JP3458927B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品

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JP3458927B2
JP3458927B2 JP34038595A JP34038595A JP3458927B2 JP 3458927 B2 JP3458927 B2 JP 3458927B2 JP 34038595 A JP34038595 A JP 34038595A JP 34038595 A JP34038595 A JP 34038595A JP 3458927 B2 JP3458927 B2 JP 3458927B2
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直樹 満田
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泰久 杉田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
樹脂組成物及びそれを用いた成形品に関し、さらに詳し
くは、ポリカーボネート樹脂及び/又は芳香族ポリエス
テルカーボネート樹脂と芳香族ポリエステル樹脂を含有
する離型性及び表面光沢性の改良された樹脂組成物、及
びこの樹脂組成物を射出成形してなる高光沢を有する外
観の良好な成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネート樹脂及び/又は
芳香族ポリエステルカーボネート樹脂と芳香族ポリエス
テル樹脂とのブレンド物は、機械的性質,耐熱性,耐薬
品性などに優れていることから、エンジニアリングプラ
スチックとして幅広く用いられている。さらに、近年、
これらにゴム状弾性体や、ガラス繊維,タルク,マイ
カ,ウィスカーなどの微細な無機充填剤を配合して、耐
衝撃性や剛性を改良したものも広く用いられている。ま
た、上記ブレンド物を用いた成形品においては、用途に
よっては、表面光沢の優れた成形品が要求されることが
あり、このような場合、従来の金型温度(80℃以下)
より高い温度で成形したり、あるいは瞬間的な樹脂の冷
却を防ぐ効果のある保温金型を用いて射出成形する方法
(特公平1−22128号公報,特開平6−21876
9号公報など)などが用いられていた。しかしながら、
このような方法で成形する場合、離型不良や付着物析出
など好ましくない事態を招来し、特に、該ブレンド物に
ゴム状弾性体や微細な無機充填剤を配合したものを用い
て、上記方法で成形する場合、離型不良や付着物析出な
どの問題が多く生じていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、離型不良や付着物析出の問題がなく、表面光
沢に優れる成形品を与えることのできる、ポリカーボネ
ート樹脂及び/又は芳香族ポリエステルカーボネート樹
脂と芳香族ポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物、並
びにこの樹脂組成物からなる高光沢を有する外観の良好
な成形品を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解消するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネ
ート樹脂及び/又は芳香族ポリエステルカーボネート樹
脂と芳香族ポリエステル樹脂と、場合により用いられる
ゴム状弾性体とさらにポリカプロラクトンとを、それぞ
れ所定の割合で含有する樹脂組成物、あるいはこれらに
さらに離型剤を所定の割合で配合した樹脂組成物が、離
型不良や付着物析出の問題がなく、表面光沢に優れる成
形品を与えることを見出した。そして、この樹脂組成物
を保温金型を用いて射出成形することにより、更に高光
沢を有する外観の良好な成形品が得られることを見出し
た。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものであ
る。すなわち、本発明は、(A)ポリカーボネート樹脂
及び/又は芳香族ポリエステルカーボネート樹脂50〜
80重量%と、(B)芳香族ポリエステル樹脂10〜5
重量%と、(C)ゴム状重合体の存在下にアクリル酸
又はメタアクリル酸エステルを含むビニル単量体を重合
させて得られるゴム状弾性体15重量%以下と、(D)
数平均分子量8000〜80000のポリカプロラクト
ン0.2〜5重量%を含有してなるポリカーボネート樹脂
組成物、並びに上記割合の(A)成分と(B)成分と
(C)成分と(D)成分とからなる樹脂成分100重量
部及び(E)脂肪族カルボン酸塩系離型剤及び脂肪族カ
ルボン酸エステル系離型剤の中から選ばれた少なくとも
一種の離型剤0.05〜4重量部を含有してなるポリカー
ボネート樹脂組成物を提供するものである。また、本発
明は、上記ポリカーボネート樹脂組成物を保温金型もし
くは高温金型を用いて射出成形してなる成形品をも提供
するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂組成物においては、
(A)成分としてポリカーボネート樹脂及び/又は芳香
族ポリエステルカーボネート樹脂が用いられる。この
(A)成分の中でポリカーボネート樹脂としては様々な
ものがあり、好ましくは一般式(I)
【0006】
【化1】
【0007】(式中、R1 及びR2 は、それぞれ水素原
子,ハロゲン原子(塩素,臭素,フッ素,ヨウ素)又は
炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基,エチル
基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,
イソブチル基,アミル基,イソアミル基,ヘキシル基な
ど)であり、それらはたがいに同一でも異なっていても
よい。またR1 が複数ある場合は複数のR1 は同一でも
異なっていてもよく、R 2 が複数ある場合は複数のR2
は同一でも異なっていてもよい。m及びnは、それぞれ
1〜4の整数である。そして、Yは、単結合,炭素数1
〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のアルキリデン基
(例えば、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブ
