JP3688194B2 - ポリエステル樹脂組成物、事務機器用部品および自動車用内・外装部品 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物、事務機器用部品および自動車用内・外装部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いた事務機器用部品および自動車用内外装部材に関し、さらに詳しくは、成形物の耐薬品性、耐衝撃性、剛性を損なうことなく外観を改良し、かつ溶融安定性を向上させたポリエステル樹脂組成物、および該樹脂組成物を使用して成形された諸特性に優れた事務機器用部品や自動車用内・外装部品に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、ポリエステル樹脂は、機械的物性、電気特性、耐薬品性などに優れ、かつ成形加工性が容易であることから、エンジニアリングプラスチックとして、自動車分野、電気・電子機器分野、事務機器分野など広汎な用途に使用されている。
【0003】
また、このようなポリエステル樹脂の性質を改善するために、さまざまな他の樹脂、強化剤、添加剤等を配合することも盛んに行われている。特に自動車部材成形品など剛性を向上させる必要がある場合には、ガラス繊維、カーボン繊維に代表される繊維状強化剤やマイカ,チタン酸カリウムウイスカー、カオリン、クレー、タルク、ウォラストナイトなどの微細な粉末状無機充填剤を配合することが行われている(たとえば特開平3−207750号、特開平4−169214号)。
【0004】
しかしながら繊維状強化剤を用いた場合、これら強化剤が成形品表面へ浮出してくることにより、成形品の外観や光沢が損なわれる。このため、成形品表面に下地塗装を行った後にさらに塗料を塗装するなどして外観を改善する必要があり、コストアップの要因となっていた。
これに対して、粉末状無機充填剤の添加は、剛性の向上と成形品の表面外観向上に効果があり、塗装が必要な場合でも塗膜の厚さを減らせる、もしくは下地塗装が省けるなどの効果はあるものの、これらの充填剤は、通常塩基性を有する物が多く、成形加工時、特に成形サイクルを短くするために比較的高温で樹脂流動性を上げながら成形する際には、ポリエステル樹脂自身や添加されている他の樹脂の分解または変性を促進し、その結果、樹脂の分子量を低下させたり、ガスを発生させることがあり、さらには成形体の肌あれや黄変など外観を損ね、かつ、金型汚染などを引き起こすこともあった。とくにポリエステル樹脂にポリカーボネート樹脂が添加されている樹脂組成物の場合は、このような傾向が著しく、大きな問題となっている。
【0005】
このような粉末状無機充填剤が配合されたポリエステル樹脂組成物の劣化を抑制するために、ホスファイト系化合物を配合すること(特開平5−222283号公報参照)、特定の末端基量を持つポリエステル樹脂を用いること(特開平10−152606号公報参照)、さらには、特定の種類や大きさを有する粉末鉱物充填剤を用いること(特開平7−258426号公報参照、特許2951563号公報参照)などが提案されているが、いずれの場合も成形時の溶融安定性を改良するという観点からは全く効果が見られていなかった。
【0006】
本発明者らは、上記のような課題に鑑み、成形物の耐薬品性、耐衝撃性、剛性を損なうことなく外観が改良され、かつ溶融安定性が向上されたポリエステル樹脂組成物および、この新規な樹脂組成物を使用して成形された諸特性に優れた事務機器用部品や自動車用内・外装部品を得るために鋭意検討を重ねた結果、用いる粉末状無機充填剤中の水分量を特定量以下に制御し、かつ酸性を示すリン系添加物を、ポリエステルとポリカーボネートとに配合することにより配合することにより得られたポリエステル樹脂組成物が極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、成形物の耐薬品性、耐衝撃性、剛性を損なうことなく外観を改良され、かつ溶融安定性を向上させたポリエステル樹脂組成物を提供すること、および、該樹脂組成物を使用して成形された諸特性に優れた事務機器用部品や自動車用内、外装部品を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、
(A)ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、(C)粉末状無機充填剤、および(E)酸性を示すリン系添加物(酸性リン系添加物)からなるポリエステル樹脂組成物であり、
(A)、(B)および(C)の合計量を100重量部としたときに、(A)と(B)との合計が95〜70重量部、(C)が5〜30重量部の範囲にあり、
(E)酸性リン系添加物は、(A)〜(C)の合計100重量部に対し、0.0001〜5重量部の量で配合され、
(C)粉末状無機充填剤中の水分量が、0.25重量%以下に制御されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、
(A)ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、(C)粉末状無機充填剤、(D)ゴム状弾性樹脂、および(E)酸性を示すリン系添加物(酸性リン系添加物)からなるポリエステル樹脂組成物であり、
(A)〜(D)の合計量を100重量部としたときに、(A)と(B)との合計が95〜40重量部、(C)が5〜30重量部、(D)が0より多く30重量部までの範囲にあり、
(E)酸性リン系添加物は、(A)〜(D)の合計100重量部に対し、0.0001〜5重量部の量で配合され、
(C)粉末状無機充填剤中の水分量が、0.25重量%以下に制御されていることを特徴としている。
【0010】
(A)と(B)の重量比(A):(B)が、8:2から2:8の範囲にあることが好ましい。
また、(E)酸性リン系添加物が、該リン系添加物1重量部を純水99重量部に、溶解あるいは分散させたときの水溶液のpHが6.5未満となる酸性度を有することが好ましい。
