JP4950382B2 - インモールド成形用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐折曲げ性に優れた印刷フィルム用樹脂組成物からのインモールド成形用フィルムに関する。更に詳しくは、キートップ及びメンブレンスイッチカバーフィルム等に適した耐折曲げ性、耐薬品性、成形加工性に優れた印刷フィルム用樹脂組成物からのインモールド成形用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックフィルムの片面又は両面に図柄層の印刷を施し、表示機能性および意匠性を高めた加飾フィルムは、押釦用フィルム例えば携帯電話のキートップ、家電製品(洗濯機、電子レンジ等)のメンブレンスイッチパネル等に利用されている。
【0003】
押釦用フィルムは、機能性、意匠、形状の復元、スイッチ位置の明確化、押した感覚を増すため等を目的に、さまざまな加工法例えば真空成形、冷間加工、加圧成形で凸形状を設けたものもある。又加飾フィルムは他の部品とのアッセンブルをする目的等で、インモールド成形を行っている場合もある。
【0004】
プラスチックフィルムとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が例示される。プラスチックフィルムの中でもポリカーボネート樹脂フィルム及びポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムは、機械的特性、電気特性、温度特性が他のプラスチックフィルムに比べ優れていることから、数多く使用されている。
【0005】
しかし、ポリカーボネート樹脂フィルムは、押釦打点時の耐久性(折曲げ性)が十分とはいえなく押釦を繰り返し打点するとフィルムが破損することがある。
【0006】
また熱成形(真空成形、加圧成形等)時のドローダウン性(張戻し保持時間)が短いため加熱条件巾が狭く加工治具の突き出し時間の設定によっては加工ミスが多発することがあった。また印刷時の耐溶剤性が十分とはいえなく印刷インキの溶剤によっては白化、クラックが発生することがあった。
【0007】
一方ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムは、耐久性、熱加工性は優れているが耐溶剤性が優れすぎており印刷が密着しないという欠点を有していた。印刷用フィルムとして、これらの欠点の改良したフィルムが強く要望されていた。
【0008】
ところで、特開昭54−18375号公報には、ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂をブレンドした樹脂をシート状に成形し、これを真空成形した耐熱性、耐寒性のアイスクリーム等の容器が開示されている。かかる容器を形成する樹脂組成物は、実質的にはポリエチレンテレフタレート樹脂が主成分であり、その実施例のポリカーボネート樹脂の含量は最大37.5重量%であり、食品用容器として程々の耐熱性を有している。しかしながら、この組成物は高い耐熱性や印刷性や深絞り性を要求するインモールド成形フィルム用組成物としては不適切である。
【0009】
また、特開平10−298312号公報には、樹脂成分としてポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂組成物に、無機充填剤、無機顔料を配合してなる組成物からなる住宅資材、室内装飾材、表示用資材などに利用される樹脂シートが開示されている。しかしながら、かかる組成物は、無機充填剤が大量に含まれており、耐折曲げ性、印刷性、透明性に劣り、インモールド成形フィルム用組成物として不適切である。
【0010】
特許第2942771号公報には、インモールド成形フィルムの1種の成形方法及び特開平8−25599号公報には、インモールド成形フィルムを用いた積層物が開示されている。かかる公報に使用されているフィルムは、ポリカーボネート樹脂製のフィルムである。このフィルムは前述のように張戻し保持時間が短いため、成形条件が制限される。また耐折曲げ性が低いため、くり返し使用する用途、メンブレンスイッチ用途には不適当である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、押釦打点時の耐久性(折曲げ性)、熱成形時のドローダウン性(張戻し保持時間)、印刷時の耐溶剤性の問題を改良すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂にポリエチレンテレフタレート系樹脂を適量配合することにより、上記の問題を解決することを見出し、本発明に到達した。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂40〜90重量部と(B)ポリエチレンテレフタレート系樹脂10〜100重量%およびポリブチレンテレフタレート樹脂0〜90重量%からなるポリエステル樹脂10〜60重量部からなる耐折曲げ性の優れた印刷フィルム用樹脂組成物から形成されたフィルムの少なくとも片面に印刷層を設けたインモールド成形用フィルムによって達成される。
【0013】
本発明の印刷フィルム用樹脂組成物は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂40〜90重量部と(B)ポリエチレンテレフタレート系樹脂10〜100重量%およびポリブチレンテレフタレート樹脂0〜90重量%からなるポリエステル樹脂10〜60重量部からなり、芳香族ポリカーボネート樹脂40重量部未満では印刷性、耐熱性や深絞り性が劣り、90重量部を越えると耐折曲げ性や成形加工性が不足する。好ましくは(A)芳香族ポリカーボネート樹脂50〜85重量部と(B)ポリエステル樹脂15〜50重量部、より好ましくは(A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜85重量部と(B)ポリエステル樹脂15〜40重量部、更に好ましくは(A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜80重量部と(B)ポリエステル樹脂20〜40重量部、最も好ましくは(A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜75重量部と(B)ポリエステル樹脂25〜40重量部である。