チレン基,ペンチレン基,ヘキシレン基,エチリデン
基,イソプロピリデン基など),炭素数5〜15のシク
ロアルキレン基又は炭素数5〜15のシクロアルキリデ
ン基(例えば、シクロペンチレン基,シクロヘキシレン
基,シクロペンチリデン基,シクロヘキシリデン基な
ど),又は−S−,−SO−,−SO2 −,−O−,−
CO−結合若しくは式(II) あるいは(II')
【0008】
【化2】
【0009】で表される結合を示す。〕で表される構造
単位を含む重合体を挙げることができる。このポリカー
ボネート樹脂は、一般式(III)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、R1 ,R2 ,Y,m及びnは前記
と同じである。)で表される二価フェノールとホスゲン
又は炭酸ジエステル化合物とを反応させることによって
容易に製造することができるものである。すなわち、例
えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、公知の酸受
容体や分子量調節剤の存在下、二価フェノールとホスゲ
ンのようなカーボネート前駆体との反応により、あるい
は二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカ
ーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって製
造される。ここで、前記一般式(III)で表わされる二価
フェノールとしては、様々なものがあるが、特に、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:
ビスフェノールA〕が好適である。ビスフェノールA以
外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ナフチルメタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
(4−イソプロピルフェニル)メタン;ビス(3,5−
ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;
1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン;2−メチル−1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1−エ
チル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス
(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン;2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン;1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ペンタン;4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ペンタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ヘキサン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ノナン;1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)デカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロプロパンなどのジヒドロキシジアリ
ールアルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3,5−ジクロロ
−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジ
ヒドロキシジアリールシクロアルカン類、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン;ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−クロ
ロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロ
キシジアリールスルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エーテル;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリール
エーテル類、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン;
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒド
ロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケ
トン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィ
ド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドな
どのジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’
−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル
類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類などが挙げ
られる。また、該一般式(III)で表される二価フェノー
ル類以外に、ヒドロキノン,レゾルシノール,メチルヒ
ドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1,5−ジ
ヒドロキシナフタレン;2,6−ジヒドロキシナフタレ
ンなどのジヒドロキシナフタレン類なども用いることが
できる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用
いてもよく、二種以上を組合わせて用いてもよい。
【0012】また、炭酸ジエステル化合物としては、ジ
フェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや
ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートなどのジ
アルキルカーボネートが挙げられる。そして、分子量調
節剤としては、通常、ポリカーボネートの重合に用いら
れるものでよく、各種のものを用いることができる。具
体的には、一価フェノールとして、例えば、フェノー
ル,p−クレゾール,p−tret−ブチルフェノール,p
−tret−オクチルフェノール,p−クミルフェノール,
ブロモフェノール,トリブロモフェノール,ノニルフェ
ノールなどが挙げられる。また、場合によっては、
(A)成分のポリカーボネート樹脂としては、前記一般
式(I)
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R1 ,R2 ,Y,m及びnは前記
と同じである。)で表される構造の繰り返し単位を有す
るポリカーボネート部と、一般式(IV)
【0015】
【化5】
【0016】〔式中、R3 ,R4 及びR5 は、それぞれ
水素原子,炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル
基,エチル基,プロピル基,n−ブチル基,イソブチル
基,アミル基,イソアミル基,ヘキシル基など)又はフ
ェニル基であり、それらはたがいに同一であっても異な
っていてもよい。また、p及びqは、それぞれ0又は1
以上の整数であるが両方が共に0ではない。〕で表され
る構造の繰返し単位を有するポリオルガノシロキサン部
とからなるポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン
共重合体を用いてもよい。このポリオルガノシロキサン
部の重合度は5以上が好ましい。そして、本発明におい
ては、(A)成分のポリカーボネート樹脂には、必要に
応じて、分岐ポリカーボネートを含有させることができ
る。
【0017】上記分岐ポリカーボネートを得るために用
いられる分岐剤としては、例えば、フロログルシン,メ
リト酸,トリメリト酸,トリメリト酸クロリド,無水ト
リメリト酸,没食子酸,没食子酸n−プロピル,プロト
カテク酸,ピロメリト酸,ピロメリト酸二無水物,α−
レゾルシン酸,β−レゾルシン酸,レゾルシンアルデヒ
ド,トリメチルクロリド,イサチンビス(o−クレゾー
ル),トリメチルトリクロリド,4−クロロホルミルフ
タル酸無水物,ベンゾフェノンテトラカルボン酸;2,
4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン;2,2’,
4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン;2,4,
4’−トリヒドロキシフェニルエーテル;2,2’,
4,4’−テトラヒドロキシフェニルエーテル;2,
4,4’−トリヒドロキシジフェニル−2−プロパン;
2,2’−ビス(2,4−ジヒドロキシ)プロパン;
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルメタ
ン;2,4,4’−トリヒドロキシジフェニルメタン;
1−〔α−メチル−α−(4’−ジヒドロキシフェニ
ル)エチル〕−3−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロ
キシフェニル)エチル〕ベンゼン;1−〔α−メチル−
α−(4’−ジヒドロキシフェニル)エチル〕−4−
〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチ
ル〕ベンゼン;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼ
ン;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5’−メチルベン
ジル)−4−メチルフェノール;4,6−ジメチル−
2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−2
−ヘプテン;4,6−ジメチル−2,4,6−トリス
(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプタン;1,
3,5−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゼ
ン;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エ
タン;2,2−ビス〔4,4−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキシル〕プロパン;2,6−ビス
(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)−
4−イソプロピルフェノール;ビス〔2−ヒドロキシ−
3−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−5
−メチルフェニル〕メタン;ビス〔2−ヒドロキシ−3
−(2’−ヒドロキシ−5’−イソプロピルベンジル)
−5−メチルフェニル〕メタン;テトラキス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;トリス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フェニルメタン;2’,4’,7−トリヒドロキ
シフラバン;2,4,4−トリメチル−2’,4’,7
−トリヒドロキシフラバン;1,3−ビス(2’,4’
−ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン;トリ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)−アミル−s−トリア
ジンなどが挙げられる。この他、(A)成分のポリカー
ボネート樹脂としては、例えば、アジピン酸,ピメリン
酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,デカンジ
カルボン酸などの直鎖状脂肪族二価カルボン酸を共重合
モノマーとする共重合体を用いることもできる。
【0018】本発明においては、この(A)成分のポリ
カーボネート樹脂は一種用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。また、該ポリカーボネート樹脂