【0011】
本発明に係る事務機器用部品は、前記ポリエステル樹脂組成物を用いて成形されたものであり、また本発明に係る自動車用内・外装部品は、前記ポリエステル樹脂組成物を用いて成形されたものである。
【0012】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るポリエステル樹脂組成物およびその用途について具体的に説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、(A)ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、(C)粉末状無機充填剤、および(E)酸性を示すリン系添加物(酸性リン系添加物)からなる。
【0013】
(A)ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂としては、様々なものを用いることできるが、特に二官能性カルボン酸とジオール成分とを重合して得られるポリエステル樹脂が好適である。ここで二官能性カルボン酸としては、たとえば、テレフタル酸,イソテレフタル酸,ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸および、必要に応じてこれらの混合物がどが用いられる。これらの中では、テレフタル酸が価格などの点から特に好ましい。また本発明の効果を損なわない範囲で、シュウ酸,マロン酸,アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体などの他の二官能性カルボン酸を用いることもできる。
【0014】
次に、ジオール成分としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ネオペンチルグリコール、デカン-1,10-ジオールなどの炭素数2〜15の直鎖脂肪族および脂環式ジオール,ポリエチレングリコール、ビスフェノールAと呼ばれる2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-(4-イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1-ナフチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2-メチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン;1-エチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、4-メチル-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどのジヒドロキシジアリールアルカン類、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキシジアリールシクロアルカン類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン;3,3',5,5'-テトラメチル-4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4'-ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類などの二価フェノールやヒドロキノン、レゾルシノール、メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類などの通常用いられるものを問題なく用いることができる。また、必要に応じ二種以上のジオール成分とを組み合わせて用いることもできる。
【0015】
これらのような二官能性カルボン酸とジオール成分と重合して得られるポリエステル樹脂としては、特にポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)が好適である。
このポリエステル樹脂は、チタン、ゲルマニウム、アンチモンなどを代表例とした一般的な重縮合触媒の存在下または非存在下で製造することもできるし、界面重合法などにより製造することもできる。
【0016】
本発明に係る樹脂組成物では、一種のポリエステル樹脂を単独で使用してもよくまた、二種以上を組み合わせて使用してもよい。さらに必要に応じ、コポリエステルとして用いてもよい。
本発明で使用されるポリエステル樹脂の分子量は、成形品の物性を損なわない範囲であれば制限はなく、また、用いるポリエステルの種類により最適化される必要があるが、GPCの測定によるポリスチレン換算で表記された重量平均分子量が10000〜200000のものが好ましく、特に20000〜150000のものが好適である。重量平均分子量が前記範囲内にあれば、成型したときに成形品の機械的特性が高く、また、成形性にも優れている。重量平均分子量が10000未満のポリエステル樹脂を用いるとその樹脂の機械物性自身が不充分となり、たとえば成形品の機械的特性が不充分であることがあり、逆に重量平均分子量が200000より大きいと成形時の溶融粘度が増大するなど成形性が低下することがある。
【0017】
(B)ポリカーボネート系樹脂
本発明の樹脂組成物を構成するポリカーボネート系樹脂としては様々なものがあり、好ましくは一般式(I)で表される構成単位を有するものが使用される。
【0018】
【化1】
Figure 0003688194
【0019】
式(I)中、R1およびR2は、アルキル基(たとえば、メチル基、エチル基,n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基など)、ハロゲン原子(塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)から選ばれる。R1およびR2は互いに同一でも異なっていてもよい。
