JP4612133B2 - 金属板被覆用樹脂組成物およびこれを用いた樹脂フィルム、樹脂被覆金属板ならびに樹脂被覆金属容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性、耐薬品性、成形性、耐熱性、ガスバリヤ性に優れ、かつ金属との密着性に優れた金属板被覆用樹脂組成物に関する。さらに、発明は、かかる樹脂組成物を使用した金属板被覆用樹脂フィルムに関し、また、該樹脂フィルムを金属板の片面および/または両面に単一層状にまたは多層状に積層して被覆した金属板に関し、更に該樹脂被覆金属板を成形してなる樹脂被覆金属容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル樹脂は、機械的性質、電気的性質、耐熱性、ガスバリア性および金属との密着性が優れており、腐食防止を目的とした金属板の被覆膜用の材料として広く使用されてきた。しかし、金属との密着性、耐衝撃性、ガスバリア性がポリエステル樹脂の結晶化度に強く依存するため、被膜内部の結晶構造を厳密に制御しなければ目標の特性を得られなかった。具体的には、金属と樹脂界面では密着性を良好にするために結晶化度を小さくし、その他の部位は逆に耐衝撃性やガスバリア性を保持するために結晶化度を大きくしなければならず、被膜内部の結晶化度を適切に傾斜させる必要があった。この結果、ラミネート工程条件が厳しく制約されていた。
【0003】
これらポリエステル樹脂の欠点を改善する手法として、特開平3-269074号公報には、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂からなる樹脂組成物とをラミネートする方法が開示されている。当該方法では、ラミネート工程中で界面の結晶化度を容易に低下できるため密着性が向上する反面、ガスバリア性および耐衝撃性が低下し、このためこれらの特性を発現するためには、2軸延伸膜を使用して結晶化を積極的に残留させるなどの工程上の制約があった。また、特開平8-323922号公報にはポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂との組成物からなる被膜を金属板にラミネートする技術が開示されている。当該技術では結晶化が低下しても耐衝撃性できるため密着性と耐衝撃性との両方を兼備できるが、低温での耐衝撃性を十分に改善できるまでには至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐衝撃性、耐薬品性、成形性、耐熱性、ガスバリヤ性、金属との密着性に優れた金属板被覆用の樹脂組成物を提供することである。さらに、本発明の目的は、かかる樹脂組成物を使用した金属板被覆用樹脂フィルムを提供し、また、該樹脂フィルムを積層した樹脂被膜により被覆された樹脂被覆金属板を提供し、更に該樹脂被覆金属板を成形してなる樹脂被覆金属容器を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固有粘度0.5〜2.0dl/gを有するポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびゴム状弾性体樹脂(C)を含んでなり、前記ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、前記ポリカーボネート樹脂(B)1〜50重量部、前記ゴム状弾性体樹脂(C)1〜50重量部からなり、ポリエステル樹脂(A)をマトリックスとしてポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体樹脂(C)が分散することを特徴とする金属板被覆用樹脂組成物である。前記ゴム状弾性体樹脂(C)は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体もしくはシェル部が極性ビニル重合体からなるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂であることが好ましく、さらに前記シェル部の極性ビニル重合体がアクリレート系重合体であることが好ましい。
【0006】
また、本発明は、上記金属板被覆用樹脂組成物を単独でまたは他の樹脂組成物および/または接着剤と組み合わせて、積層してなる金属板被覆用樹脂フィルムであり、さらに本発明は、かかる金属板被覆用樹脂フィルムを金属板の片面または両面に単一層状にまたは多層状に積層してなる樹脂被覆金属板であり、そして、本発明は、かかる樹脂被覆金属板を成形してなる樹脂被覆金属容器を包含する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)とは、ヒドロキシカルボン酸化合物残基、ジカルボン酸残基およびジオール化合物残基、もしくはヒドロキシカルボン酸化合物残基およびジカルボン酸残基およびジオール化合物残基を構成ユニットとする熱可塑性ポリエステルである。またこれらの混合物であってもよい。
【0009】