は、機械的強度及び成形性の点から、その粘度平均分子
量が10000〜100000のものが好ましく、特に
15000〜40000のものが好適である。一方、該
(A)成分における芳香族ポリエステルカーボネート樹
脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物残基,芳香族ジカルボ
ン酸残基及び炭酸残基からなる重合体である。芳香族ジ
ヒドロキシ化合物の例としては、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;ヒドロキノン;レゾルシ
ノール;4,4’−ジヒドロキシジフェニル;1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,
1,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン;2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン;1,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン及びこれらのエ
ステル成形性誘導体などが挙げられる。これらは一種用
いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。こ
れらの中で特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(ビスフェノールA)が好適である。
【0019】また、芳香族ジカルボン酸の例としては、
イソフタル酸,テレフタル酸,メチルテレフタル酸,メ
チルイソフタル酸,ジフェニルエーテルジカルボン酸,
ジフェノキシエタンジカルボン酸,ナフタレンジカルボ
ン酸など、及びこれらのエステル形成性誘導体、例えば
低級アルキルエステル,フェニルエステル,酸ハロゲン
化物などが挙げられる。これらは一種用いてもよく、二
種以上を組み合せて用いてもよい。これらの中で特にイ
ソフタル酸,テレフタル酸及びこれらの混合物が好適で
ある。さらに、炭酸残基は、例えばホスゲンやジアリー
ルカーボネートなどから形成されるものである。ジアリ
ールカーボネートの具体例としては、ジフェニルカーボ
ネート,ジクレジルカーボネート,ジ−β−ナフチルカ
ーボネート,ビス(2−クロロフェニル)カーボネート
などが挙げられる。この芳香族ポリエステルカーボネー
ト樹脂は、上記三成分を用い、バルク重縮合,溶液重縮
合,界面重縮合などの任意の方法により製造することが
できる。この芳香族ポリエステルカーボネート樹脂は一
種用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
また、本発明においては、(A)成分として前記ポリカ
ーボネート樹脂を用いてもよく、この芳香族ポリエステ
ルカーボネート樹脂を用いてもよい。あるいは、ポリカ
ーボネート樹脂と芳香族ポリエステルカーボネート樹脂
を組み合せて用いてもよい。
【0020】次に、(B)成分の芳香族ポリエステル樹
脂としては、様々なものを用いることできる。例えば、
特に二官能性カルボン酸とアルキレングリコールを重合
して得られるポリエステル樹脂が好適である。ここで、
二官能性カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸,
イソテレフタル酸,ナフタレンジカルボン酸などの芳香
族ジカルボン酸が挙げられる。これらの中では、テレフ
タル酸が好ましく、また本発明の効果を損なわない範囲
で他の二官能性カルボン酸を併用することもできる。こ
の他の二官能性カルボン酸としては例えば、シュウ酸,
マロン酸,アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セ
バシン酸,デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン
酸及びそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。こ
れらの他のジカルボン酸の配合割合は、全ジカルボン酸
に対して一般に20モル%以内が好ましい。次に、アル
キレングリコールとしては、特に制限はないが、例え
ば、エチレングリコール;プロピレン−1,2−グリコ
ール;プロピレン−1,3−グリコール;ブチレン−
1,4−グリコール;ブチレン−2,3−グリコール;
ヘキサン−1,6−ジオール;オクタン−1,8−ジオ
ール;ネオペンチルグリコール,デカン−1,10−ジ
オールなどの炭素数2〜15の脂肪族ジオール,ポリエ
チレングリコールなどを用いることができる。また、二
種以上のグリコール成分を組み合わせて用いてもよい。
【0021】このような二官能性カルボン酸とアルキレ
ングリコールを重合して得られるポリエステル樹脂とし
ては、特にポリエチレンテレフタレート及びポリブチレ
ンテレフタレートが好適である。この(B)成分の芳香
族ポリエステル樹脂は、チタン,ゲルマニウム,アンチ
モンなどを含有する重縮合触媒の存在下又は不存在下
で、通常の方法で製造することができる。例えば、ポリ
エチレンテレフタレートは、通常テレフタル酸とエチレ
ングリコールとをエステル化反応させるか、又はジメチ
ルテレフタレートのようなテレフタル酸の低級アルキル
エステルとエチレングリコールとをエステル交換反応さ
せ、テレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその
低重合体を製造する第1段階の反応と、次いで、該グリ
コールエステル及び/又はその低重合体をさらに重合さ
せて重合度の高いポリマーとする第2段階反応、いわゆ
る重合反応とによって製造される。この(B)成分の芳
香族ポリエステル樹脂は一種用いてもよく、二種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0022】本発明の組成物においては、場合により、
(C)成分としてゴム状弾性体が用いられる。このゴム
状弾性体は、主として組成物に耐衝撃性を付与するため
に用いられるものであり、様々なものを使用することが
できるが、例えばゴム状重合体の存在下に、ビニル系単
量体の一種又は二種以上を重合させることによって得ら
れる共重合体が好適である。ここで、ゴム状重合体とし