【0014】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶媒中(界面重縮合法)あるいは溶融状態(溶融エステル交換法)で反応せしめて製造される。これらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0015】
カーボネート前駆物質として例えばホスゲンを使用する界面重合法の場合、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0016】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いる溶融エステル交換法は、不活性ガス雰囲気下所定割合のニ価フェノール成分を炭酸ジエステルと加熱しながら攪拌して、生成するフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0017】
上記2価フェノールの代表的な例を挙げると、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン等があげられる。好ましい二価フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特にビスフェノールAが好ましい。
【0018】
ポリカーボネート樹脂を製造するに当たり、前記二価フェノールを単独でまたは2種以上を使用することができる。また、適当な分子量調節剤、分岐剤、反応を促進するための触媒等も使用できる。かくして得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。
【0019】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で10,000〜100,000が好ましく、12,000〜40,000がより好ましく、20,000〜30,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、フィルム材料として十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。
【0020】
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、印刷性を考慮すると燃焼クロル法で測定した塩素量が100ppm以下が好ましい。
【0021】
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂の合計100重量%とした時、ポリエチレンテレフタレート系樹脂10〜100重量%およびポリブチレンテレフタレート樹脂0〜90重量%からなる。好ましくはポリエチレンテレフタレート系樹脂50〜100重量%およびポリブチレンテレフタレート樹脂0〜50重量%、より好ましくはポリエチレンテレフタレート系樹脂85〜100重量%およびポリブチレンテレフタレート樹脂0〜15重量%、最も好ましくは実質的にポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量%である。
【0022】
本発明で使用するポリエチレンテレフタレート系樹脂は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコール又はそのエステル形成性誘導体を主原料として重縮合反応させて得られる重合体であり、テレフタル酸の30モル%以下を他のジカルボン酸で置換えたり、エチレングリコールの30モル%以下を他の脂肪族ジオールや脂環式ジオールで置換えた共重合体であってもよい。かかる共重合体に使用されるジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等があげられる。ジオールとしては例えばポリメチレン−α,ω−ジオール類、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等があげられる。本発明で使用するポリエチレンテレフタレート樹脂の分子量は、o−クロルフェノールを溶媒として、25℃で測定した固有粘度が0.6〜1.0、好ましくは0.65〜0.95である。固有粘度が0.6未満ではノッチ感度が高くなり、1.0を超えると成形性が悪化するようになる。
【0023】
本発明で使用するポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とテトラメチレングリコール又はそのエステル形成性誘導体を主原料として重縮合反応させて得られる重合体であり、テレフタル酸の30モル%以下を他のジカルボン酸で置換えたり、テトラメチレングリコールの30モル%以下を他の脂肪族ジオールや脂環式ジオールで置換えた共重合体であってもよい。かかる共重合体に使用されるジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等があげられる。ジオールとしては例えばポリメチレン−α,ω−ジオール類、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等があげられる。本発明で使用するポリブチレンテレフタレート樹脂の分子量はo−クロルフェノールを溶媒として25℃で測定した固有粘度が0.6〜1.2、好ましくは0.65〜1.0である。固有粘度が0.6未満ではノッチ感度が高くなり、1.2を超えると成形性が悪化するようになる。
【0024】
本発明の印刷フィルム用樹脂組成物は、本願発明に係るポリカーボネート樹脂とポリステル樹脂以外の熱可塑性樹脂、無機充填材(滑剤、光拡散剤としても共有できる)、熱安定剤、離型剤、着色剤、耐候剤、有機の滑剤等、本発明の目的を損なわない範囲内で配合してもよい。
【0025】
上記の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂等があげられる。その配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が適当である。