ヒドロキシカルボン酸化合物残基の原料となるヒドロキシカルボン酸化合物を例示すると、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシエチル安息香酸、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’カルボキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、これらの単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
【0010】
また、ジカルボン酸残基を形成するジカルボン酸化合物を例示すると、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸などの芳香族ジカルボン酸およびアジピン酸、ビメリン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられ、これらの単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
【0011】
次に、ジオール残基を形成するジオール化合物を例示すると、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略称する)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、o-ヒドロキシフェニル-p-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオールおよびエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、水添ビスフェノールAなどの脂肪族ジオールなどが挙げられ、これらを単独使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。また、これらから得られるポリエステル樹脂を単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
【0012】
本発明のポリエステル樹脂(A)は、これらの残基の組み合わせより構成されていればよいが、中でも芳香族ジカルボン酸残基とジオール残基より構成される芳香族ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0013】
本発明で使用する好ましいポリエステル樹脂(A)を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートなどが挙げられるが、なかでも適度の機械特性、ガスバリア性、金属密着性を有するポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレートが最も好ましい。
【0014】
本発明に使用するポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、0.5〜2.0dl/g、好ましくは0.65〜1.7dl/g、より好ましくは0.8〜1.5dl/gである。固有粘度が0.5dl/g未満の場合は、ポリカーボネ−ト樹脂(B)やゴム状弾性体樹脂(C) と均一に混合しないため機械強度や耐衝撃性が低く、一方、固有粘度が2.0dl/g超の場合には成形性が不良となり、いずれも好ましくない。
【0015】
上記の固有粘度は、25℃のオルトクロロフェノール中、0.5%の濃度で測定し、下式によって求められる。式中、Cは溶液100ml当たりの樹脂のg数で表した濃度を、t0は溶媒の流下時間を、tは溶液の流下時間を各々表す。
固有粘度=(ln(t/t0))/C 式(1)
【0016】
次に本発明のポリカーボネート樹脂(B)には、公知のポリカーボネート樹脂を広く使用することができる。本発明でいう高分子量、熱可塑性芳香族ポリカーボネートは数平均分子量が約1000〜2000000以上、好ましくは約10000〜80000であり、25℃において塩化メチレン溶液中で測定した固有粘度が0.30〜1.0dl/gである単独重合体、およびカーボネート共重合体およびこれらの混合物である。ポリカーボネートは、2.2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-(3,3’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジヒドロキシジフェニル)プロパンおよび(3,3’-ジクロロ-4,4’-ジヒドロキシジフェニル)メタンのような2価フェノールから誘導される。上記ポリカーボネートの製造に用いるその他の2価フェノールは、米国特許第2999835号、同第3028365号、同第3334154号および同第4131575号に示されている。ポリカーボネートは例えば上記引用文献や米国特許第4018750号および同第4123436号に示される方法に従って2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させるか、または米国特許第3153008号に記載のエステル交換法、その他分野の技術者に知られた方法等の既知の方法によって製造できる。