ては、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレート
を主体とするアクリル系重合体やメタクリル系重合体、
ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンを主体とする
ジエン系重合体、ポリオルガノシロキサンを主体とする
シリコーン系重合体などの一種又は二種以上の重合体が
挙げられる。また、ビニル系単量体としては、例えば、
スチレン,α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合
物、アクリル酸メチル,アクリル酸エチルなどのアクリ
ル酸エステル、メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチ
ルなどのメタクリル酸エステル、アクリロニトリルなど
のシアン化ビニル化合物などが挙げられる。上記ゴム状
弾性体は、例えば、特公昭48−29308号公報(M
AS樹脂)、特公昭55−9435号公報(MBS樹
脂)、特開昭64−6051号公報(MAIS樹脂)、
特開昭64−79257号公報などに開示されている公
知のものを用いることができる。
【0023】これらのゴム状弾性体は、例えば、パラロ
イドKM330〔ローム&ハース社製,MAS樹脂〕、
メタブレンC−223〔三菱レーヨン(株)社製,MB
S樹脂〕、メタブレンS−2001〔三菱レーヨン
(株)社製,MAS樹脂〕などを市場から容易に入手す
ることができる。上記以外のゴム状弾性体としては、例
えば、ブタジエンゴム(BR),スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR),イソブチレン−イソプレンゴム(II
R),エチレン−プロピレンゴム(EPR),エチレン
−プロピレン−ジエンゴム(EPDM),アクリロニト
リル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエ
ン−スチレンゴム(SBS),スチレン−ブタジエンゴ
ムの水素化物(SEBS),スチレン−イソプレン−ス
チレンゴム(SIS),スチレン−イソプレンゴムの水
素化物(SEPS)などを用いてもよい。この(C)成
分のゴム状弾性体は一種用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。本発明の組成物においては、
(D)成分としてポリカプロラクトンが用いられる。こ
のポリカプロラクトンは組成物に、主として離型性及び
表面光沢性を付与する効果を有している。この効果の点
から、数平均分子量が5000〜120000、好まし
くは8000〜80000の範囲にあるポリカプロラク
トンが用いられる。このポリカプロラクトンの製造方法
については特に制限はなく、公知の方法、例えば重合開
始剤として水又は両端に水酸基を有する化合物を用い、
有機スズ化合物や有機チタン化合物などの触媒の存在下
に、ε−カプロラクトンを重合させる方法などにより製
造することができる。
【0024】本発明のポリカーボネート樹脂組成物にお
ける各成分の含有割合については、前記(A),
(B),(C)及び(D)成分の合計量に対し、(A)
成分のポリカーボネート樹脂及び/又は芳香族ポリエス
テルカーボネート樹脂は40〜98.9重量%、(B)成
分の芳香族ポリステル樹脂は1〜60重量%、(C)成
分のゴム状弾性体は0〜30重量%及び(D)成分のポ
リカプロラクトンは0.1〜10重量%の範囲で選ばれ
る。(A)成分の含有量が40重量%未満ではポリカー
ボネート系樹脂本来の特性が失われ、98.9重量%を超
えると他の成分の配合量が少なくなり、所望の物性を有
する組成物が得られない。(B)成分の含有量が1重量
%未満では耐溶剤性などの向上効果が充分に発揮され
ず、60重量%を超えるとポリカーボネート系樹脂本来
の特性が充分に発揮されない。また、(C)成分の含有
量が30重量%を超えるとポリカーボネート系樹脂本来
の特性が充分に発揮されない。さらに、(D)成分の含
有量が0.1重量%未満では離型性や表面光沢性が不充分
であり、10重量%を超えるとその量の割には効果の向
上がみられず、むしろ他の物性が損なわれるおそれがあ
る。ポリカーボネート系樹脂本来の特性,耐溶剤性,耐
衝撃性,離型性,表面光沢性などのバランスの面から、
各成分の好ましい含有割合は、(A)成分50〜90重
量%、(B)成分10〜50重量%、(C)成分0〜1
5重量%及び(D)成分0.2〜5重量%である。
【0025】本発明のポリカーボネート樹脂組成物に
は、離型性をさらに向上させるために、所望により、
(E)成分として離型剤を含有させることができる。こ
の離型剤としては、例えば脂肪族カルボン酸塩系及び脂
肪族カルボン酸エステル系を好ましく用いることができ
る。脂肪族カルボン酸としては、様々なものがあり、例
えばラウリン酸,オレイン酸,エルカ酸,ステアリン
酸,パルミチン酸,リノール酸,牛脂肪酸,リノレン酸
などがある。ここで、脂肪族カルボン酸塩系離型剤とし
ては様々なものがあり、例えば一般式(V) (CabCOO)y X ・・・ (V) (式中、Xは水素原子,アルカリ金属,アルカリ土類金
属又は鉛、yはXの価数により決まる数、aは12〜2
2の整数、bは12〜45の整数を示す。)で表される
化合物を挙げることができる。上記一般式(V)におい
て、Xのうちのアルカリ金属としては、例えばナトリウ
ム,カリウムが好ましく挙げられ、また、アルカリ土類
金属としては、例えばカルシウム,マグネシウム,バリ
ウムが好ましく挙げられる。
【0026】一方、脂肪族カルボン酸エステル系離型剤
としては様々なものがあり、例えば一般式(VI) (CcdCOO)x Y ・・・ (VI) (式中、Yはアルコール残基、xはYの価数により決ま
る数、cは12〜22の整数、dは12〜45の整数を
示す。)で表される化合物を挙げることができる。上記
一般式(VI)において、Yで表されるアルコール残基
は、モノアルコールの場合は、水酸基を除いた基を示
し、多価アルコーの場合は、水酸基の一部又は全部を除
いた基を示す。この脂肪族カルボン酸エステル系離型剤
の中では、特にステアリン酸モノグリセリドが好適であ
る。この(E)成分の離型剤は一種用いてもよく、二種
以上を組み合せて用いてもよい。また、その配合量は、
前記割合の(A)成分と(B)成分と(C)成分と
(D)成分とからなる樹脂成分100重量部に対し、0.