mおよびnは、通常、それぞれ1〜4の整数である。なお、mおよびnが2〜4の場合、2個以上のR1およびR2はそれぞれ、同一でも異なっていてもよい。また全てのR1およびR2が、同一であっていてもよい。
【0020】
Yは、単結合、アルキレン基またはアルキリデン基(たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基など)、シクロアルキレン基またはシクロアルキリデン基(たとえば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基など)、または−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−CO−結合、または下記式(II)、(II’)で示される結合を有する。
【0021】
【化2】
Figure 0003688194
【0022】
このポリカーボネートは一般式(III)
【0023】
【化3】
Figure 0003688194
【0024】
(式中、R1、R2、Y、mおよびnは前記と同じである。)
で表される二価フェノールと、ホスゲンまたは炭酸ジエステル化合物とを反応させることによって容易に製造することができる。
たとえば、塩化メチレンなどの溶媒中において、公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、あるいは二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体との溶融状態でのエステル交換反応などによって製造される。
【0025】
ここで、前記一般式(III)で表わされる二価フェノールとしては、様々なものがあるが、特に、ビスフェノールAと呼ばれる2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが好適である。他の二価フェノールとしては、たとえば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-(4-イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1-ナフチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2-メチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン;1-エチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、4-メチル-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどのジヒドロキシジアリールアルカン類、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキシジアリールシクロアルカン類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン;3,3',5,5'-テトラメチル-4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4'-ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのジヒドロキシアリールフルオレン類などが挙げられる。また、該一般式(III)で表される二価フェノール類以外に、ヒドロキノン、レゾルシノール、メチルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類などが挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
また、炭酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートやジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。そして、分子量調節剤としては、通常、ポリカーボネートの重合に用いられるものでよく、各種のものを用いることができる。具体的には、一価フェノールとして、たとえば、フェノール、p-クレゾール、p-tert−ブチルフェノール、p-tert-オクチルフェノール、p-クミルフェノール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、ノニルフェノールなどが挙げられる。
【0027】
また本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂は、前記一般式(I)で表される構造の繰り返し単位を有するポリカーボネート部と、一般式(IV)
【0028】
【化4】
Figure 0003688194
【0029】
〔式中、R3、R4およびR5は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基(たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基など)、またはフェニル基である、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。またpおよびqは、それぞれ0または1以上の整数であるが、両方がともに0ではない〕で表される構造の繰り返し単位を有するポリオルガノシロキサン部とからなるポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体を用いてもよい。このポリオルガノシロキサン部の重合度は5以上が好ましい。またこのようなポリオルガノシロキサン部は、前記式(I)で表されるポリカーボネート構造単位中に包含されるYとして、ポリカーボネート中に存在していていもよい。
【0030】
このようなポリカーボネート系樹脂は、直鎖状であっても、また分岐を有していてもよい。