【0026】
また、無機充填材としては、炭酸カルシュウム、タルク、マイカ、ワラストナイト、石膏、炭酸マグネシュウム、酸化マグネシュウム、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、ガラスフレーク、シリカ粉末、硫化亜鉛等があげられる。その配合量は、耐折曲げ性や透明性の点でポリカーボネート樹脂とポリステル樹脂の合計100重量部に対して、25重量部以下が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲ある。
【0027】
本発明で使用できる無機及び有機滑剤、光拡散剤は無機微粒子や有機微粒子でよく、例えばカオリンに代表されるシリカアルミナ系粘土鉱物(含水珪酸アルミニウム類)、タルクに代表されるシリカマグネシウム系粘土鉱物(含水珪酸マグネシウム類)、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、シリカアルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化珪素等の粒子状のものが挙げられる。また、有機微粒子としては架橋構造を有する架橋ポリアクリレート、架橋ポリスチレン等が挙げられる。特に炭酸カルシウム、硫酸バリウム、架橋ポリアクリレート及び架橋ポリスチレンが芳香族ポリカーボネート樹脂への分散性が優れ好ましいものである。配合量はポリカーボネート樹脂とポリステル樹脂の合計100重量部に対して、25重量部以下が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲ある。
【0028】
本発明の印刷フィルム用樹脂組成物は、上記芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の所定量を例えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機で混合して製造することができる。
【0029】
本発明の印刷フィルム用樹脂組成物は、任意の方法によってフィルム状に形成することができる。例えば、Tダイから押出した溶融樹脂を、挟持加圧若しくは片面タッチ方式の複数個の冷却ロールで冷却してフィルムに成形する。この際使用する装置としては特別な装置である必要ななく、製膜、フィルムまたはシートの製造に使用される装置が任意に採用される。
【0030】
本発明の印刷層は、通常1〜30μmであり、市販の印刷用インキを使用することができる。
【0031】
かかる市販の印刷用インキにおいて、従来使用されているバインダー樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、これらの樹脂がバインダー樹脂として使用されているインキと希釈剤等とを調合して、熱可塑性樹脂フィルム等のベースフィルムに印刷すると優れた仕上がりの印刷フィルムが得られる。
【0032】
本発明の印刷用インキは、上記バインダー樹脂と染・顔料を所望の溶剤に溶解して作製される。本発明の印刷インキにおいて使用される染・顔料としては、例えばアントラキノン系、ナフトキノン系等の染料、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム等の無機顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられる。これらの染・顔料はインキ中に溶解あるいは分散した状態でバインダー樹脂と共に存在する。
【0033】
インキ調製のための溶剤としては、ジオキサン、イソホロン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン等が挙げられ、なかでもジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノンが好ましく用いられる。また溶剤は単独で用いても、2種以上の混合溶剤で用いても良い。
【0034】
上記インキにはバインダー及び染・顔料の他に必要に応じて、有機及び無機微粒子、離型剤、酸化防止剤、可塑剤、分散剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤等を添加しても良い。
【0035】
また、インキ中のバインダー樹脂の配合量は1〜70重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましい。バインダー樹脂の濃度がかかる範囲内であると、溶剤に溶け易く作業性も向上し好ましい。
【0036】
本発明において、上記インキは本発明の樹脂組成物から形成されたフィルムに塗布される。このフィルムは通常0.05〜2mmの厚みであり、0.1〜0.7mmの厚みが好ましい。
【0037】
インキをフィルムに塗布する方法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷等が挙げられるが、塗布するインキ層の膜厚範囲が広く、インキ層を厚くすることができる点から、スクリーン印刷が特に好ましい。スクリーン印刷とは、スクリーンと称する網目状に組まれた絹、ナイロン、テトロン等によるスクリーンの四周を版枠に、緊張、固定した上に、手工的または光化学的な方法で図柄に応じてインキの通過を防ぐ被膜(レジスト)を構成して、これを版とし、船状になった版枠内にインキを入れ、スクイジーと称するゴム状の「ヘラ」で版内面を加圧、摺動すると、インキはスクリーン目を通し、レジストのない部分(画線部)より版の外に押出され、版の下におかれた被印刷体面には印刷される印刷方式であり、例えば、平面印刷機、ロータリーシステム印刷機、シリンダータイプの印刷機の曲面印刷機等を使用して行うことができ、乾燥方法としては、自然放置、冷・温送風、赤外線照射、加熱焼付、紫外線照射等が採用される。
【0038】
本発明の印刷層を有したフィルムは、インモールド成形品やメンブレンスイッチパネルに有用である。かかるインモールド成形は、あらかじめ加飾されたフィルムを射出成形機に金型の内面に装着し静電法や吸引法でなどで固定しておく。次に一般の射出成形と同様に金型を閉じ溶融した合成樹脂を射出してキャビティー内に充填して成形品本体を成形するとともに、成形品本体の表面にフィルムを積層一体化する製造方法である。