本発明で用いる芳香族ポリカーボネートにはまた、米国特許第3169121号に示されているような2価フェノール、ジカルボン酸および炭酸からの重合誘導体も含まれる。芳香族ポリカーボネートの製造に用いるのに単独重合体よりもカーボネート共重合体が望ましい場合は2種またはそれ以上の異なる2価フェノールとグリコールまたは酸末端停止ポリエステルとの共重合体を用いることも可能である。上記試料の任意のブレンドも使用できる。米国特許第4001184号に記載されているような枝分かれポリカーボネート、また線状ポリカーボネートおよび枝分かれポリカーボネートとのブレンドも使用できる。
【0017】
次に、本発明に使用するゴム状弾性体樹脂(C)は、公知のゴム状弾性体樹脂を広く使用できる。中でも、ゴム弾性発現部のガラス転移温度(Tg、サンプル量約10mg、昇温速度10℃/分の示差型熱分析装置(DSC)で測定)が50℃以下、室温でのヤング率が1000MPa以下、および破断伸びが50%以上であるゴム状弾性体樹脂が好ましい。ゴム弾性発現部のTgが50℃超、室温でのヤング率が1000MPa超、および破断伸びが50%未満では、十分な耐衝撃性を発現できない。低温での耐衝撃性を確保するためには、Tgが10℃以下、より望ましくは-30℃以下であることが好ましい。また、より確実な耐衝撃性を確保するためには、室温でのヤング率は100MPa以下、より望ましくは10MPa以下であることが、破断伸びは100%以上、より望ましくは300%以上であることが、好ましい。
【0018】
本発明に使用するゴム状弾性体樹脂(C)を具体的に例示すると、公知のコア-シェルタイプ熱可塑性ゴム状弾性体、ブタジエン-スチレン共重合体(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)、ポリイソプレン(IPR)、ポリブタジエン(BR)等の公知のジエン系エラストマー、エチレンおよび炭素数3以上のαオレフィンもしくはエチレンおよび炭素数3以上のαオレフィンおよび非共役ジエンからなるオレフィン系エラストマー、エチレン-極性モノマー共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)およびその水添物(SEBS)、ゴム変性スチレン(HIPS)、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体(ABS)等のスチレン系エラストマー、ジメチルシロキサンを主成分とするシリコンエラストマー、芳香族ポリエステル-脂肪族ポリエステル共重合体もしくは芳香族ポリエステル-ポリエーテル共重合体等のポリエステルエラストマー、ナイロンエラストマー等が挙げられる。中でもゴム状弾性体自体に極性があるシェル部が極性基含有ビニル重合体であるコア-シェルタイプのゴム状弾性体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)、ABS、エチレン-極性モノマー共重合体、シリコンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ナイロンエラストマーが好ましい。これらは、ポリエステル樹脂(A)中に単独で分散して金属板との界面に存在しても、金属板との密着性を損なう可能性が小さい。
【0019】
さらに本発明で使用するゴム状弾性体樹脂(C)は、ポリエステル樹脂(A)に対する相溶性よりもポリカーボネート樹脂(B)に対する相溶性が良好であることが好ましい。相溶性の良否は、ゴム状弾性体樹脂(C)とポリエステル樹脂(A)、ゴム状弾性体樹脂(C)とポリカーボネート樹脂(B)とを溶融混練してDSCにより昇温速度10℃/分で測定した際のTgにより判断できる。以下の式を満足した場合、ゴム状弾性体樹脂(C)はポリエステル樹脂(A)よりもポリカーボネート樹脂(B)に対して相溶性が良好であると判断する。
【0020】
ここで、Tgゴム状弾性体単体は、ゴム状弾性体樹脂(C)がコア-シェルタイプゴム状弾性体である場合はシェル部のTg、物理架橋型エラストマー(ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマーなど)である場合はハードセグメントのTg、エチレン-極性モノマー共重合体である場合は主成分であるエチレン鎖のTg、海島型エラストマーの場合(HIPS、ABSなど)の場合は海を形成している樹脂のTg、化学架橋型エラストマー(NBR、IPR、BRなど)の場合はゴム弾性体のTgである。また、Tgポリエステル混練、TgPC混練は、各々ゴム状弾性体樹脂(C)とポリエステル樹脂(A)、ゴム状弾性体樹脂(C)とポリカーボネート樹脂(B)とを混練した後のポリエステル樹脂(A)相、ポリカーボネート樹脂(B)相のTgを示し、相溶性が良いほどTgゴム状弾性体単体に近づいていく。すなわち、各々のシフト率を比較した(2)式で相溶性が判断できる。
【0021】
ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)とは元来相溶性が良好なので、上式を満足する場合は、ゴム状弾性体樹脂(C)が直接ポリエステル樹脂(A)と接触して分散するよりは双方に相溶性が良好なポリカーボネート樹脂(B)を介して分散する構造、すなわち、ポリエステル樹脂(A)中にポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体樹脂(C)が分散する構造を形成し易い。この結果、ゴム状弾性体樹脂(C)とポリエステル樹脂(A)との界面が非常に強靱になり、耐衝撃性や加工部追従性が発現されやすくなる。
【0022】
より詳細に上記の原理を説明すると、一般にポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)とゴム状弾性体樹脂(C)との3元組成物が形成する相構造は、Spread Parameterの正負により決定され、正のときに上記の構造が形成される。Spread ParameterとはS.Y.Hobbs; Polym. Vol. 29, 1598 (1989)が定義するパラメータで、以下の式で与えられる。
【0023】
ここで Υi-jは樹脂i-樹脂j間の界面張力であり、樹脂i-j間の相溶性を示すパラメーターΧi-j(相溶性が良好なほど小さな値を示す)の0.5乗に比例する。元来、ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)とは相溶性が良好であるので、Υポリエステル(A)-ポリカーボネート(B) は小さい。従って、ポリエステル樹脂(A)とゴム状弾性体樹脂(C)との相溶性が低くかつ、ポリカーボネート樹脂(B)とゴム状弾性体樹脂(C)との相溶性が良好であれば、Υゴム 状弾性体 (C)-ポリカーボネート(B)が大きく、かつΥゴム 状弾性体 (C)-ポリカーボネート(B)を小さくできるので、λゴム 状弾性体 (C)-ポリカーボネート(B)>0となり、ポリエステル樹脂(A)中にポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体(C)が分散する構造を形成する。
【0024】
ポリエステル樹脂(A)よりもポリカーボネート樹脂(B)に対して良好な相溶性を有するゴム状弾性体樹脂(C)を例示すると、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体(ABS) や、シェル部が極性基含有ビニル重合体であるコア-シェルタイプのゴム状弾性体樹脂が挙げられる。ここでABS樹脂は、アクリロニトリル、スチレン、ブタジエンのユニットからなる樹脂であればよいが、好ましくはブタジエン成分が5重量%以上、アクリロニトリル/スチレン重量比が30/80〜30/70であることが好ましい。ブタジエン量が5重量%未満では十分な耐衝撃性がでない場合があり、アクリロニトリル/スチレン重量比が30/80〜30/70である組成のとき、ポリカーボネート樹脂(B)との相溶性が最大になる。また、上記のコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂とは、シェル部がポーリングの電気陰性度の差が0.9(eV)0.5以上ある元素が結合したユニットを1wt%以上含有しビニル重合体構成されるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂である。中でも多様なポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の組み合わせに対しても上記の相溶性条件(ポリエステル樹脂(A)に対する相溶性よりもポリカーボネート樹脂(B)に対する相溶性が良好である)を満足できるという観点から、シェル部が次式で示されるアクリレートユニットを50重量%以上含有するビニル重合体からなるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂が特に望ましい。
(但し、R1;水素もしくは炭素数1以上30以下のアルキル基、R2;炭素数1以上のアルキル基)
【0025】
具体的に例示すると、コア部がメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレートなどのアクリル系ユニットを主成分とするアクリル系ゴム状弾性体樹脂もしくはポリブタジエンおよびその水添重合体、ブタジエンとスチレンとの共重合体およびその水添重合体などのジエン系ゴム状弾性体樹脂、もしくはシロキサンを主成分とするシリコン系ゴム状弾性体樹脂で構成され、シェル部がポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート-スチレン共重合体であるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂がある。具体的には、コア部がポリブチルアクリレート、シェル部がポリメチルメタクリレート(MBA)や、メチルメタクリレート-スチレン共重合体であるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂、コア部がスチレン-ブタジエン共重合体でシェル部がポリメチルメタクリレート(MBS)、コア部がポリジメチルシロキサンでシェル部がポリメチルメタクリレート(MBS)あるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂、さらには米国特許第4,096,202号に開示されているアクリレートベースコア-重合アクリレートシェル重合体、シロキサン系ゴム状弾性体コア-アクリレートシェル重合体などが挙げられる。