上記ポリカーボネートに分岐を形成するためには、ポリカーボネート重縮合時に、分岐剤を添加しておけばよい。分岐剤としては、たとえば、フロログルシン、メリト酸トリメリット酸、トリメリット酸クロリド,無水トリメリット酸、没食子酸、没食子酸n-プロピル、プロトカテク酸、ピロメリト酸、ピロメリット酸二無水物、α-レゾルシン酸、β-レゾルシン酸、レゾルシンアルデヒド、トリメチルクロリド、イサチンビス(o-クレゾール)、トリメチルトリクロリド、4-クロロホルミルフタル酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,4,4'-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4'-トリヒドロキシフェニルエーテル、2,2',4,4'-テトラヒドロキシフェニルエーテル、2,4,4'-トリヒドロキシジフェニル-2-プロパン、2,2'-ビス(2,4-ジヒドロキシ)プロパン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシジフェニルメタン、2,4,4'-トリヒドロキシジフェニルメタン;1-〔α-メチル-α-(4'-ジヒドロキシフェニル)エチル〕-3-〔α',α'-ビス(4"-ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;1-〔α-メチル-α-(4'-ジヒドロキシフェニル)エチル〕-4-〔α',α'-ビス(4"-ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-4-メチルフェノール;4,6-ジメチル-2,4,6-トリス(4'-ヒドロキシフェニル)-2-ヘプテン、4,6-ジメチル-2,4,6-トリス(4'-ヒドロキシフェニル)-2-ヘプタン;1,3,5-トリス(4'-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス〔4,4-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,6-ビス(2'-ヒドロキシ-5'-イソプロピルベンジル)-4-イソプロピルフェノール、ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2'-ヒドロキシ-5'-イソプロピルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)メタン;トリス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2',4',7-トリヒドロキシフラバン;2,4,4-トリメチル-2',4',7-トリヒドロキシフラバン、1,3-ビス(2',4'-ジヒドロキシフェニルイソプロピル)ベンゼン、トリス(4'-ヒドロキシフェニル)-アミル-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0031】
上記の他に、ポリカーボネート系樹脂として、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの直鎖状脂肪族二価カルボン酸、およびマレイン酸、フマル酸などの不飽和結合を含む二価カルボン酸を共重合モノマーとする共重合体を用いることもできる。
【0032】
本発明においては、ポリカーボネート系樹脂は単独で使用しても、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、このようなポリカーボネート系樹脂は、機械的強度および成形性の点から、GPCの測定によるポリスチレン換算で表記された重量平均分子量が10,000〜200,000のものが好ましく、特に15,000〜100,000のものが好適である。重量平均分子量が10,000未満のポリカーボネート樹脂を用いると樹脂自身の機械物性が不充分なため、本発明の樹脂組成物としても十分な物性を示さず、また重量平均分子量が200,000より大きいと、成形時の溶融粘度が増大するなど成形性が悪くなることがある。
【0033】
(C)粉末状無機充填剤
本発明で使用される粉末状無機充填剤として、天然由来もしくは人工的に製造された粘土鉱物、針状鉱物、たとえば、マイカ、チタン酸カリウムウイスカー、カオリン、クレー、タルク、ウォラストナイトなどが用いられる。これらの製法については水分の制御以外は特に限定されるものではなく、たとえば、タルクを天然鉱物より製造する場合、原石を先ずチューブミル型粉砕機、衝撃式粉砕機、ミクロンミル型粉砕機、遠心ローラー型レイモンドミルなどの装置で粉砕し、さらに微粉砕を要する場合には、ミクロンミル、ジェット型粉砕機、ジェット・オ・マイザー、ミクロナイザー、ジェットパルペライザー、攪拌摩砕ミル(タワーミル)、振動ミル、コロイドミルなどで乾式または湿式微粉砕すればよい。次いで、これらの粉砕した充填剤をサイクロン、マルチロン、ミクロンセパレーター、ミクロプレックス、サイクロンエアセパレーター、ウルトラセパレーター、ジェットクロン、クラシクロン、レーキ分級機、ハイドロサイクロン、水力分級機、遠心分級機などの装置で、一回または複数回繰り返すことによって乾式あるいは湿式分級し、粒径等の物性を調整してもよい。
【0034】
本発明で使用される粉末状無機充填剤中の水分量が、0.25重量%以下、好ましくは、0.2重量%以下に制御されていることが望ましい。
本発明では、無機充填剤中の水分量は、平沼科学(株)製ACUACOUNTER AQ−6用い、カールフィシャー法により無機充填剤中の重量(重量%)として測定される。
【0035】
無機充填剤中の水分としては、無機充填剤に付着した水分や内部(たとえば層間)に吸着した水分などが挙げられる。
粉末状無機充填剤中の水分量を調整する方法は、通常、これらを乾燥させる方法と同じ方法である。なお、用いる粉末状無機充填剤の種類、および製造法により乾燥時間、乾燥方法等が異なるため、水分量の制御は、用いる粉末状無機充填剤により適宜選択される。
【0036】