【0039】
【実施例】
以下の実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、実施例における部は重量部であり、評価は下記の方法によった。
【0040】
(1)折曲げ性
折曲げ性は、フィルム押出機で得た巾10mm厚さ250μmの試験片を折曲げ試験機を使用して上150°、下150°の折り曲げを行い破断するまでの回数を評価した。1000回で破断しないものは○、400回以上1000回未満で破断したものを△、400回未満で破断したものを×で示した。
【0041】
(2)張戻し保持時間
熱成形時の張戻し保持時間は、フィルム押出機で得た厚さ250μmの150mm×150mmの試験片を小型真空成形機(Formech 450)にセットし加熱ヒーターにより加熱(350℃〜400℃)を行い、張戻し保持時間(張戻し後再ドローダウンまでの時間)を評価した。10秒以上ものを○、3秒以上10秒未満のものを△、3秒未満のものを×で示した。
【0042】
(3)印刷性
フィルム押出機で得た厚さ250μmフィルムに印刷用インキ(商品名セリコートVG 帝国インキ製造株式会社製)をスクリーン印刷機で塗布し乾燥後、フィルムの外観、インキの密着性を評価した。外観は、目視で評価し変化ないものは○、白化、マイクロクラック等異常が発生したものは×で示した。インキの密着性は、クロスカットテープ法(JIS K−5400)を行い剥離ないものは○、剥離したものは×で示した。
【0043】
(4)耐熱性
射出成形して得た長さ127mm、幅12.7mm、厚み6.4mmの棒状の試験片をASTM D648(荷重1.81MPa)に準じ、荷重たわみ温度試験機を用いてHDT(荷重たわみ温度)を測定し110℃以上のものを○、91℃〜109℃のものを△、90℃以下のものを×で示した。
【0044】
[実施例1〜3及び比較例1〜4]
表1に示す各成分を表記載の量混合し、ベント式押出機によりシリンダー温度270℃でペレット化した。このペレットを120℃で5時間乾燥した後、Tダイ押出機によりシリンダー温度270℃で250μmのフィルムを作成し、評価結果を表2に示した。
【0045】
なお、表1記載の各成分を示す記号は下記の通りである。
PC:ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂[帝人化成(株)製 L−1250、粘度平均分子量25000]
PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂[帝人(株)製 TR−8580、固有粘度0.8]
PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂[帝人(株)製 TRB−H、固有粘度1.0]
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
[実施例4]
実施例1のフィルムに耐熱性インキ(商品名ノリフアン バイエル社製)を用いてスクリーン印刷機で数字と文字を印刷した。この印刷層を有する加飾フィルムを凸型を有する真空成形用金型を用いて印刷面が内側になる様に真空成形した。この成形フィルムを凹型のキャビティを持つ射出成形用金型に印刷面が内側になる様に装着し、ポリカーボネート樹脂ペレット(商品名パンライトL−1225L 帝人化成製)を用いて280℃の樹脂温度でインサート成形を行った。得られ成形品は、比較例4のフィルムを用いて作成された成形品よりもインキの滲みやぼやけがなく数字や文字が鮮明に認識された。
【0049】
[実施例5]
実施例1のフィルムに印刷用インキ(商品名セリコートVG 帝国インキ製造株式会社製)をスクリーン印刷機で数字と文字印刷した。この印刷層を有する加飾フィルムを用いて電子レンジのメンブレンスイッチパネルを作成した。このメンブレンスイッチは、比較例3のフィルムを用いて作成されたスイッチよりも繰返し使用に優れていた。
【0050】
【発明の効果】
本発明の耐折曲げ性の優れた印刷フィルム用樹脂組成物およびそれからの加飾フィルムは、キートップ、メンブレンスイッチパネルに必要な特性(折曲げ性、熱成形性、印刷性)をバランスよく備えており上記の用途及びこれらの特性を必要とする用途に極めて有用であり、その奏する工業的価値は極めて大である。
【0051】
かかるフィルムを用いた成形品は、押釦成形品例えば携帯電話のキートップ、家電製品(洗濯機、電子レンジ等)のメンブレンスイッチパネル、ハウジング部品、蛍光表示板のカバー、照明ボタンやスイッチ、ヒータースクリーン、自動車のインスツルメントパネルや尾灯レンズ等、様々な用途を有用であり、特に携帯電話のキートップ、家電製品(洗濯機、電子レンジ等)のメンブレンスイッチパネル、自動車のインスツルメントパネルに有用である。
Claims (5)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂40〜90重量部と(B)ポリエチレンテレフタレート系樹脂10〜100重量%およびポリブチレンテレフタレート樹脂0〜90重量%からなるポリエステル樹脂10〜60重量部からなる樹脂組成物から形成されたフィルムの少なくとも片面に印刷層を設けたインモールド成形用フィルム。
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂が50〜80重量部であり、(B)ポリエステル樹脂が20〜50重量部である請求項1記載のインモールド成形用フィルム。
- 押釦用フィルムである請求項1記載のインモールド成形用フィルム。
- 請求項1記載のインモールド成形用フィルムを射出成形機の金型の内面に印刷面が内側になる様に装着し、次に金型を閉じ溶融した合成樹脂を射出してキャビティー内に充填し成形する、表面にインモールド成形用フィルムを積層一体化したインモールド成形品の製造方法。
- 請求項4記載の製造方法により得られたインモールド成形品。
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