01〜5重量部の範囲で選ばれる。この配合量が0.01
重量部未満では離型性向上効果が充分に発揮されず、ま
た5重量部を超えると耐衝撃性が低下する傾向がみられ
る。樹脂組成物の離型性向上効果と耐衝撃性のバランス
などの面から、この(E)成分の離型剤の好ましい配合
量は0.05〜4重量部の範囲であり、特に0.1〜2.5重
量部の範囲が好適である。
【0027】本発明の樹脂組成物には、前記(A),
(B),(C),(D)及び(E)成分以外に、必要に
応じて、本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加成
分、例えば他の合成樹脂、ヒンダードフェノール系,ホ
スファイト系,アミン系などの抗酸化剤、ベンゾトリア
ゾール系やベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、ヒン
ダードアミン系の光安定剤、パラフィン系,シリコーン
オイル,ポリエチレンワックスなどの内部滑剤、(E)
成分以外の離型剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、無
機充填剤や有機充填剤、着色剤などを配合することがで
きる。本発明の樹脂組成物は、前記の(A),(B)
(C)及び(D)成分と、必要に応じて用いられる
(E)成分や各種添加成分を配合し、混練することによ
って調製することができる。該配合,混練には、通常用
いられている方法、例えば、リボンブレンダー,ヘンシ
ェルミキサー,バンバリーミキサー,ドラムタンブラ
ー,単軸スクリュー押出機,二軸スクリュー押出機,コ
ニーダ,多軸スクリュー押出機などを用いる方法により
行うことができる。なお、混練に際しての加熱温度は、
通常240〜300℃の範囲で選ばれる。
【0028】かくして得られるポリカーボネート樹脂組
成物は、既知の種々の成形方法、例えば、射出成形,中
空成形,押出成形,圧縮成形,カレンダー成形,回転成
形などを適用して自動車外装部材をはじめとして、各種
成形品を製造するのに供することができる。本発明はま
た、前記ポリカーボネート樹脂組成物を保温金型もしく
は高温金型を用いて射出成形してなる成形品をも提供す
るものである。この射出成形に用いられる保温金型は、
瞬間的な組成物の冷却を防ぐ効果を有するものであっ
て、このような保温金型としては、様々なものがあり、
例えば特開昭57−4748号公報,特開昭59−20
1832号公報,特開昭61−11205号公報,特開
昭62−25015号公報,特開昭62−173220
号公報,特開昭62−212105号公報,特開昭63
−297013号公報,特開平1−67306号公報,
特開平1−262107号公報,特開平3−58809
号公報,特開平4−35915号公報,特開平5−38
721号公報,特開平5−116190公報,特開平5
−337950号公報,特開平7−9453号公報,特
開平7−178764号公報などに記載されているよう
な樹脂組成物流入時までに表面が選択的に加熱された金
型、特開昭53−86754号公報,特開昭55−58
18号公報,特開昭62−212117号公報,特開平
1−186309号公報,特開平4−211912号公
報,特開平6−218769号公報などに記載されてい
るような断熱層を有する金型などが挙げられる。また、
結果的に断熱層の役割を果たすフィルムや樹脂成形品な
どをインサートとして成形するインサート成形法を採用
すると、金型は保温金型としての効果を発揮する。ま