このように粉末状無機充填剤中の水分量が制御されていると、組成物の溶融安定性が高くなり、外観の良い成形品を成形することができる。これは水分量が制御された粉末状無機充填剤は、成形中に樹脂やゴム状弾性体からの水分を吸着して、成形品の外観が良好に保っていると考えられる。
(E)酸性を示すリン系添加物(酸性リン系化合物)
酸性を示すリン系添加物としては、リン酸、亜リン酸、ピロリン酸などの無機リン酸、メチルリン酸、エチルリン酸、プロピルリン酸、イソプロピルリン酸、ブチルリン酸、ラウリルリン酸、ステアリルリン酸、2−エチルヘキシルリン酸、イソデシルリン酸、などの酸性アルキルリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、メタリン酸水素ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸二水素二ナトリウムなどの縮合リン酸塩、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどの金属塩などが使用される。これらの中では、特にリン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウムが価格や安全性の面から好適に用いられる。
【0037】
このような酸性リン系化合物を含んでいると、組成物の溶融安定性が高くなり、また外観の良い成形品を成形することができる。
なお、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウムのような、その水溶液や分散液がアルカリ性を示す物質は、樹脂の劣化を促進し、表面外観を悪化させるため好ましくない。
【0038】
このような酸性リン系添加物は、該リン系添加物1重量部を、純水99重量部に、溶解または分散させた水溶液のpHが、6.5未満、好ましくは6.5〜2.0の範囲の酸性度を有するものが望ましい。
(D)ゴム状弾性樹脂
本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて、任意成分としてゴム状弾性樹脂が含まれていてもよい。ゴム状弾性樹脂としては、様々なものを用いることができるが、好適な例としては、ゴム状重合体の存在下に、ビニル系単量体の一種または二種以上を重合させることによって得られる共重合体である。上記ビニル系単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのメタクリル酸エステル、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物などが挙げられる。
【0039】
ゴム状弾性樹脂の代表的な具体例は、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレートを主体とするアクリル系重合体やメタクリル系重合体、ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンを主体とするジエン系重合体、ポリオルガノシロキサンを主体とするシリコーン系重合体の一種または二種以上の共重合体であり、アクリロニトリルスチレンメチルメタアクリレート(MAS)樹脂、ブタジエンスチレンメチルメタアクリレート(MBS)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレンメチルメタアクリレート(MABS)樹脂などと、通常称されるものである。これらは、市場から容易に入手することができる。
【0040】
上記以外のゴム状弾性樹脂の具体例としては、たとえば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソブチレン−イソプレンゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−ブタジエンゴムの水素化物(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンゴム(SIS)、スチレン−イソプレンゴムの水素化物(SEPS)などを挙げることができる。
【0041】
本発明では、このようなゴム状弾性樹脂を、一種を単独使用してもよく、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用される(A)ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、および(C)ゴム状弾性樹脂の水分は、通常の混練押し出しや成形が問題なくできる程度に制御されていれば、本組成物から成形された製品の表面外観にはまったく影響することがない。
【0042】
ポリエステル樹脂組成物
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、以上説明した(A)ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、(C)粉末状無機充填剤、(E)酸性を示すリン系添加物(酸性リン系添加物)および任意成分の(D)ゴム状弾性樹脂からなる。
【0043】
本発明に用いられる(A)ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート系樹脂の配合比率(重量比)は、8:2〜2:8、好ましくは7:3〜3:7の範囲である。
(A)ポリエステル樹脂の比率が8より多いと、衝撃強度が十分でなかったり成形品のそり、後収縮などが無視できなくなったりする場合があり、逆に(B)ポリカーボネート樹脂の比率が8より多いと、耐薬品性が低下することがある。
【0044】
(A)〜(D)の合計量を100重量部としたときに、(A)ポリエステル樹脂および(B)ポリカーボネート系樹脂は、(A)と(B)との合計が95〜40重量部、好ましくは80〜40重量部の量で含まれていることが望ましい。