【0026】
本発明の金属板被覆用樹脂組成物は、固有粘度が0.5〜2.0dl/gであるポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびゴム状弾性体樹脂(C) で構成され、ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、ポリカーボネート樹脂(B)1-50重量部、およびゴム状弾性体樹脂(C)1-50重量部が含有されていなければならない。ポリカーボネート樹脂(B)が1重量部未満では十分な加工追従性が発現できない。また、50重量部超では耐熱性が低くなり、レトルト処理に適さない。ゴム状弾性体樹脂(C)が1重量部未満では十分な耐衝撃性が発現できず、50重量部超では耐熱性が低くなり、レトルト処理に適さない。
【0027】
さらに本発明の金属板被覆用樹脂組成物は、固有粘度が0.5〜2.0dl/gであるポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)、およびゴム状弾性体樹脂(C) により上記の組成で構成され、ポリエステル樹脂(A)マトリックス中にポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体樹脂(C)が分散した形状である。ポリエステル樹脂(A)中に分散した、ポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体樹脂(C)の分散粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下であることが望ましい。3μm超では十分な耐衝撃性がでない場合がある。1μm以下場合は少量の添加でも耐衝撃性が発揮できる場合が多い。また、分散構造として最も好ましいのは、ポリエステル樹脂(A)マトリックス中にポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体樹脂(C)が分散した形状であり、ポリエステル樹脂(A)/ゴム状弾性体樹脂(C)の界面にポリカーボネート樹脂(B)が存在することにより、 ゴム状弾性体樹脂(C)とポリエステル樹脂(A)との界面が非常に強靱になり、耐衝撃性や加工部追従性が発現されやすくなる。この場合、カプセル化した状態とは、ポリエステル樹脂(A)/ゴム状弾性体樹脂(C)の界面の50%以上にポリカーボネート樹脂(B)が存在する状態であり、公知の染色法でポリカーボネート樹脂(B)を染色した後に透過型顕微鏡で解析し、界面に占めるポリカーボネート樹脂(B)の面積率により評価できる。
【0028】
本発明の金属板被覆用樹脂組成物は、公知の各種混合機を用いて各成分を所定の温度、例えば200〜350℃で溶融混練することにより製造することができる。公知の各種混合機とは例示すれば、各種押出機、ブラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサーなどが挙げられる。
【0029】
また、本発明の金属板被覆用樹脂組成物は剛性や線膨張特性の改善などを目的に、ガラス繊維、金属繊維、チタン酸カリウィスカー、炭素繊維のような繊維強化剤、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属フレーク、金属粉末のようなフィラー系強化剤を混入させてもよい。これらの充填剤のうち、ガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有することが望ましい。また、これらの添加量としては、全樹脂組成物重量部に対して5〜15重量部であることが望ましい。
【0030】
さらに本発明の金属板被覆用樹脂組成物には、目的に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、離型剤、滑剤、顔料、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、抗菌抗カビ剤等を適正量添加することも可能である。
【0031】
本発明の樹脂フィルムは広く金属板の被覆材として使用することができる。金属板は特に限定するものではないが、ブリキ、ティンフリースチールなどの鋼板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板など挙げられる。また、金属板への被覆も片面または両面のいずれであってもよい。また、本発明の樹脂組成物を金属板へ被覆した際の被覆膜厚みは、特に制限するものではないが、1〜300μmであることが好ましい。1μm未満では十分な衝撃性がでない場合があり、300μm超では経済性が悪い。