た、本発明でいう高温金型とは、前記保温金型と類似し
た効果をもたらす為、通常の金型の温度を高温にしたも
ので、金型表面温度が、好ましくは90〜120℃に設
定された金型をいう。
【0029】このような保温金型もしくは高温金型を用
いて射出成形した本発明の成形品は、高光沢を有する外
観の良好なものである。本発明の成形品の用途として
は、例えば、自動車分野ではドアハンドル,センターパ
ネル,サイドガーニッシュ,リアフィニッシャー,バン
パー,リアパネル,フェンダー,ドアミラー部品,メー
ター文字板など、家電製品分野では、テレビハウジン
グ,ラジカセハウジング,VTRハウジング,携帯電話
ハウジング,モーターハウジング,リモコンハウジン
グ,オーディオ機器のスイッチ,電池ケースコネクター
など、精密機器分野ではカメラシャーシなど、OA機器
分野では、パソコンハウジング,ノートパソコンハウジ
ング,FAXシャーシなど、日用品分野では、食器,歯
ブラシの柄,くし,玩具など、各種成形品を挙げること
ができる。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、用いた成分は次のとおりであ
る。 (A)ポリカーボネート樹脂,芳香族ポリエステルカー
ボネート樹脂 A−1:出光石油化学(株)製ポリカーボネート,商品
名タフロンA3000,粘度平均分子量29000 A−2;ジーイープラスチック社製芳香族ポリエステル
カーボネート,商品名レキサンPPC4704 (B)芳香族ポリエステル樹脂 B−1;三菱レイヨン(株)製ポリエチレンテレフタレ
ート,商品名ダイヤナイトMA−523V B−2;三菱レイヨン(株)製ポリブチレンテレフタレ
ート,商品名タフペットN1000
【0031】(C)ゴム状弾性:三菱レイヨン(株)
製MAS樹脂,商品名メタブレンS2001 (D)ポリカプロトラクトン D−1:ダイセル化学工業(株)製ポリカプロラクト
ン,商品名プラクセルHIP,数平均分子量10,00
0 D−2:ダイセル化学工業(株)製ポリカプロラクト
ン,商品名プラクセルH4,数平均分子量40,000 D−3:ダイセル化学工業(株)製ポリカプロラクト
ン,商品名プラクセルH7,数平均分子量70,000 (E)離型剤 E−1:日本樹脂(株)製ステアリン酸カルシウム,商
品名カルシウムステアレートG E−2:理研ビタミン(株)製ステアリン酸モノグリセ
リト,商品名リケマールS100A その他の添加剤 酸化防止剤:オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとビス
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペン
タエリスリトールジホスファイトとの重量比1:1の混
合物 タルク:アミノシランカップリング剤で表面処理した平
均粒径2μmのもの ガラス繊維:旭ファイバーグラス社製,商品名MA40
9C
【0032】実施例1 ポリカーボネート(A−1)及びポリエチレンテレフタ
レート(B−1)を120℃で6時間乾燥したのち、第
1表に示す配合組成に従い、これとゴム状弾性体,ポリ
カプロラクトン(D−2),酸化防止剤及びタルクをド
ライブレンドして、シリンダー温度280℃のベント付
き二軸押出機にて溶解混練し、ペレット化した。得られ
たペレットを、射出成形機〔住友重機械(株)製N51
5〕により、シリンダー温度:280℃,金型温度:1
10℃,射出圧:90kg/cm2,射出速度:0.5〜1.