また、(A)〜(D)の合計量を100重量部としたときに、(C)粉末状無機充填剤が5〜30重量部、好ましくは5〜20重量部であることが望ましい。(C)粉末状無機充填剤の添加量が5重量部未満であると、成形体に十分な強度や剛性が発現されず、逆に30重量部より多いと、成形物の表面外観を悪くすることがある。
【0045】
ゴム状弾性樹脂(D)が含まれている場合、(A)〜(D)の合計量を100重量部としたときに、(D)の添加量は、0より多く30重量部まで、好ましくは0より多く10重量部までの範囲にあることが望ましい。
このような量でゴム状弾性樹脂(D)が含まれていれば、衝撃強度に優れた成形体を得ることができる。なお、(D)の添加量が30重量部を越えていると、本発明が目的とするポリエステル樹脂組成物自体の特性が低下してしまうことがある。
【0046】
(E)酸性リン系添加物の添加量は、その種類、用いられる樹脂の比率、および粉末状無機充填剤の種類や量により最適化される必要があるが、(A)〜(C)((D)が含まれている場合、(A)〜(D))の合計100重量部に対して、0.0001から5重量部、好ましくは0.001〜3重量部の量で用いられることが望ましい。用いる量が0.0001重量部未満であると、その効果が見られず、逆に5重量部より多いと、樹脂の劣化を促進する場合がある。
【0047】
なお、本発明のポリエステル樹脂組成物においては、成形体の着色、強度低下の防止のため所望により抗酸化剤としてホスファイト系安定剤を用いることができる。このホスファイト系安定剤の使用量は、本発明の樹脂組成物合計100重量部に対して0.0005〜5重量部、好ましくは0.001〜3重量部の範囲で配合される。この配合量が0.0005重量部未満では樹脂の劣化抑制効果が充分に発揮されず、5重量部を越えるとその量の割には効果の向上が認められず、むしろコスト上不利となる。これらのホスファイト化合物は一般的に使用されているものをそれぞれ単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本発明の樹脂組成物には、上記ホスファイト系安定剤に加え、さらに本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加成分、たとえば他の合成樹脂、ヒンダードフェノール系やアミン系などの他の安定剤、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、脂肪族カルボン酸エステル系,パラフィン系,シリコーンオイル,ポリエチレンワックスなどの内部滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、有機充填剤、離型剤、着色剤などを配合することができる。
【0049】
本発明に係る樹脂組成物は、上記したように各成分を配合・混練することによって調製することができる。該配合・混練には、通常用いられている方法、たとえば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機などを用いる方法により行うことができる。なお、混練に際しての加熱温度は、通常230〜300℃の範囲で選ばれる。
【0050】
こうして得られるポリエステル樹脂組成物は、既知の種々の成形方法、たとえば、射出成形、ガスアシスト射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形などを適用して事務機器用部品や自動車用内、外装部品をはじめ、各種の成形品に好適に用いられる。
【0051】
【発明の効果】
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、(A)ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、(C)粉末状無機充填剤、(E)酸性を示すリン系添加物(酸性リン系添加物)および任意で(D)ゴム状弾性樹脂が特定の組成で配合され、かつ(C)粉末状無機充填剤の水分量が制御されているので、該組成物から成形された成形品は、耐薬品性、耐衝撃性、剛性に優れるとともに、外観にも優れ、さらには溶融安定性にも優れている。さらにこの新規な樹脂組成物を使用して成形された諸特性に優れた事務機器用部品や自動車用内、外装部品などの成形物は、特に外見が優れているので、表面の外観を向上させるために形成される下地塗装などのコート層の塗装膜厚や塗装下地層の厚さを減らせたり、さらには使用しなくてもよいことから、コストパフォーマンスに優れるものである。
【0052】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、特性や物性の評価方法は、以下の通りである。
▲1▼水分率
無機充填剤中の水分量は、平沼科学(株)製ACUACOUNTER AQ−6用い、カールフィシャー法により無機充填剤中の重量(重量%)として測定した。
▲2▼原材料
ポリエステル樹脂として、PET(三菱レーヨン(株)製;重量平均分子量20000)およびPBT(日本GEプラスチックス(株)製;重量平均分子量100000)、ポリカーボネート系樹脂として、レキサン(日本GEプラスチックス(株)製;重量平均分子量70000)、粉末状無機充填剤としては、タルク(富士タルク(株)製NK48)、マイカ((株)クラレ社製150−S)およびワラストナイト(林化成(株)社製VM−8N)を用いた。無機充填剤の水分量は表1に示される。
【0053】
ゴム状弾性体としては、MBS(ロームアンドハース社製EXL2602)を用いたものを代表例として記載した。酸性を示す燐系添加物としては、市場にて手に入る高純度品を用いた。
▲3▼樹脂組成物の製造
樹脂組成物は、必要な原材料をまずドライブレンドし、ついでシリンダー温度を230から280℃に制御した排気装置付二軸押出機により溶融混練し、ペレット化することにより製造した。
▲4▼成形
