claims (10)

  1. 成形品100重量%中ゴム質重合体(A−1成分)を2〜10重量%および無機充填材(A−2成分)を0〜15重量%含有してなる熱可塑性樹脂組成物成形品の粉砕物(A成分)とバージン熱可塑性樹脂(B成分)、バージン無機充填材(C成分)とを溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、該再生樹脂組成物100重量%中にゴム質重合体(D−1成分)を0.1〜2重量%および無機充填材(D−2成分)を15〜50重量%含有することを特徴とする再生樹脂組成物。
  2. A成分およびD成分中の熱可塑性硬質ポリマーは、該硬質ポリマー100重量%中芳香族ポリカーボネートを50重量%以上含有する請求項1に記載の再生樹脂組成物。
  3. A成分の割合がD成分100重量%中1〜40重量%である請求項1または2のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  4. C成分がマイカ、タルク、ワラストナイト、ガラス繊維および炭素繊維から選択される少なくとも1種以上の無機充填材である請求項1〜3のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  5. C成分がその100重量%中少なくともマイカおよびワラストナイトから選択される少なくとも1種以上の無機充填材を50重量%以上含有する請求項4に記載の再生樹脂組成物。
  6. A成分が情報機器の外装成形品の粉砕物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  7. D成分が情報機器の内部機構部品用である請求項1〜6のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物。
  8. (A)熱可塑性樹脂組成物の成形品の粉砕物(A成分)1〜40重量部、(B)バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、(C)バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、および(E)その他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部の合計100重量部を溶融混練して製造された再生樹脂組成物(D成分)であって、
    (I)該A成分は、成形品100重量%中、硬質ポリマー(Aα成分)50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物であり、
    (II)該D成分は、その100重量%中、硬質ポリマー(Dα成分)40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる、
    ことを特徴とする再生樹脂組成物。
  9. (1)熱可塑性樹脂組成物の成形品の粉砕物(A成分)を準備する工程(工程−i)(該A成分は、成形品100重量%中、硬質ポリマー(Aα成分)50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物からなる)
    (2)該A成分1〜40重量部、バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、およびその他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部を押出機に供給する工程(工程−ii)、
    (3)かかるA成分、B成分、C成分およびE成分を押出機中で溶融混練する工程(工程−iii)および、(4)溶融混練されて得られた樹脂組成物(D成分)を回収する工程(工程−iv)(該D成分はその100重量%中、硬質ポリマー(Dα成分)40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる樹脂組成物である)、
    からなる再生樹脂組成物の製造方法。
  10. 市場で使用されて回収された成形品の再利用方法であって、該成形品は成形品100重量%中、硬質ポリマー(Aα成分)50〜98重量%およびゴム質重合体(A−1成分)2〜10重量%を少なくとも含有し、無機充填材(A−2成分)の割合が15重量%以下であり、かつその他の成分(Aβ成分)の割合が25重量%以下である樹脂組成物からなり、該成形品からなる粉砕物(A成分)を準備し、該A成分1〜40重量部、バージン熱可塑性樹脂(B成分)20〜89重量部、バージン無機充填材(C成分)9〜50重量部、およびその他のバージン原料成分(E成分)1〜10重量部を押出機に供給して溶融混練して、樹脂組成物(D成分)をペレットの形態で回収することを特徴とする成形品の再利用方法(ここでD成分は、その100重量%中、硬質ポリマー(Dα成分)40〜80重量%、ゴム質重合体(D−1成分)0.1〜2重量%、無機充填材(D−2成分)15〜50重量%、およびその他の成分(Dβ成分)2〜12重量%からなる樹脂組成物である)。
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