5mm/secの条件で射出成形して試験片を作成し、
下記の要領に従って離型性及び表面外観を評価した。そ
の結果を第1表に示す。 (1)離型性 金型エジェクターピンの作動油圧をX−Tレコーダーで
記録し、作動油圧の最大値を離型圧とし、離型性を評価
した。 (2)表面外観 試験片の表面状態を目視観察し、次の判定基準に従い評
価した。 ◎:美しい外観 ○:やや凹凸又は曇りがみられる △:凹凸又は曇りがみられる ×:全体的に凹凸又は曇りがみられる
【0033】実施例2 図1は内部に断熱層を有する金型の概略図で、(a)は
コア型3,(b)はキャビティ型7及び(c)はコア部
1の断面図である。コア部1においては、コア型3の金
属鋼材8表面上に厚さ3mmの断熱層(エポキシ樹脂
層)9が設けられ、さらにその上に厚さ100μmの金
属メッキ層(ニッケルメッキ層)10が設けられてい
る。金属型表面温度測定用熱電対4はランナー・ゲート
5近傍の断熱層9とその上のメッキ層10の界面付近に
挿入されている。2は突き出しピン,6はノズルタッチ
部である。実施例1において、金型として、上記図1に
示す内部に断熱層を有する金型を用い、金型温調機を8
0℃に設定して射出成形した以外は、実施例1と同様に
して試験片を作成し、評価を行った。なお、射出成形
中、熱電対4で測定した金型表面温度は140℃まで上
昇した。結果を第1表に示す。
【0034】実施例3 図2は内部に電熱線を入れた金型の概略図で、(a)は
コア型3,(b)はキャビティ型7及び(c)はヒータ
ー11の部分の概略図である。ヒーター11には電熱線
12が配置され、突き出しピン2が移動するための穴1
3が設けられている。1はコア部,5はランナー・ゲー
ト,6はノズルタッチ部である。実施例1において、金
型として、上記図2に示す内部に電熱線を入れた金型を
用い、以下に示す金型の温度条件で射出成形した以外
は、実施例1と同様にして試験片を作成し、評価を行っ
た。その結果を第1表に示す。 <金型の温度条件> 金型温調機を80℃に設定し、一方、樹脂組成物充填1
0秒前に電熱線に電圧を印加して加熱を開始し、樹脂組
成物の充填と同時に電圧を切った。なお、加熱10秒後
の金型表面温度が、表面温度計で140℃になるように
電圧を設定した。 実施例4〜14、参考例1〜3 第1表に示す配合組成に従い、実施例2と同様にして試
験片を作成し、評価した。その結果を第1表に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】比較例1〜4 第2表に示す配合組成に従い、実施例2と同様にして試
験片を作成し、評価した。その結果を第2表に示す。 比較例5 第2表に示す配合組成に従い、実施例1と同様にして試
験片を作成し、評価した。その結果を第2表に示す。 比較例6 第2表に示す配合組成に従い、金型表面温度を70℃に
設定した以外は、実施例1と同様にして試験片を作成
し、評価した。その結果を第2表に示す。 比較例7 第2表に示す配合組成に従い、実施例3と同様にして試
験片を作成し、評価した。その結果を第2表に示す。 比較例8〜10 第2表に示す配合組成に従い、実施例2と同様にして試
験片を作成し、評価した。その結果を第2表に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂組成物
は、離型不良や付着物析出の問題がなく、表面光沢に優
れる成形品を与えることができる。また、保温金型を用
いて、上記の組成物を射出成形して得られた本発明の成
形品は、高光沢を有し、外観が良好であって、例えば自
動車分野,家電製品分野,精密機器分野,OA機器分
野,日用品分野などにおける各種成形品として好適に用
いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例で用いた内部に断熱層を有する
金型の概略図である。
【図2】実施例、比較例で用いた内部に電熱線を入れた
金型の概略図である。
【符号の説明】
1:コア部 2:突き出しピン 3:コア型 4:金型表面温度測定用熱電対 5:ランナー・ゲート 6:ノズルタッチ部 7:キャビティ型 8:コア型の金属鋼材 9:断熱層 10:金属メッキ層 11:ヒーター 12:電熱線 13:突き出しピンが移動するための穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 67:00 C08L 67:04 67:04) (72)発明者 富岡 達矢 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 出光石 油化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−242809(JP,A) 特開 平6−240128(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 69/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート樹脂及び/又は
    芳香族ポリエステルカーボネート樹脂50〜80重量%
    と、(B)芳香族ポリエステル樹脂10〜50重量%
    と、(C)ゴム状重合体の存在下にアクリル酸又はメタ
    アクリル酸エステルを含むビニル単量体を重合させて得
    られるゴム状弾性体15重量%以下と、(D)数平均分
    子量8000〜80000のポリカプロラクトン0.2〜
    5重量%を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)ポリカーボネート樹脂及び/又は
    芳香族ポリエステルカーボネート樹脂50〜80重量%
    と、(B)芳香族ポリエステル樹脂10〜50重量%
    と、(C)ゴム状重合体の存在下にアクリル酸又はメタ
    アクリル酸エステルを含むビニル単量体を重合させて得
    られるゴム状弾性体15重量%以下と、(D)数平均分
    子量8000〜80000のポリカプロラクトン0.2〜
    5重量%とからなる樹脂成分100重量部、及び(E)
    脂肪族カルボン酸塩系離型剤及び脂肪族カルボン酸エス
    テル系離型剤の中から選ばれた少なくとも一種の離型剤
    0.05〜4重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のポリカー
    ボネート樹脂組成物を保温金型もしくは高温金型を用い
    て射出成形してなる成形品。
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