上記のようにして得られたペレットを、120℃で4時間乾燥させ、ついで、シリンダー温度260℃で射出成形し、実施例1から4及び比較例1から4では、平面部を持つドアハンドル成形品を、実施例5から8及び比較例5から8では、やはり平面部を持つプリンターの印刷紙受け部成形品を得た。
▲5▼滞留成形
乾燥時間およびシリンダー温度は上記の成形時と同様にし、シリンダー内に10分保持させた後に射出成形を開始し、3ショット目の成形品を用いて評価を行った。
▲6▼外観評価
通常成形、および滞留成形品の外観は目視により、以下の尺度で評価分類し、A、Bを合格とした。
Aランク…蛍光灯を映し見たときに、これが明瞭に映り、かつ光沢感も非常に高い。
Bランク…外観に大きな問題はなく、光沢感もあるが、若干の曇りが見られる。
Cランク…成形初期では問題がないが、成形回数を重ねるうちに銀条問題が発生する。
Dランク…ガス発生による銀条などにより、十分な外観を持つ成形品を得ることが初期より不可能である。
【0054】
【実施例1〜8】
表1に示したような原材料比の原材料から得られた樹脂組成物を調製した。得られた組成物を混練押出したのちペレット化し、引き続き成形および滞留成形した後、前記AからDの尺度で外観を評価した。
結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003688194
【0056】
表1から明らかなように、実施例で得られたポリエステル系樹脂組成物は、いずれも成形品の外観に優れ、また溶融安定性にも優れている。
【0057】
【比較例1】
粉末状無機充填剤として水分率が0.3重量%であるタルク17.5重量部をた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物を調製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0058】
【比較例2】
粉末状無機充填剤として、水分率が0.15重量%であるマイカ35重量部を用い、ポリカーボネート系樹脂を51重量部用いた以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物を調製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0059】
【比較例3】
ポリエステル樹脂として、PETを72重量部、ポリカーボネート系樹脂を8重量部用いた以外は、実施例3と同様にして、樹脂組成物を調製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0060】
【比較例4】
リン系添加物として、ピロリン酸二水素ナトリウムを4重量部用いた以外は実施例4と同様にして、樹脂組成物を調製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0061】
【比較例5】
粉末状無機充填剤として水分率が0.27重量%であるタルク30重量部を用いた以外は、実施例5と同様にして、樹脂組成物を調製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0062】
【比較例6】
リン系添加物を用いない以外は、実施例6と同様にして、樹脂組成物を調製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0063】
【比較例7】
リン系添加物としてリン酸三ナトリウムを0.3重量部用いた以外は、実施例7と同様にして、樹脂組成物を調製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
Figure 0003688194

Claims (6)

  1. (A)ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、(C)粉末状無機充填剤、および(E)酸性を示すリン系添加物(酸性リン系添加物)からなるポリエステル樹脂組成物であり、
    (A)、(B)および(C)の合計量を100重量部としたときに、(A)と(B)との合計が95〜70重量部、(C)が5〜30重量部の範囲にあり、
    (E)酸性リン系添加物は、(A)〜(C)の合計100重量部に対し、0.0001〜5重量部の量で配合され、
    (C)粉末状無機充填剤中の水分量が、0.25重量%以下に制御されていることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. (A)ポリエステル樹脂、(B)ポリカーボネート系樹脂、(C)粉末状無機充填剤、(D)ゴム状弾性樹脂、および(E)酸性を示すリン系添加物(酸性リン系添加物)からなるポリエステル樹脂組成物であり、
    (A)〜(D)の合計量を100重量部としたときに、(A)と(B)との合計が95〜40重量部、(C)が5〜30重量部、(D)が0より多く30重量部までの範囲にあり、
    (E)酸性リン系添加物は、(A)〜(D)の合計100重量部に対し、0.0001〜5重量部の量で配合され、
    (C)粉末状無機充填剤中の水分量が、0.25重量%以下に制御されていることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  3. (A)ポリエステル樹脂と(B)ポリカーボネート系樹脂の重量比(A):(B)が、8:2から2:8の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. (E)酸性リン系添加物が、該リン系添加物1重量部を純水99重量部に、溶解あるいは分散させたときの水溶液のpHが6.5未満となる酸性度を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる事務機器用部品。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる自動車用内・外装部品。
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