【0032】
金属板への被覆には、公知の方法が使用できる。具体的には、(1)本発明の樹脂フィルムを製造するための樹脂組成物をTダイス付きの押し出し機で溶融混練してフィルム化し、これを金属板に熱圧着する方法(この場合、フィルムは無延伸でも、1方向もしくは2方向に延伸してもよい)、(2)Tダイスから出たフィルムを直接熱圧着する方法が挙げられる。さらに本発明の樹脂フィルムを製造するための樹脂組成物にはゴム状弾性体樹脂(C)が含有されるため、被覆後の膜内部に結晶化度を傾斜させなくても十分な耐衝撃性を発現できる。従って、(3)本発明の樹脂フィルムを製造するための樹脂組成物を溶融して、バーコーターやロールでコーティングする方法、(4)本発明の樹脂フィルムを製造するための樹脂組成物を溶融して、金属板を漬ける方法、(5)本発明の樹脂フィルムを製造するための樹脂組成物を溶媒に溶解してスピンコートする方法、などにより金属板に被覆することも可能であり、被覆方法は特に限定されるものではない。
【0033】
金属板への被覆方法として作業能率から最も好ましいのは、上記(1)および(2)の方法である。(2)の方法を使用して被覆する場合は、フィルム厚みは上記と同様の理由により1〜300μmであることが好ましい。さらに膜の表面粗度は, フィルム表面粗度を任意に1mm長測定した結果がRmaxで500nm以下であることが好ましい。500nm超では熱圧着で被覆する際に気泡を巻き込む場合がある。
【0034】
本発明の金属板被覆用樹脂フィルムは、金属板への被覆工程や金属板加工時の潤滑性を向上する目的で特開平5-186613号公報に開示されているような公知の滑剤が添加されていてもよい。滑剤の粒径は2.5μm以下が好ましい。2.5μm超では樹脂フィルムの機械特性が低下する。滑剤の添加量は金属板の巻取性や深絞り加工性に応じて決定され、例えば平均粒径2.0μmの単分散シリカでは0.05重量%、平均粒径0.3μmの二酸化チタンでは0.3重量%以下が望ましい。
【0035】
また、本発明の樹脂フィルムを金属板に被覆する際には、必要に応じて他の公知の樹脂フィルムを下層もしくは上層に積層して被覆してもよい。具体的な積層方法としては、上述の(1)、(2)の方法を使用する場合は、多層のTダイスを使用して本発明の樹脂フィルムと他の樹脂フィルムとの多層膜を製造し、それを熱圧着する方法がある。また、上述の(3)、(4)、(5)の方法を使用する場合は、下層のときは他の樹脂を被覆したのちに本発明の樹脂組成物を被覆し、上層のときはその逆にすることにより被覆することが可能である。
【0036】
本発明の金属板は本発明の樹脂フィルムが被覆された金属板であり、被覆は片面であっても両面であってもよい。金属板の厚みは特に制限するもではないが、0.01〜5mmであることが好ましい。0.01mm未満では強度が発現しにくく、5mm超では加工が困難である。
【0037】
本発明の金属板は本発明の樹脂フィルムが金属板に被覆されていればよく、公知の樹脂フィルムを本発明の樹脂フィルムの下層もしくは上層に積層して金属板に被覆していてもよい。また、公知の接着剤を金属板と本発明の樹脂フィルムとの間に積層することも可能である。接着剤を例示すると、特開昭60-12233号公報に開示されるポリエステル樹脂系の水系分散剤、特開昭63-12233号公報に開示されるエポキシ系接着剤、特開昭61-149341号公報に開示される各種官能基を有する重合体などが挙げられる。
【0038】
本発明の金属容器は、本発明の金属板からなる金属容器で公知の加工法により成形できる。具体的にはドローアイアニング成形、ストレッチドロー成形などが挙げられるが、本発明の金属板を使用した金属容器であればよく、成形法は例示した成形法に限定するものでない。
【0039】
本発明の金属板被覆用樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)、およびゴム状弾性体樹脂(C) の3元成分より構成される。従って、ゴム状弾性体樹脂(C)によりポリエステル樹脂(A)の耐衝撃性が改善でき、さらにポリカーボネ−ト樹脂(B)により加工追従性が改善できる。この結果、本発明の樹脂組成物は、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、機械強度、ガスバリア性、金属との密着性などに優れ、金属板の被覆用材料として好適に使用することが可能である。さらに本発明の樹脂フィルムは本樹脂組成物を使用しているので、上記の特性を発揮でき、好適に金属板被覆用のフィルムとして使用することが可能である。また、本フィルムを被覆した金属板は上記の特性を有するフィルムを被覆しており、従来困難であった加工追従性と耐衝撃性とを有する金属板として、金属容器、家具、電化製品、自動車部材として好適に使用することが可能である。また、本発明の金属容器は本金属板を使用しているため、優れた外観性、フレバー性、耐腐食性、強度を有する金属容器として好適に使用することができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明する。
【0041】
ポリエステル樹脂(A)としてポリエチレンテレフタレート(PET)(東洋紡(株)製RN163)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)(東レ製1401-X04)、ポリカーボネート樹脂(B)としてノバレックス(三菱エンジニアリングプラスティック(株)製PC)、ゴム状弾性体樹脂(C)としてポリブチルアクリレート-ポリメタクリル酸メチル共重合体(MBA)(呉羽化学(株)製パラロイドEXL2314)、およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)(JSR製ゴム含有率10wt%、A/S=25/75)を使用した。
【0042】
(実施例1、2)
PET/MBA、 PC/MBAを各々80/20(wt%)、260℃、80回転でバンバリーミキサーで混練した後Tgを測定し、(2)式により相溶性を評価した(表1)。
【0043】
PET、MBA、PCを表2の配合でV型ブレンダーを使用してドライブレンドし、2軸押し出し機で260℃で溶融混練した。本樹脂組成物の混練ストランドからウルトラミクロトームを使用して超薄切片を切り出し、オスミウム酸でPC相、ルテニウム酸でMBAを染色し、TEM観察した。この結果、実施例1、2ではPET相中にPC(最も濃く染色された相)でカプセル化したMBA相(2番目に濃い相)が分散(カプセル化した界面面積率100%、MBA粒径;800nm以下)した構造を形成していた。
【0044】
本ペレットを使用して押し出しTダイスで30μm厚みのフィルムを得た(押し出し温度280℃)。本フィルムを250℃に加熱した2.5mm厚みのティンフリースチールの両面にはりあわせ、水冷により10秒以内に100℃以下まで急冷し、樹脂被覆鋼板を作製した。
【0045】
このようにして得られた常温の樹脂被覆鋼板についてクエン酸1.5重量%、食塩1.5重量%水溶液に24時間浸漬した後、フィルムの剥がれた長さ(mm)(10サンプルの平均)で評価した。0.0mmを◎とし、0.0〜0.5mmを○, 0.5〜2.0mmを△、2.0mm超を×とした。密着試験の結果を表3に示す。
【0046】
さらに本金属板の耐衝撃性をデュポン式の落垂衝撃試験(高さ30cm、 r=8mm)を行なった。試験後のサンプルの凸に膨らんだ部位を1.0重量%食塩水に入れて鋼板を陽極とし、+6Vの電圧をかけた際の電流値(mA、ERV値)を測定した。ERV値は以下の指標により評価した。さらに0℃の恒温層に24時間入れた後に同様の耐衝撃性評価を行ない、低温での耐衝撃性を評価した。
◎:全10サンプルが0.01mA以下であった。
○:1〜3個が0.01mA以上であった。
△:3〜6個が0.01mA以上であった。
×:7個以上が0.01mA以上であった。
表3に耐衝撃性評価結果を示す。
【0047】
さらに本金属板を扱き率70%で扱き加工し、加工追従性を加工後のフィルム健全性、および鋼板との密着性により評価した。
◎:フィルム剥離0.0mm
○:フィルム剥離1mm未満
△:フィルム剥離2mm未満
×:加工中にフィルム破損
表3に加工追従性評価結果を示す。
【0048】
(実施例3)
PBT/MBA、PC/MBAを実施例1、2と同様に混練し、相溶性を評価した。結果を表1に示す。
【0049】
実施例1のPETの代わりにPBTを使用し、240℃で同様に混練、製膜した。実施例1、2と同様にして相構造を解析した。この結果、 PBT相中にPCでカプセル化したMBA相が分散(カプセル化した界面面積率100%、MBA粒径;800nm以下)した構造を形成していた。本フィルムを240℃で同様にティンフリースチールに被覆し、フィルム密着性、耐衝撃性、加工追従性を評価した。結果を表3に示す。
【0050】
(実施例4)
PET/ABS、PC/ABSを実施例1、2と同様に混練し、相溶性を評価した。結果を表1に示す。実施例1のMBAの代わりにABSを使用し、同一条件で混練、製膜した。実施例1、2と同様にして相構造を解析した。この結果、 PET相中にPCでカプセル化したABS相が分散(カプセル化した界面面積率100%、ABS粒径;900nm以下)した構造を形成していた。本フィルムを同様にティンフリースチールに被覆し、フィルム密着性、耐衝撃性、加工追従性を評価した。結果を表3に示す。
【0051】
表1
A1=|TgPC単体-TgPC混練|/|TgPC単体-Tgゴム状弾性体単体|
A2=|Tgポリエステル単体-Tgポリエステル混練|/|Tgポリエステル単体-Tgゴム状弾性体単体|
A1 A2
PET/MBA/PC 0.16 0.06
PBT/MBA/PC 0.16 0.05
PET/ABS/PC 0.16 0.10
【0052】
表2
ポリエステル ゴム状弾性体 ポリカーボネート
実施例1 100重量部(PET) 25重量部(MBA) 5重量部
実施例2 100重量部(PET) 45重量部(MBA) 1重量部
実施例3 100重量部(PBT) 25重量部(MBA) 5重量部
実施例4 100重量部(PET) 25重量部(ABS) 5重量部
【0053】
表3
密着性 常温耐衝撃性 低温耐衝撃性 加工追従性
実施例1 ◎ ◎ ◎ ◎
実施例2 ◎ ◎ ○ ◎
実施例3 ◎ ◎ ◎ ◎
実施例4 ◎ ◎ ◎ ◎
【0054】
(比較例1)
特開平2-57339号公報の実施例に基づき、2軸延伸ポリエステルフィルム(テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール残基(78/22/100)から構成され、比重1.3387、30μm厚み、面配向係数0.120のフィルム)を実施例1、2と同一条件でティンフリースチール上に熱圧着し、密着性、耐衝撃性および加工追従性を実施例1、2と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0055】
(比較例2)
特開平8-323922号公報の実施例1に従い、PETとポリカーボネート(日本ジーイープラスチック(株)製、Tg:122℃)とをV型ブレンダーを用いて組成比80/20で混合した。混合後、2軸押し出し機で240℃で混練し、樹脂組成物ペレットを得た。本ペレットを使用して実施例1、2と同様にフィルムを作成して2.5mm厚みのティンフリースチールの両面にはりあわせ、密着性、耐衝撃性、加工追従性を評価した。結果を表4に示す。
【0056】
表4
密着性 常温耐衝撃性 低温耐衝撃性 加工追従性
比較例1 △ △ × ×
比較例2 ◎ ○ △ △
実施例1〜4および比較例1、2の結果より、本発明の金属板被覆用樹脂組成物は、従来技術よりも金属との密着性、耐衝撃性、加工追従性に優れていることが判る。
【0057】
【発明の効果】
本発明の金属板被覆用樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)、およびゴム状弾性体樹脂(C) の3元成分より構成され、ポリエステル樹脂(A)をマトリックスとしてポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体樹脂(C)が分散している。従って、ゴム状弾性体樹脂(C)によりポリエステル樹脂(A)の耐衝撃性が改善でき、さらにポリカーボネート樹脂(B)により加工追従性が改善できる。この結果、本発明の樹脂組成物は、成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、機械強度、ガスバリア性、金属との密着性などに優れ、金属板の被覆用材料として好適に使用することが可能である。さらに、本発明の樹脂フィルムは本樹脂組成物を使用しているので、上記の特性を発揮でき、好適に金属板被覆用のフィルムとして使用することが可能である。また、本フィルムを被覆した金属板は上記の特性を有するフィルムを被覆しており、従来困難であった加工追従性と耐衝撃性とを有する金属板として、金属容器、家具、電化製品、自動車部材として好適に使用することが可能である。 また、本発明の金属容器は前記金属板を使用しているため、優れた外観性、フレバー性、耐腐食性、強度を有する金属容器として好適に使用することができる。
Claims (6)
- 固有粘度0.5〜2.0dl/gを有するポリエステル樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)およびゴム状弾性体樹脂(C) を含んでなり、前記ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、前記ポリカーボネート樹脂(B)1〜50重量部、前記ゴム状弾性体樹脂(C)1〜50重量部からなり、ポリエステル樹脂(A)をマトリックスとしてポリカーボネート樹脂(B)でカプセル化したゴム状弾性体樹脂(C)が分散することを特徴とする、金属板被覆用樹脂組成物。
- 前記ゴム状弾性体樹脂(C)が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体もしくはシェル部が極性ビニル重合体からなるコア-シェルタイプゴム状弾性体樹脂である、請求項1記載の金属板被覆用樹脂組成物。
- 前記極性ビニル重合体がアクリレート系重合体である、請求項2記載の金属板被覆用樹脂組成物。
- 請求項1〜3に記載の樹脂組成物を単独でまたは他の樹脂組成物および/または接着剤と組み合わせて、積層してなることを特徴とする、金属板被覆用樹脂フィルム。
- 金属板の片面および/または両面に少なくとも請求項4記載の金属板被覆用樹脂フィルムを用いて単一層状にまたは多層状に積層してなることを特徴とする、樹脂被覆金属板。
- 請求項5記載の樹脂被覆金属板を成形してなることを特徴とする、金属容器。
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